JP2964819B2 - アルミニウム合金製シリンダヘッドのバルブシートの形成方法 - Google Patents
アルミニウム合金製シリンダヘッドのバルブシートの形成方法Info
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- JP2964819B2 JP2964819B2 JP5045280A JP4528093A JP2964819B2 JP 2964819 B2 JP2964819 B2 JP 2964819B2 JP 5045280 A JP5045280 A JP 5045280A JP 4528093 A JP4528093 A JP 4528093A JP 2964819 B2 JP2964819 B2 JP 2964819B2
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、シリンダブロックの頭
部に一体化されてエンジン本体を構成するシリンダヘッ
ドに関し、とくに、アルミニウム合金製シリンダヘッド
のバルブシートの形成方法に関するものである。
部に一体化されてエンジン本体を構成するシリンダヘッ
ドに関し、とくに、アルミニウム合金製シリンダヘッド
のバルブシートの形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、エンジン本体を構成するシリンダ
ブロックおよびシリンダヘッドのうち、シリンダヘッド
は、複雑な形状をなしているので、鋳造性に優れた材料
が使用され、ガソリンエンジンでは、一般的に、アルミ
ニウム合金(AC 2A,AC4B,AC 4D,AC
5AおよびそれらのT6処理材など)が使用される。
ブロックおよびシリンダヘッドのうち、シリンダヘッド
は、複雑な形状をなしているので、鋳造性に優れた材料
が使用され、ガソリンエンジンでは、一般的に、アルミ
ニウム合金(AC 2A,AC4B,AC 4D,AC
5AおよびそれらのT6処理材など)が使用される。
【0003】このアルミニウム合金製シリンダヘッド
は、吸・排気ポートをそなえていると共に、この吸・排
気ポートの開口部分、すなわち吸・排気バルブのバルブ
フェースとの当たり部分にはバルブシートをそなえてい
る。
は、吸・排気ポートをそなえていると共に、この吸・排
気ポートの開口部分、すなわち吸・排気バルブのバルブ
フェースとの当たり部分にはバルブシートをそなえてい
る。
【0004】そして、従来の場合には、一般的に、吸気
側のバルブシートには鋳鉄材よりなるものが使用され、
排気側のバルブシートには焼結材よりなるものが使用さ
れていて、これら別体成形されたバルブシートを吸・排
気ポートの開口部分に圧入する構造としていた。
側のバルブシートには鋳鉄材よりなるものが使用され、
排気側のバルブシートには焼結材よりなるものが使用さ
れていて、これら別体成形されたバルブシートを吸・排
気ポートの開口部分に圧入する構造としていた。
【0005】しかしながら、このような圧入構造とした
場合には、シリンダヘッド本体とバルブシートとの間に
空気の断熱層が生じ、エンジンの運転によって温度が上
昇した際に、バルブシートからシリンダヘッド本体への
熱の伝導が上記断熱層の存在によって妨げられるので、
バルブシートの温度が上昇して耐摩耗性や耐へたり性等
の要求特性が低下することがあった。
場合には、シリンダヘッド本体とバルブシートとの間に
空気の断熱層が生じ、エンジンの運転によって温度が上
昇した際に、バルブシートからシリンダヘッド本体への
熱の伝導が上記断熱層の存在によって妨げられるので、
バルブシートの温度が上昇して耐摩耗性や耐へたり性等
の要求特性が低下することがあった。
【0006】また、バルブシートの素材となる鋳鉄材や
焼結材は、その熱伝導率および熱膨張率がシリンダヘッ
ド本体のアルミニウム合金に比べて小さいことから、バ
ルブシートを圧入する吸・排気ポートの開口部分におけ
