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JP3610992B2 - 接着性に優れたポリアリーレンスルフィド - Google Patents

接着性に優れたポリアリーレンスルフィド Download PDF

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JP3610992B2
JP3610992B2 JP14007595A JP14007595A JP3610992B2 JP 3610992 B2 JP3610992 B2 JP 3610992B2 JP 14007595 A JP14007595 A JP 14007595A JP 14007595 A JP14007595 A JP 14007595A JP 3610992 B2 JP3610992 B2 JP 3610992B2
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は接着性に優れたポリアリーレンスルフィド(以下、PASと略すことがある)及びそれを含むポリアリーレンスルフィド樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
PASは耐熱性、成形加工性に優れ、更には良好な耐薬品性、難燃性、寸法安定性等を有するため、電気・電子部品あるいは機械部品等に広く使用されている。しかし、PASは他の樹脂との接着性、特にエポキシ樹脂との接着性が比較的悪い。そのため、例えばエポキシ系接着剤によるPAS同士の接合、PASと他の材料との接合、あるいはエポキシ樹脂による電気・電子部品の封止等の際に、PASとエポキシ樹脂との接着性の悪さが問題となっていた。
【0003】
かかる問題に鑑みて、PASとエポキシ樹脂との接着性を改良する種々の試みがなされている。例えば、特開平2‐272063号公報にはカルナバワックスを含むポリフェニレンスルフィド(以下、PPSと略すことがある)樹脂組成物、特開平4‐275368号公報には繊維状及び/又は非繊維状充填剤とポリアルキレンエーテル化合物を配合してなるPPS樹脂組成物、特開平5‐171041号公報には橋かけポリアクリル酸塩等の高吸水性樹脂を含むPPS樹脂組成物、特開平6‐57136号公報には芳香族スルホン化合物、及び繊維状及び/又は非繊維状充填剤を配合してなるPPS樹脂組成物、特開平6‐107946号公報には脂肪族ポリエステル、及び繊維状及び/又は非繊維状充填剤を配合してなるPPS樹脂組成物、また、特開平6‐166816号公報にはポリ(エチレンシクロヘキサンジメチレンテレフタレート)共重合体を配合してなるPPS樹脂組成物が夫々開示されている。しかし、上記のいずれにおいても、PPSより耐熱性の低い物質を添加するため、樹脂組成物の耐熱性が低下し、更には機械的強度が著しく低下する樹脂組成物もあった。
【0004】
また、特開平4‐198267号公報には、PASとカルボキシル基含有PASとを含んでなるPAS樹脂組成物、特開平5‐25388号公報には、PASとアミノ基含有PASとを含んでなるPAS樹脂組成物、及び特開平5‐59282号公報には、PAS、アミノ基含有PAS及び他の熱可塑性樹脂を含んでなるPAS樹脂組成物が開示されている。しかし、得られたPASの接着強度はいずれも十分なものではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来のPASの持つ高い耐熱性と機械的強度に加えて、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等との接着性に優れたPASを提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、アミノ基を含有するアリーレンスルフィド単位をアリーレンスルフィド単位の全量に対して0.1〜1.8モル%含み、かつ溶融粘度V6が50〜3000ポイズであり、更にエポキシ樹脂との接着強度が60kgf/cm2以上である実質的に線状のポリアリーレンスルフィドである。
【0007】
本発明のPASにおいて、アミノ基を含有するアリーレンスルフィド単位の含有量は、アリーレンスルフィド単位の全量に対して、下限が0.1モル%、好ましくは0.2モル%、特に好ましくは0.3モル%であり、上限が1.8モル%、好ましくは1.75モル%である。該含有量が、上記下限未満ではPASの接着性が劣り、上記上限を超えてはPASの熱安定性が著しく悪く、そのため、成形時にゲル状物が発生し、成形性が極めて悪くなる。更に、該PAS中には、下記に示すPAS製造の際に添加される、例えば1,3,5‐トリクロロベンゼン、1,2,4‐トリクロロベンゼン等のポリハロ化合物に起因する単位を含むこともできる。該単位は、アリーレンスルフィド単位の全量に対して、好ましくは5.0モル%以下である。
【0008】
本発明のPASの溶融粘度Vは、上限が3000ポイズ、好ましくは1500ポイズ、特に好ましくは1000ポイズであり、下限が50ポイズ、好ましくは100ポイズ、特に好ましくは150ポイズである。上記上限を超えては、成形性が悪くなり、上記下限未満では、接着強度が低下すると共に、耐熱性や機械的強度も低下して好ましくない。ここで、溶融粘度Vは、フローテスターを用い、300℃、荷重20kgf/cm、L/D=10で6分間保持した後に測定した粘度(ポイズ)である。
【0009】
本発明のPASのエポキシ樹脂との接着強度は、60kgf/cm以上、好ましくは70kgf/cm以上である。上記値未満では、エポキシ樹脂との良好な接着性が得られないため好ましくない。ここで、エポキシ樹脂との接着強度は、下記のようにして測定した値である。PAS40重量部にガラスファイバー(チョップドストランド、繊維径10μm、繊維長3mm、集束剤としてウレタン系樹脂を用い、アミノシラン系表面処理剤で表面処理したもの)30重量部及び炭酸カルシウム(平均粒子径3.0μm、比表面積13000cm/g)30重量部を混合した後、二軸異方向回転押出機を用い320℃で混練して、ペレットを作成する。得られたペレットから、シリンダー温度320℃、金型温度130℃に設定した射出成形機により、JIS K6850に従う試験片を作成する。次いで、JIS K6850に準拠し、得られた試験片をエポキシ樹脂系接着剤[主剤(ノボラック型エポキシ樹脂)/硬化剤(アミノ系硬化剤)=100重量部/33.3重量部]を用いて90℃、30分の硬化条件で接着した後、引張速度5mm/分、チャック間距離130mmで引張試験を行い、接着強度を測定する。
【0010】
また、本発明のPASは、実質的に線状である。架橋構造を持つPASでは、接着強度が低く、かつ耐衝撃性等の機械的強度も不十分である。
【0011】
