JP3767859B2 - 電池用正極活物質及び電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解二酸化マンガンからなる電池用正極活物質及びその正極活物質を用いた電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から電池用正極活物質の代表的な物質として二酸化マンガンが知られ、マンガン電池、アルカリマンガン電池などに使用されている。
【0003】
このような電池用正極活物質として用いる二酸化マンガンを得る方法としては、硫酸マンガン及び硫酸溶液を電解液として電解する方法が知られている。しかしながら、このような電解二酸化マンガンは、電池の正極活物質に用いた場合、充分な特性を有する電池が得られないため様々な改良がなされている。
【0004】
例えば、硫酸マンガン及び硫酸溶液にリン酸水溶液を添加した電解液を電解して、従来の電解二酸化マンガンと比較して高比表面積を有する電解二酸化マンガンを得る方法が開発されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、二酸化マンガンを硫酸溶液で洗浄して二酸化マンガンの電位を上げる試みがなされている。
【0006】
【特許文献1】
特開平2−57693号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
電池の正極活物質として用いる二酸化マンガンは、反応面積が大きく、かつ電位が高い方がよいとされており、電池の高性能化に伴い従来のものよりさらに高い比表面積、電位を有することが必要とされている。また、マンガン電池、アルカリマンガン電池等にはハイレート特性、ハイレートパルス特性の改善が求められている。
【0008】
しかしながら、上述した従来の電解二酸化マンガンでは充分に満足できないという問題があった。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑み、高比表面積及び高電位を有し、電池の正極活物質として用いてハイレート特性、ハイレートパルス特性等を向上させることができる電解二酸化マンガンからなる電池用正極活物質及びその正極活物質を用いた電池を提供せんとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の態様は、電解二酸化マンガン(アンモニアを0.1%以上含有する電解二酸化マンガンを除く)からなる電池用正極活物質において、前記電解二酸化マンガンは、当該電解二酸化マンガンを加熱した際の200〜400℃での重量減少が2.7重量%以上であることを特徴とする電池用正極活物質にある。
ここで、電解二酸化マンガンを加熱した際の200〜400℃での重量減少量は、二酸化マンガン内部に含まれる結合水量に比例するため、上記第1の態様は、二酸化マンガンの内部に結合水を含有する電解二酸化マンガンからなる電池用正極活物質であって、前記電解二酸化マンガンを加熱した際、200〜400℃での重量減少が2.7重量%以上、好ましくは3重量%以上となる量の結合水を含有する電解二酸化マンガンからなる電池用正極活物質と言うことができる。
【0011】
本発明者は、電解二酸化マンガンを加熱した際に重量が減少する量、その中でも特に、200〜400℃で減少する減少重量が、電池特性と密接に関連することを今回新たに見出した。電解二酸化マンガンを加熱した際に重量が減少する主要な部分は、二酸化マンガン中に含まれる水分(結合水)の蒸発分であるから、第1の態様の電池用正極活物質は、電池特性と密接に関連する水分、即ち200〜400℃の加熱範囲で蒸発する水分を多量に含有しているために、高性能の電池用正極活物質を提供することができると言える。
【0012】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記電解二酸化マンガンの比表面積が75m2/g以下であることを特徴とする電池用正極活物質にある。
【0013】
かかる第2の態様では、第1の態様において電解二酸化マンガンの比表面積が75m2/g以下であるから、実用上好ましいローレート特性、ハイレート特性及びパルス特性を示し、電池に用いた場合、電池の高性能化をバランス良く図ることができる。
