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JP3310056B2 - 光学活性4−メチル−2−オキセタノンの製造方法 - Google Patents

光学活性4−メチル−2−オキセタノンの製造方法

Info

Publication number
JP3310056B2
JP3310056B2 JP18349093A JP18349093A JP3310056B2 JP 3310056 B2 JP3310056 B2 JP 3310056B2 JP 18349093 A JP18349093 A JP 18349093A JP 18349093 A JP18349093 A JP 18349093A JP 3310056 B2 JP3310056 B2 JP 3310056B2
Authority
JP
Japan
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optically active
oxetanone
methyl
binap
ruthenium
Prior art date
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Expired - Lifetime
Application number
JP18349093A
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JPH06128245A (ja
Inventor
秀正 高谷
哲男 太田
秀徳 雲林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Takasago International Corp
Original Assignee
Takasago International Corp
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Publication date
Application filed by Takasago International Corp filed Critical Takasago International Corp
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Priority to EP93305448A priority patent/EP0580336B1/en
Priority to DE69321304T priority patent/DE69321304T2/de
Priority to US08/092,446 priority patent/US5306834A/en
Priority to US08/159,262 priority patent/US5412109A/en
Publication of JPH06128245A publication Critical patent/JPH06128245A/ja
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Publication of JP3310056B2 publication Critical patent/JP3310056B2/ja
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D315/00Heterocyclic compounds containing rings having one oxygen atom as the only ring hetero atom according to more than one of groups C07D303/00 - C07D313/00
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07FACYCLIC, CARBOCYCLIC OR HETEROCYCLIC COMPOUNDS CONTAINING ELEMENTS OTHER THAN CARBON, HYDROGEN, HALOGEN, OXYGEN, NITROGEN, SULFUR, SELENIUM OR TELLURIUM
    • C07F15/00Compounds containing elements of Groups 8, 9, 10 or 18 of the Periodic Table
    • C07F15/0006Compounds containing elements of Groups 8, 9, 10 or 18 of the Periodic Table compounds of the platinum group
    • C07F15/0046Ruthenium compounds
    • C07F15/0053Ruthenium compounds without a metal-carbon linkage

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  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Catalysts (AREA)
  • Epoxy Compounds (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリマー原料、医薬の
合成原料或いは液晶材料等の有機合成化学工業における
中間体として有用な、光学活性4−メチル−2−オキセ
タノンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、4−メチル−2−オキセタノ
ン(「β−ブチロラクトン」または「β−メチル−β−
プロピオラクトン」とも言う)は、例えば特公昭47−
25065号公報に記載されているようにケテンとアセ
トアルデヒドを反応させるか、或いは、米国特許第2,
763,644号明細書に記載されているように4−メ
チレン−2−オキセタノン(「ジケテン」とも言う)を
パラジウム黒を用いて水素添加することにより製造され
ていた。
【0003】この4−メチル−2−オキセタノンは、例
えば山下雄也ら(工業化学雑誌、第66巻、第1号、1
10−115頁(1963))が報告しているように、
ポリマー原料等に用いられているが、近年では、例え
ば、N.タナハシら(N.Tanahashi et
al.;Macromolecules,Vol.2
4,pp.5732−5733(1991))が報告し
ているように、特にその光学活性体が有用であるとして
注目されている。
【0004】前記した従来の製造方法では4−メチル−
2−オキセタノンのラセミ体しか製造することができ
ず、現在、光学活性体の製造方法としては次のような方
法が報告されている。
【0005】クロトン酸に臭化水素酸を付加して得ら
れる3−ブロモ酪酸を、光学活性なナフチルエチルアミ
ンを用いて光学分割し、次いで環化する方法(J.Re
idSheltonら;Polymer Letter
s,Vol.9,pp.173−178(1971)及
びT.Satoら;Tetrahedron Let
t.,Vol.21,pp.3377−3380(19
80))。
【0006】光学活性な3−ヒドロキシ酪酸にトリエ
チルオルト酢酸を反応させ光学活性な2−エトキシ−
2,6−ジメチル−1,3−ジオキサン−4−オンを
得、これを熱分解する方法(A.Griesbeck
ら;Helv.Chim.Acta,Vol.70,p
p.1320−1325(1987)及びR.Brei
tschuhら;Chimia,Vol.44,pp.