本発明のPASにおいて、アルカリ金属含有量は、好ましくは200重量ppm以下、特に好ましくは150重量ppm以下である。上記値以下とすることにより、接着強度をより高めることができるため好ましい。PAS中に含まれる該アルカリ金属は、下記に示すPAS製造の際に使用されるアルカリ金属硫化物に起因するものであり、ナトリウム、リチウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等が挙げられる。ここで、アルカリ金属含有量は、PAS粉末を700℃で燃焼し、その残渣を塩酸で溶解して、原子吸光分析計で測定して求めた値である。
【0012】
上記本発明のPASは、好ましくは下記の方法で製造することができる。
【0013】
即ち、有機アミド系溶媒中でアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを反応させてポリアリーレンスルフィドを製造する方法において、アルカリ金属硫化物に対して0.5〜5.0モル%のアミノ基含有ハロ置換芳香族化合物を、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物との反応の前の又は反応中の反応系内に添加して、反応させることにより得たポリアリーレンスルフィド(イ)のスラリーを濾過した後、得られた含溶媒濾過ケーキを非酸化性ガス雰囲気下150〜250℃の温度で加熱して溶媒を除去し、次いで水洗浄する方法、又は上記と同じに製造したポリアリーレンスルフィド(イ)を水洗浄及び酸処理する方法である。
【0014】
該方法において添加するアミノ基含有ハロ置換芳香族化合物は、アルカリ金属硫化物に対して、下限が0.5モル%であり、上限が5.0モル%、好ましくは3.5モル%である。上記下限未満では接着性が殆ど改善されない。上記上限を越えては製造したPASの熱安定性が著しく悪くなり、そのため、成形時にゲル状物が発生し、成形性が極めて悪くなる。アミノ基含有ハロ置換芳香族化合物は、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物との反応の前の又は反応中のいづれの時点でも反応系内に添加できる。好ましくは反応の前の反応系内に添加され、この際、反応系内の温度は、好ましくは120〜200℃である。また、該方法では、比較的多量のアミノ基含有ハロ置換芳香族化合物が未反応のまま反応系に残存するため、反応後これを分離回収することが好ましい。
【0015】
該方法で用いられるアミノ基含有ハロ置換芳香族化合物としては、少なくとも一の芳香族環を有し、芳香族環を形成する炭素原子のうち少なくとも一の炭素原子及び/又は芳香族環の側鎖を形成する炭素原子の少なくとも一の炭素原子にアミノ基を有しており、同時に芳香族環を形成する炭素原子のうち少なくとも二の炭素原子にハロゲン原子が結合している芳香族化合物を挙げることができる。ここで芳香族環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等を挙げることができる。これらのうちベンゼン環が好ましい。
【0016】
アミノ基含有ハロ置換芳香族化合物が2個以上の芳香族環を有する場合には、それらの芳香族環は、直接単結合で結合していてもよく、二価の基を介在して結合していてもよい。該二価の基としては、例えば酸素原子、硫黄原子、スルフィニル基、スルホニル基、カルボニル基、オキシアルキレン基、カルボニルアルキレン基、及びポリメチレン基等の二価の炭化水素残基等を挙げることができる。
【0017】
ロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子が好ましく、塩素原子が特に好ましい。
【0018】
アミノ含有ハロ置換芳香族化合物としては、特開昭62‐95320号又は特開昭62‐185717号公報に記載されているものを使用できる。例えば2,5‐ジクロロアニリン、2,6‐ジクロロアニリン、2,4‐ジクロロアニリン、2,3‐ジクロロアニリン、3,5‐ジクロロアニリン、2,4‐ジブロモアニリン、2,2´‐ジアミノ‐4,4´‐ジクロロジフェニルエーテル、2,4´‐ジアミノ‐2´,4‐ジクロロジフェニルエーテル、2,2´‐ジアミノ‐4,4´‐ジクロロジフェニルチオエーテル、2,4´‐ジアミノ‐2´,4‐ジクロロジフェニルチオエーテル、2,2´‐ジアミノ‐4,4´‐ジクロロジフェニルスルホキシド、2,4´‐ジアミノ‐2´,4‐ジクロロジフェニルスルホキシド、2,2´‐ジアミノ‐4,4´‐ジクロロジフェニルメタン、2,4´‐ジアミノ‐2´,4‐ジクロロジフェニルメタン、2,5‐ジクロロ‐4´‐アミノジフェニルエーテル、2,5‐ジブロモ‐4´‐アミノジフェニルエーテル、2,5‐ジクロロ‐4´‐アミノジフェニルチオエーテル、2,5‐ジブロモ‐4´‐アミノジフェニルチオエーテル、2,5‐ジクロロ‐4´‐アミノジフェニルスルホキシド、2,5‐ジブロモ‐4´‐アミノジフェニルスルホキシド、2,5‐ジクロロ‐4´‐アミノジフェニルメタン、2,5‐ジブロモ‐4´‐アミノジフェニルメタン等のジハロ芳香族化合物及び2,3,4‐トリクロロアニリン、2,3,5‐トリクロロアニリン、2,3,6‐トリクロロアニリン、2,4,5‐トリクロロアニリン、2,4,6‐トリクロロアニリン、3,4,5‐トリクロロアニリン、2,3,4‐トリブロモアニリン、2,3,5‐トリブロモアニリン、2,3,6‐トリブロモアニリン、2,4,5‐トリブロモアニリン、2,4,6‐トリブロモアニリン、3,4,5‐トリブロモアニリン、2,5‐ジクロロ‐4‐ブロモアニリン、2,2´‐ジアミノ‐3,4,4´‐トリクロロジフェニルエーテル、2,4´‐ジアミノ‐2´,5´,4‐トリクロロジフェニルエーテル、2,4,5‐トリクロロ‐4´‐アミノジフェニルエーテル、2,3,4‐トリクロロ‐4´‐アミノジフェニルエーテル、2,4,5‐トリブロモ‐4´‐アミノジフェニルエーテル、2,4,6‐トリブロモ‐4´‐アミノジフェニルエーテル、2,5‐ジクロロ‐6‐ブロモ‐4´‐アミノジフェニルエーテル、2,4,5‐トリクロロ‐2´‐アミノジフェニルエーテル、2,2´‐ジアミノ‐3,4,4´‐トリクロロジフェニルチオエーテル、2,4,5‐トリクロロ‐4´‐アミノチオエーテル、2,2´‐ジアミノ‐4,5,4´‐トリクロロジフェニルスルホキシド、2,4,5‐トリクロロ‐4´‐アミノジフェニルスルホキシド、2,2´‐ジアミノ‐3,4,4´‐トリクロロジフェニルメタン、2,4,5‐トリクロロ‐4´‐アミノジフェニルメタン、2,4,4´‐トリクロロ‐2´‐アミノジフェニルプロパン、3,4,4´‐トリクロロ‐3´‐アミノビフェニル等のトリハロ芳香族化合物及び2,3,4,5‐テトラクロロアニリン、2,3,5,6‐テトラクロロアニリン、テトラクロロアミノジフェニルエーテル、テトラクロロアミノジフェニルチオエーテル等のポリハロ芳香族化合物が挙げられる。
【0019】
該方法において使用する有機アミド系溶媒は、PAS重合のために知られており、たとえばN‐メチルピロリドン(NMP)、N,N‐ジメチルホルムアミド、N,N‐ジメチルアセトアミド、N‐メチルカプロラクタム等、及びこれらの混合物を使用でき、NMPが好ましい。これらは全て、水よりも低い蒸気圧を持つ。
