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JP3784981B2 - 有機−無機ハイブリッド材料及びその製造方法 - Google Patents

有機−無機ハイブリッド材料及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は表面層として光触媒作用を示す材料を備える有機−無機ハイブリッド材料及びその製造方法に関する。かかる有機−無機ハイブリッド材料は、様々な臭いや汚れの除去や除菌等が要求される用途に有用な機能性材料である。
【0002】
【従来の技術】
最近、光触媒作用を有する材料である酸化チタンが消臭、防汚や抗菌、除菌材として使用されてきている。これは、酸化チタンに光が当たるとその表面にOHラジカル等の活性酸素種が生成し、それらによって表面に付着したほとんどの有機物が、最終的には二酸化炭素と水にまで分解されることを利用している。このような酸化チタンの光触媒作用は非常に強いため、酸化チタンはこれまではタイル等のセラミックスのような無機材料表面に担持させることが多かった。
【0003】
しかし今後は他の材料、例えば成形性等に優れるプラスチックや繊維等の有機材料に担持させる必要が多くなると考えられる。ところが酸化チタンは、上記したように非常に強い光触媒作用を有するため様々な不都合が生じる。すなわち、酸化チタンに接している基材部分が、その強い酸化作用のために著しい劣化を受ける。無機材料と違って、有機材料の場合にはこの劣化は耐用寿命の短縮につながる。
【0004】
これを防ぐために、酸化チタンを基材に担持するときにはこれまで、接着剤としてフッ素系樹脂やシリコン系樹脂等の難分解性樹脂を使用する方法(特開平7−171408、特開平7−265714)や酸化チタン微粒子を多孔質体に担持させる方法(特開平3−157125、特開平7−213913)が提案された。しかし、これらの方法を採っても酸化チタンと接着剤となる樹脂や基材とが接触することより、これらの材料の劣化を充分に防止できない。
【0005】
また、酸化チタン粒子を部分的にアルキルシリケートでコーティングする方法(特開平10−33988)も提案されているが、アルキルシリケートの添加量が少ないと酸化チタンと基材との接触面積が大きくなり、やはり基材の劣化を防止できない。逆にアルキルシリケートの添加量を多くすると材料中の酸化チタンの相対量が減少することによって、光触媒作用が充分に発揮されない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来の問題を解決し、表面層として光触媒作用を示す材料を備えながら、それを担持する基材が劣化しない有機−無機ハイブリッド材料、及びその製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基材と基材の表面上に順次形成された中間層と光触媒作用層とを有する有機−無機ハイブリッド材料において、該中間層が、有機重合体成分と金属酸化物成分とが共有結合して形成された有機−無機ハイブリッド高分子材料であって、表面方向に金属酸化物成分の濃度が増加する成分傾斜構造を有するもので成り、該光触媒作用層が、光触媒作用を示す金属酸化物を含む材料で成る、有機−無機ハイブリッド材料を提供するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0008】
【発明の実施の形態】
基材
基材としては、従来と同様、タイル等のセラミックスのような無機材料を用いることもできるが、有機材料を用いることもできる。例えば、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂などの汎用プラスチックス材料及びエンジニアリングプラスチックス材料等の高分子材料を用いることができる。基材の形状としては、板状の他、糸、フィルム、球状、ブロック等の各種形状の成形体であるものも含まれる。軽量で、成形が容易である有機材料を用いることが好ましい。
【0009】
中間層
中間層とは基材と光触媒作用層との中間に位置することにより光触媒作用層が基材に接触するのを防止する層をいう。中間層は光触媒作用を示さず、有機材料でなる基材と接したとしても基材の接した部分が劣化されず、また、基材及び光触媒作用層との接着性が良好な材料で形成することが好ましい。中間層を形成するのに好ましい材料は有機重合体成分と金属酸化物成分とが共有結合して形成された有機−無機ハイブリッド高分子材料である。
【0010】
有機−無機ハイブリッド高分子材料中の有機重合体成分の含有率は特に制限はないが、塗膜として有機材料の基材にコーティングする場合には、基材との密着性をより高めるために基材との接触面部分では50重量%以上であることが好ましい。また、基材の劣化を防ぐために、光触媒作用を有する材料との界面部分では有機重合体成分の含有率は0%に近いほど望ましい。言い換えれば、この界面部分では金属酸化物成分の含有率が100%に近いほど良い。
【0011】
このような有機重合体成分と金属酸化物成分との好ましい組成分布を実現するために、本発明では、中間層を形成する有機−無機ハイブリッド高分子材料の組成を、表面方向に金属酸化物成分の濃度が増加するよう調節する。本明細書では、このような厚み方向にある成分の濃度が増加又は減少する構造を成分傾斜構造という。
【0012】
成分傾斜構造としては、最終的に得られる有機−無機ハイブリッド高分子材料がミクロ的に均質でありながらかつ材料の厚み方向に有機重合体成分あるいは金属酸化物成分の含有率が連続的に変化する領域を有するものであれば良く、特に製造方法によって限定されない。
【0013】
つまり、本発明においては、有機重合体および金属酸化物の組成比が有機−無機ハイブリッド高分子材料中において厚み方向以外では均質性を保ちながら、厚み方向には連続的に変化し、表面に向かって金属酸化物の濃度が増加していることを基本とする。従って、本発明の有機−無機ハイブリッド材料は、単に不規則な凝集や相分離によって不連続的に成分濃度が異なる領域を有するものや塗装によって形成される一定成分濃度を有する均一塗膜を基材の表面に有するもの等とは異なる。
【0014】
有機−無機ハイブリッド高分子材料は、例えば、官能基として金属アルコキシド基を有する有機重合体、又は金属アルコキシド化合物と反応可能な官能基を有する有機重合体と金属アルコキシド化合物との混合物を、加水分解及び重縮合することにより得られる。
【0015】
本発明において、金属アルコキシド化合物(B)と反応可能な官能基を有する有機重合体(A)はいかなる方法で合成されたものであっても良い。
【0016】
有機重合体(A)は主骨格として有機鎖部分を有する。かかる主骨格の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル;ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリフェニレンエーテル;ポリメチルペンテン、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフタルアミド;ポリフェニレンサルファイド、ポリアリーレート、ポリイミド、ポリエーテルイミド;ポリエーテルケトン等の熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーの骨格;フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂の骨格等が挙げられる。