【0014】
本発明の第3の態様は、第1又は2の態様の電池用正極活物質を用いたことを特徴とする電池にある。
【0015】
かかる第3の態様では、前記電解二酸化マンガンを加熱した際の、200〜400℃での重量減少が2.7重量%以上、好ましくは3重量%以上である電池用正極活物質を用いるので、優れたハイレート特性やハイレートパルス特性等を有する電池を提供することができる。
【0016】
なお、特許請求の範囲における数値範囲の上限値及び下限値は、本発明が特定する数値範囲から外れる場合であっても、当該数値範囲内と同様の作用効果を備えている限り本発明に含める意を包含する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成をさらに詳細に説明する。
【0018】
本発明の電池用正極活物質は、電解法により製造された電解二酸化マンガンであって、電解により製造された時点で水分を含有するものである。すなわち、かかる電池用正極活物質製造後に事後的に水分を添加したものとは異なり、二酸化マンガンの内部に水分が結合水として含有するものである。この結合水は加熱することにより蒸発するが、特に200〜400℃において蒸発する水分が電池特性と関連のあることを見出し、本発明に到った。
結合水が多いということは、電解二酸化マンガンの内部欠陥が多いということになり、水素イオンの拡散を容易にし、電池特性の向上に寄与しているものと推測されるが、特に200〜400℃において蒸発する水分が水素イオンの拡散に効果があるものと推測される。
【0019】
本発明の電解二酸化マンガンは、当該電解二酸化マンガンを加熱した際、即ち試料としての電解二酸化マンガンを加熱して温度を上げていった時の重量変化を測定する試験に供した際、200〜400℃での重量減少が2.7重量%以上、特に3重量%以上であることが好ましい。
200〜400℃範囲での重量減少が2.7重量%以上、特に3重量%以上であれば、電解二酸化マンガンの電池特性を顕著に向上させることができる。
なお、電解二酸化マンガンを加熱した際の200〜400℃での重量減少量は、二酸化マンガン内部に含まれる結合水の量に比例するため、上記のことは、内部に結合水を含有する電解二酸化マンガンにおいて、電解二酸化マンガンを加熱した際、200〜400℃の範囲での電解二酸化マンガンの重量減少量が2.7重量%以上、特に3重量%以上となる量の結合水を電解二酸化マンガンが含有するのが好ましいと言い換えることができる。
【0020】
本発明の電解二酸化マンガンの比表面積は、75m2/g以下、好ましくは35〜65m2/g、特に好ましくは40〜65m2/gであることが好ましい。
200〜400℃での重量減少が上記範囲である場合に、電解二酸化マンガンの比表面積が75m2/g以下であれば、実用上好ましいローレート特性、ハイレート特性及びパルス特性を示し、電池に用いた場合、電池の高性能化をバランス良く図ることができる。
中でも35〜65m2/g、即ち35m2/g以上65m2/g以下であれば、特に負荷の大きなハイレートパルス特性(下記試験4で言えばパルス特性2に対応)において優れた特性を示し、65m2/g以下であれば充填性が良好で、ローレート特性も良好であるから、電池の高性能化をより一層図ることができる。
その中でも特に比表面積が40m2/g以上であれば、電池用正極活物質として用いた場合、ハイレート特性を更に顕著に向上させることができる。
【0021】
また、本発明の電解二酸化マンガンの電位は、270〜320mV、特に310〜320mVであるのが好ましい。
即ち、200〜400℃での重量減少が上記範囲である場合に、電位が270mV以上320mV以下であれば、充分に電位が高く、電池に用いると電池の高性能化を図ることができる。
【0022】
その際、電解温度、電解電流密度、硫酸濃度を好ましい条件で行うことにより、所望の水分重量減少および比表面積の電解二酸化マンガンを得ることができる。
【0023】
