JP3135210B2 - 構造物表面の養生方法 - Google Patents
構造物表面の養生方法Info
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- JP3135210B2 JP3135210B2 JP08058042A JP5804296A JP3135210B2 JP 3135210 B2 JP3135210 B2 JP 3135210B2 JP 08058042 A JP08058042 A JP 08058042A JP 5804296 A JP5804296 A JP 5804296A JP 3135210 B2 JP3135210 B2 JP 3135210B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は構造物表面の養生方法に
関し、とくに皮膜形成用ポリマー溶液の塗布により構造
物表面に剥離可能な皮膜を形成して該表面を養生する方
法に関する。
関し、とくに皮膜形成用ポリマー溶液の塗布により構造
物表面に剥離可能な皮膜を形成して該表面を養生する方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】構造物の建築工事や改築工事等におい
て、構造物の既に仕上げた又は既存の外側表面及び内側
表面(以下、単に構造物表面という。)を、工事中の損
傷や汚れ物質の付着等から保護すること(以下、養生と
いうことがある。)が必要となる。従来の構造物表面の
養生方法として、塩化ビニール製の保護フィルムを構造
物表面に接着剤や熱処理で接着して当該表面を養生する
方法が実施されている。しかしこの方法は構造物表面の
養生対象域の形状に合わせて保護フィルムを裁断して接
着する必要があり、養生対象域が大面積である場合又は
複雑な形状である場合に適用が難しい問題点がある。
て、構造物の既に仕上げた又は既存の外側表面及び内側
表面(以下、単に構造物表面という。)を、工事中の損
傷や汚れ物質の付着等から保護すること(以下、養生と
いうことがある。)が必要となる。従来の構造物表面の
養生方法として、塩化ビニール製の保護フィルムを構造
物表面に接着剤や熱処理で接着して当該表面を養生する
方法が実施されている。しかしこの方法は構造物表面の
養生対象域の形状に合わせて保護フィルムを裁断して接
着する必要があり、養生対象域が大面積である場合又は
複雑な形状である場合に適用が難しい問題点がある。
【0003】本発明者は、前記従来の保護フィルムの問
題点を解決するため、付着膜形成ポリマー溶液の塗布に
よる構造物表面の養生方法を開発し、特願平7-002820号
に構造物の順次仕上面保護方法として開示した。この保
護方法を図3を参照して簡単に説明すると、部分毎に順
次仕上げる構造物の各部分の仕上げ時に、剥離可能な付
着膜形成ポリマー2aを溶媒9に溶解したポリマー溶液5a
を当該部分の仕上面10a、10b、10cに薄膜6aとして塗布
し、溶媒9の蒸発により薄膜6aを付着膜7aとして当該部
分の仕上面10a、10b、10cに剥離可能に付着させ、構造
物全体の仕上り後に付着膜7aを全ての部分から剥離する
ものである。付着膜形成ポリマー2aは例えばポリビニル
アルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリ塩化ビ
ニル、アクリル樹脂、及びポリビニルブチラールからな
る群のうちから選択した1以上のポリマーとすることが
でき、溶媒9は水又は有機溶媒とすることができる。
題点を解決するため、付着膜形成ポリマー溶液の塗布に
よる構造物表面の養生方法を開発し、特願平7-002820号
に構造物の順次仕上面保護方法として開示した。この保
護方法を図3を参照して簡単に説明すると、部分毎に順
次仕上げる構造物の各部分の仕上げ時に、剥離可能な付
着膜形成ポリマー2aを溶媒9に溶解したポリマー溶液5a
