JP3557759B2 - インクジェット記録液 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は特定の色素を含有するインクジェット記録液に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット用のインクにおいては、その使用される記録方式に適合すること、高い記録画像濃度を有し色調が良好であること、耐光性や耐熱性および耐水性といった色画像堅牢性に優れること、被記録媒体に対して定着が速く記録後ににじまないこと、インクとしての保存性に優れていること、毒性や引火性といった安全性に問題がないこと、安価であること等が要求され、このような観点から、種々のインクジェット用の記録液が提案、検討されているが、要求の多くを同時に満足するような記録液はきわめて限られている。
【0003】
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックを用いたカラー画像記録においては、たとえばC.I.インデックスに記載されている従来から公知のC.I.ナンバーを有する染料、顔料が広く検討されてきた。特にマゼンタのインクにおいてはキサンテン系(例えばC.I.アシッドレッド52等)、アゾ系(例えばC.I.リアクティブレッド180等)の水溶性染料を使用したものが知られているが、一般に前者は耐光性のような堅牢性に問題を有し、後者はマゼンタ色調の鮮明性に欠けるといった色再現性に関する分光吸収特性の問題を有していた。
【0004】
この問題点を解決すべく、色調と耐光性の優れたマゼンタ染料を用いた記録液の開発が盛んに行われているが、いまだに満足できる記録液が達成されていないのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、色画像の耐光性に優れ、良好な色再現性のための色調に優れたインクジェット記録液、特に主な対象としてはマゼンタ色のインクジェット記録液を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は鋭意研究を重ねた結果、上記目的を以下の構成により達成することができた。
【0007】
1.下記一般式(1)で表される色素を含有することを特徴とするインクジェット記録液。
【0008】
【化5】
【0009】
式中、R1およびR2は、各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基またはアラルキル基を表わし、R3は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、芳香族基または複素環基を表わし(但し、R3はR1および窒素原子とともに環を形成してもよい)、R4はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、芳香族基または複素環基を表わす。R5はスルホ基、カルボキシル基、スルファモイル基、カルバモイル基またはアルコキシカルボニル基を表わし、R6およびR7は、各々ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、アラルキルオキシ基、芳香族オキシ基、複素環オキシ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、ウレイド基、ウレタン基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アシル基、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホ基またはカルボキシル基を表わし、p、qは0〜4の整数を表わし、Xnは対陰イオンを表わす。但し、分子中に対陰イオンの存在するときはXnは不要であるものとする。
【0010】
2.前記一般式(1)で表される色素が下記一般式(2)で表わされる色素であることを特徴とする前記1に記載のインクジェット記録液。
【0011】
【化6】
【0012】
式中、R6、R7、pおよびqは、一般式(1)におけるR6、R7、pおよびqと各々同義の基または同義の整数を表わす。R8およびR9は、各々水素原子またはアルキル基を表わし、R10およびR11は、各々アルキル基を表わし、R12はスルホ基またはカルボキシル基を表わす。R13はハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、アラルキルオキシ基、芳香族オキシ基、複素環オキシ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、ウレイド基、ウレタン基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アシル基、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホ基またはカルボキシル基を表わし、mは0〜4の整数を表わす。
【0013】
3.前記一般式(1)で表される色素が下記一般式(3)で表わされる色素であることを特徴とする前記1に記載のインクジェット記録液。
【0014】
【化7】
【0015】
式中、R6、R7、pおよびqは、一般式(1)におけるR6、R7、pおよびqと各々同義の基または同義の整数を表わす。R14およびR15は、各々アルキル基を表わし、R14とR15は窒素原子とともに環を形成してもよい。R16は水素原子またはアルキル基を表わし、R17はアルキル基を表わし、R18はスルホ基またはカルボキシル基を表わす。
【0016】
4.前記一般式(1)で表される色素が下記一般式(4)で表わされる色素であることを特徴とする前記1に記載のインクジェット記録液。
【0017】
【化8】
【0018】
式中、R6、R7、pおよびqは、一般式(1)におけるR6、R7、pおよびqと各々同義の基または同義の整数を表わす。R19およびR20は、各々水素原子またはアルキル基を表わし、R21およびR22は、各々アルキル基を表わし、R23はスルホ基またはカルボキシル基を表わす。R24はハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、アラルキルオキシ基、芳香族オキシ基、複素環オキシ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、ウレイド基、ウレタン基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アシル基、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホ基またはカルボキシル基を表わし、nは0〜4の整数を表わす。
【0019】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0020】
先ず一般式(1)の色素について詳細に説明する。
【0021】
前記一般式(1)においてR1およびR2は、各々水素原子、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、、ノニル基、デシル基、2−ブチルヘキシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等の直鎖、分岐、環状のアルキル基等)、アルケニル基(例えば、アリル基、2−ブテニル基等)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基等)またはアラルキル基(例えば、ベンジル基等)を表わす。
【0022】
これらの基はさらに適当な置換基で置換されていてもよく、適当な置換基としては例えば脂肪族基(例えば炭素数1〜20のアルキル基等)、芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、ヘテロ環基(例えば、少なくとも1つの窒素原子、酸素原子、硫黄原子から選ばれた原子を有する5または6員のヘテロ環基等)、アルコキシ基(例えば、炭素数1〜20のアルコキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アシルアミノ基(例えば、炭素数1〜20のアルカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、アシルオキシ基(例えば、炭素数1〜20のアルカノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、アシル基(例えば、炭素数1〜20のアルカノイル基、ベンゾイル基等)、カルバモイル基(例えば、無置換カルバモイル基、炭素数1〜20のアルキルカルバモイル基、炭素数2〜40のジアルキルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基、炭素数7〜26のN−アルキル,N−フェニルカルバモイル基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、炭素数1〜20のアルコキシカルボニル等)、スルホニルアミノ基(例えば、炭素数1〜20のアルカンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基等)、スルファモイル基(例えば、無置換スルファモイル基、炭素数2〜40のジアルキルスルフファモイル基、炭素数1〜20のアルキルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基、炭素数7〜26のN−アルキル,N−フェニルスルファモイル基等)、ヒドロキシル基、スルホニル基(例えば、炭素数1〜20のアルカンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基等)、アルキルチオ基(例えば、炭素数1〜20のアルキルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基等)、ウレイド基(例えば、無置換ウレイド基、炭素数1〜20のアルキルウレイド基、炭素数2〜40のジアルキルウレイド基、フェニルウレイド基等)、ウレタン基(例えば、炭素数1〜20のアルコキシカルボニルアミノ基等)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基またはアミノ基(例えば、無置換アミノ基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基、炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、アニリノ基、炭素数7〜26のN−アルキルアニリノ基等)が挙げられる。