216−218(1990)。
【0007】光学活性な3−ヒドロキシ酪酸エステル
をメタンスルホニルクロリドと反応させて水酸基をメシ
ル化した後、得られたエステルを加水分解し、次いで炭
酸水素ナトリウムで縮合環化する方法(Y.Zhang
ら;Macromolecules,Vol.23,p
p.3206−3212(1990))。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、今まで
に報告されている光学活性4−メチル−2−オキセタノ
ンの製造方法はそれぞれ次のような問題点を有してい
た。すなわち、の方法は、光学分割剤として特殊な光
学活性アミンを原料化合物と等モル必要とし、また、不
要な鏡像体が目的物と等モル副生するので、無駄が多く
経済的に有利な方法ではない。
【0009】また、及びの方法は、原料化合物であ
る光学活性な3−ヒドロキシ酪酸またはそのエステルの
合成が容易ではない。すなわち、微生物が産生する光学
活性なポリ−3−ヒドロキシ酪酸エステルを熱分解する
か、或いは、ラセミ体の4−メチル−2−オキセタノン
をアルコーリシス反応によってアセト酢酸エステルに導
いた後不斉還元を行う必要があり、工程数が多く操作が
煩雑である。
【0010】よって、前記した問題点を克服し、容易に
かつ経済的に有利な方法で目的とする光学活性4−メチ
ル−2−オキセタノンを製造する方法の提供が求められ
ており、本発明はその解決を課題とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決しようとして鋭意研究を行なった結果、容易に入
手可能な4−メチレン−2−オキセタノンを原料化合物
とし、下式に従って、比較的安価なルテニウム−光学活
性ホスフィン錯体を触媒として不斉水素化を行えば、容
易にかつ経済的に有利に、しかも高い光学純度の光学活
性4−メチル−2−オキセタノンを合成できることを見
出した。
【0012】
【化1】 (式中、印は不斉炭素原子を意味する)
【0013】すなわち、本発明は、4−メチレン−2−
オキセタノンをルテニウム−光学活性ホスフイン錯体を
触媒として不斉水素化することを特徴とする光学活性4
−メチル−2−オキセタノンの製造方法である。
【0014】本発明方法の原料化合物である4−メチレ
ン−2−オキセタノンは、例えば、R.J.クレメンス
(R.J.Clemens)らが報告した方法(Che
m.Rev.,Vol.86,pp.241−318
(1986))によって、酢酸または無水酢酸を熱分解
することによって容易に合成により得ることができる。
【0015】本発明方法で触媒として用いられるルテニ
ウム−光学活性ホスフィン錯体の例としては、例えば、
次の一般式(1)〜(5)で表される光学活性錯体を挙
げることができる。
【0016】光学活性錯体 1: RuxHyClz(CBP)(A)w (1) (式中、CBPはR−BINAPまたはBIPHEP
で表される第三級ホスフインを示し、Aは第三級アミン
を示し、yが0のとき、xは2、vは4、wは1を示
し、yが1のとき、xは1、zは1、wは0を示す)
【0017】ここで、R1−BINAPは式(6)
【化2】 で表される第三級ホスフィンを示し、R1はアリール基
または炭素数3〜8のシクロアルキル基を示し、BIP
HEPは式(7)
【化3】 で表される第三級ホスフィンを示し、R2はアリール基
またはシクロヘキシル基を示し、R3はメチル基または
メトキシ基を示し、R4は水素原子、メチル基またはメ
トキシ基を示し、Rは水素原子、メチル基、メトキシ
基またはジ低級アルキル置換アミノ基を示す。また、R
3とR4が一緒になって隣接するフェニル基とともにテト
ラヒドロナフチル基を形成してもよい。
【0018】光学活性錯体 2: [RuHm(CBP)n]Tp (2) (式中、CBPは前記と同じ意味を有し、TはCl
,PFまたはBFを示し、mが0のとき、nは
1、pは2を示し、mが1のとき、nは2、pは1を示
す)
【0019】光学活性錯体 3: [RuXa(Q)b(CBP)]Lc (3) [式中、CBPは前記と同じ意味を有し、Xはハロゲン
原子を示し、Qは置換基を有していてもよいベンゼンま
たはアセトニトリルを示し、Lはハロゲン原子、ClO
,PF、BFまたはBPh(ここでPhはフェ
ニル基を示す。以下同様)を示し、Qが置換基を有して
いてもよいベンゼンの場合、a、b及びcはいずれも1
を示し、Qがアセトニトリルの場合、aが0のとき、b
は4、cは2を示し、aが1のとき、bは2、cは1を
示す。尚、Qが置換基を有するベンゼンのうちp−シメ
ンであり、X及びLがヨウ素原子である場合は、a、b
及びcがいずれも1であるほか、aが1、bが1、cが
3であってもよい]
【0020】光学活性錯体4: Ru(CBP)J (4) [式中、CBPは前記と同じ意味を有し、Jは塩素原
子、臭素原子又はOCR (ここでRは低級アルキル基又はハロゲン化低級アル
キル基を示す)を示す]
【0021】光学活性錯体 5: RuG(CBP) (5) (式中、CBPは前記と同じ意味を有し、Gはアリル基
又はメタリル基を示す)
【0022】前記一般式(1)〜(5)において、CB
Pが一般式(6)で表されるR−BINAPである場
合、Rで表されるアリール基とは、フェニル基並びに
p−置換フェニル基、m−置換フェニル基及びm−ジ置
換フェニル基のような置換基を有するフェニル基を意味
し、フェニル基に置換してもよい置換基とは、メチル
基、tert−ブチル基のような低級アルキル基(「低
級」とは炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖を意味する)
及びメトキシ基を挙げることができる。また、Rで表
される炭素数3〜8のシクロアルキル基では、特にシク
ロペンチル基及びシクロヘキシル基が好ましい。
【0023】R−BINAPで表される第三級ホスフ
ィンの具体例としては、次のものを挙げることができ
る。 (a) 2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−
1,1’−ビナフチル(以下、単に「BINAP」と略
記する) (b) 2,2’−ビス(ジ−p−トリルホスフィノ)
−1,1’−ビナフチル(以下、「Tol−BINA
P」と略記する) (c) 2,2’−ビス(ジ−p−tert−ブチルフ
ェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル (以下、「t−Bu−BINAP」と略記する) (d) 2,2’−ビス(ジ−m−トリルホスフィノ)
−1,1’−ビナフチル(以下、「m,Tol−BIN
AP」と略記する)
【0024】(e) 2,2’−ビス〔ジ−(3,5,
ジメチルフェニル)ホスフィノ〕−1,1’−ビナフチ
ル (以下、「DM−BINAP」と略記する) (f) 2,2’−ビス(ジ−p−メトキシフェニルホ
スフィノ)−1,1’−ビナフチル (以下、「Methoxy−BINAP」と略記する) (g) 2,2’−ビス(ジシクロペンチルホスフィ
ノ)−1,1’−ビナフチル (以下、「CpBINAP」と略記する) (h) 2,2’−ビス(ジシクロヘキシルホスフィ
ノ)−1,1’−ビナフチル (以下、「CyBINAP」と略記する)
【0025】これらの第三級ホスフィンは、特開昭61
−63690号公報、特開平3−20290号公報、特
開平3−255090号公報、特開平1−68386号
公報または特開平4−74192号公報に記載されてい
る方法によって調製することができる。
【0026】前記一般式(1)〜(5)において、CB
Pが一般式(7)で表されるBIPHEPである場合、
で表されるアリール基とは、フェニル基並びにp−
置換フェニル基、m−置換フェニル基及びm−ジ置換フ
ェニル基のような置換基を有するフェニル基を意味し、
フェニル基に置換してもよい置換基とは、メチル基、t
ert−ブチル基のような低級アルキル基(「低級」と
は炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖を意味する)及びメ
トキシ基を挙げることができる。また、Rがジ低級ア
ルキル置換アミノ基である場合の、低級アルキル基と
は、炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基を意
味する。
【0027】BIPHEPで表される第三級ホスフィン
の具体例としては、次のものを挙げることができる。 (i) 2,2’,ジメチル−6,’6’−ビス(ジフ
ェニルホスフィノ)−1,1’−ビフェニル (以下、「BIPHEMP」と略記する) (j) 2,2’−ジメチル−6,6’−ビス(ジシク
ロヘキシルホスフィノ)−1,1’−ビフェニル (以下、「BICHEP」と略記する) (k) 2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−
5,5’,6,6’,7,7’,8,8’−オクタヒド
ロ−1,1’−ビナフチル (以下、「OcHBINAP」と略記する) (l) 2,2’−ジメチル−4,4’−ビス(ジメチ
ルアミノ)−6,6’−ビス(ジフェニルホスフィノ)
−1,1’−ビフェニル (m)2,2’,4,4’−テトラメチル−6,6’−
ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビフェニル (n) 2,2’−ジメトキシ−6,6’−ビス(ジフ
ェニルホスフィノ)−1,1’−ビフェニル (o)2,2’,3,3’−テトラメトキシ−6,6’
−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビフェニ
ル (p)2,2’,4,4’−テトラメチル−3,3’−
ジメトキシ−6,6’−ビス(ジフェニルホスフィノ)
−1,1’−ビフェニル (q) 2,2’−ジメチル−6,6’−ビス(ジ−p
−トリルホスフィノ)−1,1,−ビフェニル (r) 2,2’−ジメチル−6,6’−ビス(ジ−p
−tert−ブチルフェニルホスフィノ)−1,1’−
ビフェニル (s)2,2’,4,4’−テトラメチル−3,3’−
ジメトキシ−6,6’−ビス(ジ−p−メトキシフェニ
ルホスフィノ)−1,1’−ビフェニル
【0028】これらの第三級ホスフィンは、特開昭63
−135397号公報、特開平3−275691号公
報、特開平4−139140号公報、R.Schmid
etal.;Helv.Chim.Acta,Vo
l.74,pp.370−389(1991),R.S
chmid et al.;Helv.Chim.Ac
ta,Vol.71,pp.897−929(198
8)またはN.Yamamoto et al.;Ch
em.Pharm.Bull.,Vol.39,No.
4pp.1085−1087(1991)に記載されて
いる方法によって調製することができる。
【0029】前記一般式(1)で表されるルテニウム−
光学活性ホスフィン錯体(以下、「光学活性錯体1」と
略記する)のうち、一般式(1)中、CBPが一般式
(6)で表されるR−BINAPである化合物は、例
えばT.イカリヤら(T.Ikariya et a
l.;J.Chem.Soc.,Chem.Commu
n.,pp.922−924(1985))または特開
昭61−63690号公報に記載の方法により得ること
ができる。
【0030】すなわち、塩化ルテニウムとシクロオクタ
−1,5−ジエン(以下、「COD」と略記する)とを
エタノール溶媒中で反応させて得られる[RuX(C
OD)]q(qは自然数を示す)を、更に、Aで表され
る第三級アミンの存在下、トルエンまたはエタノール等
の溶媒中で、R−BINAPと加熱反応させることに
より製造される。Aで表される第三級アミンとしては、
トリエチルアミン、トリブチルアミン、エチルジイソプ
ロピルアミン、1,8−ビス(ジメチルアミノ)−ナフ
タレン、ジメチルアニリン、ピリジン、N−メチルピペ
リジン等が挙げられるが、特にトリエチルアミンが好ま
しく用いられる。
【0031】また、一般式(1)中、CBPが一般式
(7)で表されるBIPHEPである化合物は、特開昭
63−135397号公報に記載の方法によって得るこ
とができる。
【0032】光学活性錯体1の具体例としては次のもの
を挙げることができる。 RuCl(BINAP)NEt (Etはエチル基を示す。以下同様) RuCl(Tol−BINAP)NEt RuCl(t−Bu−BINAP)NEt RuCl(m−Tol−BINAP)NEt RuCl(DM−BINAP)NEt RuCl(Methoxy−BINAP)NEt
RuCl(CpBINAP)NEt
