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JP3347010B2 - 薄膜誘電体素子 - Google Patents

薄膜誘電体素子

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Publication number
JP3347010B2
JP3347010B2 JP01704797A JP1704797A JP3347010B2 JP 3347010 B2 JP3347010 B2 JP 3347010B2 JP 01704797 A JP01704797 A JP 01704797A JP 1704797 A JP1704797 A JP 1704797A JP 3347010 B2 JP3347010 B2 JP 3347010B2
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JP
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film
thin film
lower electrode
dielectric
capacitor
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伸 福島
光明 出羽
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ペロブスカイト型
酸化物からなる誘電体薄膜を用いた薄膜誘電体素子に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、大容量DRAMや不揮発性RAM
(FRAM)等に搭載される薄膜誘電体素子(薄膜キャ
パシタ)に関して、高誘電性材料や強誘電性材料の研
究、さらには素子構造の研究等が活発に行われている。
例えば、SrTiO3 (以下、STOと記す)やBa
1-x Srx TiO3 (以下、BSTOと記す)等のペロ
ブスカイト型酸化物は、従来のSiO2 、Si3 4
Ta2 5 等に比べて比誘電率が各段に大きいことか
ら、例えばメモリーセルのセル構造を微細化した場合に
おいても十分な蓄積電荷量を確保することができ、なお
かつ複雑なキャパシタ構造を用いることなく容量確保が
可能であるというような利点を有している。
【0003】上記したようなペロブスカイト型酸化物か
らなる誘電体薄膜を用いた薄膜誘電体素子においては、
Pt、Ru等の貴金属やRu等の貴金属の酸化物、ない
しはこれら貴金属とその酸化物との積層膜等を下部電極
として利用することが検討されている。これらのうち、
Ruは特に加工性が良好で、RIE等による微細加工が
可能であることから、DRAM用キャパシタ電極等とし
て優れたものであると考えられてきた。
【0004】しかし、上記したようなRu等の貴金属や
その酸化物を下部電極として用いた薄膜誘電体素子で
は、電極/誘電体薄膜界面の不整合によって、イオン欠
損等に起因する大量の界面準位発生が起こり、これが原
因となってリーク電流の増大や誘電破壊耐性の低下等と
いった問題を招いてしまう。
【0005】一方、SrRuO3 やLa1-x Srx Co
3 等のように、上記STOやBSTOと同一の結晶構
造を有する導電性ペロブスカイト型酸化物を、電極材料
として用いることが検討されている。このような導電性
ペロブスカイト型酸化物を電極材料として用いた場合、
電極および誘電体薄膜をエピタキシャル成長させること
によって、高い界面整合性が得られることから、欠陥や
界面準位の発生等を抑制することができる。従って、高
い誘電率、低いリーク電流等の良好な電気特性、高い誘
電破壊耐性による高信頼性や長寿命化等を示す薄膜誘電
体素子が得られることが期待されている。
【0006】ただし、実際のLSI回路等に適用するた
めには、下部電極はポリシリコンやタングステン等から
なるプラグ(SiプラグやWプラグ)上に形成する必要
がある。この際、ポリシリコン等からなるプラグ上にS
rRuO3 等の導電性ペロブスカイト型酸化物からなる
下部電極を形成する場合に、良好にエピタキシャル成長
させることは非常に困難である。従って、実用的には導
電性ペロブスカイト型酸化物の多結晶膜を下部電極とし
て用いる必要がある。
【0007】しかしながら、ポリシリコン等からなるプ
ラグ上にTiN等のバリヤメタル層を介して、下部電極
としてSrRuO3 等の導電性ペロブスカイト型酸化物
の多結晶膜を形成し、その上にBSTO等からなる誘電
体薄膜を設けた場合、下部電極と誘電体薄膜との界面
や、誘電体薄膜表面すなわち誘電体薄膜と上部電極との
界面のモフォロジーが悪化という問題が生じる。この界
面モフォロジーの悪化はリーク電流を増大させたり、場
合によってはキャパシタショートを引き起こすおそれが
ある。
【0008】この現象は、SrRuO3 等の多結晶膜を
堆積する際、膜厚方向の結晶方位がコラム状の各粒子に
よって異なり、各粒子の方位により成長速度が異なるこ
とに起因するものと考えられる。すなわち、成長速度が
速い軸方向を向いている粒子と成長速度が遅い方位が膜
厚方向に向いている粒子とが近接して存在している場
合、その成長速度差に基いて段差が生じ、これが下部電
極/誘電体薄膜界面のモフォロジーの悪化の発生原因と
なっている。また、下部電極上に成長させた誘電体薄膜
は、コラム状のグレイン内では下部電極の成長方位を引
継ぎ、ここでも同様な成長速度の方位依存性が生じるこ
とから、誘電体薄膜の成膜時に上記した段差、ひいては
モフォロジーの悪化が増大していくことになる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
のペロブスカイト型酸化物からなる誘電体薄膜を用いた
薄膜誘電体素子において、導電性ペロブスカイト型酸化
物の多結晶膜を下部電極として適用する場合、SrRu
3 等の導電性ペロブスカイト型酸化物は成長速度に方
位依存性を有することから、この成長速度差に基く段差
により下部電極/誘電体薄膜界面、さらには誘電体薄膜
/上部電極界面のモフォロジーが悪化しやすいという問
題を招いていた。
【0010】上記した電極/誘電体薄膜界面のモフォロ
ジーの悪化はリーク電流を増大させたり、場合によって
はキャパシタショートを引き起こすおそれがあることか
ら、実際のLSI回路等に適合可能な導電性ペロブスカ
イト型酸化物の多結晶膜の表面平坦性を高めることが課
題とされている。
【0011】本発明は、このような課題に対処するため
になされたもので、導電性ペロブスカイト型酸化物の多
結晶膜の表面平坦性を高めることによって、これを特に
下部電極として用いた場合においても、電極/誘電体薄
膜界面のモフォロジーの悪化を抑え、リーク電流の増大
やキャパシタショートの発生を抑制することを可能にし
た薄膜誘電体素子を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の薄膜誘電体素子
は、請求項1に記載したように、基板上に順に積層され
た下部電極、SrTiO 3 、Ba 1-x Sr x TiO 3 、Pb
(Zr,Ti)O 3 および(Pb,La)(Zr,T
i)O 3 から選ばれるペロブスカイト型酸化物からなる
誘電体薄膜および上部電極を具備する薄膜誘電体素子
において、前記下部電極は、Ru、Ir、Rh、Cr、
Mn、NiおよびCoから選ばれる少なくとも1種の遷
移金属を含有する導電性を有する層状ペロブスカイト型
酸化物の多結晶膜を少なくとも有することを特徴として
いる。
【0013】本発明の薄膜誘電体素子において、前記層
状ペロブスカイト型酸化物は、特に請求項2に記載した