【0020】
アルカリ金属硫化物も公知であり、たとえば、硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウム及びこれらの混合物である。これらの水和物及び水溶液であっても良い。又、これらにそれぞれ対応する水硫化物及び水和物を、それぞれに対応する水酸化物で中和して用いることができる。安価な硫化ナトリウムが好ましい。
【0021】
ジハロ芳香族化合物は、たとえば特公昭45‐3368号公報記載のものから選ぶことができるが、好ましくはp‐ジクロロベンゼンである。又、少量(20モル%以下)のジフェニルエーテル、ジフェニルスルホン又はビフェニルのパラ、メタ又はオルトジハロ物を1種類以上用いて共重合体を得ることができる。例えば、m‐ジクロロベンゼン、o‐ジクロロベンゼン、p,p´‐ジクロロジフェニルエーテル、m,p´‐ジクロロジフェニルエーテル、m,m´‐ジクロロジフェニルエーテル、p,p´‐ジクロロジフェニルスルホン、m,p´‐ジクロロジフェニルスルホン、m,m´‐ジクロロジフェニルスルホン、p,p´‐ジクロロビフェニル、m,p´‐ジクロロビフェニル、m,m´‐ジクロロビフェニルである。
【0022】
有機アミド溶媒中でのアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物との反応自体は、公知の通りに行うことができる。該反応中に、反応缶の気相部分を冷却することにより反応缶内の気相の一部を凝縮させ、これを液相に還流せしめることが好ましい。これにより、生成したPASの解重合を回避できると共に、一層高分子量のPASを製造することが可能となる。
【0023】
反応缶の気相部分を冷却することにより反応缶内の気相の一部を凝縮させ、これを液相に還流せしめる方法としては、特開平5‐222196号公報に記載の方法を使用することができる。
【0024】
還流される液体は、水とアミド系溶媒の蒸気圧差の故に、液相バルクに比較して水含有率が高い。この水含有率の高い還流液は、反応溶液上部に水含有率の高い層を形成する。その結果、残存のアルカリ金属硫化物(例えばNaS)、ハロゲン化アルカリ金属(例えばNaCl)、オリゴマー等が、その層に多く含有されるようになる。従来法においては230℃以上の高温下で、生成したPASとNaS等の原料及び副生成物とが均一に混じりあった状態では、高分子量のPASが得られないばかりでなく、せっかく生成したPASの解重合も生じ、チオフェノールの副生成が認められる。しかし、本発明では、反応缶の気相部分を積極的に冷却して、水分に富む還流液を多量に液相上部に戻してやることによって上記の不都合な現象が回避でき、反応を阻害するような因子を真に効率良く除外でき、高分子量PASを得ることができるものと思われる。但し、本発明は上記現象による効果のみにより限定されるものではなく、気相部分を冷却することによって生じる種々の影響によって、高分子量のPASが得られるのである。
【0025】
該方法においては、従来法のように反応の途中で水を添加することを要しない。しかし、水を添加することを全く排除するものではない。但し、水を添加する操作を行えば、本発明の利点のいくつかは失われる。従って、好ましくは、重合反応系内の全水分量は反応の間中一定である。
【0026】
反応缶の気相部分の冷却は、外部冷却でも内部冷却でも可能であり、自体公知の冷却手段により行える。たとえば、反応缶内の上部に設置した内部コイルに冷媒体を流す方法、反応缶外部の上部に巻きつけた外部コイルまたはジャケットに冷媒体を流す方法、反応缶上部に設置したリフラックスコンデンサーを用いる方法、反応缶外部の上部に水をかける又は気体(空気、窒素等)を吹き付ける等の方法が考えられるが、結果的に缶内の還流量を増大させる効果があるものならば、いずれの方法を用いても良い。外気温度が比較的低いなら(たとえば常温)、反応缶上部に従来備えられている保温材を取外すことによって、適切な冷却を行うことも可能である。外部冷却の場合、反応缶壁面で凝縮した水/アミド系溶媒混合物は反応缶壁を伝わって液相中に入る。従って、該水分に富む混合物は、液相上部に溜り、そこの水分量を比較的高く保つ。内部冷却の場合には、冷却面で凝縮した混合物が同様に冷却装置表面又は反応缶壁を伝わって液相中に入る。
【0027】
一方、液相バルクの温度は、所定の一定温度に保たれ、あるいは所定の温度プロフィールに従ってコントロールされる。一定温度とする場合、 230〜275 ℃の温度で 0.1〜20時間反応を行うことが好ましい。より好ましくは、 240〜265 ℃の温度で1〜6時間である。より高い分子量のPASを得るには、2段階以上の反応温度プロフィールを用いることが好ましい。この2段階操作を行う場合、第1段階は 195〜240 ℃の温度で行うことが好ましい。温度が低いと反応速度が小さすぎ、実用的ではない。 240℃より高いと反応速度が速すぎて、十分に高分子量なPASが得られないのみならず、副反応速度が著しく増大する。第1段階の終了は、重合反応系内ジハロ芳香族化合物残存率が1モル%〜40モル%、且つ分子量が 3,000〜20,000の範囲内の時点で行うことが好ましい。より好ましくは、重合反応系内ジハロ芳香族化合物残存率が2モル%〜15モル%、且つ分子量が 5,000〜15,000の範囲である。残存率が40モル%を越えると、第2段階の反応で解重合など副反応が生じやすく、一方、1モル%未満では、最終的に高分子量PASを得難い。その後昇温して、最終段階の反応は、反応温度 240〜270 ℃の範囲で、1時間〜10時間行うことが好ましい。温度が低いと十分に高分子量化したPASを得ることができず、また 270℃より高い温度では解重合等の副反応が生じやすくなり、安定的に高分子量物を得難くなる。
【0028】
実際の操作としては、先ず不活性ガス雰囲気下で、アミド系溶媒中のアルカリ金属硫化物中の水分量が所定の量となるよう、必要に応じて脱水または水添加する。水分量は、好ましくは、アルカリ金属硫化物1モル当り0.5〜2.5モル、特に0.8〜1.2モルとする。2.5モルを超えては、反応速度が小さくなり、しかも反応終了後の濾液中にフェノール等の副生成物量が増大し、重合度も上がらない。0.5モル未満では、反応速度が速すぎ、十分な高分子量の物を得ることができないと共に、副反応等の好ましくない反応が生ずる。
【0029】
反応時の気相部分の冷却は、一定温度での1段反応の場合では、反応開始時から行うことが望ましいが、少なくとも 250℃以下の昇温途中から行わなければならない。多段階反応では、第1段階の反応から冷却を行うことが望ましいが、遅くとも第1段階反応の終了後の昇温途中から行うことが好ましい。冷却効果の度合いは、通常反応缶内圧力が最も適した指標である。圧力の絶対値については、反応缶の特性、攪拌状態、系内水分量、ジハロ芳香族化合物とアルカリ金属硫化物とのモル比等によって異なる。しかし、同一反応条件下で冷却しない場合に比べて、反応缶圧力が低下すれば、還流液量が増加して、反応溶液気液界面における温度が低下していることを意味しており、その相対的な低下の度合いが水分含有量の多い層と、そうでない層との分離の度合いを示していると考えられる。そこで、冷却は反応缶内圧が、冷却をしない場合と比較して低くなる程度に行うのが好ましい。冷却の程度は、都度の使用する装置、運転条件などに応じて、当業者が適宜設定できる。