【0023】
R1およびR2としては水素原子、アルキル基またはアラルキル基のものが好ましく、水素原子またはアルキル基のものがより好ましい。
【0024】
R3は水素原子、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、、ノニル基、デシル基、2−ブチルヘキシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等の直鎖、分岐、環状のアルキル基等)、アルケニル基(例えば、アリル基、2−ブテニル基等)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基等)、アラルキル基(例えば、ベンジル基等)、芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)または複素環基(例えば、ピリジル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、ピペリジニル基、ピロリジニル基、ジオキサジニル等の窒素、酸素、硫黄から選ばれた原子を少なくとも1つ含有する5または6員の複素環等基及びこれらとベンゼン環との縮合環基等)を表わす。
【0025】
また、R3はR1および窒素原子とともに環(例えば、モルホリン環、ピペラジン環、ピペリジン環、ピロリジン環等)を形成してもよい。
【0026】
これらの基はさらに適当な置換基で置換されていてもよく、適当な置換基としては例えばR1およびR2の適当な置換基として上記した基等が挙げられる。
【0027】
R3としてはアルキル基、アラルキル基、芳香族基または複素環基のものが好ましく、アルキル基または芳香族基のものがより好ましい。
【0028】
R4はアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、、ノニル基、デシル基、2−ブチルヘキシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等の直鎖、分岐、環状のアルキル基等)、アルケニル基(例えば、アリル基、2−ブテニル基等)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基等)、アラルキル基(例えば、ベンジル基等)、芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)または複素環基(例えば、ピリジル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、ピペリジニル基、ピロリジニル基、ジオキサジニル等の窒素、酸素、硫黄から選ばれた原子を少なくとも1つ含有する5または6員の複素環等基及びこれらとベンゼン環との縮合環基等)を表わす。
【0029】
これらの基はさらに適当な置換基で置換されていてもよく、適当な置換基としては例えばR1およびR2の適当な置換基として上記した基等が挙げられる。
【0030】
R4としてはアルキル基、アルケニル基、アラルキル基または芳香族基のものが好ましく、アルキル基のものが特に好ましい。
【0031】
R5はスルホ基、カルボキシル基、スルファモイル基(例えば、無置換スルファモイル基、炭素数1〜20アルキルスルファモイル基、炭素数2〜40のジアルキルスルファモル基、フェニルスルファモイル基、炭素数7〜26のN−アルキル,N−フェニルスルファモイル基等)、カルバモイル基(例えば、無置換カルバモイル基、炭素数1〜20のアルキルカルバモイル基、炭素数2〜40のジアルキルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基、炭素数7〜26N−アルキル,N−フェニルカルバモイル基等)またはアルコキシカルボニル基(例えば、炭素数1〜20のアルコキシカルボニル基等)を表わす。
【0032】
これらの基はさらに適当な置換基で置換されていてもよく、適当な置換基としては例えばR1およびR2の適当な置換基として上記した基等が挙げられる。
【0033】
R5としてはスルホ基またはカルボキシル基が好ましい。
【0034】
R6およびR7は各々、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、アルキル基(例えば、炭素数1〜20のアルキル基等)、アルコキシ基(例えば、炭素数1〜20のアルコキシ基等)、アルケニルオキシ基(例えば、アリルオキシ基、2−ブテニルオキシ基等)、アルキニルオキシ基(例えば、プロパルギルオキシ基等)、アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基等)、芳香族オキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、複素環オキシ基(例えば、窒素、酸素、硫黄から選ばれた原子を少なくとも1つ含有する5または6員の複素環オキシ基及びこれらとベンゼン環との縮合環オキシ基等)、アシルアミノ基(例えば、炭素数1〜20のアルカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、スルホニルアミノ基(例えば、炭素数1〜20のアルカンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基等)、ウレイド基(例えば、無置換ウレイド基、炭素数1〜20のアルキルウレイド基、炭素数2〜40のジアルキルウレイド基、フェニルウレイド基等)、ウレタン基(例えば、炭素数1〜20のアルコキシカルボニルアミノ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、炭素数1〜20のアルコキシカルボニル基等)、カルバモイル基(例えば、無置換カルバモイル基、炭素数1〜20のアルキルカルバモイル基、炭素数2〜40のジアルキルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基、炭素数7〜26のN−アルキル,N−フェニルカルバモイル基等)、スルファモイル基(例えば、無置換スルファモイル基、炭素数1〜20のアルキルスルファモイル基、炭素数2〜40のジアルキルカルバモイル基、フェニルスルファモイル基、炭素数7〜26のN−アルキル基,N−フェニルスルファモイル基等)、スルホニル基(例えば、炭素数1〜20のアルカンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基等)、アシル基(例えば、炭素数1〜20のアルカノイル基、ベンゾイル基等)、アミノ基(例えば、無置換アミノ基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基、炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、アニリノ基、炭素数7〜26のN−アルキルアニリノ基等)、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホ基またはカルボキシル基を表わす。
【0035】
これらの基はさらに適当な置換基で置換されていてもよく、適当な置換基としては例えばR1およびR2の適当な置換基として上記した基等が挙げられる。
【0036】
pは0〜4の整数を表わすが、0、1、2のものが好ましい。
【0037】
qは0〜4の整数を表わすが、0、1、2のものが好ましい。
【0038】
Xnは対陰イオンを表わすが、対陰イオンとしてはハライドイオン(例えば、クロライドイオン、ブロマイドイオン等)、硫酸イオン、有機スルホネートイオン(例えば、炭素数1〜20のアルキルスルホネートイオン、ベンゼンスルホネートイオン等)、脂肪酸イオン(炭素数1〜20の脂肪族カルボキシレートイオン等)、安息香酸イオン、しゅう酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオンまたはヘキサフルオロホスフェートイオン等が挙げられる。
【0039】
但し、分子中の置換基として対陰イオンを有する場合(例えば、R5がスルホ基またはカルボキシル基の場合等)にはXnは不要であるものとする。
【0040】
対陰イオンは分子内の置換基として存在する場合(すなわちXnが不要である場合)がより好ましい。
【0041】