を当該部分の仕上面10a、10b、10cに薄膜6aとして塗布
し、溶媒9の蒸発により薄膜6aを付着膜7aとして当該部
分の仕上面10a、10b、10cに剥離可能に付着させ、構造
物全体の仕上り後に付着膜7aを全ての部分から剥離する
ものである。付着膜形成ポリマー2aは例えばポリビニル
アルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリ塩化ビ
ニル、アクリル樹脂、及びポリビニルブチラールからな
る群のうちから選択した1以上のポリマーとすることが
でき、溶媒9は水又は有機溶媒とすることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし図3の順次仕上
面保護方法においてポリマー溶液5aの溶媒9を有機溶媒
とすると、構造物表面への塗布作業時に有害ガスや悪臭
の発生のおそれ、引火の危険性などについて安全確認が
不可欠となり、また特殊な設備や塗装技術などの専門的
な知識が必要となる。更に構造物表面から剥離した後の
使用済み付着膜7aの処分に際し、例えば焼却時に有害ガ
スが発生するので特別な処分方法が必要となる場合もあ
る。要するにポリマー溶液5aの溶媒9として有機溶媒を
使用すると、取り扱いが面倒になる問題点がある。
面保護方法においてポリマー溶液5aの溶媒9を有機溶媒
とすると、構造物表面への塗布作業時に有害ガスや悪臭
の発生のおそれ、引火の危険性などについて安全確認が
不可欠となり、また特殊な設備や塗装技術などの専門的
な知識が必要となる。更に構造物表面から剥離した後の
使用済み付着膜7aの処分に際し、例えば焼却時に有害ガ
スが発生するので特別な処分方法が必要となる場合もあ
る。要するにポリマー溶液5aの溶媒9として有機溶媒を
使用すると、取り扱いが面倒になる問題点がある。
【0005】他方、図3のポリマー溶液5aの溶媒9を水
とする場合は、有機溶媒のような面倒な取り扱いを必要
としない利点がある。しかし水溶性ポリマーのみの水溶
液からなるポリマー溶液5aで形成した付着膜7aは固くて
脆く、構造物表面から剥離しにくい問題点がある。例え
ばポリビニルアルコールのみの水溶液からなるポリマー
溶液5aで形成した付着膜7aは、剥離のため力を加えると
容易に破断し、構造物表面からの剥離に手間がかかる。
とする場合は、有機溶媒のような面倒な取り扱いを必要
としない利点がある。しかし水溶性ポリマーのみの水溶
液からなるポリマー溶液5aで形成した付着膜7aは固くて
脆く、構造物表面から剥離しにくい問題点がある。例え
ばポリビニルアルコールのみの水溶液からなるポリマー
溶液5aで形成した付着膜7aは、剥離のため力を加えると
容易に破断し、構造物表面からの剥離に手間がかかる。
【0006】そこで本発明の目的は、柔らかく剥がしや
すい水溶液ポリマー皮膜を用いた構造物表面の養生方法
を提供するにある。
すい水溶液ポリマー皮膜を用いた構造物表面の養生方法
を提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】図1の実施例を参照する
に、本発明の構造物表面の養生方法は、構造物表面1の
養生対象域に、5〜20重量%の皮膜形成用ポリマー2と
該ポリマーに対し0.5〜15重量%の可塑剤3とが水4に
溶解した塗布液5を薄膜6として塗布し、塗布液5の乾
燥により構造物表面1に剥離可能な透明皮膜7を形成し
て該表面1を養生し、養生期間経過後に透明皮膜7を構
造物表面1から引き剥がしてなるものである。
に、本発明の構造物表面の養生方法は、構造物表面1の
養生対象域に、5〜20重量%の皮膜形成用ポリマー2と
該ポリマーに対し0.5〜15重量%の可塑剤3とが水4に
溶解した塗布液5を薄膜6として塗布し、塗布液5の乾
燥により構造物表面1に剥離可能な透明皮膜7を形成し
て該表面1を養生し、養生期間経過後に透明皮膜7を構
造物表面1から引き剥がしてなるものである。
【0008】また本発明の構造物表面1の養生用塗布液
