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JP3599215B2 - ゴム組成物 - Google Patents

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JP3599215B2
JP3599215B2 JP17287196A JP17287196A JP3599215B2 JP 3599215 B2 JP3599215 B2 JP 3599215B2 JP 17287196 A JP17287196 A JP 17287196A JP 17287196 A JP17287196 A JP 17287196A JP 3599215 B2 JP3599215 B2 JP 3599215B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はゴム組成物に関し、特には、タイヤトレッドやタイヤカーカスプライのコーティングゴムに好適なゴム組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、シリカを配合することにより、タイヤのウェット性能、低燃費性能、耐摩耗性等の向上を図ったゴム組成物が種々提案されている。しかし、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、天然ゴム(NR)、スチレン−イソプレンゴム(SIR)、スチレン−イソプレン−ブタジエンゴム(SIBR)、ニトリルゴム(NBR)等のポリマーゴムにシリカが充填される場合、カーボンブラック充填ゴム組成物に比べ加硫ゴムの弾性率が低くなることが知られている。
【0003】
そこで、従来では弾性率の低下を防ぐために、シリカカップリング剤を併用したり、またゴム材としてエポキシ化天然ゴムを用いる等して、シリカの分散性および補強性を高めることが行われている。
【0004】
例えば、特開平7−149955号公報には、エポキシ化天然ゴムをゴム成分として有するゴム組成物にシリカを配合することにより耐摩耗性等の特性が改善され得るとする、硫黄硬化性のタイヤ用ゴム組成物が開示されている。
【0005】
また、特開平7−278411号公報には、耐熱性を改善するために、エポキシ基を有するエラストマーに無機充填剤を配合したエラストマー組成物が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来提案されてきたシリカ充填ゴム組成物の改良技術は、必ずしも十分に満足の得られるものではなかった。
【0007】
すなわち、シリカカップリング剤の従来の如き使用は、コスト高、押出し時のアルコールの発生といった問題を有している。しかし、エポキシ基を有しないゴムポリマーにシリカを充填したゴム組成物においては、シリカカップリング剤が存在しないと加硫ゴムの弾性率が低下し、またシリカの分散性の低下や、耐摩耗性の低下を招くことになる。
【0008】
また、上記特開平7−149955号公報に開示されているように、シリカ充填ゴムゴム組成物にエポキシ化天然ゴムを用いても、かかるエポキシ化天然ゴムは耐熱老化性が悪いために、経年変化により破壊物性の低下をきたすことになる。さらに、上記特開平7−278411号公報に開示された、エポキシ基含有エラストマーに無機充填剤を配合したエラストマー組成物においては、エポキシ基含有モノマーの使用量が全モノマーの0.1〜5重量%と低いレベルにあり、シリカを補強するには十分ではなかった。
【0009】
そこで本発明の目的は、シリカカップリング剤未配合若しくは低配合のシリカ充填ゴム組成物において、弾性率の実質的低下を招くことなく耐熱老化性の改善されたゴム組成物を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のエポキシ化変性スチレン−ブタジエンゴムおよび/またはブタジエンゴムをゴム成分中に所定量含有せしめ、かつシリカを所定量配合することにより上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明のゴム組成物は、ブタジエン部のエポキシ化率が15〜30モル%のエポキシ化変性スチレン−ブタジエンゴムおよび/またはブタジエンゴムをゴム成分中に5重量%以上含有し、かつ該ゴム成分100重量部に対してシリカを5〜85重量部と、シリカカップリング剤を8.5重量部以下で含有し、上記エポキシ化変性スチレン−ブタジエンゴムおよび/またはブタジエンゴムが−55〜5℃の範囲内に損失係数(tanδ)値のピーク温度を有することを特徴とするものである。