【0033】 Ru2Cl4(CyBINAP)2NEt3 RuHCl(BINAP)2 RuHCl(Tol-BINAP)2 RuHCl(DM−BINAP)2 Ru2Cl4(BIPHEMP)2NEt3 RuHCl(BIPHEMP)2 Ru2Cl4(BICHEP)2NEt3 RuHCl(BICHEP)2 Ru 2 Cl 4 (OcHBINAP) 2 NEt 3
【0034】前記一般式(2)で表されるルテニウム−
光学活性ホスフィン錯体(以下、「光学活性錯体2」と
略記する)は、例えば特開昭63−41487号公報ま
たは特開昭63−145292号公報に記載の方法によ
り得ることができる。
【0035】すなわち、一般式(2)中、mが0、nが
1、rが2である化合物は、前記した光学活性錯体1の
うちRuCl(CBP)NEtと、MT(M
は、Na、K、Li、Mg、Agの金属を示し、Tは前
記と同じ意味を有する。以下同様)で表される塩とを、
相関移動触媒としての第四級アンモニウム塩または第四
級ホスホニウム塩の存在下反応させることにより製造さ
れる。
【0036】また、一般式(2)中、mが1、nが2、
pが1である化合物は、前記した光学活性錯体1のRu
HCl(CBP)とMTとを相関移動触媒を用いて反
応させることにより製造される。
【0037】光学活性錯体2の具体例としては次のもの
を挙げることができる。 [Ru(BINAP)](ClO [Ru(Tol−BINAP)](PF [Ru(BINAP)](BF [Ru(Methoxy−BINAP)](BF [RuH(BINAP)]ClO [RuH(t−Bu−BINAP)]PF [RuH(Tol−BINAP)]BF [RuH(BIPHEMP)]ClO
【0038】前記一般式(3)で表されるルテニウム−
光学活性ホスフィン錯体(以下、「光学活性錯体3」と
略記する)は、例えば特開平2−191289号公報に
記載の方法により得ることができる。
【0039】すなわち、式(3)中、Qが置換基を有し
ていてもよいベンゼンでX及びLがともにハロゲン原子
である化合物は、[RuX(Q’)](Xは前記と
同じ意味を有し、Q’は置換基を有していてもよいベン
ゼンを示す。以下同様)とCBPとを適当な溶媒中反応
させることにより製造される。ここで用いられる溶媒と
しては、メタノール、エタノール、ベンゼン、塩化メチ
レン及びこれらの混合溶媒等を挙げることができる
【0040】尚、Qがp−シメンでX及びLがヨウ素原
子であり、aが1、bが1、cが3である化合物は、特
開平5−111639号公報に記載の方法により得るこ
とができる。すなわち、上記の方法で得られる次式 [RuI(p−シメン)(CBP)]I で表される化合物に、メタノール等の適当な溶媒中、1
5〜30℃で1〜5時間ヨウ素を反応させることにより
得ることができる。
【0041】また、式(3)中、Qが置換基を有してい
てもよいベンゼンでLがClO、PF、BFまた
はBPhである化合物は、上記で得られる[RuX
(Q’)(CBP)]XにML’(Mは前記と同じ意味
を有し、L’はCLO、PF、BFまたはBPh
を示す)で表される塩を反応させることにより製造さ
れる。
【0042】Qで表される置換基を有してもよいベンゼ
ンとは、ベンゼン、及び、低級アルキル基、低級アルコ
キシ基、低級アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子等
で置換されたベンゼンであり(「低級」とは、炭素数1
〜4の直鎖または分岐鎖を意味する)、具体例として
は、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼ
ン、ヘキサメチルベンゼン、エチルベンゼン、tert
−ブチルベンゼン、p−シメン、クメン、アニソール、
メチルアニソール、安息香酸メチルエステル、メチル安
息香酸メチルエステル、クロロ安息香酸メチルエステ
ル、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベ
ンゼン、ブロモベンゼン、フルオロベンゼン等を挙げる
ことができる。
【0043】更に、式(3)中、Qがアセトニトリルで
aが1、bが2、cが1である化合物は、例えば[Ru
X(Q’)(CBP)]Xをアセトニトリルに溶解し、
50℃程度で加熱反応することにより製造される。更に
また、Qがアセトニトリルでaが0、bが4、cが2で
ある化合物は、[RuX(Q’)(CBP)]Xをアセ
トニトリルと他の適当な溶媒の混合溶媒に溶解してお
き、これを25〜50℃程度の温度で加熱反応すること
により製造される。ここでアセトニトリルと混合して用
いる溶媒としては、メタノール、エタノール、アセト
ン、塩化メチレン等を挙げることができる。
【0044】光学活性錯体3の具体例としては次のもの
を挙げることができる。 [RuCl(ベンゼン)(BINAP)]Cl [RuCl(ベンゼン)(Tol−BINAP)]Cl [RuBr(ベンゼン)(BINAP)]Br [RuI(p−シメン)(BINAP)]I [RuI(p−シメン)(m−Tol−BINAP)]
I [RuI(p−シメン)(BINAP)]I [RuI(p−シメン)(Tol−BINAP)]I [RuI(p−シメン)(DM−BINAP)]I
【0045】 [RuCl(安息香酸メチル)(BINAP)]Cl [RuCl(ベンゼン)(BINAP)]ClO [RuCl(ベンゼン)(t−Bu−BINAP)]C
lO [RuCl(ベンゼン)(BINAP)]PF [RuCl(ベンゼン)(BINAP)]BF [RuCl(ベンゼン)(BINAP)]BPh [Ru(アセトニトリル)(BINAP)](B
【0046】 [RuCl(アセトニトリル)(BINAP)]Cl [RuBr(ベンゼン)(DM−BINAP)]Br [RuCl(ベンゼン)(BIPHEMP)]Cl [RuCl(p−シメン)(BIPHEMP)]Cl [RuI(r−シメン)(BIPHEMP)]I [RuI(p−シメン)(OcHBINAP)]I
【0047】前記一般式(4)で表されるルテニウム−
光学活性ホスフィン錯体(以下、「光学活性錯体4」と
略記する)のうち、一般式(4)中、Jが塩素原子また
は臭素原子である化合物は、例えば、J.P.ジェネッ
トら(J.P.Genetet al.)の方法(Te
trahedron:Asymmetry,Vol.