【0017】
有機重合体(A)は上述したような重合体や前駆体の1成分を主骨格としたものでも良く、これら多成分の共重合体骨格でも良い。また、複数種を混合したものでも良く、分岐状、線状いずれの形状でも良い。更にハロゲン化炭化水素系、エーテル系、アルコール系、非プロトン性極性溶媒のような溶剤に溶解するかまたは膨潤することが望ましく、数平均分子量は500〜50000、好ましくは1000〜15000である。
【0018】
この中でも熱可塑性樹脂が有機重合体(A)として好ましく、高性能という点ではポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリサルホン、ポリアリーレート等のエンジニアリングプラスチックがより好ましい。
【0019】
有機重合体(A)が有する官能基は金属アルコキシド化合物(B)と反応可能なものであれば良く、特に限定されないが、具体的には金属アルコキシド基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基等が挙げられ、特に金属アルコキシド基が好ましい。有機重合体(A)の官能基当量は1〜100、好ましくは1〜50、更に好ましくは2〜10である。有機重合体(A)の官能基当量が1を下回ると材料の性能が低下する可能性があり、100を上回ると材料がもろくなる可能性がある。1分子の有機重合体(A)が有する官能基は全て同一でも良く、複数種であっても良い。
【0020】
金属アルコキシド化合物(B)としては、金属酸化物とされた場合に光触媒作用を示さず、有機材料でなる基材と接したとしても接した部分が劣化されないものであれば、あらゆるタイプの化合物を用いることができる。その中でも好ましいものは、式(1)
pM 式(1)
[式中、Aは炭素数1〜8、好ましくは1〜4のアルコキシ基であり、MはSi、Zr、B、Al、Ge、Ce、Ta、Ba、Ga及びPbからなる群、好ましくはSi及びZrからなる群から選択される金属元素であり、pは2〜6の整数である。]
で表される化合物である。
【0021】
具体的には、
テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類、
テトラn−プロポキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム等のテトラアルコキシジルコニウム類、及び
ジエトキシバリウム、トリメトキシホウ素、トリエトキシガリウム、トリブトキシアルミニウム、テトラエトキシゲルマニウム、テトラブトキシ鉛、ペンタn−プロポキシタンタル等の金属アルコキシド類が挙げられる。
【0022】
金属アルコキシド化合物(B)の他の例は、式(2)
klM(R’mX)n 式(2)
[式中、Rは水素、炭素数1〜12、好ましくは1〜5のアルキル基またはフェニル基であり、Aは炭素数1〜8、好ましくは1〜4のアルコキシ基であり、MはSi、Zr、B、Al、Ge、Ce及びTaからなる群、好ましくはSi及びZrからなる群から選択される金属元素であり、R’は炭素数1〜4、好ましくは2〜4のアルキレン基またはアルキリデン基であり、Xはイソシアネート基、エポキシ基、カルボキシル基、酸ハロゲン化物基、酸無水物基、アミノ基、チオール基、ビニル基、メタクリル基、ハロゲン基等の一般的な官能基であり、kは0〜5の整数であり、lは1〜5の整数であり、mは0または1の整数であり、nは0〜5の整数である。]
で表される化合物である。
【0023】
Siを例に取り、具体的に例示すれば、
トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリn−プロポキシシラン、
ジメトキシシラン、ジエトキシシラン、ジイソプロポキシシラン、
モノメトキシシラン、モノエトキシシラン、モノブトキシシラン、
メチルジメトキシシラン、エチルジエトキシシラン、
ジメチルメトキシシラン、ジイソプロピルイソプロポキシシラン、
メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、
n−プロピルトリn−プロポキシシラン、ブチルトリブトキシシラン、
ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、
ジイソプロピルジイソプロポキシシラン、ジブチルジブトキシシラン、
トリメチルメトキシシラン、トリエチルエトキシラン、
トリn−プロピルn−プロポキシシラン、トリブチルブトキシシラン、
フェニルトリメトキシラン、ジフェニルジエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン等の(アルキル)アルコキシシラン;
3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、
2−イソシアネートエチルトリn−プロポキシシラン、
3−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、
2−イソシアネートエチルエチルジブトキシシラン、
3−イソシアネートプロピルジメチルイソプロポキシシラン、
2−イソシアネートエチルジエチルブトキシシラン、
ジ(3−イソシアネートプロピル)ジエトキシシラン、
ジ(3−イソシアネートプロピル)メチルエトキシシラン、
エトキシシラントリイソシアネート等のイソシアネート基を有する(アルキル)アルコキシシラン;
3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、
3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、
3−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、
3,4−エポキシブチルトリメトキシシラン等のエポキシ基を有する(アルキル)アルコキシシラン;
カルボキシメチルトリエトキシシラン、
カルボキシメチルエチルジエトキシシラン、
カルボキシエチルジメチルメトキシシラン等のカルボキシル基を有する(アルキル)アルコキシシラン;
3−(トリエトキシシリル)−2−メチルプロピルコハク酸無水物等の酸無水物基を有するアルコキシシラン;
2−(4−クロロスルフォニルフェニル)エチルトリエトキシシラン等の酸ハロゲン化物基を有するアルコキシシラン;
3−アミノプロピルトリメトキシシラン、
3−アミノプロピルトリエトキシシラン、
N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、
N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、
N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基を有する(アルキル)アルコキシシラン;
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、
2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、
3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のチオール基を有する(アルキル)アルコキシシラン;
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、
