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JP2024027641A - 皮膚外用剤及び内用剤 - Google Patents

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JP2024027641A
JP2024027641A JP2022130595A JP2022130595A JP2024027641A JP 2024027641 A JP2024027641 A JP 2024027641A JP 2022130595 A JP2022130595 A JP 2022130595A JP 2022130595 A JP2022130595 A JP 2022130595A JP 2024027641 A JP2024027641 A JP 2024027641A
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ligusticum sinense
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skin
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JP2022130595A
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大生 堀場
Hiroki Horiba
宏行 山羽
Hiroyuki Yamaha
勉 坂井田
Tsutomu Sakaida
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Nippon Menard Cosmetic Co Ltd
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Abstract

【課題】コラ-ゲン産生促進作用、MMP阻害作用及びヒアルロン酸産生促進作用に優れた新規な外用剤又は内用剤を提供する。【解決手段】リグスチクムシネンセの抽出物は、優れたコラ-ゲン産生促進作用、MMP阻害作用及びヒアルロン酸産生促進作用を有し、安定性にも優れていた。リグスチクムシネンセの抽出物は、皮膚の老化予防といった美容分野だけでなく、老化による機能低下の抑制、ガンの予防、治療等といった医療分野にも利用でき、化粧品、食品、医薬部外品及び医薬品等への応用が期待される。【選択図】なし

Description

本発明は、コラ-ゲン産生促進剤、MMP阻害剤、ヒアルロン酸産生促進剤及び内用剤に関する。
真皮には線維芽細胞やコラ-ゲンが存在し、I型コラ-ゲンが全体の80%を占める。I型コラ-ゲンの他には、III、V、XII及びXIV型コラ-ゲンの存在が知られている。シワやたるみの原因の一つとして、I型コラ-ゲンの減少が挙げられる。従って、I型コラ-ゲンの産生を促進させることがシワ・たるみの予防・改善に有効であると考えられる。また、I型コラ-ゲンの産生促進は皮膚の創傷治癒の改善にも有効である。
また、皮膚は紫外線の他、乾燥、寒冷、熱、薬物等の様々な物理的及び化学的ストレスに日々曝されている。その結果、皮膚の機能低下が引き起こされ、様々な皮膚の老化現象が顕在化する。皮膚の老化現象の一つにシワがある。シワには、表皮性のシワと、真皮性のシワの二種類が存在することが知られている。表皮性のシワは小ジワと呼ばれ、皮膚の乾燥により、表皮角質水分中の水分量が低下することによって一時的に生じるシワである。一方、真皮性のシワは、太陽光線に含まれる紫外線や加齢によって形成されるシワである。その形成メカニズムとしては、紫外線や加齢による真皮線維芽細胞におけるコラ-ゲン合成能の低下や、マトリックスメタロプロテア-ゼ(MMP)の増加によるコラ-ゲンの分解促進が挙げられる。
これまでに、紫外線によって生じる真皮性のシワを改善することを目的として、加水分解ア-モンドを有効成分とする皮膚のシワ形成防止・改善剤(特許文献1)、ジョチョウケイ、テンキシ及びキセンソウの抽出物を有効成分とする紫外線照射に起因するシワの改善剤(特許文献2)が報告されている。