ように、 一般式:AEn+1 TMn 3n+1 (式中、AEはSr、BaおよびCaから選ばれる少な
くとも 1種を、TMはRu、IrおよびRhから選ばれ
る少なくとも 1種の遷移金属元素を示し、 nは1、 2ま
たは 3である)で実質的に表される組成を有することを
特徴としている。
【0014】本発明の薄膜誘電体素子においては、下部
電極の少なくとも一部を導電性を有する層状ペロブスカ
イト型酸化物層で構成している。層状ペロブスカイト型
酸化物は、一般に結晶方位による成長速度が著しく異な
り、成長初期段階においては結晶のc軸方向に対して
a、b軸方向の成長速度が速いことが知られている。こ
のような物質の多結晶膜を成膜した場合、成膜の初期過
程においては島状に堆積した粒子の方位はランダムであ
るが、膜成長が進むにつれて、膜厚方向に結晶のc軸が
向いている粒子の面内成長速度、すなわちa、b軸方向
への成長が優っているために、連続膜が形成される時点
では膜厚方向にc軸が向いている粒子の高度に配向した
膜となる。この状態からさらに成膜が進んでいく際に
は、膜厚方向の成長速度は各粒子で同一であるから、結
晶性がよくかつ表面平坦性に優れた層状ペロブスカイト
型酸化物層を得ることができる。
【0015】上記したような多結晶構造の導電性を有す
る層状ペロブスカイト型酸化物層を少なくとも下部電極
の一部、具体的にはプラグ等を有する基板やバリヤメタ
ル層等と接する下部電極の最下層として少なくとも用い
ることによって、下部電極と誘電体薄膜との界面、さら
には誘電体薄膜と上部電極との界面のモフォロジーの低
下を抑制することができる。従って、本発明の薄膜誘電
体素子によれば、各種下地上に表面平坦性に優れた導電
性層状ペロブスカイト型酸化物の多結晶膜を形成するこ
とが可能となるため、実際のLSI回路等に適合させた
上で、リーク電流の増大、キャパシタショートの発生、
誘電破壊耐性の低下等を抑制することが可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施するための形
態について説明する。
【0017】図1は、本発明の薄膜誘電体素子の一実施
形態の構成を示す図である。同図において、1はプラグ
2等の導電層を有する基板例えば半導体基板であり、こ
のプラグ2は例えばポリシリコン(poly-Si)やタング
ステン(W)等からなるものである。そして、このプラ
グ2等の導電層上に薄膜誘電体素子3が形成されてい
る。この薄膜誘電体素子3は、例えばDRAMやFRA
M等の半導体記憶装置の電荷蓄積部等として使用される
ものである。
【0018】上記した薄膜誘電体素子3において、4は
下部電極であり、この下部電極4上に膜厚10〜 100nm程
度のペロブスカイト型酸化物からなる誘電体薄膜5が形
成されており、さらにその上に上部電極6が設けられて
いる。また、上述したプラグ2と下部電極4との間に
は、必要に応じて下部電極4とSiやW等との反応や酸
化を防止すると共に、SiやW等の拡散を防止する、P
tやRuあるいはRuの酸化物等からなるバリヤ層や、
密着性を向上させるTa、TiN、Ti1-x Alx N等
からなるアドヒージョン層等の中間層7を設けてもよ
い。
【0019】誘電体薄膜5としてのペロブスカイト型酸
化物には、例ばDRAM等のキャパシタに適用する場
合には前述したSrTiO3(STO)およびBa1-x
xTiO3(BSTO)から選ばれる高誘電性ペロブス
カイト型酸化物が、またFRAMに適用する場合にはP
b(Zr,Ti)O3(PZT)および(Pb,La)
(Zr,Ti)O3(PLZT)から選ばれる強誘電性
ペロブスカイト型酸化物が用いられる。また、後に詳述
するように、誘電体薄膜5にBSTO等を用いて、歪誘
起強誘電性を利用してFRAMの電荷蓄積部を構成する
ことも可能である。
【0020】そして、上述した薄膜誘電体素子3の下部
電極4は、Ru、Ir、Rh、Cr、Mn、Niおよび
Coから選ばれる少なくとも 1種の遷移金属を含有する
導電性を有する層状ペロブスカイト型酸化物層を少なく
とも有している。この層状ペロブスカイト型酸化物層
は、特に多結晶膜とした場合において、その優れた効果
を発揮するものである。
【0021】すなわち、層状ペロブスカイト型酸化物
は、一般に結晶方位による成長速度が著しく異なり、成
長初期段階においては結晶のc軸方向に対してa、b軸
方向の成長速度が速いことが知られている。このような
物質の多結晶膜を成膜した場合、成膜の初期過程におい
ては島状に堆積した粒子の方位はランダムであるが、膜
成長が進むにつれて、膜厚方向に結晶のc軸が向いてい
る粒子の面内成長速度、すなわちa、b軸方向への成長
が優っているために、連続膜が形成される時点では膜厚
方向にc軸が向いている粒子の高度に配向した膜とな
る。この状態からさらに成膜が進んでいく際には、膜厚
方向の成長速度は各粒子で同一であるから、結晶性がよ
くかつ表面平坦性に優れた層状導電性ペロブスカイト型
酸化物層が得られる。
【0022】下部電極4の少なくとも一部として用いら
れる導電性を有する層状ペロブスカイト型酸化物層は、
上記したような膜厚方向にc軸が向いている粒子が高度
に配向した多結晶膜(高度にc軸配向した多結晶膜)か
らなるものである。なお、本発明においては、導電性を
有する層状ペロブスカイト型酸化物の単結晶膜の使用を
必ずしも除外するものではなく、薄膜誘電体素子3の下
部構造によっては単結晶膜として使用することもでき
る。
【0023】上述したように、導電性を有する層状ペロ
ブスカイト型酸化物層は、ポリシリコン等からなるプラ
グ2上や、バリヤ層やアドヒージョン層等の中間層7上
等の各種下地上に形成した場合においても、高度にc軸
配向した多結晶膜となり、その表面平坦性は極めて優れ
たものとなる。従って、このような導電性を有する層状
ペロブスカイト型酸化物層からなる下部電極4上に、ペ
ロブスカイト型酸化物からなる誘電体薄膜5を成膜する
ことにより、誘電体薄膜5は下部電極4の表面平坦性を
引き継いで成長するため、下部電極4と誘電体薄膜5と
の界面のモフォロジーの低下を抑制することができる。
さらに、誘電体薄膜5の表面も同様に平坦性に優れたも
のとなるため、誘電体薄膜5と上部電極6との界面のモ
フォロジーの低下も抑制することができる。
【0024】上述した下部電極4に用いる層状ペロブス
カイト型酸化物としては、導電性を示すRu、Ir、R
h、Cr、Mn、NiおよびCoから選ばれる少なくと
も1種の遷移金属を含有するものであれば種々のものを
使用することが可能であるが、LSI回路等のシリコン
プロセスへの適合性を考慮して、Ru、IrおよびRh
から選ばれる少なくとも 1種の遷移金属TMを含有する
層状ペロブスカイト型酸化物を使用することが好まし
い。
【0025】具体的には、 一般式:AEn+1 TMn 3n+1 ……(1) (式中、AEはSr、BaおよびCaから選ばれる少な
くとも 1種を、TMはRu、IrおよびRhから選ばれ
る少なくとも 1種の遷移金属元素を示し、 nは1、 2ま
たは 3である)で実質的に表される組成を有する層状ペ
ロブスカイト型酸化物が好ましく用いられる。
【0026】さらに、誘電体として多用されるBSTO
等との整合性を考慮して、 一般式:Srn+1 TMn 3n+1 ……(2) (式中、TMはRu、IrおよびRhから選ばれる少な
くとも 1種の遷移金属元素を示し、 nは 1、 2または 3
である)で実質的に表される組成を有する層状ペロブス
カイト型酸化物を用いることが望ましい。
【0027】これらの系においては、一般に nの値が増
加するほど結晶構造や物性の低次元性が低くなり、非層
状ペロブスカイト型酸化物(AETMO3 等)に近い性