ビニルメチルジエトキシシラン等のビニル基を有する(アルキル)アルコキシシラン;
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、
3−メタクリロキシピロピルメチルジメチルシラン等のメタクリル基を有する(アルキル)アルコキシシラン;
トリエトキシフルオロシラン、
3−クロロプロピルトリメトキシシラン、
3−ブロモプロピルトリエトキシシラン、
2−クロロエチルメチルジメトキシシラン等のハロゲン基を有する(アルキル)アルコキシシラン;を挙げることができる。
【0024】
もちろんSiだけではなく、Zr、B、Al、Ge、Ce及びTaの金属においても、金属酸化物とされた場合に光触媒作用を示さない同様の化合物を例示することができる。
【0025】
これらの金属アルコキシド化合物(B)は1種類だけでも良く、2種以上を併用しても良い。また、Mg[Al(iso-OC3742、Ba[Zr2(OC2592、(C37O)2Zr[Al(OC3742等の1分子内に2種以上の金属元素が含まれているような金属アルコキシド化合物やテトラメトキシシランオリゴマーやテトラエトキシシランオリゴマー等の1分子内に2個以上の繰り返し単位を有するオリゴマータイプの金属アルコキシド化合物を用いても良い。また、アルコキシ基がアセトキシ基やアセチルアセトキシ基であっても良い。
【0026】
有機重合体(A)の中で官能基として水酸基、アミノ基、カルボキシル基等を有するものは、常法により金属アルコキシド(B)と反応させることができる。その結果、官能基としてより反応性が高い金属アルコキシド基を有する有機重合体が得られる。有機重合体(A)と金属アルコキシド(B)との反応方法は、例えば、特願平9−327842号の明細書第0039段落〜第0054段落に詳細に記載されている。
【0027】
中間層を基材の表面上に順次形成された第1中間層と第2中間層とからなる2重構造とし、第1中間層は、有機重合体成分と金属酸化物成分とが共有結合して形成された有機−無機ハイブリッド高分子材料であって、表面方向に金属酸化物成分の濃度が増加する成分傾斜構造を有するもので構成し、該第2中間層は、金属酸化物が架橋して形成された無機材料で構成してもよい。
【0028】
この場合は、光触媒作用層は金属酸化物で成る第2中間層と接触し、有機−無機ハイブリッド高分子材料と接触しない。従って、基材の劣化が防止されるだけでなく、有機−無機ハイブリッド高分子材料に含まれる有機鎖部分が光触媒作用層によって劣化されることも防止される。その結果、有機−無機ハイブリッド材料の耐用寿命がより延長される。
【0029】
ゾル−ゲル法による加水分解、重縮合とは、金属アルコキシド化合物あるいは金属アルコキシ基を有する重合体を水と反応させることでアルコキシ基を水酸基に変換し、次いでこの水酸基を同時進行的に重縮合させることによりヒドロキシ金属基(例えば−SiOH)を有する化合物あるいは重合体が脱水反応あるいは隣接した分子と脱アルコール反応を生じ、無機的な共有結合を介して3次元的に架橋する反応を言う。この際、重縮合反応はふたつのヒドロキシ金属基の脱水反応が最も起こりやすいが、それだけではなく、他の水酸基やアミノ基、カルボキシル基等の活性水素を有する官能基とも起こりうる。
【0030】
加水分解反応に用いられる水は、全てのアルコキシ基を水酸基に変換するために必要な量を添加しても良いし、反応系中の水分を利用したり、大気中の水分を吸湿させて行っても良い。
【0031】
反応条件としては、室温〜100℃で0.5〜24時間程度が望ましい。またその際、塩酸、硫酸、酢酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の酸性触媒や水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、トリエチルアミン、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン(DBU)等の塩基性触媒を用いても良い。
【0032】
本発明における全ての加水分解過程では強度、硬度、耐候性、耐薬品性、難燃性、帯電防止性等の機能を向上または新たに付与する目的で無機物含有量や重合体間の架橋密度を調整するためにSi、Ti、Zr、Fe、Cu、Sn、B、Al、Ge、Ce、Ta、W等の金属、金属酸化物、金属錯体や無機塩等を共存させても良い。また、ゲル化、乾燥、熱処理の際に生じる可能性があるクラックを抑制するためにホルムアミドやジメチルホルムアミド、ジオキサン、シュウ酸等を乾燥抑制剤として加えても良いし、添加物としてアセチルアセトン等を加えても良い。
【0033】
中間層の乾燥厚さは一般に0.01〜1000μm、好ましくは0.1〜100μmとする。この層厚が1000μmを上回ると層の形成に時間を要すばかりでなく、原料も多量に必要となるためコスト面で不利となり、0.01μmを下回るとピンホールが生じやすく、期待する機能が充分に発現されない恐れがある。
【0034】
また、中間層を、第1中間層と第2中間層とで成る2層構造とする場合は、第1中間層の乾燥厚さは一般に0.01〜1000μm、好ましくは0.1〜100μmとする。この層厚が1000μmを上回ると層の形成に時間を要すばかりでなく、原料も多量に必要となるためコスト面で不利となり、0.01μmを下回るとピンホールが生じやすく、期待する機能が充分に発現されない恐れがある。第2中間層の乾燥厚さは一般に0.01〜100μm、好ましくは0.1〜10μmとする。この層厚が100μmを上回ると層の亀裂が生じたり、剥離する恐れがある。0.01μmを下回るとピンホールが生じやすく、期待する機能が充分に発現されない恐れがある。
【0035】
光触媒作用層
光触媒作用層とは光触媒作用を示す材料で成る層をいう。光触媒性は強いほど良い。光触媒作用を有する材料の形状については特に制限はないが、光触媒作用を高めるためには表面積が大きいことが好ましい。例えば、光触媒作用を有する材料を粒子状とする場合は、粒径が大きすぎると基材の外観や触感を損なう可能性があるので100μm以下とすることが望ましい。また光触媒作用は微粒子ほど活性に富む傾向があることより粒径は小さくすることが望ましい。
【0036】
光触媒作用を示す材料の一例は、光触媒作用を有する金属酸化物(C)を含む材料である。金属酸化物(C)は1種類だけでも良く、2種以上を併用しても良いし、1分子内に2個以上の金属元素が含まれているようなものでも良い。更に、光触媒性を強める、機械的強度を高める、柔軟性を付与する等の目的で他の無機物を含んでも良い。
【0037】
光触媒作用層中の金属酸化物の(C)の含有量は、一般に10〜100重量%程度、好ましくは20〜100重量%程度である。金属酸化物(C)としては、酸化チタンや酸化銅(I)等を用いることが好ましい。
【0038】
酸化チタンは硫酸チタニル、四塩化チタンやチタン酸エステルを中和または加水分解する方法や四塩化チタンを気相酸化する方法等の公知の方法で得られるもので良い。アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、無定形酸化チタン、水和酸化チタン等やこれらの混合物が例示される。
【0039】
酸化銅(I)は塩化銅(I)の加水分解や酸化銅(II)や水酸化銅(II)を還元する方法等で得られる。
【0040】