【0012】
本発明においては、シリカカップリング剤の配合量が上記ゴム成分100重量部に対して8.5重量部以下であることが好ましい。
【0013】
また、上記ブタジエン部のエポキシ化率が15〜30モル%であることが好ましい。
【0014】
さらに、上記エポキシ化変性スチレン−ブタジエンゴムおよび/またはブタジエンゴムが−55〜5℃の範囲内に損失係数(tanδ)値のピーク温度を有することが好ましい。
【0015】
以下に、本発明の効果発現のメカニズムについて説明する。
エポキシ基含有ポリマーとシリカの表面は、次式、
Figure 0003599215
に示されるような反応が起こり、結果として高い補強性が得られる。
【0016】
ここで、エポキシ化天然ゴムにおいては、シス−1,4結合が100%といわれている天然ゴムのシス−1,4−ポリイソプレンが次式、
Figure 0003599215
に示されるように変性され、そのため、エポキシ化された部分で主鎖切断されやすく、破壊物性の低下を招いている。
【0017】
これに対して、本発明において使用するエポキシ化変性スチレン−ブタジエンゴムやエポキシ化変性ブタジエンゴムにおいては、不飽和結合を側鎖にもつスチレン−ブタジエンゴムおよびブタジエンゴムの該側鎖が次式、
Figure 0003599215
に示されるようにエポキシ化されるので、エポキシ化天然ゴムに比べ主鎖に対する影響がない。よって、主鎖切断が起こりにくく、破壊物性が低下しにくいという特徴がある。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明のゴム組成物においては、使用するスチレン−ブタジエンゴムおよび/またはブタジエンゴムにおけるブタジエン部のエポキシ化率が15〜30モル%である。かかるブタジエン部のエポキシ化率が5モル%未満であると弾性率を高める効果が得られず、一方85モル%を超えると分散性、低温脆化性が悪化する。エポキシ化率が15〜30モル%のときは側鎖ビニル部のエポキシ化の割合が高いために主鎖切断が特に起きにくく、良好な耐熱老化性が得られるため、特に好ましい。
【0019】
また、エポキシ化変性スチレン−ブタジエンゴムおよび/またはブタジエンゴムのゴム成分中に占める割合は5重量%以上である。5重量%未満であると加硫ゴムの弾性率を高める効果が得られない。
【0020】
上述のエポキシ化変性スチレン−ブタジエンゴムやブタジエンゴムにおけるブタジエン部のエポキシ化は、例えば、過酸化水素−カルボン酸法等の常法により行うことができる。
【0021】
また、本発明においては、ゴム成分100重量部に対してシリカが5〜85重量部含まれる。シリカの配合量が5重量部未満ではシリカ配合による補強効果が得られず、一方84重量部を超えるとムーニー粘度が高くなり、混練が困難となって加工性に劣る。
【0022】
本発明のゴム組成物には、シリカカップリング剤を配合することもできるが、ゴム成分100重量部に対して8.5重量部以下とすることが好ましい。これは、シリカカップリング剤使用によるコストの上昇および押出し時のアルコールの発生といった問題を回避するためである。
【0023】
また、上記エポキシ化変性スチレン−ブタジエンゴムおよび/またはブタジエンゴムが−55〜5℃の範囲内に損失係数(tanδ)値のピーク温度を有することが好ましい。損失係数(tanδ)値のピーク温度が、−55℃よりも低いとゴムの摩擦特性が悪化し、一方5℃を超えると低温脆化性が悪化する。
【0024】
本発明のゴム組成物においては、上述のエポキシ化変性スチレン−ブタジエンゴムおよび/またはブタジエンゴムとブレンドする他のゴム成分は特に限定されず、例えば、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、天然ゴム(NR)、スチレン−イソプレンゴム(SIR)、スチレン−イソプレン−ブタジエンゴム(SIBR)、ニトリルゴム(NBR)等を挙げることができる。また、使用するシリカの種類も制限されるべきものではない。また、補強剤としてカーボンブラックを併用することができ、かかるカーボンブラックの種類も制限されるべきものではない。さらに、本発明のタイヤ用ゴム組成物には、上記成分の外、通常ゴム組成物に用いられる老化防止剤、ワックス、加硫促進剤等の配合剤、またシリカ含有ゴム組成物に用いられるシランカップリング剤、分散剤等を適宜配合することができる。
