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JP3578489B2 - 1,2−ベンゾイソチアゾール−3−オン類の製造方法 - Google Patents

1,2−ベンゾイソチアゾール−3−オン類の製造方法 Download PDF

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JP3578489B2
JP3578489B2 JP18888394A JP18888394A JP3578489B2 JP 3578489 B2 JP3578489 B2 JP 3578489B2 JP 18888394 A JP18888394 A JP 18888394A JP 18888394 A JP18888394 A JP 18888394A JP 3578489 B2 JP3578489 B2 JP 3578489B2
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、2−(アルキルチオ)ベンズアルデヒド類、または2−(アルキルチオ)ベンズアルデヒドオキシム類を原料とする1,2−ベンゾイソチアゾール−3−オン類の新規な製造方法に関する。この1,2−ベンゾイソチアゾール−3−オン類は抗菌剤、抗かび剤として有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】
従来、1,2−ベンゾイソチアゾール−3−オン類の製造方法としては、下記に挙げる方法などが知られている。
【0003】
(A)Bull. Chem. Soc. Jpn., 55, 1183−7(1982)
【0004】
【化6】
Figure 0003578489
【0005】
(B)Org. Prep. Proced. Int., 15(5), 315−19(1983)
【0006】
【化7】
Figure 0003578489
【0007】
(C)Ger. Offen. 3500577, (1986)
【0008】
【化8】
Figure 0003578489
【0009】
また、これら公知の方法の改良方法として、本出願人らは既に下記の方法について出願済である。
(D)平成5年12月29日出願の「1,2−ベンゾイソチアゾール−3−オン類の製造方法」(特願平5−350932号)
【0010】
【化9】
Figure 0003578489
【0011】
(E)平成6年6月8日出願の「イソチアゾロン誘導体の製造方法」(整理番号SS−6−005)
【0012】
【化10】
Figure 0003578489
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらの製造方法は、次のような欠点がある。
(A)の方法は、原料として用いる2−(メチルチオ)ベンゾイルクロライドが安価に製造できないことおよびその安定性に問題がある。また、高価で、取扱い上危険性の高い過よう素酸塩を用いており、しかも反応工程数が多い。
【0014】
(B)および(C)の方法もまた、高価なチオサリチル酸を原料として用いており、しかも反応工程数が多いため、工業的に有利な方法とは言い難い。
また、本出願人らによる(D)、(E)の方法においては、出発原料として2−(アルキルチオ)ベンズアミド類を用い、これをハロゲン化剤と反応させる前記従来法の改良方法である。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記した状況に鑑み、工業的に有利な、しかも高価で取扱い上危険性の高い物質を使用することなく、簡易かつ経済的に有利に1,2−ベンゾイソチアゾール−3−オン類を製造する方法を提供すべく鋭意検討した。その結果、一般式(II)で表される2−(アルキルチオ)ベンズアルデヒドオキシム類とハロゲン化剤とを反応させることにより、一般式(III) で表される1,2−ベンゾイソチアゾール−3−オン類が得られることを見出した。
【0016】
【化11】
Figure 0003578489
【0017】
(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基もしくはそのエステル又はハロゲン原子を表す。)
【0018】
さらに、本発明者らは、一般式(I)で表される2−(アルキルチオ)ベンズアルデヒド類とヒドロキシルアミンとを反応させることにより、上記の一般式(II)で表される2−(アルキルチオ)ベンズアルデヒドオキシム類が容易に得られることに着目した。
