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JP3743052B2 - インクジェット記録液 - Google Patents

インクジェット記録液 Download PDF

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JP3743052B2
JP3743052B2 JP5137796A JP5137796A JP3743052B2 JP 3743052 B2 JP3743052 B2 JP 3743052B2 JP 5137796 A JP5137796 A JP 5137796A JP 5137796 A JP5137796 A JP 5137796A JP 3743052 B2 JP3743052 B2 JP 3743052B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は特定の色素を含有するインクジェット記録液に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録は、インクの微小な液滴を飛翔させて、被記録媒体上に文字や画像を記録する方法である。この記録方法は、種々の被記録媒体上に記録が可能であること、カラー化が容易であることに加え、最近のインクジェットプリンタの低価格化、小型化、高細密性化、高速化によって、その需要が飛躍的に拡大しつつある。
【0003】
このインクジェット記録方法においては、インクを連続的に吐出させ、液滴に与える荷電を制御することにより必要な液滴を被記録媒体に付着させるコンティニュアス方式と、必要な液滴のみを吐出させるオンデマンド方式が知られている。更にオンデマンド方式は、ピエゾ素子の電気−機械変換により液滴を圧力吐出させる方式、電気−熱変換により気泡を発生させて液滴を圧力吐出させる方式、静電力により液滴を吸引吐出させる方式等に大別される。
【0004】
インクジェット用のインクジェット記録液においては、例えば上記から選択される記録方式に適合すること、高い記録画像濃度を有し色調が良好であること、耐光性や耐熱性及び耐水性といった色画像堅牢性に優れること、被記録媒体に対して定着が速く記録後に滲まないこと、インクとしての保存性に優れていること、毒性や引火性といった安全性に問題がないこと、安価であること等が要求される。
【0005】
このような観点から、種々のインクジェット用のインクジェット記録液が提案、検討されているが、上記要求の多くを同時に満足するような記録液は極めて限られている。
【0006】
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックを用いたカラー画像記録においては、例えばC.I.(カラー・インデックス)に記載されている従来から公知のC.I.No.を有する染料、顔料が広く検討されてきた。特にマゼンタ用のインクジェット記録液においては、C.I.アシッドレッド52の様なキサンテン系、C.I.ダイレクトレッド20の様なアゾ系の水溶性染料を使用したものが知られているが、前者は耐光性などの堅牢性に問題を有し、後者は彩度に欠けるといった色再現性に関する分光吸収特性上の問題を有していた。
【0007】
この問題点を解決すべく、特開昭59−133273号、同59−147065号、同59−155089号、同60−190478号、同60−199079号、特開平5−295312号等にはアニリノ基で置換したフェニルキサンテン色素が記載されているが、吸収が短波長で色相として好ましくなく、かつ耐光性も不十分な欠点を有していた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、色画像の耐光性に優れ、良好な色再現性のための色調に優れたインクジェット記録液、特にマゼンタ色の耐光性、色調に優れたインクジェット記録液を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は以下の構成により達成される。
【0010】
1.下記一般式Iで表される色素を含有することを特徴とするインクジェット記録液。
【0011】
【化4】
Figure 0003743052
【0012】
式中、Rは、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはカルボキシアルキル基を表し、X1〜X10は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アシルアミノ基、アルキルスルホニル基、アラルキル基、ヒドロキシアルキル基、アシル基、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホ基またはカルボキシル基を表す。Y1およびY2は、各々スルホ基、ハロゲン原子を表す。Zはスルホ基、カルボキシル基、スルファモイル基、カルバモイル基またはアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子を表す。l及びmは01又は2の整数を表し、nは1、2、3、4又は5の整数を表す。An-は対陰イオンを表す。但し、分子中に対陰イオンの存在するときはAn-は不要であるものとする。
【0013】
2.下記一般式IIで表される色素を含有することを特徴とするインクジェット記録液。
【0014】
【化5】
Figure 0003743052
【0015】