【0030】
上記の反応条件を種々選択することにより、所望の粘度を持つPASを製造することができる。
【0031】
PASの分子量をより大きくするために、例えば1,3,5‐トリクロロベンゼン、1,2,4‐トリクロロベンゼン等のポリハロ化合物を、パラ及びメタジハロ芳香族化合物の合計量に対して好ましくは5モル%以下の濃度で使用することもできる。
【0032】
また、他の少量添加物として、末端停止剤、修飾剤としてのモノハロ化物を併用することもできる。
【0033】
本発明のPASを製造するには、上記のPAS製造工程で得られたPAS(イ)のスラリーを濾過した後、得られた含溶媒濾過ケーキを非酸化性ガス雰囲気下150〜250℃の温度で加熱して溶媒を除去し、次いで水洗浄を施す。
【0034】
例えば、上記のようにして得られたPAS(イ)のスラリーを濾過し、溶媒を含むPASケーキを得る。次いで、該PASケーキは、ヘリウム、アルゴン、水素、窒素等の非酸化性ガス気流中、好ましくは酸素濃度5.0体積%未満の窒素ガス気流中、150〜250℃、好ましくは180〜230℃の温度で、好ましくは0.5〜20時間、特に好ましくは1〜10時間加熱される。該加熱は、好ましくは常圧〜3気圧、特に好ましくは常圧下で行われる。該加熱温度が上記下限未満では、溶媒の除去に長時間を必要とし、生産性の低下が生じる。上記上限を越えては、PASの着色が著しくなり好ましくない。上記の加熱による溶媒除去を行うことにより、PASの接着強度を高めることができると共に、従来の水洗浄により溶媒を除去する方法に比べて、水洗浄等の工程を簡略化でき、かつ溶媒の回収率を著しく向上せしめることができるため、生産性が高くコスト的に有利である。
【0035】
次いで行われる水洗浄は、好ましくは上記加熱後の濾過ケーキを水に分散させることにより行われる。例えば、上記のようにして得られた加熱後のPASケーキを、重量で好ましくは1〜5倍の水中に投入して、好ましくは常温〜90℃で、好ましくは5分間〜10時間攪拌混合した後、濾過する。該攪拌混合及び濾過操作を好ましくは2〜10回繰り返すことにより、PASに付着した溶媒及び副生塩の除去を行って水洗浄を終了する。上記のようにして水洗浄を行うことにより、フィルターケーキに水を注ぐ洗浄方法に比べて少ない水量で効率的な洗浄が可能となる。
【0036】
また、本発明のPASは、上記のPAS製造工程で得られたPAS(イ)に水洗浄及び酸処理を施すことによっても製造することができる。
【0037】
水洗浄は、好ましくはPAS(イ)の製造工程で生成したスラリーを濾過した後、濾過ケーキを水に分散させることにより行われる。例えば、得られたPASスラリーを濾過し、溶媒を少ししか含まないPASケーキを得る。次いで、該PASケーキを、上記した水洗浄と同一の方法により洗浄することができる。
【0038】
酸処理は、好ましくは100℃以下の温度、特に好ましくは常温〜80℃の温度で実施される。該温度が上記上限を超えると、酸処理後のPAS分子量が低下するため好ましくない。該酸処理に使用する酸溶液のpHは、好ましくは3.5〜6.0、特に好ましくは4.0〜5.5である。該pHを採用することにより、被処理物であるPAS中の‐SX(Xはアルカリ金属を示す)末端の大部分を‐SH末端に転化することができる。pHが上記範囲未満では、酸の使用量が多くコスト高となり、上記範囲を越えては、PAS中のアルカリ金属末端の除去が不十分となる。該酸処理に要する時間は、上記酸処理温度及び酸溶液の濃度に依存するが、好ましくは5分間以上、特に好ましくは10分間以上である。上記未満では、PAS中の‐SX末端を‐SH末端に十分に転化できず好ましくない。上記酸処理には、例えば酢酸、ギ酸、シュウ酸、フタル酸、塩酸、リン酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、ホウ酸、炭酸等が使用され、酢酸が特に好ましい。該処理を施すことにより、PAS中の不純物であるアルカリ金属、例えばナトリウムを低減できる。
【0039】
上記の水洗浄及び酸処理を施すことにより、PAS中のアルカリ金属、例えばナトリウム量を著しく低減することができる。これにより成形品の寸法安定性が向上し、接着強度も増加する。
【0040】
また、本発明のPASは、好ましくは下記の方法で製造することができる。
【0041】
即ち、有機アミド系溶媒中でアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを反応させてポリアリーレンスルフィドを製造する方法において、アルカリ金属硫化物に対して0.1〜3.0モル%のアミノ基含有ハロ置換芳香族化合物を予めアルカリ金属硫化物と混合加熱した後、ジハロ芳香族化合物を添加して、反応させることにより得たポリアリーレンスルフィド(ロ)のスラリーを濾過した後、得られた含溶媒濾過ケーキを非酸化性ガス雰囲気下150〜250℃の温度で加熱して溶媒を除去し、次いで水洗浄する方法、又は上記と同じに製造したポリアリーレンスルフィド(ロ)を水洗浄及び酸処理する方法である。
【0042】
アミノ基含有ハロ置換芳香族化合物を予めアルカリ金属硫化物と混合加熱した後、ジハロ芳香族化合物を添加して反応させる方法では、アミノ基含有ハロ置換芳香族化合物とジハロ芳香族化合物を同時的に添加してアルカリ金属硫化物と反応させる方法と比べて、本質的に反応性の低いアミノ基含有ハロ置換芳香族化合物の反応率を、大幅に向上させることができ、少量の添加で十分にPASをアミノ基化することができる。従って、重合終了時に未反応モノマーは著しく少なく、この分離回収処理が容易であり、経済性にも優れている。このようにアミノ基含有ハロ置換芳香族化合物の反応率を大幅に向上することができるのは、予めアルカリ金属硫化物とアミノ基含有ハロ置換芳香族化合物とを混合加熱することによって、反応の律速となっているアミノ基含有ハロ置換芳香族化合物のハロゲン原子の置換を容易に生ぜしめることができるためと考えられる。
【0043】
該方法において添加するアミノ基含有ハロ置換芳香族化合物は、アルカリ金属硫化物に対して、下限が0.1モル%、好ましくは0.2モル%であり、上限が3.0モル%、好ましくは2.5モル%である。上記下限未満では接着性が不十分となり、上記上限を越えては製造したPASの熱安定性が著しく悪くなる。そのため、成形時にゲル状物が発生し、成形性が極めて悪くなる。
【0044】
