JP3799660B2 - 酸化触媒及びその製造方法並びにメタクリル酸の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化触媒及びその製造方法並びに該触媒によるメタクリル酸の製造方法に関する。詳しくは、本発明は、メタクロレイン、t−ブタノール、イソブタン、イソブテン等を分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を製造するために用いられるヘテロポリ酸系触媒及びその製造方法並びに該触媒によるメタクリル酸の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
メタクロレインを気相接触酸化してメタクリル酸を製造する触媒としてリンモリブデン酸等のようなケギン構造を有するヘテロポリ酸化合物が有効であることは従来から知られている。しかしながら、Mo−V系触媒によるアクロレインからアクリル酸への気相接触酸化が、工業レベルで99%以上の転化率及び97%以上の選択率で三年以上に亘り安定な運転実績を達成しているのと比較すると、メタクリル酸の製造については未だ著しく低いレベルに留まっている。このため、反応活性、メタクリル酸選択性、触媒寿命の改善或いは触媒製造の安定性を求め、触媒組成、調製方法、乾燥方法、焼成方法、触媒形状等に精力的な研究開発が行われており、いろいろな提案がこれ迄になされている。
【0003】
例えば、触媒組成については特開昭55−39236号公報を初めとする多くの特許公報の触媒構成元素として実質的にはVが必須であると共に、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、希土類金属等多くの元素が触媒性能向上に有効であることが記載されている。
特開昭61−5043号公報、特開昭61−7233号公報及び特開平3−21346号公報には、特定のCe化合物が有効であることが示され、又、特開平3−238051号公報には特定のBi原料が有効であることが示されている。
【0004】
特開平6−91172号公報には、触媒成分の中、SbとMo、Cu又はVとを予め焼成して複合酸化物として使用することにより高い触媒性能が得られると記載されている。
また、触媒の調製方法、例えば、触媒原料の溶解混合加熱工程、触媒原料の特定、アンモニウム及び硝酸量の制御等(特開昭61−283352号公報、特開平3−238050号公報、特開平6−86932号公報、特開平6−86933号公報)についても、多くの提案がなされている。
【0005】
特開平4−7037号公報、特開平4−16242号公報には、触媒原料を溶解混合した溶液のpHを酸性に保ち、且つ溶液を85℃以上に加熱することによりケギン型のヘテロポリ酸を作り、次いで溶液を80℃以下に冷却した後にアルカリイオン及びアンモニウムイオン或いはピリジン等の塩基を添加し、酸素濃度5%以上のガスで焼成する方法が提案されている。
【0006】
特開平6−86932号公報にはNH4 /Mo=(6〜18)/12及びNO3 /Mo=(0.1〜5)/1となるように溶液中のアンモニア及び硝酸根量を制御し、更にオートクレーブ中110〜200℃という特殊な条件で溶液中でドーソン型のヘテロポリ酸を生成させ、不活性ガス雰囲気中焼成することが記載されている。特開平6−86933号公報には、硫酸根の共存がドーソン型のヘテロポリ酸の生成に有効でこの場合オートクレーブ加熱は必ずしも必要ではないと記載されている。
【0007】
特開昭63−130143号公報には、乾燥固形物を固形物に対し1〜10倍の水に再分散させることにより触媒性能が向上すると述べられている。
触媒の焼成も、触媒性能に大きな影響があり、酸素濃度及び焼成温度の制御(特開昭56−161841号公報、特開平3−238050号公報)、アンモニア・水蒸気の制御(特開昭58−67643号公報)、不活性ガス中での焼成(特開昭57−165040号公報)等についていろいろ提案されている。
【0008】
一方、表面積、細孔の制御を目的として例えばピリジン・キノリンの添加(特開昭57−171444号公報、特開昭60−209258号公報)、活性炭の添加(特開平6−374号公報)、アルコール・アルデヒド・有機酸の添加(特開平6−15178号公報)等について提案がなされている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これまで提案されている触媒はいずれも反応成績が十分でない、生産性が低い、触媒の経時低下が大きい、反応温度が高い、或いは触媒の調製法の再現性に欠ける等の問題点を有し、工業用触媒として十分な性能とは言えず、更なる改良が望まれている。
