JP2705435B2 - Cr含有油井用鋼管の製造方法 - Google Patents
Cr含有油井用鋼管の製造方法Info
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Description
井開発用材料としてその需要が高まりつつあるCr含有
油井用鋼管の製造方法に関する。
たはガス油井用材料であり、その用途によって、ケー
シング (坑井壁保護用) 、ドリル・パイプ (掘削用)
、チュービング (油吸い上げ用) の3種に分類され
る。従来より、これらの油井用鋼管には、溶接部の信頼
性が低いため、熱延コイルを成形ロールによって順次丸
めて管に成形しその接合部を左右からロールによって加
圧しながら電気抵抗溶接法によって圧接することにより
製造される電縫鋼管は使用されず、鋼塊または鋼片を直
接穿孔して製造する継目無鋼管が使用されていた。
れる13重量%Cr含有鋼(本明細書においては単に「13%
Cr含有鋼」という」) を素材とする油井用鋼管の場合
は、素材が非常に硬く例えば鋼板からの成形が困難なた
め、電縫鋼管の採用は困難であり、継目無鋼管が採用さ
れていた。しかし、継目無鋼管は寸法精度の点で若干問
題がある。また、大規模な生産設備を必要とし、その製
造工程も多く製造コストの上昇は避けられないという問
題もある。したがって、製造コスト低減の観点からは、
13%Cr含有油井用鋼管に継目無鋼管を用いることは望ま
しい方法であるとは言い難い。
鋼に熱間圧延を行った後、低温で巻き取った鋼帯に環状
成形・高周波溶接を行って得た素管を特定温度に加熱し
て歪を付加した後焼鈍することにより、加工性を向上し
た熱処理用電縫鋼管の製造法が提案されている。
溶接部における不均一な組織を改善して管全体にわたっ
て均一なオーステナイト組織を有するオーステナイト系
ステンレス電縫鋼管を製造するために、電気抵抗溶接法
で製造されたステンレス電縫鋼管の溶接部または溶接部
を含む母材部に加熱温度が1100℃以上であって、保定時
間が下記式 (0.0367T+10.0)logt +0.735T+201 ≧1000 T: 加熱温度 (℃) t: 保定時間 (Hr) を満足する時間の高温度固溶化処理を施す方法が提案さ
れている。
号公報により提案された方法、または特公平2−466
52号公報により提案された方法を、13%Cr含有鋼
からなる油井用鋼管に適用しようとしても、前述のよう
に13%Cr含有鋼は極めて成形性が低いため、いずれ
の方法によっても所望の管状に成形することができなか
った。ここに、本発明の目的は、Cr含有油井用鋼管を
電縫鋼管により製造する方法を提供することにある。
先に特願平3−279976号により、C:0.15 〜0.40%、S
i:0.1〜0.7 %、Mn:1.0〜2.7 %、Cr:0.5〜2.5 %を有
する組成の熱延コイルに軟化処理を行ってその強度を80
kgf/mm2以下に低下させることにより、電縫鋼管への成
形を容易にする技術を提案した。
有鋼からなる油井用鋼管に用いることができるのではな
いかと考え、種々検討を重ねた結果、 (i)Cr含有鋼からなる熱延コイルに特定の温度で軟
化焼鈍を行ってから管状への成形・電気抵抗溶接を行う
ことにより、成形時の強度を低下させて成形を容易にで
きること、および (ii)溶接後に特定の温度で焼ならし・焼戻しを行う
ことにより、電縫鋼管の強度および靭性を母材部および
溶接部ともに確保できることを知り、従来成形が困難で
あるために電縫鋼管を用いることができないとされてい
たCr含有油井用鋼管を電縫鋼管により製造することが
可能となることを知見して、本発明を完成した。
rを12〜14重量%含有する熱延コイルを素材とする
電縫鋼管の製造方法であって、前記熱延コイルに820
℃以上870℃以下の温度範囲内で20時間以上の軟化
焼鈍を行ってから電縫鋼管とし、980℃以上1100
℃以下で焼ならしを行い、さらに700℃以上740℃
以下で焼戻しを行うことを特徴とするCr含有油井用鋼
管の製造方法である。
お、本明細書において「%」は特にことわりがない限り
「重量%」を意味するものとする。本発明の適用対象の
鋼種は、いわゆる13%Cr含有鋼であり、そのCr含
有量は12〜14%である。その他の組成は何ら限定を
要するものでなく、油井用鋼管として従来から用いられ
ている通常の鋼種であればよい。例えば、Cr以外の組
