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JP3022647B2 - 光学式変位検出装置 - Google Patents

光学式変位検出装置

Info

Publication number
JP3022647B2
JP3022647B2 JP3232242A JP23224291A JP3022647B2 JP 3022647 B2 JP3022647 B2 JP 3022647B2 JP 3232242 A JP3232242 A JP 3232242A JP 23224291 A JP23224291 A JP 23224291A JP 3022647 B2 JP3022647 B2 JP 3022647B2
Authority
JP
Japan
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displacement
optical
light
phase
optical path
Prior art date
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Application number
JP3232242A
Other languages
English (en)
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JPH05133718A (ja
Inventor
拓己 福田
Original Assignee
日本電産コパル株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 日本電産コパル株式会社 filed Critical 日本電産コパル株式会社
Priority to JP3232242A priority Critical patent/JP3022647B2/ja
Publication of JPH05133718A publication Critical patent/JPH05133718A/ja
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Publication of JP3022647B2 publication Critical patent/JP3022647B2/ja
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光学式変位検出装置に関
し、より詳しくはレーザ光源とエンコーダ板との組み合
わせにより光の干渉を利用して変位検出を行なうレーザ
ロータリエンコーダやレーザリニヤエンコーダ等の光学
式変位検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の光学式変位検出装置は、例えば特
開昭62−3615号公報に開示されている。同公報に
は、一般的な構造として、固定光源と固定受光素子と両
者の間に介在するロータリエンコーダ板とこれに近接し
て配置された固定マスクとからなる光学式変位検出装置
が記載されている。ロータリエンコーダ板の周方向に沿
ってスリット列が形成されている。移動するスリット列
を透過した入射光は固定マスクを介して受光素子により
受光される。固定光源から受光素子までは幾何光学系を
構成しており、光の直進性を利用して変位検出を行な
う。従ってロータリエンコーダ板と固定マスクは光の回
折現象等を排除する為極めて近接して配置する必要があ
る。
【0003】同公報には、さらにフラウンフォーファ回
折を利用した光学式変位検出装置も記載されている。こ
の方式においては、固定レーザ光源と固定受光素子との
間に移動方向に沿って形成された回折格子を有するエン
コーダ板が介在している。入射したレーザ光は移動する
エンコーダ板によりフラウンフォーファ回折され前方所
定位置に回折パタンを結像する。エンコーダ板の移動に
伴って移動する回折パタンは固定マスクを介して受光さ
れ移動量を検出する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】光の直進性を利用した