2,No.7,pp.555−567(1991))に
より得ることができる。
【0048】すなわち、適当な溶媒に溶解したCBP
に、HJ(Jは前記と同じ意味を有する)で表される酸
のメタノール溶液を加え反応させることにより製造され
る。ここで用いられる適当な溶媒としては、塩化メチレ
ン、トルエン、アセトン等を挙げることができる。
【0049】また、一般式(4)中、JがOCR
表わされる化合物は、例えば、特開昭62−26529
3号公報または特開昭63−145291号に記載され
ているように、前記した光学活性錯体1のうちRu
(CBP)NEtとOCRで表わされる基
に対応するカルボン酸塩をアルコール溶媒中で反応させ
ることにより製造される。ここで、Rで表わされる低
級アルキル基とは、炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖の
アルキル基を意味し、また、Rで表わされるハロゲン
化低級アルキル基とは、ハロゲン原子が1個ないし複数
個置換した炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル
基を意味し、具体例としては、モノクロロメチル基、ジ
クロロメチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメ
チル基等を挙げることができる。なお、Rがトリフル
オロメチル基である化合物は、例えば、前記のようにし
て得られたRu(CBP)(OCOHにトリフ
ルオロ酢酸を反応させることにより製造される。
【0050】光学活性錯体4の具体例としては次のもの
を挙げることができる。 Ru(BINAP)Cl Ru(BINAP)Br Ru(Tol−BINAP)Br Ru(t−Bu−BINAP)Br Ru(BINAP)(OCCH
【0051】 Ru(Tol−BINAP)(OCCH Ru(BINAP)(OCCF Ru(DM−BINAP)Cl Ru(BIPHEMP)Br Ru(BICHEP)(OCCH Ru(OcHBINAP)(OCCH
【0052】前記一般式(5)で表されるルテニウム−
光学活性ホスフィン錯体(以下、「光学活性錯体5」と
略記する)も、例えば、J.P.ジェネットら(J.
P.Genet etal.)の方法(Tetrahe
dron:Asymmetry,Vol.2,No.
7,pp.555−567(1991))により得るこ
とができる。
【0053】すなわち、RuG(COD)(Gは前記
と同じ意味を有する)とCBPをアルゴン雰囲気下ヘキ
サン等の溶媒中50℃程度で加熱反応させることにより
製造される。
【0054】光学活性錯体5の具体例としては次のもの
を挙げることができる。 Ru(C352(BINAP) (式中、C35はアリル基を示す。以下同様) Ru(C352(t−Bu−BINAP) Ru(C472(BINAP) (式中、C47はメタリル基を示す。以下同様) Ru(C472(Tol-BINAP)Ru(C 3 5 2 (DM-BINAP) Ru(C472(BIPHEMP)
【0055】尚、以上の光学活性錯体1〜5中のホスフ
ィン誘導体は、いずれも(+)体または(−)体のいず
れかとして得られるが、その表示は省略した。また、本
発明方法においては、これらの(+)体または(−)体
のいずれかを選択することにより、所望する絶対配置の
4−メチル−2−オキセタノンを得ることができる。
【0056】また、本発明を有利に実施するには、上記
に例示したルテニウム−光学活性ホスフィン錯体が、金
属ルテニウムと光学活性ホスフィンのモル比が1:1〜
1:0.95の割合で調製されたものを用いるとよい。
通常、ルテニウム−光学活性ホスフィン錯体を調製する
場合、ルテニウム1当量に対し光学活性ホスフィン配位
子を約1.05〜1.2等量用いるが、本発明ではこれ
を1等量以内に抑えたものを用いることによって、副反
応である4−メチレン−2−オキセタノンの重合反応を
防ぐことができる。尚、光学活性ホスフィン配位子が
0.95当量より少ないと、金属ルテニウムが過剰にな
り、不経済となる。
【0057】本発明を実施するには、例えば、耐圧容器
に、窒素雰囲気下、上記したルテニウム−光学活性ホス
フィン錯体、原料化合物である4−メチレン−2−オキ
セタノンおよび溶媒を加えて、水素雰囲気下で不斉水素
化を行えばよい。
【0058】触媒であるルテニウム−光学活性ホスフィ
ン錯体の使用量は、原料化合物である4−メチレン−2
−オキセタノン1モルに対して通常約0.0001モル
〜0.01モルの範囲、特に好ましくは、約0.000
5モル〜0.002モルの範囲とするとよい。触媒が
0.0001モルより少ない量では触媒としての効果を
充分奏さず、また、0.01モルより多い量では不経済
となる。
【0059】溶媒としては、原料化合物である4−メチ
レン−2−オキセタノンと反応してしまうアルコール
類、水等の溶媒は使用できないが、それ以外の溶媒で通
常の不斉水素化に使用される溶媒であればよい。具体的
には、塩化メチレン、アセトン、メチルエチルケトン、
メチルブチルケトン、テトラヒドロフラン、1,4−ジ
オキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられる。但
し、酢酸やプロピオン酸のような酸の存在下では反応が
遅くなる。
【0060】更に、水素化を円滑に進行させ、生成物の
選択率および光学純度を上昇させる為には、触媒に対し
て約0.5〜1当量の第三級アミンを添加することが好