例えば、電解温度は、85〜95℃、特に90〜95℃であることが好ましい。電解温度が85℃以上であれば、比表面積が高くなり過ぎることなく、電池用正極活物質として用いた場合、ローレート特性を良好とすることができる。又、95℃以下であれば比表面積が低くなり過ぎることがなく、ハイレート特性を顕著に向上させることができる。
また、電解電流密度は、20〜50A/m2、特に20〜35A/m2であるのが好ましい。電解電流密度が20A/m2以上であれば、比表面積が低くなり過ぎることがなく、電池用正極活物質として用いた時、ハイレート特性を顕著に向上させることができる。又、50A/m2以下であれば電解二酸化マンガンの水分重量減少が低下することなく、電位の低下を抑え、電池特性を好適に維持することができる。
さらに、電解液の硫酸濃度は50〜100g/L、特に75〜100g/Lであることが好ましい。硫酸濃度が50〜100g/Lの範囲内であれば電池特性を好適に維持することができる。
【0024】
他の電解の条件については、従来から知られている硫酸マンガン及び硫酸溶液からなる電解液を電解して電解二酸化マンガンを得る方法を適用すればよい。例えば、電解液中のマンガン濃度は20〜50g/Lが一般的である。また、電極として陽極にはチタン等、陰極にはカーボン等を用いることができる。
【0025】
このようにして得た本発明の電解二酸化マンガンが、当該電解二酸化マンガンを加熱した際の200〜400℃での重量減少が、2.7重量%以上、特に好ましくは3重量%以上であって、電位が270〜320mVと高く、さらに比表面積が35〜65m2/gと高ければ、高性能な電池用正極活物質となる。
【0026】
上述の電解二酸化マンガンからなる正極活物質は、マンガン電池、アルカリマンガン電池等の正極活物質として好適に用いることができる。
【0027】
電池の負極活物質は従来から知られているものでよく、特に限定されないがマンガン電池、アルカリマンガン電池の場合は亜鉛等を用いるのが好ましい。
【0028】
電池を構成する電解液も従来から知られているものでよく、特に限定されないが、マンガン電池では塩化亜鉛又は塩化アンモニウム、アルカリマンガン電池では水酸化カリウム等を用いるのが好ましい。
【0029】
本発明では、電解二酸化マンガンを加熱した際の、200〜400℃での重量減少が2.7重量%以上、特に好ましくは3重量%以上である場合に、電位を270〜320mV、特に好ましくは310〜32mVと高くすることができる。また、比表面積を75m2/g以下、好ましくは35〜65m2/g、特に好ましくは40〜65m2/gとすると、電池の正極活物質として用いた場合に電池のハイレート特性及びハイレートパルス特性を改善することができる。
【0030】
したがって、電解二酸化マンガンを加熱した際の、200〜400℃での重量減少が2.7重量%以上、特に好ましくは3重量%以上とし、且つ比表面積を75m2/g以下、特に35〜65m2/g、中でも特に40〜65m2/gとするのが好ましい。
このような電解二酸化マンガンを得るための製造条件は、上述した範囲から適宜選択すればよいが、特に85〜95℃の電解温度、20〜50A/m2の電解電流密度及び50〜100g/Lの硫酸濃度を全て満足することが必要である。
【0031】
よって、本発明に係る製造方法は、85〜95℃の電解温度、20〜50A/m2の電解電流密度、50〜100g/Lの硫酸濃度の条件で電解するのが好ましい。
【0032】
電解二酸化マンガンを加熱した際の200〜400℃での重量減少が2.7重量%以上、特に好ましくは3重量%以上であり、且つ比表面積が35〜65m2/gである正極活物質をアルカリマンガン電池に用いると、特に、電池のハイレートパルス特性を10〜20%程度向上させることができる。このようなハイレートパルス特性に優れたアルカリマンガン電池は、例えばデジタルカメラ等に好適に使用することができる。
【0033】
(実施例1)
加温装置を設けた5Lビーカーを電解槽とし、陽極としてチタン板を、陰極として黒鉛板をそれぞれ交互に懸吊し、電解槽の底部に硫酸マンガンからなる電解補強液の導入管を設けたものを使用した。この電解補給液を前記電解槽に注入しながら、電解するに際して電解液の組成がマンガン40g/L、硫酸濃度75g/Lとなるように調整し、電解浴の温度を90℃に保ち電流密度35A/m2で20日間電解した。