幾何光学系の従来例においては、エンコーダ板に対して
固定マスクを極めて接近させて配置する必要がある。こ
の為、外部から加わる振動や衝撃によってエンコーダ板
と固定マスク板が接触する恐れがあり、エンコーダ板の
損傷や破壊の原因となるという問題点がある。
【0005】又、光の波動性を利用したフラウンフォー
ファ回折型の従来例においては、回折パタンがエンコー
ダ板の前方所定位置に結像される為、これに合わせて固
定マスクを光軸方向に沿って正確に位置決めしなければ
ならない。しかしながら、様々な変動要因によりエンコ
ーダ板と固定マスクとの間の距離が変化し、検出結果に
ノイズが含まれるという問題点がある。
【0006】何れの従来例においても、エンコーダ板と
受光素子との間に固定マスクを介在させる必要がある
為、上述した問題点が発生する。上述した従来の技術の
課題に鑑み、本発明は固定マスクを用いる事なくエンコ
ーダ板からの出射光を受光素子で直接受光して変位検出
を行なう事のできる改良された光学式変位検出装置を提
供する事を第一の目的とする。
【0007】一般に、光学式変位検出装置においては移
動量の検出に加えて、移動方向の検出が必要とされる事
が多い。この場合、上述した従来の例においては、固定
マスク又はエンコーダ板に互いにπ/2だけ位相のずれ
た一対のスリット列を形成し、各スリット列を通過した
周期光の相対的位相差に基いて移動方向を検出してい
た。しかしながら、検出精度を高めた場合、固定マスク
やエンコーダ板に微細なスリット列を精度良く形成する
事が困難であるという問題点がある。そこで本発明は、
スリット列を採用する事なく移動方向の検出が可能な改
良された光学式変位検出装置を提供する事を第二の目的
とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述した第一及び第二の
目的を達成する為に講じられた手段を図1に示す。図示
する光学式変位検出装置は、所定の周期を有する干渉縞
1を生成する為の干渉光学系2を備えている。干渉光学
系2の前方には、干渉縞1を横切る様に変位する変位部
材3が配置されている。変位部材3は矢印で示す様に+
S及び−Sの双方向に移動可能である。変位部材3には
位相格子4が形成されており、干渉縞1を回折して変位
に応じた周期的光強度変化を呈する複数の回折光を所定
の回折角で生成する。さらに、位相格子4の回折方向に
は、これら回折光の回折角に応じた位置に少くとも一対
の受光素子5A及び5Bが配置されており、固定マスク
を介することなく一対の回折光13A及び13Bを各々
受光し、周期的光強度変化に基いて変位量を検出すると
ともに、該一対の回折光13A及び13Bの間に生じる
周期的光強度変化の位相差に基いて変位方向を検出す
る。
【0009】干渉光学系2は、平面波6から成る可干渉
光を互いに所定の角度で交差する2本の光軸に沿って2
本の光束7(u波)及び光束8(v波)に分割し、交差
領域に干渉縞1を生成する為の光学分割部材9を有して
いる。図示する様に、交差領域は光軸方向に沿って比較
的広く分布しており、広範囲に渡って干渉縞1を生成す
る事が可能である。従って、変位部材3の軸方向位置を
厳しく設定する必要はない。光学分割部材9はフレネル
複プリズムから成る。これに代えて、フレネル複鏡又は
ロイド鏡を用いる事もできる。なお、干渉光学系2は、
球面波10から成る可干渉光を放射する為のレーザ光源
11と、球面波10を前述した平面波6に変換する為の
コリメータレンズ12とを含んでいる。かかる二光線束
干渉光学系としては、この他にマイケルスン干渉光学
系、ジャマン干渉光学系あるいはマッハツェンダー干渉
光学系を用いる事ができる。
【0010】位相格子4は、干渉縞1の周期の半分に相
当するピッチで交互に形成された第一光路部41及び第
二光路部42とその間に形成された第三光路部43とか
ら成る光学的周期構造を有している。これら光路部の入
射光に対する相対的位相差が、第一光路部41、第三光
路部43及び第二光路部42の順に、(2m1 +1)
π,0,(2m2 ±a)πの様に設定されている。但
し、定数m1 及びm2 は整数であり、定数aは0よりも
