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JP3173378B2 - 粉体組成物 - Google Patents

粉体組成物

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JP3173378B2
JP3173378B2 JP18687096A JP18687096A JP3173378B2 JP 3173378 B2 JP3173378 B2 JP 3173378B2 JP 18687096 A JP18687096 A JP 18687096A JP 18687096 A JP18687096 A JP 18687096A JP 3173378 B2 JP3173378 B2 JP 3173378B2
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rubber
thermoplastic resin
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元 宮島
次男 浅川
喜生 中西
隆夫 森川
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゴムリッチなゴム
変性熱可塑性樹脂の粉体保存時のブロッキング性を改良
し、長期保存が可能で、さらにはこの粉体組成物に他の
熱可塑性樹脂を配合して得られる熱可塑性樹脂組成物の
成形品が耐衝撃性、光沢、成形外観性に優れ、かつフィ
ッシュアイ発生の不良現象が大幅に改良された粉体組成
物に関する。
【0002】
【従来の技術】ゴム変性熱可塑性樹脂として、ABS樹
脂、AES樹脂が広く知られ、工業的に大量に使用され
ている。ABS樹脂の製造法としては、下記の2つの方
法が一般に知られている。 ゴム状重合体5〜25重量%の存在下に、スチレンと
アクリロニトリルからなる単量体75〜95重量%を重
合して得る方法。 ゴム状重合体40〜45重量%の存在下にスチレンと
アクリロニトリルからなる単量体55〜60重量%を重
合して得られる高ゴム含有率のABS樹脂(以下「ゴム
リッチABS樹脂」という)を、別途、重合して得られ
たスチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)に
配合し、配合物中のゴム状重合体の含有率を5〜25重
量%に調節することでABS樹脂を得る方法(この方法
で得られたABS樹脂を、以下「ブレンドタイプABS
樹脂」という)。上記のの方法は、ゴムリッチABS
樹脂の配合量を適宜選択すること、AS樹脂の種類を適
宜選択することで、各種の品質の異なる多種類のABS
樹脂を生産性良く製造することができる。しかし、AB
S樹脂業界では、さらなるコストダウンが要求されてい
る。このコストダウンの対応策としては、ゴムリッチA
BS樹脂のゴム含有率をさらに高め、これに、生産性に
優れ低コストのAS樹脂の配合量を高めることで、ブレ
ンドタイプABS樹脂の生産性を高める方法が考えられ
る。しかし、ゴムリッチABS樹脂のゴム含有率を従来
品に比べて高めると、この樹脂粉体の保存時に著しくブ
ロッキングが発生し易く、後工程での取り扱い性が悪
く、またブロッキングが発生した樹脂粉体は、AS樹脂
と配合してABS樹脂を得ようとする場合に、充分に分
散されないため、最終製品においてフィッシュアイが発
生するという問題がある。また、ABS樹脂のさらなる
耐衝撃性向上も待たれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ゴム含有率
を高めたゴムリッチABS樹脂の有している上記の課題
を解決し、粉体保存時にブロッキングが発生し難く、長
期の粉体保管が可能で、この粉体組成物に他の熱可塑性
樹脂を配合して得られる熱可塑性樹脂組成物の成形品が
耐衝撃性、光沢、成形外観性に優れ、かつフィッシュア
イの不良現象が大幅に改善されたゴムリッチABS樹脂
系の粉体組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、ゴム状重合体
(a)の存在下に、芳香族ビニル化合物(b)およびシ
アン化ビニル化合物(c)を重合して得られ、(a)成
分の含有率が50〜80重量%、(b)成分の含有率が
5〜48重量%、(c)成分の含有率が2〜45重量%
であり〔ただし、(a)+(b)+(c)=100重量
%〕、しかも下記で規定する測定方法によるQ値が30
×10-4〜500×10-4cc/秒である(A)ゴム変
性熱可塑性樹脂粉体100重量部に対し、 (B)シリコーンオイル0.01〜6重量部、および (C)シリコーンオイル以外の滑剤0.1〜20重量部 を配合した粉体組成物を提供するものである。Q値の測定方法 測定に供する(A)ゴム変性熱可塑性樹脂は、110
℃×60分の条件における揮発物質含有率を0.1%以
下に調整したものを用いる。 Q値の測定条件 測定装置:島津フローテスター CAPILLARY RHEOMETER CFT−5
00 測定条件: サンプル量 ;1.8g プランジャー面積;1.0cm 2 ダイのサイズ ;2.0mm長×1.0mmφ 予熱の温度と時間;200℃×5分 測定温度 ;200℃ 荷重 ;60kg/cm 2
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の(A)ゴム変性熱可塑性
樹脂粉体は、ゴム状重合体(a)の存在下に、芳香族ビ
ニル化合物(b)、シアン化ビニル化合物(c)を重合
して得られ、(a)成分の含有率が50〜80重量%、
(b)成分の含有率が5〜48重量%、(c)成分の含
有率が2〜45重量%、Q値が30×10-4〜500×