MMPはガン細胞の間質内湿潤、血管内への侵入及び血管新生に大きな役割を担っている。間質はI型コラ-ゲンを主体としており、ガン細胞の移動には間質コラゲナ-ゼ等による基質の破壊が必要となる。転移完成には血管内皮基底膜を破壊し、間質内を移動することが必要で、この段階においてもMMPが関与している(非特許文献1)。従って、MMPに対して阻害活性を有する物質は、ガン組織における血管新生やガンの転移を抑制する効果が期待され、ガン疾患の予防、治療に有用であると考えられる。このようにMMPの阻害はガン疾患、潰瘍形成、動脈硬化、慢性関節リウマチ、骨粗鬆症、歯周炎等、MMPの亢進が原因で起こる各種疾患の予防、治療及び改善に有用である。
MMPに属するコラゲナ-ゼ(MMP-1)は、線維芽細胞や軟骨細胞等が産生する酵素であり、コラ-ゲンの分解促進に大きく関与している。コラ-ゲンは、哺乳動物組織の約1/3を占める主要な構造タンパク質であり、軟骨、骨、腱、歯茎及び皮膚等の、多くのマトリックス組織の必須な成分である。コラゲナ-ゼにより一箇所を切断されると、通常の組織内では安定なコラ-ゲン分子は、変性して一本鎖のゼラチンとなり、他の様々なプロテア-ゼにより分解されるようになる。その結果、マトリックス組織の構造の完全性が失われ、シワ、ガン疾患、潰瘍形成、骨粗鬆症及び歯周炎等の原因となる。
コラゲナ-ゼの阻害活性を有する素材として、例えば、カカオ豆皮であるカカオハスク抽出物(特許文献3)、バラ科オニイチゴ抽出物(特許文献4)、ラクトフェリン(特許文献5)等が提案されている。皮膚老化や口腔衛生にますます関心が高まっている状況下で、副作用がなく、安全性が高い、コラゲナ-ゼ活性阻害作用の優れた素材を見出すことが求められている。
MMPに属するゼラチナ-ゼ(MMP-2)は、線維芽細胞や内皮細胞、ガン細胞等が産生する酵素であり、コラ-ゲン、ゼラチン、エラスチン(動脈、腱、皮膚等の弾性組織の特殊成分をなす構造タンパク質)等の基質を分解する。従って、ゼラチナ-ゼによりエラスチンが分解されると、ガン疾患、動脈硬化、慢性関節リウマチ等の疾患や靭帯断裂等の怪我のリスクが高まる。
また、線維芽細胞はコラ-ゲン等のタンパク質及びヒアルロン酸等のグリコサミノグリカンを産生して真皮結合組織を形成し、皮膚のハリを保っている。この結合組織が収縮力を失い、さらに弾性力を失う結果として、皮膚のシワやたるみが発生すると考えられている。
特にヒアルロン酸は結合組織に広く分布する高分子多糖体として知られており、真皮中でゲル状の形態を呈し、肌の弾力を維持している。従って、ヒアルロン酸の変質や減少が皮膚老化において重要であると考えられている。また、ヒアルロン酸は高分子であるため、それを含有した化粧料を皮膚に直接塗布しても吸収されにくいという問題があった。そこでこれまで、線維芽細胞を活性化することで、細胞自らのコラ-ゲンやヒアルロン酸の産生を促進させることができる皮膚外用剤が模索されてきた(特許文献6)。
また、ヒアルロン酸は関節にも存在しており、関節の荷重の衝撃を和らげたり、関節の動きを滑らかにしたりする機能を果たしていることが知られている。正常人間関節液中のヒアルロン酸濃度は約2.3mg/mLであるが、慢性関節リウマチの場合、関節液中のヒアルロン酸濃度は約1.2mg/mLと低下し、同時に関節液の粘度も著しく低下する(非特許文献2)。また、化膿性関節炎や痛風性関節炎等でも、慢性関節リウマチの場合と同様、ヒアルロン酸含量の低下が起こることが知られている(非特許文献3)。上記疾患において、潤滑機能の改善、関節軟骨の被覆・保護、疼痛抑制及び病的関節液の改善のために、関節液中のヒアルロン酸量を増加させることが考えられる。例えば、慢性関節リウマチの患者にヒアルロン酸ナトリウムの関節注入法を行うと、上記の症状の改善が認められることが知られている(非特許文献4)。しかしながら、上記疾患の治療は長期に渡る。従って、日常生活の中で手軽に予防や治療等ができるように、ヒアルロン酸産生促進剤を含有させた皮膚外用剤や食品、医薬品が望まれている。
飛蚊症とは、視界内に糸くずや蚊のように見える薄い影が現れる症状で、目の内部を満たす硝子体内の混濁が網膜上に影を落とすことで発生する。飛蚊症は大きく2種類に分けることができ、加齢や紫外線、活性酸素等の影響で発生する生理的飛蚊症と、網膜剥離、網膜裂孔、硝子体出血、ぶどう膜炎等の疾患の一症状として現れる病的飛蚊症がある。生理的飛蚊症は、硝子体の主要成分であるヒアルロン酸の減少による液状化と、それに伴うコラ-ゲン線維の分解で硝子体内が混濁することで生じる。治療法として、硝子体切除手術やレーザー治療があるが、これらの施術は安全性の観点から日本ではあまり行われていないという実情があり、海外で治療を行うには多額の費用が必要となる。そのため、生理的飛蚊症を予防・改善するためには日常的に利用可能なヒアルロン酸産生促進剤を含有させた食品や医薬品が望まれている。
