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JP3622342B2 - 電動車両 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、左右一対の前輪及び後輪を有する電動車輛に関し、特に一人の乗員のみが乗車する電動車両に関する。
【0002】
【従来の技術】
足腰の弱った人が移動するときには電動車椅子が利用され、またゴルフ場内での人の移動にはゴルフキャリーが利用されており、一般にこれらの車両はバッテリーを電源とする電動車両である。この種の一人乗り用電動車両の例を図9(斜視図)および図10(平面図)に示す。
【0003】
図9、図10の車両は、前後輪a,bが二輪づつあり前二輪aをハンドルcで操舵する構造になっており、乗員がハンドルcを握って回動させればハンドルポストc1が回転して前輪aが所望する操舵方向に指向する。
なお、車体の後半部の単座シート(座席)d下にはバッテリーeが搭載される。このバッテリーeを電源に後輪bは図示しないモータで駆動される。また、バッテリーeの前方には、搭乗した乗員が足を乗せる矩形の平坦なフロアgが設けられている。さらに、このフロアgの前方には、前輪aが位置し、その前輪の間には、ハンドルポストc1を保持すると共にハンドルポストc1の回転によって前輪を操舵する操舵機構が介在しており、この操舵機構及び前輪aは、前記フロアfの前端部から上方へと立ち上がる半円筒状のフェンダーhによって覆われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような電動車両を電動車椅子、あるいは一人乗り用のゴルフキャリアなどに用いるためには、車両が小型で小回りのきくものであることが重要になる。このため、各部の構成も要求される車両寸法に応じてかなり縮小化されており、フロアgも最低限の広さに抑えられているのが現状である。
従って、従来のこの種の車両においては、機動性においてはある程度の性能が得られたとしても、足を置くためのフロアが狭いため乗員によっては、つま先がフェンダーhに当たり、不自然な乗車姿勢をとることを余儀無くされるという問題が生じる。もっとも、フェンダーhの位置を前方へと移動させれば、フロアを広く設定することも可能ではあるが、その場合には前輪も共に前方へと移動させるか、あるいは前輪を左右方向へと突出させることが必要となり、これでは車両の全長あるいは車幅が増大し、車両の大型化を招くため、機動性の面での問題が生じる。
【0005】
本発明は、前記従来の問題点を解消するべくなされたものであって、機動性の高い小型な車両寸法を備えると共に、広い面積と高い剛性を有するフロアを備え、乗員が余裕をもって乗車することができる快適性に優れた電動車両の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するため次の構成を有する。
すなわち、本願請求項1記載の発明は、左右一対の前輪及び後輪を支持すると共に、一人の乗員が着座する単座シートと、前記単座シートの下方前方の乗員足乗せフロアと、前記フロアの前方に設けたハンドルの操作により操舵軸を回転させて操舵軸下端のタイロッドを介して前輪を左右に揺動させる操舵部とを支持するフレームを備えた電動車両において、前記フロアを、前記前輪より後方に位置しかつ前記左右の前輪の内縁における対向間隔以上の幅を有するメインフロア部と、前記対向間隔より狭小かつメインフロア部より狭小なる幅を有し前記メインフロア部の前方に延設したフロントフロア部とにより構成し、フレームを、前記メインフロア部の両側部に沿って前後に延びるメインフレーム部と、前記メインフレーム部の前部に前記前輪の対向間隔以下の対向間隔をもって前方上方に延びたフロントフレーム部とにより構成すると共に、前記メインフレーム部は、前記メインフロア部及び単座シートを下方から保持し、前記フロントフレーム部は乗員のハンドルへの操舵操作により回動する操舵軸とこの操舵軸の回動運動を前輪の左右方向に変換する前輪指向機構とを備えた操舵部を保持し前記操舵部は、上端部にハンドルを固定してなる操舵軸と、この操舵軸を回動自在に支持する操舵軸支持部と、前記操舵軸の回動運動を前記前輪の指向角を変更する指向運動に変換する前輪指向機構とを備え、前記操舵軸支持部は、操舵軸の中間部を回動自在に支持する上側操舵軸支持部と、前記操舵軸の下端部を回動自在に支持する下側操舵軸支持部とよりなり、前記操舵軸は、下端部近傍に左右のタイロッドを連結するタイロッド連結プレートを固定して設け、下端部を円筒状部材で構成した前記下側操舵軸支持部で回動自在に支持し、前記下側操舵軸支持部、前記前輪の支持機構、及び前輪指向機構を前記フロントフレーム部の下方に保持したことを特徴とする電動車両である。