大きく1よりも小さい所定の値である。好ましくは、定
数aは、一対の回折光13A及び13Bの間に生じる周
期的光強度変化の位相差がπ/2となる様に設定されて
おり、典型的な光学式変位検出装置と同様にA相回折光
とB相回折光が得られる。
【0011】最後に、受光素子5AはA相回折光の周期
的光強度変化に応じたA相電気信号を出力し、他方の受
光素子5BもB相回折光の周期的光強度変化に応じたB
相電気信号を出力する。A相回折光とB相回折光の間に
生じる周期的光強度変化の位相差に対応して、A相信号
とB相信号との間にも電気的な位相差が生じる。
【0012】
【作用】本発明によれば、干渉光学系2によって生成さ
れた参照用の干渉縞1に対して、位相格子4の形成され
た変位部材3を相対的に変位させつつ回折光を生成して
いる。この回折光を直接受光素子5A,5Bにより受光
して変位検出を行なう。従って、変位部材3と受光素子
5A,5Bとの間に何ら固定マスク等の中間部材を介在
させる必要がない。又、参照用の干渉縞1は一対の光束
7及び8の交差領域に渡って広範囲に存在するので、変
位部材3の軸方向位置を厳しく設定する必要がなく、外
乱に強く且つノイズの少ない検出出力を得る事ができ
る。換言すると、干渉縞1のコントラスト及び周期は広
範囲に渡って実質的に変動しない。
【0013】さらに、本発明によれば、一対のA相回折
光及びB相回折光の間に生じる周期的光強度変化の位相
差に基いて変位方向を検出している。例えば、変位部材
3が+S方向に変位する時にはA相回折光に対応するA
相信号はB相回折光に対応するB相信号に比べて進相と
なり、逆に−S方向に変位する場合には遅相となる。こ
の様に、特有の光学的周期構造を有する位相格子4を用
いる事により直接A相回折光及びB相回折光を形成で
き、従来の様に何ら変位方向検出の為のスリット列を要
しない。
【0014】
【実施例】以下図面を参照して本発明の好適な実施例を
詳細に説明する。図2は本発明をレーザロータリエンコ
ーダに応用した一実施例を示す模式的斜視図である。図
示する様に、本エンコーダは、球面波から成る可干渉光
を放射する為の半導体レーザ例えばレーザダイオード1
1を備えている。レーザダイオード11の光軸方向前方
にはコリメータレンズ12が配置されており、球面波を
平面波に変換する。コリメータレンズ12の光軸方向前
方にはフレネル複プリズム9が配置されており、平面波
から成る可干渉光を一対の光束即ちu波及びv波に分割
する。分割されたu波及びv波はその光軸が互いに交差
しており、交差領域に所定の周期を有する干渉縞を生成
する。
【0015】この交差領域を横切る様に、ロータリエン
コーダ板3が配置されている。このエンコーダ板3は変
位部材を構成し、矢印で示す様に、u波及びv波の交差
領域を横切る様に+S及び−Sで表わされる両方向に回
転変位可能である。ロータリエンコーダ板3の円周方向
に沿って位相格子4が形成されている。位相格子4は特
有な光学的周期構造を有しており、第一光路部41、第
二光路部42及び第三光路部43の繰り返し配列となっ
ている。即ち、第一光路部41と第二光路部42は干渉
縞の周期の半分に相当するピッチで交互に形成されてい
るとともに、第三光路部43は両者の間に形成されてい
る。図から明らかな様に、これらの光路部は凹凸状に配
列されており、段差に従って入射光に対して光路差が生
じ相対的な位相差を与える。この相対的位相差はエンコ
ーダ板3の表面に対応する第三光路部43を基準として
0にすると、第一光路部41においては(2m1 +1)
π、第二光路部42においては(2m2 ±a)πとなる
様に設定されている。但し、定数m1 及びm2 は整数で
あり、定数aは0よりも大きく1よりも小さい所定の値
である。かかる光学周期構造を有する位相格子4は例え
ば所定の金型を用いてポリメタクリル酸メチル等の光学
樹脂材料をモールド成形する事によりエンコーダ板3と
一体的に得られる。あるいは、コンパクトディスクの加
工と同様に、スタンピング技術を用いて位相格子を形成
する事も可能である。なお、本実施例においては凹凸状
の段差寸法に従って所定の光路差が設定されているが、