5は、水に対し5〜20重量%の皮膜形成用ポリマーと該
ポリマーに対し0.5〜15重量%の可塑剤とを溶解させて
なり、構造物表面に薄膜として塗布でき且つ水の蒸発時
に該表面から引き剥がし可能な透明皮膜が形成できるも
のである。好ましくは、5〜20重量%のポリビニルアル
コールと該ポリビニルアルコールに対し0.5〜15重量%
のグリセンリン及び/又はプロピレングリコールとを水
に溶解してなるものとする。ポリビニルアルコールは重
合度500〜5000、好ましくは1000〜3000とし、ケン化度
が90〜99モル%のものとすることができる。
5は、水に対し5〜20重量%の皮膜形成用ポリマーと該
ポリマーに対し0.5〜15重量%の可塑剤とを溶解させて
なり、構造物表面に薄膜として塗布でき且つ水の蒸発時
に該表面から引き剥がし可能な透明皮膜が形成できるも
のである。好ましくは、5〜20重量%のポリビニルアル
コールと該ポリビニルアルコールに対し0.5〜15重量%
のグリセンリン及び/又はプロピレングリコールとを水
に溶解してなるものとする。ポリビニルアルコールは重
合度500〜5000、好ましくは1000〜3000とし、ケン化度
が90〜99モル%のものとすることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の塗布液5の皮膜形成用ポ
リマー2は、水溶性であり且つその水溶液を乾燥して構
造物表面に均一な薄膜を形成できるポリマーであって、
ポリビニルアルコール(以下、PVAと表すことがあ
る。)、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアセ
テートなどから選ばれる一種又は二種以上の物質であっ
て、特に好ましくはPVAである。また可塑剤3は、水
溶性であり且つ皮膜形成用ポリマーとの相溶性がよく皮
膜形成用ポリマーの皮膜に可変性を与えられる物質が用
いられる。例えばグリセリン、プロピレングリコール、
エチレングリコール、ポリエチレングリコールから選ば
れる一種又は二種以上の物質であり、特に好ましくはプ
ロピレングリコール及び/又はグリセリンである。
リマー2は、水溶性であり且つその水溶液を乾燥して構
造物表面に均一な薄膜を形成できるポリマーであって、
ポリビニルアルコール(以下、PVAと表すことがあ
る。)、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアセ
テートなどから選ばれる一種又は二種以上の物質であっ
て、特に好ましくはPVAである。また可塑剤3は、水
溶性であり且つ皮膜形成用ポリマーとの相溶性がよく皮
膜形成用ポリマーの皮膜に可変性を与えられる物質が用
いられる。例えばグリセリン、プロピレングリコール、
エチレングリコール、ポリエチレングリコールから選ば
れる一種又は二種以上の物質であり、特に好ましくはプ
ロピレングリコール及び/又はグリセリンである。
【0010】PVAは化粧品の材料等として使用される
水溶性ポリマーであり、グリセリン及びプロピレングリ
コールも化粧品の材料等として使用され且つ可塑剤とし
て皮膜7の軟らかさの増大作用を有するものである。た
だし本発明の塗布液5に用いる皮膜形成用ポリマー2は
PVAに限定されず、水4への溶解時に構造物表面1に
薄膜6として塗布でき且つ水4の蒸発時に剥離可能な皮
膜7が形成できる水溶性ポリマーであれば足りる。また
可塑剤3もグリセリン又はプロピレングリコールに限定
されず、適当な他の可塑剤を選択することができる。
水溶性ポリマーであり、グリセリン及びプロピレングリ
コールも化粧品の材料等として使用され且つ可塑剤とし
て皮膜7の軟らかさの増大作用を有するものである。た
だし本発明の塗布液5に用いる皮膜形成用ポリマー2は
PVAに限定されず、水4への溶解時に構造物表面1に
薄膜6として塗布でき且つ水4の蒸発時に剥離可能な皮
膜7が形成できる水溶性ポリマーであれば足りる。また