式中、R1およびR2は、各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、カルボキシアルキル基、またはスルホアルキル基を表し、R1またはR2の少なくとも一方はスルホアルキル基を表す。X1〜X10は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アシルアミノ基、アルキルスルホニル基、アラルキル基、ヒドロキシアルキル基、アシル基、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホ基またはカルボキシル基を表す。Y1およびY2は、各々スルホ基、ハロゲン原子を表す。Zはスルホ基、カルボキシル基、スルファモイル基、カルバモイル基またはアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子を表す。l及びmは0、1又は2の整数を表し、nは1、2、3、4又は5の整数を表す。An-は対陰イオンを表す。但し、分子中に対陰イオンの存在するときはAn-は不要であるものとする。
【0019】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0020】
先ず、一般式Iで表される色素について説明する。
【0021】
一般式Iにおいて、Rは、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、2−ブチルヘキシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等の直鎖、分岐、環状のアルキル基等)、アルケニル基(例えば、アリル基、2−ブテニル基等)、アラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基等)またはカルボキシアルキル基(例えば、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基等)を表す。Rの好ましくは、アルキル基である。X1〜X10は水素原子、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基)、アルケニル基(例えば、アリル基、2−ブテニル基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ブチリルアミノ基、ピバリルアミノ基、オクタノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、オクチルスルホニル基等)、アラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基等)、ヒドロキシアルキル(例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基等)、アシル基(アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバリル基、オクタノイル基等)、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホ基またはカルボキシル基を表す。
【0022】
1〜X10の好ましい基は、アルキル基、スルホ基、カルボキシル基であり、更に好ましい基は、X1、X6の両方にアルキル基を有し、かつその他の位置に少なくとも一つのスルホ基、またはカルボキシル基を有する場合である。Y1およびY2は、各々スルホ基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)を表す。Y1およびY2の好ましい基は、スルホ基である。
【0023】
Zはスルホ基、カルボキシル基、スルファモイル基(メチルアミノスルホニル基、エチルスアミノスルホニル基、プロピルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基等)、カルバモイル基(メチルアミノカルボニル基、エチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基等)またはアルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)を表す。
【0024】
Zの好ましい基は、スルホ基又はカルボキシル基である。更に好ましい基は、スルホ基である。l及びmは0、1又は2の整数を表し、l及びmの好ましい整数は0である。nは1、2、3、4又は5の整数を表し、nの好ましい整数は1又は2である。更に好ましい整数は1である。
【0025】
An-は対陰イオンを表す。対陰イオンとしてはハライドイオン(例えば、クロライド、ブロマイド等)、硫酸イオン、有機スルホネートイオン(例えば、炭素数1〜20のアルキルスルホネート、ベンゼンスルホネート等)、脂肪酸イオン(炭素数1〜20の脂肪族カルボキシレート等)、安息香酸イオン、しゅう酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオンまたはヘキサフルオロホスフェートイオン等が挙げられる。
【0026】
但し、分子中の置換基として対陰イオンを有する場合(例えば、Zがスルホ基またはカルボキシル基の場合等)にはAn-は不要であるものとする。対陰イオンは分子内の置換基として存在する場合(すなわちAn-が不要である場合)がより好ましい。
【0027】
以下に、一般式Iで表される色素(本発明の色素Iともいう)の具体的化合物例を示すが、本発明はこれらに限定されものではない。
【0028】
【化7】
Figure 0003743052
【0029】
【化8】
Figure 0003743052
【0030】
【化9】
Figure 0003743052