本発明の課題は、メタクロレインの気相酸化によるメタクリル酸の製造に用いられる、より高い反応活性を有し、より高い収率でメタクリル酸を与えるテロポリ酸系触媒及びその製造方法並びに該触媒によるメタクリル酸の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するために脂肪族炭化水素を分子状酸素により気相で接触酸化して不飽和カルボン酸を製造するのに使用するリン、モリブデン及びアルカリ金属を含む触媒について鋭意検討した結果、アンチモンとセリウム、ジルコニウム及びビスマスから選ばれた一種以上の元素とからなる多元酸化物を併用することにより高い反応活性を有し、より高い収率でメタクリル酸を与える酸化触媒が得られることを見出し、特に、触媒原料を水に溶解或いは懸濁させた溶液を乾燥し、次いで150〜350℃で予備焼成した後、予備焼成物に対し0.2〜0.8重量倍の水又はアンモニア水を加えて混練する工程において該多元酸化物を添加し、更に酸素濃度を制御した不活性ガスで焼成することにより、高い反応活性を有し高収率でメタクリル酸を与える触媒が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明の要旨は、
1.リン、モリブデン及びアルカリ金属を含有する酸化物並びにアンチモンとセリウム、ジルコニウム及びビスマスから選ばれた一種以上の元素とからなる多元酸化物よりなる酸化触媒であって、該多元酸化物を酸化触媒に対して3〜50重量%の割合で含有する酸化触媒。
2.リン、モリブデン及びアルカリ金属を含有する該酸化物の原料を水に溶解或いは懸濁させた溶液を乾燥し、次いで得られた固形物を150〜350℃で予備焼成し、該予備焼成物に0.2〜0.8重量倍の水又は0.015〜0.1重量倍の水酸化アンモニウムを含む0.2〜0.8重量倍のアンモニア水及び該多元酸化物を添加して混練処理することを特徴とする上記酸化触媒の製造方法及び
3.これらの酸化触媒の存在下、メタクロレインを気相酸化することを特徴とするメタクリル酸の製造方法、
にある。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】
【発明の実施の形態】
(1)酸化触媒
本発明の酸化触媒は、リン、モリブデン及びアルカリ金属を含有する酸化物並びにアンチモンとセリウム、ジルコニウム及びビスマスから選ばれた一種以上の元素とからなる多元酸化物よりなるものであり、好ましくは、一般式(I)
【0013】
【化3】
Pa Mob VC Bad Sbe Cuf Xg Yh Oi (I)
【0014】
(式中、Xは、K、Rb及びCsよりなる群から選ばれた一種以上の元素を表わし、Yは、Bi、Mn、Cr、Zr、Co、Ce、Zn、Fe及びNiよりなる群から選ばれた一種以上の元素を表わし、添字a、c、d、e、f、g、h及びiはb=12としたときの各元素の原子比を表わし、a=0.1〜5、c=0〜5、d=0〜5、e=0〜5、f=0〜2、g=0.1〜3、h=0〜2、iは他の元素の原子価及び原子比によって決まる値である)で表わされる酸化物及び一般式(II)
【0015】
【化4】
Sbj Zk Om (II)
【0016】
(式中、Zは、Ce、Zr及びBiから選ばれた一種以上の元素を表わし、添字j、k及びmは、j=1としたときの各元素の原子比を表わし、k=0.1〜0.5、mは他の元素の原子価及び原子比によって決まる値である)で表わされる多元酸化物3〜50重量%(対全触媒重量)よりなるヘテロポリ酸系触媒である。
【0017】
(2)酸化触媒の製造方法
本発明の酸化触媒の好適な製造方法としては、式(II)の多元酸化物以外の全ての触媒原料を水に溶解或いは懸濁させた溶液を乾燥し、次いで得られた固形物を150〜350℃で予備焼成した後、該予備焼成物にその0.2〜0.8重量倍の水又はアンモニア水を加えて混練処理すると共に好ましくはこの処理工程において式(II)のSb−Z多元酸化物(Z=Ce、Zr、Bi)を全触媒重量の3〜80重量%、好ましくは5〜50重量%添加し、混練した固体を乾燥した後、0.1〜5容量%の酸素を含む不活性ガス流通下350〜450℃で焼成する方法が挙げられる。
【0018】