る寸法を各々の熱伝導率および熱膨張率を考慮した厳密
なものとする必要があるため、複雑な加工工程をとる必
要があった。
焼結材は、その熱伝導率および熱膨張率がシリンダヘッ
ド本体のアルミニウム合金に比べて小さいことから、バ
ルブシートを圧入する吸・排気ポートの開口部分におけ
る寸法を各々の熱伝導率および熱膨張率を考慮した厳密
なものとする必要があるため、複雑な加工工程をとる必
要があった。
【0007】そのため、図1に示すように、シリンダブ
ロック1と一体化されたアルミニウム合金製シリンダヘ
ッド2の吸・排気ポート3の開口部におけるバルブシー
ト形成部分に、レーザ肉盛による合金層を形成し、その
後バルブシート4の形状に仕上げ加工し、このバルブシ
ート4に対して吸・排気バルブ5のバルブフェース6が
当たる構造とすることによって、別体成形したバルブシ
ートを用いなくても済むようにした技術も開発されてい
た(例えば、欧州特許出願公開92683号,特公平2
−58444号)。
ロック1と一体化されたアルミニウム合金製シリンダヘ
ッド2の吸・排気ポート3の開口部におけるバルブシー
ト形成部分に、レーザ肉盛による合金層を形成し、その
後バルブシート4の形状に仕上げ加工し、このバルブシ
ート4に対して吸・排気バルブ5のバルブフェース6が
当たる構造とすることによって、別体成形したバルブシ
ートを用いなくても済むようにした技術も開発されてい
た(例えば、欧州特許出願公開92683号,特公平2
−58444号)。
【0008】ところが、アルミニウム合金製シリンダヘ
ッドにおいて、その合金中のガス含有量が0.1cc/
100gを超えるようになると、レーザ肉盛の際に、合
金中に含有されていたガスがレーザ加熱によって膨張す
ることとなるので、肉盛部分の剥離を生じる可能性があ
った。
ッドにおいて、その合金中のガス含有量が0.1cc/
100gを超えるようになると、レーザ肉盛の際に、合
金中に含有されていたガスがレーザ加熱によって膨張す
ることとなるので、肉盛部分の剥離を生じる可能性があ
った。
【0009】そのため、図5にも示すように、ガス含有
量が0.1cc/100g以下であるガス含有量の少な
い高品質なアルミニウム合金製シリンダヘッドを鋳造成
形したのち、シリンダヘッドの加工ラインに投入し、バ
ルブシートの形成部分に例えば図6の(a)に示すよう
な断面皿形状の円形溝7や、図6の(b)に示すような
断面円弧形状の円形溝8を形成する肉盛前溝加工を行
い、円形溝7,8を形成したバルブシート形成部分にレ
ーザ肉盛を行ったのち、バルブシート形状に仕上げ加工
し、その後シリンダヘッドの残り部分の加工を実施する
工程を採用することがあった。
量が0.1cc/100g以下であるガス含有量の少な
い高品質なアルミニウム合金製シリンダヘッドを鋳造成
形したのち、シリンダヘッドの加工ラインに投入し、バ
ルブシートの形成部分に例えば図6の(a)に示すよう
な断面皿形状の円形溝7や、図6の(b)に示すような
断面円弧形状の円形溝8を形成する肉盛前溝加工を行
い、円形溝7,8を形成したバルブシート形成部分にレ
ーザ肉盛を行ったのち、バルブシート形状に仕上げ加工
し、その後シリンダヘッドの残り部分の加工を実施する
工程を採用することがあった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ガス含
有量の少ないアルミニウム合金製シリンダヘッドを鋳造
することは通常の工程では難しく、通常は0.2〜0.
3cc/100g程度のガス含有量となるため、アルミ
ニウム合金溶湯の段階で十分な脱ガス処理を行うことが
必要であると共に、低圧鋳造機の加圧空気を除湿するこ
とが必要であるなど、合金中のガス含有量を少なくする
ための諸施策を講じることが必要となって、コストの上
昇をもたらすことになるという課題があった。
有量の少ないアルミニウム合金製シリンダヘッドを鋳造
することは通常の工程では難しく、通常は0.2〜0.
