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JP3114402B2 - アルカリ蓄電池の製造方法 - Google Patents

アルカリ蓄電池の製造方法

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JP3114402B2
JP3114402B2 JP04338421A JP33842192A JP3114402B2 JP 3114402 B2 JP3114402 B2 JP 3114402B2 JP 04338421 A JP04338421 A JP 04338421A JP 33842192 A JP33842192 A JP 33842192A JP 3114402 B2 JP3114402 B2 JP 3114402B2
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nickel
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良夫 森脇
昌三 藤原
陽一 和泉
功 松本
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Panasonic Corp
Panasonic Holdings Corp
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Panasonic Corp
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

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  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はニッケル・水素蓄電池、
ニッケル・カドミウム蓄電池、ニッケル・亜鉛蓄電池な
どのアルカリ蓄電池の製造方法に関するものであり、特
にその正極の活物質主構成材料である水酸化ニッケルの
改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来からアルカリ蓄電池に使用される正
極活物質としては、水酸化ニッケルがよく知られてい
る。このようなニッケル正極は、ニッケル・カドミウム
蓄電池を中心に、ニッケル・水素蓄電池、ニッケル・亜
鉛蓄電池用に広く採用されている。
【0003】これらのアルカリ蓄電池に用いる正極は、
焼結式と非焼結式とに分類することができる。これまで
焼結式正極が多用されてきたが、近年電池の小形化、軽
量化への要望が強く、より体積エネルギー密度が高い非
焼結式正極が中心にとってかわりつつある状況である。
【0004】このような非焼結式ニッケル正極を以下に
説明する。まず、活物質である水酸化ニッケル粉末と、
導電材であるニッケルや炭素などの粉末を混合し、結着
剤とともに練ったものをパンチングメタルなどの導電性
芯材に塗着し、これを加圧・乾燥して電極が作成され
る。しかし、この電極においては、充放電の繰り返しに
より正極容量が次第に減少することや、良好な放電特性
を維持するためには導電材の添加量をかなり増やすこと
が必要であり、その分だけ活物質のエネルギー密度が低
下するという問題があった。
【0005】そこで、これらを改善するために、フェル
ト状の金属繊維からなる導電体や発泡状の金属多孔体内
に活物質を充填し、正極自体の導電性を向上させること
が例えば、特公昭56−37665号公報で提案されて
いる。これらの方法による正極は、電極内に導電ネット
ワークを形成するために電極全体の導電性を大きく向上
させることが可能となり、高率放電特性も大幅に改善さ
れた。
【0006】この技術は、小形ポータブル機器用の高エ
ネルギー密度タイプのニッケル・カドミウム蓄電池や水
素吸蔵合金を負極に用いたニツケル・水素蓄電池などに
採用され、優れた性能を可能にした。しかし芯材として
の金属繊維や発泡状金属多孔体は比較的高価であり、か
つ電極中に占める芯材の体積割合が比較的大きいことか
ら、電池のより一層の高エネルギー密度化のためには、
この芯材の体積比率を減少させることが必要であり、あ