アルカリ金属硫化物とアミノ基含有ハロ置換芳香族化合物との混合攪拌は、好ましくは200〜300℃、より好ましくは230〜250℃の温度で、好ましくは1〜30時間、より好ましくは1〜15時間行われる。温度が上記下限未満では、十分にアミノ基含有ハロ置換芳香族化合物を反応することができず、混合攪拌後の液中に多量のアミノ基含有ハロ置換芳香族化合物が残存する。上記上限を超えては、溶媒の劣化を招き、また副反応が著しい。混合攪拌時間が上記下限未満では、十分にアミノ基含有ハロ置換芳香族化合物を反応することができず、上記上限を超えても、アミノ基含有ハロ置換芳香族化合物の反応に及ぼす効果は殆どない。
上記のように、アルカリ金属硫化物とアミノ基含有ハロ置換芳香族化合物との混合攪拌を実施した後、液温が好ましくは100〜200℃、特に好ましくは150〜200℃となるまで冷却してジハロ芳香族化合物を添加する。上記下限未満では液の流動性が低下するため温度制御が困難となり、上記上限を超えてはジハロ芳香族化合物の添加時に重合反応が急激に起り温度制御が不可能になる。
【0045】
該方法において使用するアミノ基含有ハロ置換芳香族化合物、有機アミド系溶媒、アルカリ金属硫化物及びジハロ芳香族化合物は、上記のアミノ基含有ハロ置換芳香族化合物を、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物との反応の前の又は反応中の反応系内に添加する方法において使用したものと同一である。また、有機アミド系溶媒中でのPAS製造のための反応、及び該反応により得られたPASの加熱溶媒除去法及び水洗浄、酸処理法も同一である。
【0046】
また、本発明は、
(A)上記本発明のPAS 100重量部及び
(B)充填剤 0.01〜400重量部
を含むPAS樹脂組成物である。
【0047】
上記本発明のPASは充填剤との接着強度も高く、従って、充填剤と共に使用して成形物の衝撃強度、曲げ強度等の機械的強度を更に高めることができる。
【0048】
本発明の樹脂組成物において、成分(A)100重量部に対して、成分(B)は、その上限が400重量部、好ましくは250重量部、特に好ましくは100重量部であり、下限が0.01重量部、好ましくは1.0重量部、特に好ましくは10重量部である。成分(B)が上記上限を越えては、エポキシ樹脂との接着強度が低下し、かつ樹脂組成物の成形性も悪化する。成分(B)が上記下限未満では成形物の機械的強度が低い。
【0049】
本発明の成分(B)充填剤は、慣用のものを使用することができる。例えば、繊維状充填剤として、ガラス繊維、炭素繊維、シリカガラス繊維、ウィスカー、ボロン繊維、チタン酸カリウム繊維、アスベスト繊維、炭化ケイ素繊維、アラミド繊維、セラミックス繊維、金属繊維等が挙げられ、粒子状充填剤として、マイカ、タルク等のケイ酸塩や炭酸塩、硫酸塩、金属酸化物、ガラスビーズ、シリカ等が挙げられる。これらの充填材は、夫々単独で、あるいは二種以上組合わせて用いることができる。また、これらの充填材は、必要に応じてシランカップリング剤やチタネートカップリング剤で処理されたものであってもよい。
【0050】
また、本発明の樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、上記本発明のPAS以外のPASを配合することができる。その配合量は、成分(A)100重量部に対して、好ましくは0〜2000重量部、特に好ましくは1〜400重量部である。これにより、優れた接着性を保持したまま、上記本発明のPASの使用量を低減することができる。該PASとしては、例えば、官能基含有ハロ置換芳香族化合物を共重合していない線状PAS、あるいはそれを熱酸化架橋したPAS等が挙げられる。
【0051】
更に、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、離型剤、着色剤等の添加剤を配合することもできる。
【0052】
以上のような各成分を混合する方法は、特に限定されるものではない。一般に広く使用されている方法、例えば各成分をヘンシェルミキサー等の混合機で混合する等の方法を用いることができる。
【0053】
本発明の樹脂組成物は通常押出機で溶融混練してペレット化した後、例えば射出成形あるいは圧縮成形して所望の形状に成形される。
【0054】
本発明のPAS樹脂組成物は、急激な結晶化が進行しないので、成形収縮等によるクラック発生等を抑制することができ、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等と高い接着性を有する。従って、電気・電子部品の封止等の分野において有用である。
【0055】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
【0056】
【実施例】
実施例中の各特性値は下記の如く測定した。
<溶融粘度V
島津製作所製フローテスターCFT‐500Cを用いて測定した。
<エポキシ樹脂との接着強度>
ガラスファイバーとしては、日東紡績株式会社製のCS 3J‐961S(商標)を用い、炭酸カルシウムとしては、竹原化学工業株式会社製のSL‐1000(商標)を用いた。エポキシ樹脂系接着剤については、主剤として長瀬チバ株式会社製のXNR3101(商標)を用い、硬化剤として長瀬チバ株式会社製のXNH3101(商標)を用いた。
<ナトリウム含有量>
PPS粉末を700℃マッフル炉で燃焼した後、原子吸光分析計として、島津製作所製AA‐670を用いて測定した。
<結晶化温度T及び融点T
DSCにより測定した。装置としては、セイコー電子製示差走査熱量計SSC/5200を用い、以下のようにして測定した。試料10mgを窒素気流中、昇温速度20℃/分で室温から320℃まで昇温した後、320℃で5分間保持して溶融した。次いで10℃/分の速度で冷却した。このときの発熱ピーク温度を結晶化温度Tとした。再び室温から320℃まで10℃/分の速度で昇温した時の吸熱ピーク温度を融点Tとした。
<衝撃強度>
ASTM D256に準拠して、ノッチなしアイゾット衝撃強度を測定し評価した。
<曲げ強度>
1/4インチ厚みの試験片を用いASTM D‐790により測定した。
【0057】
また、各実施例及び比較例において、パラジクロルベンゼン(以下ではp‐DCBと略すことがある)及び2,5‐ジクロロアニリン(以下ではDCAと略すことがある)の反応率は、ガスクロマトグラフィーによる測定結果から算出した。ここで、各反応率は下記式により求めた。
【0058】
【数1】
p‐DCBの反応率(%)=(1−残存p‐DCB重量/仕込p‐DCB重量)×100
【0059】
【数2】
DCAの反応率(%)=(1−残存DCA重量/仕込DCA重量)×100
【0060】
【実施例1】
150リットルオートクレーブに、フレーク状硫化ソーダ(60.4重量%NaS)19.381kgと、N‐メチル‐2‐ピロリドン(以下ではNMPと略すことがある)45.0kgを仕込んだ。窒素気流下攪拌しながら209℃まで昇温して、水4.640kgを留出させた(残存する水分量は硫化ソーダ1モル当り1.12モル)。その後、オートクレーブを密閉して180℃まで冷却し、p‐DCB22.732kg、DCA0.170kg(硫化ソーダに対して0.7モル%)及びNMP18.0kgを仕込んだ。液温150℃で窒素ガスを用いて1kg/cmGに加圧して昇温を開始した。液温が260℃になった時点で昇温を止め、2時間攪拌しつつ反応を進めた。