質となることから、 nの値は 1、 2または 3とする。 n
の値が 4以上となると、層状導電性ペロブスカイト型酸
化物の配向性による多結晶膜の表面平坦化効果を十分に
得ることができないおそれがある。
【0028】上記 (2)式で示される導電性を有する層状
ペロブスカイト型酸化物のうち、Sr2 RuO4 、Sr
3 Ru2 7 およびSr4 Ru3 10から選ばれる少な
くとも 1種は、安定性に優れると共に広い成膜条件で良
好な導電性が得られること等から、特に好ましく用いら
れるものである。
【0029】また、上記 (2)式で示される層状ペロブス
カイト型酸化物において、BSTO等との格子整合性を
高めるために、Srの一部をBaやCa等で置換して面
内(a,b軸)格子定数を調整することも有効である。
さらに、これらのアルカリ土類金属の一部をLaやNd
等の希土類元素で置換することもできる。
【0030】ただし、本発明で用いる導電性を有する層
状ペロブスカイト型酸化物は、上記(1)式や (2)式で示
されるものに限らず、例えば 一般式:An+1 TM′n 3n+1 ……(3) (式中、Aは希土類元素およびアルカリ土類元素から選
ばれる少なくとも 1種を、TM′はCr、Mn、Niお
よびCoから選ばれる少なくとも 1種の遷移金属元素を
示し、 nは 1、 2または 3である)で実質的に表される
組成を有する層状ペロブスカイト型酸化物を用いること
もできる。この (3)式で示される層状ペロブスカイト型
酸化物の具体例としては、(La1-x Srx 2 CoO
4 、(La1-x Srx 3 Co2 7 、(La1-xSr
x 4 Co3 10、(La1-x Srx 2 CrO4
(La1-x Srx 3Mn2 7 、(La1-x Srx
3 Ni2 7 等が挙げられる。
【0031】また、層状ペロブスカイト型酸化物におい
ては、上述したように、 nの値が増加するほど結晶構造
や物性の低次元性が低くなって、非層状ペロブスカイト
型酸化物に近い性質となり、膜厚方向の電気伝導性が上
昇する。これを利用して、 nの異なる層状ペロブスカイ
ト型酸化物層の多層膜や、さらには層状ペロブスカイト
型酸化物層と非層状ペロブスカイト型酸化物との多層膜
を、下部電極4として用いることもできる。
【0032】例えば、図2に示すように、下部電極4の
成膜の初期過程、すなわちプラグ2や中間層7等の直上
には、 (1)式や (2)式で表される層状ペロブスカイト型
酸化物、特にc軸配向性の強い nが 1または 2の層状ペ
ロブスカイト型酸化物を連続膜が得られるまで堆積し
て、高度にc軸配向させた多結晶膜からなる第1の下部
電極層4aを形成し、その上にc軸方向の電気伝導度が
高いSrRuO3 等の非層状ペロブスカイト型酸化物や
nが大きい(例えば n=3,4…)層状ペロブスカイト型酸
化物からなる第2の下部電極層4bを形成し、これらの
多層膜で下部電極4を構成する。この場合、第2の下部
電極層4bは第1の下部電極層4aの結晶方位を引き継
ぎ、高度に配向した多結晶膜となるため、下部電極4の
膜厚方向の電気伝導性の向上を図った上で、その上に形
成する誘電体薄膜5との界面モフォロジーの低下を抑制
することができる。
【0033】また、図3に示すように、層状ペロブスカ
イト型酸化物の高度にc軸配向させた多結晶膜からなる
第1の下部電極層4aと、例えば非層状ペロブスカイト
型酸化物からなる第2の下部電極層4bとの間に、 nが
大きい(例えば n=3,4…)層状ペロブスカイト型酸化物
からなる第3の下部電極層4cを介在させたような多層
膜で、下部電極4を構成することも可能である。さら
に、異なるAE成分(あるいはA成分)を有する膜の積
層膜、異なるTM成分(あるいはTM′成分)を有する
膜の積層膜、これらを組合せた積層膜等とすることによ
って、格子定数を調整して局所エピタキシャル成長が起
こりやすくしたり、またより一層表面平坦性を高めるこ
とも可能である。
【0034】なお上部電極6には、下部電極4と同様な
導電性を有する層状ペロブスカイト型酸化物を用いても
よいし、またSrRuO3 に代表される導電性を有する
非層状ペロブスカイト型酸化物(AETMO3 等)を用
いてもよい。さらに、Pt、Ru等の貴金属やRu等の
貴金属の酸化物、ないしはこれら貴金属とその酸化物と
の積層膜等を使用することも可能である。
【0035】上述したように、この実施形態の薄膜誘電
体素子3において、少なくとも下部電極4の一部として
用いる導電性を有する層状ペロブスカイト型酸化物は、
ポリシリコン(poly-Si)やタングステン(W)等から
なるプラグ2上、あるいはバリヤ層やアドヒージョン層
等の中間層7上等の各種下地上に、表面平坦性に優れた
高度にc軸配向した多結晶膜として成膜することができ
るため、下部電極4と誘電体薄膜5との界面、さらには
誘電体薄膜5と上部電極6との界面のモフォロジーの低
下を抑制することができる。従って、従来のエピタキシ
ャル成長膜のように下地基板が制約されることはなく、
DRAMやFRAM等の半導体記憶装置を有する実際の
LSI回路等に適合させた上で、リーク電流の増大、キ
ャパシタショートの発生、誘電破壊耐性の低下等を抑制
することが可能となる。このように、この実施形態の薄
膜誘電体素子3は、性能および信頼性と実用性を共に高
めた薄膜誘電体素子3ということができる。
【0036】薄膜誘電体素子3の具体的なデバイス構造
は、特に限定されるものではなく、例えば図1に一例を
示した平面型、図4に一例を示すスタック型、図5に一
例を示す内堀り式トレンチ型等、いかなる構造の薄膜キ
ャパシタであってもよい。なお図5において、8はトレ
ンチ形成用の絶縁層であり、この絶縁層8にトレンチ9
が形成されている。
【0037】また、本発明の薄膜誘電体素子は、誘電体
薄膜5にBSTO等を用いて、歪誘起強誘電性を利用し
てFRAMの電荷蓄積部を構成することも可能である。
すなわち、従来からPtやSrRuO3 等の単結晶膜上
に、BSTOをエピタキシャル成長させ、PtやSrR
uO3 とBSTOとの格子ミスマッチに起因する歪誘起
強誘電性を利用したFRAMが知られている。これはP
ZT等を用いたFRAMに比べて高集積化が期待でき
る、耐疲労特性に優れる等の特徴を有する反面、プラグ
2やストレージノードを単結晶シリコンで作製しなけれ
ばならないという素子作製上の問題点を有している。
【0038】これに対して、上述した導電性を有する層
状ペロブスカイト型酸化物の高度にc軸配向した多結晶
膜を下部電極4とし、その上にBSTO膜を誘電体薄膜
5として堆積すると、BSTO膜も下部電極4の微細構
造を引き継いだ (001)配向の多結晶膜となり、かつ下部
電極4の格子を引き継いだいわゆる局所エピタキシャル
膜となる。そして、下部電極4−誘電体薄膜5間の格子
ミスマッチが所定の範囲にあり、誘電体薄膜5に面内圧
縮応力が加わる場合には、BSTO膜が多結晶膜であっ
ても歪誘起強誘電性を示す。この現象を用いれば、プラ
グ2に多結晶Siや多結晶Wを用いた場合においても、
BSTO膜等の歪誘起強誘電性を利用したFRAMを作
製することができる。
【0039】この際の下部電極4−誘電体薄膜5間の望
ましい格子ミスマッチ量は、誘電体組成や膜微細構造に
よって変化するものの、バルクで測定される格子定数な
いしは面間隔のミスマッチが正方晶換算で 0.2〜5%の範
囲で、下部電極4の面内格子定数が小さいことが望まし
い。格子ミスマッチ量が0.2%より小さいと、強誘電性の
発現が不十分となり、5%を超えると局所エピタキシャル
成長が起こらず、この場合もまた強誘電性の発現が不十
分となる。
【0040】また、この際の具体的な構成材料として
は、誘電体薄膜5にはBa1-x SrxTiO3 ( x≦0.