そして、上記反応により生成する一般式(II)で表される2−(アルキルチオ)ベンズアルデヒドオキシム類を、引き続きハロゲン化剤と反応させることにより、一般式(III) で表される1,2−ベンゾイソチアゾール−3−オン類が得られること、さらに、上記反応を非水溶性有機溶媒の系で行えば、一連の反応をワンポットで行うことができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0019】
即ち、本発明の要旨は、
(1) 一般式(I)で表される2−(アルキルチオ)ベンズアルデヒド類とヒドロキシルアミンとを反応させて一般式(II)で表される2−(アルキルチオ)ベンズアルデヒドオキシム類を得、得られた該ベンズアルデヒドオキシム類とハロゲン化剤とを反応させることを特徴とする一般式(III) で表される1,2−ベンゾイソチアゾール−3−オン類の製造方法、並びに
【0020】
【化12】
Figure 0003578489
【0021】
(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基もしくはそのエステル又はハロゲン原子を表す。)
【0022】
【化13】
Figure 0003578489
【0023】
(式中、R,Rは一般式(I)におけるR,Rと同意義を表す。)
【0024】
【化14】
Figure 0003578489
【0025】
(式中、Rは一般式(I)におけるRと同意義を表す。)
(2) 一般式(II)で表される2−(アルキルチオ)ベンズアルデヒドオキシム類とハロゲン化剤とを反応させることを特徴とする一般式(III) で表される1,2−ベンゾイソチアゾール−3−オン類の製造方法、に関する。
【0026】
【化15】
Figure 0003578489
【0027】
(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基もしくはそのエステル又はハロゲン原子を表す。)
【0028】
【化16】
Figure 0003578489
【0029】
(式中、Rは一般式(II)におけるRと同意義を表す。)
【0030】
本発明の1,2−ベンゾイソチアゾール−3−オン類の製造方法の特徴は2−(アルキルチオ)ベンズアルデヒド類を原料として容易に得られる2−(アルキルチオ)ベンズアルデヒドオキシム類とハロゲン化剤とを反応させることにより、環化反応によって簡単な工程で、1,2−ベンゾイソチアゾール−3−オン類を製造できるところにある。
【0031】
さらに、もう一つの特徴は、非水溶性有機溶媒を用いて2−(アルキルチオ)ベンズアルデヒド類とヒドロキシルアミンとを反応させ、上記2−(アルキルチオ)ベンズアルデヒドオキシム類を得、得られた該オキシム類を含む溶媒層を分液し、引き続きハロゲン化剤と反応させて1,2−ベンゾイソチアゾール−3−オン類をワンポットで容易に収率よく得るところにある。
【0032】
上記一般式(I)および(II)におけるRは、炭素数1〜4のアルキル基を表す。Rで表されるアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等を挙げることができる。
これらのうち、Rの好ましい例としては、メチル、エチル、n−プロピル、tert−ブチルを挙げることができる。
【0033】
また、一般式(I)、(II)および(III) におけるRは、具体的には、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基もしくはそのエステル又はハロゲン原子を表す。
【0034】
で表されるアルキル基を例示すると、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等を挙げることができる。Rで表されるアルコキシ基を例示すると、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等を挙げることができる。Rで表されるカルボキシル基のエステルを例示すると、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル等を挙げることができる。Rで表されるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子等を挙げることができる。
これらのうち、Rの好ましい例としては、水素原子、塩素原子、ニトロ基を挙げることができる。
【0035】