前記Sb−Z多元酸化物はSb原料及びCe、Zr及びBiから選ばれた一種以上の金属の原料に水を加えて混練した後、通常法で乾燥を行いその後熱処理することにより調製する。使用する原料に特に制限はない。Sb原料としては、酸化アンチモン、塩化アンチモン等が挙げられ、特に酸化アンチモンが好ましい。Z原料としては炭酸塩、水酸化物、酸化物等が挙げられるが、特に炭酸塩が好ましい。処理は400〜1200℃が適当であり、特に600〜1000℃が好ましい。処理温度が低すぎると、複合効果が明らかではなく、高すぎると酸化物の凝集により触媒成分としての分散性が低下する惧れがある。Z/Sb比は0.1〜1.0、好ましくは0.2〜0.6の範囲である。Zの割合が低いと混合酸化物の複合効果が明らかではなく、高すぎるとZの単独の酸化物が生成する。熱処理後にZSb2 O4 のような特定の結晶構造を採る必要はない。
Sb−Z多元酸化物を添加することにより、触媒性能が顕著に向上するが、その理由については必ずしも明らかではない。Sb−Z多元酸化物を酸化物を添加することにより、触媒の再酸化過程が促進されること、及び結晶構造が安定化され、その結果、ヘテロポリ酸の凝集が抑制されることが考えられる。
【0019】
Sb−Z多元酸化物以外の触媒成分の金属成分原料として、モリブデンについてはパラモリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸、酸化モリブデン等、バナジウムについてはメタバナジン酸アンモニウム、酸化バナジウム、シュウ酸バナジル等、リンについては正リン酸、メタリン酸、五酸化リン、ピロリン酸、リン酸アンモニウム等、銅については硝酸銅、硫酸銅、塩化第一銅、塩化第二銅等、アンチモンについては酸化アンチモン、塩化アンチモン等の化合物が使用可能である。その他の金属についても酸化物及び焼成により酸化物となり得る水酸化物、硝酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、炭酸塩、塩化物等の化合物が使用可能であるが、中でも硝酸塩が好適である。また、モリブデンとリンの原料としてリンモリブデン酸、リンモリブデン酸アンモニウム等のヘテロポリ酸を使用することもできる。
【0020】
全ての触媒原料を水に溶解或いは懸濁させた溶液を40〜100℃で0.5〜24時間、好ましくは50〜90℃で1〜6時間の間攪拌しながら加温する。この範囲より、低温或いは、短時間では高い選択性が得られず、高温、長時間では活性が低下する惧れがある。この混合溶液にシリカ、ケイソウ土、セライト、等の担体成分を加えることもできる。
加温処理を終了した混合溶液は通常の方法で乾燥される。一般的には100〜250℃に保った熱風乾燥機中で蒸発乾固させる。
【0021】
得られた固形物は150〜350℃、好ましくは200〜300℃の温度条件下で空気を流通して予備焼成を行う。
この予備焼成物に対しその0.2〜2.0重量倍の水とSb−Z多元酸化物を加えて混練する。水の量が0.2重量倍より少ないと混練が十分でない惧れがあり、2重量倍を越えると触媒成分の不必要な溶解により触媒性能の低下を招く惧れがある。ここで使用する水については、特に限定されるものではないが、脱イオン水、蒸留水等のように、不要な金属イオンを含有しないものが好ましい。
【0022】
また、水に替えて水酸化アンモニウムの量が予備焼成物に対し0.015〜0.1重量倍の水酸化アンモニウムを含む0.2〜0.8重量倍のアンモニア水を加えて、予備焼成物が中性ないしアルカリ性になるように混練処理することにより、より高性能の触媒を得ることができるため、特に好ましい。水酸化アンモニウムの量が0.015重量倍より少ないとアンモニア添加の効果が明確ではなく、0.1重量倍を越えると初期活性が低下すると共に触媒の安定性が損なわれる惧れがある。
混練を終了した触媒成分は通常の方法で乾燥される。
【0023】
担持触媒として使用する場合は、必要に応じ、得られた混練物に水を加えて粘度を調節し、アルミナ、シリコンカーバイド等の担体に適当な方法で担持して使用することができる。
乾燥した触媒成分は、粉砕後、錠剤成型する。この他ペースト状にて押し出し成型後、乾燥する等一般の成型法を任意に選ぶこともできる。触媒の形状に特に制限はなく、球、シリンダー、ペレット、リング等の形状を反応器の形式、条件等を考慮し最適なものを選ぶことができるが、通常使用される多管式固定床反応器で使用する場合にはリングの形状が好ましい結果を与える。
【0024】