6)を用いることが好ましく、また下部電極4には(Sr
1-y Bay 2 RuO4 、(Sr1-y Bay 3 Ru2
7 、(Sr1-y Bay 4Ru3 10(0≦ y≦0.5)等
を用いることが好ましい。
【0041】なお、本発明の薄膜誘電体素子は、前述し
たDRAMやFRAM等の半導体記憶装置に限らず、G
aAs基板上に形成してマイクロ波用キャパシタとして
使用したり、また強誘電性を利用した低消費電力用の液
晶表示装置等、各種デバイスの薄膜キャパシタに適用す
ることが可能である。
【0042】
【実施例】次に、本発明の具体的な実施例について述べ
る。
【0043】実施例1 まず図5に示したように、ポリシリコンで作製したプラ
グ2まで完成しているSi基板1上に、プラズマΤEO
Sで厚さ 100nmのSiO2 絶縁層8を形成し、このSi
2 絶縁層8にリソグラフィ工程でキャパシタトレンチ
9を作製した。次に、このキャパシタトレンチ9内を含
めてSiO2 絶縁層8上に、DCスパッタ法で中間層7
として厚さ10nmのTiAlN膜および厚さ10nmのPt膜
を順に堆積した。次いで、RFマグネトロンスパッタ法
で下部電極4としてSr2 RuO4 膜を20nm堆積し後、
CMPで表面を平坦化すると共にセル間を分離した。
【0044】上記した下部電極4上に、同様なRFマグ
ネトロンスパッタ法で誘電体薄膜5としてBa0.2 Sr
0.8 TiO3 膜を40nm、さらにその上に上部電極6とし
てSr2 RuO4 膜を 100nm堆積して、DRAM用の薄
膜キャパシタを作製した。また、本発明との比較例1と
して、下部電極4および上部電極6をSrRuO3 膜で
構成する以外は、実施例1と同様にして、DRAM用の
薄膜キャパシタを作製した。
【0045】このようにして得た実施例1および比較例
1の各薄膜キャパシタから透過電子顕微鏡用の試料を作
製し、透過電子顕微鏡観察を行ったところ、実施例1に
おいては下部電極は高度にc軸配向した多結晶膜であ
り、またその上部の誘電体薄膜および上部電極も、その
結晶方位を引き継いだ局所エピタキシャル構造の界面を
有する高度な配向膜となっていた。そして、下部電極/
誘電体薄膜界面、ならびに誘電体薄膜/上部電極界面に
おける界面モフォロジーは良好で、最大ラフネスは 1nm
以下であった。
【0046】一方、比較例1では、下部電極は方位がラ
ンダムな多結晶膜であり、また誘電体薄膜および上部電
極は下部電極の方位を引き継いだいわゆる局所エピタキ
シャル構造をもった多結晶膜となっていた。そして、下
部電極/誘電体薄膜界面のモフォロジーが悪く、ラフネ
スは最大20nmに及ぶことが観測された。
【0047】また、実施例1および比較例1の各薄膜キ
ャパシタの電気特性を測定したところ、実施例1の薄膜
キャパシタでは誘電率 490、2.5V印加時のリーク電流密
度1×10-8A/cm2 以下の特性が得られ、またこの薄膜キ
ャパシタに 10VのDC電圧を印加しても誘電破壊は発生
しなかった。これに対して、比較例1においては、260
個の薄膜キャパシタのうち 90%が短絡により測定不可能
で、残りの薄膜キャパシタもリーク電流は2V印加時に 5
×10-7A となり、誘電率も 190と低く、さらにDC10V
印加で 80%が1000秒以内に破壊する結果となった。
【0048】実施例2 実施例1と同様に、ポリシリコンで作製したプラグまで
完成しているSi基板上に、プラズマΤEOSで厚さ 1
00nmのSiO2 絶縁層を形成し、このSiO2絶縁層に
リソグラフィ工程でキャパシタトレンチを作製した。
【0049】次に、このキャパシタトレンチ内を含めて
SiO2 絶縁層上に、DCスパッタ法で中間層として厚
さ10nmのTiAlN膜および厚さ10nmのPt膜を順に堆
積した。次いで、ターゲットとしてSrRuO3 および
Sr2 RuO4 を用いた多元RFマグネトロンスパッタ
法で、下部電極としてSr3 Ru2 7 膜を20nm堆積し
後、CMPで表面を平坦化すると共にセル間を分離し
た。
【0050】上記した下部電極上に、同様なRFマグネ
トロンスパッタ法で誘電体薄膜としてBa0.2 Sr0.8
TiO3 膜を40nm、さらにその上に上部電極としてSr
3 Ru2 7 膜を 100nm堆積して、DRAM用の薄膜キ
ャパシタを作製した。
【0051】このようにして得た実施例2の薄膜キャパ
シタから透過電子顕微鏡用の試料を作製し、透過電子顕
微鏡観察を行ったところ、下部電極は高度にc軸配向し
た多結晶膜であり、その上部の誘電体薄膜および上部電
極も、その結晶方位を引き継いだ局所エピタキシャル構
造の界面を有する高度な配向膜となっていた。そして下
部電極/誘電体薄膜界面、ならびに誘電体薄膜/上部電
極界面における界面モフォロジーは良好で、最大ラフネ
スは 1nm以下であった。また、この薄膜キャパシタの電
気特性を測定したところ、誘電率は 480、2.5V印加時の
リーク電流密度は 1×10-8A/cm2 以下であり、またこの
薄膜キャパシタに 10VのDC電圧を印加しても誘電破壊
は発生しなかった。
【0052】実施例3 実施例1と同様に、ポリシリコンで作製したプラグまで
完成しているSi基板上に、プラズマΤEOSで厚さ 1
00nmのSiO2 絶縁層を形成し、このSiO2絶縁層に
リソグラフィ工程でキャパシタトレンチを作製した。
【0053】次に、このキャパシタトレンチ内を含めて
SiO2 絶縁層上に、DCスパッタ法で中間層として厚
さ10nmのTiAlN膜および厚さ10nmのPt膜を順に堆
積した。次いで、ターゲットとしてSrRuO3 および
Sr2 RuO4 を用いた多元RFマグネトロンスパッタ
法で、下部電極としてSr4 Ru3 10膜を20nm堆積し
後、CMPで表面を平坦化すると共にセル間を分離し
た。
【0054】上記した下部電極上に、同様なRFマグネ
トロンスパッタ法で誘電体薄膜としてBa0.2 Sr0.8
TiO3 膜を40nm、さらにその上に上部電極としてSr
4 Ru3 10膜を20nm堆積して、DRAM用の薄膜キャ
パシタを作製した。
【0055】このようにして得た実施例3の薄膜キャパ
シタから透過電子顕微鏡用の試料を作製し、透過電子顕
微鏡観察を行ったところ、下部電極は高度にc軸配向し
た多結晶膜であり、その上部の誘電体薄膜および上部電
極も、その結晶方位を引き継いだ局所エピタキシャル構
造の界面を有する高度な配向膜となっていた。そして下
部電極/誘電体薄膜界面、ならびに誘電体薄膜/上部電
極界面における界面モフォロジーは良好で、最大ラフネ
スは 1nm以下であった。また、この薄膜キャパシタの電
気特性を測定したところ、誘電率は 500、2.5V印加時の
リーク電流密度は 1×10-8A/cm2 以下であり、またこの
薄膜キャパシタに 10VのDC電圧を印加しても誘電破壊
は発生しなかった。
【0056】実施例4 まず図5に示したように、ポリシリコンで作製したプラ
グ2まで完成しているSi基板1上に、プラズマΤEO
Sで厚さ 100nmのSiO2 絶縁層8を形成し、このSi
2 絶縁層8にリソグラフィ工程でキャパシタトレンチ
9を作製した。次に、このキャパシタトレンチ9内を含
めてSiO2 絶縁層8上に、DCスパッタ法で中間層7
として厚さ10nmのTiAlN膜および厚さ10nmのPt膜
を順に堆積した。次いで、RFマグネトロンスパッタ法
で下部電極4としてSr2 IrO4 膜を20nm堆積し後、
CMPで表面を平坦化すると共にセル間を分離した。
【0057】上記した下部電極4上に、同様なRFマグ
ネトロンスパッタ法で誘電体薄膜5としてBa0.2 Sr
0.8 TiO3 膜を40nm、さらにその上に上部電極6とし
てSr2 IrO4 膜を 100nm堆積して、DRAM用の薄
膜キャパシタを作製した。また、本発明との比較例2と
して、下部電極4および上部電極6をSrIrO3 膜で
構成する以外は、上記実施例4と同様にして、DRAM
用の薄膜キャパシタを作製した。
【0058】このようにして得た実施例4および比較例