ましい。特に、触媒として光学活性錯体1のようにアミ
ンを有するものを用いる場合以外は、第三級アミンを添
加すべきである。尚、過剰の第三級アミンの添加は必ず
しも有利ではない。
【0061】第三級アミンを添加する場合には、耐圧容
器に、窒素雰囲気下、上記したルテニウム−光学活性ホ
スフィン錯体を入れ、次いで溶媒を加えて溶解し、更に
第三級アミンを加えて室温〜60℃の温度で約10分間
〜2時間撹拌した後、原料化合物である4−メチレン−
2−オキセタノンを加えて水素雰囲気下で不斉水素化を
行うことが好ましい。使用される第三級アミンの具体例
としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイ
ソプロピルエチルアミン、1,8−ビス(ジメチルアミ
ノ)−ナフタレン、ジメチルアニリン、ピリジン、N−
メチルピペリジン等が挙げられる。
【0062】不斉水素化の反応温度、反応時間は、触媒
の種類やその他の反応条件により異なるが、通常、室温
〜100℃、特に好ましくは約30℃〜60℃の温度
で、約15時間〜150時間反応させると良い。また、
水素圧は、約5kg/cm〜150kg/cm、特
に好ましく約50kg/cm〜100kg/cm
すると良い。
【0063】反応終了後、溶媒留去、蒸留等の方法によ
り反応生成物を精製することにより目的とする光学活性
4−メチル−2−オキセタノンを得ることができる。
【0064】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらになんら約されるものではな
い。尚、実施例1〜20で用いたルテニウム−光学活性
ホスフィン錯体としては、金属ルテニウムと光学活性ホ
スフィンのモル比を約1:1とした調製品を用いた。
【0065】実施例 1 100ml容量のステンレス製オートクレーブに、窒素
雰囲気下、RuCl((+)−BINAP)NE
16.9mg(0.01mmol)を精秤し、塩化
メチレン10mlを加えて溶解した。これにジイソプロ
ピルエチルアミン2.6mg(0.02mmol)を入
れ、50℃で20分間撹拌した。次いで、4−メチレン
−2−オキセタノン1.7g(20mmol)を入れ、
水素圧50kg/cm、反応温度50℃で90時間攪
拌した。得られた反応液をクライゼン蒸留装置を用いて
蒸留して沸点71℃〜73℃/29mmHgの留分1.
63g(収率:95%)を得た。
【0066】生成物は、ガスクロマトグラフィーによる
標品との比較分析の結果、4−メチル−2−オキセタノ
ンであることが確認され、比旋光度の測定値[α]
25が−24°(c=5.9,CHCl)から(S)
体であることが確認された。更に、光学純度は、生成物
をメタノール中で加溶媒分解(メタノリシス)し、次い
でメトキシトリフルオロメチルフェニル酢酸のエステル
に導き、このものについてH−NMRを測定し、測定
値のジアステレオマーの比率から90%e.e.である
と決定した。
【0067】実施例 2 100ml容量のステンレス製オートクレーブに、窒素
雰囲気下、RuCl((−)−Tol−BINA
P)NEt17.1mg(0.01mmol)を精
秤し、塩化メチレン10mlを加えて溶解した。これに
ジメチルアニリン2.42mg(0.02mmol)を
入れ、50℃で20分間撹拌した。次いで、4−メチレ
ン−2−オキセタノン1.7g(20mmol)を入
れ、水素圧100kg/cm、反応温度60℃で60
時間攪拌した。
【0068】実施例1と同様に蒸留して(R)−4−メ
チル−2−オキセタノン1.64g(収率:95%)を
得た。実施例1と同様にして光学純度を測定したところ
91%e.e.であった。
【0069】実施例 3 100ml容量のステンレス製オートクレーブに、窒素
雰囲気下、RuCl((+)−BIPHEMP)
NEt15.3mg(0.01mmol)を精秤し、
テトラヒドロフラン10mlを加えて溶解した。これに
ジイソプロピルエチルアミン2.6mg(0.02mm
ol)を入れ、50℃で20分間撹拌した。次いで、4
メチレン−2−オキセタノン1.7g(20mmol)
を入れ、水素圧100kg/cm、反応温度50℃で
56時間攪拌した。
【0070】実施例1と同様に蒸留して(S)−4−メ
チル−2−オキセタノン1.56g(収率:90%)を
得た。実施例1と同様にして光学純度を測定したとこ
ろ、89%e.e.であった。
【0071】実施例 4 100ml容量のステンレス製オートクレーブに、窒素
雰囲気下、[RuI(P−シメン)((+)−BINA
P)]I 22mg(0.02mmol)を精秤し塩化
メチレン10mlを加えて溶解した。これにジイソプロ
ピルエチルアミン2.6mg(0.02mmol)を入
れ、50℃で20分間撹拌した。次いで、4−メチレン
−2−オキセタノン1.7g(20mmol)を入れ、
水素圧80kg/cm、反応温度50℃で50時間攪
拌した。
【0072】実施例1と同様に蒸留して(S)−4−メ
チル−2−オキセタノン1.6g(収率:93%)を得
た。実施例1と同様にして光学純度を測定したところ、
89%e.e.あった。
【0073】実施例 5 100ml容量のステンレス製オートクレーブに、窒素
雰囲気下、[RuCl(ベンゼン)((+)−BIPH
EMP)]Cl 13.98mg(0.02mmol)
を精秤し、酢酸エチル10mlを加えて溶解した。これ
にジイソプロピルエチルアミン2.6mg(0.02m
mol)を入れ、50℃で20分間撹拌した。次いで、