3cc/100g程度のガス含有量となるため、アルミ
ニウム合金溶湯の段階で十分な脱ガス処理を行うことが
必要であると共に、低圧鋳造機の加圧空気を除湿するこ
とが必要であるなど、合金中のガス含有量を少なくする
ための諸施策を講じることが必要となって、コストの上
昇をもたらすことになるという課題があった。
【0011】
【発明の目的】本発明は、上述した従来の課題にかんが
みてなされたものであって、通常のガス含有量となって
いるアルミニウム合金製シリンダヘッドを用いて肉盛お
よび仕上げ加工によってバルブシートを形成したときで
も、肉盛合金の部分で剥離などの不具合が生じることが
なく、品質の良い高歩留りのものとすることが可能であ
るアルミニウム合金製シリンダヘッドのバルブシートの
形成方法を提供することを目的としている。
みてなされたものであって、通常のガス含有量となって
いるアルミニウム合金製シリンダヘッドを用いて肉盛お
よび仕上げ加工によってバルブシートを形成したときで
も、肉盛合金の部分で剥離などの不具合が生じることが
なく、品質の良い高歩留りのものとすることが可能であ
るアルミニウム合金製シリンダヘッドのバルブシートの
形成方法を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係わるアルミニ
ウム合金製シリンダヘッドのバルブシートの形成方法
は、吸・排気バルブのバルブフェースが当たるバルブシ
ートをそなえた構造のものにおいて前記バルブシートを
形成するにあたり、前記バルブシートの形成部分に断面
矩形の円形溝を設け、前記円形溝の部分を再溶融して当
該部分のアルミニウム合金中に含まれているガスを再溶
融により除去したのち、前記再溶融により角が丸められ
た円形溝の部分に肉盛し、次いで肉盛した部分をバルブ
シート形状に仕上げ加工する構成としたことを特徴とし
ている。
ウム合金製シリンダヘッドのバルブシートの形成方法
は、吸・排気バルブのバルブフェースが当たるバルブシ
ートをそなえた構造のものにおいて前記バルブシートを
形成するにあたり、前記バルブシートの形成部分に断面
矩形の円形溝を設け、前記円形溝の部分を再溶融して当
該部分のアルミニウム合金中に含まれているガスを再溶
融により除去したのち、前記再溶融により角が丸められ
た円形溝の部分に肉盛し、次いで肉盛した部分をバルブ
シート形状に仕上げ加工する構成としたことを特徴とし
ている。
【0013】そして、再溶融および肉盛に、レーザ再溶
融およびレーザ肉盛を用いる構成とすることが可能であ
る。
融およびレーザ肉盛を用いる構成とすることが可能であ
る。
【0014】この場合、レーザ再溶融およびレーザ肉盛
において同じレーザ加工設備を使用し、また、レーザ再
溶融とレーザ肉盛とで同じレーザ加熱条件とし、レーザ
再溶融の際には粉末を送給せず、レーザ肉盛に入って粉
末を送給するというように、粉末供給の有無だけが異な
るレーザ加工とすることが可能である。
において同じレーザ加工設備を使用し、また、レーザ再
溶融とレーザ肉盛とで同じレーザ加熱条件とし、レーザ
再溶融の際には粉末を送給せず、レーザ肉盛に入って粉
末を送給するというように、粉末供給の有無だけが異な
るレーザ加工とすることが可能である。
【0015】図2は本発明に係わるアルミニウム合金製
シリンダヘッドのバルブシートの形成方法の実施態様を
示すものであって、通常のガス含有量(例えば、0.2
〜0.3cc/100g程度)を有する例えば図1に示
したアルミニウム合金製シリンダヘッド2を低圧鋳造に
より成形したのち、このアルミニウム合金製シリンダヘ
ッド2を加工ラインに投入し、バルブシートの形成部分
に例えば図3に示すような断面矩形の円形溝9を加工
し、前記円形溝9の部分を再溶融(リメルト)して当該
部分のアルミニウム合金中に含まれているガスを再溶融
により除去したのち、前記再溶融により角が丸められた
円形溝の部分にレーザ肉盛し、次いで肉盛した部分をバ
ルブシート形状に仕上げ加工し、その後シリンダヘッド
の残りの加工を実施する。
シリンダヘッドのバルブシートの形成方法の実施態様を
示すものであって、通常のガス含有量(例えば、0.2
〜0.3cc/100g程度)を有する例えば図1に示
したアルミニウム合金製シリンダヘッド2を低圧鋳造に
より成形したのち、このアルミニウム合金製シリンダヘ
ッド2を加工ラインに投入し、バルブシートの形成部分
に例えば図3に示すような断面矩形の円形溝9を加工
し、前記円形溝9の部分を再溶融(リメルト)して当該
部分のアルミニウム合金中に含まれているガスを再溶融
により除去したのち、前記再溶融により角が丸められた
円形溝の部分にレーザ肉盛し、次いで肉盛した部分をバ