2の各薄膜キャパシタから透過電子顕微鏡用の試料を作
製し、透過電子顕微鏡観察を行ったところ、実施例4に
おいては下部電極は高度にc軸配向した多結晶膜であ
り、またその上部の誘電体薄膜および上部電極も、その
結晶方位を引き継いだ局所エピタキシャル構造の界面を
有する高度な配向膜となっていた。そして、下部電極/
誘電体薄膜界面、ならびに誘電体薄膜/上部電極界面に
おける界面モフォロジーは良好で、最大ラフネスは 1nm
以下であった。
【0059】一方、比較例2では、下部電極は方位がラ
ンダムな多結晶膜であり、また誘電体薄膜および上部電
極は下部電極の方位を引き継いだいわゆる局所エピタキ
シャル構造をもった多結晶膜となっていた。そして、下
部電極/誘電体薄膜界面のモフォロジーが悪く、ラフネ
スは最大20nmに及ぶことが観測された。
【0060】また、実施例4および比較例2の各薄膜キ
ャパシタの電気特性を測定したところ、実施例4の薄膜
キャパシタでは誘電率 490、2.5V印加時のリーク電流密
度1×10-8A/cm2 以下の特性が得られ、またこの薄膜キ
ャパシタに 10VのDC電圧を印加しても誘電破壊は発生
しなかった。これに対して、比較例2においては、260
個の薄膜キャパシタのうち 90%が短絡により測定不可能
で、残りの薄膜キャパシタもリーク電流は2V印加時に 5
×10-7A となり、誘電率も 190と低く、さらにDC 10V
印加で 80%が1000秒以内に破壊する結果となった。
【0061】実施例5 実施例4と同様に、ポリシリコンで作製したプラグまで
完成しているSi基板上に、プラズマΤEOSで厚さ 1
00nmのSiO2 絶縁層を形成し、このSiO2絶縁層に
リソグラフィ工程でキャパシタトレンチを作製した。
【0062】次に、このキャパシタトレンチ内を含めて
SiO2 絶縁層上に、DCスパッタ法で中間層として厚
さ10nmのTiAlN膜および厚さ10nmのPt膜を順に堆
積した。次いで、ターゲットとしてSrIrO3 および
Sr2 IrO4 を用いた多元RFマグネトロンスパッタ
法で、下部電極としてSr3 Ir2 7 膜を20nm堆積し
後、CMPで表面を平坦化すると共にセル間を分離し
た。
【0063】上記した下部電極上に、同様なRFマグネ
トロンスパッタ法で誘電体薄膜としてBa0.2 Sr0.8
TiO3 膜を40nm、さらにその上に上部電極としてSr
3 Ir2 7 膜を 100nm堆積して、DRAM用の薄膜キ
ャパシタを作製した。
【0064】このようにして得た実施例5の薄膜キャパ
シタから透過電子顕微鏡用の試料を作製し、透過電子顕
微鏡観察を行ったところ、下部電極は高度にc軸配向し
た多結晶膜であり、その上部の誘電体薄膜および上部電
極も、その結晶方位を引き継いだ局所エピタキシャル構
造の界面を有する高度な配向膜となっていた。そして下
部電極/誘電体薄膜界面、ならびに誘電体薄膜/上部電
極界面における界面モフォロジーは良好で、最大ラフネ
スは 1nm以下であった。また、この薄膜キャパシタの電
気特性を測定したところ、誘電率は 480、2.5V印加時の
リーク電流密度は 1×10-8A/cm2 以下であり、またこの
薄膜キャパシタに 10VのDC電圧を印加しても誘電破壊
は発生しなかった。
【0065】実施例6 実施例4と同様に、ポリシリコンで作製したプラグまで
完成しているSi基板上に、プラズマΤEOSで厚さ 1
00nmのSiO2 絶縁層を形成し、このSiO2絶縁層に
リソグラフィ工程でキャパシタトレンチを作製した。
【0066】次に、このキャパシタトレンチ内を含めて
SiO2 絶縁層上に、DCスパッタ法で中間層として厚
さ10nmのTiAlN膜および厚さ10nmのPt膜を順に堆
積した。次いで、ターゲットとしてSrIrO3 および
Sr2 IrO4 を用いた多元RFマグネトロンスパッタ
法で、下部電極としてSr4 Ir3 10膜を20nm堆積し
後、CMPで表面を平坦化すると共にセル間を分離し
た。
【0067】上記した下部電極上に、同様なRFマグネ
トロンスパッタ法で誘電体薄膜としてBa0.2 Sr0.8
TiO3 膜を40nm、さらにその上に上部電極としてSr
4 Ir3 10膜を20nm堆積して、DRAM用の薄膜キャ
パシタを作製した。
【0068】このようにして得た実施例6の薄膜キャパ
シタから透過電子顕微鏡用の試料を作製し、透過電子顕
微鏡観察を行ったところ、下部電極は高度にc軸配向し
た多結晶膜であり、その上部の誘電体薄膜および上部電
極も、その結晶方位を引き継いだ局所エピタキシャル構
造の界面を有する高度な配向膜となっていた。そして下
部電極/誘電体薄膜界面、ならびに誘電体薄膜/上部電
極界面における界面モフォロジーは良好で、最大ラフネ
スは 1nm以下であった。また、この薄膜キャパシタの電
気特性を測定したところ、誘電率は 500、2.5V印加時の
リーク電流密度は 1×10-8A/cm2 以下であり、またこの
薄膜キャパシタに 10VのDC電圧を印加しても誘電破壊
は発生しなかった。
【0069】実施例7 まず図5に示したように、ポリシリコンで作製したプラ
グ2まで完成しているSi基板1上に、プラズマΤEO
Sで厚さ 100nmのSiO2 絶縁層8を形成し、このSi
2 絶縁層8にリソグラフィ工程でキャパシタトレンチ
9を作製した。次に、このキャパシタトレンチ9内を含
めてSiO2 絶縁層8上に、DCスパッタ法で中間層7
として厚さ10nmのTiAlN膜および厚さ10nmのPt膜
を順に堆積した。次いで、RFマグネトロンスパッタ法
で下部電極4としてSr2 RhO4 膜を20nm堆積し後、
CMPで表面を平坦化すると共にセル間を分離した。
【0070】上記した下部電極4上に、同様なRFマグ
ネトロンスパッタ法で誘電体薄膜5としてBa0.2 Sr
0.8 TiO3 膜を40nm、さらにその上に上部電極6とし
てSr2 RhO4 膜を 100nm堆積して、DRAM用の薄
膜キャパシタを作製した。また、本発明との比較例3と
して、下部電極4および上部電極6をSrRhO3 膜で
構成する以外は、上記実施例7と同様にして、DRAM
用の薄膜キャパシタを作製した。
【0071】このようにして得た実施例7および比較例
3の各薄膜キャパシタから透過電子顕微鏡用の試料を作
製し、透過電子顕微鏡観察を行ったところ、実施例7に
おいては下部電極は高度にc軸配向した多結晶膜であ
り、またその上部の誘電体薄膜および上部電極も、その
結晶方位を引き継いだ局所エピタキシャル構造の界面を
有する高度な配向膜となっていた。そして、下部電極/
誘電体薄膜界面、ならびに誘電体薄膜/上部電極界面に
おける界面モフォロジーは良好で、最大ラフネスは 1nm
以下であった。
【0072】一方、比較例3では下部電極は方位がラン
ダムな多結晶膜であり、また誘電体薄膜および上部電極
は下部電極の方位を引き継いだいわゆる局所エピタキシ
ャル構造をもった多結晶膜となっていた。そして、下部
電極/誘電体薄膜界面のモフォロジーが悪く、ラフネス
は最大20nmに及ぶことが観測された。
【0073】また、実施例7および比較例3の各薄膜キ
ャパシタの電気特性を測定したところ、実施例7の薄膜
キャパシタでは誘電率 490、2.5V印加時のリーク電流密
度1×10-8A/cm2 以下の特性が得られ、またこの薄膜キ
ャパシタに 10VのDC電圧を印加しても誘電破壊は発生
しなかった。これに対して、比較例3においては、260
個の薄膜キャパシタのうち 90%が短絡により測定不可能
で、残りの薄膜キャパシタもリーク電流は2V印加時に 5
×10-7A となり、誘電率も 190と低く、さらにDC10V
印加で 80%が1000秒以内に破壊する結果となった。
【0074】実施例8 実施例7と同様に、ポリシリコンで作製したプラグまで
完成しているSi基板上に、プラズマΤEOSで厚さ 1
00nmのSiO2 絶縁層を形成し、このSiO2絶縁層に
リソグラフィ工程でキャパシタトレンチを作製した。
【0075】次に、このキャパシタトレンチ内を含めて