10-4cc/秒の、ゴムリッチなゴム変性熱可塑性樹脂
の粉体である。
【0006】本発明の(A)ゴム変性熱可塑性樹脂粉体
のベースゴムとなるゴム状重合体(a)としては、例え
ばポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジ
エン共重合体(スチレン含量5〜60重量%が好まし
い)、スチレン−イソプレン共重合体、アクリロニトリ
ル−ブタジエン共重合体、エチレン−α−オレフィン系
共重合体、エチレン−α−オレフィン−ポリエン共重合
体、アクリルゴム、ブタジエン−(メタ)アクリル酸エ
ステル共重合体、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエ
ンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共
重合体、水素化スチレン−ブタジエンブロック共重合
体、水素化ブタジエン系重合体、エチレン系アイオノマ
ーなどが挙げられる。また、スチレン−ブタジエンブロ
ック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体
には、AB型、ABA型、テーパー型、ラジアルテレブ
ロック型の構造を有するものなどが含まれる。さらに、
水素化ブタジエン系重合体は、上記ブロック共重合体の
水素化物のほかに、スチレンブロックとスチレン−ブタ
ジエンランダム共重合体のブロック体の水素化物、ポリ
ブタジエン中の1,2−ビニル結合含量が20重量%以
下のブロックと1,2−ビニル結合含量が20重量%を
超えるポリブタジエンブロックからなる重合体の水素化
物などが含まれる。これらのゴム状重合体(a)は、1
種単独でまたは2種以上で使用される。好ましい(a)
成分としては、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン
(スチレン含量5〜60重量%が好ましい)共重合体か
ら選ばれた少なくとも1種の共役ジエン系ゴムであり、
さらに好ましくはポリブタジエン/スチレン−ブタジエ
ン共重合体=50〜99/1〜50(重量%)の割合か
らなる混合物である。
【0007】また、(A)ゴム変性熱可塑性樹脂粉体に
用いられる芳香族ビニル化合物(b)としては、例えば
スチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、
p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフ
ェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチル
スチレン、N,N−ジエチル−p−アミノメチルスチレ
ン、ビニルピリジン、ビニルキシレン、モノクロルスチ
レン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、フルオ
ロスチレン、エチルスチレン、ビニルナフタレンなどが
挙げられ、特にスチレン、α−メチルスチレンが好まし
い。これらの芳香族ビニル化合物は、1種単独であるい
は2種以上混合して用いられる。また、シアン化ビニル
化合物(c)としては、例えばアクリロニトリル、メタ
クリロニトリルが挙げられる。
【0008】本発明の目的に対しては、上記(b)〜
(c)成分以外に、支障のない範囲で他のビニル系単量
体を使用することができる。他のビニル系単量体とし
て、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、
プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミルア
クリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレ
ート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシ
ルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシル
アクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリ
レートなどのアクリル酸エステル;メチルメタクリレー
、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、
ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシ
ルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチ
ルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレ
ート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリ
レート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレ
ートなどのメタクリル酸エステル;無水マレイン酸、無
水イタコン酸、無水シトラコン酸などの不飽和酸無水
物;アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和酸;マレイ
ミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、
N−(p−メチルフェニル)マレイミド、N−フェニル
マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのα−
またはβ−不飽和ジカルボン酸のイミド化合物(マレイ
ミド系単量体ともいう);グリシジルメタクリレート、
アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ化合物;アク
リルアミド、メタクリルアミドなどの不飽和カルボン酸
アミド;アクリルアミン、メタクリル酸アミノメチル、
メタクリル酸アミノエチル、メタクリル酸アミノプロピ
ル、アミノスチレンなどのアミノ基含有不飽和化合物、
3−ヒドロキシ−1−プロペン、4−ヒドロキシ−1−
ブテン、シス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、トランス
−4−ヒドロキシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ−2−
メチル−1−プロペン、2−ヒドロキシエチルアクリレ
ート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートなどの水酸
基含有不飽和化合物;ビニルオキサゾリンなどのオキサ
ゾリン基含有不飽和化合物などが挙げられる。これらの
他のビニル系単量体は、1種または2種以上で使用され
る。他のビニル系単量体の含有率は、(a)成分を除い
た成分中、好ましくは20重量%以下、さらに好ましく
は10重量%以下である。
【0009】(A)ゴム変性熱可塑性樹脂粉体中のゴム
状重合体(a)成分の含有率は、50〜80重量%、好
ましくは52〜75重量%、さらに好ましくは56〜7
4重量%である。(a)成分の含有率が50重量%未満
では、生産性の改良効果が充分でなく、一方80重量%
を超えると、フィッシュアイの発生が多くなり、外観性
・耐衝撃性が大巾に低下し、さらに(B)成分などを配
合したとしても、粉体のブロッキングを防止できない場
合がある。また、(A)ゴム変性熱可塑性樹脂粉体中の
芳香族ビニル化合物(b)の含有率は、5〜48重量
%、好ましくは5〜46重量%、さらに好ましくは、1
3〜41重量%である。また、シアン化ビニル化合物
(c)の含有率は、2〜45重量%、好ましくは2〜4
3重量%、さらに好ましくは3〜31重量%である。
(b)成分が5重量%未満の場合、(b)成分が48重
量%を超える場合、(c)成分が2重量%未満の場合、
(c)成分が45重量%を超える場合のいずれの場合に
も、フィッシュアイ発生の不良現象の改良効果、外観性
の改良効果、耐衝撃性の改良効果のいずれか少なくとも
1つが充分でなく、三者をともに目的のレベルに維持す
ることができない。
【0010】(A)ゴム変性熱可塑性樹脂粉体のQ値
は、30×10−4〜500×10−4cc/秒、好ま
しくは50×10−4〜400×10−4cc/秒、さ
らに好ましくは70×10−4〜400×10−4cc
/秒である。Q値が30×10−4cc/秒未満であっ
ても、500×10−4cc/秒を超えても、ともに
ィッシュアイの発生が多くなり、外観性が劣り、耐衝撃
性も充分でない。Q値が500×10−4cc/秒を超
えると、(B)、(C)成分を配合しても、粉体組成物
のブロッキング改善および耐衝撃性の保持が充分でない
うえ、この組成物をペレット化する際には、ストランド
が切れやすく、ペレット化が困難となる。
【0011】ここで、Q値の測定条件を以下に示す。 測定に供する(A)ゴム変性熱可塑性樹脂粉体は、1
10℃×60分の条件における揮発物質含有率を0.1
重量%以下に調整する。 Q値の測定条件 測定装置;島津フローテスター CAPILLARY
RHEOMETERCFT−500 測定条件; サンプル量 :1.8g プランジャー面積:1.0cm2 ダイのサイズ :2.0mm長×1.0mmφ 予熱の温度と時間:200℃×5分 測定温度 :200℃ 荷重 :60kg/cm2
【0012】なお、(A)ゴム変性熱可塑性樹脂粉体の
グラフト率は、5重量%以上、好ましくは10重量%以
上である。グラフト率が5重量%未満であると、フィッ
シュアイの発生が多く、外観性・耐衝撃性が劣る。グラ
フト率は、下記の方法で測定される。ここでグラフト率
とは、(A)ゴム変性熱可塑性樹脂粉体中のゴム量に対
し、ゴム状重合体に直接グラフト結合している共重合体
成分の割合をいう。このグラフト率は、重合開始剤量、
重合温度などによって制御することができる。このグラ
フト率の具体的な求め方は、まず本発明の(A)ゴム変
性熱可塑性樹脂粉体2gを室温のアセトンに投入し、充
分撹拌し、不溶解分(w)を求める。一方、不溶解分
(w)中のゴム状重合体量は、重合処方をもとに算出す
ることができる。この算出されたゴム状重合体総量をR
とし、次式よりグラフト率を求める。 グラフト(重量%)=〔(w−R)/R〕×100
【0013】なお、乳化重合の場合、(A)ゴム変性熱
可塑性樹脂粉体に使用されるゴム状重合体(a)のラテ
ックスの平均粒子径は、好ましくは50〜600nm、
さらに好ましくは100〜500nm、特に好ましくは
150〜450nmであり、この範囲にあると、本発明
の(A)ゴム変性熱可塑性樹脂粉体を用いて得られる熱
可塑性樹脂組成物のアイゾット衝撃強度、光沢に優れた
ものとなる。
【0014】ここで、平均粒子径は、ゴム状重合体
(a)ラテックスをオスミウム酸で処理し、これを例え
ば大塚電子(株)製、レーザー粒径解析システムLPA
−3100を用い、電子顕微鏡写真にとり(倍率;3万
倍)、粒子100個以上について粒子径を測定し、数平
均より算出した値である。なお、ゴム状重合体(a)の
ラテックスの平均粒子径は、乳化剤量、重合開始剤量、
重合温度などの選定により、これらを組み合わせて目的
とするラテックスが得られる。
【0015】また、本発明において、(A)ゴム変性熱
可塑性樹脂粉体に用いられるゴム状重合体(a)のラテ
ックスのゲル含量は、好ましくは50〜100重量%、
さらに好ましくは60〜95重量%である。ゲル含量
