JP3778763B2 - Mg基非晶質合金 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、Mg基合金に関するものである。さらに詳しくは、この発明は、高強度を有するMg基非晶質合金に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
溶融状態の合金を急冷することにより種々の組成および形状を有する非晶質合金材料が得られることが知られている。非晶質合金は、容易に高い冷却速度が実現される単ロール法によって製造される場合が多く、これまでにFe系、Ni系、Co系、Al系、あるいはMg系合金について数多くの非晶質合金材料が得られている。
【0003】
なかでも、Mg系非晶質合金はFe族系の非晶質合金に比べて低比重で軽量であり、従来のFe族系非晶質合金とは異なった新しいタイプの非晶質合金材料として種々の分野への応用が期待されている。中でも、Mgに希土類金属を添加した合金系においては、特許2705996号公報および特開平6−41703号公報に開示されているような高強度を有するMg系非晶質合金が開発されており、構造材への応用が期待されている。
【0004】
しかし、単ロール法によって作製できるMg系非晶質合金の形状は薄帯に限られており、薄帯形状のままでは応用範囲が限定されるため、棒状などのバルク材料を開発することが求められている。また、薄帯状非晶質合金では固化技術を適用して非晶質のバルク材料に加工することが容易ではなく、工業的に鋳造などの手法により目的形状がそのまま作製することが可能なMg系非晶質合金が求められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、目的形状をそのまま作製することが可能な非晶質合金は、目的形状の鋳型を用いた金型鋳造法や鍛造により作製される。しかし、金型鋳造法を用いた場合、前述した単ロール法に比べて冷却速度が小さく、単ロール法によって厚さ30μm程度のMg基非晶質合金が作製できる合金組成を用いて金型鋳造法を用いてバルク材の試作を行っても、非晶質単相からなるMg基非晶質合金のバルク材が得られないという問題点を有していた。また、鍛造を用いる場合、目的形状より大型の非晶質金属が必要であり、より大型のバルク材が得られないと加工しえないという問題点を有していた。したがって、冷却速度が遅い金型鋳造法の場合でも、容易に非晶質合金が得られる非晶質形成能に優れたMg系非晶質合金の開発が望まれていた。
【0006】
これらの問題を解決するべく、Mat. Trans. JIM, Vol. 32, No.7,pp609-616にMg−Y−Cu系非晶質合金が開示されているが、Mg−Y−Cu系非晶質合金においては、金型鋳造において4mmφまでの鋳造材しか得ることができず、大型の製品が作製できないという問題を有していた。そのため、大型の製品を作製することが可能な、非晶質形成能に優れたMg基非晶質合金の開発が強く望まれていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、これらの現状に鑑みて、冷却速度が遅い金型鋳造法の場合でも容易に非晶質合金が得られる非晶質形成能に優れたMg基非晶質合金を提供することを目的として鋭意検討を行った。その結果、Mg系合金において、Y,Ce,Laなどに加えてCu,AgおよびPdを添加し、その組成を特定することにより、非晶質形成能に優れた高強度Mg基非晶質合金が得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、原子%による組成が、組成式Mg100-a-b-c-dLnaCubAgcPdd(式中、LnはY,Ce,Laおよびミッシュメタルから選ばれる1種以上の元素または希土類元素の混合体、8≦a≦12、10≦b≦18、5≦c≦10、5≦d≦10および20≦b+c+d≦28である)により表わされ、金型鋳造法を用いて直径7mmの棒状のバルク材を鋳造した場合、非晶質単相であり、かつ圧縮破壊強度が700MPa以上であることを特徴とするMg基非晶質合金、である。
【0009】
本発明のMg基非晶質合金において、Y,Ce,Laおよびミッシュメタルから選ばれる1種以上の元素または希土類元素の混合体の含有量は5原子%以上15原子%以下、好ましくは8原子%以上12原子%以下である。本発明において、ミッシュメタルとは、Ceを主成分とする希土類金属の混合体を意味し、安価に希土類金属を用いることができるから工業的に用いられる混合物である。Y,Ce,Laおよびミッシュメタルから選ばれる1種以上の元素または希土類元素の混合体の含有量が5原子%未満あるいは15原子%を越えると、非晶質形成能が低下し、金型鋳造法を用いて5mmφ以上のバルク材を作製しても、非晶質単相のバルク材が得られない。
【0010】
さらに、Cu,AgおよびPdの含有量がそれぞれ、Cuについては、10原子%以上25原子%以下、Agについては2原子%以上15原子%以下、およびPdについては2原子%以上15原子%であり、Cu,AgおよびPdの合計の含有量が15原子%以上35原子%以下であり、好ましくは、Cuについては、10原子%以上18原子%以下、Agについては5原子%以上10原子%以下、およびPdについては5原子%以上10原子%以下、Cu,AgおよびPdの合計の含有量が20原子%以上28原子%以下である。本発明のCu,AgおよびPdの含有量が上記の範囲であると非晶質形成能がこれらの元素が1種または2種の場合より優れ、金型鋳造法により7mmφのバルク材を試作しても非晶質単相の鋳造材を得ることができる。