【0007】
従って、本願請求項1記載の発明においては、メインフロアの前方にフロントフロアを延設したため、車両全体の幅を拡大することなく余裕をもって着座することができ、しかもフロントフロアは前輪の内縁より狭小となる幅に設定されているため、車幅が拡大されることもなく、車両の機動性が損なわれることもない。
また、各フロアはメインフレームとフロントフレームによって下方から支持されるため、フロア面積が拡大されてもフロアには十分な剛性を得ることができる。
【0008】
また、本願請求項1記載の発明は、前記操舵部を、上端部にハンドルを固定してなる操舵軸と、この操舵軸を回動自在に支持する操舵軸支持部と、前記操舵軸の回動運動を前記前輪の指向角を変更する指向運動に変換する前輪指向機構とを備え、前記操舵軸支持部は、操舵軸の中間部を回動自在に支持する上側操舵軸支持部と、前記操舵軸の下端部を回動自在に支持する下側操舵軸支持部とよりなり、前記下側操舵軸支持部、前記前輪の支持機構、及び前輪指向機構をフロントフレームの下方に保持したものとなっている。
【0009】
このように、下側操舵軸支持部、前輪支持機構、及び前輪指向機構などがフロントレームの下方に保持されるため、これらが、フロントフロアの設定の妨げとなることはなくなり、フロントフロアに十分な面積を容易に設定することができる。
【0010】
また、本願請求項記載の発明は、前輪の支持機構を、フロントフレームの下方に保持された支持プレート部と、この支持プレート部に固定された左右一対のサスペンションアームブラケットと、このサスペンションアームブラケットによって上下方向に揺動自在に支持されると共に前記前輪を回動自在に支持する左右一対のサスペンションアームとよりなり、前輪指向機構を、各前輪を指向方向及び回動方向において移動自在に支持する左右一対の前輪ブラケットと、操舵軸の下部に固定された連結プレートと、前記連結プレートと前記各前輪ブラケットとにそれぞれ軸着した左右一対のタイロッドとを備え、前輪の指向方向が直進方向にある時、前記連結プレートと各タイロッドとの軸着部の中心を、前記サスペンションアームの上下方向における揺動中心軸線とを一致するようにしたものとなっている。
【0011】
この本願請求項記載の発明において、サスペンションアームが上下に揺動する際には、タイロッドも共に揺動することとなるが、この際、タイロッドの軸着部の中心がサスペンションアームの揺動中心軸線と一致するため、サスペンションアームやアームブラケットに無理な力が加わることはなく、スムーズな揺動が可能となり、良好な耐久性及び寿命を得ることができる。
【0012】
また、本願請求項記載の発明においては、請求項に記載の電動車両において、構成の単純化を図るため、支持プレート部に操舵軸の下端を回動自在に支持する下側操舵軸支持部を設けたものとなっている。
【0013】
さらに、本願請求項記載の発明においては、請求項に記載の電動車両において、下側操舵軸支持部を、操舵軸の下端部を回動自在に支持する円筒部材によって形成すると共に、支持プレートを前記操舵軸と直交するよう後方から前方にかけて斜め上方へと傾斜する傾斜部を有し、かつ前記円筒部材をその中心軸線が前記傾斜部と直交するよう傾斜部に固定するようにしたため、操舵軸の組み付けが容易になると共に、前記円筒部材を溶着する場合などには作業が行い易くなる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態に係る電動四輪車の車体構造の全体説明図、図2は側面図、図3は平面図、図4は車体前部の構造を説明する側面図、図5は同斜視図、図6はフレームおよびステアリング部を説明する平面図、図7は図3に示したもののフレームの構造のみを示す平面図、図8は図7に示したものの側面図である。
