JP3642358B2 - ポリエステル系樹脂水分散体およびその製法 - Google Patents
ポリエステル系樹脂水分散体およびその製法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ペイント、水性塗料、紙塗工剤、フィルム用コ−ティング材等から各種記録材料にまで広く用いられている樹脂の水分散体に関する物であり、特に、筆記具、マーカー、マーキングペン、等から、各種印刷機、ノンインパクトプリンタ等に用いられるインク記録材料として好適に用いることができるポリエステル系樹脂の水分散体、および着色ポリエステル系樹脂の水分散体に関する物である。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境問題対策があらゆる分野で求められており、印刷機、ノンインパクトプリンタ、マーカー、筆記具等に用いられる記録材料、インキング材料にも脱溶剤化、水性化が求められてきている。水性の記録材料としては水溶性染料の水溶液を主体としたもの、顔料の微分散体を主体としたものが広く用いられている。水溶性染料を用いた記録材料としては主として酸性染料、直接染料、一部の食品用染料等に分類される水溶性染料の水溶液に、保湿剤としてグリコール類、アルカノールアミン類、表面張力等の調製のための界面活性剤、アルコール類、バインダー成分としての樹脂成分等を添加したものが用いられている。
これら水溶性染料を用いた記録材料は筆先、あるいは記録系での目詰まりに対する高い信頼性から、最も一般的に用いられている。しかしながらかかる水溶性染料を用いた記録材料は、染料の水溶液であるが故に記録紙上でにじみやすい。また、見掛けの乾燥速度を早める必要から記録紙に素早く浸透するように調製されるが故にインクのニジミによる記録品位の低下を余儀なくされている。また水溶性の染料であるがゆえに耐水性に劣ることは自明である。さらに記録紙に単に浸透し、乾燥固着しているだけの水溶性染料は「染着」しているとはいい難く耐光堅牢度は非常に低い。
【0003】
以上述べてような水溶性染料を用いた記録材料の問題点を解決する方策として、エマルジョン、ラテックス等の樹脂微粒子を添加することが古くから検討されている。
特開昭55−18418には、「ゴム、樹脂等の成分を乳化剤により微細粒子(粒径約0.01〜数μm)の形で水中に分散せしめた一種のコロイド溶液」であるラテックスを添加したインクジェット記録用の記録剤に関する提案がある。好ましく用いられるラテックスとしては
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、
アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックス、
ポリクロロプレンラテックス、
ビニルピリジン−スチレン−ブタジエンラテックス、
ブチルゴムラテックス、
ポリブタジエンラテックス、
ポリイソプレンラテックス、
多硫化ゴムラテックス、
等の合成ゴム系ラテックス、あるいは、
アクリルエステル系ラテックス、
スチレン−ブタジエンレジンラテックス、
酢酸ビニル系ラテックス、
塩化ビニル系ラテックス、
塩化ビニリデン系ラテックス、
等の合成樹脂系ラテックスが例示されている。
【0004】
該提案において、添加できるラテックス粒子の粒子径は約0.01〜数μmの範囲であるとされている。しかしながら、0.2μm未満の粒子径では記録紙上でのてインクのニジミ防止効果が不十分であり、高い記録品位を得ることはできない。また粒子径が1.0μm以上になるとノズルの目詰まりが頻繁になり信頼性の面から使用することは困難となる。したがって現実的に使用できる範囲は概0.2〜1.0μmの範囲であると考えられる。
かかる樹脂微粒子をインク中に添加した場合、粒子の比重と媒体の比重差による沈降あるいは浮上に関する注意が必要となる。水系インクの場合、媒体の比重はは1.0から大きく離れることは難しい。およそ0.2μm以上の大きさの微粒子においてはブラウン運動による粒子の拡散力に比較して重力の効果が大きいため、かかる領域では粒子比重と媒体比重の差を0.1以下、好ましくは0.07以下程度に抑える必要がある。
該特許提案に例示された合成ゴム系ラテックスの比重は概0.9〜1.0の範囲にあり、かかる条件をある程度満たすものの、合成ゴムの多くは分子内に不飽和二重結合を有し、耐光性、耐候性の面で問題がある。また加硫を行い不飽和結合を減じた場合には粒子の記録紙上への定着が阻害され、記録品位に問題がでる。
【0005】
さらに過度に加硫を行なうと比重が1.1以上となるため沈降の問題が生じる。さらにかかる合成ゴム系のラテックスはガラス転移温度が低いために室温で造膜しやすく、ノズル先端部にて乾燥された場合ノズルの目詰まりを生じやすく、しかも乾燥物が柔軟でやや粘着性を持つためその除去が非常に困難である。
該特許に例示された合成樹脂ラテックスに関しては比重が1.1以上、特にハロゲン元素を含む合成樹脂の場合には比重1.3〜1.5近くに達するため、ニジミ防止効果が発現する粒径範囲においてはすべて沈降が生じてしまう。
さらにこれらのラテックス全般にいえることであるが、ラテックスを製造する際に用いられる乳化剤の多くはインクの泡立ちを促進しやすく、表面張力を必要以上に低下せしめるために問題が多い。
特開昭54−146109には溶剤にて膨潤され、かつ油性染料にて着色されたビニル重合体微粒子を添加した水溶性染料を用いた記録材料に関する提案がなされている。好適に用いられる重合体としては主に(メタ)アクリル酸エステル系共重合体微粒子が例示され、さらにガラス転移温度が30℃以下であることが好適な条件であると記されている。該提案においては粒子径に関する記述は一切ない。かかる低ガラス転移温度でさらに溶剤にて膨潤した微粒子が室温乾燥した場合に造膜性を有することは自明であり、かかるインクを使用した場合にはノズル目詰まりが頻繁に生じるであろうことが容易に類推される。
【0006】
(顔料分散体を用いた記録材料)
水溶性染料を用いた記録材料の欠点を改良するために、記録材としてカーボンブラック、あるいは有機顔料を用いる提案がなされている。このような顔料分散を用いた記録材料においてはインクの耐水性は大幅に改良される。しかしながらこれら顔料は比重が1.5〜2.0と高く、分散粒子の沈降に対する注意が必要である。かかる高比重の顔料を安定的に分散させるためには平均粒子径を概0.1μm以下にまで微分散することが必要であり、分散コストが高く非常に高価なインクとなる。さらに0.1μm以下の粒子径ではニジミ防止効果は不十分であり高品位な記録文字・画像を得ることはできない。さらに分散に際して用いられる分散剤により表面張力、起泡性等のインク物性が制限される等の問題がある。
【0007】
(着色樹脂粒子を用いた記録材料)
油溶性染料ないし疎水性染料により水分散性樹脂を着色する提案がインクジェット記録用インクとしてなされている。これらは「着色されたポリマー微粒子を記録剤として用いたインク」に関する提案である。例えば特開昭54−58504においては、疎水性染料溶液とビニル重合体微粒子の混合物を水中油型分散させたインクが提案されている。ビニル重合体微粒子は疎水性染料溶液と混合されることにより染料溶液の溶媒にて膨潤し、さらに染料により着色されることが本文にて開示されている。疎水性染料を記録剤とするため、得られる画像は耐水性を有するものとなるとある。該提案では、連続相として水を用い、分散相として溶剤にて膨潤した着色ビニル重合体粒子を用いることにより、インク粘度の支配を水に持たせ、溶剤としてある程度高粘度(低揮発性)のものを用いることを許容させている。