可塑剤3もグリセリン又はプロピレングリコールに限定
されず、適当な他の可塑剤を選択することができる。
【0011】塗布液5中の皮膜形成ポリマー2の濃度
は、構造物表面1の材質や周囲の環境条件などに応じて
調整可能であるが、5〜20重量%とすることが好まし
い。5重量%以下では皮膜7が形成されないおそれがあ
り、20重量%以上では構造物表面1への薄膜6としての
塗布が難しくなる。また本発明者は、塗布液5中の可塑
剤3の濃度を皮膜形成用ポリマー2に対して0.5〜15重
量%とすることが好ましいことを実験的に見出した。
は、構造物表面1の材質や周囲の環境条件などに応じて
調整可能であるが、5〜20重量%とすることが好まし
い。5重量%以下では皮膜7が形成されないおそれがあ
り、20重量%以上では構造物表面1への薄膜6としての
塗布が難しくなる。また本発明者は、塗布液5中の可塑
剤3の濃度を皮膜形成用ポリマー2に対して0.5〜15重
量%とすることが好ましいことを実験的に見出した。
【0012】図1(A)の実施例を参照するに、塗布液5
は刷毛塗り、ローラ塗り、吹き付け、しぼり出し等の塗
布方法で構造物表面1の養生対象域に塗布することがで
き、塗布方法に応じて塗布液5の濃度を調整することが
できる。図1(B)は、塗布液5を薄膜6として塗布した
構造物表面1の養生対象域を示す。薄膜6中に含まれる
水分は、自然乾燥では数時間後に、また40〜60゜Cの温風
乾燥では5〜10分後に蒸発し、図1(C)に示すように構
造物表面1に付着した皮膜7が形成される。皮膜7は養
生期間中は構造物表面1に付着し、養生対象域を汚れ物
質8の付着や損傷から保護する。また本発明の塗布液5
から形成された皮膜7は、その一部が構造物表面1から
剥がれた場合でも構造物表面1に圧着することにより容
易に再付着する特性を有する。
は刷毛塗り、ローラ塗り、吹き付け、しぼり出し等の塗
布方法で構造物表面1の養生対象域に塗布することがで
き、塗布方法に応じて塗布液5の濃度を調整することが
できる。図1(B)は、塗布液5を薄膜6として塗布した
構造物表面1の養生対象域を示す。薄膜6中に含まれる
水分は、自然乾燥では数時間後に、また40〜60゜Cの温風
乾燥では5〜10分後に蒸発し、図1(C)に示すように構
造物表面1に付着した皮膜7が形成される。皮膜7は養
生期間中は構造物表面1に付着し、養生対象域を汚れ物
質8の付着や損傷から保護する。また本発明の塗布液5
から形成された皮膜7は、その一部が構造物表面1から
剥がれた場合でも構造物表面1に圧着することにより容
易に再付着する特性を有する。
【0013】養生後に構造物表面1から皮膜7を剥がす
時は、例えば皮膜7の一端に力を加えて引き剥がすこと
ができ、特別な薬品や複雑な器具を必要としない。適当
な大きさにカッターで切れ目をいれた後に引き剥がして
もよい。表1に示すように、可塑剤3を添加しない皮膜
7aは固くて破断し易いのに対し、本発明の塗布液5から
作成した皮膜7は柔軟性がある。皮膜7は引き剥がす力
に対して適当に伸びて破断せず、図1(D)に示すように
構造物表面1から一挙に剥離することができる。皮膜7
の一部を剥がし損ねたときは、未剥離の皮膜7に重ねて
塗布液5を上塗りして新たな皮膜7を形成し、新たな皮
膜7と共に前回未剥離の皮膜7を剥ぎ取ることができ
る。また温水で付着したものを洗浄することもできる。
なお皮膜7は、構造物表面1に対する汚れ付着や損傷等
からの保護だけでなく、塗布液5の塗布前に構造物表面
1に付着していた汚れ物質を吸着し、構造物表面1から
汚れ物質を剥離する浄化機能をも備えている。
時は、例えば皮膜7の一端に力を加えて引き剥がすこと
ができ、特別な薬品や複雑な器具を必要としない。適当
な大きさにカッターで切れ目をいれた後に引き剥がして
もよい。表1に示すように、可塑剤3を添加しない皮膜
7aは固くて破断し易いのに対し、本発明の塗布液5から
作成した皮膜7は柔軟性がある。皮膜7は引き剥がす力