【0015】
図1〜図3に示すように、この実施の形態における電動四輪車は、左右一対の前輪10,10および後輪12,12を有し、車体は主に前部のフロントボディAと後部のリアボディBとからなる。リアボディBには、乗員が一人で着席する単座シート14が設けられており、これに着席して運転を行う。
【0016】
また、図4及び図5に示すように、前記電動四輪車は、フロントボディAの構造として、前輪10,10を車両左右または前方に指向させる操舵部(ステアリング部)Cを有し、この操舵部Cは、乗員のハンドル16への操舵操作により回動する操舵軸(ステアリングシャフト)60と、この操舵軸60を回動可能に車体前部に立設する操舵軸支持部62と、前記操舵軸60の回動運動を前記前輪10,10の左右または前方向への指向運動に変換する前輪指向機構64と、操舵軸60、上側操舵軸支持部62,下側操舵軸支持部78c及び前輪指向機構64等を覆う前カバー(フロントカバー)66と、前カバー66を車体に固定するための前カバー支持部68とを有する。
そして、前記操舵軸支持部62は、車両のフロントフレーム32に固定されている。
また、前記カバー支持部68は、前記操舵軸60の前方かつ車体中央部に位置して前記操舵軸支持部62に立設し締着される。そして、前カバー66は、前記カバー支持部68の前側に支持固定される。
【0017】
また、前記車両はその前部に荷物収納籠70を有しており、この収納籠70は前カバー66を挟んで前カバー支持部68に締着固定される。
さらに、車両のメインフロア22下部に位置するメインフレーム34の前端部から、メインフレーム34より狭小な幅を有するフロントフレーム32が前方に向けてやや斜め上方に延設されていて、メインフロア22の前端部中央に前方へ向けて突出するフロントフロア23を支持しており、操舵軸支持部62は後方に傾きかつフロントフレーム32の中央よりも前方位置に溶接固定される。
【0018】
さらに実施形態を詳細に説明する。
図1〜図3に示すように、電動四輪車の車体前部には、左右の前輪10,10のほぼ中央部かつ上方位置に前輪10,10操舵用のハンドル(ティラーハンドルタイプ)16が設けられている。このハンドル16の下方のフロントボディAを覆う前記前カバー66は、前輪10,10に挟まれた幅方向中央部は前輪よりも前方に突出して車体前端部を覆い、左右側部は前輪10,10を覆うフロントフェンダー(下部がタイヤハウスになる)20,20に繋がり、上部はフロントレッグシールド18が立設して一体に形成されているものである。
【0019】
また、前記フロントボディAの左右両側部には、前記前輪10,10を覆って上方に突出するほぼ弧状にフロントフェンダー20,20がそれぞれ設けられており、前記フロントレッグシールド18の下部は左右のフロントフェンダー20,20の間に位置してかつ前部にはヘッドランプ21を収容するヘッドランプハウス21aが形成される。
また、フロントレッグシールド18のフロントフェンダー20,20に隣接する下部左右には前方かつ内側に向けて抉り込み18aが形成されていて、フロントフェンダー20上部が広く解放されるようになっている。
【0020】
フロントボディAにおいて、前輪10,10の後方には足載せ部である平坦なメインフロア22が形成されており、このメインフロア22は、直進時における左右の前輪の内縁の対向間隔以上の幅を有するものとなっている。また、このメインフロア22の前方部には、前記メインフロア22よりも狭小なフロントフロア22aが形成されており、前記前輪10,10を覆う両フェンダー20,20の間に位置している。
なお、メインフロア22の側縁部はフロントフェンダー20、20から後方につらなって山脈状に上方に突出している部分22bが形成されている。この突出部分22bにより乗員はメインフロア22上から足が外方にずれてしまうのを抑止できる。
【0021】