特開昭55−139471、特開平3−250069には染料によって染色された乳化重合または分散重合粒子を用いたインクが提案されている。提案の主旨は特開昭54−58504と同様、着色した粒子を分散質、水(透明)を媒体とすることによるニジミ防止であるが、この提案の場合には溶剤を含まないため、粒子が造膜することにより記録紙に定着されることが必要となる。造膜の必要、分散安定性の確保の観点より、望ましい粒子径はサブミクロン領域であることが示唆されている。
【0008】
いずれの提案においても水分散性樹脂はビニル重合体である。これらビニル重合体においては樹脂に対する染料の溶解度が低いために高濃度の着色を行うことは難しい。特開昭54−58504では重合体微粒子を溶剤にて膨潤させることにより染着性を稼ぐことが容認されているが、この場合にはノズル先端部での乾燥造膜によりノズル目詰まりの問題が生じる。
特開平4−185672には着色された樹脂粒子と水性媒体からなるインクにおいて水溶性化合物を水性媒体に溶解させることにより着色樹脂粒子と水性媒体との比重差を0.04以下とし、粒子の沈降を防止することが提案されている。ここに水溶性化合物としては無機塩類が好ましく用いられるとされている。しかしながら、かかる無機塩類を水性媒体に溶解したした場合、系内のイオン強度が増し、分散系の安定性が低下するために着色樹脂粒子は凝集しインクジェットインクとしての流体特性を保てない。
【0009】
特開平4−185673、特開平4−185674には着色された樹脂粒子と水性媒体からなるインクにおいて着色樹脂粒子を溶剤にて膨潤させることにより実効的な比重を下げ、着色樹脂粒子と水性媒体との比重差を0.04以下にすることが提案されている。かかる場合には前述したようにノズル目詰まりを避けることが困難である。
特開昭63−132083には常温で固体の物質を含有させることにより、固形分30重量%の際の粘度が固形分10重量%の際の粘度の3倍以上となるように調整されたインクジェット記録用インクに関する提案がある。この提案においては、蒸気圧の低い溶媒を用いる事により、インクが記録紙上で素早く乾燥し、急激に固形分濃度が増し、それに伴い粘度が増し、ニジミが抑えられるものとされている。ここに「常温において固体の物質」とは本文中に「溶解してインクに含有できるもの」と明確な定義が成されており、本発明が主題とする分散質(媒体に不要な物)とは全く異なる物である。本文中には具体例として水溶性ポリマーが多数例示されている。かかるインクのように水溶性ポリマー成分を含むインクにおいてはインク物性の調整範囲が狭まり、また乾燥によるノズル目詰まりが頻繁となることが懸念される。
【0010】
以上、主としてインクジェット記録用に用いられる記録材料を主としてレビューしてきたが、粒子の沈降、および乾燥造膜に伴う目詰まりは、筆記具、マーカー、マーキングペン、他の方式のプリンタ、印刷機においてかかる水性記録材料を用いた場合においても生じるものである。
本発明者等はかかる状況に鑑み鋭意研究を続けた結果、ポリエステル樹脂の水分散体が油性ないし疎水性染料により極めて高濃度に着色できることを見出し、特開平6−340835を提案した。かかる提案は、着色ポリエステル樹脂微粒子の水分散体を筆記具用インク、あるいは各種プリンタ用記録剤として用いた場合に、記録紙上での記録品位が良好であり、かつ乾燥造膜物の耐水性に優れるなどの特徴を発現することを見出した結果なされたものである。
【0011】
しかしながらその後の研究において、このような着色ポリエステル樹脂粒子の水分散体を用いた場合においては、樹脂のガラス転移温度以上の領域にて筆先の目詰まり等が生じ良好なる記録が行えなくなる等の不具合が判明した。このような場合には常套手段として、フマル酸、マレイン酸等の不飽和単量体を導入した不飽和ポリエステル樹脂を用い、エチレン性不飽和結合を有するいわゆるビニル系モノマーにて架橋して対処する方法がとられる。かかる手段を用いれば、確かに目詰まり性は改善されるが、脂肪族の不飽和単量体を用いたポリエステル樹脂は加水分解を生じ易く、本発明が主眼とする水系媒体を用いた分散体においては樹脂の加水分解に伴い、造膜温度の低下、粘度上昇、造膜物の堅牢性低下、分散体の保存安定性劣化等などの問題を生じるものである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べてきたように、顔料、着色樹脂粒子等を用いた微粒子分散型記録材料は、水溶性染料型の記録材料の問題点を克服し、高い記録品位を実現する可能性を秘めたものではあるが、粒子の沈降、ならびに乾燥造膜に伴う目詰まり等の信頼性の面で問題を残したものが多く、水溶性染料型記録剤の全てを代替するには至っていない。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはかかる状況に鑑み、鋭意研究を続けた結果、次なる発明に到達した。すなわち本発明は、
分散質として、シクロヘキセンジカルボン酸1〜100mol%を含む多価カルボン酸類と多価アルコールから得られるポリエステル樹脂5〜99重量%、エチレン性不飽和結合を有する単量体の重合により得られる樹脂95〜1重量%からなる微粒子が水系媒体中に微分散されたことを特徴とするポリエステル系樹脂水分散体であり、
前記ポリエステル樹脂がイオン性基を20〜2000eq. /ton 含有することを特徴とするポリエステル系樹脂水分散体であり、
前記ポリエステル系樹脂微粒子が染料およびまたは顔料にて着色されていることを特徴とするポリエステル系樹脂水分散体であり、
前記ポリエステル系樹脂を着色する色材が疎水性およびまたは有機溶剤可溶型染料であることを特徴とする着色水分散体であり、
水系媒体中において、シクロヘキセンジカルボン酸1〜100mol%を含む多価カルボン酸類と多価アルコールから得られ、イオン性基を20〜2000eq. /ton 含有するポリエステル系樹脂微粒子の存在下に、エチレン性不飽和結合を有する単量体を、水溶性を有する開始剤により重合させることを特徴とするポリエステル系樹脂水分散体の製法である。
【0014】
本発明の水分散体の主たる分散質はポリエステル系樹脂からなる。ポリエステル系樹脂はポリエステル樹脂と、エチレン性不飽和結合を有する単量体の重合により得られるいわゆるビニル系ポリマーとからなる。
本発明におけるポリエステル樹脂は多価カルボン酸類と多価アルコ−ル類との縮合により得られる。
ポリエステル樹脂に用いられる多価カルボン酸類としては、ジカルボン酸として、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,5−ナフタルレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸等の芳香族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸、p−(ヒドロキシエトキシ)安息香酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸などの芳香族オキシカルボン酸、フェニレンジアクリル酸等の芳香族不飽和多価カルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸等の不飽和多価カルボン酸、および、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキセンジカルボン酸、ダイマー酸等の脂環族ジカルボン酸等を、また多価カルボン酸としては他にトリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等の三価以上の多価カルボン酸等を例示できる。
