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JP3745223B2 - 高度耐水性接着剤組成物 - Google Patents

高度耐水性接着剤組成物 Download PDF

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JP3745223B2
JP3745223B2 JP2000394215A JP2000394215A JP3745223B2 JP 3745223 B2 JP3745223 B2 JP 3745223B2 JP 2000394215 A JP2000394215 A JP 2000394215A JP 2000394215 A JP2000394215 A JP 2000394215A JP 3745223 B2 JP3745223 B2 JP 3745223B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、木材、特に集成材の接着に用いられる耐水性接着剤組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、木材用の耐水性接着剤組成物として、ユリア−ホルムアルデヒド樹脂接着剤、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂接着剤、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂接着剤、レゾルシノール−ホルムアルデヒド樹脂接着剤等のホルムアルデヒド樹脂系接着剤が知られている。しかし、前記ホルムアルデヒド樹脂系接着剤は、遊離のホルムアルデヒドが残存しているために、該ホルムアルデヒド樹脂系接着剤を用いて接着した製品から放出されるホルムアルデヒドが環境汚染を生じるとの問題がある。
【0003】
また、前記ホルムアルデヒド樹脂系接着剤のうち、ユリア−ホルムアルデヒド樹脂接着剤、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂接着剤、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂接着剤の3種の接着剤は、接着の際に加熱圧締する必要があり、厚物材料の接着、特に集成材の接着には適していない。これに対して前記レゾルシノール−ホルムアルデヒド樹脂接着剤は前記加熱圧締は必要としないが、雰囲気温度20℃にて16時間という長時間の冷熱圧締を必要とするために、作業能率が低い。さらに、前記レゾルシノール−ホルムアルデヒド樹脂接着剤は、接着剤自身が赤褐色であり接着層が同色に着色して製品の商品価値を低減するために、用途が限定されるとの問題がある。
【0004】
前記ホルムアルデヒド樹脂系接着剤の問題を解決するために、水溶性高分子水溶液、水性ラテックス、水性エマルジョン等を主剤とし、該主剤に硬化剤としてイソシアネート化合物を配合した水性高分子−イソシアネート系接着剤組成物が知られている。前記水性高分子−イソシアネート系接着剤組成物は、ホルムアルデヒド樹脂を含まないので、遊離のホルムアルデヒドの放出による環境汚染の虞がなく、冷熱圧締が可能であり、接着層が着色することもない。
【0005】
前記水性高分子−イソシアネート系接着剤組成物として、例えば、特公昭51−30576号公報には、ポリビニルアルコールを含む水溶液または水性エマルジョンに、トリレンジイソシアネート系化合物、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート重合物等のイソシアネート化合物を配合した接着剤組成物が記載されている。また、特公昭51−30577号公報には、前記イソシアネート化合物を、該イソシアネート化合物と相溶性があり、水には不溶の疎水性有機溶剤に溶解した上で、ポリビニルアルコールを含む水溶液または水性エマルジョンに配合した接着剤組成物が記載されている。前記各公報の記載によれば、前記接着剤組成物は、ラワン材に対し短時間の冷熱圧締により十分な接着力を示すと共に、優れた耐水性、耐熱性、耐久性を示し、日本農林規格の普通合板1類に合格する合板を得ることができるとされている。
【0006】
ところが、前記イソシアネート化合物は、前記水溶液または水性エマルジョンのように水を含む溶液に直接配合すると、水と激しく反応して、著しく発泡するという性質がある。このため、特公昭51−30576号公報記載の接着剤組成物は、粘度が増加して塗布作業性が低下するばかりか、調製後、経時的に著しく接着力が低下し、使用可能な時間が短いという問題がある。
【0007】
特公昭51−30577号公報記載の接着剤組成物によれば、前記イソシアネート化合物を前記疎水性有機溶剤に溶解することにより、該イソシアネート化合物と水との反応を抑制することができ、塗布作業性を改善し、使用可能な時間を延長することができる。しかし、特公昭51−30577号公報記載の接着剤組成物は、含有する前記疎水性有機溶剤が強い臭気を含有するため、塗布作業中に該接着剤組成物から該疎水性有機溶剤が放出されたり、或いは該接着剤組成物を用いて製造された製品から該疎水性有機溶剤が放出されたときに、該臭気により環境を汚染する虞がある。
【0008】
また、前記各公報記載の接着剤組成物は、前述のように、ラワン材のような比重の小さな木材からなる合板の接着には有効であるが、カバ材等のようにラワン材より比重の大きな木材からなる集成材の接着では、集成材に関する日本農林規格の浸せきはく離試験を十分に満足できる耐水性が得られない。
【0009】