用いる触媒原料、触媒組成、調製法によって最適条件は異なるが、一般的には300〜500℃で1〜24時間、好ましくは350〜450℃で2〜12時間焼成することにより触媒の活性化を行う。焼成は、酸素濃度を0.1〜5容量%、好ましくは0.2〜2容量%に制御した不活性ガスの流通下で行う。酸素濃度が0.1%容量より少ないとアンモニアの脱離を十分に行うためには、触媒自体が不安定となるような高温を必要としたり、或いは適切な温度で処理する場合には著しく長時間を必要とする等の問題がある。5%容量を越えると一部のアンモニアが触媒上で燃焼するために、焼成の制御が困難となり、場合によっては触媒成分の分解により三酸化モリブデンが多量に生成し触媒性能を著しく低下させる惧れがある。
【0025】
(3)メタクリル酸の製造方法
本発明の触媒は、通常の接触酸化反応に使用できるが、特にメタクリル酸の製造方法に採用した場合に、200〜400℃程度の反応温度及び0.5〜10気圧程度の反応圧力で、水蒸気の存在下に反応を行うことが好ましい。
反応原料のメタクロレインとしては、例えば、メタクロレインの製造目的でイソブテン又はt−ブタノールを接触酸化して得られる生成ガスをそのまま用いてもよいし、或いは、該生成ガスを精製してメタクロレインを他のガスより分離してから用いてもよい。
【0026】
酸化に用いる酸素源としては、一般に空気が使用されるが、酸素(分子状酸素)、酸素を二酸化炭素、窒素等の不活性ガスで希釈した混合ガスを使用しても勿論差支えない。
水蒸気、反応原料、酸素等の混合ガス(以下、反応混合ガスという)を触媒に流通するが、接触時間は通常1〜20秒程度が適当である。反応混合ガスの組成としては、例えばメタクロレイン1モルに対して分子状酸素0.2〜4モル、水蒸気1〜20モルが使用される。
【0027】
その他、この接触酸化反応は、本発明の主旨に反しない限り、通常のメタクロレイン酸化に関する知見を参考にして行うことができる。
本発明で得られる酸化触媒は、イソ酪酸の酸化脱水素、イソブチルアルデヒドの酸化によるメタクリル酸の製造にも用いることができる。また、イソブチレンから一段でメタクリル酸を製造する際にも用いることが可能である。これらの反応では、メタクロレインの酸化と同様な反応条件が採用できる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明を実施例、比較例を挙げて更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り実施例に限定されるものではない。
なお、転化率、選択率及び収率は下式により求め、モル基準で表示した。
【0029】
【数1】
転化率(%)=[(反応したメタクロレインのモル数)/(供給したメタクロレインのモル数)]×100
【0030】
【数2】
選択率(%)=[(生成したメタクリル酸のモル数)/(反応したメタクロレインのモル数)]×100
【0031】
【数3】
収率(%)=[(生成したメタクリル酸のモル数)/(供給したメタクロレインのモル数)]×100
【0032】
実施例1
(Sb−Ce酸化物調製)
酸化セリウム120g、酸化アンチモン237g及び純水300gをニーダーで混合する。130℃のオーブン中で10時間乾燥した後、先ず600℃で3時間空気焼成し、次いで800℃で2時間空気焼成する。得られた酸化物を粉砕して使用した。
【0033】
(触媒調製)
純水580mlにパラモリブデン酸アンモニウム212gとメタバナジン酸アンモニウム11.7gを加え60℃に加温した。攪拌しながらリン酸23g、硝酸セシウム9.75g、硝酸銅4.83gを含む水溶液を加え、次いで三酸化アンチモン14.5gを加え、80℃まで昇温し、その後2時間、80℃に保った。得られたスラリー容器は250℃に保ったオーブン中で10時間かけて乾燥及び予備焼成を行った。得られた固体135gに純水60mlとSb−Ce酸化物15gを加え20分間混練を行い、その後130℃に保ったオーブン中で乾燥を行った。得られた固体を外径5mmの円柱形に打錠成型し、酸素を0.6容量%含む窒素流通下、400℃で6時間焼成し、触媒を得た。得られた触媒の組成は各成分の原子比で90重量%・Mo12P2 V1 Sb1 Cu0.2 Cs0.5 /10重量%・Sb7 Ce3 である。(但し、O、H、N原子を除く)
【0034】
(接触酸化反応)
この触媒30mlをステンレス製反応管(内径18mm)に充填し、ナイター浴を介して加熱し、メタクロレインの接触酸化を行った。原料ガスはメタクロレイン5モル%、酸素12モル%、水蒸気30モル%、窒素53モル%の混合ガスであり、これを常圧下、反応温度290℃、空間速度1400/時で反応させた。その結果メタクロレイン転化率89.6%、メタクリル酸選択率79.2%、メタクリル酸収率71.1%であった。
【0035】
比較例1