わせて工業的に安価な電極の構成が必要であった。
【0007】また、これらの改良手段として、活物質の
一つである水酸化ニッケル粒子の表面を金属粒子で被覆
するなどの表面改質の提案がある(例えば特開昭63−
301461号公報)。この提案では、表面改質法とし
て、ハイブリタイゼーションシステムが開示されてお
り、それによれば、高率放電特性や充放電サイクル寿命
特性が従来技術と比較していくらかは改善された。しか
し、この方法では操作が煩雑で特性にバラツキが生じや
すいこと、および本来の目的である活物質表面への改質
効果が弱く、活物質と導電材との結合が不十分であり、
アルカリ蓄電池として実際の使用時の特性を満足するた
めには、高率放電特性や充放電サイクル寿命特性をさら
に改善することが必要であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】この様に、従来のアル
カリ蓄電池に使用される金属酸化物を用いた非焼結式の
正極の構成は、活物質である金属酸化物粉末と、導電材
であるニッケルや炭素などの粉末を単純に混合し、結着
剤とともにパンチングメタルなどの導電性芯材に塗着
し、これを加圧・乾燥して電極とするものであった。従
ってこのような方法では、活物質粉末と導電材との結合
力が弱く、充放電の繰り返しにより正極自体の膨張が生
じて内部抵抗の増大を招き、正極容量が次第に減少する
ことに起因して充放電サイクル寿命の低下や、高率放電
特性が低下するなどの問題があった。
【0009】一方、金属繊維状の導電体や発泡状の金属
多孔体内に活物質を充填し、正極自体の導電性を向上さ
せる方法は比較的高価であり、かつ電極中に占める芯材
の体積割合が比較的大きいなどの問題があった。
【0010】また、これらの問題を改良するために提案
されたハイブリタイゼーションシステムを利用した活物
質表面への金属の被覆処理は、活物質性能の安定性等に
課題があった。
【0011】本発明は、このようなこれまでの問題を解
決するもので、正極自体の導電性を改善して高率放電特
性を向上させ、電極の機械的強度の増大によって充放電
サイクル寿命の伸長等を計ることを目的とする。また併
せて、安価で安定な正極活物質性能を得ることを目的と
する。
【0012】さらに、正極活物質である金属酸化物にそ
の利用率を向上させたり、長寿命化のために、活物質と
は異なる別の添加物を混入するに当って、この添加物を
効果的に活物質に付与することも本発明の目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、水酸化ニッケ
ルを活物質の主構成材料とする正極と、水素もしくは金
属を活物質の主構成材料とする負極と、セパレータとア
ルカリ電解液から構成されるアルカリ蓄電池の製造方法
であり、正極材料である水酸化ニッケルの母粒子と、金
属、金属酸化物および炭素からなる群のうちの少なくと
も一種よりなる子粒子の微粉末材料とを混合し、圧縮摩
砕式粉砕機によるメカノケミカル反応(メカノフュージ
ョン法)によって母粒子の表面に一部もしくは全部を子
粒子で強固に被覆したものであり、この被覆した材料を
用いて電池を構成することを特徴とする。
【0014】この場合、水酸化ニッケル母粒子の表面を
被覆する子粒子は、ニッケル、銅およびコバルトからな
る群より選択された少なくとも一種の金属か、あるいは
ニッケル酸化物、コバルト酸化物および亜鉛酸化物から
なる群より選択された少なくとも一種の金属酸化物か、
さらには炭素材料の単体もしくはそれらの混合物が適当
であり、母粒子に対するこの子粒子の混合割合が0.1
〜10wt%、かつ子粒子の平均粒子径が母粒子の平均
粒子径の1/10〜1/1000であることが望まし
い。
【0015】また、本発明の正極材料である水酸化ニッ
ケルの母粒子は、あらかじめ他の添加物材料を添加した
状態であるが、水酸化ニッケルのみからなる場合も有効
である。
【0016】さらに、本発明でのメカノケミカル反応
(メカノフュージョン法)とは、物質に圧縮、せん断、
摩擦、延伸などの手段により加えられる機械的エネルギ
ーがその物質の化学的変化をもたらす一般的なメカノケ
ミカル反応の中で、特に圧縮摩砕式粉砕機によるメカノ