【0031】
【化10】
Figure 0003743052
【0032】
次に一般式IIで表される色素について説明する。
【0033】
一般式IIにおいてR1およびR2は、各々水素原子、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、2−ブチルヘキシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等の直鎖、分岐、環状のアルキル基等)、アルケニル基(例えば、アリル基、2−ブテニル基等)、アラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基等)またはカルボキシアルキル基(例えば、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基等)、またはスルホアルキル基(スルホメチル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、スルホブチル基等)を表し、R1またはR2の少なくとも一方はスルホアルキル基を表す。
【0034】
1、R2の好ましい原子、基は、一方がスルホアルキル基で他方がアルキル基である時、一方がスルホアルキル基で他方が水素原子である時、またはR1、R2の両方がスルホアルキル基である場合である。
【0035】
1〜X10は水素原子、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基)、アルケニル基(例えば、アリル基、2−ブテニル基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ブチリルアミノ基、ピバリルアミノ基、オクタノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、オクチルスルホニル基等)、アラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基等)、ヒドロキシアルキル(例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基等)、アシル基(アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバリル基、オクタノイル基等)、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホ基またはカルボキシル基を表す。
【0036】
1〜X10の好ましい基は、アルキル基、スルホ基、カルボキシル基であり、更に好ましい基は、X1、X6の両方にアルキル基を有する場合である。
【0037】
1およびY2は、各々スルホ基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)を表す。Y1およびY2の好ましい基は、スルホ基である。
【0038】
Zはスルホ基、カルボキシル基、スルファモイル基(メチルアミノスルホニル基、エチルスアミノスルホニル基、プロピルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基等)、カルバモイル基(メチルアミノカルボニル基、エチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基等)またはアルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)を表す。
【0039】
Zの好ましい基は、スルホ基、またはカルボキシル基である。更に好ましい基は、スルホ基である。l及びmは0、1又は2の整数を表し、l及びmの好ましい整数は0である。nは1、2、3、4又は5の整数を表し、nの好ましい整数は1又は2である。更に好ましい整数は1である。
【0040】
An-は対陰イオンを表す。対陰イオンとしてはハライドイオン(例えば、クロライドイオン、ブロマイドイオン等)、硫酸イオン、有機スルホネートイオン(例えば、炭素数1〜20のアルキルスルホネート、ベンゼンスルホネート等)、脂肪酸イオン(炭素数1〜20の脂肪族カルボキシレート等)、安息香酸イオン、しゅう酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオンまたはヘキサフルオロホスフェートイオン等が挙げられる。
【0041】
但し、分子中の置換基として対陰イオンを有する場合(例えば、Zがスルホ基またはカルボキシル基の場合等)にはAn-は不要であるものとする。対陰イオンは分子内の置換基として存在する場合(すなわちAn-が不要である場合)がより好ましい。
【0042】
以下に、一般式IIで表される色素(本発明の色素IIともいう)の具体的化合物例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0043】
【化11】
Figure 0003743052
【0044】
【化12】
Figure 0003743052
【0045】
【化13】
Figure 0003743052
【0046】
【化14】
Figure 0003743052
【0047】
次に一般式IIIで表される色素について説明する。
【0048】