【0034】
電解終了後、電解二酸化マンガンが電着した陽極板を取り出し、200g/L、60℃のお湯で2時間洗浄してスラリーを得た。得られたスラリーは、NaOHを用いてpH6となるように中和し、乾燥させて実施例1の電解二酸化マンガンを得た。
【0035】
(実施例2)
電解浴の温度を85℃と低くした以外は実施例1と同様に行って、実施例2の電解二酸化マンガンを得た。
【0036】
(実施例3)
電解浴の温度を95℃と高くした以外は実施例1と同様に行って、実施例3の電解二酸化マンガンを得た。
【0037】
(実施例4)
電流密度を20A/m2と低くした以外は実施例1と同様に行って、実施例4の電解二酸化マンガンを得た。
【0038】
(実施例5)
電流密度を50A/m2と高くした以外は実施例1と同様に行って、実施例5の電解二酸化マンガンを得た。
【0039】
(実施例6)
電解液の硫酸濃度を50g/Lと低くした以外は実施例1と同様に行って、実施例6の電解二酸化マンガンを得た。
【0040】
(実施例7)
電解液の硫酸濃度を100g/Lと高くした以外は実施例1と同様に行って、実施例7の電解二酸化マンガンを得た。
【0041】
(実施例8)
電解浴の温度を80℃と低くした以外は実施例1と同様に行って、実施例8の電解二酸化マンガンを得た。
【0042】
(実施例9)
電解浴の温度を98℃と高くした以外は実施例1と同様に行って、実施例9の電解二酸化マンガンを得た。
【0043】
(実施例10)
電流密度を15A/m2と低くした以外は実施例1と同様に行って、実施例10の電解二酸化マンガンを得た。
【0044】
(実施例11)
電流密度を20A/m2と低くし、電解液の硫酸濃度を50g/Lと低くした以外は実施例1と同様に行って、実施例11の電解二酸化マンガンを得た。
【0045】
(実施例12)
電流密度を15A/m2と低くし、電解液の硫酸濃度を50g/Lと低くした以外は実施例1と同様に行って、実施例12の電解二酸化マンガンを得た。
【0046】
(実施例13)
電流密度を15A/m2と低くし、電解液の硫酸濃度を65g/Lと低くした以外は実施例1と同様に行って、実施例13の電解二酸化マンガンを得た。
【0047】
(比較例1)
電流密度を55A/m2と高くした以外は実施例1と同様に行って、比較例1の電解二酸化マンガンを得た。
【0048】
(比較例2)
電解液の硫酸濃度を45g/Lと低くした以外は実施例1と同様に行って、比較例2の電解二酸化マンガンを得た。
【0049】
(比較例3)
電解液の硫酸濃度を105g/Lと高くした以外は実施例1と同様に行って、比較例3の電解二酸化マンガンを得た。
【0050】
[試験1]
実施例1〜13及び比較例1〜3で得られた電解二酸化マンガンを加熱した際の、200〜400℃での重量減少、電解二酸化マンガンの電位及び比表面積を測定した。測定結果を表1に示す。
なお、電解二酸化マンガンを加熱した際の200〜400℃での重量減少(言い換えれば、この温度範囲で蒸発する電解二酸化マンガンの水分量)の測定は、示差熱熱量同時測定装置(Thermo Gravimetry /Differential Thermal Analyser:TG−DTA,「Mac-Science社製TG−DTA2000S」)を用いて、試料量:40mg、試料容器:アルミナ製、昇温速度:5℃/分(常温〜560℃付近まで)、サンプリングタイム:1秒、雰囲気ガス:空気(100mL/分)、標準物質:アルミナ粉、装置雰囲気温度:15〜30℃の条件下で行った。
電位の測定は、ニッケルからなる缶に圧着した電解二酸化マンガンを一昼夜水酸化カリウム水溶液中に浸漬した後、水銀/酸化水銀電極との電位差を測定した。
比表面積の測定は、窒素通気中で250℃で20分間、電解二酸化マンガンを加熱し、細孔内の水分を除去後、BET1点法で行った。
【0051】
【表1】
【0052】
表1に示すように、実施例1〜10の電解二酸化マンガンは、電解二酸化マンガンを加熱した際の200〜400℃での重量減少が3.0重量%以上であり、270〜320mVと高電位であった。