フュージョンと命名される反応を用いたものである。
【0017】
【作用】圧縮摩砕式粉砕機によるメカノケミカル反応に
よって、正極材料である水酸化ニッケルの母粒子の表面
の一部もしくは全部を、金属もしくは金属酸化物あるい
は炭素の少なくとも一種からなる子粒子材料で被覆する
ことにより、母粒子と子粒子との結合力が極めて強くな
り、正極を構成した際、これまでにない高率放電特性や
充放電サイクル寿命特性を得る事が可能である。また、
比較的簡単な方法で再現性に優れた電極特性を確保する
ことも出来る。
【0018】このことは、正極活物質である水酸化ニッ
ケルの表面が、金属もしくは金属酸化物および炭素の少
なくとも一種からなる材料で、圧縮摩砕式粉砕機により
得られるせん断力と圧縮力等によるメカノケミカル反応
によって被覆される特有の効果に起因すると考えられ
る。
【0019】
【実施例】
(実施例1)以下、本発明の実施例について説明する。
まず、正極の活物質材料として、母粒子である水酸化ニ
ッケルを選び、この粉末表面に子粒子であるニッケル粉
末を圧縮摩砕式粉砕機によるメカノケミカル反応によっ
て表面被覆した例について説明する。
【0020】正極活物質として、内部に少量の亜鉛を含
んだ球状の水酸化ニッケル粉末を用意する。これに添加
物として金属コバルトと水酸化コバルトおよび酸化亜鉛
を水酸化ニッケルに対してそれぞれ重量比で5%,2
%,2%になるように混合し、水を加えてペースト状に
混練し、その後これを乾燥した。この添加物を混合した
水酸化ニッケルは、球状でその平均粒径は約10〜20
μmであった。
【0021】この水酸化ニッケル300gにニッケルの
微粉末(平均粒径0.03μm)を3wt%混合し、図
1にその概要構成を示した圧縮摩砕式粉砕機によるメカ
ノケミカル反応によって活物質表面を被覆した。この被
覆処理時の主たる条件は以下の通りとした。
【0022】処理雰囲気として不活性ガスであるアルゴ
ンガスを使用した。回転する圧縮摩砕式粉砕機の反応処
理ケース1の内容積は約1リットルであり、このケース
1の中心部に配した固定軸2にはアームを取付け、アー
ム先端に固定した摩砕片3とケース1の内壁とのすきま
は3mm、ケース1の回転数は毎分1500回転とし、
この時のケース1を回転するためのモータの出力は0.
5KWとした。また摩砕片3の前方にはかきとり片4を
配し、回転するケース1と摩砕片3とで圧縮され、ケー
ス1の内壁にはりついた粉砕試料層5をかきとる。この
ようなメカノケミカル反応を30分行い母粒子の被覆処
理を終了した。図2は粉砕時の要部拡大説明図である。
【0023】この処理によって得られた水酸化ニッケル
は、処理前は緑色であったが表面を微細なニッケルで被
覆されたため黒褐色に変化した。これを電子顕微鏡によ
り観察したところ、表面がみごとに微細なニッケルで覆
われていることが観察された。また、粉体の電気抵抗を
調べたところ著しく導電性が高まっていることが確認で
きた。
【0024】次にこの処理によって得られた本発明の水
酸化ニッケルを、アルカリ蓄電池として従来の方法と比
較するために、実際の電極に加工し、アルカリ蓄電池を
構成し、電池特性を調べた結果について説明する。
【0025】まず、上記で説明した本発明の水酸化ニッ
ケル粉末に、3wt%のカルボキシメチルセルロース水
溶液を加えて混練し、ペースト状とした。このペースト
を導電性のニッケルネットに両面から塗着し、これを乾
燥後、厚さ約0.65mmになるように加圧してさらに
一定の大きさに裁断した。そして、ニッケルネットの一
部にニッケル線のリードを取り付けて正極とした。この
本発明の正極を正極Aとする。
【0026】比較のために、本発明と同様にして添加物
まで混合して得た球状の水酸化ニッケルに、導電材とし
て平均粒径3〜6μmのニッケル粉末を5wt%添加し
て混合し、上記の方法と同様にペースト状として電極を
構成した。これを従来法1の正極として、正極Bとす
る。
【0027】さらに別な従来法として本発明と同様にし
て添加物まで混合して得た球状の水酸化ニッケルに、導
電材としてニッケルの微粉末(平均粒径0.03μm)
を3wt%混合し、ハイブリタイゼーションによって得
た正極材料を用いて同様な方法で電極を構成した。これ