一般式IIIにおいてR3およびR4は、各々水素原子、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、2−ブチルヘキシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等の直鎖、分岐、環状のアルキル基等)、アルケニル基(例えば、アリル基、2−ブテニル基等)、アラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基等)またはカルボキシアルキル基(例えば、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基等)、またはスルホアルキル基(スルホメチル基、スルホエチル基、スルホプロピル基、スルホブチル基等)を表す。R3、R4の好ましい原子、基は、一方がスルホアルキル基で他方がアルキル基である時、一方がアルキル基で他方が水素原子である時、R3、R4の両方が水素原子である時、またはR3、R4の両方がアルキル基である場合である。
【0049】
11〜X20は水素原子、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基)、アルケニル基(例えば、アリル基、2−ブテニル基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ブチリルアミノ基、ピバリルアミノ基、オクタノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、オクチルスルホニル基等)、アラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基等)、ヒドロキシアルキル(例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基等)、アシル基(アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバリル基、オクタノイル基等)、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホ基、カルボキシル基、アルキルスルホンアミド基またはアリールスルホンアミド基を表し、X11〜X20の内少なくとも一つはアルキルスルホンアミド基またはアリールスルホンアミド基である。X11ないしX20の好ましくは、X11、X16の少なくとも一方に、アルキルスルホンアミド基を有する場合、及びX11、X16にアルキル基を有し、X14、またはX19にアルキルスルホンアミド基を有する場合である。
【0050】
1およびY2は、各々スルホ基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)を表す。Y1およびY2の好ましい基は、スルホ基である。
【0051】
Zはスルホ基、カルボキシル基、スルファモイル基(メチルアミノスルホニル基、エチルスアミノスルホニル基、プロピルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基等)、カルバモイル基(メチルアミノカルボニル基、エチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基等)またはアルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)を表す。Zの好ましい基は、スルホ基又はカルボキシル基である。更に好ましい基は、スルホ基である。l及びmは0、1又は2の整数を表し、l及びmの好ましい整数は0である。nは1、2、3、4又は5の整数を表し、nの好ましい整数は1又は2である。更に好ましい整数は1である。
【0052】
An-は対陰イオンを表す。対陰イオンとしてはハライドイオン(例えば、クロライド、ブロマイド等)、硫酸イオン、有機スルホネートイオン(例えば、炭素数1〜20のアルキルスルホネート、ベンゼンスルホネート等)、脂肪酸イオン(炭素数1〜20の脂肪族カルボキシレート等)、安息香酸イオン、しゅう酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオンまたはヘキサフルオロホスフェートイオン等が挙げられる。
【0053】
但し、分子中の置換基として対陰イオンを有する場合(例えば、Zがスルホ基またはカルボキシル基の場合等)にはAn-は不要であるものとする。対陰イオンは分子内の置換基として存在する場合(すなわちAn-が不要である場合)がより好ましい。
【0054】
以下に、一般式IIIで表される色素(本発明の色素IIIともいう)の具体的化合物例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0055】
【化15】
Figure 0003743052
【0056】
【化16】
Figure 0003743052
【0057】
【化17】
Figure 0003743052
【0058】
【化18】
Figure 0003743052
【0059】
本発明の一般式I、一般式II及び一般式IIIで表される色素(以下、本発明の色素ともいう)を含有するインクジェット記録液は、水系インク、油系インク、固体(相変化)インク等の種々の溶媒系を用いることができるが、水性インクを溶媒系として特に好ましく用いられる。
【0060】
水系インク溶媒は、本発明の色素の他に、溶剤として水と水溶性有機溶媒を一般に使用する。水溶性有機溶媒の例としては、アルコール類(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、i−プロパノール、ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類(例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等)、多価アルコールエーテル類(例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等)、アミン類(例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、アミド類(例えばホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えばジメチルスルホキシド)、スルホン類(例えばスルホラン)、尿素、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。