リグスチクムシネンセ(学名:Ligusticum sinense)は、セリ科に属する多年草である。生薬の藁本(コウホン)は、この根及び根茎を乾燥させたものである。これまで、リグスチクムシネンセの抽出物には、チロシナーゼ阻害活性による美白作用があること(特許文献7)や、皮膚の血行を促進する作用があること(特許文献8)、脂肪分解促進作用があること(特許文献9)等が知られていた。しかしながら、リグスチクムシネンセの抽出物がコラ-ゲン産生促進作用、MMP阻害作用及びヒアルロン酸産生促進作用を有することは知られていなかった。
特開2000-119125号公報 特開2006-199611号公報 特開平3-44331号公報 特開2003-137801号公報 特開平5-186368号公報 特開2007-1924号公報 特開昭53-88333号公報 特開昭61-103833号公報 特開2005-60366号公報
「消化器癌におけるマトリックスメタロプロテア-ゼ」、日本消化器学会、100巻、152頁、2003年 "Arthritis Rheumatism",Vol.10,pp 357,1967 「結合組成」、金原出版、481頁、1984年 「炎症」、日本炎症学会、11巻、16頁、1991年
安全で安定性に優れ、コラ-ゲン産生促進作用、MMP阻害作用及びヒアルロン酸産生促進作用に優れた素材が望まれているが、未だ十分満足し得るものが提供されていないのが現状である。
このような事情により、本発明者らは鋭意検討した結果、リグスチクムシネンセの抽出物が優れたコラ-ゲン産生促進作用、MMP阻害作用及びヒアルロン酸産生促進作用を持ち、安定性においても優れていることを見出した。さらに、その抽出物を含有する外用剤又は内用剤が、安全で安定であり、コラ-ゲン産生促進作用、MMP阻害作用及びヒアルロン酸産生促進作用に優れており、多機能性美容・健康用素材、医薬品と成り得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)リグスチクムシネンセの抽出物を有効成分として含有することを特徴とするコラ-ゲン産生促進剤。
(2)リグスチクムシネンセの抽出物を有効成分として含有することを特徴とするMMP阻害剤。
(3)リグスチクムシネンセの抽出物を有効成分として含有することを特徴とするヒアルロン酸産生促進剤。
(4)リグスチクムシネンセの抽出物を有効成分として含有することを特徴とするシワ改善剤。
(5)リグスチクムシネンセの抽出物を有効成分として含有することを特徴とするMMPの亢進が原因で起こる各種疾患の予防・改善用食品組成物。
本発明によれば、リグスチクムシネンセの抽出物を有効成分として含有するコラ-ゲン産生促進剤、MMP阻害剤及びヒアルロン酸産生促進剤が提供される。
本発明に用いるリグスチクムシネンセ(学名:Ligusticum sinense)は、セリ科に属する多年草である。生薬の藁本(コウホン)は、この根及び根茎を乾燥させたものである。中国原産の薬用植物で、頭痛等に対する鎮痛薬として用いられている。含有成分にはフタリド類があり、これらが薬効の一端を担っている。花はセリ科特有の複数形花序で、白い傘状の花を夏から初秋に咲かせる。本発明において、リグスチクムシネンセの抽出物は、その花、果実、種子、葉、茎、根茎、根等の植物体の一部又は植物体全体(全草)、あるいはそれらの混合物の抽出物をいうが、本発明において抽出原料として使用する部位は、生薬として用いられる根及び根茎が好ましい。また、抽出には、植物体をそのまま使用しても良く、乾燥、粉砕、細切等の処理を行っても良い。
溶媒による抽出方法は特に限定されず、例えば、加熱抽出(例えば40~100℃)、常温抽出(例えば15~25℃)、低温抽出(例えば0~15℃)、撹拌抽出又はカラム抽出する方法等により行うことができる。抽出溶媒としては、例えば、水、低級アルコ-ル類(メタノ-ル、エタノ-ル、1-プロパノ-ル、2-プロパノ-ル、1-ブタノ-ル、2-ブタノ-ル等)、液状多価アルコ-ル類(1,3-ブチレングリコ-ル、プロピレングリコ-ル、グリセリン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、アセトニトリル、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、流動パラフィン等)、エ-テル類(エチルエ-テル、テトラヒドロフラン、プロピルエ-テル等)が挙げられる。