【0015】
ポリエステル樹脂に用いられる多価アルコ−ル類としては脂肪族多価アルコ−ル類、脂環族多価アルコ−ル類、芳香族多価アルコ−ル類等を例示できる。
脂肪族多価アルコ−ル類としては、エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、1,3−プロパンジオ−ル、2,3−ブタンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、1,5−ペンタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、ジメチロ−ルヘプタン、ジエチレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオ−ル、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ル等の脂肪族ジオ−ル類、トリメチロ−ルエタン、トリメチロ−ルプロパン、グリセリン、ペンタエルスリト−ル等のトリオ−ルおよびテトラオ−ル類等を例示できる。
脂環族多価アルコ−ル類としては1,4−シクロヘキサンジオ−ル、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、スピログリコ−ル、水素化ビスフェノ−ルA、水素化ビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物、トリシクロデカンジオ−ル、トリシクロデカンジメタノ−ル等を例示できる。
【0016】
芳香族多価アルコ−ル類としてはパラキシレングリコ−ル、メタキシレングリコ−ル、オルトキシレングリコ−ル、1,4−フェニレングリコ−ル、1,4−フェニレングリコ−ルのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノ−ルA、ビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物等を例示できる。さらにポリエステルポリオ−ルとして、ε−カプロラクトン等のラクトン類を開環重合して得られる、ラクトン系ポリエステルポリオ−ル類等を例示することができる。
【0017】
本発明においてはこれらのうち多価カルボン酸成分としてシクロヘキセンジカルボン酸を1〜100mol%を含む多価カルボン酸類を用いる事が必須である。
シクロヘキセンジカルボン酸としては、cis-2- シクロヘキセン- 1, 2- ジカルボン酸、cis-4- シクロヘキセン- 1, 2- ジカルボン酸(cis-Δ4-テトラヒドロキシオルソフタル酸)が好ましい。シクロヘキセンジカルボン酸の含有量は全酸成分にたいして5〜70mol%が好ましく10〜50mol%がさらに好ましく、20〜30mol%の配合がさらに好ましい。
本発明ではシクロヘキセンジカルボン酸10〜50mol%、シクロヘキサンジカルボン酸ないしはダイマー酸50〜90mol%からなる酸成分を用いる事が好ましい。
かかるポリエステル樹脂は、イオン性基を20〜2000eq. /ton (当量/106g)の範囲にて含有することが好ましい。
ポリエステル樹脂に導入してもよいイオン性基としては、スルホン酸アルカリ金属塩基あるいはスルホン酸アンモニウム塩基、カルボン酸アルカリ金属塩基あるいはカルボン酸アンモニウム塩基、硫酸基、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基もしくはそれらのアンモニウム塩、アルカリ金属塩等のアニオン性基、または第1級ないし第3級アミン基等のカチオン性基などを用いることができる。イオン性基はイオン性基含有単量体を用いる事により導入できる。
【0018】
カチオン性基を導入するためには、2−アミノプロパン1,3ジオ−ル、ニトリルモノアルカノール、ニトリルジアルカノール、ニトリルトリアルカノールを好ましく用いることができる。
スルホン酸アルカリ金属塩基あるいはスルホン酸アンモニウム塩基、をポリエステルに導入するためには、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7ジカルボン酸、5〔4−スルホフェノキシ〕イソフタル酸、メタスルホ安息香酸等、スルホン酸基を有するモノないし多価カルボン酸類のアルカリ金属塩、アンモニウム塩などをポリエステルに共重合すればよい。Li、Na、K、等のアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、1級ないし4級アルキルアンモニウムイオン、アルカノールアミン等との塩があげられる。
【0019】
本発明に用いられるポリエステル樹脂に含有されるイオン性基は、カルボン酸基の有機アミン塩であることが好ましい。かかるイオン性基は、ポリエステル樹脂にカルボキシル基を導入し、その後に塩基により中和することによって得ることができる。塩基としてはアルカリ金属、アンモニア、その他有機アミン類を用いる事ができ、本発明では特に有機アミン類を用いる事が好ましい。ポリエステル樹脂にカルボキシル基を導入する方法としては、真空重合法においてはポリエステルの重合末期に無水トリメリット酸、無水フタル酸、無水ピロメリット酸等の多価カルボン酸無水物を系内に導入する方法を例示することができる。また減圧重合法においてはポリエステル末端に残るカルボキシル基をそのまま利用できる。
【0020】
有機アミンとしてはアルキルアミン、アルカノールアミン、アルキルアルカノールアミン、芳香族アミン、環状アミン、アルキレンジアミン等を用いる事ができ、特にアルカノールアミンの使用が好ましい。アルカノールアミンとしては、モノアルカノールアミン、ジアルキルモノアルカノールアミン、ジアルカノールアミン、モノアルキルジアルカノールアミン、トリアルカノールアミン、を例示することができ、好ましくはトリアルカノールアミンであり、さらに好ましくは2,2',2''- ニトリルトリエタノール、トリプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリブタノールアミン、トリヘキサノールアミンを用いることができる。
これらイオン性基の含有量は該ポリエステル樹脂に対し、20〜2000eq. /ton (当量/106g)が必要とされ、好ましくは20〜1000eq. /ton (当量/106g)、なお好ましくは50〜500eq. /ton (当量/106g)、なおさらに好ましくは50〜200eq. /ton (当量/106g)である。
イオン性基はポリエステル樹脂に水分散性を付与するポリエステル系樹脂微粒子に分散安定性を付与する働きを有し、イオン性基の含有量が所定の量より少ない場合には十分なる水分散性が得られない場合があり、またイオン性基の含有量が多すぎる場合にはポリエステル樹脂が水溶化し目的とする水分散体が得られない場合がある。
【0021】
ポリエステル樹脂は、真空重合法、あるいは減圧重合法等の常法により得ることができる。前者は繊維、フィルム、ポリボトル等に用いられポリエチレンテレフタレ−ト等を重合する際に用いられる方法であり比較的高分子量のポリエステルを得ることができる。後者はアルキッド樹脂等の不飽和ポリエステル樹脂を重合する際に用いられる方法であり、比較的低分子量のポリエステルが得られる。またこれらの常法の他、酸クロライド法などによりポリエステル樹脂を得ることができる。