が、50重量%未満の場合には、ゴムの変形量が大き
く、本発明の(A)ゴム変性熱可塑性樹脂粉体を用いて
得られる熱可塑性樹脂組成物の光沢度が低下し好ましく
ない。特に、ゲル含量が60〜95重量%の場合には、
得られる熱可塑性樹脂組成物は、耐衝撃性、ウエルド、
光沢などの外観が求められるグレード、例えば電気製
品、OA機器などに適している。
【0016】ここで、ゲル含量とは、ゴム状重合体
(a)のラテックスフィルム(Ag)を、100mlの
トルエンに50℃で2時間攪拌下で浸漬したのち、12
0メッシュ金網を用いてろ過し、ろ液の一部(Cml)
を正確に採取して蒸発乾固させ、得られた残存固形分
(トルエン可溶分;Bg)を秤量し、下記式によってゲ
ル含量とした値である。 ゲル含量(重量%)={〔A−B×(100/C)〕/
A}×100
【0017】このゲル含量の調整は、分子量調整剤の種
類、量を選ぶことによって容易に実施することができ
る。そのほか、ゲル含量の調整は、架橋剤の添加、重合
時の重合開始剤量、重合開始温度などの選定があり、こ
れらを組み合わせて目的とするゴム状重合体(a)のラ
テックスを得ることができる。
【0018】上記(A)ゴム変性熱可塑性樹脂粉体の
(a)成分、(b)成分、(c)成分の含有率は、重合
時にそれら成分の仕込量により適宜調整することができ
る。また、(A)ゴム変性熱可塑性樹脂粉体中の(a)
成分、(b)成分、(c)成分含有率は、それら成分の
仕込量と重合転化率などから求めることができる。ま
た、他の方法としては、公知の定量分析法でも求めるこ
とができる。(A)ゴム変性熱可塑性樹脂粉体のQ値の
調整は、重合時に使用する連鎖移動剤、開始剤などの種
類・量を適宜選択する方法、重合温度を適宜選択する方
法、ゴム状重合体(a)のゲル含量、分子量を適宜選択
することで行なえる。
【0019】なお、本発明の(A)ゴム変性熱可塑性樹
脂粉体のメチルエチルケトン可溶分の極限粘度(メチル
エチルケトン、30℃)は、好ましくは0.1〜0.5
dl/g、さらに好ましくは0.15〜0.4dl/g
である。0.1dl/g未満では、得られる(A)ゴム
変性熱可塑性樹脂粉体の耐衝撃性が低下し、一方0.5
dl/gを超えると、フィッシュアイの発生が多くな
り、成形外観性が劣る。この極限粘度は、連鎖移動剤や
重合開始剤の種類・量、重合温度を適宜選択することに
より、容易に調整することができる。
【0020】(A)ゴム変性熱可塑性樹脂粉体の製造方
法としては、特に限定されるものではないが、好ましい
重合法としては、乳化重合法である。乳化重合に際して
は、重合開始剤、連鎖移動剤および乳化剤などが使用さ
れる。
【0021】本発明の(A)ゴム変性熱可塑性樹脂粉体
の製造時に使用する重合開始剤として、各種の有機過酸
化物が用いられる。有機過酸化物としては、ケトンパー
オキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、ハイドロパ
ーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオ
キシケタール類、アルキルパーエステル類、パーカーボ
ネート類などが挙げられる。また、過硫酸カリウム、ア
ゾビスイソブチロニトリルなどの重合開始剤も、用いる
ことができる。有機過酸化物は、含糖ピロリン酸鉄処
方、スルホキシレート処方、含糖ピロリン酸鉄処方/ス
ルホキシレート処方の混合処方などの還元剤との組み合
わせによっても使用される。上記有機過酸化物の中で、
さらに好ましくはハイドロパーオキサイド類、アルキル
パーエステル類、パーカーボネート類である。これらの
有機過酸化物は、1種単独で使用することも、あるいは
2種以上を混合して用いることもできる。また、−O−
O−結合を2つ以上有する有機過酸化物を用いると、一
段と優れた本発明の効果が得られる。
【0022】上記開始剤の使用量は、ゴム成分と単量体
成分の合計100重量部に対し、0.01〜5重量部、
好ましくは0.1〜2重量部である。0.01重量部未
満ではモノマー転化率が低く、未反応単量体が多く残
り、生産上好ましくない。一方、5重量部を超えると、
グラフトされた共重合体の分子量が著しく低下し、充分
な耐衝撃性が得られず、また得られる熱可塑性樹脂の色
調が著しく悪化する。
【0023】また、連鎖移動剤としては、例えばハロゲ
ン化炭化水素類(例えば、クロロホルム、ブロモホルム
など)、メルカプタン類(例えば、n−ドデシルメルカ
プタン、t−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメル
カプタン、n−ヘキサデシルメルカプタンなど)、メル
カプトプロピオン酸エステル(例えば、ドデシルメルカ
プトプロピオネート、オクチルメルカプトプロピオネー
トなど)、テルペン類(例えば、ジペンテン、ターピノ
ーレンなど)、α−メチルスチレンダイマーが挙げられ
る。連鎖移動剤の使用量は、ゴム成分と単量体成分の合
計100重量部に対し、2重量部以下、好ましくは1.
5重量部以下である。連鎖移動剤の使用量が2重量部を
超えると、グラフトした共重合体の分子量が低下し、充
分な耐衝撃性が得られず、また粉体組成物の耐ブロッキ
ング性が(B)、(C)成分などの成分を配合しても改
良されない。
【0024】乳化重合に用いられる乳化剤としては、ア
ニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、および両
性界面活性剤が挙げられる。このうち、アニオン性界面
活性剤としては、例えば高級アルコールの硫酸エステ
ル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸スルホン酸
塩、リン酸系などが挙げられる。また、ノニオン性界面