さらに、近年では、前記水性高分子−イソシアネート系接着剤組成物として、水溶性高分子水溶液、水性ラテックス、水性エマルジョン等の主剤に、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートと、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートとの50:50の混合物からなる硬化剤(例えば、住友バイエルウレタン工業株式会社製、商品名:スミジュール44V)を配合した接着剤組成物が市販されている。前記市販の接着剤組成物によれば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートをポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートに混合することにより、使用可能な時間を延長して塗布作業性を改善することができると共に、カバ材等の比重の大きな木材の集成材に対して優れた接着力を得ることができる。しかも、前記市販の接着剤組成物は、有機溶剤を含まないので、該有機溶剤の臭気による環境汚染を防止することができる。
【0010】
しかしながら、前記市販の接着剤組成物は、昨今の高度化した接着剤への要求に対し、耐水性、耐熱性及び耐久性に関して満足せしめるものではない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる不都合を解消して、カバ材等の比重の大きな木材の集成材に対して優れた接着力を得ることができ、さらに耐水性、耐熱性、耐久性にも優れた高耐水性接着剤組成物を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、本発明の高度耐水性接着剤組成物は、水溶性高分子水溶液、水性ラテックス、水性エマルジョンの1種または2種以上からなる主剤と、一般式(1)で表されるイソシアネート化合物からなる硬化剤とを含むものである。
【0013】
【化2】
Figure 0003745223
【0014】
ここで、前記主剤に対する硬化剤は、一般式(1)(但し、n=1〜8)で表されるポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、一般式(1)(但し、n=0)で表される4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを含んでいる。
【0016】
本発明の高度耐水性接着剤組成物は、前記硬化剤として、前記一般式(1)で表される他のイソシアネート化合物と共に、前記ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートを該硬化剤の全量に対して12.5〜37.5重量%の範囲で含むことにより、カバ材等の比重の大きな木材の集成材に対して、従来の市販の接着剤組成物よりもさらに優れた接着力を得ることができ、しかも優れた耐水性、耐熱性及び耐久性を得ることができる。
【0018】
前述のように、本発明の高度耐水性接着剤組成物は、前記硬化剤として、前記ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート以外のイソシアネート化合物を含んでいるが、耐水性、耐熱性、耐久性を向上させるために、特に一般式(1)(但し、n=0)で表されるイソシアネート化合物として、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを13.7〜41.3重量%の範囲で含む。
【0024】
さらに、本発明の高度耐水性接着剤組成物は、より強力な接着力を発現させるために、前記硬化剤がさらに4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを46.2〜66.9重量%の範囲で含んでいる。
【0027】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
【0028】
本実施形態の高度耐水性接着剤組成物は、水溶性高分子水溶液、水性ラテックス、水性エマルジョンの1種または2種以上からなる主剤と、一般式(1)で表されるイソシアネート化合物からなる硬化剤とを含むものである。
【0029】
【化3】
Figure 0003745223
【0030】
まず、前記主剤として用いられる水溶性高分子溶液としては、ポリビニルアルコール水溶液、澱粉水溶液、蛋白質水溶液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体水溶液、ポリアクリル酸ソーダ水溶液、ポリアクリルアミド水溶液、マレイン酸イミド共重合体水溶液等を挙げることができる。尚、ホルムアルデヒドの放出が環境上の問題とならない用途では、前記水溶性高分子溶液としてホルムアルデヒド系縮合樹脂水溶液を用いることもできる。
【0031】
また、前記主剤として用いられる水性ラテックスまたは水性エマルジョンとしては、スチレン、ブタジエン、アクリドアミド、アクリロニトリル、クロロプレン、1,3−ヘキサジエン、イソプレン、イソブテン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、エチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、エチルビニルエーテルからなる群から選ばれた1種の化合物の水性ラテックスまたは水性エマルジョン、または前記化合物群から選ばれた共重合可能な2種以上の不飽和単量体からなる水性ラテックスまたは水性エマルジョンを挙げることができる。前記水性ラテックスまたは水性エマルジョンは、カルボキシル基、N−メチロール基、N−アルコキシメチル基、グリシジル基、β−メチルグリシル基、水酸基、アミノ基、酸無水物からなる群から選ばれた反応性基の1種または2種以上を備える不飽和単量体を乳化重合させた変性ラテックスまたは変性エマルジョンであってもよい。
【0032】
本実施形態の高度耐水性接着剤組成物は、前記水溶性高分子水溶液、水性ラテックスまたは水性エマルジョンのいずれか1種を単独で、または2種以上混合して用いることができる。
【0033】
次に、前記硬化剤は、前記一般式(1)で表されるイソシアネート化合物からなり、該イソシアネート化合物は、n=1〜8の場合のポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、n=0の場合の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートまたは2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを含む。