本発明におけるポリエステル樹脂の数平均分子量は1000〜20000であることが好ましく、さらに好ましくは1500〜10000、またさらに好ましくは2000〜5000である。分子量が低いと得られる塗膜の物性が不十分となる場合がある。また分子量が高すぎると乾燥造膜が阻害される場合がある。
本発明におけるポリエステル樹脂のガラス転移温度は、20℃以上であることが好ましく、さらに40℃以上、なおさらに好ましくは50℃以上、そのうえさらに好ましくは60〜80℃の範囲である。ガラス転移温度が低すぎると乾燥塗膜に粘着性が生じ、用途によって不都合となる場合がある。またガラス転移温度が高すぎると乾燥造膜が阻害される場合がある。以上が本発明におけるポリエステル樹脂である。
【0022】
本発明の水分散体における分散質は、以上述べてきた特定組成のポリエステル樹脂5〜99重量%、エチレン性不飽和結合を有する単量体の重合により得られる樹脂1〜95重量%からなる。さらに本発明においては、分散質粒子が、以上述べてきた特定組成のポリエステル樹脂に含まれるシクロヘキセンジカルボン酸に含まれる不飽和結合と、エチレン性不飽和結合を有する単量体との重合による架橋構造を有する事が好ましい。
ここに、エチレン性不飽和結合を有する単量体、所謂ビニル系モノマ−としては例えばアルキル基の炭素数が1〜10である(メタ)アクリル酸アルキル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、グリシジル(メタ)アクリレ−ト、等の(メタ)アクリル酸エステル類、メチルビニルケトン、フェニルビニルケトン、メチルイソプロペニルケトン等の不飽和ケトン類、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルブタン酸ビニル等のビニルエステル類、メチルビニルエ−テル、エチルビニルエ−テル、プロピルビニルエ−テル、等のビニルエ−テル類、ハロゲン化ビニルおよびハロゲン化ビニリデン類、アクリルアミドおよびそのアルキル置換体が挙げられる。
【0023】
さらに、スチレン、スチレンのアルキル置換体、スチレンのハロゲン置換体、アリルアルコ−ルおよびそのエステルまたはエ−テル類、アクロレイン、メタアクロレイン等のビニルアルデヒド類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、シアン化ビニリデン等のビニルモノマ−、ならびにアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸およびこれらの塩類、ビニルスルホン酸、アクリルスルホン酸、パラスチレンスルホン酸等の不飽和炭化水素スルホン酸およびそれらの塩類、二重結合を有するリン酸エステル類、およびその塩類、ピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾ−ル、ビニルカルバゾ−ル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレ−ト、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレ−ト等が挙げられる。
またこれらに加えてシロキサン類、ラクトン類、ラクタム類、エポキシ化合物等の開環重合系モノマ−を併用してもよい。
【0024】
本発明において樹脂から成る分散質微粒子は色素により着色されることが好ましい。色素としては顔料、染料何れを用いてもよい。
より具体的には顔料として、C.I.Pigment Yellow 3、13、14、15、16、17、185、C.I.Pigment Red 47、48、58、81、95、122、184、185、C.I.PigmentViolet 23、C.I.Pigment Blue 15、16、カーボンブラック類等を好適に用いることができる。
また染料としては、架橋ポリエステル系樹脂を堅牢に染色しうるものであれば特に制限されるものではない。ポリエステル系樹脂にアニオン性基が含有される場合には塩基性染料等のカチオン性染料で、カチオン性基が含有される場合には酸性染料、直接染料、反応性染料等のアニオン性染料にて染色することができる。またポリエステル繊維等の染色に用いられる分散染料、油性染料、一部のヴァット染料、反応性分散染料等を用いることができる。
【0025】
本発明における酸性染料としては例えばカラ−インデックスのC.I.Acid Colorに分類される公知の酸性染料を用いることができる。また一部C.I.Direct Colorに分類される染料を酸性染料として用いることもできる。これらはアゾ系、アントラキノン系、キノフタロン系、トリアリルメタン系、キサンテン系、フタロシアニン系などの染料骨格に1〜4個程度のアニオン性基(多くはスルホン酸ナトリウム基)を導入したものである。プロセスカラ−用としては、イエロ−としてC.I.Acid Yellowの内、HueがGreenish Yellow、またはBright Greenish Yellowに分類される染料が、マゼンタとしてC.I.Acid Redの内、HueがBluish Red、またはBright Bluish Redに分類される染料、およびまたはC.I.Acid Violetの内、HueがReddish Violet、またはBright Reddish Violetに分類される染料が、シアンとしてC.I.Acid Blueの内、HueがGreenish Blue、またはBright Greenish Blue、およびまたはC.I.Acid Greenの内、HueがBluish Green、またはBright Bluish Greenに分類される染料が単独あるいは適宜配合されて好ましく使用される。
【0026】
本発明における塩基性染料としてはアクリジン系、メチン系、ポリメチン系、アゾ系、アゾメチン系、キサンテン系、チオキサンテン系、オキサジン系、チオキサジン系、トリアリルメタン系、シアニン系、アントラキノン系、フタロシアニン系等公知の塩基性染料を用いることができる。特にプロセスカラ−の三原色用としては、イエロ−としてC.I.Basic Yellow 11、12、13、21、23、24、33、40、51、54、63、71、87が、マゼンタとしてC.I.Basic Red 13、14、45、19、26、27、34、35、36、38、39、42、43、45、46、50、51、52、53、56、59、63、65、66、71、C.I.Basic Violet 7、11、14、15、16、18、19、20、28、29、30、33、34、35、36、38、39、41、44が、シアンとしてC.I.Basic Blue 3、22、33、41、45、54、63、65、66、67、75、77、85、87、88、109、116が好ましく用いられる。
かかるイオン性の染料は、ポリエステル樹脂に含有されるイオン性基当量に対して1〜98mol%の範囲、好ましくは20〜90mol%の範囲にて使用できる。
【0027】
本発明では「水に不溶ないしは難溶性でかつ有機溶剤に可溶である染料」により着色されることが好ましい。本発明における「水に不溶ないしは難溶性でかつ有機溶剤に可溶である染料」としては油溶性染料、分散染料、および一部の建浴染料を例示することができる。これらはカラ−インデックスにおいて「Solvent Dye」、「Disperse Dye」、「Vat Dye」に分類されるものである。