本発明において、耐光性の観点から上記一般式(2),(3),(4)の色素を含有するインクジェット記録液を特に好ましく挙げることができる。
【0042】
一般式(2)において、R6、R7、pおよびqは、一般式(1)におけるR6、R7、pおよびqと各々同義の基または同義の整数を表わす。
【0043】
R8およびR9は、各々水素原子またはアルキル基(例えば、R1およびR2のアルキル基の具体例として上記した基等)を表わし、R10およびR11は、各々アルキル基(例えば、R4のアルキル基の具体例として上記した基等)を表わし、R12はスルホ基またはカルボキシル基を表わす。R13はハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、アラルキルオキシ基、芳香族オキシ基、複素環オキシ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、ウレイド基、ウレタン基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アシル基、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホ基またはカルボキシル基を表わし、これらの基の好ましい例としてはR6およびR7の同様の基について具体例として上記した基等が挙げられ、mは0〜4の整数を表わす。
【0044】
一般式(3)においてR6、R7、pおよびqは、一般式(1)におけるR6、R7、pおよびqと各々同義の基または同義の整数を表わす。R14およびR15は、各々アルキル基(例えば、R1およびR2のアルキル基の具体例として上記した基等)を表わし、R14とR15は窒素原子とともに環(例えば、モルホリン環、ピペラジン環、ピペリジン環、ピロリジン環等)を形成してもよい。R16は水素原子またはアルキル基(例えば、R1およびR2のアルキル基の具体例として上記した基等)を表わし、R17はアルキル基(例えば、R4のアルキル基の具体例として上記した基等)を表わし、R18はスルホ基またはカルボキシル基を表わす。
【0045】
一般式(4)においてR6、R7、pおよびqは、一般式(1)におけるR6、R7、pおよびqと各々同義の基または同義の整数を表わす。R19およびR20は、各々水素原子またはアルキル基(例えば、R1およびR2のアルキル基の具体例として上記した基等)を表わし、R21およびR22は、各々アルキル基(例えば、R4のアルキル基の具体例として上記した基等)を表わし、R23はスルホ基またはカルボキシル基を表わす。R24はハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、アラルキルオキシ基、芳香族オキシ基、複素環オキシ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、ウレイド基、ウレタン基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アシル基、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホ基またはカルボキシル基を表わし、これらの基の好ましい例としてはR6およびR7の同様の基について具体例として上記した基等が挙げられ、nは0〜4の整数を表わし、nは0、1、2のものが好ましい。
【0046】
以下に一般式(1)〜(4)で示される色素の具体的化合物例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0047】
具体的化合物例
【0048】
【化9】
【0049】
【化10】
【0050】
【化11】
【0051】
【化12】
【0052】
【化13】
【0053】
一般式(1)〜(4)で示される色素は、化合物D−1,2,3の場合に下記の合成スキームに従って容易に合成することができ、他の本発明の色素もこれに準じて合成することが可能である。
【0054】
【化14】
【0055】
一般式(1),(2),(3)又は(4)で示される色素を含有するインクジェット記録液は水系ジェット記録液、油系インクジェット記録液、固体(相変化)インクジェット記録液等を用いることができるが、水系インクジェット記録液(例えばインクジェット記録液総重量あたり10重量%以上の水を含有する水性インクジェット記録液等)を溶媒系として特に好ましく用いることができる。
【0056】
水系インクジェット記録液は、一般式(1),(2),(3)又は(4)で示される色素の他に溶剤として水と水溶性有機溶媒を併用することが好ましい。
【0057】
水溶性有機溶媒の例としては、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等)、多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、尿素、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。
【0058】
上記のような水系インクジェット記録液において、色素はその溶媒系に可溶であればそのまま溶解して用いることができる。一方、そのままでは不溶の固体である場合、色素を種々の分散機(例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテーターミル、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、ジェットミル、オングミル等)を用いて微粒子化するか、あるいは可溶である有機溶媒に色素を溶解した後に、高分子分散剤や界面活性剤とともにその溶媒系に分散させることができる。さらに、そのままでは不溶の液体または半溶融状物である場合、そのままかあるいは可溶である有機溶媒に溶解して、高分子分散剤や界面活性剤とともにその溶媒系に分散させることができる。
【0059】
このような水系インクジェット記録液の具体的調製法については、例えば特開平5−148436号、同5−295312号、同7−97541号、同7−82515号、同7−118584号等に記載の方法を参照することができる。
【0060】
油系インクジェット記録液は、本発明の色素の他に溶媒として有機溶媒を使用する。
【0061】
油系インクジェット記録液の溶媒の例としては、上記水系インクジェット記録液において水溶性有機溶媒として例示したものに加えて、アルコール類(例えば、ペンタノール、ヘプタノール、オクタノール、フェニルエチルアルコール、フェニルプロピルアルコール、フルフリルアルコール、アニルアルコール等)、エステル類(エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、酢酸エチル、酢酸アミル、酢酸ベンジル、酢酸フェニルエチル、酢酸フェノキシエチル、フェニル酢酸エチル、プロピオン酸ベンジル、安息香酸エチル、安息香酸ブチル、ラウリン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、リン酸トリエチル、リン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジプロピル、ジエチルマロン酸ジエチル、コハク酸ジエチル、コハク酸ジブチル、グルタル酸ジエチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジプロピル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ(2−メトキシエチル)、セバシン酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジオクチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジオクチル、ケイ皮酸−3−ヘキセニル等)、エーテル類(例えば、ブチルフェニルエーテル、ベンジルエチルエーテル、ヘキシルエーテル等)、ケトン類(例えば、ベンジルメチルケトン、ベンジルアセトン、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノン等)、炭化水素類(例えば、石油エーテル、石油ベンジル、テトラリン、デカリン、ターシャリーアミルベンゼン、ジメチルナフタリン等)、アミド類(例えば、N,N−ジエチルドデカンアミド等)が挙げられる。
【0062】
上記のような油系インクジェット記録液において、色素はそのまま溶解させて用いることができ、また樹脂状分散剤や結合剤を併用して分散または溶解させて用いることもできる。
【0063】
このような油系インクジェット記録液の具体的調製法については、特開平3−231975号、特表平5−508883号等に記載の方法を参照することができる。
【0064】
固体(相変化)インクジェット記録液は、室温で固体であり、かつインクジェット記録液の加熱噴射時には溶融した液体状である相変化溶媒を使用する。
【0065】