に対して適当に伸びて破断せず、図1(D)に示すように
構造物表面1から一挙に剥離することができる。皮膜7
の一部を剥がし損ねたときは、未剥離の皮膜7に重ねて
塗布液5を上塗りして新たな皮膜7を形成し、新たな皮
膜7と共に前回未剥離の皮膜7を剥ぎ取ることができ
る。また温水で付着したものを洗浄することもできる。
なお皮膜7は、構造物表面1に対する汚れ付着や損傷等
からの保護だけでなく、塗布液5の塗布前に構造物表面
1に付着していた汚れ物質を吸着し、構造物表面1から
汚れ物質を剥離する浄化機能をも備えている。
【0014】剥離した皮膜7は、例えば温水で溶解した
のち汚れ物質等と分離し、再利用を図ることができる。
また皮膜7を焼却処分する場合にも有害ガスは発生しな
い。更に本発明の養生方法で使用した塗布用器具も温水
で洗浄することができ、有機溶媒を使用する必要はな
い。従って本発明の養生方法は作業員や環境に対して極
めて安全である。こうして本発明の目的である「柔らか
く剥がしやすい水溶液ポリマー皮膜を用いた構造物表面
の養生方法」の提供が達成できる。
のち汚れ物質等と分離し、再利用を図ることができる。
また皮膜7を焼却処分する場合にも有害ガスは発生しな
い。更に本発明の養生方法で使用した塗布用器具も温水
で洗浄することができ、有機溶媒を使用する必要はな
い。従って本発明の養生方法は作業員や環境に対して極
めて安全である。こうして本発明の目的である「柔らか
く剥がしやすい水溶液ポリマー皮膜を用いた構造物表面
の養生方法」の提供が達成できる。
【0015】PVAとグリセリン及び/又はプロピレン
グリコールとを溶解した本発明の塗布液5は無色で粘性
のある透明な液体であり、その塗布液5から形成した皮
膜7も透明度が高い。構造物表面1が透明なガラスや合
成樹脂等(以下、透明体という。)である場合に、透明
体の機能を損わずに塗布液5を塗布することができ、例
えばビル等の建物の外側及び内側の窓などの透明体の養
生に際し、採光性や透視性を低下させずに本発明の塗布
液5を塗布することができる。従来のビルの窓などの透
明体の養生では半透明なポリビニールシートが用いら
れ、養生中は採光性や透視性が著しく低下する問題が存
在したが、本発明の塗布液5を用いた養生方法によりそ
の問題の改善を図ることができる。ただし本発明の塗布
液5に適当な染料や粉体、粒体を混合して着色すること
も可能である。
グリコールとを溶解した本発明の塗布液5は無色で粘性
のある透明な液体であり、その塗布液5から形成した皮
膜7も透明度が高い。構造物表面1が透明なガラスや合
成樹脂等(以下、透明体という。)である場合に、透明
体の機能を損わずに塗布液5を塗布することができ、例
えばビル等の建物の外側及び内側の窓などの透明体の養
生に際し、採光性や透視性を低下させずに本発明の塗布
液5を塗布することができる。従来のビルの窓などの透
明体の養生では半透明なポリビニールシートが用いら
れ、養生中は採光性や透視性が著しく低下する問題が存
在したが、本発明の塗布液5を用いた養生方法によりそ
の問題の改善を図ることができる。ただし本発明の塗布
液5に適当な染料や粉体、粒体を混合して着色すること
も可能である。
【0016】構造物表面1に付着した皮膜7に対し、図
2(A)に示すように各種の塗料やマーカ12等による上書
きをし、又は図2(B)に示すように防火用溶剤等のスプ
レー13による上塗りをすることもできる。また本発明の
塗布液5に殺虫剤や防菌剤、芳香剤、漂白剤その他の薬
品を混合することができる。例えばカビ、菌、藻類等が
付着した構造物表面1に、殺虫剤、防菌剤及び/又は芳
香剤が混合された本発明の塗布液5を塗布して皮膜7を
形成することにより、皮膜7の剥離時に構造物表面1の
藻類等を併せて剥離して表面1の浄化をすることができ
る。また皮膜7から浸出した殺虫剤及び防菌剤が構造物
表面1に付着するので、皮膜7の剥離後においても構造
物表面1への藻類等の付着の防止が期待できる。