4−メチレン−2−オキセタノン1.7g(20mmo
l)を入れ、水素圧 100kg/cm、反応温度5
0℃で50時間攪拌した。
【0074】実施例1と同様に蒸留して(S)−4−メ
チル−2−オキセタノン1.6g(収率:93%)を得
た。実施例1と同様にして光学純度を測定したところ、
9%e.e.であった。
【0075】実施例 6 100ml容量のステンレス製オートクレーブに、窒素
雰囲気下、[RuI(p−シメン)((−)−BIPH
EMP)]I 20.78mg(0.02mmol)を
精秤し、塩化メチレン10mlを加えて溶解した。これ
にジイソプロピルエチルアミン2.6mg(0.02m
mol)を入れ、50℃で20分間撹拌した。次いで、
4−メチレン−2−オキセタノン1.7g(20mmo
l)を入れ、水素圧90kg/cm、反応温度50℃
で45時間攪拌した。
【0076】実施例1と同様に蒸留して(R)−4−メ
チル−2−オキセタノン1.64g(収率:95%)を
得た。実施例1と同様にして光学純度を測定したとこ
ろ、90%e.e.であった。
【0077】実施例 7 100ml容量のステンレス製オートクレーブに窒素雰
囲気下、Ru((−)−BINAP)Br17.7m
g(0.02mmol)を精秤し、テトラヒドロフラン
10mlを加えて溶解した。これにジイソプロピルエチ
ルアミン1.3mg(0.01mmol)を入れ、50
℃で20分間撹拌した。次いで、4−メチレン−2−オ
キセタノン1.7g(20mmol)を入れ、水素圧1
00kg/cm、反応温度55℃で50時間攪拌し
た。
【0078】実施例1と同様に蒸留して(R)−4−メ
チル−2−オキセタノン1.59g(収率:92%)を
得た。実施例1と同様にして光学純度を測定したとこ
ろ、91%e.e.であった。
【0079】実施例 8〜18 種々のルテニウム−光学活性ホスフィン錯体を用い、そ
の他の条件は実施例6と同様にして光学活性4−メチル
−2−オキセタノンを製造した。但し、実施例17及び
実施例18においては、原料化合物の4−メチレン−2
−オキセタノンを加える前に、錯体に対して4倍モルの
臭化水素酸が添加されるように20%臭化水素酸水溶液
を加え、減圧下(1mmHg)40℃で乾燥してから原
料化合物及び溶媒を加えて反応を行った。 この結果を
表1に示す。
【0080】
【表1】
【0081】実施例 19 以下の方法に従って、金属ルテニウムと光学活性ホスフ
ィンのモル比が1:1の割合でルテニウム−光学活性ホ
スフィン錯体を調製し、これを用いて光学活性4−メチ
ル−2−オキセタノンを製造した。
【0082】 金属ルテニウム:光学活性ホスフィン=1:1(モル
比)の錯体の調製 RuCl(COD)30g(0.107mol)、
(−)−Tol−BINAP27.7g(0.107m
ol)及びトリエチルアミン43.3g(0.428m
ol)を、トルエン1500ml中で39時間加熱還流
した。反応後、トルエン及び過剰のトリエチルアミンを
減圧留去し、析出した固体を塩化メチレンに溶解した。
これをシュレンク管に移し、塩化メチレンを留去後、6
0℃で真空乾燥して、RuCl((−)−Tol−
BINAP)NEt 102.7g(理論収量:9
6.52g)を得た。
【0083】 光学活性4−メチル−2−オキセタノンの製造 予め窒素置換した30リットル容量のステンレス製オー
トクレーブに、予め窒素ガス下で蒸留した4−メチレン
−2−オキセタノン2290g(27.2mol)及び乾燥テト
ラヒドロフラン18リットルを入れた。この溶液に、上
記で得られたRu 2 Cl 4 ((−)−Tol−BINA
P) 2 NEt 3 51.57g(28.6mol)を乾燥テトラヒド
ロフラン500mlに溶解した溶液を加え、水素圧30
kg/cm、反応温度50℃で88時間攪拌した。反
応終了後、得られた反応液をサンプリングし、ガスクロ
マトグラフィーを用いて、転化率93.8%、選択率9
8.3%であることを確認した。次いで、テトラヒドロフ
ランを留去し、蒸留して、粗(R)−4−メチル−2−
オキセタノン1856g(純度92.3%、収率73.1
%、光学純度92.3%e.e.)を得た。
【0084】 この粗(R)−4−メチル−2−オキセタ
ノンのうち、308.1gを酢酸エチル1500mlに
溶解し、水300ml及びトリエチルアミン88mlを
加えて室温で20分間攪拌し、静置後分液して有機層を
回収した。溶媒を留去後、水素化カルシウム存在下で2
回減圧蒸留を行い、精製(R)−4−メチル−2−オキ
セタノン180.75g(収率65.1%、光学純度9
2%e.e.)を得た。
【0085】 実施例 20 実施例19の方法に準じて、金属ルテニウムと光学活性
ホスフィンのモル比が:1.2のルテニウム−光学活性
ホスフィン錯体を調製し、これを用いて光学活性4−メ
チル−2−オキセタノンを製造した。
【0086】 すなわち、予め窒素置換した500ml容
量のステンレス製オートクレーブに、予め窒素ガス下で
蒸留した4−メチレン−2−オキセタノン54.5g
(0.65mol)及び乾燥テトラヒドロフラン250
mlを入れた。この溶液に、金属ルテニウムと光学活性
ホスフィンのモル比が1:1.2の割合で調製されたR
Cl((−)−BINAP)NEt1.16
85g(0.65mmol)を乾燥テトラヒドロフラン
50mlに溶解した溶液を加え、水素圧30kg/cm
、反応温度50℃で74時間攪拌した。
【0087】 反応終了後、得られた反応液をサンプリン
グし、ガスクロマトグラフィーを用いて、転化率98.