化学構造的には、アントラキノン系染料、アゾ系染料、ジスアゾ系染料、トリアゾ系染料、フタロシアニン系染料、インジゴ系染料、メチン系染料、ニトロ系染料、キノフタロン系染料、キノリン系染料、シアノメチン系染料、トリフェニルメタン系染料、キサンテン系染料などを使用できる。
より具体的には、油溶性染料として
・C.I.Solvent Yellow 96
・C.I.Solvent Yellow 162
・C.I.Solvent Red 49
・C.I.Solvent Blue 25
・C.I.Solvent Blue 35
・C.I.Solvent Blue 38
・C.I.Solvent Blue 64
・C.I.Solvent Blue 70
・C.I.Solvent Black 3
等を例示できる。
【0028】
また分散染料として
・C.I.Disperse Yellow 33
・C.I.Disperse Yellow 42
・C.I.Disperse Yellow 54
・C.I.Disperse Yellow 64
・C.I.Disperse Yellow 198
・C.I.Disperse Red 60
・C.I.Disperse Red 92
・C.I.Disperse Violet 26
・C.I.Disperse Violet 35
・C.I.Disperse Violet 38
・C.I.Disperse Blue 56
・C.I.Disperse Blue 60
・C.I.Disperse Blue 87
から選択される少なくとも1種の染料が好ましく用いられる。
【0029】
これらは特に耐光堅牢度、色相、彩度に優れるものであり、プロセスカラ−用三原色として好ましいものである。他に色相の微調整のために公知の染顔料を併用してもよい。また近年開発が進んでいる昇華型熱転写記録に用いられる染料をかかる目的に用いることも可能である。かかる染料は、ポリエステル系樹脂に対して0.2〜30重量%の範囲にて配合され、さらに好ましくは2〜25重量%、なおさらに好ましくは5〜20重量%、なおまたさらに好ましくは10〜20重量%の範囲に配合される。配合量が少ないと十分なる着色濃度が得られない。また逆に配合量が多すぎると水分散体の安定性が損なわれる。
【0030】
本発明は、かかる樹脂成分が水系媒体に微粒子状に微分散した水系微分散体である。
本発明におけるポリエステル系樹脂微粒子の製法は特に限定されず、機械的あるいは、界面化学的な公知の分散手法を用いて得ることができる。すなわちポリエステル系樹脂の溶液を界面活性剤等の乳化補助剤の存在下にホモジナイザーの如き高速の撹拌機により機械的に乳化し、脱溶剤する等の方法を用いることができる。あるいはジェットミル、フリーザーミル、ボールミル、アトライター、サンドミル等により樹脂を直接粉砕微分散する方法を用いることもできる。
本発明においてポリエステル樹脂がイオン性基含有ポリエステル樹脂である場合には、ポリエステル樹脂が自己乳化性を有するため、転相自己乳化法により微粒子を作製することができる。この微粒子をシードとし、シード重合操作を行うことによりポリエステル樹脂と、エチレン性不飽和結合を有する単量体の重合により得られるビニル系ポリマーとからなるポリエステル系樹脂粒子とすることができる。
【0031】
以下、上記の操作にてシード粒子となるポリエステル微粒子の製法について説明する。ポリエステル樹脂の微粒子分散体は、イオン性基含有ポリエステル樹脂と水溶性有機化合物とをあらかじめ混合後に水を加える方法、イオン性基含有ポリエステル樹脂と水溶性有機化合物と水とを一括して混合加熱する方法等により得ることができる。またその際に界面活性剤等を併用することもできる。
水溶性有機化合物としてはエタノ−ル、イソプロパノ−ル、ブタノ−ル、エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、タ−シャルブチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等を用いることができる。水溶性有機化合物はイオン性基含有ポリエステル樹脂を水分散化した後に共沸等により除去することができるものが好ましい。
【0032】
本発明における好ましい着色ポリエステル系樹脂微粒子の水分散体を得る好ましい方法として、所定量のカルボキシル基を有するポリエステル樹脂をまず重合し、該ポリエステル樹脂、染料、水溶性有機化合物、塩基を十分に混合溶解し、その後水を添加し水分散化し、必要に応じ水溶性有機化合物を共沸等により除去する方法を例示できる。またポリエステル樹脂の水分散体を得たる後に染料を系内に添加し高温にて処理することによっても同様に着色水分散体を得る事ができる。
水分散体とは一般にエマルジョンあるいはコロイダルディスパ−ジョンと称される状態を意味するものである。イオン性基は水系媒体中において解離し、ポリエステル樹脂と水との界面に電気二重層を形成する。ポリエステル樹脂が微細なミクロ粒子として水系内に存在する場合には電気二重層の働きによりミクロ粒子間には静電的な反発力が生じ、ミクロ粒子が水系媒体内にて安定的に分散する。
ポリエステル樹脂微粒子の粒子径はイオン性基含有量、乳化の際のポリエステル樹脂と水溶性有機化合物との比、その他、回転数、温度等の乳化条件により制御することが可能である。
【0033】
さて本発明ではこのようにして得られたポリエステル粒子を種粒子とし、該ポリエステル粒子を水系媒体中に分散した状態にて前述したエチレン性不飽和二重結合を有するモノマ−、いわゆるビニル系モノマーにてポリエステル樹脂5〜99重量%、ビニル系モノマー1〜95重量%となるように膨潤せしめ、さらに重合させることによりポリエステル系樹脂(ポリエステル系複合樹脂)の微粒子を得る。ビニル系モノマーとシクロヘキセンジカルボン酸の不飽和結合との共重合性が高く、両者の配合量が適正であれば、両者はグラフト体ないしは架橋樹脂の粒子となる。
反応開始剤としては特に制限される物ではなく公知の開始剤を使用すればよい。例えばベンゾイルパ−オキサイド等の有機過酸化物系開始剤、1, 1' −アゾビス(シクロヘキサン- 1- カルボニトリル)、2, 2- アゾビス(2- メチル- ブチロニトリル)、2, 2'-アゾビスイソブチルニトリル、2, 2'-アゾビス(2, 4- ジメチルバレロニトリル)、2, 2'-アゾビス(2, 4- ジメチル- 4- メトキシバレロニトリル)、等のアゾ系開始剤、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の水溶性開始剤等を用いることができる。
【0034】
油性の有機過酸化物系の開始剤を用いた場合には堅固に架橋した樹脂微粒子を得ることができる。水溶性の開始剤を用いた場合には粒子の表面近傍が高密度に架橋し、粒子中心部は比較的架橋密度が低いコア/シェル構造を有する樹脂微粒子を得ることができる。水溶性開始剤を用いた場合には、さらに、分散媒体中に存在するポリエステル樹脂のオリゴマー等により生じる半溶解性ミセルも重合場となるため部分的に乳化重合が生じ、その結果半水溶性ミセルが乳化重合微粒子に成長し、水分散体中の半溶解成分が除去される。さらにアゾビスイソブチルニトリルのように、両溶性の開始剤においては粒子内部も堅固に架橋し、さらに半溶解成分が除去された水分散体を得ることができる。このように粒子内部が架橋し、半溶解性成分が低減された水分散体は良好な再分散性を示す。
本発明ではコバルト系、バナジウム系、マンガン系、第3級アミン系、第4級アンモニウム塩系、メルカプタン系等の公知の反応促進剤を併用することができる。
【0035】