【0034】
本実施形態の高度耐水性接着剤組成物は、杉、松等の低〜中比重木材はもちろん、ナラ、タモ、カバ等の高比重木材の接着に対し、市販の接着剤組成物より優れた接着力を得、耐水性、耐熱性、耐久性を向上させるために、前記硬化剤の全量に対して、前記ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートを12.5〜37.5重量%の範囲で含み、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを13.7〜41.3重量%の範囲で含むことが必要である。
【0038】
さらに、本実施形態の高度耐水性接着剤組成物は、よりさらに強力な接着力を発現させるために、前記範囲の量の2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートと共に、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを46.2〜66.9重量%の範囲で含む。
【0039】
本実施形態の高度耐水性接着剤組成物において、前記硬化剤は、前記主剤100重量部に対して、2〜100重量部、好ましくは3〜50重量部の範囲で配合する。
【0040】
また、本実施形態の高度耐水性接着剤組成物は、前記一般式(1)で表されるイソシアネート化合物からなる硬化剤の他、前記一般式(1)で表される以外のイソシアネート化合物を含んでいてもよい。このようなイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、フェニレンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添トリメチルキシリレンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、4,4−ジベンジルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、2,4−もしくは2,6−トリレンジイソシアネートまたはその混合物、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルエーテルジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、1,3−もしくは1,4−キシリレンジイソシアネートまたはその混合物等の芳香脂肪族ジイソシアネートを挙げることができる。
【0041】
また、前記一般式(1)で表される以外のイソシアネート化合物として、さらに、トリフェニルメタン−4,4’、4’’−トリイソシアネート等の前記ポリイソシアネート単量体から誘導されたダイマー、トリマー、ビューレット体、炭酸ガスと前記ポリイソシアネート単量体とから得られる2,4,6−オキサジリジントリオン環を有するポリイソシアネート、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、へキシレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール等の低分子量ポリオールとポリイソシアネートとの付加体、イソシアネート化合物のカルボジイミドによる変性体、或いはポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等とポリイソシアネートとの高分子ポリオール等との付加体等のNCO末端化合物及び、これらの2種以上の混合物を挙げることができる。
【0042】
また、本実施形態の高度耐水性接着剤組成物は、活性水素基を持つ化合物、例えば、ポリアミン、ポリオール等に前記一般式(1)で表されるイソシアネート化合物または前記一般式(1)で表される以外のイソシアネート化合物を過剰に混合したものを用いてもよく、過剰の前記活性水素基を持つ化合物で予めポリマー化したOH末端プレポリマーに、使用時に、前記一般式(1)で表されるイソシアネート化合物または前記一般式(1)で表される以外のイソシアネート化合物を過剰に添加して用いてもよい。
【0043】
さらに、前記活性水素基を持つ化合物と過剰のポリイソシアネートとで予めポリマー化したNCO末端プレポリマーを用いてもよい。
【0044】
本実施形態の高度耐水性接着剤組成物は、さらに充填剤、増量剤、各種添加剤を含んでもよい。前記充填剤または増量剤としては、小麦粉、大豆粉、血粉、木粉、クルミ殻粉等の有機系のもの、クレー、カオリン、ゼオライト、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、酸化アルミニウム等の無機系のもの等を挙げることができる。また、前記添加剤としては、消泡剤、防腐剤、防火剤、防蟻剤、防カビ剤、防虫剤、整泡剤、起泡剤、防錆剤、湿潤剤、濡れ性改質剤等を挙げることができ、前記添加剤のいずれか1種を単独で、または2種以上混合して、適宜添加することができる。
【0045】
本発明の高度耐水性接着剤組成物は、水性接着剤であり有機溶剤を含まないので環境を汚染する虞が無く、ポットライフが長い上、優れた耐水接着力を備え、加熱下、或いは高温多湿の環境下、長期に亘って耐水接着力を維持することができる。従って、本発明の高度耐水性接着剤組成物は、合板、LVL、突板、化粧板、集成材、パーティクルボード等の木質繊維板、家具、建具、運動具その他の木工製品製造用の木材用接着剤として好適に用いることができ、集成材用接着剤として特に好適に用いることができる。
【0046】
本発明の高度耐水性接着剤組成物は、前記木材の他、段ボール、紙、布、金属、陶磁器、ガラス、木毛板、プラスチック板(塩化ビニル樹脂板、ABS板、FRP板、スチレン樹脂板等)、無機板(アスベスト、ロックウール等の鉱物質繊維板等)、セメント系無機板(石綿スレート板、パルプセメント板、コンクリート板等)を同一素材同士、または異種の素材に対して接着する場合にも適用することができる。
【0047】
さらに、本発明の高度耐水性接着剤組成物は、コーティング用、塗料用組成物としても用いることができる。
【0048】
次に、本発明の実施例及び比較例を示す。