成として、C:0.15〜0.22%、Si:0.1〜
1.0%、Mn:0.25〜1.00%、P:0.00
5〜0.030%、S:0.001〜0.020%、残
部Feおよび不可避的不純物を例示することができる。
素材とする。熱間圧延の条件、コイルの板厚等について
も公知の条件と同程度であればよく、何ら限定を要する
ものではない。この13%Cr含有鋼からなる熱延コイル
は、熱間圧延を終了したままの時点では引張強さが約14
0kgf/mm2と極めて高いためにスプリングバックが強く、
このままでは欠陥がなく真円度が高い成形は不可能であ
る。そこで、本発明では、熱延コイルの状態で軟化焼鈍
を行うことにより、炭化物を球状化して析出させ、強度
を55kgf/mm2 程度に低下させる。
対して行うものであるからバッチ式焼鈍炉を用いること
はいうまでもない。炭化物を球状化して析出させ、強度
を55kgf/mm2程度に低下させるためには、82
0℃以上870℃以下で20時間以上行い望ましくは焼
鈍時間は25時間以上30時間以下である。すなわち、
焼鈍温度が820℃未満または焼鈍時間が20時間未満
では軟化のレベルが不足し、次工程である電縫鋼管成形
時に真円度が満足されずに栗型または栗型の窪んだ形状
となってしまい、一方870℃超では結晶粒が粗大化し
て混粒となり、最終製品の延性・靭性が劣化してしまう
からである。
がって電縫鋼管とする。例えば、通常の電縫製管ミルに
より製管すればよく、本発明では何ら限定を要さない。
このようにして製管された13%Cr含有電縫鋼管に、
API−N80級の強度および靭性を付与するために、
980℃以上1100℃以下で焼ならしを行い、さらに
700℃以上740℃以下で焼戻しを行う。
により、軟化焼鈍の際に生じた球状化炭化物の完全固溶
化を図り、母材の強度および靱性を確保するとともに溶
接部にも母材部と同等かつ均一な強度および靭性を付与
することが可能となる。また、焼ならし温度が1100
℃超であると、球状化炭化物の完全再固溶化は達成され
るものの製品における靭性が不足するため、焼ならし温
度は1100℃以下と限定する。焼戻し温度は、靭性確
保の観点から700℃以上とすること、さらにAPI−
N80級の強度確保の観点からは740℃以下、すなわ
ち700℃以上740℃以下である。
有油井用鋼管を電縫鋼管により低コストかつ高寸法精度
で製造することが可能となった。さらに、本発明を実施
例を参照しながら詳述するが、これは本発明の例示であ
り、これにより本発明が限定されるものではない。
し、連続鋳造法によりスラブとした後徐冷して軟化し、
手入れ後に熱間圧延を行って、表1に示す組成の13%Cr
含有鋼からなる熱延コイルを得た。
クルで軟化焼鈍(850℃×30Hr)を行い、コイル
表面にショットピーニング・酸洗を行って清浄化してか
ら、成形・電気抵抗溶接を行うことにより、外径:5
0.8mm、厚さ:5.6mm、長さ:5500mmの
電縫鋼管を24本製造した。
温度:965 、980 、1000、1050および1100℃の5水準、
焼ならし時間:5、10および60分の3水準で焼ならしを
行い、さらに、焼戻し温度:700 、720 および740 ℃の
3水準で焼戻しを行った。焼ならし後の溶接部のミクロ
組織を観察するとともに、焼戻し後の引張試験におけ
る、降伏強度およびシャルピー衝撃試験における遷移温
度を調査した。
らし後の溶接部の金属組織のマクロ顕微鏡写真を図2(a)
に、溶接部のミクロ顕微鏡写真を図2(b)に、母材部のミ
クロ顕微鏡写真を図2(c)に、それぞれ示す。焼ならし後
の金属組織における完全再固溶化を調査した結果と、焼
ならし温度および時間との関係を図3にグラフで示す。
同図中、○印は球状化炭化物が完全に再固溶して均一化
したものを示し、×印は球状化炭化物の再固溶が不足し
て不均一になったものを示す。
伏強度(kgf/mm2) およびシャルピー衝撃試験における遷
移温度vTs(℃) に及ぼす焼戻し温度 (℃) の関係を、焼
ならし温度:1100℃ (▲印) 、1050℃ (△印) 、980 ℃
(○印) 、965 ℃ (●印) 毎にグラフで示す。
完全再固溶化を達成するには、焼ならし温度は、980
℃以上であることが必要である。また、図4から、焼戻
し温度は700℃以上740℃以下であれば良く、最終
製品に要求される強度および靭性のレベルに応じて70