このような相変化溶媒としては、天然ワックス(例えば、密ロウ、カルナウバワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油、鯨ロウ、カンデリラワックス、ラノリン、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等)、ポリエチレンワックス誘導体、塩素化炭化水素、有機酸(例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、チグリン酸、2−アセトナフトンベヘン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ジヒドロキシステアリン酸等)、有機酸エステル(例えば、上記した有機酸のグリセリン、ジエチレングリコール、エチレングリコール等のアルコールとのエステル等)、アルコール(例えば、ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、エイコサノール、ドコサノール、テトラコサノール、ヘキサコサノール、オクタコサノール、ドデセノール、ミリシルアルコール、テトラセノール、ヘキサデセノール、エイコセノール、ドコセノール、ピネングリコール、ヒノキオール、ブチンジオール、ノナンジオール、イソフタリルアルコール、メシセリン、テレアフタリルアルコール、ヘキサンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ヘキサデカンジオール、ドコサンジオール、テトラコサンジオール、テレビネオール、フェニルグリセリン、エイコサンジオール、オクタンジオール、フェニルプロピレングリコール、ビスフェノールA、パラアルファクミルフェノール等)、ケトン(例えば、ベンゾイルアセトン、ジアセトベンゼン、ベンゾフェノン、トリコサノン、ヘプタコサノン、ヘプタトリアコンタノン、ヘントリアコンタノン、ヘプタトリアコンタノン、ステアロン、ラウロン、ジアニソール等)、アミド(例えば、オレイン酸アミド、ラウリル酸アミド、ステアリン酸アミド、リシノール酸アミド、パルミチン酸アミド、テトラヒドロフラン酸アミド、エルカ酸アミド、ミリスチン酸アミド、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N,N′−エチレンビスラウリン酸アミド、N,N′−エチレンビスステアリン酸アミド、N,N′−エチレンビスオレイン酸アミド、N,N′−メチレンビスステアリン酸アミド、N,N′−エチレンビスベヘン酸アミド、N,N′−キシリレンビスステアリン酸アミド、N,N′−ブチレンビスステアリン酸アミド、N,N′−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N′−ジステアリルアジピン酸アミド、N,N′−ジオレイルセバシン酸アミド、N,N′−システアリルセバシン酸アミド、N,N′−ジステアリルテレフタル酸アミド、N,N′−ジステアリルイソフタル酸アミド、フェナセチン、トルアミド、アセトアミド、オレイン酸2量体/エチレンジアミン/ステアリン酸(1:2:2のモル比)のような2量体酸とジアミンと脂肪酸の反応生成物テトラアミド等)、スルホンアミド(例えば、パラトルエンスルホンアミド、エチルベンゼンスルホンアミド、ブチルベンゼンスルホンアミド等)、シリコーン類(例えば、シリコーンSH6018(東レシリコーン)、シリコーンKR215,216,220(信越シリコーン)等)、クマロン類(例えば、エスクロンG−90(新日鐵化学)等)、コレステロール脂肪酸エステル(例えば、ステアリン酸コレステロール、パルミチン酸コレステロール、ミリスチン酸コレステロール、ベヘン酸コレステロール、ラウリン酸コレステロール、メリシン酸コレステロール等)、糖類脂肪酸エステル(ステアリン酸サッカロース、パルミチン酸サッカロース、ベヘン酸サッカロース、ラウリン酸サッカロース、メリシン酸サッカロース、ステアリン酸ラクトース、パルミチン酸ラクトース、ミリスチン酸ラクトース、ベヘン酸ラクトース、ラウリン酸ラクトース、メリシン酸ラクトース等)が挙げられる。
【0066】
固体インクジェット記録液の固体−液体相変化における相変化温度は、60℃以上であることが好ましく、80〜150℃であることがより好ましい。
【0067】
上記のような固体インクジェット記録液において、加熱した溶融状態の溶媒に本発明の色素をそのまま溶解させて用いることができ、また樹脂状分散剤や結合剤を併用して分散または溶解させて用いることもできる。
【0068】
このような固体インクジェット記録液の具体的調製法については、特開平5−186723号、同7−70490号等に記載の方法を参照することができる。
【0069】
上記したような水系、油系、固体の各インクジェット記録液は、その飛翔時の粘度として40cps以下が好ましく、30cps以下であることがより好ましい。
【0070】
本発明のインクジェット記録液は、その飛翔時の表面張力として20dyn/cm以上が好ましく、25〜80dyn/cmであることが、より好ましい。
【0071】
本発明のインクジェット記録液において、一般式(1)〜(4)で示される色素は、全インクジェット液量の0.1〜25重量%の範囲で使用されることが好ましく、0.5〜10重量%の範囲であることがより好ましい。
【0072】
本発明のインクジェット記録液においては、吐出安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、粘度調整剤、表面張力調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、分散剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防ばい剤、防錆剤等を添加することもできる。
【0073】
本発明のインクジェット記録液は、その使用する記録方式に関して特に制約はなく、コンティニュアス方式及びオンデマンド方式のインクジェットプリンタ用のインクジェット記録液として好ましく使用することができる。オンデマンド型方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)、放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを具体的な例として挙げることができる。
【0074】
【実施例】
実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこの実施例における形態に限定されるものではない。
【0075】
実施例1
表1に記載の組成を有する各インク組成物を用いて、インクジェットプリンタMJ−5000C(セイコーエプソン株式会社製、電気−機械変換方式)によって、インクジェット用専用コート紙上に記録したマゼンタ画像サンプルを得た。
【0076】
このサンプルを用いて、下記のように定義した耐光性、色調、の評価を行った結果を表1に示す。
【0077】
耐光性:PDA−65(コニカ(株)製)の緑色光による反射濃度の測定から算出したキセノンフェードメーターにて24時間爆射した後のサンプルの未爆射サンプルに対する画像の残存率。
【0078】
耐光性(%)=(爆射試料の緑色光反射濃度/未爆射試料の緑色光反射濃度)×100
色調:PDA−65(コニカ(株)製)を用いて青色、緑色、赤色光における反射濃度を測定し、緑色光における反射濃度を1に規格化した場合の相対青色光反射濃度および相対赤色光反射濃度を算出して下記基準にて評価。
【0079】
すなわち○は青色光および赤色光の波長領域に不正吸収が少ない良好な色調のマゼンタ画像を表す。
【0080】
○ :相対青色光反射濃度0.25未満かつ相対赤色光反射濃度0.10未満の場合
△b:相対青色光反射濃度0.25以上で相対赤色光反射濃度0.10未満の場合
△r:相対青色光反射濃度0.25未満で相対赤色光反射濃度0.10以上の場合
× :相対青色光反射濃度0.25以上かつ相対赤色光反射濃度0.10以上の場合
尚、表1の各化合物量の単位はインクジェット記録液における重量%である。
表中に記載の比較−1、比較−2および界面活性剤−1の構造を下記に示す。
【0081】
【化15】
【0082】
【表1】
【0083】
表1の結果から明らかなように、本発明のインクジェット記録液は比較のインクジェット記録液を使用した場合に比較して耐光性に優れ、かつ緑色光領域の反射濃度に対する青色光および赤色光領域の不正吸収が少ない色調が良好のものであることがわかる。
【0084】
さらに、本プリンタにおける連続吐出試験においても問題なく使用でき、本発明のインクジェット記録液の電気−機械変換方式に対する高い信頼性を確認した。
【0085】
実施例2
表2に記載の組成を有する各インク組成物を用いて、インクジェットプリンタBJC−600J(キヤノン社製、電気−熱変換方式)によって、インクジェット用専用光沢紙上に記録したサンプルを得た。このサンプルを用いて、実施例1と同様に耐光と色調の評価を行った結果を表2に示す。
【0086】
尚、表2の各化合物量の単位はインクジェット記録液における重量%であり、比較−1、比較−2の化合物および評価項目の定義は各々実施例1と同様である。
【0087】
【表2】
【0088】
表2の結果から明らかなように、本発明のインクジェット記録液は比較のインクジェット記録液を使用した場合に比較して耐光性に優れ、かつ緑色光領域の反射濃度に対する青色光および赤色光領域の不正吸収が少ない色調が良好のものであることがわかる。
【0089】
また、本プリンタの系においてインクジェット記録液の熱時変質によるヘッドの異常等は確認されず、電気−熱変換方式に対する適合性を持ち合わせていることを確認した。
【0090】
【発明の効果】
本発明によるインクジェット記録液は色画像の耐光性に優れ、良好な色再現性のための色調に優れた効果を有し、特にマゼンタ色に優れた効果を有する。
【発明の属する技術分野】