本発明におけるポリエステル系樹脂微粒子の平均粒子径は、0.01〜1.0μmの範囲にあることが好ましく、0.03〜0.5μmの範囲がさらに好ましく、0.05〜0.4の範囲がなお好ましく0.1〜0.3μmの範囲がなおさらに好ましい。
本発明の、微分散されているポリエステル系樹脂微粒子が着色されているところの(着色水分散体)のpHは4以上が好ましく、6以上がさらに好ましく、7.5以上がまたさらに好ましく、7.5〜9.5の範囲がなおさらに好ましい。
本発明の着色水分散体の粘度は1.5〜30センチポイズの範囲が好ましく、1.8〜15センチポイズがさらに好ましく、2.0〜10センチポイズの範囲がなおさらに好ましく、3.0〜6.0センチポイズの範囲がその上好ましい。本発明の着色水分散体の表面張力は特にこれを限定するものではないが、25℃において、好ましくは10〜72、さらに好ましくは20〜70、またさらに好ましくは30〜60dyn/cmである。
本発明の着色ポリエステル樹脂微粒子のゼ−タ電位は特にこれを限定するものではないが、20〜70mV、好ましくは30〜60mVの範囲である。
【0036】
本発明では、耐光性、耐熱性向上を目的として紫外線吸収剤、酸化防止剤等を添加することができる。
紫外線吸収剤、光安定剤としてはサリチレ−ト系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾ−ル系化合物等を用いることができる。
金属不活性剤としてはN−サリシロイル−N'-アルデヒドヒドラジン、N−サリシロイル−N'-アセチルヒドラジン、N,N'-ジフェニル−オキサミド、N、N'-ジ(2−ヒドロキシフェニル)オキサミド等を用いることができる。
オゾン劣化防止剤としては6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2ジヒドロキノリン、N−フェニル−N'-イソプロピル−p−フェニレンジアミン等を用いることができる。
ラジカル連鎖禁止剤(一次酸化防止剤)としてはフェノ−ル系化合物、アミン系化合物、アスコルビン酸系化合物等を用いることができる。
過酸化物分解剤(二次酸化防止剤)としては硫黄系化合物、相乗剤としてはクエン酸、りん酸等を用いることができる。
本発明ではベンゾトリアゾ−ル系、ベンゾフェノン系、ベンゾサリシレ−ト系から選択される少なくとも1種の紫外線吸収剤を用いることが好ましい。これら酸化防止剤の配合量はポリエステル樹脂に対し0.01〜5.0重量%、好ましくは0.02〜1.0重量%、さらに好ましくは0.05〜0.5重量%程度である。
【0037】
さらに本発明では一重項酸素クエンチャーを併用する事により耐光性、耐熱性を改善する事ができる。一重項酸素クエンチャ−としてはジアザビスシクロオクタン、カロチン等の他ニッケル錯化合物を用いることができる。
ニッケル錯化合物としては、2, 2' −チオ−ビス(4−オクチルフェニル)ニッケル、ニッケル・アセチルアセトネ−ト、ビス(ジチオベンジル)ニッケル、ビス(4, 4' −ジメトキシジチオベンジル)ニッケル、ビス(ジチオベンジル)ニッケルのテトラブチルアンモニウム塩、ビス(4, 4' −ジメトキシジチオベンジル)ニッケルのテトタブチルアンモニウム塩、2, 2' −チオ−ビス(4−タ−シャルオクチルフェノレ−ト)−タ−シャルブチルアミン・ニッケル塩、2, 2' −チオ−ビス(4−タ−シャルオクチルフェノレ−ト)−タ−シャルオクチルアミン・ニッケル塩、3,5−ジ−タ−シャルブチル−4−ヒドロキシベンジルモノエチルフォスホン酸ニッケル、ジメチルジカルバミン酸ニッケル、ジエチルジカルバミン酸ニッケル、ジブチルジカルバミン酸ニッケル、ジメチルジチオカルバミン酸ニッケル、ジエチルジチオカルバミン酸ニッケル、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル等が好ましく用いられる。これら一重項酸素クエンチャ−の配合量は樹脂に対し0.01〜5.0重量%、好ましくは0.02〜1.0重量%、さらに好ましくは0.05〜0.5重量%程度である。
【0038】
水系媒体には水溶性の各種添加剤を含むことができる。添加剤としては水溶性有機化合物を例示することができる。水溶性有機化合物としてはメタノール、エチルアルコール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノ−ル、ベンジルアルコール、エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ブチレングリコール、ジプロピレングリコ−ル、ネオペンチルグリコール、ポリプロピレングリコ−ル、ブチルセロソルブ、タ−シャルブチルセルソルブ、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、グリセリン、2,2',2''- ニトリルトリエタノール、エチレンジアミン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、N−メチルピロリドン、等を例示できる。かかる水溶性有機化合物は水系媒体の50%を越えない範囲にて適宜添加することができる。
本発明の水系媒体にはフッ素系、ないしはシリコ−ン系の消泡剤などを添加することができる。さらに各種殺菌剤や防カビ剤、また必要に応じて、透明性を損なわない程度に無機、有機系の顔料類を添加することもできる。
【0039】
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが本発明はここに示す実施例に限定されるものではない。。
【実施例1】
《ポリエステル樹脂の重合》
温度計、撹拌機を備えたオ−トクレ−ブ中に、
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸 120重量部、
cis-4−シクロヘキセン- 1, 2- ジカルボン酸 50重量部、
エチレングリコ−ル 112重量部、
トリシクロデカンジメタノール 78重量部、
テトラブトキシチタネ−ト 0.1重量部、
を仕込み150〜220℃で180分間加熱してエステル化反応を行った。次いで、240℃に昇温した後、系の圧力を徐々に減じて30分後に10mmHgとし、120分間反応を続けた。その後オ−トクレ−ブ中を窒素ガスで置換し、大気圧とした。温度を200〜220℃に保ち、
無水トリメリット酸 15.4重量部
を加え、60分間反応を行い、共重合ポリエステル樹脂(A1)を得た。
【0040】
共重合ポリエステル樹脂(A1)の 組成比(NMR分析)等は、
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸 65mol%、
cis-4−シクロヘキセン- 1, 2- ジカルボン酸 27mol%、
トリメリット酸末端 8mol%、
エチレングリコ−ル 50mol%、
トリシクロデカンジメタノール 50mol%、
平均分子量 3300、
酸価(イオン性基量) 360 eq./ton、
ガラス転移温度 68℃
であった。
【0041】
《着色ポリエステル水分散体の作製》
温度計、コンデンサ−、撹拌羽根を備えた四つ口の10リットルセパラブルフラスコにポリエステル樹脂(A1)200重量部、メチルエチルケトン100重量部、テトラハイドロフラン50重量部、(樹脂/溶剤比=4/3)シアン染料として銅フタロシアニン系油性染料ネオペンブルーFF4012[BASF社製]20重量部、塩基としてトリエタノールアミン9重量部(樹脂換算にて300eq./ton )を仕込み70℃にて溶解した。次いで70℃のイオン交換水500重量部を加え、乳化・水分散化した。さらに蒸留用フラスコにて留分温度が103℃に達するまで蒸留し、着色ポリエステル樹脂微粒子水分散体(B1)を得た。得られた着色ポリエステル樹脂微粒子の平均粒子径は0.13μmであった。