また、フロントレッグシールド18後面側において、前記フロントフロア23の前縁部から前方は段状に高くなって左右のフロントフェンダー20,20の各上部同士と同様位置になっており、かつ、その高くなった部分の車体幅方向中央部には操舵軸62を後方から覆う操舵軸カバー体72の下方がやや抉り込まれてほぼ箱状に立設されている。なお、このように操舵軸カバー体72の下方を抉り込んだ場合には、後面を抉り込まず操舵軸60と平行する面に形成した場合(図4中、72’にて示す)に比べて、フロントフロア23の前後方向における長さを増大させることができ、フロア面積及び足置き空間を大幅に拡大することができる。
【0022】
リアボディBはメインフロア22から後方に位置して、全体がほぼ矩形であり、前部にバッテリーをモータ駆動部24を収納するケース構造体26になっている。ケース構造体26の前部には着脱可能にバッテリー収納部のカバー体26aが設けられ、かつ、この構造体26の後部の車体左右方向側部には、後輪12,12を覆うリアフェンダー28が突出しかつ滑らかに連続して設けられる。前記ケース構造体26上部には、乗員が腰を掛ける前記単座シート14が固定あるいは回動可能に取り付けられている。
【0023】
前記電動四輪車のフロントボディAおよびリアボディB内には車体への応力を支持するフレームが設けられる。このフレームにおいては、図4〜図8に示すように、車体前部に幅狭のUの字形状をなすフロントフレーム32が、また、中央部には幅広のUの字形状のメインフレーム34が設けられており、何れもパイプ材によって構成されている。前記フロントフレーム32はU字形の基端部分が前方に向きかつ両側部先端が後方に向いて、インフレーム34の前端部に溶接固定される。
【0024】
さらに、メインフレーム34の後部には後方に向けてリアフレーム36が延びる。そして、前記メインフレーム32は前記メインフロア22の両側部及び前端部に沿った形状をなしており、メインフロア22を下方から保持し、メインフロア22に十分な剛性が得られるようになっている。なお、メイフレーム34のUの字形状で挟まれる部分であってメインフロア22の下方に位置する部分には、底板34bが溶接固定される。
前記フロントフレーム32は前記フロントフロア22aの両側部に沿った形状をなしており、フロントフロア22aを下方から保持し、フロントフロア22aにも十分な剛性が得られるようになっている。また、前記フロントフレーム32及びメインフレーム34はいずれも単純なU字形状をなすものであるため、安価に構成できると共に、高い強度及び剛性を得ることができる。
なお、この実施の形態におけるメインフレーム34は、その前端部中央が図5の34dに示すように断面長円形状に変形させてあり、その変形部分とその上方に位置するメインフロアとの間に隙間を形成し、その隙間にメインハーネスやブレーキケーブルCAを通過させるようになっている。
【0025】
さらにまた、フロントフレーム32は、フロントボディA前部、前輪10,10、操舵軸支持部62、フロントサスペンションなどを支持している。
すなわち、フロントサスペンションの支持部材として、フロントフレーム32の前後二箇所には、U字形状の前輪支持フレーム体74fと74rとがフロントフレーム32の両側部を連結するよう溶接固定されている。
【0026】
そして、その支持フレーム体74fと74rの下端部には、左右サスペンションアーム76の基端部の揺動軸76aを揺動自在に軸支する連結部78aと、各フレーム体74fおよび74rに架け渡すよう固定した屈曲した帯板材からなる支持プレート部78bと、該プレート部78bの前方部に設けられて操舵軸60の下端部を回動支持する円筒状部材からなる下側操舵軸支持部78cとが設けられたサスペションアームブラケット78が溶接により取付け固定される。
【0027】
また、前記支持プレート部78bには、後方から前方にかけて斜め上方に傾斜する傾斜部78b1が形成されており、この傾斜部材78b1上に円筒上をなす前記操舵軸支持部78cをその中心軸線が直交するよう立設固定されており、これが操舵軸60の中心軸線と一致するように設定されている。すなわち、前記傾斜部78b1が操舵軸60の中心軸線と直行するような角度に前記支持プレート部78bは屈曲形成されている。このため、操舵軸60の組み付け作業を容易に行うことができると共に、操舵軸支持部78cの形状を単純な円筒形状にすることができ、支持プレート部78bへの溶着作業も容易に行うことができるようになる。また、支持プレート部78bの屈曲形状は支持プレート部78bの耐久性を高める上でも有利である。