【0061】
上記のような水系インク溶媒において、本発明の色素はその溶媒系に可溶であれば、そのまま溶解して用いることができる。一方、そのままでは不溶の固体である場合、色素を種々の分散機(例えばボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテーターミル、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、ジェットミル、オングミル等)を用いて微粒子化するか、あるいは可溶である有機溶媒に色素を溶解した後に、高分子分散剤や界面活性剤と共にその溶媒系に分散させることができる。更に、そのままでは不溶の液体又は半溶融状物である場合、そのままか、あるいは可溶である有機溶媒に溶解して、高分子分散剤や界面活性剤と共にその溶媒系に分散させることができる。
【0062】
このような水系インク溶媒の具体的調製法については、例えば特開平5−148436号、同5−295312号、同7−97541号、同7−82515号、同7−118584号等に記載の方法を参照することができる。
【0063】
油系インク溶媒は、本発明の色素の他に溶媒として有機溶媒を使用する。油系インクの溶媒例としては、上記水系インク溶媒において水溶性有機溶媒として例示したものに加えて、アルコール類(例えばペンタノール、ヘプタノール、オクタノール、フェニルエチルアルコール、フェニルプロピルアルコール、フルフリルアルコール、アニルアルコール等)、エステル類(エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、酢酸エチル、酢酸アミル、酢酸ベンジル、酢酸フェニルエチル、酢酸フェノキシエチル、フェニル酢酸エチル、プロピオン酸ベンジル、安息香酸エチル、安息香酸ブチル、ラウリン酸ブチル、ミリスチン酸−i−プロピル、燐酸トリエチル、燐酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジプロピル、ジエチルマロン酸ジエチル、琥珀酸ジエチル、琥珀酸ジブチル、グルタル酸ジエチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジプロピル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ(2−メトキシエチル)、セバシン酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジオクチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジオクチル、桂皮酸−3−ヘキセニル等)、エーテル類(例えばブチルフェニルエーテル、ベンジルエチルエーテル、ヘキシルエーテル等)、ケトン類(例えばベンジルメチルケトン、ベンジルアセトン、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノン等)、炭化水素類(例えば石油エーテル、石油ベンジル、テトラリン、デカリン、t−アミルベンゼン、ジメチルナフタリン等)、アミド類(例えばN,N−ジエチルドデカンアミド)等が挙げられる。
【0064】
上記のような油系インク溶媒において、本発明の色素はそのまま溶解させて用いることができ、又、樹脂状分散剤や結合剤を併用して分散又は溶解させて用いることもできる。このような油系インク溶媒の具体的調製法については、特開平3−231975号、特表平5−508883号等に記載の方法を参照することができる。
【0065】
固体(相変化)インク溶媒は、本発明のインクジェット記録液の他に溶媒として室温で固体であり、かつインクジェット記録液の加熱噴射時には溶融した液体状である相変化溶媒を使用する。この様な相変化溶媒としては、天然ワックス(例えば密蝋、カルナウバワックス、ライスワックス、木蝋、ホホバ油、鯨蝋、カンデリラワックス、ラノリン、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等)、ポリエチレンワックス誘導体、塩素化炭化水素、有機酸(例えばパルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、チグリン酸、2−アセトナフトンベヘン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ジヒドロキシステアリン酸等)、有機酸エステル(例えば上記有機酸のグリセリン、ジエチレングリコール、エチレングリコール等のアルコールとのエステル等)、アルコール(例えばドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、エイコサノール、ドコサノール、テトラコサノール、ヘキサコサノール、オクタコサノール、ドデセノール、ミリシルアルコール、テトラセノール、ヘキサデセノール、エイコセノール、ドコセノール、ピネングリコール、ヒノキオール、ブチンジオール、ノナンジオール、イソフタリルアルコール、メシセリン、テレフタリルアルコール、ヘキサンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ヘキサデカンジオール、ドコサンジオール、テトラコサンジオール、テレピネオール、フェニルグリセリン、エイコサンジオール、オクタンジオール、フェニルプロピレングリコール、ビスフェノールA、パラアルファクミルフェノール等)、ケトン(例えばベンゾイルアセトン、ジアセトベンゼン、ベンゾフェノン、トリコサノン、ヘプタコサノン、ヘプタトリアコンタノン、ヘントリアコンタノン、ステアロン、ラウロン、ジアニソール等)、アミド(例えばオレイン酸アミド、ラウリル酸アミド、ステアリン酸アミド、リシノール酸アミド、パルミチン酸アミド、テトラヒドロフラン酸アミド、エルカ酸アミド、ミリスチン酸アミド、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N,N′−エチレンビスラウリン酸アミド、N,N′−エチレンビスステアリン酸アミド、N,N′−エチレンビスオレイン酸アミド、N,N′−メチレンビスステアリン酸アミド、N,N′−エチレンビスベヘン酸アミド、N,N′−キシリレンビスステアリン酸アミド、N,N′−ブチレンビスステアリン酸アミド、N,N′−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N′−ジステアリルアジピン酸アミド、N,N′−ジオレイルセバシン酸アミド、N,N′−ジステアリルセバシン酸アミド、N,N′−ジステアリルイソフタル酸アミド、フェナセチン、トルアミド、アセトアミド、オレイン酸2量体/エチレンジアミン/ステアリン酸(1:2:2のモル比)の様な2量体酸とジアミンと脂肪酸の反応生成物テトラアミド等)、スルホンアミド(例えばパラトルエンスルホンアミド、エチルベンゼンスルホンアミド、ブチルベンゼンスルホンアミド等)、シリコーン類(例えばシリコーンSH6018(東レシリコーン)、シリコーンKR215,216,220(信越シリコーン)等)、クマロン類(例えば、エスクロンG−90(新日鐵化学)等)、コレステロール脂肪酸エステル(例えばステアリン酸コレステロール、パルミチン酸コレステロール、ミリスチン酸コレステロール、ベヘン酸コレステロール、ラウリン酸コレステロール、メリシン酸コレステロール等)、糖類脂肪酸エステル(ステアリン酸サッカロース、パルミチン酸サッカロース、ベヘン酸サッカロース、ラウリン酸サッカロース、メリシン酸サッカロース、ステアリン酸ラクトース、パルミチン酸ラクトース、ミリスチン酸ラクトース、ベヘン酸ラクトース、ラウリン酸ラクトース、メリシン酸ラクトース等)が挙げられる。
【0066】
固体インク溶媒の固体−液体相変化における相変化温度は60℃以上であることが好ましく、80〜150℃であることがより好ましい。
【0067】
上記の様な固体インク溶媒において、加熱した溶融状態の溶媒に本発明の色素をそのまま溶解させて用いることができ、又、樹脂状分散剤や結合剤を併用して分散又は溶解させて用いることもできる。
【0068】
このような固体インク溶媒の具体的調製法については、特開平5−186723号、同7−70490号等に記載の方法を参照することができる。
【0069】
上記の水系、油系、固体の各インク溶媒は、その飛翔時の粘度として40cps以下が好ましく、30cps以下であることがより好ましい。
【0070】
本発明のインクジェット記録液は、その飛翔時の表面張力として20dyn/cm以上が好ましく、30〜80dyn/cmであることがより好ましい。
【0071】
本発明のインクジェット記録液において、本発明の一般式I、一般式II及び一般式IIIで表される色素は、全インクジェット記録液量の0.1〜25重量%の範囲で使用されることが好ましく、0.5〜10重量%の範囲であることがより好ましい。
【0072】
本発明のインクジェット記録液においては、吐出安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、粘度調整剤、表面張力調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、分散剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、褪色防止剤、防黴剤、防錆剤等を添加することもできる。
【0073】
本発明のインクジェット記録液は、その使用する記録方式に関して特に制約はないが、特にオンデマンド方式のインクジェットプリンタ用のインクとして好ましく使用することができる。オンデマンド型方式としては、電気−機械変換方式(例えばシングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えばサーマルインクジェット型、バブルジェット型等)、静電吸引方式(例えば電界制御型、スリットジェット型等)、放電方式(例えばスパークジェット型)などを具体例として挙げることができる。
【0074】
【実施例】
実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこの実施例における形態に限定されるものではない。
【0075】
実施例1
表1に記載の組成を有する各インク組成物を用いて、インクジェットプリンタMJ−5000C(セイコーエプソン株式会社製、電気−機械変換方式)によって、インクジェット用専用コート紙上に記録したマゼンタ画像サンプルを得た。このサンプルを用いて、下記のように定義した耐光性、色調の評価を行った結果を表1に示す。
【0076】