金属酸化物(C)は、金属酸化物とされた場合に光触媒作用を示す金属の金属アルコキシド化合物、又はそれを含む金属アルコキシド混合物を加水分解及び重縮合させて得られる無機高分子材料であってもよい。光触媒作用を有する金属アルコキシド化合物としては、中心金属(M)としてTi、Cu等の金属元素を有する式(1)で表される金属アルコキシド化合物を用いることが好ましい。
【0041】
また他の例として、中心金属(M)としてTi、Cu等の金属元素を有する式(2)で表される金属アルコキシド化合物でもよい。
【0042】
具体的には、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラn−プロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン等のテトラアルコキシチタン類;及びジメトキシ銅、ジエトキシ銅、ジn−プロポキシ銅、ジイソプロポキシ銅、ジブトキシ銅等のジアルコキシ銅類が挙げられる。
【0043】
これらの金属アルコキシド化合物は1種類だけでも良く、2種以上を併用しても良い。また、1分子内に2種以上の金属元素が含まれているような金属アルコキシド化合物や1分子内に2個以上の繰り返し単位を有するオリゴマータイプの金属アルコキシド化合物を用いても良い。また、アルコキシ基がアセトキシ基やアセチルアセトキシ基であっても良い。
【0044】
光触媒作用層を、厚み方向で表面に向かって金属酸化物(C)の濃度が増加するような、光触媒作用を示す材料の成分傾斜構造としてもよい。その場合は、光触媒作用を示す金属酸化物の含有量は10〜100重量%、最も高い領域では50〜100重量%とすることが好ましい。
【0045】
光触媒作用層の乾燥厚さは一般に0.01〜100μm、好ましくは0.1〜10μmとする。この層厚が100μmを上回ると層の亀裂が生じたり、剥離する恐れがある。0.01μmを下回るとピンホールが生じやすく、期待する機能が充分に発現されない恐れがある。
【0046】
有機−無機ハイブリッド材料の製造
本発明の有機−無機ハイブリッド材料は、金属アルコキシド化合物と反応可能な官能基を有する有機重合体、金属アルコキシド化合物、及び光触媒作用を示す材料を主原料とし、ゾル−ゲル反応を利用して形成する。
【0047】
まず、官能基として金属アルコキシド基を有する有機重合体、又は金属アルコキシド化合物と反応可能な官能基を有する有機重合体と金属アルコキシド化合物との混合物を適当な溶媒に溶解し、場合によっては酸あるいは塩基を触媒として加え、加水分解する。次いで、表面を有する基材を提供し、基材の表面上に得られた溶液あるいは湿潤ゲルを塗布した後、溶媒の1部を蒸発させることによって中間層を形成する。この中間層は、上述のように、固形分基準で有機重合体成分が50重量%以上含まれるように組成を調節することが好ましい。
【0048】
次いで、金属アルコキシド化合物の濃度が増加するように組成比を変化させること以外は上記工程と同様にして、別の溶液あるいは湿潤ゲルを調製する。そして、上記工程で形成された塗布層の上に、この溶液あるいは湿潤ゲルを塗布する。更に、この工程を繰り返して塗布層を重ね、中間層を形成する。最終的には、湿潤ゲル、すなわち、塗布層中の有機重合体成分の含有量は固形分基準で30重量%以下、好ましくは10重量%以下にまで低減される。
【0049】
上記各塗布層及び本製造工程で溶液あるいは湿潤ゲルの塗布により形成される各層は、次の層を塗布する前に乾燥させても乾燥させなくてもよい。その上に形成される層との密着性を高めるためには乾燥は必要最低限に止めることが好ましい。乾燥させる場合は室温下で放置して乾燥させてもよいし、加熱して乾燥させてもよい。
【0050】
光触媒作用層と有機−無機ハイブリッド高分子材料との接触をも防止して、有機−無機ハイブリッド材料の耐用寿命を更に延長したい場合は、中間層の上に金属酸化物が架橋して形成された無機高分子材料で成る第2中間層を更に形成してもよい。その場合は、この中間層の表面上に、金属酸化物とされた場合に光触媒作用を示さない金属アルコキシド化合物を含む溶液あるいは湿潤ゲルを更に塗布する。
【0051】
次いで、中間層(又は第2中間層)の表面上に、光触媒作用を示す材料で成る光触媒作用層を形成する。光触媒作用を示す材料としては光触媒作用を有する金属酸化物(C)を含む材料を用いることが好ましい。光触媒作用層の形成は、例えば、金属酸化物(C)を含む金属酸化物の粉末(粒子)を揮発性溶媒に分散させ、得られる分散体を中間層の表面に塗布する方法で行いうる。また、金属酸化物(C)を含む金属酸化物の粉末(粒子)を湿潤ゲルの状態の中間層の表面に直接塗布してもよい。金属酸化物とされた場合に光触媒作用を示す金属の金属アルコキシド化合物、又はこれを含む金属アルコキシドの混合物を溶液あるいは湿潤ゲルとし、これを中間層の表面に塗布する方法で行ってもよい。
【0052】
この工程を複数回繰り返して光触媒作用層を複層構造としてもよく、その際に、例えば、金属酸化物(C)の含有率を増加させる等、光触媒作用を示す材料の組成を変化させてもよい。その場合は、厚み方向で表面に向かって金属酸化物(C)の濃度が増加するような、光触媒作用を示す材料の成分傾斜構造の光触媒作用層とすることができる。
【0053】
また、中間層あるいは光触媒作用層に成分傾斜構造を形成する他の方法として、同一出願人による同日出願である特願平11−050338号(特開2000−248065号公報)の明細書に記載されている溶液拡散法を利用してもよい。この方法を用いれば、より簡単な工程で成分傾斜構造を作製することができる。
その後、形成した層を乾燥させる。乾燥は、室温で放置することにより行ってもよいが、更に縮合反応を進め、架橋をより強固なものとしたい場合には、50〜500℃で5分〜48時間程度、熱処理を行う。
【0054】
【発明の効果】
本発明の有機−無機ハイブリッド材料は、有機重合体成分と金属酸化物成分がミクロ的に均質でありながらかつ材料の厚み方向に有機重合体成分あるいは金属酸化物成分の含有率が連続的に変化し、更に2成分が共有結合している。従って、加熱や熱衝撃および経時変化によってクラックや表層面だけの剥離やそり、ひずみ等の変形が生じない耐薬品性に優れた材料となる。また、表面層部分には光触媒作用を有する材料を備え、より一層高機能な材料となる。
【0055】
本発明の有機−無機ハイブリッド材料では無機材料が有する耐熱性、耐候性、表面硬度、剛性、耐水性、耐薬品性、耐汚染性、機械的強度、難燃性等の特性が有機重合体に良好に付与されている。逆に言えば、有機重合体が有する耐衝撃性、柔軟性、加工性及び軽量性等の特性が無機材料に良好に付与されている。
【0056】
しかも光触媒作用を有する材料を金属酸化物を用いることによって、有機材料と極めて接触し難い形で表面層部分に含有することより、基材を劣化させずに光触媒特性を最大限活用することができる。
【0057】
また、表面層に含まれる金属酸化物と共有結合することが可能であり、相互作用によって基材との接着性も極めて良好な有機重合体を表面層と基材との間に用いることによって、クラックや表層面だけの剥離等の変形が生じ難い材料とすることができる。
【0058】
本発明の有機−無機ハイブリッド材料は、表面層として光触媒作用を示す材料を備えながら、それを担持する基材の劣化が効果的に防止されている。従って、担体として有機材料を用いた場合でも有機−無機ハイブリッド材料の耐用寿命が延長される。つまり、様々な臭い、汚れの除去や除菌、防汚を目的とした高性能及び高機能プラスチック材料、プラスチック成形品もしくはフィルム、構造材料、光学材料、表面改質剤、ハードコート剤、電気もしくは電子材料、医療材料等に用いるのに適している。
【0059】
【実施例】
以下の実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0060】
合成例1
数平均分子量3900、及び水酸基当量1.8のポリカーボネートジオール70.0gをクロロホルム500mLに溶解させ、その後この溶液に3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン13.3gを添加し、還流下で10時間加熱した後、室温に冷却した。この反応液をメタノール7L中に滴下し、生成物を析出させた。析出物をろ別し、メタノールで洗浄した後、減圧乾燥した(収率97%)。
【0061】
1H−NMR測定により、得られた生成物は両末端にアルコキシシリル基が導入された両末端トリエトキシシリル化ポリカーボネート(PCS)であることを確認した。この生成物のアルコキシシリル基当量は1.8であった。またGPC分析の結果、この生成物の数平均分子量は4400であった。
【0062】
合成例2
数平均分子量5200、及び水酸基当量1.7のポリサルホンジオール26.0gをクロロホルム300mLに溶解し、その後この溶液に3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン3.5gを添加し、還流下で11時間加熱した後、室温に冷却した。この反応液をメタノール3L中に滴下し、生成物を析出させた。析出物をろ別し、メタノールで洗浄した後、減圧乾燥した(収率96%)。
【0063】
1H−NMR測定より、得られた生成物は両末端にアルコキシシリル基が導入された両末端トリエトキシシリル化ポリサルホン(PSS)であることを確認した。この生成物のアルコキシシリル基当量は1.7であった。またGPC分析の結果、この生成物の数平均分子量は6000であった。
【0064】
合成例3
数平均分子量6100、及び水酸基当量1.6のポリアリーレートジオール30.5gをクロロホルム300mLに溶解し、その後この溶液に3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン3.2gを添加し、還流下で15時間加熱した後、室温に冷却した。この反応液をメタノール3L中に滴下し、生成物を析出させた。析出物をろ別し、メタノールで洗浄した後、減圧乾燥した(収率96%)。
【0065】
1H−NMR測定より得られた生成物は両末端にアルコキシシリル基が導入された両末端トリエトキシシリル化ポリアリーレート(PAS)であることを確認した。この生成物のアルコキシシリル基当量は1.6であった。またGPC分析の結果、この生成物の数平均分子量は6700であった。
【0066】
実施例1
合成例1で作製した数平均分子量4400のPCSとテトラエトキシシラン(TEOS)を表1に示す割合で含む混合組成物をテトラヒドロフラン(THF)中で1N−塩酸水を用いて、室温下で加水分解を行ない、No.1〜4の溶液を得た。
【0067】
またTEOSと石原テクノ製の光触媒用酸化チタンST−21(平均粒径0.02μm、TiO2)を表1に示す割合で含む混合組成物をTHF中で1N−塩酸水を用いて室温下で処理を行い、No.5〜7の分散液を得た。
【0068】
【表1】
Figure 0003784981
【0069】
表1の溶液をスピンコータを用いてポリカーボネート基板にNo.1〜7の順にコーティングした。この際、ひとつの溶液を塗布した後、室温下で1分間待って次の溶液を塗布した。その後、室温下で1日放置した後、100℃で10時間熱処理を行った(フィルム厚80μm)。
【0070】
かかる操作によって、図1に示すような、ポリカーボネート基材(101)の上に第1中間層として成分傾斜架橋シリカ/PCS(102)を有し、第2中間層として架橋シリカ(103)を有し、光触媒作用層として成分傾斜架橋シリカ/酸化チタン(104)を有する有機−無機ハイブリッド材料(100)を得た。
【0071】
実施例2
表1の溶液をスピンコータを用いてポリカーボネート基板にNo.1〜4の順にコーティングした。この際、ひとつの溶液を塗布した後、室温下で1分間待って次の溶液を塗布した。
【0072】
No.4の溶液を塗布後、石原テクノ製の光触媒用酸化チタンST−21(平均粒径0.02μm、TiO2)4.0gをTHF20mlによく分散させた分散液をすぐにスピンコータでコーティングした。その後、室温下で1日放置した後、100℃で10時間熱処理を行った。
【0073】
かかる操作によって、図2に示すような、ポリカーボネート基材(201)の上に第1中間層として成分傾斜架橋シリカ/PCS(202)を有し、第2中間層として架橋シリカ(203)を有し、光触媒作用層として酸化チタン粒子(204)を有する有機−無機ハイブリッド材料(200)を得た。
【0074】
実施例3
合成例2で作製した数平均分子量6000のPSSと数平均分子量1000の三菱化学(株)製テトラメトキシシランオリゴマーMKCシリケートMS−56(TMOS)を表2に示す割合で含む混合組成物をTHF中で1N−塩酸水を用いて、室温下で加水分解を行ない、No.1〜4の溶液を得た。
【0075】
またTMOSと石原テクノ製の光触媒用酸化チタンST−21(平均粒径0.02μm、TiO2)を表2に示す割合で含む混合組成物をTHF中で1N−塩酸水を用いて室温下で処理を行い、No.5〜7の分散液を得た。
【0076】
【表2】
Figure 0003784981
【0077】
表2の溶液をスピンコータを用いてポリカーボネート基板にNo.1〜7の順にコーティングした。この際、ひとつの溶液を塗布した後、50℃下で10分間待って次の溶液を塗布した。その後、室温下で1日放置した後、100℃で10時間熱処理を行った(フィルム厚90μm)。
【0078】
かかる操作によって、ポリカーボネート基材の上に第1中間層として成分傾斜架橋シリカ/PSSを有し、第2中間層として架橋シリカを有し、光触媒作用層として成分傾斜架橋シリカ/酸化チタンを有する有機−無機ハイブリッド材料を得た。
【0079】
実施例4
合成例3で作製した数平均分子量6700のPASとTMOSを表3に示す割合で含む混合組成物をTHF中で1N−塩酸水を用いて、室温下で加水分解を行ない、No.1〜4の溶液を得た。
【0080】
またTMOSと石原テクノ製の光触媒用酸化チタンST−21(平均粒径0.02μm、TiO2)を表3に示す割合で含む混合組成物をTHF中で1N−塩酸水を用いて室温下で処理を行い、No.5の分散液を得た。
【0081】
【表3】
Figure 0003784981
【0082】
表3の溶液をスピンコータを用いてポリカーボネート基板にNo.1〜5の順にコーティングした。この際、ひとつの溶液を塗布した後、室温下で30分間待って次の溶液を塗布した。その後、室温下で1日放置した後、100℃で10時間熱処理を行った。
【0083】
かかる操作によって、ポリカーボネート基材の上に第1中間層として成分傾斜架橋シリカ/PASを有し、第2中間層として架橋シリカを有し、光触媒作用層として架橋シリカ/酸化チタンを有する有機−無機ハイブリッド材料を得た。
【0084】
実施例5
表3の溶液をスピンコータを用いてポリカーボネート基板にNo.1〜4の順にコーティングした。この際、ひとつの溶液を塗布した後、室温下で30分間待って次の溶液を塗布した。
【0085】
No.4の溶液を塗布後、石原テクノ製の光触媒用酸化チタンST−21(平均粒径0.02μm、TiO2)4.0gをTHF20mlによく分散させた分散液をすぐにスピンコータでコーティングした。その後、室温下で1日放置した後、100℃で10時間熱処理を行った。