【0049】
【実施例1】
まず、15%ポリビニルアルコール水溶液(株式会社クラレ製、商品名:PVA217)100重量部、炭酸カルシウム(東洋ファインケミカル株式会社製、商品名:ホワイトンP−30)60重量部、ヘキサメタリン酸ソーダ0.5重量部、スチレン−ブタジエン共重合ラテックス(旭化成工業株式会社製、商品名:DL−612)100重量部を混合して主剤を調製した。
【0050】
次に、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートと2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとを、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート/2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート=45/55の重量比で含む混合物(住友バイエルウレタン工業株式会社製、商品名:スミジュールPU−0129S、以下硬化剤Aと略記する)と、前記一般式(1)で表されるポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(但し、n=1〜8)と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとを、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート/4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート=50/50の重量比で含む混合物(住友バイエルウレタン工業株式会社製、商品名:スミジュール44V、以下硬化剤Cと略記する)とを75/25の重量比で混合したものを硬化剤とし、予め35℃に加温した前記主剤100重量部に、予め同一温度に加温した該硬化剤15重量部を添加、撹拌して、接着剤組成物を調製した。従って、本実施例の接着剤組成物において、前記硬化剤の組成は、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート/2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート/4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート=12.5/41.3/46.2の重量比となっている。
【0051】
次に、前記接着剤組成物について、「JIS K−6806」に基づいて、製糊から5分間経過後と、60分間経過後との接着性能を試験した。
【0052】
前記試験では、含水率6〜8%、比重0.72〜0.75の10mm厚のカバ柾目挽板に対し、前記接着剤組成物を250g/m2塗布し、開放堆積時間20℃にて1分以内、閉鎖堆積時間20℃にて10分以内、20℃にて12kgf/cm2の圧力で24時間圧締した後、解圧し、20℃にて7日間養生したものを試験片とした。そして、前記各試験片の圧縮せん断接着強さを、常態、耐温水、煮沸繰り返しの3通りの条件で、測定した。
【0053】
試験結果を表1に示す。試験結果は、「JIS K−6806」に定める試験機により試験片が破断するまでの最大荷重を測定し、実測した接着面積で除した接着強さ(kgf/cm2)で示す。また、このとき木部において破断した面積のせん断面積に対する百分率を木部破断率(%)として、カッコ内に示す。
【0054】
ここで、「常態」とは試験片作成後、直ちに試験に供するもので、耐水性に関わらない接着力を示す。また、「耐温水」とは試験片を60±3℃の温水中に3時間浸漬した後、室温の水中に冷めるまで浸し、濡れたままの状態で試験に供するもので、耐水性及び耐熱性の指標となるものである。また、「煮沸繰り返し」とは試験片を沸騰水中に4時間浸漬した後、60±3℃の空気中で20時間乾燥し、さらに沸騰水中に4時間浸漬してから、室温の水中に冷めるまで浸し、濡れたままの状態で試験に供するもので、耐久性の指標となるものである。
【0059】
【実施例
硬化剤として、前記実施例で用いたものと同一の硬化剤Aと、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートのみからなる化合物(住友バイエルウレタン工業株式会社製、商品名:スミジュール44S、以下硬化剤Bと略記する)と、硬化剤Cとを60/15/25の重量比で混合したものを用いた以外は、実施例1と全く同一にして接着剤組成物を調製した。従って、本実施例の接着剤組成物において、前記硬化剤の組成は、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート/2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート/4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート=12.5/33.0/54.5の重量比となっている。
【0060】
次に、前記接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして接着性能を試験した。結果を表1に示す。
【0061】
【比較例1】
硬化剤として、前記実施例で用いたものと同一の硬化剤Cを単独で用いた以外は、実施例1と全く同一にして接着剤組成物を調製、製糊した。従って、本実施例の接着剤組成物において、前記硬化剤の組成は、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート/2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート/4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート=50/0/50の重量比となっている。
【0062】
次に、前記接着剤組成物について、前記実施例と全く同一にして接着性能を試験した。試験結果を表1に併せて示す。
【0069】
【実施例