位相格子は必ずしもかかる構造に限られない。例えば、
エンコーダ板3の厚み寸法を周期的に変化させる代わり
に、透明材料から成るエンコーダ板3の屈折率を円周方
向に沿って周期的に変化させても良い。さらには、凹凸
界面を介して屈折率の異なる2枚の光学材料を積層して
平坦な位相格子を形成しても良い。
【0016】フレネル複プリズム9によって形成された
干渉縞は、位相格子4によって回折され所定の回折方向
に複数の次数の回折光を放射する。この中には、一対の
選択されたA相回折光13AとB相回折光13Bが含ま
れる。エンコーダ板3を介してレーザダイオード11と
反対側に受光部例えばフォトダイオードアレイ5が配置
されている。フォトダイオードアレイ5はA相回折光を
受光する為の受光面5AとB相回折光を受光する為の受
光面5Bとを備えており、各々回折光の光強度変化に応
じた交流電気信号を出力する。
【0017】次に、図3を参照して図2に示すレーザロ
ータリエンコーダの動作を詳細に説明する。先ず参照用
に用いられる干渉縞の形成について説明する。図示する
様に、フレネル複プリズム9は所定の角度で反対方向に
傾いた一対の分割面91及び92を有している。プリズ
ム9に入射した平面波可干渉光は各分割面で各々屈折さ
れ第一の光束7即ちu波と第二の光束8即ちv波を出射
する。両波の光軸は交差角θで互いに交わっている。u
波はその光軸方向に進行する第一波面を有している。こ
の第一波面は波長λを有し平行な実線で示す様に山と谷
が交互に配列されている。又、v波もその光軸方向に沿
って進行する第二波面を有しており、同様に波長λで山
と谷が交互に配列している。両波は交差領域において互
いに干渉し、山と山及び谷と谷が強め合い、所定の周期
Pを有する干渉縞1を生成する。この干渉縞1は定常状
態にあり参照用として用いられる。干渉縞1の周期Pは
図示する幾何学的関係から明らかな様に2sinθ/λ
で与えられる。
【0018】次に、位相格子による回折について説明す
る。図示する様に、位相格子4は、干渉縞の周期Pと同
じピッチで等間隔に配列された第一光路部41を有して
いる。この凸形状の第一光路部41は凹形状の第三光路
部43に対して位相差d=πを有する。隣り合う第一光
路部41の間には周期Pの半分に相当する間隔で第二光
路部42が設けられている。この凸形状の第二光路部4
2は凹形状の第三光路部43に対してd=aπの位相差
を有している。干渉縞1は位相格子4によって回折さ
れ、±1次,±3次,±5次等の回折光が発生する。な
お、この回折次数は位相格子面の法線方向を基準として
定義されており、図示では回折角ηで反時計方向側に+
n次の回折光が現れ、時計方向側に−n次の回折光が現
れる様に決めている。何れも、回折次数が大きくなるほ
ど回折角ηは大きくなる。参照用の干渉縞1に対して位
相格子4が相対的に変位すると、回折光の光強度が周期
的に変化する。この光強度の周期的変化を受光素子で検
出する事によりエンコーダ板の変位量を検出できる。+
n次回折光と−n次回折光との間には、周期的光強度変
化に関し、位相格子4の変位方向に応じて所定の位相差
が生じる。例えば、図示の例においては、位相格子4が
+S方向に変位すると、+n次回折光13Aの振幅変化
は−n次回折光13Bに対して進相となる。逆に、位相
格子4が−S方向に変位すると、+n次回折光13Aの
振幅変化は−n次回折光13Bに比べて遅相となる。定
数aを適当な値に設定する事により、この位相差を絶対
値でπ/2にする事ができる。なお、この位相差は一般
的に1次回折光には現れず3次以上の高次回折光にのみ
現れる。回折光の振幅変化の位相差は一対の受光素子5
A及び5Bから出力される正弦波A相信号及びB相信号
の間に生じる電気的な位相差により検出される。
【0019】最後に、±n次の回折光に位相差が生じる
理由を理論的に説明する。先ず、次数nの回折光の複素
振幅U(φ)は以下の数式1によって一般的に表され
る。
【数1】 但し、dは位相格子4に形成された位相差、λは入射光
の波長、γはθとηとの和によって表わされる変数、n
は回折次数、mは位相格子の次数であり各光路部に対し
て順に番号が付されている。又、Wは位相格子面に対し