ルブシート形状に仕上げ加工し、その後シリンダヘッド
の残りの加工を実施する。
【0016】これによって、バルブシートの形成部分が
再溶融されていて、前記再溶融された部分に肉盛および
仕上げ形成されたバルブシート4をそなえたアルミニウ
ム合金製シリンダヘッド2が得られることとなる。
再溶融されていて、前記再溶融された部分に肉盛および
仕上げ形成されたバルブシート4をそなえたアルミニウ
ム合金製シリンダヘッド2が得られることとなる。
【0017】
【発明の作用】本発明に係わるアルミニウム合金製シリ
ンダヘッドのバルブシートの形成方法は、上述した構成
を有するものであるから、通常のガス含有量を有するア
ルミニウム合金製シリンダヘッドを用いたときでも、バ
ルブシートの形成部分において肉盛を行う前に再溶融を
行うようにしているので、合金中に含まれているガスが
再溶融によって飛散してしまうこととなって、その結
果、合金中のガス含有量が少ないものとなり、その後、
再溶融した部分に肉盛を行ったときでも従来のようなガ
スの膨張を生じるようなことがなくなり、次いで肉盛し
た部分をバルブシート形状に仕上げ加工するようにして
いるので、肉盛合金の部分において剥離などの不具合を
生じがたいものとなる。
ンダヘッドのバルブシートの形成方法は、上述した構成
を有するものであるから、通常のガス含有量を有するア
ルミニウム合金製シリンダヘッドを用いたときでも、バ
ルブシートの形成部分において肉盛を行う前に再溶融を
行うようにしているので、合金中に含まれているガスが
再溶融によって飛散してしまうこととなって、その結
果、合金中のガス含有量が少ないものとなり、その後、
再溶融した部分に肉盛を行ったときでも従来のようなガ
スの膨張を生じるようなことがなくなり、次いで肉盛し
た部分をバルブシート形状に仕上げ加工するようにして
いるので、肉盛合金の部分において剥離などの不具合を
生じがたいものとなる。
【0018】
【実施例】まず、JIS AC 2Cで制定する成分組
成を有するアルミニウム合金を用いて低圧鋳造機により
アルミニウム合金製シリンダヘッド2を鋳造した。ここ
で、アルミニウム合金製シリンダヘッド2のガス含有量
を調べたところ、0.2〜0.3cc/100gとなっ
ていた。
成を有するアルミニウム合金を用いて低圧鋳造機により
アルミニウム合金製シリンダヘッド2を鋳造した。ここ
で、アルミニウム合金製シリンダヘッド2のガス含有量
を調べたところ、0.2〜0.3cc/100gとなっ
ていた。
【0019】次いで、このアルミニウム合金製シリンダ
ヘッドを加工ラインに投入し、バルブシートの形成部分
に、図3に示す直径d=4.5±0.5mm,深さD=
0.1±0.05mmの断面矩形状をなす円形溝9を加
工した。
ヘッドを加工ラインに投入し、バルブシートの形成部分
に、図3に示す直径d=4.5±0.5mm,深さD=
0.1±0.05mmの断面矩形状をなす円形溝9を加
工した。
【0020】次いで、前記円形溝9の部分を表1に示す
条件でレーザ再溶融を行った。
条件でレーザ再溶融を行った。
【0021】
【表1】
【0022】この再溶融によって円形溝9のエッジ部分
が丸められたものとなっており、次いで、この円形溝9
の部分に表2に示す条件でレーザ肉盛を行った。
が丸められたものとなっており、次いで、この円形溝9
の部分に表2に示す条件でレーザ肉盛を行った。
【0023】
【表2】
【0024】続いて、レーザ肉盛した部分をバルブシー
ト形状に仕上げ加工したのち、シリンダヘッドの残りの
部分の加工を行うことによって、再溶融および肉盛によ
る一体化されたバルブシート4を有するアルミニウム合
金製シリンダヘッド2を作製した。
ト形状に仕上げ加工したのち、シリンダヘッドの残りの
部分の加工を行うことによって、再溶融および肉盛によ
る一体化されたバルブシート4を有するアルミニウム合
金製シリンダヘッド2を作製した。
【0025】このようにして作製したアルミニウム合金
製シリンダヘッド2において、バルブシート4の部分の
断面組織を顕微鏡観察したところ、ブローホールの存在
はほとんどみられず、品質のよいものとなっていた。
製シリンダヘッド2において、バルブシート4の部分の
断面組織を顕微鏡観察したところ、ブローホールの存在
はほとんどみられず、品質のよいものとなっていた。
【0026】そして、従来のように、図6に示す断面皿
形状の円形溝(直径d=3〜6mm,深さD=0.05
〜1.5mm,テーパ部角度θ=5〜45°)7および
断面円弧形状の円形溝(直径d=3〜6mm,深さD=
0.05〜1.5mm)8を形成したのち、再溶融する
ことなくレーザ肉盛を行い、その後バルブシート形状に
仕上げ加工を行った場合には、図4に示すように、平均