また、実施例11〜13の電解二酸化マンガンを含めると、電解二酸化マンガンを加熱した際の200〜400℃での重量減少が2.7重量%以上であり、270〜320mVと高電位であった。
実施例1〜7及び実施例11〜13の電解二酸化マンガンは、さらに、比表面積が40〜65m2/gであった。
【0053】
また、実施例1〜7及び実施例11の結果から、電解温度85〜95℃、電流密度20〜50A/m2、硫酸濃度50〜100g/Lの電解条件で製造すれば、電解二酸化マンガンを加熱した際の、200〜400℃での重量減少が2.7重量%以上、電位が270〜320mV、比表面積が40〜65m2/gの電解二酸化マンガンを得られることがわかった。
【0054】
(実施例1A〜13A)
実施例1〜13の電解二酸化マンガンを正極活物質としてLR6(単3)型のアルカリマンガン電池を作製した。ここで、電池の電解液としては濃度40%の水酸化カリウム水溶液に酸化亜鉛を飽和させたものに、ゲル化剤としてカルボメトキシセルロースとポリアクリル酸ソーダを1.0%程度加えたものを用いた。また、負極活物質として亜鉛粉末3.0gを用い、この負極活物質と上述した電解液1.5gとを混合してゲル状化したものをそのまま負極材とした。このように作製したアルカリマンガン電池の縦断面図を図1に示す。
【0055】
図1に示すように、本発明にかかるアルカリマンガン電池は、正極缶1の内側に配置された電解二酸化マンガンからなる正極活物質2と、正極活物質2の内側にセパレーター3を介して配置されたゲル状亜鉛粉末からなる負極材4とを具備する。負極材4内には負極集電体5が挿入され、この負極集電体5が正極缶1の下部を塞ぐ封口体6を貫通して当該封口体6の下方に設けられた負極底板7と接合されている。一方、正極缶1の上側には正極端子となるキャップ8が設けられている。キャップ8及び負極底板7を上下から挟む絶縁リング9、10が設けられ、これら絶縁リング9、10を介してキャップ8及び負極底板7を固定すると共に、正極缶1の外周を覆うように熱収縮性樹脂チューブ11及びこれを覆う外装缶12が設けられている。
【0056】
(比較例1A〜3A)
比較例1〜3の電解二酸化マンガンを正極活物質として、実施例1A〜13Aと同様にアルカリマンガン電池を作製した。
【0057】
[試験2]
実施例1A〜13A及び比較例1A〜3Aのアルカリマンガン電池について、20℃、放電電流100mA(ローレート)で放電を行い、カット電圧(終止電圧)0.9Vまでの放電時間(単位:hour)を測定した。
実施例9Aの値(単位:hour)を100%としてローレート特性を評価した。
【0058】
[試験3]
実施例1A〜13A及び比較例1A〜3Aのアルカリマンガン電池について、20℃、放電電流1000mA(ハイレート)で放電を行い、カット電圧(終止電圧)0.9Vまでの放電時間(単位:min)を測定した。
実施例9Aの値(単位:min)を100%としてハイレート特性を評価した。
【0059】
[試験4]
実施例1A〜13A及び比較例1A〜3Aのアルカリマンガン電池について、20℃、放電電流1000mA(ハイレート)で10秒ON、50秒OFFのパルス繰り返し放電を行い、カット電圧(終止電圧)0.9Vまでのパルス回数を測定した(パルス特性1)。
また、実施例1A〜13A及び比較例1A〜3Aのアルカリマンガン電池について、20℃、放電電流1500mA(ハイレート)で10秒ON、50秒OFFのパルス繰り返し放電を行い、カット電圧(終止電圧)0.9Vまでのパルス回数を測定した(パルス特性2)。
実施例9Aの値を100%としてハイレートパルス特性を評価した。
【0060】
試験2〜4の測定結果を表2に示す。なお、表1に記載の電解二酸化マンガンを加熱した際の、200〜400℃での重量減少量、及び比表面積についても併せて記載した。
【0061】
【表2】
【0062】
(考察)
表2に示すように、電解二酸化マンガンを加熱した際の、200〜400℃での重量減少が3重量%以上である電解二酸化マンガンを正極活物質とした実施例1A〜10Aでは、比較例1A〜3Aと比較して、概ね良好なハイレート特性及びハイレートパルス特性を示した。