【0061】
得られたスラリーを濾過して溶媒を除去し、次に含溶媒濾過ケーキを、酸素濃度3.0体積%未満の窒素気流中、220℃で約6時間加熱し溶媒を除去した。次に、得れたPPS粉末に常法により水洗浄、濾過を7回繰り返した後、120℃で約8時間熱風循環乾燥機中で乾燥して、白色粉末状のポリマー(P‐1)を得、各特性値を測定した。
【0062】
p‐DCBの反応率は98.6%であり、DCAの反応率は33.1%であった。
【0063】
【実施例2】
DCAを0.243kg(硫化ソーダに対して1.0モル%)とした以外は、実施例1と同一の条件でポリマー(P‐2)を得、各特性値を測定した。赤外吸収スペクトルを測定したところ3450cm−1と3300cm−1にNH伸縮振動に基づく吸収を示した(図1)。
【0064】
p‐DCBの反応率は98.5%であり、DCAの反応率は34.0%であった。
【0065】
【実施例3】
DCAを0.778kg(硫化ソーダに対して3.2モル%)とした以外は、実施例1と同一の条件でポリマー(P‐3)を得、各特性値を測定した。
【0066】
p‐DCBの反応率は98.5%であり、DCAの反応率は28.6%であった。
【0067】
【実施例4】
p‐DCBを22.161kg、DCAを0.243kg(硫化ソーダに対して1.0モル%)とし、オートクレーブ上部を散水により冷却しながら、反応を液温220℃で5時間、その後昇温して液温260℃で5時間行った以外は、実施例1と同一の条件でポリマー(P‐4)を得、各特性値を測定した。
【0068】
p‐DCBの反応率は98.7%であり、DCAの反応率は38.0%であった。
【0069】
【実施例5】
実施例1と同一にして反応を実施してPPSスラリーを得た。
【0070】
得られたスラリーを濾過して溶媒を除去し、次に濾過ケーキを約80℃の温水(重量で濾過ケーキの約2倍)中に投入して、約30分間十分に攪拌した後、濾過した。この水洗浄及び濾過の操作を5回繰り返した。次に、濾過ケーキを約50℃の水によりスラリー化し、該スラリーに酢酸を加えてpH5に調節して酸処理を実施した。酸処理後、再び水洗浄を3回繰り返した。次いで、120℃で約8時間熱風循環乾燥機中で乾燥して白色粉末状のポリマー(P‐5)を得、各特性値を測定した。
【0071】
【実施例6】
実施例2と同一にして反応を実施してPPSスラリーを得た以外は、実施例5と同一の条件でポリマー(P‐6)を得、各特性値を測定した。
【0072】
【実施例7】
実施例3と同一にして反応を実施してPPSスラリーを得た以外は、実施例5と同一の条件でポリマー(P‐7)を得、各特性値を測定した。
【0073】
【実施例8】
実施例4と同一にして反応を実施してPPSスラリーを得た以外は、実施例5と同一の条件でポリマー(P‐8)を得、各特性値を測定した。
【0074】
【比較例1】
p‐DCBを22.638kgとし、DCAを添加しなかった以外は、実施例1と同一の条件でポリマー(P‐C1)を得、各特性値を測定した。赤外吸収スペクトルを測定したところ3450cm−1と3300cm−1にNH伸縮振動に基づく吸収は認められなかった(図2)。
【0075】
p‐DCBの反応率は98.4%であった。
【0076】
【比較例2】
DCAを1.264kg(硫化ソーダに対して5.2モル%)とした以外は、実施例1と同一の条件でポリマー(P‐C2)を得、各特性値を測定した。
【0077】
p‐DCBの反応率は98.5%であり、DCAの反応率は38.1%であった。得られたポリマーは、増粘が著しく成形できなかった。
【0078】
【比較例3】
p‐DCBを22.638kgとし、DCAを添加しなかった以外は、実施例5と同一の条件でポリマー(P‐C3)を得、各特性値を測定した。
【0079】
p‐DCBの反応率は98.4%であった。
【0080】
【比較例4】
DCAを1.264kg(硫化ソーダに対して5.2モル%)とした以外は、実施例5と同一の条件でポリマー(P‐C4)を得、各特性値を測定した。
【0081】
p‐DCBの反応率は98.5%であり、DCAの反応率は38.1%であった。得られたポリマーは、増粘が著しく成形できなかった。
【0082】
【比較例5】
実施例1で行った溶媒除去のための含溶媒濾過ケーキの加熱処理、及び実施例5で行った水洗浄と酢酸処理のいずれもを行わず、水洗浄及び濾過の操作を9回行った以外は、実施例1と同一条件でポリマー(P‐C5)を得、各特性値を測定した。
【0083】
以上の結果を表1及び2に示す。
【0084】
【表1】
Figure 0003610992
【0085】
【表2】
Figure 0003610992
実施例1〜3は、DCAを硫化ソーダとp‐DCBとの反応前に添加してPPSを製造し、かつ加熱により溶媒を除去する方法において、いずれも同一の条件下でDCAの添加量を変えたものであり、製造されたPPS中のアミノ基含有アリーレンスルフィド単位の含有量が本発明の範囲内で夫々異なるものである。アミノ基含有アリーレンスルフィド単位の含有量が増加すると、エポキシ樹脂との接着強度も増加した。実施例4は、PPS製造工程における反応を二段階とすると共に、オートクレーブ上部の冷却を実施したものである。PPS中のアミノ基含有アリーレンスルフィド単位の含有量が増加し、エポキシ樹脂との接着強度も増加した。
【0086】
一方、比較例1は、実施例1と同一条件下、DCAを添加しなかったものである。実施例1と比べてエポキシ樹脂との接着強度は著しく低かった。比較例2は、実施例1と同一条件下、PPS中のアミノ基含有アリーレンスルフィド単位の含有量が本発明の範囲を超えたものである。成形時の増粘が著しく成形できなかった。比較例5は、実施例1と同一条件下、加熱による溶媒除去を行わず、水洗浄及び濾過を行ったものである。エポキシ樹脂との接着強度は著しく低かった。実施例5〜7は、DCAを硫化ソーダとp‐DCBとの反応前に添加してPPSを製造し、かつ水洗、酸処理を施す方法において、いずれも同一の条件下でDCAの添加量を変えたものであり、製造されたPPS中のアミノ基含有アリーレンスルフィド単位の含有量が本発明の範囲内で夫々異なるものである。アミノ基含有アリーレンスルフィド単位の含有量が増加すると、エポキシ樹脂との接着強度も増加した。実施例8は、PPS製造工程における反応を二段階とすると共に、オートクレーブ上部の冷却を実施したものである。PPS中のアミノ基含有アリーレンスルフィド単位の含有量が増加し、エポキシ樹脂との接着強度も増加した。
【0087】