好ましくは、水、低級アルコ-ル及び液状多価アルコ-ル等の極性溶媒が良く、特に好ましくは、水、エタノ-ル、1,3-ブチレングリコ-ル及びプロピレングリコ-ルが良い。これらの溶媒は一種でも二種以上を混合して用いても良い。特に好ましい抽出溶媒としては、水、水-エタノ-ルの混合極性溶媒又は水-1,3-ブチレングリコ-ルの混合極性溶媒が挙げられる。中でも混合極性溶媒については、エタノ-ル又は1,3-ブチレングリコ-ルを20~100重量%含有するのが好ましく、50~100重量%含有するのが最も好ましい。また、上記抽出溶媒に酸やアルカリを添加して、pH調整した溶媒を使用することもできる。
溶媒の使用量については、特に限定はなく、例えばリグスチクムシネンセの根及び根茎(乾燥重量)に対し、5倍以上、好ましくは10倍以上であれば良いが、抽出後に濃縮を行ったり、単離したりする場合の操作の便宜上100倍以下であることが好ましい。また、抽出温度や時間は、用いる溶媒の種類や抽出時の圧力等によって適宜選択できる。
上記抽出物は、抽出した溶液のまま用いても良いが、必要に応じて、本発明の効果を奏する範囲で、濃縮(減圧濃縮、膜濃縮等による濃縮)、希釈、濾過、活性炭等による脱色、脱臭、エタノ-ル沈殿等の処理を行ってから用いても良い。さらには、抽出した溶液を濃縮乾固、噴霧乾燥、凍結乾燥等の処理を行い、乾燥物として用いても良い。
本発明は、上記抽出物をそのまま使用しても良く、抽出物の効果を損なわない範囲で、化粧品、医薬部外品、医薬品又は食品等に用いられる成分である油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコ-ル類、エステル類、界面活性剤、金属石鹸、pH調整剤、防腐剤、香料、保湿剤、粉体、紫外線吸収剤、増粘剤、色素、酸化防止剤、美白剤、キレ-ト剤、賦形剤、皮膜剤、甘味料、酸味料等の成分が含有されていても良い。
本発明は、化粧品、医薬部外品、医薬品、食品のいずれにも用いることができ、その剤形としては、例えば、化粧水、クリ-ム、乳液、ゲル剤、エアゾ-ル剤、エッセンス、パック、洗浄剤、浴用剤、ファンデ-ション、打粉、口紅、軟膏、パップ剤、錠菓、チョコレ-ト、ガム、飴、飲料、散剤、顆粒剤、錠剤、糖衣錠剤、カプセル剤、シロップ剤、丸剤、懸濁剤、液剤、乳剤、坐剤、注射用溶液等が挙げられる。
外用の場合、本発明に用いる上記抽出物の含有量は、固形物に換算して0.0001重量%以上が好ましく、0.001~10重量%がより好ましい。さらに、0.01~5重量%が最も好ましい。0.0001重量%未満では十分な効果は望みにくい。10重量%を超えると、効果の増強は認められにくく不経済である。
内用の場合、摂取量は年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なる。通常、成人1人当たりの1日の摂取量としては、5mg以上が好ましく、10mg~5gがより好ましい。さらに、20mg~2gが最も好ましい。
次に本発明を詳細に説明するため、実施例として本発明に用いる抽出物の製造例、実験例及び処方例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。製造例に示す%とは重量%を、処方例に示す含有量の部とは重量部を示す。
リグスチクムシネンセの抽出物の製造例
リグスチクムシネンセの抽出物を以下の通り製造した。製造例1~4において、抽出材料にはリグスチクムシネンセの根及び根茎を用いた。
(製造例1)リグスチクムシネンセの熱水抽出物の調製
リグスチクムシネンセの乾燥物10gに200mLの水を加え、95~100℃で2時間抽出した。得られた抽出液を濾過し、その濾液を濃縮し、凍結乾燥してリグスチクムシネンセの熱水抽出物を3.3g得た。
(製造例2)リグスチクムシネンセの50%エタノ-ル抽出物の調製
リグスチクムシネンセの乾燥物10gを200mLの50%エタノ-ル水溶液に室温で7日間浸漬し、抽出を行った。得られた抽出液を濾過した後、エバポレ-タ-で濃縮乾固してリグスチクムシネンセの50%エタノ-ル抽出物を3.1g得た。
(製造例3)リグスチクムシネンセのエタノ-ル抽出物の調製
リグスチクムシネンセの乾燥物10gを200mLのエタノ-ルに室温で7日間浸漬し、抽出を行った。得られた抽出液を濾過した後、エバポレ-タ-で濃縮乾固してリグスチクムシネンセのエタノ-ル抽出物0.88g得た。
(製造例4)リグスチクムシネンセの1,3-ブチレングリコ-ル抽出物の調製