SiO2 絶縁層上に、DCスパッタ法で中間層として厚
さ10nmのTiAlN膜および厚さ10nmのPt膜を順に堆
積した。次いで、ターゲットとしてSrRhO3 および
Sr2 RhO4 を用いた多元RFマグネトロンスパッタ
法で、下部電極としてSr3 Rh2 7 膜を20nm堆積し
後、CMPで表面を平坦化すると共にセル間を分離し
た。
【0076】上記した下部電極上に、同様なRFマグネ
トロンスパッタ法で誘電体薄膜としてBa0.2 Sr0.8
TiO3 膜を40nm、さらにその上に上部電極としてSr
3 Rh2 7 膜を 100nm堆積して、DRAM用の薄膜キ
ャパシタを作製した。
【0077】このようにして得た実施例8の薄膜キャパ
シタから透過電子顕微鏡用の試料を作製し、透過電子顕
微鏡観察を行ったところ、下部電極は高度にc軸配向し
た多結晶膜であり、その上部の誘電体薄膜および上部電
極も、その結晶方位を引き継いだ局所エピタキシャル構
造の界面を有する高度な配向膜となっていた。そして下
部電極/誘電体薄膜界面、ならびに誘電体薄膜/上部電
極界面における界面モフォロジーは良好で、最大ラフネ
スは 1nm以下であった。また、この薄膜キャパシタの電
気特性を測定したところ、誘電率は 480、2.5V印加時の
リーク電流密度は 1×10-8A/cm2 以下であり、またこの
薄膜キャパシタに 10VのDC電圧を印加しても誘電破壊
は発生しなかった。
【0078】実施例9 実施例7と同様に、ポリシリコンで作製したプラグまで
完成しているSi基板上に、プラズマΤEOSで厚さ 1
00nmのSiO2 絶縁層を形成し、このSiO2絶縁層に
リソグラフィ工程でキャパシタトレンチを作製した。
【0079】次に、このキャパシタトレンチ内を含めて
SiO2 絶縁層上に、DCスパッタ法で中間層として厚
さ10nmのTiAlN膜および厚さ10nmのPt膜を順に堆
積した。次いで、ターゲットとしてSrRhO3 および
Sr2 RhO4 を用いた多元RFマグネトロンスパッタ
法で、下部電極としてSr4 Rh3 10膜を20nm堆積し
後、CMPで表面を平坦化すると共にセル間を分離し
た。
【0080】上記した下部電極上に、同様なRFマグネ
トロンスパッタ法で誘電体薄膜としてBa0.2 Sr0.8
TiO3 膜を40nm、さらにその上に上部電極としてSr
4 Rh3 10膜を20nm堆積して、DRAM用の薄膜キャ
パシタを作製した。
【0081】このようにして得た実施例9の薄膜キャパ
シタから透過電子顕微鏡用の試料を作製し、透過電子顕
微鏡観察を行ったところ、下部電極は高度にc軸配向し
た多結晶膜であり、その上部の誘電体薄膜および上部電
極も、その結晶方位を引き継いだ局所エピタキシャル構
造の界面を有する高度な配向膜となっていた。そして下
部電極/誘電体薄膜界面、ならびに誘電体薄膜/上部電
極界面における界面モフォロジーは良好で、最大ラフネ
スは 1nm以下であった。また、この薄膜キャパシタの電
気特性を測定したところ、誘電率は 500、2.5V印加時の
リーク電流密度は 1×10-8A/cm2 以下であり、またこの
薄膜キャパシタに 10VのDC電圧を印加しても誘電破壊
は発生しなかった。
【0082】実施例10 まず図5に示したように、ポリシリコンで作製したプラ
グ2まで完成しているSi基板1上に、プラズマΤEO
Sで厚さ 100nmのSiO2 絶縁層8を形成し、このSi
2 絶縁層8にリソグラフィ工程でキャパシタトレンチ
9を作製した。次に、このキャパシタトレンチ9内を含
めてSiO2 絶縁層8上に、DCスパッタ法で中間層7
として厚さ10nmのTiAlN膜および厚さ10nmのPt膜
を順に堆積した。次いで、RFマグネトロンスパッタ法
で下部電極4として、厚さ10nmのSr2 RuO4 膜およ
び厚さ10nmのSrRuO3 膜を、この順に積層形成した
後、CMPで表面を平坦化すると共にセル間を分離し
た。
【0083】上記した積層膜構造の下部電極4上に、同
様なRFマグネトロンスパッタ法で誘電体薄膜5として
Ba0.2 Sr0.8 TiO3 膜を40nm、さらにその上に上
部電極6としてSrRuO3 膜を 100nm堆積して、DR
AM用の薄膜キャパシタを作製した。
【0084】このようにして得た実施例10の薄膜キャ
パシタから透過電子顕微鏡用の試料を作製し、透過電子
顕微鏡観察を行ったところ、下部電極のうちSr2 Ru
4膜は高度にc軸配向した多結晶膜であり、その上部
のSrRuO3 膜、ならびに誘電体薄膜および上部電極
も、その結晶方位を引き継いだ局所エピタキシャル構造
の界面を有する高度な配向膜となっていた。そして、下
部電極/誘電体薄膜界面、ならびに誘電体薄膜/上部電
極界面における界面モフォロジーは良好で、最大ラフネ
スは 1nm以下であった。また、この薄膜キャパシタの電
気特性を測定したところ、誘電率は 480、2.5V印加時の
リーク電流密度は 1×10-8A/cm2 以下であり、またこの
薄膜キャパシタに 10VのDC電圧を印加しても誘電破壊
は発生しなかった。
【0085】実施例11 まず、図4に示したように、ポリシリコンで作製したプ
ラグ2まで完成しているSi基板1上に、DCスパッタ
法で中間層7として厚さ10nmのTiAlN膜および厚さ
10nmのPt膜を順に堆積した。次いで、RFマグネトロ
ンスパッタ法で下部電極4としてSr2 RuO4 膜を20
nm堆積した後、エッチングによりセル間を分離した。
【0086】次に、上記した下部電極4上に、同様なR
Fマグネトロンスパッタ法で誘電体薄膜5としてBa
0.5 Sr0.5 TiO3 膜を40nm、さらにその上に上部電
極6としてSr2 RuO4 膜を 100nm堆積して、FRA
M用の薄膜キャパシタを作製した。
【0087】また、本発明との比較例4として、下部電
極4および上部電極6をSrRuO3 膜で構成する以外
は、上記実施例11と同様にして、FRAM用の薄膜キ
ャパシタを作製した。
【0088】このようにして得た実施例11および比較
例4の各薄膜キャパシタから透過電子顕微鏡用の試料を
作製し、透過電子顕微鏡観察を行ったところ、実施例1
1においては下部電極は高度にc軸配向した多結晶膜で
あり、またその上部の誘電体薄膜および上部電極はその
結晶方位を引き継いだ、いわゆる局所エピタキシャル構
造を持つ高度な配向膜となっていた。また、この試料の
誘電体薄膜の格子定数を調べたところ、Ba0.5 Sr
0.5 TiO3 膜の基板面に垂直方向の格子定数(以下、
c軸長と呼ぶ)が 0.410nmと、通常の多結晶膜で得られ
るc軸長 0.401nmに比べて大きく伸張していることが判
明した。
【0089】また、実施例11および比較例4の各薄膜
キャパシタの電気特性を測定したところ、実施例11の
薄膜キャパシタでは強誘電性が観測され、残留分極 0.3
5C/m2 、抗電界3.2Vの良好な特性を有していた。これに
対して、比較例4の薄膜キャパシタにおいては、僅かな
強誘電性の発現が見られたものの、ヒステリシスの角型
比が悪く、残留分極も 0.05C/m2 と小さい値しか示さな
かった。
【0090】実施例12 実施例11と同様に、ポリシリコンで作製したプラグま
で完成しているSi基板上に、DCスパッタ法で中間層
として厚さ10nmのTiAlN膜および厚さ10nmのPt膜
を順に堆積した。次いで、RFマグネトロンスパッタ法
で下部電極としてSr3 Ru2 7 膜を20nm堆積した
後、エッチングによりセル間を分離した。次に、上記し
た下部電極上に同様なRFマグネトロンスパッタ法で誘
電体薄膜としてBa0.5 Sr0.5 TiO3 膜を50nm、さ
らにその上に上部電極としてSr3 Ru2 7 膜を 100
nm堆積して、FRAM用の薄膜キャパシタを作製した。
【0091】このようにして得た実施例12の薄膜キャ
パシタから透過電子顕微鏡用の試料を作製し、透過電子
顕微鏡観察を行ったところ、下部電極は高度にc軸配向
した多結晶膜であり、またその上部の誘電体薄膜および