の歩留りが約60%程度であったのに対して、本発明実
施例においては、図3に示す断面矩形状の円形溝(直径
d=4〜5mm,深さD=0.05〜0.15mm)9
を形成したのち、再溶融を行い、再溶融によって角が丸
くなった円形溝9の部分に肉盛を行い、その後、バルブ
シート形状に仕上げ加工を行った場合には、同じく図4
に示すように、平均の歩留りが約90%となっていて、
歩留りの大幅な改善を実現することができた。
形状の円形溝(直径d=3〜6mm,深さD=0.05
〜1.5mm,テーパ部角度θ=5〜45°)7および
断面円弧形状の円形溝(直径d=3〜6mm,深さD=
0.05〜1.5mm)8を形成したのち、再溶融する
ことなくレーザ肉盛を行い、その後バルブシート形状に
仕上げ加工を行った場合には、図4に示すように、平均
の歩留りが約60%程度であったのに対して、本発明実
施例においては、図3に示す断面矩形状の円形溝(直径
d=4〜5mm,深さD=0.05〜0.15mm)9
を形成したのち、再溶融を行い、再溶融によって角が丸
くなった円形溝9の部分に肉盛を行い、その後、バルブ
シート形状に仕上げ加工を行った場合には、同じく図4
に示すように、平均の歩留りが約90%となっていて、
歩留りの大幅な改善を実現することができた。
【0027】
【発明の効果】本発明に係わるアルミニウム合金製シリ
ンダヘッドのバルブシートの形成方法によれば、通常の
ガス含有量を有するアルミニウム合金製シリンダヘッド
を用いたときでも、バルブシート形成部分において肉盛
を行う前に再溶融を行うようにしているので、合金中に
含まれているガスを再溶融によって飛散除去してしまう
ことが可能となり、その結果、合金中のガス含有量が少
ないものとなることから、その後、再溶融した部分に肉
盛を行ったときでも従来のようなガスの膨張を生じるこ
とがなくなり、次いで肉盛した部分をバルブシート形状
に仕上げることによって、肉盛した部分で剥離などのお
それが全くない高品質のバルブシートに形成することが
可能であるという著しく優れた効果がもたらされる。
ンダヘッドのバルブシートの形成方法によれば、通常の
ガス含有量を有するアルミニウム合金製シリンダヘッド
を用いたときでも、バルブシート形成部分において肉盛
を行う前に再溶融を行うようにしているので、合金中に
含まれているガスを再溶融によって飛散除去してしまう
ことが可能となり、その結果、合金中のガス含有量が少
ないものとなることから、その後、再溶融した部分に肉
盛を行ったときでも従来のようなガスの膨張を生じるこ
とがなくなり、次いで肉盛した部分をバルブシート形状
に仕上げることによって、肉盛した部分で剥離などのお
それが全くない高品質のバルブシートに形成することが
可能であるという著しく優れた効果がもたらされる。
【0028】また、バルブシートの形成部分にあらかじ
め円形溝の加工を行ったのち、その部分に肉盛を行うこ
とにより、前記円形溝の断面形状が矩形をなすものであ
って、エッジ部を有するものであったとしても、肉盛前
の再溶融によって前記円形溝のエッジ部が丸められるこ
ととなるので、従来のように円形溝の断面形状を皿形に
したり、円弧状にしたりする必要がなく、円形溝の加工
にエッジ部を伴うものであってもかまわないことから、
円形溝の単純形状化が可能となって、溝成形の際の作業
性および生産性も著しく向上することになるという著し
く優れた効果がもたらされる。
め円形溝の加工を行ったのち、その部分に肉盛を行うこ
とにより、前記円形溝の断面形状が矩形をなすものであ
って、エッジ部を有するものであったとしても、肉盛前
の再溶融によって前記円形溝のエッジ部が丸められるこ
ととなるので、従来のように円形溝の断面形状を皿形に
したり、円弧状にしたりする必要がなく、円形溝の加工
にエッジ部を伴うものであってもかまわないことから、
円形溝の単純形状化が可能となって、溝成形の際の作業
性および生産性も著しく向上することになるという著し
く優れた効果がもたらされる。
【図1】アルミニウム合金製シリンダヘッドの吸・排気
ポート部分を示す断面説明図である。
ポート部分を示す断面説明図である。
【図2】本発明に係わるアルミニウム合金製シリンダヘ
ッドのバルブシートの形成方法の実施態様を示す工程説
明図である。
ッドのバルブシートの形成方法の実施態様を示す工程説
明図である。
【図3】本発明に係わるアルミニウム合金製シリンダヘ
ッドのバルブシートの形成方法において、バルブシート
形成部分に設ける断面矩形状の円形溝を例示する断面説
明図である。
ッドのバルブシートの形成方法において、バルブシート
形成部分に設ける断面矩形状の円形溝を例示する断面説
明図である。
【図4】本発明実施例および従来例でバルブシートを形