【0086】
かかる操作によって、ポリカーボネート基材の上に第1中間層として成分傾斜架橋シリカ/PASを有し、第2中間層として架橋シリカを有し、光触媒作用層として酸化チタン粒子を有する有機−無機ハイブリッド材料を得た。
【0087】
実施例6
表1の溶液をスピンコータを用いてポリカーボネート基板にNo.1〜4の順にコーティングした後、TEOS2.0gと酸化銅(I)2.0gの混合組成物をTHF20ml中で1N−塩酸水800mgを用いて、室温下で処理した分散液を同様にスピンコータでコーティングした。この際、ひとつの溶液を塗布した後、室温下で1分間待って次の溶液を塗布した。その後、室温下で1日放置した後、100℃で10時間熱処理を行った。
【0088】
かかる操作によって、ポリカーボネート基材の上に第1中間層として成分傾斜架橋シリカ/PCSを有し、第2中間層として架橋シリカを有し、光触媒作用層として架橋シリカ/酸化銅(I)を有する有機−無機ハイブリッド材料を得た。
【0089】
実施例7
表2の溶液をスピンコータを用いてポリカーボネート基板にNo.1〜4の順にコーティングした後、TMOS1.0gと酸化銅(I)3.0gの混合組成物をTHF20ml中で1N−塩酸水400mgを用いて、室温下で処理した分散液を同様にスピンコータでコーティングした。この際、ひとつの溶液を塗布した後、50℃下で10分間待って次の溶液を塗布した。その後、室温下で1日放置した後、100℃で10時間熱処理を行った。
【0090】
かかる操作によって、ポリカーボネート基材の上に第1中間層として成分傾斜架橋シリカ/PSSを有し、第2中間層として架橋シリカを有し、光触媒作用層として架橋シリカ/酸化銅(I)を有する有機−無機ハイブリッド材料を得た。
【0091】
実施例8
表3の溶液をスピンコータを用いてポリカーボネート基板にNo.1〜4の順にコーティングした。この際、ひとつの溶液を塗布した後、室温下で30分間待って次の溶液を塗布した。No.4の溶液を塗布後、酸化銅(I)4.0gをTHF20mlによく分散させた分散液をすぐにスピンコータでコーティングした。その後、室温下で1日放置した後、100℃で10時間熱処理を行った。
【0092】
かかる操作によって、ポリカーボネート基材の上に第1中間層として成分傾斜架橋シリカ/PASを有し、第2中間層として架橋シリカを有し、光触媒作用層として酸化銅(I)粒子を有する有機−無機ハイブリッド材料を得た。
【0093】
実施例9
合成例1で作製した数平均分子量4400のPCSとTEOSを表4に示す割合で含む混合組成物をTHF中で1N−塩酸水を用いて、室温下で加水分解を行ない、No.1〜4の溶液を得た。またTEOSとテトラブトキシチタン(TBOT)をTHF中で1N−塩酸水を用いて室温下で処理を行い、これらを表4に示す割合で含むNo.5〜8の溶液を得た。
【0094】
【表4】
Figure 0003784981
【0095】
表4の溶液をスピンコータを用いてポリカーボネート基板にNo.1〜8の順にコーティングした。この際、ひとつの溶液を塗布した後、室温下で1分間待って次の溶液を塗布した。その後、室温下で1日放置した後、100℃で10時間熱処理を行った。
【0096】
かかる操作によって、ポリカーボネート基材の上に第1中間層として成分傾斜架橋シリカ/PCSを有し、第2中間層として架橋シリカを有し、光触媒作用層として成分傾斜架橋シリカ/酸化チタンを有する有機−無機ハイブリッド材料を得た。
【0097】
実施例10
表4の溶液をスピンコータを用いてポリカーボネート基板にNo.1〜4の順にコーティングした後、No.6の溶液を同様にスピンコータでコーティングした。この際、ひとつの溶液を塗布した後、室温下で1分間待って次の溶液を塗布した。その後、室温下で1日放置した後、100℃で10時間熱処理を行った。
【0098】
かかる操作によって、ポリカーボネート基材の上に第1中間層として成分傾斜架橋シリカ/PCSを有し、第2中間層として架橋シリカを有し、光触媒作用層として架橋シリカ/酸化チタンを有する有機−無機ハイブリッド材料を得た。
【0099】
実施例11
合成例2で作製した数平均分子量6000のPSSとTMOSを表5に示す割合で含む混合組成物をTHF中で1N−塩酸水を用いて、室温下で加水分解を行ない、No.1〜4の溶液を得た。
【0100】
またTMOSと数平均分子量970のテトラブトキシチタン、テトラマー(TBOTT)をTHF中で1N−塩酸水を用いて室温下で処理を行い、これらを表5に示す割合で含むNo.5〜8の溶液を得た。
【0101】
【表5】
Figure 0003784981
【0102】
表5の溶液をスピンコータを用いてポリカーボネート基板にNo.1〜8の順にコーティングした。この際、ひとつの溶液を塗布した後、50℃下で10分間待って次の溶液を塗布した。その後、室温下で1日放置した後、100℃で10時間熱処理を行った。
【0103】
かかる操作によって、ポリカーボネート基材の上に第1中間層として成分傾斜架橋シリカ/PSSを有し、第2中間層として架橋シリカを有し、光触媒作用層として成分傾斜架橋シリカ/酸化チタンを有する有機−無機ハイブリッド材料を得た。
【0104】
実施例12
表5の溶液をスピンコータを用いてポリカーボネート基板にNo.1〜4の順にコーティングした後、No.7の溶液を同様にスピンコータでコーティングした。この際、ひとつの溶液を塗布した後、50℃下で10分間待って次の溶液を塗布した。その後、室温下で1日放置した後、100℃で10時間熱処理を行った。
【0105】
かかる操作によって、ポリカーボネート基材の上に第1中間層として成分傾斜架橋シリカ/PSSを有し、第2中間層として架橋シリカを有し、光触媒作用層として架橋シリカ/酸化チタンを有する有機−無機ハイブリッド材料を得た。
【0106】
実施例13
合成例3で作製した数平均分子量6700のPASとTMOSを表6に示す割合で含む混合組成物をTHF中で1N−塩酸水を用いて、室温下で加水分解を行ない、No.1〜4の溶液を得た。またTMOSとテトライソプロポキシチタン(TIPOT)をTHF中で1N−塩酸水を用いて室温下で処理を行い、これらを表6に示す割合で含むNo.5〜8の溶液を得た。
【0107】
【表6】
Figure 0003784981
【0108】
表6の溶液をスピンコータを用いてポリカーボネート基板にNo.1〜8の順にコーティングした。この際、ひとつの溶液を塗布した後、室温下で30分間待って次の溶液を塗布した。その後、室温下で1日放置した後、100℃で10時間熱処理を行った。
【0109】
かかる操作によって、ポリカーボネート基材の上に第1中間層として成分傾斜架橋シリカ/PASを有し、第2中間層として架橋シリカを有し、光触媒作用層として成分傾斜架橋シリカ/酸化チタンを有する有機−無機ハイブリッド材料を得た。
【0110】
実施例14
表6の溶液をスピンコータを用いてポリカーボネート基板にNo.1〜4の順にコーティングした後、No.8の溶液を同様にスピンコータでコーティングした。この際、ひとつの溶液を塗布した後、室温下で30分間待って次の溶液を塗布した。その後、室温下で1日放置した後、100℃で10時間熱処理を行った。
【0111】
かかる操作によって、ポリカーボネート基材の上に第1中間層として成分傾斜架橋シリカ/PASを有し、第2中間層として架橋シリカを有し、光触媒作用層として架橋酸化チタンを有する有機−無機ハイブリッド材料を得た。