て入射光の波面が角度θだけ傾いて入射した時生じる位
相ずれを表わしており、格子次数m=0での入射波面を
基準としている。さらに、φは格子変位を位相量として
表わした変数でありφ=πの時、位相格子は干渉縞の一
周期Pに相当する分だけ変位した事を表わす。加えて、
ΔSは位相格子の開口幅を表わしている。
【0020】ここで理論的な解析を簡単化する為に、数
式1に現われる積分項の前の定数項を無視し且つΔSが
0に近い場合について考える。この様にすると、前述の
数式1は下記の数式2の様に変形できる。
【数2】 但し、格子の次数mについては回折に必要な範囲に注目
する事とし、0ないし7までとしている。
【0021】次に、ここでは例として回折次数n=+3
の場合について計算する事とし、図3に示す幾何学的な
ダイヤグラムに基いて数式2に表われる各係数を求め
る。この結果を以下の表1に示す。
【表1】
【0022】表1に示したデータを数式2に代入して計
算し整理すると以下の数式3が得られる。
【数3】 この数式3を実数成分と虚数成分に分割し整理すると以
下の数式4が得られる。
【数4】 なお、数式4を求めるに当って以下の数式5を利用して
いる。
【数5】
【0023】一般に、光強度は以下の数式6によって表
される。
【数6】 なお、数式6において*は複素共役を表わす。この数式
6を用いて回折次数n=+3の場合における回折光の光
強度を求めると、数式4を利用して以下の数式7の様に
算出される。さらに、以下の数式8及び数式9を用いて
数式7を簡単化し整理すると以下の数式10が得られ
る。
【数7】
【数8】
【数9】
【数10】 なお、数式10においてβ及びZは以下の数式11及び
数式12によって定義されている。
【数11】
【数12】
【0024】同様にして回折次数n=−3の時の光強度
を求める。先ず、回折次数n=+3の場合に用いられた
数式3に対応して以下の数式13が得られる。
【数13】 この数式13に基いて同様の演算を行なうと最終的に以
下の数式14で表わされる光強度が求められる。
【数14】
【0025】数式10から明らかな様に、+3次回折光
の光強度はcos(2φ+β)に従って変化する。又、
数式14から明らかな様に、−3次回折光の光強度はc
os(2φ−β)に従って変化する。両回折光の位相差
は2βとなる。この位相差は位相格子の変位方向に応じ
てその極性が反転する。一般的に、エンコーダの位相差
はπ/2に設定するのが普通である。従って、2β=±
(π/2)となる様に定数aを設定すれば良い。この計
算は、上述した数式5,数式8,数式9及び数式11を
用いて行われる。図3に示す例においては、例えば0よ
りも大きく2よりも小さい範囲において、a=0.29
5あるいはa=1.705に設定した時、位相差π/2
が得られた。なお、上述した理論回折においては、次数
n=3について計算を行なったが、より高次の回折光に
ついても同様な結果を得る事ができる。但し、1次の回
折光についてはその光強度の周期的変化に関し正側と負
側との間で位相差は認められない。
【0026】図4乃至図6は上述した解析結果をグラフ
に表わしたものである。図4のグラフはa=0.2の場
合を示す。縦軸に回折光強度をとり、横軸に位相格子の
変位量をとっている。この場合に、位相格子は+S側に
変位しているものとする。位相格子の変位に伴って±1
次の回折光の光強度は周期的に変化している。位相格子
が干渉縞の周期Pに相当する分だけ変位すると、回折光
も一周期だけ変化する。この周期変化を電気的に検出す
る事により位相格子の変位量を測定できる。但し、±1
次回折光については両者の間に位相差は生じない。これ
に対して、+3次及び−3次の回折光も同様に周期的な
変化を呈するが、加えて両者の間に位相差が生じる。即
ち、+3次の回折光は−3次の回折光に比べて進相であ
る。しかしながら、a=0.2の場合にはその位相差は
π/2よりも小さい。
【0027】図5はa=0.3の場合の回折光強度変化
を表わす。図4に示すグラフと基本的に同様であるが、
+3次の回折光と−3次の回折光との間の位相差はおよ
そπ/2となっており、上述した解析結果でのa=0.