8%、選択率51.3%であることを確認した。次い
で、テトラヒドロフランを留去し、蒸留して、粗(R)
−4−メチル−2−オキセタノン28.2g(収率5
0.4%)を得た。
【0088】 この粗(R)−4−メチル−2−オキセタ
ノンを実施例19と同様にして酢酸エチルに溶解後、水
及びトリエチルアミンを加えて室温で20分間攪拌し、
静置後分液して有機層を回収した。溶媒を留去後、水素
化カルシウム存在下で2回減圧蒸留を行い、精製(R)
−4−メチル−2−オキセタノン9.5g(収率17.
0%、光学純度92%e.e.)を得た。
【0089】 上記実施例は、実施例19と比べ、各反応
化合物の量を少なくし、反応スケールを縮小してある
が、用いるルテニウム−光学活性ホスフィン錯体の金属
ルテニウムと光学活性ホスフィンのモル比が異なる以外
は、原料化合物に対する使用触媒量、溶媒、反応温度、
反応時間、水素圧等の反応条件は実施例19とほぼ等し
く揃えて行った。それにもかかわらず、実施例19より
も生成物の収率がかなり低いことが明らかである。
【0090】 すなわち、本発明方法においては、用いる
触媒の金属ルテニウムと光学活性ホスフィンのモル比が
反応に与える影響が大きく、このモル比が1:1.2の
ように光学活性ホスフィンが過剰な割合で調製されたル
テニウム−光学活性ホスフィン錯体を用いるよりも、
1:1程度の割合で調製された錯体を用いた方が、高い
収率で目的とする光学活性4−メチル−2−オキセタノ
ンを得ることができることが明らかになった。
【0091】実施例 21 実施例19の方法に準じて、金属ルテニウムと光学活性
ホスフィンのモル比が1:1のRu 2 Cl 4 ((−)−m
−Tol−BINAP) 2 NEt 3 を調製し、これを用
いて4−メチレン−2−オキセタノンを不斉水素化して
光学活性4−メチル−2−オキセタノンを製造した。
【0092】実施例 22 実施例19の方法に準じて、金属ルテニウムと光学活性
ホスフィンのモル比が1:1のRu 2 Cl 4 ((−)−C
yBINAP) 2 NEt 3 を調製し、これを用いて4−
メチレン−2−オキセタノンを不斉水素化して光学活性
4−メチル−2−オキセタノンを製造した。
【0093】実施例 23 実施例19の方法に準じて、金属ルテニウムと光学活性
ホスフィンのモル比が1:1のRu 2 Cl 4 ((−)−C
pBINAP) 2 NEt 3 を調製し、これを用いて4−
メチレン−2−オキセタノンを不斉水素化して光学活性
4−メチル−2−オキセタノンを製造した。
【0094】実施例 24 実施例19の方法に準じて、金属ルテニウムと光学活性
ホスフィンのモル比が1:1のRu 2 Cl 4 ((−)−B
ICHEP) 2 NEt 3 を調製し、これを用いて4−メ
チレン−2−オキセタノンを不斉水素化して光学活性4
−メチル−2−オキセタノンを製造した。
【0095】実施例 25 実施例19の方法に準じて、金属ルテニウムと光学活性
ホスフィンのモル比が1:1のRu 2 Cl 4 ((−)−O
cHBINAP) 2 NEt 3 を調製し、これを用いて
−メチレン−2−オキセタノンを不斉水素化して光学活
性4−メチル−2−オキセタノンを製造した。
【0096】
【発明の効果】本発明方法によれば、容易にかつ経済的
に有利に、しかも高い光学純度の光学活性4−メチル−
2−オキセタノンを得ることができる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−191679(JP,A) 特開 平3−204870(JP,A) Tetrahedron Let t.,Vol.33,No.5,p.635 −638(1992) J.Am.Chem.Soc.,Vo l.23,p.1725−1726(1992) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 305/12 CA(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 4−メチレン−2−オキセタノンをルテ
    ニウム−光学活性ホスフィン錯体を触媒として不斉水素
    化することを特徴とする光学活性4−メチル−2−オキ
    セタノンの製造方法。
  2. 【請求項2】 ルテニウム−光学活性ホスフィン錯体
    が、金属ルテニウムと光学活性ホスフィンのモル比が
    1:1〜1:0.95の割合で調製されたものであるこ
    とを特徴とする請求項第1項記載の光学活性4−メチル
    −2−オキセタノンの製造方法。
  3. 【請求項3】 更に第三級アミンを添加することを特徴
    とする請求項第1項乃至第2項記載の光学活性4−メチ
    ル−2−オキセタノンの製造方法。
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