本発明は特定の色素を含有するインクジェット記録液に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット用のインクにおいては、その使用される記録方式に適合すること、高い記録画像濃度を有し色調が良好であること、耐光性や耐熱性および耐水性といった色画像堅牢性に優れること、被記録媒体に対して定着が速く記録後ににじまないこと、インクとしての保存性に優れていること、毒性や引火性といった安全性に問題がないこと、安価であること等が要求され、このような観点から、種々のインクジェット用の記録液が提案、検討されているが、要求の多くを同時に満足するような記録液はきわめて限られている。
【0003】
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックを用いたカラー画像記録においては、たとえばC.I.インデックスに記載されている従来から公知のC.I.ナンバーを有する染料、顔料が広く検討されてきた。特にマゼンタのインクにおいてはキサンテン系(例えばC.I.アシッドレッド52等)、アゾ系(例えばC.I.リアクティブレッド180等)の水溶性染料を使用したものが知られているが、一般に前者は耐光性のような堅牢性に問題を有し、後者はマゼンタ色調の鮮明性に欠けるといった色再現性に関する分光吸収特性の問題を有していた。
【0004】
この問題点を解決すべく、色調と耐光性の優れたマゼンタ染料を用いた記録液の開発が盛んに行われているが、いまだに満足できる記録液が達成されていないのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、色画像の耐光性に優れ、良好な色再現性のための色調に優れたインクジェット記録液、特に主な対象としてはマゼンタ色のインクジェット記録液を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は鋭意研究を重ねた結果、上記目的を以下の構成により達成することができた。
【0007】
1.下記一般式(1)で表される色素を含有することを特徴とするインクジェット記録液。
【0008】
【化5】
【0009】
式中、R1およびR2は、各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基またはアラルキル基を表わし、R3は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、芳香族基または複素環基を表わし(但し、R3はR1および窒素原子とともに環を形成してもよい)、R4はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、芳香族基または複素環基を表わす。R5はスルホ基、カルボキシル基、スルファモイル基、カルバモイル基またはアルコキシカルボニル基を表わし、R6およびR7は、各々ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、アラルキルオキシ基、芳香族オキシ基、複素環オキシ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、ウレイド基、ウレタン基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アシル基、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホ基またはカルボキシル基を表わし、p、qは0〜4の整数を表わし、Xnは対陰イオンを表わす。但し、分子中に対陰イオンの存在するときはXnは不要であるものとする。
【0010】
2.前記一般式(1)で表される色素が下記一般式(2)で表わされる色素であることを特徴とする前記1に記載のインクジェット記録液。
【0011】
【化6】
【0012】
式中、R6、R7、pおよびqは、一般式(1)におけるR6、R7、pおよびqと各々同義の基または同義の整数を表わす。R8およびR9は、各々水素原子またはアルキル基を表わし、R10およびR11は、各々アルキル基を表わし、R12はスルホ基またはカルボキシル基を表わす。R13はハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、アラルキルオキシ基、芳香族オキシ基、複素環オキシ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、ウレイド基、ウレタン基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アシル基、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホ基またはカルボキシル基を表わし、mは0〜4の整数を表わす。
【0013】
3.前記一般式(1)で表される色素が下記一般式(3)で表わされる色素であることを特徴とする前記1に記載のインクジェット記録液。
【0014】
【化7】
【0015】
式中、R6、R7、pおよびqは、一般式(1)におけるR6、R7、pおよびqと各々同義の基または同義の整数を表わす。R14およびR15は、各々アルキル基を表わし、R14とR15は窒素原子とともに環を形成してもよい。R16は水素原子またはアルキル基を表わし、R17はアルキル基を表わし、R18はスルホ基またはカルボキシル基を表わす。
【0016】
4.前記一般式(1)で表される色素が下記一般式(4)で表わされる色素であることを特徴とする前記1に記載のインクジェット記録液。
【0017】
【化8】
【0018】
式中、R6、R7、pおよびqは、一般式(1)におけるR6、R7、pおよびqと各々同義の基または同義の整数を表わす。R19およびR20は、各々水素原子またはアルキル基を表わし、R21およびR22は、各々アルキル基を表わし、R23はスルホ基またはカルボキシル基を表わす。R24はハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、アラルキルオキシ基、芳香族オキシ基、複素環オキシ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、ウレイド基、ウレタン基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アシル基、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホ基またはカルボキシル基を表わし、nは0〜4の整数を表わす。
【0019】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0020】
先ず一般式(1)の色素について詳細に説明する。
【0021】
前記一般式(1)においてR1およびR2は、各々水素原子、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、、ノニル基、デシル基、2−ブチルヘキシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等の直鎖、分岐、環状のアルキル基等)、アルケニル基(例えば、アリル基、2−ブテニル基等)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基等)またはアラルキル基(例えば、ベンジル基等)を表わす。
【0022】
これらの基はさらに適当な置換基で置換されていてもよく、適当な置換基としては例えば脂肪族基(例えば炭素数1〜20のアルキル基等)、芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、ヘテロ環基(例えば、少なくとも1つの窒素原子、酸素原子、硫黄原子から選ばれた原子を有する5または6員のヘテロ環基等)、アルコキシ基(例えば、炭素数1〜20のアルコキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アシルアミノ基(例えば、炭素数1〜20のアルカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、アシルオキシ基(例えば、炭素数1〜20のアルカノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、アシル基(例えば、炭素数1〜20のアルカノイル基、ベンゾイル基等)、カルバモイル基(例えば、無置換カルバモイル基、炭素数1〜20のアルキルカルバモイル基、炭素数2〜40のジアルキルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基、炭素数7〜26のN−アルキル,N−フェニルカルバモイル基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、炭素数1〜20のアルコキシカルボニル等)、スルホニルアミノ基(例えば、炭素数1〜20のアルカンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基等)、スルファモイル基(例えば、無置換スルファモイル基、炭素数2〜40のジアルキルスルフファモイル基、炭素数1〜20のアルキルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基、炭素数7〜26のN−アルキル,N−フェニルスルファモイル基等)、ヒドロキシル基、スルホニル基(例えば、炭素数1〜20のアルカンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基等)、アルキルチオ基(例えば、炭素数1〜20のアルキルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基等)、ウレイド基(例えば、無置換ウレイド基、炭素数1〜20のアルキルウレイド基、炭素数2〜40のジアルキルウレイド基、フェニルウレイド基等)、ウレタン基(例えば、炭素数1〜20のアルコキシカルボニルアミノ基等)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基またはアミノ基(例えば、無置換アミノ基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基、炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、アニリノ基、炭素数7〜26のN−アルキルアニリノ基等)が挙げられる。