【0011】
本発明のMg基非晶質合金は、非晶質形成能が優れているばかりでなく、ある特定の温度範囲において、非晶質が結晶化する前に過冷却液体状態を生じる。この過冷却液体状態においては、粘性が低下し軟化するために非晶質状態を保持したままの成形および加工が容易になる。そのため、鍛造などの手法を用いて、容易に目的形状の製品に加工することができるため、本発明のMg基非晶質合金は工業的に有益である。また、本発明のMg基非晶質合金は、非晶質形成能を下げない程度にNi,Co,Al,Zn,Gaの元素を5原子%以下の範囲で添加し、強度をさらに向上させた材料を提供することができる。
【0012】
本発明のMg基非晶質合金は、例えば、金型鋳造法を用いて溶融状態から、種々の金型で冷却固化させることにより、非晶質単相からなるバルク材を得ることができるが、大型のバルク材の作製には、冷却速度が高いCu製鋳型を用いた金型鋳造が好ましく、さらには、高圧状態で鋳造が可能な高圧ダイキャスト装置を用いた金型鋳造法が好ましい。
【0013】
なお、本発明において、これらの金型鋳造法を用いる場合、従来公知の各製造法で用いられている製造条件により容易に作製することができる。例えば、母合金を、アルゴン雰囲気下において孔径0.5mm〜5.0mmのセラミックスノズルを兼ねたセラミックスルツボ中で溶融した後、アルゴン雰囲気下、噴出圧0.2〜5.0kg/cm2で溶湯をノズルからCu製の金型に噴出することにより、Mg基非晶質合金のバルク材を得ることができる。
【0014】
さらに、本発明のMg基非晶質合金は非晶質形成能に優れるため、前記以外の液体急冷法である単ロール法、双ロール法、融液抽出法等を用いても、薄帯状やフィラメント状等の種々の形状を有するMg基非晶質合金材料が容易に得られる。
【0015】
【実施例】
次に、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1〜5、参考例1〜3および比較例1〜6
表1に示す各種組成を有する合金を、アルゴン雰囲気中下、孔径2.0mmのノズルを兼ねた石英ルツボ中で溶融した後、600℃でアルゴン雰囲気下、噴出圧1.0kg/cm2でノズルから、5mmおよび7mmの径を有するCu製鋳型に溶融金属を押し出し、表1および表2の組成を有する棒状のバルク材を作製した。
【0016】
次に、作製したこれらのバルク材を円周方向に2mm幅に切断した後、X線回析法により非晶質相の同定を行った。組織の判定は、非晶質相単相が得られた状態を非晶質と判定し、非晶質と結晶質が混在する状態を結晶質と判定した。その結果を表1および表2に示す。
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】
表1および表2より明らかなように、実施例1〜5、参考例1〜3のバルク材は、5mmφのバルク材において、いずれも非晶質単相からなるMg基非晶質合金であった。これに対して、比較例1はAgまたはPdが添加されていないため5mmφのバルク材において非晶質単相が得られず、非晶質形成能が劣っていた。また、比較例2および3はYの含有量が、比較例4、5および6はCu,AgおよびPdから選択される2種以上の元素の含有量が、それぞれ本発明の組成範囲から逸脱し、5mmφのバルク材においても非晶質単相が得られず、非晶質形成能が劣っていた。
【0020】
実施例1〜5、参考例1〜3および比較例1に示す5mmφのバルク材を、8mmの長さに切断し、圧縮試験を行った。圧縮試験においては、インストロン型引張試験機により1×10-5の歪速度で試験を行って求めた。
【0021】
【表3】
【0022】
表3より明らかなごとく、比較例1はAgまたはPdを含有しないため、5mmφのバルク材では非晶質単相にならないため300MPa程度の強度しか得られず、実用に供せない。これに対し、実施例1〜5の非晶質合金は740MPaを越える強度が得られ、従来のMg基非晶質合金および参考例1〜3に比べて優れた強度を有している。
【0023】
【発明の効果】
本発明のMg基非晶質合金は非晶質形成能に優れ、単ロール法に比べて冷却速度の遅い金型鋳造法を用いても容易に非晶質単相の大型のバルク材を得ることができる。また、本発明のMg基非晶質合金は、金型を任意の形状にすることにより、種々の形状のMg基非晶質合金を提供することができる。さらに、本発明のMg基非晶質合金は、従来のMg基非晶質合金に比べて優れた強度を有しているため、種々の工業用材料に利用できる。
Claims (1)
- 原子%による組成が、組成式Mg100-a-b-c-dLnaCubAgcPdd(式中、LnはY,Ce,Laおよびミッシュメタルから選ばれる1種以上の元素または希土類元素の混合体、8≦a≦12、10≦b≦18、5≦c≦10、5≦d≦10および20≦b+c+d≦28である)により表わされ、金型鋳造法を用いて直径7mmの棒状のバルク材を鋳造した場合、非晶質単相であり、かつ圧縮破壊強度が740MPa以上であることを特徴とするMg基非晶質合金。
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