リグスチクムシネンセの乾燥物10gを200mLの1,3-ブチレングリコ-ルに室温で7日間浸漬し、抽出を行った。得られた抽出液を濾過して、リグスチクムシネンセの1,3-ブチレングリコ-ル抽出物を194g得た。
(処方例1)化粧水
処方 含有量(部)
1.リグスチクムシネンセの熱水抽出物(製造例1) 0.1
2.1,3-ブチレングリコ-ル 8.0
3.グリセリン 2.0
4.キサンタンガム 0.02
5.クエン酸 0.01
6.クエン酸ナトリウム 0.1
7.エタノ-ル 5.0
8.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
9.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.O.) 0.1
10.香料 適量
11.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分1~6及び11と、成分7~10をそれぞれ均一に溶解し、両者を混合し濾過して製品とする。
(比較処方例1)従来の化粧水
処方例1においてリグスチクムシネンセの熱水抽出物を精製水に置き換えたものを、従来の化粧水とした。
(処方例2)クリ-ム
処方 含有量(部)
1.リグスチクムシネンセの50%エタノ-ル抽出物(製造例2) 1.0
2.スクワラン 5.5
3.オリ-ブ油 3.0
4.ステアリン酸 2.0
5.ミツロウ 2.0
6.ミリスチン酸オクチルドデシル 3.5
7.ポリオキシエチレンセチルエ-テル(20E.O.) 3.0
8.ベヘニルアルコ-ル 1.5
9.モノステアリン酸グリセリン 2.5
10.香料 0.1
11.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
12.1,3-ブチレングリコ-ル 8.5
13.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分2~9を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1及び11~13を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら冷却し、45℃で成分10を加え、さらに30℃まで冷却して製品とする。
(処方例3)乳液
処方 含有量(部)
1.リグスチクムシネンセのエタノ-ル抽出物(製造例3) 0.01
2.スクワラン 5.0
3.オリ-ブ油 5.0
4.ホホバ油 5.0
5.セタノ-ル 1.5
6.モノステアリン酸グリセリン 2.0
7.ポリオキシエチレンセチルエ-テル(20E.O.) 3.0
8.ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエ-ト(20E.O.) 2.0
9.香料 0.1
10.プロピレングリコ-ル 1.0
11.グリセリン 2.0
12.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
13.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分1~8を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分10~13を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら冷却し、45℃で成分9を加え、さらに30℃まで冷却して製品とする。
(処方例4)ゲル剤
処方 含有量(部)
1.リグスチクムシネンセの
1,3-ブチレングリコ-ル抽出物(製造例4) 1.0
2.エタノ-ル 5.0
3.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
4.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.) 0.1
5.香料 適量
6.1,3-ブチレングリコ-ル 5.0
7.グリセリン 5.0
8.キサンタンガム 0.1
9.カルボキシビニルポリマ- 0.2
10.水酸化カリウム 0.2
11.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分2~5と、成分1及び6~11をそれぞれ均一に溶解し、両者を混合して製品とする。
(処方例5)パック
処方 含有量(部)
1.リグスチクムシネンセの熱水抽出物(製造例1) 1.0