を従来法2の正極として、正極Cとする。
【0028】これらの正極A,B,Cを用いてアルカリ
蓄電池の一例として密閉形のニッケル・水素蓄電池A,
B,Cを構成した。
【0029】この正極の対極をなす負極として公知の発
泡式ニッケルに水素吸蔵合金を充填した電極、それに親
水処理を施したポリプロピレン不織布セパレータを用い
て、正極、セパレータ、負極の3層を渦巻状に構成して
電池ケース内に収容した円筒密閉形ニッケル・水素蓄電
池を作成した。この電池にはそれぞれ比重1.25の苛
性カリ水溶液に25g/lの割合で水酸化リチウムを溶
解した電解液を所定量注入し封口した。この密閉形電池
はA4サイズとし、電池容量は公称1.0Ahとした。
この、電池の容量を規制しているのは正極であり、先の
正極A,B,Cはいずれもその中に含まれる活物質とし
ての水酸化ニッケルの量を同一量にした。
【0030】3つの異なる正極で構成した密閉形ニッケ
ル・水素蓄電池を各5セルずつ作成し、まず比較的緩や
かな条件で5サイクル充放電した。そして、温度20℃
で0.2CmAによる放電で各電池の標準放電容量を求
めた。(表1)にその結果を平均値で示した。
【0031】この結果から、本発明の電池Aは、明らか
に優れた放電容量を示した。次にこれらの電池について
温度0℃、0.5CmAでの150%の充電と0℃、
1.0CmAで0.8Vまでの放電試験を行い、0℃、
1.0CmAという高率放電条件下での電池特性を比較
した。その結果を同様に(表1)に示す。
【0032】
【表1】
【0033】(表1)に示した電池の高率放電特性の評
価で、得られるそれぞれの放電カーブから求めた放電容
量が50%での電池電圧を中間放電電圧とし、また20
℃、0.2CmAでの標準容量を100%とした場合
の、0℃、1.0CmAでの電池電圧1.0Vまでの放
電容量の割合を放電容量比率として示した。
【0034】この高率放電特性の評価から、本発明の電
池Aは、従来法の電池B,Cと比較して中間放電電圧お
よび放電容量比率ともに優れており、非常に高率放電特
性が良好である。
【0035】最後にこれらの電池を20℃で充電を0.
5CmAで3時間、放電を0.5CmAで0.8Vまで
行う充放電サイクル寿命試験を行った、この場合1.0
Vまでの放電容量を基準にし、初期を100とした場合
に各サイクルの放電容量の比率がどのように変化するか
を求めた。そして初期の30%に容量が低下する時点を
その電池の寿命と設定した。
【0036】その結果を(表1)に示したが、本発明の
電池Aは500サイクルの充放電では寿命に達しなかっ
た。しかし、電池B,Cはそれぞれ平均で157,33
9サイクルで寿命に達した。この寿命試験からも本発明
の方法による電池は優れていることが確認できた。
【0037】(実施例2)つぎに実施例2として、本発
明の方法で正極活動への添加物の添加を効果的に行う事
が出来る例を説明する。
【0038】この実施例でも、先の実施例1と同様に正
極の活物質材料として水酸化ニッケルを用い、負極を水
素吸蔵合金電極で構成するニッケル・水素蓄電池を取り
上げた。
【0039】実施例1ではニッケルで母粒子の表面を被
覆し導電性を付与する例について述べたが、本実施例で
は添加物の添加工程を改善することにより、正極の利用
率が向上する例を説明する。
【0040】まず正極活物質として、内部に少量の亜鉛
を含んだ球状の水酸化ニッケル粉末を用意し、これに添
加物として金属コバルトと酸化亜鉛を水酸化ニッケルに
対してそれぞれ重量比で1%、2%になるように混合
し、水を加えてペースト状にした後、さらに乾燥させ
た。この添加物を混合した水酸化ニッケルは、球状で平
均粒径は約10〜20μmであった。
【0041】この水酸化ニッケル250gにさらに添加
材として微細な金属コバルトと水酸化コバルトをそれぞ
れ2wt%,1wt%混合し、図1に示した圧縮摩砕式
粉砕機によるメカノケミカル反応(メカノフュージョ
ン)で活物質表面を被覆処理した。この被覆処理時の主
要条件は、処理雰囲気が不活性ガスであるアルゴンガ
ス、圧縮摩砕式粉砕機のケース1と摩砕片3とのすきま
3mm、圧縮摩砕式粉砕機の反応処理ケースの回転数は
毎分1500回転とした。そして、前記同様のメカノケ