本発明の製造方法では、まず一般式(I)で表される2−(アルキルチオ)ベンズアルデヒド類とヒドロキシルアミンとを反応させて一般式(II)で表される2−(アルキルチオ)ベンズアルデヒドオキシム類を得る、オキシム化工程を行う。
【0036】
本発明で用いる一般式(I)で表される2−(アルキルチオ)ベンズアルデヒド類の具体例としては、例えば、次のものを例示することができる。
2−(メチルチオ)ベンズアルデヒド、
2−(エチルチオ)ベンズアルデヒド、
2−(n−プロピルチオ)ベンズアルデヒド、
2−(tert−ブチルチオ)ベンズアルデヒド、
3−メチル−2−(メチルチオ)ベンズアルデヒド、
5−ブチル−2−(メチルチオ)ベンズアルデヒド、
4−メトキシ−2−(メチルチオ)ベンズアルデヒド、
2−メチルチオ−3−ニトロベンズアルデヒド、
4−クロロ−2−(メチルチオ)ベンズアルデヒド、
4−カルボキシ−2−(メチルチオ)ベンズアルデヒド、
4−メトキシカルボニル−2−(メチルチオ)ベンズアルデヒド。
【0037】
これらのうち、入手が容易であること、および生成物が抗菌性に優れている点から、好ましくは2−(メチルチオ)ベンズアルデヒド、2−(エチルチオ)ベンズアルデヒド、2−(n−プロピルチオ)ベンズアルデヒド、2−(tert−ブチルチオ)ベンズアルデヒドが用いられる。
【0038】
本発明におけるヒドロキシルアミンは、実用上、硫酸等の鉱酸との塩として提供される。従って、2−(アルキルチオ)ベンズアルデヒドとの反応においては塩基により中和し、系内で遊離させて用いられる。
【0039】
本発明のオキシム化工程に用いるヒドロキシルアミンの鉱酸塩としては、塩酸塩、硫酸塩等が使用可能であるが経済的見地より硫酸塩が好ましく用いられる。
【0040】
ヒドロキシルアミン鉱酸塩の使用量は、2−(アルキルチオ)ベンズアルデヒド類に対して、通常0.8〜3.0倍モル、好ましくは1.0〜2.0倍モルの範囲である。ヒドロキシルアミン鉱酸塩の使用量が、この範囲未満の場合には、未反応の2−(アルキルチオ)ベンズアルデヒド類が多くなる傾向があり、一方、この範囲を超えて用いてもそれに見合う効果がなく、それぞれ好ましくない。
【0041】
本発明の前記オキシム化工程において、ヒドロキシルアミン鉱酸塩の中和に用いる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸アルカリ金属;ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート等の金属アルコラート等が挙げられる。中でも、収率および経済的見地から炭酸ナトリウムが好ましく用いられる。
【0042】
また、塩基の使用量は、ヒドロキシルアミン鉱酸塩を中和するに必要な量の塩基、即ちヒドロキシルアミン鉱酸塩中の酸成分に対して0.8〜1.5倍当量の範囲である。塩基の使用量が、0.8倍当量未満の場合には、未反応の2−(アルキルチオ)ベンズアルデヒド類が多くなり、一方、1.5倍当量を超えて用いても、それに見合う効果が得られず経済的に不利である。
【0043】
オキシム化工程に用いる反応溶媒としては、反応に対し不活性な溶媒であるなら特に限定されるものではない。例えば、非水溶性溶媒としてはn−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類等を挙げることができる。
水溶性溶媒としては、メタノール、エタノール等のアルコール類を挙げることができる。
【0044】
これらのうち、非水溶性溶媒を用いればオキシム化工程において得られた一般式(II)で表される2−(アルキルチオ)ベンズアルデヒドオキシム類をハロゲン化剤と反応させて、一般式(III) で表される1,2−ベンゾイソチアゾール−3−オン類を得るハロゲン化工程までをワンポットで行うことができ、きわめて効率的である。
溶媒の使用量は、2−(アルキルチオ)ベンズアルデヒド類に対して、通常1〜30倍重量である。
【0045】
反応温度は、通常−20〜100℃の範囲、好ましくは0〜80℃の範囲である。反応温度が、この範囲を超えると、副反応が問題となる傾向があり、一方、この範囲未満だと、反応速度が実用上遅すぎる傾向があるので好ましくない。反応時間は、反応温度、反応溶媒種等により異なり、一概には言えないが、通常1〜40時間の範囲である。
【0046】
オキシム化工程において得られる反応混合物から、2−(アルキルチオ)ベンズアルデヒドオキシム類を単離精製する場合、その方法としては、常法通り、そのまま晶析させるか、または抽出して再結晶させる等により行うことができるが、これらに限定されるものではない。
【0047】