活性剤としては、通常、ポリエチレングリコールのアル
キルエステル型、アルキルエーテル型、アルキルフェノ
ール型などが用いられる。さらに、両性界面活性剤とし
ては、アニオン部分としてカルボン酸塩、硫酸エステル
塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩を、カチオン部分
としてアミン塩、第4級アンモニウム塩などを持つもの
が挙げられる。この両性界面活性剤の具体例としては、
ラウリルベタイン、ステアリルベタインなどのベタイン
類、ラウリル−β−アラニン、ステアリル−β−アラニ
ン、ラウリルジ(アミノエチル)グリシン、オクチルジ
(アミノエチル)グリシンなどのアミノ酸タイプのもの
などが用いられる。これらの乳化剤は、1種単独で使用
することも、あるいは2種以上を混合して用いることも
できる。乳化剤の使用量は、ゴム成分と単量体成分の合
計100重量部に対し、通常、0〜5重量部程度であ
る。
【0025】グラフト重合に際しては、重合開始剤、乳
化剤、連鎖移動剤などのほかに、必要に応じて各種電解
質、pH調整剤などを併用して、ゴム成分(固形分換
算)および単量体成分の合計100重量部に対して、通
常、水を100〜500重量部と、上記重合開始剤、乳
化剤、連鎖移動剤などを上記範囲内の量使用し、通常、
重合温度5〜120℃、重合時間0.1〜20時間の条
件で重合される。
【0026】通常、本発明の(A)ゴム変性熱可塑性樹
脂粉体は、上記の乳化重合により得られるラテックス
を、通常法により凝固させ、得られた粉末を水洗したの
ち、乾燥することによって製造される。このようにして
得られる(A)ゴム変性熱可塑性樹脂粉体の粒径は、標
準フルイを用いて行う乾式分級による測定において、下
記およびの条件を満たしていることが好ましい。 φ0.15mm(=150μm)以下(100メッシ
ュパス分)が全体の40重量%以下。 φ0.85mm以上(18.5メッシュパスオン)が
全体の10重量%以上。 この範囲にあると、(B)、(C)成分を配合したとき
に、充分なブロッキング改良効果が得られる。一方、
(A)ゴム変性熱可塑性樹脂粉体の粒径が上記範囲外に
あると、単独もしくは(D)他の熱可塑性樹脂と混合し
てペレットなどを得ようとする場合に、押し出し機など
で脈動を起こし、安定運転ができない場合や、最終製品
のフィッシュアイが増加する場合があり、好ましくな
い。この粒径は、凝固時の凝固剤の種類および量、温度
などにより、容易に調整することができる。
【0027】また、得られる(A)ゴム変性熱可塑性樹
脂粉体は、押し出し機などの混練り機でペレット化する
ことができる。得られるペレット形状は、円柱状、
角柱状、または球状であり、〜の場合、底面積3
〜30mm2 、好ましくは4〜9mm2 、高さ2〜10
mm、好ましくは3〜4mm程度、の場合、体積が4
〜165mm3 、好ましくは6.4〜36mm3 程度で
ある。一般のゴムリッチABS樹脂は、押し出し工程で
ストランドが引けず、ペレット化が困難であり、また押
し出し機内部での脈動が発生し易く、樹脂が滞留して、
ヤケ、異物が発生する。しかしながら、本発明の(A)
ゴム変性熱可塑性樹脂粉体は、Q値が上記範囲内にあ
り、流動性に優れているため、ペレット化の際、例えば
溶融ダイから押し出された溶融ストランドが脈動するこ
となく、容易にペレタイザーに導入され、ペレット化す
ることができる。従って、本発明の(A)ゴム変性熱可
塑性樹脂粉体は、ペレット化することができるので、他
の熱可塑性樹脂とのブレンド工程において、簡単な混合
機でブレンドすることができ、高品質な製品が得られ、
またブレンドの生産性に優れる。
【0028】次に、(B)シリコーンオイルは、ゴムリ
ッチの(A)ゴム変性熱可塑性樹脂粉体のブロッキング
を防止するとともに、(A)成分の耐衝撃性を向上させ
ることができる。この(B)シリコーンオイルとして
は、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサ
ン、ポリメチル・フェニルシロキサン、またはこれらの
変性物などで代表されるオルガノポリシロキサン類が挙
げられる。(B)シリコーンオイルは、分散性およびハ
ンドリング面より、分子量が好ましくは2,300〜6
0,000、動粘度が好ましくは30〜10,000c
s(25℃)である。(B)シリコーンオイルは、
(A)成分の重合後のラテックス系、凝固・乾燥工程に
おける仕上げ工程、粉体のいずれにも添加することがで
きる。(B)シリコーンオイルの添加量は、(A)成分
100重量部に対し、0.01〜6重量部、好ましくは
0.02〜5重量部である。0.01重量部未満では、
ブロッキング防止の効果に乏しく、また耐衝撃性が向上
しない。一方、6重量部を超えると、押し出し機での吐
出不良や最終製品でフィッシュアイの増加を引き起こ
す。
【0029】次に、(C)滑剤は、(B)シリコーンオ
イルと併用することにより、(A)成分の耐衝撃性をさ
らに向上させるとともに、ゴムリッチの(A)ゴム変性
熱可塑性樹脂粉体の長期の粉体保管が可能となる。この
(C)滑剤としては、ステアリン酸、ベヘニン酸などの
脂肪酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウ
ム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウ
ム、ラウリン酸バリウム、ミリスチン酸カドミウムなど
の脂肪酸金属塩、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、
エチレンビスステアリルアミド、エチレンビスパルミチ