【0028】
また、前記サスペンションアーム76は左右のそれぞれの基端部に揺動軸76aが2カ所づつあり先端部が同一箇所に固定された二股形状になっている。そして前記サスペンションアーム76の先端部には、前輪10,10を回動自在にかつ左右に揺動可能に軸支する前輪ブラケット76bが設けられている。
【0029】
(上側操舵軸支持部62)
操舵軸60のフロア上における支持は上側操舵軸支持部62を介して行われ、この上側操舵軸支持部62は、図4〜図8に示すように、側方視でL字形状に折り曲げられたパイプ材からなり、折り曲げ部分の下辺62a1が前記フロトフレーム32の前部内側部分に端部を前方に向けて溶接されかつ折り曲げ部分の上辺62a2がフロントフレーム32にほぼ垂直上方に向いて立設された左右の支持パイプ62a,62aと、ほぼ三角形形状を呈した板材であって前方に向けて幅狭になり、該パイプ62aの上辺62a2前面部とフロントフレーム32前端部との間を繋ぐ左右の補強板62b,62bと、左右の支持パイプ62a,62aの上端部同士を繋ぐプレート板62cと、該プレート板62cに後方から締着して該プレート板62と共に操舵軸60を軸支するホルダー62dとを有している。
【0030】
また、前記左右の補強板62bと62bとの間には、ヘッドランプを取り付けるヘッドランプブラケット84の両端部が固定されると共に、両補強板62b,62bの上端部が、前カバー支持部のブラケット68bによって連結されている。このため、補強板62b,62bには両部材84及び68bによって大きな横剛性が得られる。
【0031】
また、操舵軸60は、その中央部であって、前記ホルダー62d位置よりも上方において程度の角度で折り曲げられるように(チルト可能に)、一方に長穴60aを形成して互いに2本のボルト60bで連結され、そのボルト60bのうちの一本の長穴での取付け位置を変えることにより操舵軸60上部の角度を変えることができるようになっている。
なお、以上の上側操舵軸支持部62と前記下側操舵軸支持部78cとによって操舵軸全体を支持する操舵軸支持部が構成されている。
【0032】
(前輪指向機構64)
この前輪指向機構64には、各前輪10,10を指向方向及び回動方向において移動自在に支持する左右一対の前輪ブラケット76b,76bと、前記操舵軸の60の下端部近傍に固定された連結プレート82と、前記連結プレート82と前記各前輪ブラケット76b,76bとにそれぞれ軸着した左右一対のタイロッド80とが設けられている。そして、乗員のハンドル16の操作により操舵軸60が回転し、これにより、前記タイロッド連結プレート82が揺動するとタイロッド80を介して前輪ブラケット76bが前輪10,10を揺動する。
したがって、ハンドル16の回転方向に応じて左右の前輪10,10がハンドル16の操舵方向に応じて左右または前方に指向させることができ、乗員の所望方向に電動車両を向けることができる。
【0033】
サスペンションアーム76の前輪ブラケット76b近傍とフェンダー支持フレーム38中央部との間にはコイルスプリングからなるクッションユニット76cが介装されて、乗り心地および走行安定性向上を図っている。また、この前輪指向機構64では、前記連結プレート82と各タイロッド80との軸着部の中心を、前輪10,10が直進方向に指向されている時、前記連結プレート82と各タイロッド80,80の軸着部の中心が前記サスペンションアーム76の上下方向における揺動中心軸線と一致するようになっている。
このため、前記サスペンションアーム76が上下に揺動した場合にも、前記揺動軸76aやサスペンションアーム76に無理な力が加わることもなくなり、各部材の耐久性及び寿命の向上を図ることができる。
【0034】