硬化剤として、前記実施例で用いたものと同一の硬化剤Aと、硬化剤Bと、硬化剤Cを37.5/37.5/25の重量比で混合したものを用いた以外は、実施例1と全く同一にして接着剤組成物を調製した。従って、本実施例の接着剤組成物において、前記硬化剤の組成は、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート/2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート/4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート=12.5/20.6/66.9の重量比となっている。
【0070】
次に、前記接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして接着性能を試験した。結果を表に示す。
【0071】
【実施例
硬化剤として、前記実施例で用いたものと同一の硬化剤Aと、硬化剤Cとを50/50の重量比で混合したものを用いた以外は、実施例1と全く同一にして接着剤組成物を調製した。従って、本実施例の接着剤組成物において、前記硬化剤の組成は、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート/2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート/4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート=25.0/27.5/47.5の重量比となっている。
【0072】
次に、前記接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして接着性能を試験した。結果を表に示す。
【0074】
【実施例
硬化剤として、前記実施例で用いたものと同一の硬化剤Aと、硬化剤Cとを40/60の重量比で混合したものを用いた以外は、実施例1と全く同一にして接着剤組成物を調製した。従って、本実施例の接着剤組成物において、前記硬化剤の組成は、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート/2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート/4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート=30/22/48の重量比となっている。
【0075】
次に、前記接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして接着性能を試験した。結果を表に示す。
【0078】
【実施例
硬化剤として、前記実施例で用いたものと同一の硬化剤Aと、硬化剤Cとを25/75の重量比で混合したものを用いた以外は、実施例1と全く同一にして接着剤組成物を調製した。従って、本実施例の接着剤組成物において、前記硬化剤の組成は、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート/2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート/4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート=37.5/13.7/48.8の重量比となっている。
【0079】
次に、前記接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして接着性能を試験した。結果を表に示す。
【0080】
【実施例
硬化剤として、前記実施例で用いたものと同一の硬化剤Aと、硬化剤Bと、硬化剤Cとを25/25/50の重量比で混合したものを用いた以外は、実施例1と全く同一にして接着剤組成物を調製した。従って、本実施例の接着剤組成物において、前記硬化剤の組成は、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート/2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート/4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート=25.0/13.8/61.2の重量比となっている。
【0081】
次に、前記接着剤組成物について、実施例1と全く同一にして接着性能を試験した。結果を表に示す。
【0082】
【表1】
Figure 0003745223

【0094】
に示すように、実施例1〜7の各接着剤組成物は、常態において比較例1の接着剤組成物に比較して優れた接着力を示すばかりか、耐温水、煮沸繰り返しのいずれの条件においても、比較例1の接着剤組成物に比較して優れた接着力を示し、優れた耐水性、耐熱性、耐久性を備えていることが明らかである。

Claims (1)

  1. 水溶性高分子水溶液、水性ラテックス、水性エマルジョンの1種または2種以上からなる主剤と、
    一般式(1)で表されるイソシアネート化合物からなる硬化剤とを含む接着剤組成物であって、
    前記硬化剤の全量に対して、一般式(1)(但し、n=1〜8)で表されるポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートを12.5〜37.5重量%の範囲で含み、一般式(1)(但し、n=0)で表されるイソシアネート化合物として、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを13.7〜41.3重量%の範囲で含むと共に、一般式(1)(但し、n=0)で表されるイソシアネート化合物として、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを46.2〜66.9重量%の範囲で含むことを特徴とする高度耐水性接着剤組成物。
    Figure 0003745223
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