ン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミドなどの脂肪
酸アミド、ブチルステアレート、ステアリルステアレー
ト、ソルビタンモノステアレートなどのソルビタンステ
アリン酸エステル、ペンタエリスリトールテトラステア
レートなどのペンタエリスリトールステアリン酸エステ
ル、オレイン酸モノグリセリドなどのグリセリン脂肪酸
エステル、硬化ひまし油などの脂肪酸エステル、ステア
リルアルコールなどの高級アルコールなどが挙げられる
が、好ましくは脂肪酸金属塩と脂肪酸アミドとの併用で
ある。
【0030】(C)滑剤の添加量は、(A)成分100
重量部に対し、0.1〜20重量部、好ましくは0.2
〜15重量部である。0.1重量部未満では、(A)ゴ
ム変性熱可塑性樹脂粉体のさらなる耐衝撃性の向上と長
期保管の効果に乏しく、一方20重量部を超えると、耐
熱性の低下やシルバーストリーク、黒モヤ、ヤケなどの
成形品外観不良を引き起こす。(C)滑剤も、(A)成
分重合後のラテックス系、凝固・乾燥工程における仕上
げ工程、粉体のいずれにも添加することができる。
【0031】なお、本発明の粉体組成物は、(A)ゴム
変性熱可塑性樹脂粉体、(B)シリコーンオイルおよび
(C)滑剤を主成分とするが、上記(A)成分以外の
(D)他の熱可塑性樹脂を配合し、熱可塑性樹脂組成物
とすることもできる。(D)他の熱可塑性樹脂として
は、例えばゴム状重合体含有率が50重量%未満のAB
S樹脂・AES樹脂・AAS樹脂、AS樹脂、HIP
S、PSなどのスチレン系樹脂;ポリエチレン、ポリプ
ロピレンなどのオレフィン系樹脂;PA6、PA66、
PA46、PA12などポリアミド樹脂;ポリブチレン
テレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリア
リレートなどのポリエステル樹脂;ポリカーボネート樹
脂、ポリフェニレンエーテルまたはポリフェニレンエー
テル/スチレン系樹脂などのポリフェニレンエーテル系
樹脂;ポリアセタール、塩化ビニル樹脂、ポリスルフォ
ン、PPS、ポリエーテルスルフォン、エチレン−酢酸
ビニル共重合体、EVOHなどがあり、これらは1種ま
たは2種以上併用して使用することができる。
【0032】好ましい(D)他の熱可塑性樹脂として
は、下記の、それぞれ単独あるいはとの併用が
挙げられる。ゴム状重合体の存在下に、芳香族化合
物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステ
ル、マレイミド系単量体の群から選ばれた少なくとも2
種の群からなる単量体を重合して得られ、かつゴム状重
合体含有率が50重量%未満の他のゴム変性熱可塑性樹
脂。なお、ここでのゴム状重合体、単量体は、上記に示
したものが挙げられる。また、このゴム変性熱可塑性樹
脂のメチルエチルケトン可溶分の極限粘度(メチルエチ
ルケトン中、30℃)は、0.1〜1dl/gのものが
好ましく、さらに好ましくは0.2〜0.6dl/gで
ある。芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、
(メタ)アクリル酸エステル、マレイミド系単量体の群
から選ばれた少なくとも2種の群からなる単量体を重合
して得られ、かつ極限粘度(メチルエチルケトンを溶媒
として、30℃で測定)が好ましくは0.2〜1.3d
l/g)さらに好ましくは0.3〜1dl/g、特に好
ましくは0.35〜0.7dl/gである共重合体。
【0033】上記のとしては、例えばABS樹脂、A
ES樹脂、AAS樹脂、MBS樹脂などが挙げられ、そ
の中で好ましくはABS樹脂、AES樹脂である。上記
のとしては、下記の共重合体が挙げられる。 (イ)芳香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物の共
重合体。好ましい組成割合は、前者の単量体が50〜9
重量%、後者が1〜50重量%である。 (ロ)芳香族ビニル化合物と(メタ)アクリル酸エステ
ルの共重合体。 (ハ)芳香族ビニル化合物とマレイミド系単量体と必要
に応じて、シアン化ビニル化合物および/または(メ
タ)アクリル酸エステルからなる共重合体。なお、上記
のマレイミド系単量体に代えて、不飽和酸無水物単量体
を用い、得られた共重合体をイミド化して、得られる後
イミドタイプの共重合体もここに含まれる。ここでの芳
香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)ア
クリル酸エステル、マレイミド系単量体は、上記に示し
たそれらのものと同じである。
【0034】(A)ゴム変性熱可塑性樹脂粉体と(D)
他の熱可塑性樹脂を含む上記熱可塑性樹脂組成物中の各
成分の組成比率は、(A)ゴム変性熱可塑性樹脂粉体中
のゴム状重合体(a)が該組成物中に好ましくは3〜3
5重量%含有されるように、それぞれの成分を適宜配合
する。(a)成分のさらに好ましい上記含有率は、5〜
25重量%である。(a)成分の含有率が3重量%未満
であると、充分な耐衝撃強度が得られない。一方、35
重量%を超えると成形品が軟かくなり、好ましくない。
一方、(D)他の熱可塑性樹脂として、本発明の(A)
ゴム変性熱可塑性樹脂粉体以外の他のゴム変性熱可塑性
樹脂を用いた場合、他のゴム変性熱可塑性樹脂に含有さ
れているゴム状重合体(以下「(a′)成分」という)
の扱いを下記のとおりとする。(a′)成分も(a)成
分とみなし、下記の条件を満たすものとする。〔(a)
+(a′)〕の含有率が3〜35重量%、かつ(a)の
含有率が3〜35重量%とする。好ましくは〔(a)+
(a′)〕の含有率が5〜25重量%、かつ(a)の含
有率が5〜25重量%である。
【0035】上記熱可塑性樹脂組成物は、本発明の粉体