耐光性:PDA−65(コニカ(株)製)の緑色光による反射濃度の測定から算出したキセノンフェードメーターにて24時間爆射した後のサンプルの未爆射サンプルに対する画像の残存率
耐光性(%)=(爆射試料の緑色光反射濃度/未爆射試料の緑色光反射濃度)×100
色調:PDA−65(コニカ(株)製)を用いて青色、緑色、赤色光における反射濃度を測定し、緑色光における反射濃度を1に規格化した場合の相対青色光反射濃度および相対赤色光反射濃度を算出して下記基準にて評価
すなわち○は青色光および赤色光の波長領域に不正吸収が少ない良好な色調のマゼンタ画像を表す。
【0077】
○:相対青色光反射濃度0.25未満かつ相対赤色光反射濃度0.10未満の場合
△b:相対青色光反射濃度0.25以上で相対赤色光反射濃度0.10未満の場合
△r:相対青色光反射濃度0.25未満で相対赤色光反射濃度0.10以上の場合
×:相対青色光反射濃度0.25以上かつ相対赤色光反射濃度0.10以上の場合。
【0078】
尚、表1の各化合物量の単位は全インクジェット記録液に対しての重量%である。表中に記載の比較−1、比較−2および界面活性剤−1の構造を下記に示す。
【0079】
【化19】
Figure 0003743052
【0080】
【表1】
Figure 0003743052
【0081】
表1の結果から明らかなように、本発明のインクジェット記録液は比較のインクジェット記録液を使用した場合に比較して耐光性に優れ、かつ緑色光領域の反射濃度に対する青色光および赤色光領域の不正吸収が少ない色調が良好のものであることがわかる。
【0082】
さらに、本プリンタにおける連続吐出試験においても問題なく使用でき、本発明のインクジェット記録液の電気−機械変換方式に対する高い信頼性を確認した。
【0083】
実施例2
表2に記載の組成を有する各インク組成物を用いて、インクジェットプリンタBJC−600J(キャノン社製、電気−熱変換方式)によって、インクジェット用専用光沢紙上に記録したサンプルを得た。このサンプルを用いて実施例1と同様に耐光と色調の評価を行った結果を表2に示す。
【0084】
尚、表2の各化合物量の単位は全インクジェット記録液に対しての重量%であり、比較−1、比較−2の化合物および評価項目の定義は各々実施例1と同様である。
【0085】
【表2】
Figure 0003743052
【0086】
表2の結果から明らかなように、本発明のインクジェット記録液は比較のインクジェット記録液を使用した場合に比較して耐光性に優れ、かつ緑色光領域の反射濃度に対する青色光および赤色光領域の不正吸収が少ない色調が良好のものであることがわかる。
【0087】
また、本プリンタの系において本発明のインクジェット記録液の熱時変質によるヘッドの異常等は確認されず、電気−熱変換方式に対する適合性を持ち合わせていることを確認した。
【0088】
【発明の効果】
以上、実施例で実証したように、本発明のインクジェット記録液は、色画像の耐光性に優れ、良好な色再現性のための色調に優れ、特にマゼンタ色の耐光性と色調に優れた効果を有する。

Claims (2)

  1. 下記一般式Iで表される色素を含有することを特徴とするインクジェット記録液。
    Figure 0003743052
    〔式中、Rは、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはカルボキシアルキル基を表し、X1〜X10は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アシルアミノ基、アルキルスルホニル基、アラルキル基、ヒドロキシアルキル基、アシル基、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホ基またはカルボキシル基を表す。Y1およびY2は、各々スルホ基、ハロゲン原子を表す。Zはスルホ基、カルボキシル基、スルファモイル基、カルバモイル基またはアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子を表す。l及びmは0、1又は2の整数を表し、nは1、2、3、4又は5の整数を表す。An-は対陰イオンを表す。但し、分子中に対陰イオンの存在するときはAn-は不要であるものとする。〕
  2. 下記一般式IIで表される色素を含有することを特徴とするインクジェット記録液。
    Figure 0003743052
    〔式中、R1およびR2は、各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、カルボキシアルキル基、またはスルホアルキル基を表し、R1またはR2の少なくとも一方はスルホアルキル基を表す。X1〜X10は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アシルアミノ基、アルキルスルホニル基、アラルキル基、ヒドロキシアルキル基、アシル基、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホ基またはカルボキシル基を表す。Y1およびY2は、各々スルホ基、ハロゲン原子を表す。Zはスルホ基、カルボキシル基、スルファモイル基、カルバモイル基またはアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子を表す。l及びmは0、1又は2の整数を表し、nは1、2、3、4又は5の整数を表す。An-は対陰イオンを表す。但し、分子中に対陰イオンの存在するときはAn-は不要であるものとする。〕
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