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JP3599265B2 - 軽油留分の水素化精製方法 - Google Patents

軽油留分の水素化精製方法 Download PDF

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JP3599265B2
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Japan Energy Corp
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  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、直留軽油留分、接触分解軽油、熱分解軽油などの軽油留分を硫黄分150ppm以下に深度脱硫する水素化精製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、軽油留分の水素化精製は、アルミナ、シリカ−アルミナなどで構成される多孔性の無機担体に水素化能を有する活性金属であるモリブデン、タングステン、ニッケル、コバルトなどを担持した触媒を水素雰囲気下において軽油留分と接触させることで行われ、このような水素化精製により、軽油留分中からヘテロ元素、すなわち硫黄、窒素などが除去される。
【0003】
最近、環境保護の観点から軽油中に含まれる硫黄分を500ppm以下に低減させる、いわゆる軽油深度脱硫が要請されている。または、高度な脱窒素処理が要請され、このための精製プロセスの確立が急がれれている。上記の軽油深度脱硫を行うプロセスとして、(1)2段水素添加方法、(2)後段反応塔において原料油と水素を交流接触させる方法、(3)前段反応塔の生成油中に含まれている硫化水素を一旦気液分離槽で抜出し、その後、後段反応塔へフィードする硫化水素濃度の低減方法などが考案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
環境保護の高まりから軽油中の硫黄分をさらに低減し、150ppm以下とするような深度脱硫が望まれている。しかし、従来の軽油深度脱硫では、このような低硫黄濃度の実現には限界があり、複雑な精製装置を新たに設けることや高度な運転技術を必要とする。また、特殊な精製装置を用いるために製油所の運転上のフレキシビリティーが低下してしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するもので、本発明の目的は、簡単な、従来と同等の精製装置により高度な脱硫・脱窒素が可能な水素化精製方法を提供し、また、装置運転上の制限を緩和することで精製装置のフレキシビリティーを確保することが可能な軽油留分の水素化精製方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、軽油留分を水素化精製する際の運転条件を詳細に検討した結果、液空間速度、水素/油比、および、水素圧力が所定の条件を満たす場合に、高度な精製処理が可能となることを見いだし、本発明を完成したものである。
【0007】
本発明による軽油留分の水素化精製方法は、軽油留分と水素を水素化精製用触媒に接触させ、硫黄分を25ppm以下、窒素分を1ppm以下、全アロマ分が20重量%以下で、かつ、3環以上のアロマ分が0.2重量%以下に水素化精製する方法において、軽油留分の90%留出温度が330〜370℃であり、水素化精製用触媒が多孔性の無機担体に、金属元素換算で5〜20重量%のモリブデンと、金属元素換算で1〜10重量%のコバルトと、りん元素換算で0.1〜8重量%のりんが担持された触媒であり、水素化精製時の液空間速度を0.5〜1.7hr−1(0.5〜1.7/時間)とし、水素/油比を250〜450L/Lとし、水素圧力を45〜90kg/cmとし、反応温度を300〜380℃とし、かつ、水素/油比を液空間速度で割った値が250hr(250時間)以上とするものである。
【0008】
特には、軽油留分の10%留出温度が240〜280℃、50%留出温度が280〜320℃であり、かつ、水素/油比を液空間速度で割った値が250hr以上であることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
[軽油留分] 本発明の原料油となる軽油留分は、直留軽油留分を用いることが好ましく、直留軽油留分単独でもよいが、軽質熱分解油軽油や軽質接触分解軽油を直留軽油留分に混合した混合軽油留分でもよい。この直留軽油留分とは、原油を常圧蒸留して得られる、おおよそ10%留出点が240〜280℃、50%留出点が280〜320℃、90%留出点が330〜370℃からなっているものである。なお、沸点及び留出点は特に断らない限り、JIS K 2254「燃料油蒸留試験方法」による値である。
【0010】
熱分解油とは、重質油留分に熱を加えて、ラジカル反応を主体にした反応により得られた軽質留分油で、例えば、ディレードコーキング法、ビスブレーキング法或いはフルードコーキング法等により得られる留分をいう。これらの留分は得られる全留分を熱分解油としてもちいてもよいが、留出温度が150〜520℃の範囲内にある留分を用いることが好適である。
【0011】
接触分解油とは、中間留分や重質留分、特には減圧蒸留留分等をゼオライト系触媒と接触分解する際に得られる留分、特に高オクタン価ガソリン製造を目的とした流動接触分解装置において副生する分解軽油留分である。この留分は、一般に、沸点が相対的に低い軽質接触分解油と沸点が相対的に高い重質接触分解油とが別々に採取されている。本発明においては、これらの留分のいずれをも用いることができるが、前者の軽質接触分解油、いわゆるライトサイクルオイル(LCO)を用いることが好ましい。このLCOは、一般に、10%留出点が220〜250℃、50%留出点が260〜290℃、90%留出点が310〜355℃の範囲内にある。また、重質接触分解油、いわゆるヘビーサイクルオイル(HCO)は、10%留出点が280〜340℃、50%留出点が390〜420℃、90%留出点が450℃以上にある。