また、上記200〜400℃での重量減少が2.7重量%以上である電解二酸化マンガンを正極活物質とした実施例11A〜13Aも、比較例1A〜3Aと比較して、概ね良好なハイレート特性及びハイレートパルス特性を示した。
特に、電解二酸化マンガンの比表面積が35〜65m2/gである実施例1A〜7A及び10Aは、特に負荷の高いハイレートパルス特性(パルス特性2)が良好であった。
中でも特に、電解二酸化マンガンを加熱した際の200〜400℃での重量減少が3重量%以上であり、電解二酸化マンガンの比表面積が40〜65m2/gである実施例1A〜7Aは、優れたハイレート特性及びハイレートパルス特性を示し、上記範囲外である実施例8A〜13Aと比較しても良好であった。
【0063】
表1及び表2に示すように、電解温度85〜95℃で電解した実施例1A〜3Aは、98℃で電解した実施例9Aと比較して、アルカリマンガン電池のハイレート特性は5〜10%、ハイレートパルス特性は10〜20%向上した。なお、80℃で電解した実施例8Aでは、実施例1A〜3A及び実施例9Aと比較してローレート特性が著しく低下した。
【0064】
また、電流密度20〜50A/m2で電解した実施例1A、4A及び5Aは、15A/m2で電解した実施例10Aと比較してハイレートパルス特性が10〜18%向上した。なお、55A/m2で電解した比較例1Aは、実施例1A、4A、5A及び10Aと比較して、すべての電池特性で同等以下であった。
【0065】
さらに、硫酸濃度50〜100g/Lで電解した実施例1A、6A及び7Aは、45g/Lで電解した比較例2Aと比較してハイレートパルス特性が15%向上した。なお、105g/Lで電解した比較例3Aは、実施例1A、6A及び7A、比較例2Aと比較して、すべての電池特性が劣っていた。
【0066】
したがって、実施例1A〜7Aのように、電解温度85〜95℃、電流密度20〜50A/m2、硫酸濃度50〜100g/Lの電解条件で製造して得た電解二酸化マンガン、即ち電解二酸化マンガンを加熱した際の、200〜400℃での重量減少が2.7重量%以上、好ましくは3.0重量%以上で、電位が270〜320mVで、比表面積が35〜〜65m2/g、好ましくは40〜65m2/gである電解二酸化マンガンを正極活物質とすると、ハイレート特性及びハイレートパルス特性に特に優れたアルカリマンガン電池となることが分かった。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、電解二酸化マンガンを加熱した際の、200〜400℃での重量減少が2.7重量%以上、好ましくは3重量%以上であるため、高電位の電池用正極活物質とすることができ、さらに、比表面積を35〜65m2/g、好ましくは40〜65m2/gと高くすると高性能な電池用正極活物質を提供することができる。
この電解二酸化マンガンを電池の正極活物質として用いるとハイレート特性及びハイレートパルス特性等に優れた電池を得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一例に係るアルカリマンガン電池の断面図である。
【符号の説明】
1 正極缶
2 正極活物質
3 セパレータ
4 負極材
5 負極集電体
6 封口体
7 負極底板
8 キャップ
9、10 絶縁リング
11 熱収縮性樹脂チューブ
12 外装缶
Claims (3)
- 電解二酸化マンガン(アンモニアを0.1%以上含有する電解二酸化マンガンを除く)からなる電池用正極活物質において、前記電解二酸化マンガンは、当該電解二酸化マンガンを加熱した際の200〜400℃での重量減少が2.7重量%以上であることを特徴とする電池用正極活物質。
- 前記電解二酸化マンガンの比表面積が75m2/g以下であることを特徴とする請求項1記載の電池用正極活物質。
- 請求項1又は2に記載の電池用正極活物質を用いたことを特徴とする電池。
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JP2003059726A JP3767859B2 (ja) | 2002-10-11 | 2003-03-06 | 電池用正極活物質及び電池 |
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