ここで、フロントフェンダー20の裏面部には、そのフロントフェンダー20への荷重を支持するフェンダー支持フレーム38が配設されている。該支持フレーム38は、フロントフレーム32とメインフレーム34とに溶接固定される。すなわち、図2、図3に示すように、前記支持フレーム38は、前部38a、中央部38bおよび後部38cからなる。そして、その支持フレーム38の前端部38a1がフロントフレーム32の側面部に溶接固定されて前部38aが上方に延びかつ前記フェンダー20と接する位置からフロントフェンダー20の下面部に沿って後方に延びる。さらに中央部38bで左右方向外側に向けて曲がって前記フェンダー20の外側端部に至り、後部38cはその外側端部付近からやや内側に向けて曲がって、後端部38c1がメインフレーム34の肩部34aに溶接固定される。
【0035】
ここで、図2に示すように、前記フェンダー支持フレーム38は側面視で全体が下開きのCの字形状を呈しており、その上部が側面視で前記フェンダー20の裏面に沿っている。また、前記支持フレームの前部38aの上部途中には、フロントサスペンションのクッションユニットの支持部40が形成される。また、前記支持フレーム中央部38bから後部38cにかけては平面視でLの字形状を呈して曲がり、前記フェンダー20上面の足乗せ面部20fに広く対応する形状に形成されている。このように、フェンダー支持フレーム38を設けたので、前記フロントフェンダー20の支持剛性が上がる。
【0036】
また、図3で平面視するように車体ほぼ中央部であってフロントボディAの後部のメインフロア22がある。そして、フロントボディAにおいてメインフロア22を有する車体中央部は、側縁部が車体前後に比較して抉り込まれるように凹んでいる(凹部42が形成される)。
【0037】
すなわち、前輪10,10付近のフロントフェンダー20,20の側縁部が前輪側車体最大幅Tfに部分になり、また、後輪12,12付近リアフェンダー28,28の側縁部が後輪側車体最大幅Trになっており、車体中央部幅Tcは、これらが前輪側車体最大幅Tfおよび後輪側車体最大幅Trのいずれよりも幅が狭くなっている(Tc<Tf,Tc<Tr)。さらに、車体中央部の最も幅の狭い部分の幅Tcは、前記シート14の幅Tsとほぼ一致する(Ts≒Tc)。 したがって、乗員が電動四輪車に乗車した状態で足を揃えると丁度メインフロア22からフロントフロア22aにかけて足を載せることができる。
【0038】
【発明の効果】
以上説明した通り本願請求項1記載の発明においては、メインフロアの前方に前輪の間に延出するフロントフロアを形成したため、広いフロア面積を得ることができ、乗員が余裕をもって単座シートに着席することができ、しかも各フロアは、フレームによって下面より支持されているため、高い支持剛性を得ることができる。
【0039】
また、本願請求項記載の発明は、前記操舵部の下側操舵軸支持部をフロントフレーム部の下方に保持し、前輪支持機構及び前輪指向機構などをフロントレームの下方に保持したため、前記機構がフロントフロアの設定において妨げとなることはなくなり、フロントフロアに十分な面積を容易に設定することができる。
【0040】
また、本願請求項記載の発明は、前輪支持機構において、前輪の指向方向が直進方向にある時、前記連結プレートと各タイロッドとの軸着部の中心を、前記サスペンションアームの上下方向における揺動中心軸線と一致させるようにしたものとなっているため、サスペンションアームの揺動時においてタイロッドに無理な力が加わることはなく、タイロッドの耐久性及び寿命を向上させることができる。
【0041】
また、本願請求項記載の発明においては、支持プレート部に操舵軸の下端を回動自在に支持する下側操舵軸支持部を設けたものとなっているため、構造の単純化を図ることができる。
【0042】
さらに、本願請求項記載の発明においては、操舵軸の中心軸線と直交するよう支持プレートの傾斜面を形成すると共にこの傾斜面にこれと直交するよう円筒部材を固定し、この円筒部材を操舵軸の下端部を回動自在に支持する下側操舵軸支持部としたため、容易に操舵軸を容易に組みつけることができると共に、前記円筒部材を溶着する場合などには作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施形態に係る電動四輪車の車体構造の全体説明図である。
【図2】電動四輪車の側面図である。
【図3】電動四輪車の平面図である。
【図4】電動四輪車の車体前部の構造説明をする側面図である。