尚、このような方法で得られた2−(アルキルチオ)ベンズアルデヒドオキシム類は、単離等を行わずに反応溶媒に溶解した状態で、そのまま本発明の2−(アルキルチオ)ベンズアルデヒドオキシム類から1,2−ベンゾイソチアゾール−3−オン類を得るハロゲン化工程の原料として用いることができる。
【0048】
本発明の製造方法では、次に、上記のオキシム化工程で得られた一般式(II)で表される2−(アルキルチオ)ベンズアルデヒドオキシム類をハロゲン化剤と反応させて一般式(III) で表される1,2−ベンゾイソチアゾール−3−オン類を得る、ハロゲン化工程(請求項7〜10に係る発明)を行う。
【0049】
本発明において、一般式(II)で表される2−(アルキルチオ)ベンズアルデヒドオキシム類の具体例としては、例えば、次のものを例示することができる。
2−(メチルチオ)ベンズアルデヒドオキシム、
2−(エチルチオ)ベンズアルデヒドオキシム、
2−(n−プロピルチオ)ベンズアルデヒドオキシム、
2−(tert−ブチルチオ)ベンズアルデヒドオキシム、
3−メチル−2−(メチルチオ)ベンズアルデヒドオキシム、
5−ブチル−2−(メチルチオ)ベンズアルデヒドオキシム、
4−メトキシ−2−(メチルチオ)ベンズアルデヒドオキシム、
2−メチルチオ−3−ニトロベンズアルデヒドオキシム、
4−クロロ−2−(メチルチオ)ベンズアルデヒドオキシム、
4−カルボキシ−2−(メチルチオ)ベンズアルデヒドオキシム、
4−メトキシカルボニル−2−(メチルチオ)ベンズアルデヒドオキシム。
【0050】
これらのうち、入手が容易であること、および生成物が抗菌性に優れている点から、好ましくは2−(メチルチオ)ベンズアルデヒドオキシム、2−(エチルチオ)ベンズアルデヒドオキシム、2−(n−プロピルチオ)ベンズアルデヒドオキシム、2−(tert−ブチルチオ)ベンズアルデヒドオキシムが用いられる。
【0051】
用いるハロゲン化剤としては、塩素、臭素、塩化スルフリル、臭化スルフリル等が使用可能であるが、経済的見地より塩素、臭素、塩化スルフリルが好ましく用いられる。
【0052】
その使用量は、2−(アルキルチオ)ベンズアルデヒドオキシム類に対して、通常0.8〜3.0倍モル、好ましくは1.0〜2.0倍モルの範囲である。ハロゲン化剤の使用量が、この範囲未満の場合には、未反応の2−(アルキルチオ)ベンズアルデヒドオキシム類が多くなる傾向があり、一方、この範囲を超えて用いる場合は、副反応が起こり収率が低下する傾向があるため、それぞれ好ましくない。
【0053】
ハロゲン化工程に用いる反応溶媒としては、ハロゲン化反応に対し不活性な溶媒であるなら特に限定されるものではない。しかし、ワンポットで本反応を行う場合、前記オキシム化工程において用いる溶媒と共通である方が好ましい。例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類等を挙げることができる。中でも、モノクロロベンゼン、トルエンが好ましく用いられる。溶媒の使用量は、2−(アルキルチオ)ベンズアルデヒドオキシム類に対して、通常1〜30倍重量である。
【0054】
反応温度は、通常−20〜170℃の範囲、好ましくは0〜150℃の範囲である。反応温度が、この範囲を超えると、副反応が問題となる傾向があり、一方、この範囲未満だと、反応速度が実用上遅すぎる傾向があるので好ましくない。反応時間は、反応温度、反応溶媒種等により異なり、一概には言えないが、通常1〜40時間の範囲である。
【0055】
このようにして得られる反応混合物から、目的とする1,2−ベンゾイソチアゾール−3−オン類を単離精製する方法としては、常法通り、そのまま晶析させるか、または抽出して再結晶させる等により行うことができるが、これらに限定されるものではない。
【0056】
このようにして得られる、目的の化合物である一般式(III) で表される1,2−ベンゾイソチアゾール−3−オン類の具体例としては、次のようなものが例示される。
【0057】
1,2−ベンゾイソチアゾール−3−オン、
7−メチル−1,2−ベンゾイソチアゾール−3−オン、
5−ブチル−1,2−ベンゾイソチアゾール−3−オン、
6−メトキシ−1,2−ベンゾイソチアゾール−3−オン、
7−ニトロ−1,2−ベンゾイソチアゾール−3−オン、
6−クロロ−1,2−ベンゾイソチアゾール−3−オン、
6−カルボキシ−1,2−ベンゾイソチアゾール−3−オン、
6−メトキシカルボニル−1,2−ベンゾイソチアゾール−3−オン。
【0058】
【実施例】