295と略一致している。
【0028】図6はa=0.5に設定した場合を示して
いる。この時には、+3次の回折光と−3次の回折光と
の間の位相差はπ/2以上に拡大している。
【0029】最後に、図7を参照して本発明にかかる光
学式変位検出装置の他の実施例を説明する。本実施例は
図2に示す実施例と異なり反射型の位相格子104の形
成されたエンコーダ板103を利用している。加えて、
このエンコーダ板103は図2に示すロータリエンコー
ダ板3と異なり、直線方向に変位可能となっている。即
ち、図7に示す実施例は反射型のレーザリニヤエンコー
ダである。本エンコーダは、球面波から成る可干渉光を
放射する為のレーザダイオード111を備えている。レ
ーザダイオード111の光軸方向前方にはコリメータレ
ンズ112が配置されており、球面波を平面波に変換す
る。コリメータレンズ112の光軸方向前方にはフレネ
ル複プリズム109が配置されており、平面波から成る
可干渉光を一対の光束に分割する。分割された光束はそ
の光軸が互いに交差しており、交差領域に所定の周期を
有する干渉縞を生成する。この干渉縞は、前述した反射
型の位相格子104によって回折され複数の回折光が形
成される。互いに所定の位相差を有する一対の回折光が
各々対応する受光素子105A及び105Bによって受
光されリニヤエンコーダ板103の変位量及び変位方向
が検出される。
【0030】
【発明の効果】以上の説明から明らかな様に、本発明に
よれば、2光線束干渉光学系を用いて干渉縞を生成する
とともに、この干渉縞を変位部材に照射し受光素子で直
接受光する様にしている。従って、変位部材と受光素子
との間に何ら固定マスク板等を介在させる必要が無いの
で、光学式変位検出装置の構造を小型化し且つ単純化す
る事ができるとともに振動衝撃に対して強い構造を得る
事ができるという効果がある。又、2光線束干渉光学系
により生成された干渉縞は光軸方向の広い範囲に渡って
一定のコントラスト及び周期を有しており、変位部材の
位置が外乱等により光軸方向に変動しても検出誤差の原
因となるノイズが発生しないという効果がある。さらに
は、特有な光学的周期構造を有する位相格子を変位部材
に形成し干渉縞を回折するとともに、一対の回折光に含
まれる光強度変化の位相差を検出する事により変位板の
変位方向を特定しているので、従来の様に変位方向検出
の為のスリット列や格子列を別途設ける必要が無いとい
う効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる光学式変位検出装置の基本的構
成を示す模式図である。
【図2】本発明をレーザロータリエンコーダに応用した
一実施例を示す模式的斜視図である。
【図3】図2に示すレーザロータリエンコーダの光学的
な動作を説明する為の模式図である。
【図4】回折光強度と変位部材の変位との関係を示すグ
ラフである。
【図5】回折光強度と変位部材の変位との関係を示すグ
ラフである。
【図6】回折光強度と変位部材の変位との関係を示すグ
ラフである。
【図7】本発明を反射型レーザリニヤエンコーダに適用
した他の実施例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 干渉縞 2 干渉光学系 3 変位部材 4 位相格子 5A 受光素子 5B 受光素子 7 光束 8 光束 9 光学分割部材 11 レーザ光源 13A A相回折光 13B B相回折光 41 第一光路部 42 第二光路部 43 第三光路部

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の周期を有する干渉縞を生成する為
    の干渉光学系と、該干渉縞を横切る様に双方向に変位可
    能な変位部材と、該変位部材に形成されており干渉縞を
    回折して変位に応じた周期的光強度変化を呈する複数の
    回折光を所定の回折角で生成する為の位相格子と、固定
    マスクを介することなく一対の回折光を受光するために
    これらの回折角に応じた位置に配され、回折光の周期的
    光強度変化に基いて変位量を検出するとともに、該一対
    の回折光の間に生じる周期的光強度変化の位相差に基い
    て変位方向を検出する為の受光部とから構成される光学
    式変位検出装置。
  2. 【請求項2】 該位相格子は、干渉縞の周期の半分に相
    当するピッチで交互に形成された第一及び第二光路部と
    その間に形成された第三光路部とからなる光学的周期構
    造を有するとともに、これら光路部の入射光に対する相
    対的位相差が、第一光路部、第三光路部及び第二光路部
    の順に、(2m1 +1)π,0,(2m2 ±a)πの様
    に設定されている請求項1に記載の光学式変位検出装
    置。ただし、定数m1 及びm2 は整数であり、定数aは
    0よりも大きく1よりも小さい所定の値である。
  3. 【請求項3】 定数aは、一対の回折光の間に生じる周
    期的光強度変化の位相差がπ/2となる様に設定されて
    いる請求項2に記載の光学式変位検出装置。
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