【0012】
[水素化精製用触媒]本発明に用いる水素化精製用触媒としては、アルミナ担体にモリブデンを金属元素換算で約5〜20重量%と、コバルトを金属元素換算で1〜10重量%担持させ、更に燐をリン元素換算で0.1〜8重量%担持した触媒を用いることが好ましい。
【0013】
反応塔への触媒の充填は、触媒層内における効率のよい気液接触を確保するため、触媒充填機を用いるとよい。この充填機の使用によって充填時の反応塔内における触媒層面はほぼ水平となり、触媒層内における流体の偏流やこのような偏流に起因すると考えられているホットスポットの発生を防止できるだけでなく、反応塔に密に触媒が充填されるために触媒活性や触媒寿命に好ましい影響を与える。触媒層内の水平方向面内の複数ヶ所で測定した温度差が10℃以下、特には5℃以下であることが好ましい。
【0014】
[水素化精製] 本発明による水素化精製条件は、液空間速度を0.5〜1.7hr−1とし、水素/油比を250〜450L/Lとし、水素圧力を45〜90kg/cmとし、かつ、水素/油比を液空間速度で割った値が200hr以上である。さらには、水素/油比を液空間速度で割った値が250hr以上であることが好ましい。反応温度は、300〜380℃が用いられる。
【0015】
本発明による水素化精製条件では、原料油中に含まれる硫黄化合物の水素化脱硫反応やアロマ分への水素添加反応などの進行に伴う発熱量が大きく、この発熱によって反応器内の触媒層が急激な温度上昇にさらされる可能性が大きい。この温度上昇は、多環アロマの生成やそれに起因する生成油の色相悪化、触媒活性の低下や触媒寿命の短命化などの原因となる。そこで本発明では、水素化精製反応装置として通常水素化精製に用いられる反応器を用いることが出来るが、上記の様な温度上昇を効果的に防止するために、反応器内の触媒層を必要に応じて複数の床に分割し、かつ必要に応じて各床の間に水素を供給できることが好ましい。この時分割した各触媒床における入口と出口の温度差は50℃以下、特には25℃以下にすることが好ましい。
【0016】
本発明により水素化精製された軽油留分は、硫黄分が25ppm以下となる。
特には、水素/油比を液空間速度で割った値が250hr以上の条件下では、硫黄分が50ppm以下であり、全アロマ分が20重量%以下で、かつ、2環以上のアロマ分が1重量%以下とすることが可能である。また、通常窒素分は、1ppm以下とすることができ、3環以上のアロマ分が0.2重量%以下、特には0.1重量%以下とすることができる。
【0017】
【発明の効果】
本発明による水素化精製方法は、液空間速度、水素/油比、水素圧力が所定の条件を満たすものであり、複雑な精製装置を用いることなく、硫黄分・窒素分の十分な低減のみでなく、アロマ分、特には2環以上のアロマ分をも低減することができる。したがって、環境に配慮された自動車用軽油などの基材に用いられる軽油留分を工業的に製造することが可能となる。
【0018】
【実施例】
本発明を実施例により詳しく説明する。
【0019】
原料油として中東系直留軽油留分を、水素化精製触媒として市販触媒(オリエントキャタリスト製、HOP463)を用い、表1の条件で反応温度、水素圧力、液空間速度、水素/油比を変えて水素化精製を行った。用いた中東系直留軽油留分の性状は、比重0.8558、硫黄分1.47重量%、窒素分138重量ppm、10%留出温度275℃、50%留出温度307℃、90%留出温度355℃である。用いた水素化精製触媒は、アルミナなどからなる担体に触媒に対する重量%としてMoを元素として10wt%、Coを3wt%、Pを2wt%担持したものである。
【0020】
水素化精製した軽油留分について、硫黄分をJIS K 2541 電流滴定酸化法により、窒素分をJIS K 2609 化学発光法により、また、アロマ分を石油学会規格に準拠してそれぞれ測定し、その結果を表1に併せて示す。
【0021】
【表1】
Figure 0003599265
【0022】
評価結果から、水素圧力が45kg/cm以上であり、水素/油比を液空間速度で割った値([水素/油比]/[液空間速度])が250hr以上である実験例1〜2において、硫黄分が25ppm以下で、アロマ分19%以下となることが分かる。

Claims (2)

  1. 軽油留分と水素を水素化精製用触媒に接触させ、硫黄分を25ppm以下、窒素分を1ppm以下、全アロマ分を20重量%以下で、かつ、3環以上のアロマ分が0.2重量%以下に水素化精製する方法において、
    軽油留分の90%留出温度が330〜370℃であり、
    水素化精製用触媒が多孔性の無機担体に、金属元素換算で5〜20重量%のモリブデンと、金属元素換算で1〜10重量%のコバルトと、りん元素換算で0.1〜8重量%のりんが担持された触媒であり、
    水素化精製時の液空間速度を0.5〜1.7hr−1とし、水素/油比を250〜450L/Lとし、水素圧力を45〜90kg/cmとし、反応温度を300〜380℃とし、かつ、水素/油比を液空間速度で割った値が250hr以上である軽油留分の水素化精製方法。
  2. 軽油留分の10%留出温度が240〜280℃、50%留出温度が280〜320℃であり、かつ、水素/油比を液空間速度で割った値が250hr以上である請求項1に記載の軽油留分の水素化精製方法。
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