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、これらの実施例に何等限定されるものではない。なお、目的物が得られているか否かの確認は、核磁気共鳴法(H−NMR)あるいは質量分析法により行った。
【0059】
実施例1
2−(メチルチオ)ベンズアルデヒドから1,2−ベンゾイソチアゾール−3−オンのワンポット反応による合成
攪拌機、温度計、冷却器を備え付けた500ml四つ口フラスコに、2−(メチルチオ)ベンズアルデヒド38.0g(0.25モル)、モノクロロベンゼン150g、ヒドロキシルアミン・1/2硫酸塩の24.6%水溶液91.7g(0.275モル)を仕込み、攪拌下、炭酸ナトリウムの30%水溶液51.2g(0.145モル)を20〜25℃で滴下し、同温度で2時間反応させた。反応終了後、反応液を40〜50℃まで昇温し、モノクロロベンゼン層と水層とに分液し、下層の水層を除去した。残留したモノクロロベンゼン層には2−(メチルチオ)ベンズアルデヒドオキシム40.9gが含まれていた。2−(メチルチオ)ベンズアルデヒドに対する収率は98%であった。
【0060】
上記のモノクロロベンゼン層に、引き続き塩素22.6g(0.32モル)を攪拌下10〜20℃で吹き込み、90〜100℃で1時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、析出した白色結晶をモノクロロベンゼンで洗浄後、乾燥させると1,2−ベンゾイソチアゾール−3−オン34.0g(融点157〜158℃)を得た。2−(メチルチオ)ベンズアルデヒドオキシムに対する収率は92%であった。また、2−(メチルチオ)ベンズアルデヒドに対する収率は90%であった。
【0061】
実施例2
2−(メチルチオ)ベンズアルデヒドオキシムから1,2−ベンゾイソチアゾール−3−オンの合成
実施例1と同様の方法により得たモノクロロベンゼン層を、濃縮、晶析、濾過、乾燥し、2−(メチルチオ)ベンズアルデヒドオキシム(融点88〜89℃)を単離した。
単離した該オキシム39.7gをトルエン200g中に溶解させた。その後、実施例1と同様の方法により塩素を吹き込み、該オキシムをハロゲン化させ、1,2−ベンゾイソチアゾール−3−オン32.7gを得た。
2−(メチルチオ)ベンズアルデヒドオキシムに対する収率は91%であった。
【0062】
実施例3
2−(メチルチオ)ベンズアルデヒドオキシムから1,2−ベンゾイソチアゾール−3−オンの合成
実施例1と同様の方法により得たモノクロロベンゼン層から、実施例2と同様にして2−(メチルチオ)ベンズアルデヒドオキシムを単離した。
単離した該オキシム39.7gをモノクロロベンゼン150g中に溶解させた。その後、実施例1で用いた塩素を塩化スルフリル35.3g(0.26モル)に変える以外は実施例1と同様にして該オキシムをハロゲン化させ1,2−ベンゾイソチアゾール−3−オン32.7gを得た。2−(メチルチオ)ベンズアルデヒドオキシムに対する収率は91%であった。
【0063】
実施例4
2−(メチルチオ)ベンズアルデヒドオキシムから1,2−ベンゾイソチアゾール−3−オンの合成
実施例1と同様の方法により得たモノクロロベンゼン層から、実施例2と同様にして2−(メチルチオ)ベンズアルデヒドオキシムを単離した。
単離した該オキシム39.7gをモノクロロベンゼン150g中に溶解させた。その後、実施例1において塩素の吹き込みを臭素49.3g(0.31モル)の滴下に変える以外は実施例1と同様にして該オキシムをハロゲン化させ1,2−ベンゾイソチアゾール−3−オン32.3gを得た。2−(メチルチオ)ベンズアルデヒドオキシムに対する収率は90%であった。
【0064】
実施例5
2−(メチルチオ)ベンズアルデヒドから1,2−ベンゾイソチアゾール−3−オンのワンポット反応による合成
攪拌機、温度計、冷却器を備え付けた500ml四つ口フラスコに、2−(メチルチオ)ベンズアルデヒド38.0g(0.25モル)、トルエン200g、ヒドロキシルアミン・1/2硫酸塩の24.6%水溶液91.7g(0.275モル)を仕込み、攪拌下、炭酸ナトリウムの30%水溶液51.2g(0.145モル)を20〜25℃で滴下し、同温度で2時間反応させた。反応終了後、反応液を40〜50℃まで昇温し、トルエン層と水層とに分液し、下層の水層を除去した。残留したトルエン層には、2−(メチルチオ)ベンズアルデヒドオキシム40.9gが含まれていた。2−(メチルチオ)ベンズアルデヒドに対する収率は98%であった。
【0065】