2(A)に示すように各種の塗料やマーカ12等による上書
きをし、又は図2(B)に示すように防火用溶剤等のスプ
レー13による上塗りをすることもできる。また本発明の
塗布液5に殺虫剤や防菌剤、芳香剤、漂白剤その他の薬
品を混合することができる。例えばカビ、菌、藻類等が
付着した構造物表面1に、殺虫剤、防菌剤及び/又は芳
香剤が混合された本発明の塗布液5を塗布して皮膜7を
形成することにより、皮膜7の剥離時に構造物表面1の
藻類等を併せて剥離して表面1の浄化をすることができ
る。また皮膜7から浸出した殺虫剤及び防菌剤が構造物
表面1に付着するので、皮膜7の剥離後においても構造
物表面1への藻類等の付着の防止が期待できる。
【0017】なお本発明の塗布液5は、ガラス、合成樹
脂、金属、タイル、陶器、木材、コンクリート、紙、ゴ
ム、繊維、石材、土材などで仕上げた構造物表面1に対
して適用することができる。
脂、金属、タイル、陶器、木材、コンクリート、紙、ゴ
ム、繊維、石材、土材などで仕上げた構造物表面1に対
して適用することができる。
【0018】
【実施例】本発明者らは可塑剤3の添加の効果を調べる
ため、水に15重量%のPVA(株式会社クラレ、PVA-12
0、重合度2000、ケン化度98モル%以上)のみを溶解し
て塗布液5aを調製し、またこの塗布液5aの一部を用いて
グリセリンを2%及び5%添加した2種類の塗布液51、
52を調製し、塗布液5aから作成した皮膜7a及び2種類の
塗布液51、52から作成した皮膜71、72についてそれぞれ
引張試験を行なった。その結果を表1に示す。表1から
分るように、グリセリン無添加のPVA皮膜7aに比し、
グリセリン添加によりPVA皮膜7の引張り強さは小さ
くなり、破断伸びは格段に大きくなる。表1中の破断伸
び(%)の欄のL0=100mmとは、100mmの小片を引張って伸
びる率を%で示したものである。
ため、水に15重量%のPVA(株式会社クラレ、PVA-12
0、重合度2000、ケン化度98モル%以上)のみを溶解し
て塗布液5aを調製し、またこの塗布液5aの一部を用いて
グリセリンを2%及び5%添加した2種類の塗布液51、
52を調製し、塗布液5aから作成した皮膜7a及び2種類の
塗布液51、52から作成した皮膜71、72についてそれぞれ
引張試験を行なった。その結果を表1に示す。表1から
分るように、グリセリン無添加のPVA皮膜7aに比し、
グリセリン添加によりPVA皮膜7の引張り強さは小さ
くなり、破断伸びは格段に大きくなる。表1中の破断伸
び(%)の欄のL0=100mmとは、100mmの小片を引張って伸
びる率を%で示したものである。
【0019】
【表1】
【0020】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の構造物表
面の養生方法は、皮膜形成用ポリマーと可塑剤とが水に
溶解した塗布液を構造物表面に薄膜状に塗布し、水の蒸
発により構造物表面に剥離可能な皮膜を形成して該表面
を養生するので、次の顕著な効果を奏する。
面の養生方法は、皮膜形成用ポリマーと可塑剤とが水に
溶解した塗布液を構造物表面に薄膜状に塗布し、水の蒸
発により構造物表面に剥離可能な皮膜を形成して該表面
を養生するので、次の顕著な効果を奏する。
【0021】(イ)軟らかく剥がしやすい皮膜が形成でき
るので、養生期間経過後の皮膜の構造物表面からの剥離
作業が簡単になる。 (ロ)皮膜の透明度が高いので、建物の外側や内側の窓等
の透明体の養生に際し、採光性や透視性を低下させな
い。 (ハ)構造物表面から剥離した後の皮膜を温水に溶解して
再利用することができる。また焼却処分しても有害ガス
は発生しない。 (ニ)ポリビニルアルコールとグリセリン又はプロピレン
グリコールとを組合せた塗布液は、作業員及び環境に対
する安全性が高く、取扱いが簡単である。
るので、養生期間経過後の皮膜の構造物表面からの剥離
作業が簡単になる。 (ロ)皮膜の透明度が高いので、建物の外側や内側の窓等