ミカル反応を30分行い母粒子の被覆処理を終了した。
【0042】次にこの処理によって得られた本発明の水
酸化ニッケルを、正極活物質に用いたアルカリ蓄電池
と、従来のそれとを比較するために、実際の電極に加工
し、アルカリ蓄電池を構成して電池特性を調べた。
【0043】まず、上記で説明した本発明の水酸化ニッ
ケル粉末に1.5wt%のカルボキシメチルセルロース
水溶液を加えて混練しペースト状とした。このペースト
を多孔度が97%の発泡状の金属多孔体内に充填し、乾
燥と加圧により厚さ約0.65mmの正極板とした。こ
の場合も正極の一部にニッケル線のリードを取り付けて
いる。このようにして得た正極を本発明の正極Dとす
る。
【0044】比較のために、本発明と同様にして添加物
まで混合した得た球状の水酸化ニッケルに、添加材とし
て同様に微細な金属コバルトと水酸化コバルトとそれぞ
れ2wt%、1wt%混合し、水を加えてペースト状と
し、その後これを乾燥させた。そして、上記の方法と同
様の処理で電極まで構成した。これを従来法の正極とし
て、正極Eとする。
【0045】これらの正極D,Eを用いて密閉形のニッ
ケル・水素蓄電池D,Eを構成した。その構成条件は実
施例1と同様にした。
【0046】D,Eの2つの異なる正極で構成した密封
形ニッケル・水素蓄電池を各5セルずつ作成し、20
℃、0.2CmAで150%の充電と20℃、0.2C
mAでの放電を1サイクルとして、これを3サイクル行
った。この状態で各電池の標準放電容量を求めた。
【0047】その結果、正極Dを用いて構成した本発明
の電池Dは、標準容量が平均1.01Ahであり、活物
質量から算出される利用率は、理論値の97%と高い値
であった。これに対して正極Eを用いて構成した比較例
の電池Eは、標準容量が0.93Ahでその利用率は8
9%であった。この結果は同一の電池構成条件でも添加
材の添加方法を本発明のように圧縮摩砕式粉砕機による
メカノケミカル反応により行う事によって、活物質利用
率が大きく向上することを意味している。
【0048】本発明はこのように、正極活物質粒子の表
面を他の金属や金属酸化物、炭素などで被覆するもので
あり、被覆処理にメカノケミカル反応を使用することに
より非常に優れた性能を得ることができる。
【0049】また本発明はニッケル正極の改良に対して
有効な製造方法であり、電池としての適用はニッケル・
水素蓄電池の例を示したが、この他にニッケル・カドミ
ウム蓄電池、ニッケル・亜鉛蓄電池などについても有効
である。
【0050】そして、メカノケミカル反応を利用して表
面処理を行うことにより、正極活物質の導電性の向上や
少量の他の添加物の添加方法において特に有効なもので
ある。
【0051】本発明においては、水酸化ニッケルの表面
を被覆する材料の種類、量、平均粒子径が特に重要な点
である。また、同様に有効なメカノケミカル反応を行う
ためにはその処理雰囲気や細部の処理条件などの製造条
件が重要である。
【0052】これらの本発明の最適な製造条件は、得よ
うとする性能、すなわち目標性能によって母粒子に対す
る子粒子材料の種類や量は多少異なる条件となるが、以
下の要件を満たす事が望ましい。
【0053】すなわち、水酸化ニッケル母粒子の表面を
被覆する子粒子材料は、ニッケル、銅、およびコバルト
からなる群より選択された少なくとも一種の金属、ニッ
ケル酸化物、コバルト酸化物および亜鉛酸化物からなる
群より選択された少なくとも一種の金属酸化物、炭素な
どの単体もしくはそれらの混合物が適当であり、母粒子
に対する子粒子の混合割合は0.1〜10wt%、かつ
子粒子の平均粒子径は母粒子の平均粒子径の1/10〜
1/1000であることが望ましい。
【0054】また、有効なメカノケミカル反応を行うた
めの処理雰囲気や細部の処理条件などの製造条件につい
ては、本発明を逸脱しない限りで変更できるが、処理雰
囲気として不活性ガスの使用が酸化防止の点で適当であ
り、圧縮摩砕式粉砕機によるメカノケミカル反応でのケ
ースと摩砕片とのすきま(最近接距離)は0.3〜5m
m、ケースの回転数は毎分50〜5000回転の範囲に
設定することが望ましい。
【0055】
【発明の効果】以上のように本発明は、正極活物質材料
である水酸化ニッケル粒子の表面の一部もしくは全部