【0023】
R1およびR2としては水素原子、アルキル基またはアラルキル基のものが好ましく、水素原子またはアルキル基のものがより好ましい。
【0024】
R3は水素原子、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、、ノニル基、デシル基、2−ブチルヘキシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等の直鎖、分岐、環状のアルキル基等)、アルケニル基(例えば、アリル基、2−ブテニル基等)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基等)、アラルキル基(例えば、ベンジル基等)、芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)または複素環基(例えば、ピリジル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、ピペリジニル基、ピロリジニル基、ジオキサジニル等の窒素、酸素、硫黄から選ばれた原子を少なくとも1つ含有する5または6員の複素環等基及びこれらとベンゼン環との縮合環基等)を表わす。
【0025】
また、R3はR1および窒素原子とともに環(例えば、モルホリン環、ピペラジン環、ピペリジン環、ピロリジン環等)を形成してもよい。
【0026】
これらの基はさらに適当な置換基で置換されていてもよく、適当な置換基としては例えばR1およびR2の適当な置換基として上記した基等が挙げられる。
【0027】
R3としてはアルキル基、アラルキル基、芳香族基または複素環基のものが好ましく、アルキル基または芳香族基のものがより好ましい。
【0028】
R4はアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、、ノニル基、デシル基、2−ブチルヘキシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等の直鎖、分岐、環状のアルキル基等)、アルケニル基(例えば、アリル基、2−ブテニル基等)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基等)、アラルキル基(例えば、ベンジル基等)、芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)または複素環基(例えば、ピリジル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、ピペリジニル基、ピロリジニル基、ジオキサジニル等の窒素、酸素、硫黄から選ばれた原子を少なくとも1つ含有する5または6員の複素環等基及びこれらとベンゼン環との縮合環基等)を表わす。
【0029】
これらの基はさらに適当な置換基で置換されていてもよく、適当な置換基としては例えばR1およびR2の適当な置換基として上記した基等が挙げられる。
【0030】
R4としてはアルキル基、アルケニル基、アラルキル基または芳香族基のものが好ましく、アルキル基のものが特に好ましい。
【0031】
R5はスルホ基、カルボキシル基、スルファモイル基(例えば、無置換スルファモイル基、炭素数1〜20アルキルスルファモイル基、炭素数2〜40のジアルキルスルファモル基、フェニルスルファモイル基、炭素数7〜26のN−アルキル,N−フェニルスルファモイル基等)、カルバモイル基(例えば、無置換カルバモイル基、炭素数1〜20のアルキルカルバモイル基、炭素数2〜40のジアルキルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基、炭素数7〜26N−アルキル,N−フェニルカルバモイル基等)またはアルコキシカルボニル基(例えば、炭素数1〜20のアルコキシカルボニル基等)を表わす。
【0032】
これらの基はさらに適当な置換基で置換されていてもよく、適当な置換基としては例えばR1およびR2の適当な置換基として上記した基等が挙げられる。
【0033】
R5としてはスルホ基またはカルボキシル基が好ましい。
【0034】
R6およびR7は各々、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、アルキル基(例えば、炭素数1〜20のアルキル基等)、アルコキシ基(例えば、炭素数1〜20のアルコキシ基等)、アルケニルオキシ基(例えば、アリルオキシ基、2−ブテニルオキシ基等)、アルキニルオキシ基(例えば、プロパルギルオキシ基等)、アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基等)、芳香族オキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、複素環オキシ基(例えば、窒素、酸素、硫黄から選ばれた原子を少なくとも1つ含有する5または6員の複素環オキシ基及びこれらとベンゼン環との縮合環オキシ基等)、アシルアミノ基(例えば、炭素数1〜20のアルカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、スルホニルアミノ基(例えば、炭素数1〜20のアルカンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基等)、ウレイド基(例えば、無置換ウレイド基、炭素数1〜20のアルキルウレイド基、炭素数2〜40のジアルキルウレイド基、フェニルウレイド基等)、ウレタン基(例えば、炭素数1〜20のアルコキシカルボニルアミノ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、炭素数1〜20のアルコキシカルボニル基等)、カルバモイル基(例えば、無置換カルバモイル基、炭素数1〜20のアルキルカルバモイル基、炭素数2〜40のジアルキルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基、炭素数7〜26のN−アルキル,N−フェニルカルバモイル基等)、スルファモイル基(例えば、無置換スルファモイル基、炭素数1〜20のアルキルスルファモイル基、炭素数2〜40のジアルキルカルバモイル基、フェニルスルファモイル基、炭素数7〜26のN−アルキル基,N−フェニルスルファモイル基等)、スルホニル基(例えば、炭素数1〜20のアルカンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基等)、アシル基(例えば、炭素数1〜20のアルカノイル基、ベンゾイル基等)、アミノ基(例えば、無置換アミノ基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基、炭素数2〜40のジアルキルアミノ基、アニリノ基、炭素数7〜26のN−アルキルアニリノ基等)、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホ基またはカルボキシル基を表わす。
【0035】
これらの基はさらに適当な置換基で置換されていてもよく、適当な置換基としては例えばR1およびR2の適当な置換基として上記した基等が挙げられる。
【0036】
pは0〜4の整数を表わすが、0、1、2のものが好ましい。
【0037】
qは0〜4の整数を表わすが、0、1、2のものが好ましい。
【0038】
Xnは対陰イオンを表わすが、対陰イオンとしてはハライドイオン(例えば、クロライドイオン、ブロマイドイオン等)、硫酸イオン、有機スルホネートイオン(例えば、炭素数1〜20のアルキルスルホネートイオン、ベンゼンスルホネートイオン等)、脂肪酸イオン(炭素数1〜20の脂肪族カルボキシレートイオン等)、安息香酸イオン、しゅう酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオンまたはヘキサフルオロホスフェートイオン等が挙げられる。
【0039】
但し、分子中の置換基として対陰イオンを有する場合(例えば、R5がスルホ基またはカルボキシル基の場合等)にはXnは不要であるものとする。
【0040】
対陰イオンは分子内の置換基として存在する場合(すなわちXnが不要である場合)がより好ましい。
【0041】
本発明において、耐光性の観点から上記一般式(2),(3),(4)の色素を含有するインクジェット記録液を特に好ましく挙げることができる。
【0042】
一般式(2)において、R6、R7、pおよびqは、一般式(1)におけるR6、R7、pおよびqと各々同義の基または同義の整数を表わす。
【0043】