上部電極はその結晶方位を引き継いだ、いわゆる局所エ
ピタキシャル構造を持つ高度な配向膜となっていた。ま
た、この試料の誘電体薄膜の格子定数を調べたところ、
Ba0.5 Sr0.5 TiO3 膜の基板面に垂直方向の格子
定数(c軸長)が 0.410nmと、通常の多結晶膜で得られ
るc軸長 0.401nmに比べて大きく伸張していることが判
明した。さらに、この薄膜キャパシタの電気特性を測定
したところ、強誘電性が観測され、残留分極 0.35C/
m2 、抗電界3.2Vの良好な特性を有していた。
【0092】実施例13 実施例11と同様に、ポリシリコンで作製したプラグま
で完成しているSi基板上に、DCスパッタ法で中間層
として厚さ10nmのTiAlN膜および厚さ10nmのPt膜
を順に堆積した。次いで、RFマグネトロンスパッタ法
で下部電極としてSr4 Ru3 10膜を20nm堆積した
後、エッチングによりセル間を分離した。次に、上記し
た下部電極上に同様なRFマグネトロンスパッタ法で誘
電体薄膜としてBa0.5 Sr0.5 TiO3 膜を50nm、さ
らにその上に上部電極としてSr4 Ru3 10膜を 100
nm堆積して、FRAM用の薄膜キャパシタを作製した。
【0093】このようにして得た実施例13の薄膜キャ
パシタから透過電子顕微鏡用の試料を作製し、透過電子
顕微鏡観察を行ったところ、下部電極は高度にc軸配向
した多結晶膜であり、またその上部の誘電体薄膜および
上部電極はその結晶方位を引き継いだ、いわゆる局所エ
ピタキシャル構造を持つ高度な配向膜となっていた。ま
た、この試料の誘電体薄膜の格子定数を調べたところ、
Ba0.5 Sr0.5 TiO3 膜の基板面に垂直方向の格子
定数(c軸長)が 0.410nmと、通常の多結晶膜で得られ
るc軸長 0.401nmに比べて大きく伸張していることが判
明した。さらに、この薄膜キャパシタの電気特性を測定
したところ、強誘電性が観測され、残留分極 0.35C/
m2 、抗電界3.2Vの良好な特性を有していた。
【0094】実施例14 まず、図4に示したように、ポリシリコンで作製したプ
ラグ2まで完成しているSi基板1上に、DCスパッタ
法で中間層7として厚さ10nmのTiAlN膜および厚さ
10nmのPt膜を順に堆積した。次いで、RFマグネトロ
ンスパッタ法で下部電極4としてSr2 IrO4 膜を20
nm堆積した後、エッチングによりセル間を分離した。
【0095】次に、上記した下部電極4上に、同様なR
Fマグネトロンスパッタ法で誘電体薄膜5としてBa
0.5 Sr0.5 TiO3 膜を50nm、さらにその上に上部電
極6としてSr2 IrO4 膜を 100nm堆積して、FRA
M用の薄膜キャパシタを作製した。
【0096】このようにして得た実施例14の薄膜キャ
パシタから透過電子顕微鏡用の試料を作製し、透過電子
顕微鏡観察を行ったところ、下部電極は高度にc軸配向
した多結晶膜であり、またその上部の誘電体薄膜および
上部電極はその結晶方位を引き継いだ、いわゆる局所エ
ピタキシャル構造を持つ高度な配向膜となっていた。ま
た、この試料の誘電体薄膜の格子定数を調べたところ、
Ba0.5 Sr0.5 TiO3 膜の基板面に垂直方向の格子
定数(c軸長)が 0.412nmと、通常の多結晶膜で得られ
るc軸長 0.401nmに比べて大きく伸張していることが判
明した。さらに、この薄膜キャパシタの電気特性を測定
したところ、強誘電性が観測され、残留分極 0.34C/
m2 、抗電界3.1Vの良好な特性を有していた。
【0097】実施例15 実施例14と同様に、ポリシリコンで作製したプラグま
で完成しているSi基板上に、DCスパッタ法で中間層
として厚さ10nmのTiAlN膜および厚さ10nmのPt膜
を順に堆積した。次いで、RFマグネトロンスパッタ法
で下部電極としてSr3 Ir2 7 膜を20nm堆積した
後、エッチングによりセル間を分離した。次に、上記し
た下部電極上に同様なRFマグネトロンスパッタ法で誘
電体薄膜としてBa0.5 Sr0.5 TiO3 膜を50nm、さ
らにその上に上部電極としてSr3 Ir2 7 膜を 100
nm堆積して、FRAM用の薄膜キャパシタを作製した。
【0098】このようにして得た実施例15の薄膜キャ
パシタから透過電子顕微鏡用の試料を作製し、透過電子
顕微鏡観察を行ったところ、下部電極は高度にc軸配向
した多結晶膜であり、またその上部の誘電体薄膜および
上部電極はその結晶方位を引き継いだ、いわゆる局所エ
ピタキシャル構造を持つ高度な配向膜となっていた。ま
た、この試料の誘電体薄膜の格子定数を調べたところ、
Ba0.5 Sr0.5 TiO3 膜の基板面に垂直方向の格子
定数(c軸長)が 0.412nmと、通常の多結晶膜で得られ
るc軸長 0.401nmに比べて大きく伸張していることが判
明した。さらに、この薄膜キャパシタの電気特性を測定
したところ、強誘電性が観測され、残留分極 0.30C/
m2 、抗電界3.2Vの良好な特性を有していた。
【0099】実施例16 実施例14と同様に、ポリシリコンで作製したプラグま
で完成しているSi基板上に、DCスパッタ法で中間層
として厚さ10nmのTiAlN膜および厚さ10nmのPt膜
を順に堆積した。次いで、RFマグネトロンスパッタ法
で下部電極としてSr4 Ir3 10膜を20nm堆積した
後、エッチングによりセル間を分離した。次に、上記し
た下部電極上に同様なRFマグネトロンスパッタ法で誘
電体薄膜としてBa0.5 Sr0.5 TiO3 膜を50nm、さ
らにその上に上部電極としてSr4 Ir3 10膜を 100
nm堆積して、FRAM用の薄膜キャパシタを作製した。
【0100】このようにして得た実施例16の薄膜キャ
パシタから透過電子顕微鏡用の試料を作製し、透過電子
顕微鏡観察を行ったところ、下部電極は高度にc軸配向
した多結晶膜であり、またその上部の誘電体薄膜および
上部電極はその結晶方位を引き継いだ、いわゆる局所エ
ピタキシャル構造を持つ高度な配向膜となっていた。ま
た、この試料の誘電体薄膜の格子定数を調べたところ、
Ba0.5 Sr0.5 TiO3 膜の基板面に垂直方向の格子
定数(c軸長)が 0.412nmと、通常の多結晶膜で得られ
るc軸長 0.401nmに比べて大きく伸張していることが判
明した。さらに、この薄膜キャパシタの電気特性を測定
したところ、強誘電性が観測され、残留分極 0.30C/
m2 、抗電界3.2Vの良好な特性を有していた。
【0101】実施例17 まず、図4に示したように、ポリシリコンで作製したプ
ラグ2まで完成しているSi基板1上に、DCスパッタ
法で中間層7として厚さ10nmのTiAlN膜および厚さ
10nmのPt膜を順に堆積した。次いで、RFマグネトロ
ンスパッタ法で下部電極4としてSr2 RhO4 膜を20
nm堆積した後、エッチングによりセル間を分離した。
【0102】次に、上記した下部電極4上に、同様なR
Fマグネトロンスパッタ法で誘電体薄膜5としてBa
0.5 Sr0.5 TiO3 膜を50nm、さらにその上に上部電
極6としてSr2 RhO4 膜を 100nm堆積して、FRA
M用の薄膜キャパシタを作製した。
【0103】このようにして得た実施例17の薄膜キャ
パシタから透過電子顕微鏡用の試料を作製し、透過電子
顕微鏡観察を行ったところ、下部電極は高度にc軸配向
した多結晶膜であり、またその上部の誘電体薄膜および
上部電極はその結晶方位を引き継いだ、いわゆる局所エ
ピタキシャル構造を持つ高度な配向膜となっていた。ま
た、この試料の誘電体薄膜の格子定数を調べたところ、
Ba0.5 Sr0.5 TiO3 膜の基板面に垂直方向の格子
定数(c軸長)が 0.410nmと、通常の多結晶膜で得られ
るc軸長 0.401nmに比べて大きく伸張していることが判
明した。さらに、この薄膜キャパシタの電気特性を測定
したところ、強誘電性が観測され、残留分極 0.35C/
m2 、抗電界3.2Vの良好な特性を有していた。