【0042】
《シード重合》
温度計、コンデンサ−、撹拌羽根を備えた四つ口の10リットルセパラブルフラスコに、不揮発分濃度を20wt%に調整した着色ポリエステル樹脂微粒子水分散体(B1)1000重量部、アゾビスイソブチロニトリルを3wt%溶解した蒸留スチレン100重量部を仕込、目視にて確認できるスチレン滴が消失するまで約2時間、静かに撹拌した。ついで温度を80℃に昇温し、5時間保持した後に室温まで冷却し、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂からなる着色架橋ポリエステル系樹脂微粒子水分散体(C1)を得た。(C1)の分散粒子径は0.15μmであった。
【0043】
《記録剤の調整》
下記構成となるように試料を混合調製し記録剤を得た。
記録剤 ;
着色ポリエステル系微粒子(C1) (不揮発分換算)20wt%
グリセリン 15wt%
エタノール 2wt%
水 63wt%
《評価》
得られた試作記録剤(D1)をロットリング社製の製図ペン(0.5mm幅)に仕込み、再生紙に線を罫がき、記録品位を目視評価した。
記録品位(目視):1線長1cmあたりのヒゲ状ノイズ(フェザリング)
1本未満 ◎
1〜2本 ○
2〜4本 △
4本以上 ×
書道用半紙にも同様に線を罫がき、本来の線幅と実際に罫かれた線幅より線の太りを求め、ニジミ幅とした。
【0044】
罫書を行なった紙をイオン交換水に5分間浸し、色材のニジミだしの有無をもって耐水性を評価した。
耐水性(目視)
○:色成分のニジミだしが全くない
△:色成分が一部ニジミでるが、記録紙の記録は残存する(文字の判読可能)。
×:色成分がニジミ出し、記録紙上の記録が欠落する
(文字の判読ができなくなる)
記録剤を仕込んだペンを40℃50%RH環境下に96時間放置し、その後、再び罫書きを行うことによりペン先の耐目詰まり性を評価した
耐目詰まり性
○:キャップなしの状態にて放置した場合においても再度罫書きが可能な状態に復帰する。
△:キャップなしの状態では復帰しないが、キャッピングして放置した場合には復帰する。
×:キャッピングしてあっても復帰しない。
【0045】
同様に記録材を仕込んだペンを60℃環境下に30分間放置し、再度罫書き可能な状態に復帰できるか否かにて耐熱性を評価した。
耐熱性
○:キャップなしの状態にて放置した場合においても再度罫書きが可能な状態に復帰する。
△:キャップなしの状態では復帰しないが、キャッピングして放置した場合には復帰する。
×:キャッピングしてあっても復帰しない。
得られた記録剤をガラス製のサンプル瓶に密封し、70℃に1ヶ月放置後の状態をもって保存安定性を評価した。
○:特に変化無し。ないしは初期に比較して10%以内の粘度上昇
△:粘度変化が10%を越える。
×:微粒子の沈降、ないしは全体のゲル化が生じる。
結果を表1.に示す。
【0046】
【表1】
なお、表1.中、
CHEA:シクロヘキセンジカルボン酸
FA :フマル酸
St :スチレン
DVB :ジビニルベンゼン
MMA :メチルメタクリレート
AIBN:アゾビスイソブチルニトリル
KPS :過硫酸カリウム
である。
【0047】
【比較例1】
《ポリエステル樹脂の重合》
温度計、撹拌機を備えたオ−トクレ−ブ中に、
ジメチルテレフタレート 94 重量部、
ジメチルイソフタレート 95 重量部、
エチレングリコール 89 重量部、
ネオペンチルグリコール 80 重量部、および
テトラブトキシチタネート 0.1重量部
を仕込み120〜230℃で120分間加熱してエステル交換反応を行った。次いで、
5−ナトリウムスルホイソフタル酸 6.7重量部
を加え、220〜230℃で60分間反応を続け、さらに、250℃まで昇温した後、系の圧力1〜10mmHgとして60分間反応を続けた結果、共重合ポリエステル樹脂(A2)を得た。
【0048】
共重合ポリエステル樹脂(A2)
組成比(NMR分析)
テレフタル酸 48.5mol%、
イソフタル酸 49 mol%、
5−ナトリウムスルホイソフタル酸 2.5mol%、
エチレングリコール 61 mol%、
ネオペンチルグリコール 39 mol%、
平均分子量 2700、
スルホン酸ナトリウム基含有量(イオン性基量) 118 eq./ton
ガラス転移温度 58℃
なおスルホン酸ナトリウム基量は蛍光X線分析測定により求めた樹脂中の硫黄濃度を基準とする。
【0049】
《着色ポリエステル水分散体の作製》
温度計、コンデンサ−、撹拌羽根を備えた四つ口の10リットルセパラブルフラスコにポリエステル樹脂(A2)200重量部、メチルエチルケトン100重量部、テトラハイドロフラン50重量部、(樹脂/溶剤比=4/3)シアン染料として銅フタロシアニン系油性染料ネオペンブルーFF4012[BASF社製]20重量部を仕込み70℃にて溶解した。次いで70℃のイオン交換水500重量部を加え、乳化・水分散化した。さらに蒸留用フラスコにて留分温度が103℃に達するまで蒸留し、着色ポリエステル樹脂微粒子水分散体(B2)を得た。得られた着色ポリエステル樹脂微粒子の平均粒子径は0.10μmであった。《記録剤の調整》
下記構成となるように試料を混合調製し記録剤を得た。
記録剤;
着色ポリエステル微粒子(B2) (不揮発分換算)20wt%
グリセリン 15wt%
エタノール 2wt%
水 63wt%
【0050】
《評価》
以下実施例1と同様に評価した。結果を表1.に示す。
【比較例2】
《ポリエステル樹脂の重合》
実施例1と同様に重合を行い、以下に示すポリエステル樹脂を得た。
共重合ポリエステル樹脂(A3)
組成比(NMR分析)
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸 65mol%、
フマル酸 27mol%、
トリメリット酸末端 8mol%、
エチレングリコ−ル 50mol%、
トリシクロデカンジメタノール 50mol%、
平均分子量 3200、
酸価(イオン性基量) 500 eq./ton、
ガラス転移温度 68℃
【0051】
《着色ポリエステル水分散体の作製》
実施例1と同様に操作し、着色ポリエステル樹脂微粒子水分散体(B3)を得た。得られた着色ポリエステル樹脂微粒子の平均粒子径は0.09μmであった。
《シード重合》
温度計、コンデンサ−、撹拌羽根を備えた四つ口の10リットルセパラブルフラスコに、不揮発分濃度を20wt%に調整した着色ポリエステル樹脂微粒子水分散体(B1)1000重量部、アゾビスイソブチロニトリルを3wt%溶解した蒸留スチレン100重量部を仕込、目視にて確認できるスチレン滴が消失するまで約2時間、静かに撹拌した。ついで温度を80℃に昇温し、5時間保持した後に室温まで冷却し、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂からなる着色架橋ポリエステル系樹脂微粒子水分散体(C3)を得た。(C3)の分散粒子径は0.10μmであった。
【0052】
《記録剤の調整》
下記構成となるように試料を混合調製し記録剤を得た。
記録剤;
着色ポリエステル系微粒子(C3) (不揮発分換算)20wt%
グリセリン 15wt%
エタノール 2wt%
水 63wt%
《評価》
以下実施例1と同様に評価した。結果を表1.に示す。