R8およびR9は、各々水素原子またはアルキル基(例えば、R1およびR2のアルキル基の具体例として上記した基等)を表わし、R10およびR11は、各々アルキル基(例えば、R4のアルキル基の具体例として上記した基等)を表わし、R12はスルホ基またはカルボキシル基を表わす。R13はハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、アラルキルオキシ基、芳香族オキシ基、複素環オキシ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、ウレイド基、ウレタン基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アシル基、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホ基またはカルボキシル基を表わし、これらの基の好ましい例としてはR6およびR7の同様の基について具体例として上記した基等が挙げられ、mは0〜4の整数を表わす。
【0044】
一般式(3)においてR6、R7、pおよびqは、一般式(1)におけるR6、R7、pおよびqと各々同義の基または同義の整数を表わす。R14およびR15は、各々アルキル基(例えば、R1およびR2のアルキル基の具体例として上記した基等)を表わし、R14とR15は窒素原子とともに環(例えば、モルホリン環、ピペラジン環、ピペリジン環、ピロリジン環等)を形成してもよい。R16は水素原子またはアルキル基(例えば、R1およびR2のアルキル基の具体例として上記した基等)を表わし、R17はアルキル基(例えば、R4のアルキル基の具体例として上記した基等)を表わし、R18はスルホ基またはカルボキシル基を表わす。
【0045】
一般式(4)においてR6、R7、pおよびqは、一般式(1)におけるR6、R7、pおよびqと各々同義の基または同義の整数を表わす。R19およびR20は、各々水素原子またはアルキル基(例えば、R1およびR2のアルキル基の具体例として上記した基等)を表わし、R21およびR22は、各々アルキル基(例えば、R4のアルキル基の具体例として上記した基等)を表わし、R23はスルホ基またはカルボキシル基を表わす。R24はハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、アラルキルオキシ基、芳香族オキシ基、複素環オキシ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、ウレイド基、ウレタン基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アシル基、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホ基またはカルボキシル基を表わし、これらの基の好ましい例としてはR6およびR7の同様の基について具体例として上記した基等が挙げられ、nは0〜4の整数を表わし、nは0、1、2のものが好ましい。
【0046】
以下に一般式(1)〜(4)で示される色素の具体的化合物例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0047】
具体的化合物例
【0048】
【化9】
【0049】
【化10】
【0050】
【化11】
【0051】
【化12】
【0052】
【化13】
【0053】
一般式(1)〜(4)で示される色素は、化合物D−1,2,3の場合に下記の合成スキームに従って容易に合成することができ、他の本発明の色素もこれに準じて合成することが可能である。
【0054】
【化14】
【0055】
一般式(1),(2),(3)又は(4)で示される色素を含有するインクジェット記録液は水系ジェット記録液、油系インクジェット記録液、固体(相変化)インクジェット記録液等を用いることができるが、水系インクジェット記録液(例えばインクジェット記録液総重量あたり10重量%以上の水を含有する水性インクジェット記録液等)を溶媒系として特に好ましく用いることができる。
【0056】
水系インクジェット記録液は、一般式(1),(2),(3)又は(4)で示される色素の他に溶剤として水と水溶性有機溶媒を併用することが好ましい。
【0057】
水溶性有機溶媒の例としては、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等)、多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、尿素、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。
【0058】
上記のような水系インクジェット記録液において、色素はその溶媒系に可溶であればそのまま溶解して用いることができる。一方、そのままでは不溶の固体である場合、色素を種々の分散機(例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテーターミル、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、ジェットミル、オングミル等)を用いて微粒子化するか、あるいは可溶である有機溶媒に色素を溶解した後に、高分子分散剤や界面活性剤とともにその溶媒系に分散させることができる。さらに、そのままでは不溶の液体または半溶融状物である場合、そのままかあるいは可溶である有機溶媒に溶解して、高分子分散剤や界面活性剤とともにその溶媒系に分散させることができる。
【0059】
このような水系インクジェット記録液の具体的調製法については、例えば特開平5−148436号、同5−295312号、同7−97541号、同7−82515号、同7−118584号等に記載の方法を参照することができる。
【0060】
油系インクジェット記録液は、本発明の色素の他に溶媒として有機溶媒を使用する。
【0061】
油系インクジェット記録液の溶媒の例としては、上記水系インクジェット記録液において水溶性有機溶媒として例示したものに加えて、アルコール類(例えば、ペンタノール、ヘプタノール、オクタノール、フェニルエチルアルコール、フェニルプロピルアルコール、フルフリルアルコール、アニルアルコール等)、エステル類(エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、酢酸エチル、酢酸アミル、酢酸ベンジル、酢酸フェニルエチル、酢酸フェノキシエチル、フェニル酢酸エチル、プロピオン酸ベンジル、安息香酸エチル、安息香酸ブチル、ラウリン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、リン酸トリエチル、リン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジプロピル、ジエチルマロン酸ジエチル、コハク酸ジエチル、コハク酸ジブチル、グルタル酸ジエチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジプロピル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ(2−メトキシエチル)、セバシン酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジオクチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジオクチル、ケイ皮酸−3−ヘキセニル等)、エーテル類(例えば、ブチルフェニルエーテル、ベンジルエチルエーテル、ヘキシルエーテル等)、ケトン類(例えば、ベンジルメチルケトン、ベンジルアセトン、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノン等)、炭化水素類(例えば、石油エーテル、石油ベンジル、テトラリン、デカリン、ターシャリーアミルベンゼン、ジメチルナフタリン等)、アミド類(例えば、N,N−ジエチルドデカンアミド等)が挙げられる。
【0062】
上記のような油系インクジェット記録液において、色素はそのまま溶解させて用いることができ、また樹脂状分散剤や結合剤を併用して分散または溶解させて用いることもできる。
【0063】
このような油系インクジェット記録液の具体的調製法については、特開平3−231975号、特表平5−508883号等に記載の方法を参照することができる。
【0064】
固体(相変化)インクジェット記録液は、室温で固体であり、かつインクジェット記録液の加熱噴射時には溶融した液体状である相変化溶媒を使用する。
【0065】