一方、比較例3は、実施例5と同一条件下、DCAを添加しなかったものである。実施例5と比べてエポキシ樹脂との接着強度は著しく低かった。比較例4は、実施例5と同一条件下、PPS中のアミノ基含有アリーレンスルフィド単位の含有量が本発明の範囲を超えたものである。成形時の増粘が著しく成形できなかった。比較例5は、実施例5と同一条件下、水洗、酸処理を施さず、水洗浄及び濾過を行ったものである。エポキシ樹脂との接着強度は著しく低かった。
【0088】
また、実施例1〜4と実施例5〜8は、夫々PPSの製造条件は同一であるが、PPS製造後の溶媒除去法が異なるものである。加熱による溶媒除去に代えて、水洗、酸処理を施す方法を用いると、ナトリウム含有量が低減でき、エポキシ樹脂との接着強度も高めることができることが分かった。
【0089】
【実施例9】
150リットルオートクレーブに、フレーク状硫化ソーダ(60.4重量%NaS)19.381kgと、N‐メチル‐2‐ピロリドン(以下ではNMPと略すことがある)45.0kgを仕込んだ。窒素気流下攪拌しながら209℃まで昇温して、水4.640kgを留出させた(残存する水分量は硫化ソーダ1モル当り1.12モル)。その後、オートクレーブを密閉して200℃まで冷却し、DCA0.122kg(硫化ソーダに対して0.5モル%)とNMP1.0kgを仕込んだ。昇温を開始して、液温が240℃になった時点で昇温を止め、2時間攪拌した。次に、180℃まで冷却して、p‐DCB22.969kg及びNMP18.0kgを仕込んだ。液温150℃で窒素ガスを用いて1kg/cmGに加圧して昇温を開始した。液温が260℃で2時間攪拌しつつ反応を進めた。
【0090】
得られたスラリーを濾過して溶媒を除去し、次に含溶媒濾過ケーキを、酸素濃度3.0体積%未満の窒素気流中、220℃で約6時間加熱し溶媒を除去した。次に、得られたPPS粉末に常法により水洗浄、濾過を7回繰り返した後、120℃で約8時間熱風循環乾燥機中で乾燥して、白色粉末状のポリマー(P‐9)を得、各特性値を測定した。
【0091】
p‐DCBの反応率は98.3%であり、DCAの反応率は89.8%であった。
【0092】
【実施例10】
DCAを0.608kg(硫化ソーダに対して2.5モル%)とした以外は、実施例9と同一の条件でポリマー(P‐10)を得、各特性値を測定した。
【0093】
p‐DCBの反応率は98.1%であり、DCAの反応率は71.0%であった。
【0094】
【実施例11】
p‐DCBを22.161kgとし、オートクレーブ上部を散水により冷却しながら、反応を液温220℃で5時間、その後昇温して液温260℃で5時間行った以外は、実施例9と同一の条件でポリマー(P‐11)を得、各特性値を測定した。
【0095】
p‐DCBの反応率は98.6%であり、DCAの反応率は93.0%であった。
【0096】
【実施例12】
実施例9と同一にして反応を実施してPPSスラリーを得た。
【0097】
得られたスラリーを濾過して溶媒を除去し、次に濾過ケーキを約80℃の温水(重量で濾過ケーキの約2倍)中に投入して、約30分間十分に攪拌した後、濾過した。この水洗浄及び濾過の操作を5回繰り返した。次に、濾過ケーキを約50℃の水によりスラリー化し、該スラリーに酢酸を加えてpH5に調節して酸処理を実施した。酸処理後、再び水洗浄を3回繰り返した。次いで、120℃で約8時間熱風循環乾燥機中で乾燥して白色粉末状のポリマー(P‐12)を得、各特性値を測定した。
【0098】
【実施例13】
DCAを0.243kg(硫化ソーダに対して1.0モル%)とした以外は、実施例12と同一の条件でポリマー(P‐13)を得、各特性値を測定した。
【0099】
p‐DCBの反応率は98.3%であり、DCAの反応率は83.3%であった。
【0100】
【実施例14】
実施例10と同一にして反応を実施してPPSスラリーを得た以外は、実施例12と同一の条件でポリマー(P‐14)を得、各特性値を測定した。
【0101】
【比較例6】
150リットルオートクレーブに、フレーク状硫化ソーダ(60.4重量%NaS)19.381kgとNMP45.0kgを仕込んだ。窒素気流下攪拌しながら209℃まで昇温して、水4.640kgを留出させた(残存する水分量は硫化ソーダ1モル当り1.12モル)。その後、オートクレーブを密閉して180℃まで冷却し、p‐DCB22.969kg及びNMP18.0kgを仕込んだ。液温150℃で窒素ガスを用いて1kg/cmGに加圧して昇温を開始した。液温260℃で2時間攪拌しつつ反応を進めた。
【0102】
次いで、得られたスラリーから、実施例9と同一の操作により白色粉末状のポリマー(P‐C6)を得、各特性値を測定した。
【0103】
p‐DCBの反応率は98.0%であった。
【0104】
【比較例7】
DCAを0.753kg(硫化ソーダに対して3.1モル%)とした以外は、実施例9と同一の条件でポリマー(P‐C7)を得、各特性値を測定した。
【0105】
p‐DCBの反応率は98.1%であり、DCAの反応率は68.1%であった。得られたポリマーは、増粘が著しく成形できなかった。
【0106】
【比較例8】
150リットルオートクレーブに、フレーク状硫化ソーダ(60.4重量%NaS)19.381kgとNMP45.0kgを仕込んだ。窒素気流下攪拌しながら209℃まで昇温して、水4.640kgを留出させた(残存する水分量は硫化ソーダ1モル当り1.12モル)。その後、オートクレーブを密閉して180℃まで冷却し、p‐DCB22.969kg及びNMP18.0kgを仕込んだ。液温150℃で窒素ガスを用いて1kg/cmGに加圧して昇温を開始した。液温260℃で2時間攪拌しつつ反応を進めた。
【0107】
次いで、得られたスラリーから、実施例12と同一の操作により白色粉末状のポリマー(P‐C8)を得、各特性値を測定した。
【0108】
p‐DCBの反応率は98.6%であった。
【0109】
【比較例9】
DCAを0.753kg(硫化ソーダに対して3.1モル%)とした以外は、実施例12と同一の条件でポリマー(P‐C9)を得、各特性値を測定した。
【0110】
p‐DCBの反応率は98.1%であり、DCAの反応率は68.1%であった。得られたポリマーは、増粘が著しく成形できなかった。
【0111】
【比較例10】
実施例9で行った溶媒除去のための含溶媒濾過ケーキの加熱処理、及び実施例12で行った水洗浄と酢酸処理のいずれもを行わず、水洗浄及び濾過の操作を9回行った以外は、実施例9と同一条件でポリマー(P‐C10)を得、各特性値を測定した。
【0112】
以上の結果を表3及び4に示す。
【0113】
【表3】
Figure 0003610992
【0114】
【表4】
Figure 0003610992
実施例9及び10は、DCAを硫化ソーダと予め加熱混合した後、p‐DCBを添加してPPSを製造し、かつ加熱により溶媒を除去する方法において、同一の条件下でDCAの添加量を変えたものであり、製造されたPPS中のアミノ基含有アリーレンスルフィド単位の含有量が本発明の範囲内で異なるものである。アミノ基含有アリーレンスルフィド単位の含有量が増加すると、エポキシ樹脂との接着強度も増加した。実施例11は、PPS製造工程における反応を二段階とすると共に、オートクレーブ上部の冷却を実施したものである。実施例9と比べて、PPS中のアミノ基含有アリーレンスルフィド単位の含有量が増加し、エポキシ樹脂との接着強度も増加した。