上記のトルエン層に、引き続き塩化スルフリル36.4g(0.27モル)を攪拌下10〜20℃で滴下し、90〜100℃で1時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、析出した白色結晶をトルエンで洗浄後、乾燥させると1,2−ベンゾイソチアゾール−3−オン33.7g(融点157〜158℃)を得た。2−(メチルチオ)ベンズアルデヒドオキシムに対する収率は91%であった。また、2−(メチルチオ)ベンズアルデヒドに対する収率は89%であった。
【0066】
実施例6
4−クロロ−2−(メチルチオ)ベンズアルデヒドから6−クロロ−1,2−ベンゾイソチアゾール−3−オンのワンポット反応による合成
実施例1の2−(メチルチオ)ベンズアルデヒドに変えて4−クロロ−2−(メチルチオ)ベンズアルデヒド46.6g(0.25モル)を用いる以外は実施例1と同様にしてオキシム化反応を行った。同様に残留したモノクロロベンゼン層中には4−クロロ−2−(メチルチオ)ベンズアルデヒドオキシム49.4gが含まれていた。4−クロロ−2−(メチルチオ)ベンズアルデヒドに対する収率は98%であった。
【0067】
上記のモノクロロベンゼン層中に、引き続き、塩素22.6g(0.32モル)を攪拌下5〜15℃で吹き込み、90〜100℃で1時間反応させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、析出した白色結晶をモノクロロベンゼンで洗浄後、乾燥させると6−クロロ−1,2−ベンゾイソチアゾール−3−オン40.9g(融点271〜272℃)を得た。4−クロロ−2−(メチルチオ)ベンズアルデヒドオキシムに対する収率は90%であった。
また、4−クロロ−2−(メチルチオ)ベンズアルデヒドに対する収率は88%であった。
【0068】
【発明の効果】
本発明の製造方法により、抗菌剤、抗かび剤等として有用な1,2−ベンゾイソチアゾール−3−オン類が従来より短い工程で、しかも高価な原料を使用することなく容易なプロセスにより、高収率に得ることができる。このため、本発明は経済的にも工業的にも有利なものである。

Claims (10)

  1. 一般式(I)で表される2−(アルキルチオ)ベンズアルデヒド類とヒドロキシルアミンとを反応させて一般式(II)で表される2−(アルキルチオ)ベンズアルデヒドオキシム類を得、得られた該ベンズアルデヒドオキシム類とハロゲン化剤とを反応させることを特徴とする一般式(III) で表される1,2−ベンゾイソチアゾール−3−オン類の製造方法。
    Figure 0003578489
    (式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基もしくはそのエステル又はハロゲン原子を表す。)
    Figure 0003578489
    (式中、R,Rは一般式(I)におけるR,Rと同意義を表す。)
    Figure 0003578489
    (式中、Rは一般式(I)におけるRと同意義を表す。)
  2. 非水溶性有機溶媒系中で、一連の反応をワンポットで行うことを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  3. 非水溶性有機溶媒がモノクロロベンゼンまたはトルエンである請求項2記載の製造方法。
  4. ハロゲン化剤が塩素または臭素である請求項1〜3いずれか記載の製造方法。
  5. ハロゲン化剤が塩化スルフリルである請求項1〜3いずれか記載の製造方法。
  6. 一般式(I)で表される化合物が2−(メチルチオ)ベンズアルデヒドである請求項1〜5いずれか記載の製造方法。
  7. 一般式(II)で表される2−(アルキルチオ)ベンズアルデヒドオキシム類とハロゲン化剤とを反応させることを特徴とする一般式(III) で表される1,2−ベンゾイソチアゾール−3−オン類の製造方法。
    Figure 0003578489
    (式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基もしくはそのエステル又はハロゲン原子を表す。)
    Figure 0003578489
    (式中、Rは一般式(II)におけるRと同意義を表す。)
  8. ハロゲン化剤が塩素または臭素である請求項7記載の製造方法。
  9. ハロゲン化剤が塩化スルフリルである請求項7記載の製造方法。
  10. 一般式(II)で表される化合物が2−(メチルチオ)ベンズアルデヒドオキシムである請求項7〜9いずれか記載の製造方法。
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