このような相変化溶媒としては、天然ワックス(例えば、密ロウ、カルナウバワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油、鯨ロウ、カンデリラワックス、ラノリン、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等)、ポリエチレンワックス誘導体、塩素化炭化水素、有機酸(例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、チグリン酸、2−アセトナフトンベヘン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ジヒドロキシステアリン酸等)、有機酸エステル(例えば、上記した有機酸のグリセリン、ジエチレングリコール、エチレングリコール等のアルコールとのエステル等)、アルコール(例えば、ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、エイコサノール、ドコサノール、テトラコサノール、ヘキサコサノール、オクタコサノール、ドデセノール、ミリシルアルコール、テトラセノール、ヘキサデセノール、エイコセノール、ドコセノール、ピネングリコール、ヒノキオール、ブチンジオール、ノナンジオール、イソフタリルアルコール、メシセリン、テレアフタリルアルコール、ヘキサンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ヘキサデカンジオール、ドコサンジオール、テトラコサンジオール、テレビネオール、フェニルグリセリン、エイコサンジオール、オクタンジオール、フェニルプロピレングリコール、ビスフェノールA、パラアルファクミルフェノール等)、ケトン(例えば、ベンゾイルアセトン、ジアセトベンゼン、ベンゾフェノン、トリコサノン、ヘプタコサノン、ヘプタトリアコンタノン、ヘントリアコンタノン、ヘプタトリアコンタノン、ステアロン、ラウロン、ジアニソール等)、アミド(例えば、オレイン酸アミド、ラウリル酸アミド、ステアリン酸アミド、リシノール酸アミド、パルミチン酸アミド、テトラヒドロフラン酸アミド、エルカ酸アミド、ミリスチン酸アミド、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N,N′−エチレンビスラウリン酸アミド、N,N′−エチレンビスステアリン酸アミド、N,N′−エチレンビスオレイン酸アミド、N,N′−メチレンビスステアリン酸アミド、N,N′−エチレンビスベヘン酸アミド、N,N′−キシリレンビスステアリン酸アミド、N,N′−ブチレンビスステアリン酸アミド、N,N′−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N′−ジステアリルアジピン酸アミド、N,N′−ジオレイルセバシン酸アミド、N,N′−システアリルセバシン酸アミド、N,N′−ジステアリルテレフタル酸アミド、N,N′−ジステアリルイソフタル酸アミド、フェナセチン、トルアミド、アセトアミド、オレイン酸2量体/エチレンジアミン/ステアリン酸(1:2:2のモル比)のような2量体酸とジアミンと脂肪酸の反応生成物テトラアミド等)、スルホンアミド(例えば、パラトルエンスルホンアミド、エチルベンゼンスルホンアミド、ブチルベンゼンスルホンアミド等)、シリコーン類(例えば、シリコーンSH6018(東レシリコーン)、シリコーンKR215,216,220(信越シリコーン)等)、クマロン類(例えば、エスクロンG−90(新日鐵化学)等)、コレステロール脂肪酸エステル(例えば、ステアリン酸コレステロール、パルミチン酸コレステロール、ミリスチン酸コレステロール、ベヘン酸コレステロール、ラウリン酸コレステロール、メリシン酸コレステロール等)、糖類脂肪酸エステル(ステアリン酸サッカロース、パルミチン酸サッカロース、ベヘン酸サッカロース、ラウリン酸サッカロース、メリシン酸サッカロース、ステアリン酸ラクトース、パルミチン酸ラクトース、ミリスチン酸ラクトース、ベヘン酸ラクトース、ラウリン酸ラクトース、メリシン酸ラクトース等)が挙げられる。
【0066】
固体インクジェット記録液の固体−液体相変化における相変化温度は、60℃以上であることが好ましく、80〜150℃であることがより好ましい。
【0067】
上記のような固体インクジェット記録液において、加熱した溶融状態の溶媒に本発明の色素をそのまま溶解させて用いることができ、また樹脂状分散剤や結合剤を併用して分散または溶解させて用いることもできる。
【0068】
このような固体インクジェット記録液の具体的調製法については、特開平5−186723号、同7−70490号等に記載の方法を参照することができる。
【0069】
上記したような水系、油系、固体の各インクジェット記録液は、その飛翔時の粘度として40cps以下が好ましく、30cps以下であることがより好ましい。
【0070】
本発明のインクジェット記録液は、その飛翔時の表面張力として20dyn/cm以上が好ましく、25〜80dyn/cmであることが、より好ましい。
【0071】
本発明のインクジェット記録液において、一般式(1)〜(4)で示される色素は、全インクジェット液量の0.1〜25重量%の範囲で使用されることが好ましく、0.5〜10重量%の範囲であることがより好ましい。
【0072】
本発明のインクジェット記録液においては、吐出安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、粘度調整剤、表面張力調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、分散剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防ばい剤、防錆剤等を添加することもできる。
【0073】
本発明のインクジェット記録液は、その使用する記録方式に関して特に制約はなく、コンティニュアス方式及びオンデマンド方式のインクジェットプリンタ用のインクジェット記録液として好ましく使用することができる。オンデマンド型方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)、放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを具体的な例として挙げることができる。
【0074】
【実施例】
実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこの実施例における形態に限定されるものではない。
【0075】
実施例1
表1に記載の組成を有する各インク組成物を用いて、インクジェットプリンタMJ−5000C(セイコーエプソン株式会社製、電気−機械変換方式)によって、インクジェット用専用コート紙上に記録したマゼンタ画像サンプルを得た。
【0076】
このサンプルを用いて、下記のように定義した耐光性、色調、の評価を行った結果を表1に示す。
【0077】
耐光性:PDA−65(コニカ(株)製)の緑色光による反射濃度の測定から算出したキセノンフェードメーターにて24時間爆射した後のサンプルの未爆射サンプルに対する画像の残存率。
【0078】
耐光性(%)=(爆射試料の緑色光反射濃度/未爆射試料の緑色光反射濃度)×100
色調:PDA−65(コニカ(株)製)を用いて青色、緑色、赤色光における反射濃度を測定し、緑色光における反射濃度を1に規格化した場合の相対青色光反射濃度および相対赤色光反射濃度を算出して下記基準にて評価。
【0079】
すなわち○は青色光および赤色光の波長領域に不正吸収が少ない良好な色調のマゼンタ画像を表す。
【0080】
○ :相対青色光反射濃度0.25未満かつ相対赤色光反射濃度0.10未満の場合
△b:相対青色光反射濃度0.25以上で相対赤色光反射濃度0.10未満の場合
△r:相対青色光反射濃度0.25未満で相対赤色光反射濃度0.10以上の場合
× :相対青色光反射濃度0.25以上かつ相対赤色光反射濃度0.10以上の場合
尚、表1の各化合物量の単位はインクジェット記録液における重量%である。
表中に記載の比較−1、比較−2および界面活性剤−1の構造を下記に示す。
【0081】
【化15】
【0082】
【表1】
【0083】
表1の結果から明らかなように、本発明のインクジェット記録液は比較のインクジェット記録液を使用した場合に比較して耐光性に優れ、かつ緑色光領域の反射濃度に対する青色光および赤色光領域の不正吸収が少ない色調が良好のものであることがわかる。
【0084】
さらに、本プリンタにおける連続吐出試験においても問題なく使用でき、本発明のインクジェット記録液の電気−機械変換方式に対する高い信頼性を確認した。
【0085】
実施例2
表2に記載の組成を有する各インク組成物を用いて、インクジェットプリンタBJC−600J(キヤノン社製、電気−熱変換方式)によって、インクジェット用専用光沢紙上に記録したサンプルを得た。このサンプルを用いて、実施例1と同様に耐光と色調の評価を行った結果を表2に示す。
【0086】
尚、表2の各化合物量の単位はインクジェット記録液における重量%であり、比較−1、比較−2の化合物および評価項目の定義は各々実施例1と同様である。
【0087】
【表2】
【0088】
表2の結果から明らかなように、本発明のインクジェット記録液は比較のインクジェット記録液を使用した場合に比較して耐光性に優れ、かつ緑色光領域の反射濃度に対する青色光および赤色光領域の不正吸収が少ない色調が良好のものであることがわかる。
【0089】
また、本プリンタの系においてインクジェット記録液の熱時変質によるヘッドの異常等は確認されず、電気−熱変換方式に対する適合性を持ち合わせていることを確認した。
【0090】
【発明の効果】
本発明によるインクジェット記録液は色画像の耐光性に優れ、良好な色再現性のための色調に優れた効果を有し、特にマゼンタ色に優れた効果を有する。
Claims (4)
- 下記一般式(1)で表される色素を含有することを特徴とするインクジェット記録液。
- 前記一般式(1)で表される色素が下記一般式(2)で表わされる色素であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録液。
- 前記一般式(1)で表される色素が下記一般式(4)で表わされる色素であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録液。
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