【0053】
【実施例2】
《ポリエステル樹脂の重合》
比較例1と同様に重合を行い、以下に示すポリエステル樹脂を得た。
共重合ポリエステル樹脂(A4)
組成比(NMR分析)
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸 20mol%、
ダイマー酸 50mol%、
cis-4−シクロヘキセン- 1, 2- ジカルボン酸 27mol%、
5−ナトリウムスルホイソフタル酸 3mol%、
エチレングリコ−ル 98mol%、
ポリエチレングリコール#20000 2mol%,
平均分子量 3500、
スルホン酸ナトリウム基含有量(イオン性基量) 98 eq./ton
ガラス転移温度 68℃
【0054】
《着色ポリエステル水分散体の作製》
温度計、コンデンサ−、撹拌羽根を備えた四つ口の10リットルセパラブルフラスコにポリエステル樹脂(A4)200重量部、メチルエチルケトン100重量部、テトラハイドロフラン200重量部、(樹脂/溶剤比=2/3)マゼンタ染料としてオレオゾル・ファスト・ピンクFB(C.I.Solvent Red218)[田岡化学工業(株)製]15重量部を仕込み70℃にて溶解した。次いで70℃のイオン交換水500重量部を加え、乳化・水分散化した。さらに蒸留用フラスコにて留分温度が103℃に達するまで蒸留し、着色ポリエステル樹脂微粒子水分散体(B4)を得た。得られた着色ポリエステル樹脂微粒子の平均粒子径は0.32μmであった。
《シード重合》
温度計、コンデンサ−、撹拌羽根を備えた四つ口の10リットルセパラブルフラスコに、不揮発分濃度を20wt%に調整した着色ポリエステル樹脂微粒子水分散体(B4)1000重量部、アゾビスイソブチロニトリルを3wt%溶解した蒸留スチレン20重量部、ジビニルベンゼン80重量部を仕込、目視にて確認できるモノマー滴が消失するまで約2時間、静かに撹拌した。ついで温度を80℃に昇温し、5時間保持した後に室温まで冷却し、ポリエステル樹脂、ポリスチレン/ポリジビニルベンゼン樹脂からなる着色架橋ポリエステル系樹脂微粒子水分散体(C4)を得た。(C4)の分散粒子径は0.34μmであった。
【0055】
《記録剤の調整》
下記構成となるように試料を混合調製し記録剤を得た。
記録剤;
着色ポリエステル系微粒子(C4) (不揮発分換算)20wt%
グリセリン 15wt%
エタノール 2wt%
水 63wt%
《評価》
以下実施例1と同様に評価した。結果を表1.に示す。
【0056】
【実施例3】
《着色ポリエステル水分散体の作製》
温度計、コンデンサ−、撹拌羽根を備えた四つ口の10リットルセパラブルフラスコにポリエステル樹脂(A1)200重量部、メチルエチルケトン100重量部、テトラハイドロフラン50重量部、(樹脂/溶剤比=4/3)シアン染料としてアイゼン・スピロン・イエローGRLHスペシャル[保土ヶ谷化学社製]10重量部、塩基としてトリエタノールアミン6重量部(樹脂換算にて200eq./ton )を仕込み70℃にて溶解した。次いで70℃のイオン交換水500重量部を加え、乳化・水分散化した。さらに蒸留用フラスコにて留分温度が103℃に達するまで蒸留し、着色ポリエステル樹脂微粒子水分散体(B5)を得た。得られた着色ポリエステル樹脂微粒子の平均粒子径は0.25μmであった。
《シード重合》
温度計、コンデンサ−、撹拌羽根を備えた四つ口の10リットルセパラブルフラスコに、不揮発分濃度を20wt%に調整した着色ポリエステル樹脂微粒子水分散体(B5)1000重量部、アゾビスイソブチロニトリルを3wt%溶解したメチルメタクリレート100重量部を仕込、目視にて確認できるモノマー滴が消失するまで約2時間、静かに撹拌した。ついで温度を80℃に昇温し、5時間保持した後に室温まで冷却し、ポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂からなる着色架橋ポリエステル系樹脂微粒子水分散体(C5)を得た。(C5)の分散粒子径は0.27μmであった。
【0057】
《記録剤の調整》
下記構成となるように試料を混合調製し記録剤を得た。
記録剤;
着色ポリエステル系微粒子(C5) (不揮発分換算)20wt%
グリセリン 15wt%
エタノール 2wt%
水 63wt%
《評価》
以下実施例1と同様に評価した。結果を表1.に示す。
【0058】
【実施例4】
《乳化重合処理》
温度計、コンデンサ−、撹拌羽根を備えた四つ口の10リットルセパラブルフラスコに、不揮発分濃度を20wt%に調整した実施例3にて得られた着色ポリエステル樹脂微粒子水分散体(B5)1000重量部、メチルメタクリレート10重量部を仕込、目視にて確認できるモノマー滴が消失するまで約2時間、静かに撹拌した。ついで、過硫酸カリウム0.5重量部を溶解した脱イオン水100重量部を加え、温度を80℃に昇温し、5時間保持した後に室温まで冷却し、ポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂からなる着色架橋ポリエステル系樹脂微粒子水分散体(C6)を得た。(C6)の分散粒子径は0.25μmであった。
《記録剤の調整》
下記構成となるように試料を混合調製し記録剤を得た。
記録剤;
着色ポリエステル系微粒子(C6) (不揮発分換算)20wt%
グリセリン 15wt%
エタノール 2wt%
水 63wt%
《評価》
以下実施例1と同様に評価した。結果を表1.に示す。
【0059】
【比較例3】
下記組成の記録剤を調製し、同様の評価を行なった。結果を表2.に示す。
水溶性染料 C.I.Direct Blue 86 精製品 2wt%
グリセリン 5wt%
水 93wt%
染料の精製操作は主に無機不純物である硫酸ナトリウムの除去を意味する。本試作記録剤は樹脂粒子を含まない所謂典型的な水溶性染料型記録剤である。
【0060】
【発明の効果】
以上述べてきたように、本発明のポリエステル系樹脂着色水分散体は高記録品位を有する記録剤として優れた特性を有する物であり、筆記具、製図用インク等から各種ノンインパクトプリンター、グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷等に広く用いることができるものである。
Claims (5)
- 分散質として、シクロヘキセンジカルボン酸1〜100mol%を含む多価カルボン酸類と多価アルコールから得られるポリエステル樹脂5〜99重量%、エチレン性不飽和結合を有する単量体の重合により得られる樹脂95〜1重量%からなるポリエステル系樹脂微粒子が水系媒体中に微分散されたことを特徴とするポリエステル系樹脂水分散体。
- 前記ポリエステル樹脂がイオン性基を20〜2000eq. /ton 含有する請求項1記載のポリエステル系樹脂水分散体。
- 前記ポリエステル系樹脂微粒子が染料およびまたは顔料にて着色されている請求項1記載のポリエステル系樹脂水分散体。
- 前記ポリエステル系樹脂を着色する色材が疎水性およびまたは有機溶剤可溶型染料である請求項1記載の着色ポリエステル系樹脂水分散体。
- 水系媒体中において、シクロヘキセンジカルボン酸1〜100mol%を含む多価カルボン酸類と多価アルコールから得られ、イオン性基を20〜2000eq. /ton 含有するポリエステル系樹脂微粒子の存在下に、エチレン性不飽和結合を有する単量体を、水溶性を有する開始剤により重合させることを特徴とするポリエステル系樹脂水分散体の製法。
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