【0025】
【実施例】
次に本発明を実施例、比較例および参考例により具体的に説明する。
[実施例1〜2、比較例1〜3、参考例1〜2]
下記の表1に示す配合処方(重量部)に従い、ゴムをバンバリー中で混練して各種ゴム組成物を調製した。得られたゴム組成物について、硬度、300%伸長時の弾性率、25℃での反発弾性、および熱老化変化率(引張強さ、伸びの変化率)について評価を行った。評価方法を以下に示す。
【0026】
(イ)硬度
JIS−K−6301に準拠したスプリング硬さA型による硬さである。
【0027】
(ロ)300%伸長時の弾性率、25℃での反発弾性、熱老化変化率(引張強さおよび伸びの変化率)
加硫物物性として、JIS K 6301に従って測定した。
【0028】
硬度、300%弾性率および反発弾性は比較例1の値を100として指数表示した。
【0029】
熱老化性変化率(引張強さおよび伸びの変化率)は、JIS K6301 6.3空気加熱老化試験に従い、100℃、24時間老化後、測定された物性の加熱前物性との変化率で示した。
得られた結果を下記の表1に併記する。
【0030】
【表1】
Figure 0003599215
1)マレーシア天然ゴム公社製ENR25(エポキシ化率25%の天然ゴム)
2)日本合成ゴム(株)製SBR#1500
3)スチレン5重量%の乳化重合SBRのブタジエン部を過酸化水素−カルボン酸法により、常法にて18モル%エポキシ化したスチレン−ブタジエンゴム
4)Degussa社製Si69(ビス−3−(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド 100%)
5)日本シリカ(株)製VN3
【0031】
上記表1から以下のことが確かめられた。
参考例1および2から分かるように、エポキシ化変性スチレン−ブタジエンゴムを用いた場合、シリカカップリング剤を用いなくとも良好な硫黄硬化特性が得られ、特にゴム材としてすべてエポキシ化変性スチレン−ブタジエンゴムを用いた参考例2においては、シリカカップリング剤を用いた比較例1よりも優れた硬化特性が得らている。このように、本発明のゴム組成物においては未加硫粘度の上昇をもたらし易いシリカカップリング剤を使用しなくとも優れた硬化特性が得られるため、シリカカップリング剤の使用に基づく押出し性やゴム肌の問題、および押出し時にアルコールが発生するといった問題を回避することができる。
【0032】
また、実施例1および2においては、エポキシ化変性スチレン−ブタジエンゴムを用いると同時にシリカカップリング剤を併用した場合を示しており、この場合は硬度と弾性率が比較例1に比し高く、特にゴム材としてすべてエポキシ化変性スチレン−ブタジエンゴムを用いた実施例2においては、大幅に硬度と弾性率が上昇している。
【0033】
これに対して、エポキシ化天然ゴムを用いた比較例2においては、比較例1に比し耐熱老化性に劣り、また、通常のスチレン−ブタジエンゴムを用いシリカカップリング剤を用いていない比較例3においては弾性率の低下が顕著である。
【0034】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明のゴム組成物においては、特定のエポキシ化変性スチレン−ブタジエンゴムおよび/またはブタジエンゴムをゴム成分中に所定量含有せしめ、かつシリカを所定量配合したことにより、弾性率の実質的低下を招くことなく耐熱老化性を改善することができ、例えば、タイヤのトレッドやカーカスプライのコーティングゴムとして好適に使用することができる。

Claims (1)

  1. ブタジエン部のエポキシ化率が15〜30モル%のエポキシ化変性スチレン−ブタジエンゴムおよび/またはブタジエンゴムをゴム成分中に5重量%以上含有し、かつ該ゴム成分100重量部に対してシリカを5〜85重量部と、シリカカップリング剤を8.5重量部以下で含有し、上記エポキシ化変性スチレン−ブタジエンゴムおよび/またはブタジエンゴムが−55〜5℃の範囲内に損失係数(tanδ)値のピーク温度を有することを特徴とするゴム組成物。
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