【0104】実施例18 実施例17と同様に、ポリシリコンで作製したプラグま
で完成しているSi基板上に、DCスパッタ法で中間層
として厚さ10nmのTiAlN膜および厚さ10nmのPt膜
を順に堆積した。次いで、RFマグネトロンスパッタ法
で下部電極としてSr3 Rh2 7 膜を20nm堆積した
後、エッチングによりセル間を分離した。次に、上記し
た下部電極上に同様なRFマグネトロンスパッタ法で誘
電体薄膜としてBa0.5 Sr0.5 TiO3 膜を50nm、さ
らにその上に上部電極としてSr3 Rh2 7 膜を 100
nm堆積して、FRAM用の薄膜キャパシタを作製した。
【0105】このようにして得た実施例18の薄膜キャ
パシタから透過電子顕微鏡用の試料を作製し、透過電子
顕微鏡観察を行ったところ、下部電極は高度にc軸配向
した多結晶膜であり、またその上部の誘電体薄膜および
上部電極はその結晶方位を引き継いだ、いわゆる局所エ
ピタキシャル構造を持つ高度な配向膜となっていた。ま
た、この試料の誘電体薄膜の格子定数を調べたところ、
Ba0.5 Sr0.5 TiO3 膜の基板面に垂直方向の格子
定数(c軸長)が 0.412nmと、通常の多結晶膜で得られ
るc軸長 0.401nmに比べて大きく伸張していることが判
明した。さらに、この薄膜キャパシタの電気特性を測定
したところ、強誘電性が観測され、残留分極 0.30C/
m2 、抗電界3.2Vの良好な特性を有していた。
【0106】実施例19 実施例17と同様に、ポリシリコンで作製したプラグま
で完成しているSi基板上に、DCスパッタ法で中間層
として厚さ10nmのTiAlN膜および厚さ10nmのPt膜
を順に堆積した。次いで、RFマグネトロンスパッタ法
で下部電極としてSr4 Rh3 10膜を20nm堆積した
後、エッチングによりセル間を分離した。次に、上記し
た下部電極上に同様なRFマグネトロンスパッタ法で誘
電体薄膜としてBa0.5 Sr0.5 TiO3 膜を50nm、さ
らにその上に上部電極としてSr4 Rh3 10膜を 100
nm堆積して、FRAM用の薄膜キャパシタを作製した。
【0107】このようにして得た実施例19の薄膜キャ
パシタから透過電子顕微鏡用の試料を作製し、透過電子
顕微鏡観察を行ったところ、下部電極は高度にc軸配向
した多結晶膜であり、またその上部の誘電体薄膜および
上部電極はその結晶方位を引き継いだ、いわゆる局所エ
ピタキシャル構造を持つ高度な配向膜となっていた。ま
た、この試料の誘電体薄膜の格子定数を調べたところ、
Ba0.5 Sr0.5 TiO3 膜の基板面に垂直方向の格子
定数(c軸長)が 0.412nmと、通常の多結晶膜で得られ
るc軸長 0.401nmに比べて大きく伸張していることが判
明した。さらに、この薄膜キャパシタの電気特性を測定
したところ、強誘電性が観測され、残留分極 0.30C/
m2 、抗電界3.2Vの良好な特性を有していた。
【0108】実施例20 まず、図4に示したように、ポリシリコンで作製したプ
ラグ2まで完成しているSi基板1上に、DCスパッタ
法で中間層7として厚さ10nmのTiAlN膜および厚さ
10nmのPt膜を順に堆積した。次いで、RFマグネトロ
ンスパッタ法で下部電極4として、厚さ10nmのSr2
uO4 膜および厚さ20nmのSrRuO3膜を、この順に
積層形成した後、エッチングによりセル間を分離した。
【0109】次に、上記した下部電極上に、同様なRF
マグネトロンスパッタ法で誘電体薄膜としてBa0.5
0.5 TiO3 膜を50nm、さらにその上に上部電極とし
てSrRuO3 膜を 100nm堆積して、FRAM用の薄膜
キャパシタを作製した。このようにして得た実施例20
の薄膜キャパシタから透過電子顕微鏡用の試料を作製
し、透過電子顕微鏡観察を行ったところ、下部電極のう
ちSr2 RuO4膜は高度にc軸配向した多結晶膜であ
り、その上部のSrRuO3 膜ならびに誘電体薄膜、上
部電極はその結晶方位を引き継いだ、いわゆる局所エピ
タキシャル構造を持つ高度な配向膜となっていた。
【0110】また、この試料の誘電体薄膜の格子定数を
調べたところ、Ba0.5 Sr0.5 TiO3 膜の基板面に
垂直方向の格子定数(c軸長)が 0.410nmと、通常の多
結晶膜で得られるc軸長 0.401nmに比べて大きく伸張し
ていることが判明した。さらに、この薄膜キャパシタの
電気特性を測定したところ、強誘電性が観測され、残留
分極 0.35C/m2 、抗電界3.2Vの良好な特性を有してい
た。
【0111】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の薄膜誘電
体素子によれば、導電性ペロブスカイト型酸化物の多結
晶膜を用いた下部電極の表面平滑性を大幅に向上させる
ことが可能であるため、電極/誘電体薄膜界面のモフォ
ロジーの悪化を抑えることができる。従って、実際のL
SI回路等への適合を図った上で、リーク電流の増大や
キャパシタショートの発生等を抑制することが可能とな
る。また、ペロブスカイト型酸化物からなる誘電体薄膜
の組成を選択することにより、高度に配向した面内格子
定数のミスマッチに基く歪誘起強誘電性を有効に利用す
ることができる。この場合には、例えば優れた特性を有
するFRAM用薄膜誘電体素子を提供することが可能と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の薄膜誘電体素子の一実施形態の構成
を示す断面図である。
【図2】 図1に示す薄膜誘電体素子における下部電極
の他の構成例を示す断面図である。
【図3】 図1に示す薄膜誘電体素子における下部電極
のさらに他の構成例を示す断面図である。
【図4】 図1に示す実施形態の他の構造例を示す断面
図である。
【図5】 図1に示す実施形態のさらに他の構造例を示
す断面図である。
【符号の説明】
1……基板 2……プラグ 3……薄膜誘電体素子 4……下部電極 5……誘電体薄膜 6……上部電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 27/105 H01L 21/822 H01L 21/8242 H01L 27/04 H01L 27/108 JICSTファイル(JOIS)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に順に積層された下部電極、Sr
    TiO 3 、Ba 1-x Sr x TiO 3 、Pb(Zr,Ti)O
    3 および(Pb,La)(Zr,Ti)O 3 から選ばれる
    ペロブスカイト型酸化物からなる誘電体薄膜および上
    部電極を具備する薄膜誘電体素子において、 前記下部電極は、Ru、Ir、Rh、Cr、Mn、Ni
    およびCoから選ばれる少なくとも1種の遷移金属を含
    有する導電性を有する層状ペロブスカイト型酸化物の多
    結晶膜を少なくとも有することを特徴とする薄膜誘電体
    素子。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の薄膜誘電体素子におい
    て、 前記層状ペロブスカイト型酸化物は、 一般式:AEn+1TMn3n+1 (式中、AEはSr、BaおよびCaから選ばれる少な
    くとも1種を、TMはRu、IrおよびRhから選ばれ
    る少なくとも1種の遷移金属元素を示し、nは1、2または
    3である) で実質的に表される組成を有することを特徴とする薄膜
    誘電体素子。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の薄膜誘電体素子におい
    て、 前記層状ペロブスカイト型酸化物は、Sr2RuO4、S
    3Ru27およびSr4Ru310から選ばれる少なく
    とも1種からなることを特徴とする薄膜誘電体素子。
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