0℃以上740℃以下の範囲内で適宜選定すればよいこ
とがわかる。例えば、図4から、API−N80級の強
度(降伏強度:56.2kgf/mm2以上66.8k
gf/mm2以下)および靭性(遷移温度:0℃以下)
を付与するには、980℃で焼ならしを行った場合には
720℃程度で焼戻しを行うことが望ましいことがわか
る。
r含有油井用鋼管を電縫鋼管により低コストで製造する
ことが可能となった。また、本発明によれば、Cr含有
油井用鋼管の溶接部の組織を母材部と同程度にまで均一
化して、例えば沸酸10%塩酸環境下における接合部の
選択腐食傾向を解消することもできる。かかる効果を有
する本発明の意義は極めて著しい。
すグラフである。
示すマクロ顕微鏡写真であり、図2(b)は、実施例におけ
る溶接部の金属組織を示すミクロ顕微鏡写真であり、図
2(c)は、実施例における母材部の金属組織を示すミクロ
顕微鏡写真である。
る完全再固溶化を調査した結果と、焼ならし温度および
時間との関係を示すグラフである。
降伏強度(kgf/mm2) およびシャルピー衝撃試験における
遷移温度vTs(℃) に及ぼす焼戻し温度 (℃) の関係を、
4水準の焼ならし温度毎に示すグラフである。
Claims (1)
- 【請求項1】 Crを12〜14重量%含有する熱延コ
イルを素材とする電縫鋼管の製造方法であって、前記熱
延コイルに820℃以上870℃以下の温度範囲内で2
0時間以上の軟化焼鈍を行ってから電縫鋼管とし、98
0℃以上1100℃以下で焼ならしを行い、さらに70
0℃以上740℃以下で焼戻しを行うことを特徴とする
Cr含有油井用鋼管の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4062386A JP2705435B2 (ja) | 1992-03-18 | 1992-03-18 | Cr含有油井用鋼管の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4062386A JP2705435B2 (ja) | 1992-03-18 | 1992-03-18 | Cr含有油井用鋼管の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05263139A JPH05263139A (ja) | 1993-10-12 |
JP2705435B2 true JP2705435B2 (ja) | 1998-01-28 |
Family
ID=13198638
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4062386A Expired - Lifetime JP2705435B2 (ja) | 1992-03-18 | 1992-03-18 | Cr含有油井用鋼管の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2705435B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3116156B2 (ja) * | 1994-06-16 | 2000-12-11 | 新日本製鐵株式会社 | 耐食性および溶接性に優れた鋼管の製造方法 |
CA2195225A1 (en) * | 1994-07-18 | 1996-02-01 | Akihiro Miyasaka | Production method for steel material and steel pipe excellent in corrosion resistance and weldability |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6131441U (ja) * | 1984-07-31 | 1986-02-25 | 株式会社 大協ゴム精工 | 樹脂ラミネ−ト医薬品用ゴム栓 |
-
1992
- 1992-03-18 JP JP4062386A patent/JP2705435B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05263139A (ja) | 1993-10-12 |
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