組成物〔(A)+(B)+(C)〕と上記(D)他の熱
可塑性樹脂と必要に応じて、各種の添加剤を混練りして
製造される。混練方法としては、押出機、ロール、バン
バリーミキサー、ニーダーなどを用いる方法がある。好
ましい方法としては、押出機を用いる方法であり、押出
機としては単軸押出機、二軸押出機などがある。上記、
混練方法を用いて各種成分を混練りするに際し、全成分
を一括して混練りしてもよく、一部の成分を先に混練り
し、残りの成分を一括または分割して添加混練りしても
よい。また、(A)ゴム変性熱可塑性樹脂にも必要に応
じて、各種の添加剤を添加することができる。また、混
練りを必要とするときは、上記に示した方法で混練りす
ることができる。各種の添加剤としては、公知の着色
剤、顔料、耐候剤、帯電防止剤、酸化防止剤、難燃剤、
熱老化防止剤、可塑剤、抗菌・防カビ剤などが挙げられ
る。本発明の粉体組成物は、通常、上記他の熱可塑性樹
脂をブレンドして熱可塑性樹脂組成物とし、これを、射
出成形、シート押出し、真空成形、異形押出し、インジ
ェクションプレス、発泡成形、ブロー成形、中空成形な
どによって各種成形品を成形することができる。
【0036】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。なお、実施例中、部および%は、特に断わ
らない限り重量基準である。また、実施例中の各種評価
は、次のようにして測定した値であり、また各成分は、
次のようにして調製した。
【0037】〔評価方法〕Q値の測定 測定に供する(A)ゴム変性熱可塑性樹脂は、110
℃×60分の条件における揮発物質含有率を0.1%以
下に調整したものを用いた。 Q値の測定条件 測定装置:島津フローテスター CAPILLARY RHEOMETER CFT−5
00 測定条件: サンプル量 ;1.8g プランジャー面積;1.0cm2 ダイのサイズ ;2.0mm長×1.0mmφ 予熱の温度と時間;200℃×5分 測定温度 ;200℃ 荷重 ;60kg/cm2
【0038】フリーフロー指数 「ケミカル エンジニアリング」(Chemical
Engineering)、1965年1月18日発
行、163〜168頁に記載の方法により、安息角、圧
縮度、スパチェラ角および均一度(または凝集度)の4
つの測定値を、得られた粉体組成物について求め、それ
らの値より積算表に従って点数を付け、これらの点数の
和で表される指数によって評価した。測定値の大きいも
のほど、流動性が良いことを示す。ブロッキング崩壊率 得られた粉体組成物30gに、一定の荷重(2kg/c
2 )を掛けて、ブロック(形状=円柱状、寸法=5c
mφ×約3cm)を製造し、このブロックに一定振動
(振動数=60Hz)を100秒間与えて崩壊させ、崩
壊した粉体のうち、16メッシュパスの粉体の重量を元
のブロックの全重量に対する百分率(%)で表した。数
値の大きいほど、ブロッキングし難いことを示す。
【0039】(A)ゴム変性熱可塑性樹脂粉体および
(B)、(C)成分と(D)他の熱可塑性樹脂の混合方
(A)ゴム変性熱可塑性樹脂粉体および(B)、(C)
成分と(D)他の熱可塑性樹脂と添加剤を表2〜5に示
した割合でヘンシェルミキサーを用いて混合し、その混
合物をシリンダーセット温度200℃の押出機により、
ペレットを得た。テストピースの成形方法 上記の方法で得たペレットを成形材料として、下記の成
形条件で光沢測定用テストピースならびに、アイゾット
衝撃強度測定用テストピースを成形した。 成形機 ;80トン インラインスクリュータイプ成
形機 金型温度;50℃±5℃ 成形機設定条件; シリンダーセット温度:200℃ 射出圧力:一次圧75〜95kg/cmG、2次圧5
0kg/cmG 背圧:5kg/cmG 成形サイクル:インジェクション15秒、ローディング
10秒、キュアリング40秒、サイクルスタート2秒
【0040】光沢度の測定 デジタル変角光沢計〔スガ試験機(株)製 DIGIT
AL VARIABLE GLOSS METER U
GV−5D〕を用い、入射角および受光角を45で測
定した。アイゾット衝撃強度の測定 ASTM D256(1/4″、ノッチ付、単位=kg
・cm/cm)で測定した。成形外観性 光沢測定用テストピース表面のゲル物、異物、黒モヤの
存在を観測し、これらの不良が全くないものを「良
好」、存在の認められたものを「不良」と評価した。フィッシュアイの測定方法 下記の方法で、フィッシュアイ測定用シートサンプルを
作成し、フィッシュアイを測定した。220℃の加温
した50トンプレス機を用意する。上記の方法で得た
ペレットをSUS製モールド板(30cm×30cm×
0.5mm)にはさむ(10〜15g)。そのままプ
レス機にはさみ、0〜0.5kg/cm の圧をかけ
5分間加温する。圧をゆっくりかけていき(10kg
/cm まで)モールド板の間よりはみ出して来たペ
レットサンプル(溶融)をゆっくりと引き出す。サン
プルをフィルム状に引き出し、厚さ約10〜30μmの
薄さで1m以上引き出す。フィルムサンプル上に直径
3.57cmの円(面積10cm)を描き、円内の
ィッシュアイを数える(直径0.2mm以上のもの)。
上記を3点行ない、合計を面積で割って1cm
たりの個数を求め、フィッシュアイの評価とする。その
個数が1個以下の場合を良好、1個を超える場合を不良
と評価した。
【0041】参考例1〔(A)ゴム変性熱可塑性樹脂A
BS−1〜8の調製〕 フラスコ内に、ポリブタジエンゴムラテックスを固形分
換算で50部、スチレン−ブタジエン系共重合体ゴムラ
テックスを固形分換算で10部加え、イオン交換水15
0部、スチレン7部、アクリロニトリル3部、t−ドデ
シルメルカプタン0.2部をさらに加えてフラスコ内温
度を60℃に昇温したのち、ピロリン酸ナトリウム0.