の透明体の養生に際し、採光性や透視性を低下させな
い。 (ハ)構造物表面から剥離した後の皮膜を温水に溶解して
再利用することができる。また焼却処分しても有害ガス
は発生しない。 (ニ)ポリビニルアルコールとグリセリン又はプロピレン
グリコールとを組合せた塗布液は、作業員及び環境に対
する安全性が高く、取扱いが簡単である。
【図1】は、本発明の一実施例の説明図である。
【図2】は、本発明の他の実施例の説明図である。
【図3】は、従来の構造物表面の保護方法の一例の説明
図である。
図である。
1…構造物表面 2…皮膜形成ポリマー 2a…付着膜形成ポリマー 3…可塑剤 4…水 5…塗布液 5a…ポリマー溶液 6、6a…薄膜 7…皮膜 7a…付着膜 8…汚れ物質 9…溶媒 10…順次仕上面 12…マーカー 13…スプレー。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−125095(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04G 21/02 104 E04G 21/24 E04G 21/30 B08B 17/02 C11D 7/00
Claims (5)
- 【請求項1】構造物表面の養生対象域に、5〜20重量%
の皮膜形成用ポリマーと該皮膜形成用ポリマーに対し0.
5〜15重量%の可塑剤とが水に溶解した塗布液を薄膜と
して塗布し、前記塗布液の乾燥により構造物表面に剥離
可能な透明皮膜を形成して該表面を養生し、養生期間経
過後に前記透明皮膜を構造物表面から引き剥がしてなる
構造物表面の養生方法。 - 【請求項2】請求項1の養生方法において、前記皮膜形
成用ポリマーをポリビニルアルコールとし、前記可塑剤
をグリセリン及び/又はプロピレングリコールとしてな
る構造物表面の養生方法。 - 【請求項3】水に対し5〜20重量%の皮膜形成用ポリマ
ーと、該皮膜形成用ポリマーに対し0.5〜15重量%の可
塑剤とを溶解させてなり、構造物表面に薄膜として塗布
でき且つ水の蒸発時に該表面から引き剥がし可能な透明
皮膜が形成できる構造物表面の養生用塗布液。 - 【請求項4】水に対し5〜20重量%のポリビニルアルコ
ールと、該ポリビニルアルコールに対し0.5〜15重量%
のグリセリン及び/又はプロピレングリコールとを溶解
してなり、構造物表面に薄膜として塗布でき且つ水の蒸
発時に該表面から引き剥がし可能な透明皮膜が形成でき
る構造物表面の養生用塗布液。 - 【請求項5】請求項3又は4の養生用塗布液において、
殺虫剤、防菌剤及び/又は芳香剤を混合してなる構造物
表面の養生用塗布液。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP08058042A JP3135210B2 (ja) | 1996-03-14 | 1996-03-14 | 構造物表面の養生方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP08058042A JP3135210B2 (ja) | 1996-03-14 | 1996-03-14 | 構造物表面の養生方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH09250242A JPH09250242A (ja) | 1997-09-22 |
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-
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- 1996-03-14 JP JP08058042A patent/JP3135210B2/ja not_active Expired - Fee Related
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