【図5】電動四輪車の車体前部の斜視図である。
【図6】電動四輪車のフレームおよびステアリング部を説明する平面図である。
【図7】電動四輪車のフレームの構造のみを示す平面図である。
【図8】図7に示したもの側面図である。
【図9】従来の電動四輪車を示す斜視図である。
【図10】従来の電動四輪車の平面図である。
【符号の説明】
10,10 前輪
12,12 後輪
14 単座シート
22 メインフロア
22a フロントフロア
23 フロントフロア
32 フロントフレーム
34 メインフレーム
C 操舵部
60 操舵軸
62 操舵軸支持部
62a 上側操舵軸支持部
64 前輪指向機構
76 サスペンションアーム(前輪の支持部)
76b 前輪ブラケット
78b 支持プレート
78b1 傾斜部
78c 下側操舵軸支持部
80 タイロッド
82 連結プレート

Claims (3)

  1. 左右一対の前輪及び後輪を支持すると共に、一人の乗員が着座する単座シートと、前記単座シートの下方前方の乗員足乗せフロアと、前記フロアの前方に設けたハンドルの操作により操舵軸を回転させて操舵軸下端部のタイロッドを介して前輪を左右に揺動させる操舵部とを支持するフレームを備えた電動車両において、
    前記フロアを、前記前輪より後方に位置しかつ前記左右の前輪の内縁における対向間隔以上の幅を有するメインフロア部と、前記対向間隔より狭小かつメインフロア部より狭小なる幅を有し前記メインフロア部の前方に延設したフロントフロア部とにより構成し、
    フレームを、前記メインフロア部の両側部に沿って前後に延びるメインフレーム部と、前記メインフレーム部の前部に前記前輪の対向間隔以下の対向間隔をもって前方上方に延びたフロントフレーム部とにより構成すると共に、前記メインフレーム部は、前記メインフロア部及び単座シートを下方から保持し、前記フロントフレーム部は乗員のハンドルへの操舵操作により回動する操舵軸とこの操舵軸の回動運動を前輪の左右方向に変換する前輪指向機構とを備えた操舵部を保持し、
    前記操舵部は、上端部にハンドルを固定してなる操舵軸と、この操舵軸を回動自在に支持する操舵軸支持部と、前記操舵軸の回動運動を前記前輪の指向角を変更する指向運動に変換する前輪指向機構とを備え、
    前記操舵軸支持部は、操舵軸の中間部を回動自在に支持する上側操舵軸支持部と、前記操舵軸の下端部を回動自在に支持する下側操舵軸支持部とよりなり、
    前記操舵軸は、下端部近傍に左右のタイロッドを連結するタイロッド連結プレートを固定して設け、下端部を円筒状部材で構成した前記下側操舵軸支持部で回動自在に支持し、
    前輪の支持機構は、フロントフレームの下方に保持された支持プレート部と、この支持プレート部に固定された左右一対のサスペンションアームブラケットと、このサスペンションアームブラケットによって上下方向に揺動自在に支持されると共に前記前輪を回動自在に支持する左右一対のサスペンションアームとよりなり、
    前記前輪指向機構は、各前輪を指向方向及び回動方向において移動自在に支持する左右一対の前輪ブラケットと、操舵軸の下端部に固定された連結プレートと、前記連結プレートと前記各前輪ブラケットにそれぞれ軸着した左右一対のタイロッドとを備え、
    前輪の指向方向が直進方向にある時、前記連結プレートと各タイロッドとの軸着部の中心を、前記サスペンションアームの上下方向における揺動中心軸線と一致するようにし、
    前記下側操舵軸支持部、前記前輪の支持機構、及び前輪指向機構を前記フロントフレーム部の下方に保持したことを特徴とする電動車両。
  2. 支持プレート部に操舵軸の下端を回動自在に支持する下側操舵軸支持部を設けたことを特徴とする請求項記載の電動車両。
  3. 下側操舵軸支持部は、操舵軸の下端部を回動自在に支持する円筒部材によって形成されると共に、支持プレートは前記操舵軸と直交するよう後方から前方にかけて斜め上方へと傾斜する傾斜部を有し、前記円筒部材は、その中心軸線が前記傾斜部と直交するよう傾斜部に固定されることを特徴とする請求項記載の電動車両。
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