2部、硫酸第一鉄7水和物0.01部、ブドウ糖0.4
部をイオン交換水20部に溶解した溶液を加え、クメン
ハイドロパーオキサイド0.1部をさらに加えて重合を
開始し、温浴温度を70℃に保った。1時間重合させた
のち、スチレン21部、アクリロニトリル9部、t−ド
デシルメルカプタン0.5部、クメンハイドロパーオキ
サイド0.2部を2時間かけて連続的に添加し、さらに
1時間重合させて反応を完結させた。得られた共重合体
ラテックスを硫酸を用いて凝固し、水洗、乾燥した。表
1に示すABS−1を得た。
【0042】表1のABS−2およびABS−3は、A
BS−1のクメンハイドロパーオキサイドに代えて、t
−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートおよびジ
−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート
を用い、他はABS−1と同様の条件で重合を行なっ
た。表1のABS−4〜8はABS−1の処方で、ゴム
量、t−ドデシルメルカプタン量を適宜変量し、他はA
BS−1と同様の条件で行なった。
【0043】
【表1】
【0044】参考例2〔(B)成分、(C)成分の調
製〕 (B)シリコーンオイル; KF96−100:信越シリコーン(株)製、ジメチル
ポリシロキサン〔動粘度=100cs(25℃)、分子
量=約6,000〕 SH200:東レ・ダウコーニング(株)製、ジメチル
ポリシロキサン〔動粘度=5,000cs(25℃)、
分子量=約40,000〕 (C)滑剤; エチレンビスステアリルアミド〔以下「EBS」と略記
することがある。〕 ステアリン酸マグネシウム ステアリン酸カルシウム
【0045】参考例3〔(D)他の熱可塑性樹脂の調
製〕 AS−1;スチレン75%とアクリロニトリル25%の
共重合体、〔η〕(メチルエチルケトン可溶分極限
度)=0.4dl/g AS−2;スチレン75%とアクリロニトリル25%の
共重合体、〔η〕=0.6dl/g
【0046】実施例1〜9、比較例1〜3 実施例1〜9は、Q値が本発明の範囲内の(A)ゴム変
性熱可塑性樹脂に、本発明の範囲内の(B)シリコーン
オイルおよび(C)滑剤を配合した粉体組成物、および
これに(D)他の熱可塑性樹脂を配合した熱可塑性樹脂
組成物である。また、比較例1〜3は、Q値が本発明の
範囲外の(A)ゴム変性熱可塑性樹脂に本発明の範囲内
の(B)シリコーンオイルおよび(C)滑剤を配合した
粉体組成物、および(D)他の熱可塑性樹脂を配合した
熱可塑性樹脂組成物である。配合処方ならびに評価結果
を表2〜3に示す。実施例1〜9は、比較例1〜3との
比較から明らかなとおり、粉体保存時のブロッキングが
発生し難く、長期保管が可能であり、またこの組成物を
用いた熱可塑性樹脂組成物の成形品は、光沢、耐衝撃
性、成形外観性に優れ、フィッシュアイ発生の不良現象
も改良されている。
【0047】実施例1および実施例10〜12、比較例
4〜8 実施例1、実施例10〜12は、Q値が本発明の範囲内
の(A)ゴム変性熱可塑性樹脂に、本発明の範囲内の
(B)シリコーンオイルおよび(C)滑剤を配合した粉
体組成物、およびこれに(D)他の熱可塑性樹脂を配合
した熱可塑性樹脂組成物である。また、比較例4〜8
は、Q値が本発明の範囲内の(A)ゴム変性熱可塑性樹
脂に、本発明の範囲外の(B)シリコーンオイルおよび
(C)滑剤を配合した粉体組成物、および(D)他の熱
可塑性樹脂を配合した熱可塑性樹脂組成物である。配合
処方ならびに評価結果を表2、表4〜5に示す。実施例
1、実施例10〜12は、比較例4〜8との比較から明
らかなとおり、粉体保存時のブロッキングが発生し難
く、長期保管が可能であり、またこの組成物を用いた熱
可塑性樹脂組成物の成形品は、光沢、耐衝撃性、成形外
観性に優れ、フィッシュアイ発生の不良現象も改良され
ている。
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】
【表5】
【0052】
【発明の効果】本発明の(A)ゴム変性熱可塑性樹脂粉
体に(B)シリコーンオイルおよび(C)滑剤を配合し
た粉体組成物は、(A)成分が高ゴム成分含有率であっ
ても、ブロッキングが起こらず、長期保存が可能であ
り、この粉体組成物に(D)他の熱可塑性樹脂に配合し
て得られる成形品は、光沢、成形外観性、耐衝撃性に優
れ、かつフィッシュアイ発生の不良現象が大巾に改良さ
れている。そして、本発明の粉体組成物は、高ゴム成分
含有率であるために、少量で耐衝撃性改良効果が得られ
るので、展開性に対応しやすい。その上、AS樹脂など
の熱可塑性樹脂は、生産性に優れ、かつ低コストである
ので、それに配合することにより、生産性に優れ、低コ
ストのABS樹脂を大量に製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 83:04) (72)発明者 森川 隆夫 東京都中央区築地2丁目11番24号 日本 合成ゴム株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−335052(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 55/02 C08K 5/09 C08K 5/10 C08K 5/20 C08L 83/04

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゴム状重合体(a)の存在下に、芳香族
    ビニル化合物(b)およびシアン化ビニル化合物(c)
    を重合して得られ、(a)成分の含有率が50〜80重
    量%、(b)成分の含有率が5〜48重量%、(c)成
    分の含有率が2〜45重量%であり〔ただし、(a)+
    (b)+(c)=100重量%〕、しかも下記で規定す
    る測定方法によるQ値が30×10-4〜500×10-4
    cc/秒である(A)ゴム変性熱可塑性樹脂粉体100
    重量部に対し、 (B)シリコーンオイル0.01〜6重量部、および (C)シリコーンオイル以外の滑剤0.1〜20重量部 を配合した粉体組成物。Q値の測定方法 測定に供する(A)ゴム変性熱可塑性樹脂は、110
    ℃×60分の条件における揮発物質含有率を0.1%以
    下に調整したものを用いる。 Q値の測定条件 測定装置:島津フローテスター CAPILLARY RHEOMETER CFT−5
    00 測定条件: サンプル量 ;1.8g プランジャー面積;1.0cm 2 ダイのサイズ ;2.0mm長×1.0mmφ 予熱の温度と時間;200℃×5分 測定温度 ;200℃ 荷重 ;60kg/cm 2
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