【0112】
実施例15
表4の溶液をスピンコータを用いてポリカーボネート基板にNo.1〜4の順にコーティングした。
この際、ひとつの溶液を塗布した後、室温下で1分間待って次の溶液を塗布した。次に石原テクノ製の光触媒用酸化チタンST−21(平均粒径0.02μm)を真鍋工業(株)製の3500メッシュのフィルター用金網(通過粒球子参考値4μm)を用いて、上記の湿潤ゲル上に塗布した。その後、室温下で1日放置した後、100℃で10時間熱処理を行った。
かかる操作によって、ポリカーボネート基材の上に第1中間層として成分傾斜架橋シリカ/PCSを有し、第2中間層として架橋シリカ有し、光触媒作用層として酸化チタンを有する有機−無機ハイブリッド材料を得た。
【0113】
比較例1
TEOS2.0gと平均粒子系5μmのアナターゼ型酸化チタン2.0gの混合組成物をTHF20ml中で1N−塩酸水750mgを用いて、室温下で処理した分散液をスピンコータによってポリカーボネート基板にコーティングした。
【0114】
比較例2
TMOS2.0gと酸化銅(I)2.0gの混合組成物をTHF20ml中で1N−塩酸水800mgを用いて、室温下で処理した分散液をスピンコータによってポリカーボネート基板にコーティングした。
【0115】
比較例3
テトラブトキシチタン4.0gをTHF20ml中で1N−塩酸水850mgを用いて、室温下で加水分解した溶液をスピンコータによってポリカーボネート基板にコーティングした。
【0116】
比較例4
数平均分子量4400のPCS2.0gと平均粒子系5μmのアナターゼ型酸化チタン2.0gの混合組成物をTHF30ml中で1N−塩酸水50mgを用いて、室温下で処理した分散液をスピンコータによってポリカーボネート基板にコーティングした。
【0117】
比較例5
数平均分子量4400のPCS2.0gと酸化銅(I)2.0gの混合組成物をTHF30ml中で1N−塩酸水50mgを用いて、室温下で処理した分散液をスピンコータによってポリカーボネート基板にコーティングした。
【0118】
熱衝撃試験
実施例1〜14および比較例1〜3で得られた有機−無機ハイブリッド材料を用いて熱衝撃試験を行った。試験方法としては、試験片(30×30mm)を120℃の熱風乾燥器内で30分間加熱した後、直ちに−20℃の冷凍庫内に移して30分間冷却する操作を3度繰り返し、その後のフィルムの状態を観察した。
【0119】
その結果、比較例1〜3の試験片ではクラックが生じて基板から剥離したものの、実施例1〜14の試験片は試験前と変化なく、良好な状態であった。試験結果を表4に示した。
【0120】
これらの結果より本発明の成分傾斜材料は、良好な耐熱衝撃性を有することが確認された。
【0121】
【表7】
Figure 0003784981
【0122】
碁盤目および剥離試験
実施例1〜14および比較例1〜3で得られた有機−無機ハイブリッド材料を用いて、熱衝撃試験前後における碁盤目および剥離試験を行った。試験方法としてはJIS K 5400を参考として用いた。
【0123】
まず試験片(30×30mm)にカッターナイフを用いて直交する縦横11本ずつの平行線を1mm間隔で引き、碁盤目状に100個のます目を作製した。次に、これらのます目の上に粘着テープ(ニチバン社製「セロハンテープ」)を貼り付け密着させた後、粘着テープを瞬時に引き剥がし、試験片の金属酸化物層の剥離状態を観察した。
【0124】
次いで、前述の条件で熱衝撃試験を行った。その後、再度試験片の表面に粘着テープを貼り付け密着させた後、粘着テープを瞬時に引き剥がし、試験片の金属酸化物層の剥離状態を観察した。
【0125】
その結果、比較例1〜3の試験片では熱衝撃試験前の段階でます目の大半が剥離した。これに対して、実施例1〜14の試験片では熱衝撃試験後の剥離試験でも金属酸化物層の剥離は全く観察されなかった。
【0126】
これらの結果より、本発明の有機−無機ハイブリッド材料は、室温での温和な条件下だけではなく、140℃の熱衝撃後においても良好に基材に接着していた。このことは、本発明の有機−無機ハイブリッド材料がたいへん優れた界面強度を有していることを示すものである。
【0127】
【表8】
Figure 0003784981
【0128】
ウェザーメータを用いた促進耐候性試験
実施例1〜14及び比較例4と5で得られた有機−無機ハイブリッド材料の促進耐候性試験をウェザーメータを用いて行った。試験に際しては、試験片(150×70mm)をウェザーメータで処理した後、基板の状態を目視観察した。
【0129】
試験条件はJIS D 0205に準じて設定し、平均放電電力は390W/m2とした。また、清水の噴射圧力1.0kgf/cm2、水量2000ml/分、清水の噴射時間60分中12分とし、試験時間は計400時間とした。装置はスガイ試験機(株)製WEL−75XS−HC−BEC型キセノンサンシャインロングライフウェザーメータを用いた。
【0130】
その結果、比較例4と5の試験片では基板に変色が観られたものの、実施例1〜14の試験片の基板は試験前とほとんど変わりなかった。この違いは、光触媒作用を示す材料と有機材料とが接触しているかいないかに起因していると考えられる。
【0131】
比較例4と5の試験片では酸化チタンおよび酸化銅(I)とPCSおよびポリカーボネート基板が接していたために基板の有機材料が酸化され、変色したものと考えられる。これに対して実施例1〜14の試験片では、酸化チタンおよび酸化銅(I)とPCSおよびポリカーボネート基板がシリカ層によって隔てられていたために有機材料が酸化を受けなかったと考えられる。
【0132】
これらの結果より、本発明の有機−無機ハイブリッド材料では、基材や接着剤、バインダー等の有機材料が光触媒性を有する材料から酸化を受けて劣化するという従来からの問題点が克服されていると言える。
【0133】
【表9】
Figure 0003784981
【0134】
タバコ消臭性試験
実施例1〜15で得られた有機−無機ハイブリッド材料及びポリカーボネート基板を用いてタバコ臭の消臭性試験を行った。方法としては900ml容ガラス製マヨネーズビンを入口を下にして、入口の真下に発煙している紙巻きタバコを5秒間置いた後、素早く試験片(30×30mm)を投入し、密栓した。その後、屋外の太陽光の下で1時間放置した後開封し、内部の臭いを評価した。結果を表10に示した。
【0135】
その結果、未処理のポリカーボネート基板ではタバコの残臭が確認されたものの、実施例1〜15の有機−無機ハイブリッド材料では残臭は感じられなかった。
【0136】
これらの結果より本発明の有機−無機ハイブリッド材料は、タバコ臭の消臭に対して有効なことが確認された。
【0137】
【表10】
Figure 0003784981
【0138】
アンモニア消臭性試験
実施例1〜15で得られた有機−無機ハイブリッド材料及びポリカーボネート基板を用いてアンモニアの消臭性試験を行った。方法としては、試験片(30×30mm)とガス検知管をセットしたガラス製デシケータにアンモニアガスを導入し、屋内の蛍光灯下において経時でガス濃度を測定した。結果を表11に示した。
【0139】
その結果、本発明の有機−無機ハイブリッド材料は良好なアンモニア消臭性を示した。
【0140】
【表11】
Figure 0003784981
【0141】
メチルメルカプタン消臭性試験