Sb−Ce酸化物を加えないこと以外は実施例1と同様に触媒を調製し、反応評価を行った。その結果メタクロレイン転化率89.2%、メタクリル酸選択率78.5%、メタクリル酸収率69.3%であった。
【0036】
比較例2〜3
Sb−Ce酸化物の代りに実施例1で使用したSb−Ce酸化物に含まれるのと同じ量の酸化セリウム(比較例2)、酸化アンチモン(比較例3)を加えること以外は実施例1と同様に触媒を調製し、反応評価を行った。結果を表1に示す。
【0037】
比較例4
Sb−Ce酸化物を他の触媒原料の溶解混合工程で同時に添加すること以外は実施例1と同様に触媒を調製し、反応評価を行った。その結果メタクロレイン転化率84.6%、メタクリル酸選択率80.8%、メタクリル酸収率68.3%であった。
【0038】
実施例2〜3
Sb−Ce酸化物の代りにSb−Zr(実施例2)及びSb−Bi(実施例3)を使用すること以外は実施例1と同様に触媒を調製し、反応評価を行った。結果を表1に示す。
【0039】
実施例4
混練工程において脱イオン水の代りに表1に記載のアンモニア水を使用すること以外は実施例1と同様に触媒を調製し、反応評価を行った。結果を表1に示す。
【0040】
実施例5〜6
Sb−Ce酸化物の代りにSb−Zr(実施例5)及びSb−Bi(実施例6)を使用すること以外は実施例4と同様に触媒を調製し、反応評価を行った。結果を表1に示す。
【0041】
比較例5
加えるSb−Ce酸化物の量が全触媒重量の70重量%となるようにSb−Ce−Si酸化物の添加量を増やし、混練に添加する水の量を増やす以外は実施例1と同様に触媒を調製し、反応評価を行った。結果を表1に示す。
【0042】
比較例6
Sb−Ce酸化物の代りにSb−Cuを使用すること以外は比較例5と同様に触媒を調製し、反応評価を行った。結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【発明の効果】
本発明の酸化触媒は、メタクロレインの気相酸化によるメタクリル酸の製造において、従来公知の触媒系より、高い反応活性を有し、より高い収率でメタクリル酸を与える。
Claims (7)
- リン、モリブデン及びアルカリ金属を含有する酸化物並びにアンチモンとセリウム、ジルコニウム及びビスマスから選ばれた一種以上の元素とからなる多元酸化物よりなる酸化触媒であって、該多元酸化物を全触媒に対して3〜50重量%の割合で含有する酸化触媒。
- 一般式(I)
- リン、モリブデン及びアルカリ金属を含有する酸化物の原料を水に溶解或いは懸濁させた水溶液を乾燥し、次いで得られた固形物を150〜350℃で予備焼成した後、該予備焼成物にその0.2〜0.8重量倍の水及び多元酸化物を添加し、混練することを特徴とする請求項1又は2に記載の酸化触媒の製造方法。
- リン、モリブデン及びアルカリ金属を含有する酸化物の原料を水に溶解或いは懸濁させた溶液を乾燥し、次いで得られた固形物を150〜300℃で予備焼成し、該予備焼成物にその0.015〜0.1重量倍の水酸化アンモニウムを含む0.2〜0.8重量倍のアンモニア水及び多元酸化物を添加して混練処理することを特徴とする請求項1又は2に記載の酸化触媒の製造方法。
- 混練処理により得られた混練物を乾燥した後、0.1〜5容量%の酸素を含む不活性ガス中で350〜450℃の温度範囲で焼成することを特徴とする請求項3又は4に記載の酸化触媒の製造方法。
- 多元酸化物が、アンチモン原料とセリウム、ジルコニウム及びビスマスから選ばれた1種以上の原料とを、アンチモン原子に対するこれらの原子の比が0.2〜0.6となるように混合し、水を加えて混練したのち600〜1000℃で焼成して得られたものであることを特徴とする請求項3ないし5のいずれか1項に記載の酸化触媒の製造方法。
- 請求項1又は2に記載の酸化触媒の存在下、メタクロレインを気相酸化することを特徴とするメタクリル酸の製造方法。
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US10569260B2 (en) | 2016-11-16 | 2020-02-25 | Lg Chem, Ltd. | Method for preparing catalyst |
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JPH09299803A (ja) | 1997-11-25 |
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