成したアルミニウム合金製シリンダヘッドの歩留りを調
べた結果を示すグラフである。
成したアルミニウム合金製シリンダヘッドの歩留りを調
べた結果を示すグラフである。
【図5】従来例におけるアルミニウム合金製シリンダヘ
ッドのバルブシートの形成方法の一例を示す工程説明図
である。
ッドのバルブシートの形成方法の一例を示す工程説明図
である。
【図6】従来例におけるアルミニウム合金製シリンダヘ
ッドのバルブシートの形成方法において、バルブシート
形成部分に設ける断面皿形状(図6の(a))および断
面円弧形状(図6の(b))の円形溝を例示する断面説
明図である。
ッドのバルブシートの形成方法において、バルブシート
形成部分に設ける断面皿形状(図6の(a))および断
面円弧形状(図6の(b))の円形溝を例示する断面説
明図である。
【符号の説明】 1 シリンダブロック 2 アルミニウム合金製シリンダヘッド 3 吸・排気ポート 4 バルブシート 5 吸・排気バルブ 6 バルブフェース 9 円形溝
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F02F 1/24 B23K 26/00 F02F 1/00 F01L 3/24 F01L 3/22
Claims (2)
- 【請求項1】 吸・排気バルブのバルブフェースが当た
るバルブシートをそなえたアルミニウム合金製シリンダ
ヘッドにおいて前記バルブシートを形成するにあたり、
前記バルブシートの形成部分に断面矩形の円形溝を設
け、前記円形溝の部分を再溶融して当該部分のアルミニ
ウム合金中に含まれているガスを再溶融により除去した
のち、前記再溶融により角が丸められた円形溝の部分に
肉盛し、次いで肉盛した部分をバルブシート形状に仕上
げ加工することを特徴とするアルミニウム合金製シリン
ダヘッドのバルブシートの形成方法。 - 【請求項2】 再溶融および肉盛に、レーザ再溶融およ
びレーザ肉盛を用いる請求項1に記載のアルミニウム合
金製シリンダヘッドのバルブシートの形成方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5045280A JP2964819B2 (ja) | 1993-03-05 | 1993-03-05 | アルミニウム合金製シリンダヘッドのバルブシートの形成方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5045280A JP2964819B2 (ja) | 1993-03-05 | 1993-03-05 | アルミニウム合金製シリンダヘッドのバルブシートの形成方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06257505A JPH06257505A (ja) | 1994-09-13 |
JP2964819B2 true JP2964819B2 (ja) | 1999-10-18 |
Family
ID=12714902
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5045280A Expired - Lifetime JP2964819B2 (ja) | 1993-03-05 | 1993-03-05 | アルミニウム合金製シリンダヘッドのバルブシートの形成方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2964819B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3518723B2 (ja) | 1998-05-25 | 2004-04-12 | トヨタ自動車株式会社 | 肉盛方法 |
KR100387488B1 (ko) * | 2001-04-25 | 2003-06-18 | 현대자동차주식회사 | 레이저 클래딩 공법을 이용한 밸브 시트 제조방법 |
JP5272304B2 (ja) * | 2006-12-08 | 2013-08-28 | 日産自動車株式会社 | レーザ肉盛装置 |
-
1993
- 1993-03-05 JP JP5045280A patent/JP2964819B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
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JPH06257505A (ja) | 1994-09-13 |
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