実施例1〜15で得られた有機−無機ハイブリッド材料及びポリカーボネート基板を用いてメチルメルカプタンの消臭性試験を行った。方法としては、試験片(30×30mm)とガス検知管をセットしたガラス製デシケータにメチルメルカプタンガスを導入し、屋内の蛍光灯下において経時でガス濃度を測定した。結果を表12に示した。
【0142】
その結果、本発明の有機−無機ハイブリッド材料は良好なメチルメルカプタン消臭性を示した。
【0143】
【表12】
Figure 0003784981

【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の有機−無機ハイブリッド材料の構造の一例を示す模式断面図である。
【図2】 本発明の有機−無機ハイブリッド材料の構造の一例を示す模式断面図である。
100、200…有機−無機ハイブリッド材料、
101、201…基材、
102、202…第1中間層、
103、203…第2中間層、
104、204…光触媒作用層。

Claims (24)

  1. 基材と基材の表面上に順次形成された中間層と光触媒作用層とを有する有機−無機ハイブリッド材料において、
    この中間層が、有機重合体成分と金属酸化物成分とが共有結合して形成された有機−無機ハイブリッド高分子材料であって、表面方向に金属酸化物成分の濃度が増加する成分傾斜構造を有するもので成り、
    この光触媒作用層が、光触媒作用を有する金属酸化物を含む材料で成る、有機−無機ハイブリッド材料
  2. 基材と基材の表面上に順次形成された第1中間層と第2中間層と光触媒作用層とを有する有機−無機ハイブリッド材料において、
    この第1中間層が、有機重合体成分と金属酸化物成分とが共有結合して形成された有機−無機ハイブリッド高分子材料であって、表面方向に金属酸化物成分の濃度が増加する成分傾斜構造を有するもので成り、
    この第2中間層が、金属酸化物が架橋して形成された無機材料で成り、
    この光触媒作用層が、光触媒作用を有する金属酸化物を含む材料で成る、有機−無機ハイブリッド材料。
  3. 前記有機重合体の主骨格が熱硬化性樹脂である請求項1又は2記載の有機−無機ハイブリッド材料。
  4. 前記有機重合体の主骨格が熱可塑性樹脂である請求項1又は2記載の有機−無機ハイブリッド材料。
  5. 前記有機重合体の主骨格がポリカーボネート、ポリアリレートまたはポリサルホンである請求項1または2記載の有機−無機ハイブリッド材料。
  6. 前記有機重合体が金属アルコキシ基、水酸基、アミノ基またはカルボキシル基からなる群から選択される官能基を少なくともひとつ有する請求項1または2記載の有機−無機ハイブリッド材料。
  7. 前記有機重合体が官能基として金属アルコキシ基を少なくともひとつ有する請求項1または2記載の有機−無機ハイブリッド材料。
  8. 前記中間層の金属酸化物が、光触媒作用を示さないものである請求項1または2記載の有機−無機ハイブリッド材料
  9. 前記中間層の金属酸化物が、酸化物となった場合に光触媒作用を示さない金属の金属アルコキシド化合物またはそれを含む金属アルコキシド混合物を加水分解および重縮合させて得られたものである請求項1または2記載の有機−無機ハイブリッド材料。
  10. 前記中間層の金属酸化物の金属元素が、SiおよびZrからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1または2記載の有機−無機ハイブリッド材料。
  11. 前記中間層の金属酸化物が、シリコンアルコキシドまたはジルコニウムアルコキシドまたは少なくともそれらのいずれかを含む混合物を加水分解および重縮合させて得られたものである請求項1または2記載の有機−無機ハイブリッド材料
  12. 前記中間層の金属酸化物の金属元素が、Siである請求項1または2記載の有機−無機ハイブリッド材料。
  13. 前記中間層の金属酸化物が、シリコンアルコキシドまたはそれを含むシリコンアルコキシド混合物を加水分解および重縮合させて得られたものである請求項1または2記載の有機−無機ハイブリッド材料。
  14. 前記光触媒作用層中、光触媒作用を示す金属酸化物の含有量が10から100重量%である請求項1または2記載の有機−無機ハイブリッド材料。
  15. 前記光触媒作用を示す金属酸化物が、酸化チタンおよび酸化銅(I)からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1または2記載の有機−無機ハイブリッド材料。
  16. 前記光触媒作用層が、光触媒作用を示す金属酸化物の粒子を含む材料でなる請求項1または2記載の有機−無機ハイブリッド材料。
  17. 前記光触媒作用層が、酸化物とされた場合に光触媒作用を示す金属の金属アルコキシド化合物またはそれを含む金属アルコキシド混合物を加水分解および重縮合させて得られる材料で成る請求項1または2記載の有機−無機ハイブリッド材料。
  18. 前記基材が有機材料である請求項1または2記載の有機−無機ハイブリッド材料。
  19. 前記光触媒作用が消臭、脱色、防汚、抗菌および除菌作用である請求項1または2記載の有機−無機ハイブリッド材料。
  20. (i)表面を有する基材を提供する工程;
    (ii)基材の表面上に、官能基として金属アルコキシド基を有する有機重合体、又は金属アルコキシド化合物と反応可能な官能基を有する有機重合体と金属アルコキシド化合物との混合物を含む溶液あるいは湿潤ゲルを塗布して塗布層を形成する工程;
    (iii)金属アルコキシド化合物の濃度が増加するように組成比を変化させた溶液あるいは湿潤ゲルを調製し、上記塗布層の表面上にこれを塗布することを少なくとも1回繰り返して、中間層を形成する工程;及び
    (iv)中間層の表面上に、光触媒作用を示す金属酸化物を含む材料で成る光触媒作用層を形成する工程;
    を包含する、有機−無機ハイブリッド材料の製造方法。
  21. (i)表面を有する基材を提供する工程;
    (ii)基材の表面上に、官能基として金属アルコキシド基を有する有機重合体、又は金属アルコキシド化合物と反応可能な官能基を有する有機重合体と金属アルコキシド化合物との混合物を含む溶液あるいは湿潤ゲルを塗布して塗布層を形成する工程;
    (iii)金属アルコキシド化合物の濃度が増加するように組成比を変化させた溶液あるいは湿潤ゲルを調製し、上記塗布層の表面上にこれを塗布することを少なくとも1回繰り返して、第1中間層を形成する工程;
    (iv)第1中間層の表面上に、金属アルコキシド化合物を含む溶液あるいは湿潤ゲルを塗布して第2中間層を形成する工程;
    (v)第2中間層の表面上に、光触媒作用を示す金属酸化物を含む材料で成る光触媒作用層を形成する工程;
    を包含する、有機−無機ハイブリッド材料の製造方法。
  22. 前記光触媒作用層が、光触媒作用を示す金属酸化物の粒子を含む材料を直接、中間層の表面に塗布して形成される請求項20または21記載の有機−無機ハイブリッド材料の製造方法。
  23. 前記光触媒作用層が、光触媒作用を示す金属酸化物の粒子を含む材料を揮発性溶媒に分散させ、得られる分散体を中間層の表面に塗布して形成される請求項20または21記載の有機−無機ハイブリッド材料の製造方法。
  24. 前記光触媒作用層が、中間層の表面上に光触媒作用を示す金属アルコキシド化合物またはその低縮合物を含む金属アルコキシド混合物の溶液あるいは湿潤ゲルを塗布して形成される請求項20または21記載の有機−無機ハイブリッド材料の製造方法。
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