を、メカノケミカル反応によって金属、金属酸化物ある
いは炭素のうちの少なくとも一種からなる微粉末材料で
被覆処理したものであり、これにより高率放電特性や充
放電サイクル寿命特性の向上が可能であり、併せて安価
で安定な性能を得ることができる。さらに、正極に添加
物を添加する際にも効果的に付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例での被覆処理に用いた圧縮摩砕
式粉砕機の構成略図
【図2】図1に示す装置の部分拡大図
【符号の説明】
1 圧縮摩砕式粉砕機の反応処理ケース 2 固定軸 3 摩砕片 4 かきとり片 5 試料層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松本 功 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−301461(JP,A) 特開 平1−281670(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 4/24 - 4/34 H01M 4/52

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水酸化ニッケルを活物質の主構成材料と
    する正極と、水素もしくは金属を活物質の主構成材料と
    する負極と、セパレータとアルカリ電解液から構成され
    るアルカリ蓄電池の製造方法であって、 前記正極は、活物質の主構成材料である水酸化ニッケル
    の母粒子と、金属、金属酸化物および炭素からなる群の
    うちの少なくとも一種よりなる子粒子の微粉末材料とを
    混合し、圧縮摩砕式粉砕機によるメカノケミカル反応
    (メカノフュージョン)によって前記母粒子の表面の一
    部もしくは全部を子粒子で被覆し、この被覆処理後の材
    料を用いて正極を構成することを特徴とするアルカリ蓄
    電池の製造方法。
  2. 【請求項2】 母粒子を被覆する子粒子材料がニッケ
    ル、銅およびコバルトからなる群より選択された少なく
    とも一種であり、母粒子に対する子粒子の混合割合は、
    0.1〜10wt%、子粒子の平均粒子径は母粒子の平
    均粒子径の1/10〜1/1000である請求項1記載
    のアルカリ蓄電池の製造方法。
  3. 【請求項3】 母粒子を被覆する子粒子材料がニッケル
    酸化物、コバルト酸化物および亜鉛酸化物からなる群よ
    り選択された少なくとも一種であり、母粒子に対する子
    粒子の混合割合は0.5〜10wt%、子粒子の平均粒
    子径は母粒子の平均粒子径の1/5〜1/1000であ
    る請求項1記載のアルカリ蓄電池の製造方法。
  4. 【請求項4】 母粒子を被覆する子粒子材料が炭素材料
    であり、母粒子に対する子粒子の混合割合は0.1〜5
    wt%、子粒子の平均粒子径は母粒子の平均粒子径の1
    /10〜1/1000である請求項1記載のアルカリ蓄
    電池の製造方法。
  5. 【請求項5】 母粒子を被覆する子粒子材料がニッケ
    ル、銅およびコバルトからなる群のうち少なくとも一種
    の金属と、ニッケル酸化物、コバルト酸化物および亜鉛
    酸化物からなる群のうちの少なくとも一種の金属酸化物
    および炭素の混合物であり、この混合子粒子の母粒子に
    対する混合割合は0.1〜10wt%、子粒子の平均粒
    子径は母粒子の平均粒子径の1/5〜1/1000であ
    る請求項1記載のアルカリ蓄電池の製造方法。
  6. 【請求項6】 圧縮摩砕式粉砕機によるメカノケミカル
    反応(メカノフュージョン)によって母粒子の表面の一
    部もしくは全部を子粒子で被覆する工程を不活性ガス中
    で行う請求項1記載のアルカリ蓄電池の製造方法。
  7. 【請求項7】 正極活物質の主構成材料である水酸化ニ
    ッケルは、その母粒子にあらかじめ他の金属元素が添加
    されている請求項1記載のアルカリ蓄電池の製造方法。
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