【0115】
一方、比較例6は、実施例9と同一条件下、DCAを添加しなかったものである。実施例9と比べてエポキシ樹脂との接着強度は著しく低かった。比較例7は、実施例9と同一条件下、PPS中のアミノ基含有アリーレンスルフィド単位の含有量が本発明の範囲を超えたものである。成形時の増粘が著しく成形できなかった。比較例10は、実施例9と同一条件下、加熱による溶媒除去を行わず、水洗浄及び濾過を行ったものである。エポキシ樹脂との接着強度は著しく低かった。
【0116】
実施例12〜14は、DCAを硫化ソーダと予め加熱混合した後、p‐DCBを添加してPPSを製造し、かつ水洗、酸処理を施す方法において、いずれも同一の条件下でDCAの添加量を変えたものであり、製造されたPPS中のアミノ基含有アリーレンスルフィド単位の含有量が本発明の範囲内で夫々異なるものである。アミノ基含有アリーレンスルフィド単位の含有量が増加すると、エポキシ樹脂との接着強度も増加する傾向を示した。
【0117】
一方、比較例8は、実施例12と同一条件下、DCAを添加しなかったものである。実施例12と比べてエポキシ樹脂との接着強度は著しく低かった。比較例9は、実施例12と同一条件下、PPS中のアミノ基含有アリーレンスルフィド単位の含有量が本発明の範囲を超えたものである。成形時の増粘が著しく成形できなかった。比較例10は、実施例12と同一条件下、水洗、酸処理を施さず、水洗浄及び濾過を行ったものである。エポキシ樹脂との接着強度は著しく低かった。
【0118】
また、実施例9と実施例12及び実施例10と実施例14は、夫々PPSの製造条件は同一であるが、PPS製造後の溶媒除去法が異なるものである。加熱による溶媒除去に代えて、水洗、酸処理を施す方法を用いると、ナトリウム含有量が低減でき、エポキシ樹脂との接着強度も高めることができる。
【0119】
実施例1は、DCAを硫化ソーダとp‐DCBとの反応前に添加してPPSを製造したものであり、これに対して実施例9は、DCAを硫化ソーダと予め加熱混合した後、p‐DCBを添加してPPSを製造したものである。実施例9では、DCA添加量が硫化ソーダに対して0.5モル%と、実施例1の0.7モル%に比べて少いが、製造されたPPS中のアミノ基含有アリーレンスルフィド単位の含有量は多く、かつより高い接着強度が得られることが分かった。
【0120】
【実施例15〜18及び比較例11〜12】
上記の実施例2、6、9及び12で製造したPPS(P‐2、P‐6、P‐9及びP‐12)、及び比較例1及び3で製造したPPS(P‐C1及びP‐C3)を用いて、シリコーン樹脂との接着強度、衝撃強度及び曲げ強度を測定した。シリコーン樹脂との接着強度は以下のようにして測定した。エポキシ樹脂との接着強度を測定した際と同一のガラスファイバー及び炭酸カルシウムを用い、かつ同一の配合比にてJIS K6850に従う試験片を作成した。次いで、JIS K6850に準拠し、得られた試験片をシリコーン系接着剤(信越シリコーンKE1833、商標、信越化学工業株式会社製)を用いて100℃、1時間の硬化条件で接着した後、引張速度5mm/分、チャック間距離130mmで引張試験を行い、接着強度を測定した。
【0121】
以上の結果を表5に示す。
【0122】
【表5】
Figure 0003610992
実施例15は、上記の実施例2、即ちDCAを硫化ソーダとp‐DCBとの反応前に添加してPPSを製造し、かつ加熱により溶媒を除去する方法により製造したPPS(P‐2)についてのものであり、比較例13は、実施例2と同一条件下でDCAを添加せずして製造したPPS(P‐C1)についてのものである。P‐2は、アミノ基含有アリーレンスルフィド単位を含まないP‐C1に比べて、シリコーン樹脂との接着強度が優れており、また、衝撃強度及び曲げ強度も高かった。実施例16は、上記の実施例6、即ちDCAを硫化ソーダとp‐DCBとの反応前に添加してPPSを製造し、かつ水洗、酸処理を施す方法により製造したPPS(P‐6)についてのものであり、比較例14は、実施例6と同一条件下でDCAを添加せずして製造したPPS(P‐C3)についてのものである。上記と同じくP‐6は、アミノ基含有アリーレンスルフィド単位を含まないP‐C3に比べて、シリコーン樹脂との接着強度が優れており、衝撃強度及び曲げ強度も高かった。
【0123】
実施例17は、上記の実施例9、即ちDCAを硫化ソーダと予め加熱混合した後、p‐DCBを添加してPPSを製造し、かつ加熱により溶媒を除去する方法により製造したPPS(P‐9)についてのものであり、実施例18は、上記の実施例12、即ちDCAを硫化ソーダと予め加熱混合した後、p‐DCBを添加してPPSを製造し、かつ水洗、酸処理を施す方法により製造したPPS(P‐12)についてのものである。いずれもシリコーン樹脂との接着強度は優れており、衝撃強度及び曲げ強度も高かった。また、DCAを硫化ソーダと予め加熱混合する方法を用いることにより、DCAを硫化ソーダとp‐DCBとの反応前に添加する方法に比べて、シリコーン樹脂との接着強度をより高くすることができることが分かった。
【0124】
実施例15と実施例16及び実施例17と実施例18は、夫々PPSの製造条件は同一であるが、PPS製造後の溶媒除去法が異なるものである。加熱による溶媒除去に代えて、水洗、酸処理を施す方法を用いると、シリコーン樹脂との接着強度及び衝撃強度が向上した。
【0125】
【発明の効果】
本発明は、従来のPASの持つ高い耐熱性と機械的強度に加えて、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等との接着性に優れたPASを提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2で得られたPPSの赤外吸収スペクトルを示す。
【図2】比較例1で得られたPPSの赤外吸収スペクトルを示す。

Claims (3)

  1. アミノ基を含有するアリーレンスルフィド単位をアリーレンスルフィド単位の全量に対して0.1〜1.8モル%含み、かつ溶融粘度V6が50〜3000ポイズであり、更にエポキシ樹脂との接着強度が60kgf/cm2以上である実質的に線状のポリアリーレンスルフィド。
  2. アルカリ金属含有量が200重量ppm以下である請求項1記載のポリアリーレンスルフィド。
  3. (A)請求項1又は2記載のポリアリーレンスルフィド 100重量部及び
    (B)充填剤 0.01〜400重量部
    を含むポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
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