2.リグスチクムシネンセの
1,3-ブチレングリコ-ル抽出物(製造例4) 5.0
3.ポリビニルアルコ-ル 2.0
4.エタノ-ル 5.0
5.1,3-ブチレングリコ-ル 8.0
6.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
7.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(20E.O.) 0.5
8.クエン酸 0.1
9.クエン酸ナトリウム 0.3
10.香料 0.3
11.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分1~11を均一に溶解し製品とする。
(処方例6)ファンデ-ション
処方 含有量(部)
1.リグスチクムシネンセの50%エタノ-ル抽出物(製造例2) 1.0
2.ステアリン酸 2.4
3.ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレ-ト(20E.O.)1.0
4.ポリオキシエチレンセチルエ-テル(20E.O.) 2.0
5.セタノ-ル 1.0
6.液状ラノリン 2.0
7.流動パラフィン 3.0
8.ミリスチン酸イソプロピル 6.5
9.カルボキシメチルセルロ-スナトリウム 0.1
10.ベントナイト 0.5
11.プロピレングリコ-ル 4.0
12.トリエタノ-ルアミン 1.1
13.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
14.二酸化チタン 8.0
15.タルク 4.0
16.ベンガラ 1.0
17.黄酸化鉄 2.0
18.香料 適量
19.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分2~8を加熱溶解し、80℃に保ち油相とする。成分19に成分9をよく膨潤させ、続いて、成分1及び10~13を加えて均一に混合する。これに粉砕機で粉砕混合した成分14~17を加え、ホモミキサ-で撹拌し75℃に保ち水相とする。油相に水相をかき混ぜながら加え、乳化する。その後、冷却し、45℃で成分18を加え、かき混ぜながら30℃まで冷却して製品とする。
(処方例7)浴用剤
処方 含有量(部)
1.リグスチクムシネンセのエタノ-ル抽出物(製造例3) 1.0
2.炭酸水素ナトリウム 50.0
3.黄色202号(1) 適量
4.香料 適量
5.硫酸ナトリウムにて全量を100とする
[製造方法]成分1~5を均一に混合し製品とする。
(処方例8)軟膏
処方 含有量(部)
1.リグスチクムシネンセの熱水抽出物(製造例1) 5.0
2.リグスチクムシネンセの
1,3-ブチレングリコ-ル抽出物(製造例4) 1.0
3.ポリオキシエチレンセチルエ-テル(30E.O.) 2.0
4.モノステアリン酸グリセリン 10.0
5.流動パラフィン 5.0
6.セタノ-ル 6.0
7.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
8.プロピレングリコ-ル 10.0
9.精製水にて全量を100とする
[製造方法]3~6を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1、2及び7~9を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら30℃まで冷却して製品とする。
(処方例9)散剤
処方 含有量(部)
1.リグスチクムシネンセの熱水抽出物(製造例1) 1.0
2.乾燥コーンスターチ 39.0
3.微結晶セルロ-ス 60.0
[製造方法]成分1~3を混合し、散剤とする。
(処方例10)錠剤
処方 含有量(部)
1.リグスチクムシネンセのエタノ-ル抽出物(製造例3) 5.0
2.乾燥コーンスターチ 25.0
3.カルボキシメチルセルロ-スカルシウム 20.0
4.微結晶セルロ-ス 40.0
5.ポリビニルピロリドン 7.0
6.タルク 3.0
[製造方法]成分1~4を混合し、次いで成分5の水溶液を結合剤として加えて顆粒成型する。成型した顆粒に成分6を加えて打錠する。1錠0.52gとする。
(処方例11)錠菓
処方 含有量(部)
1.リグスチクムシネンセのエタノ-ル抽出物(製造例3) 2.0
2.乾燥コーンスターチ 49.8
3.エリスリト-ル 40.0
4.クエン酸 5.0
5.ショ糖脂肪酸エステル 3.0
6.香料 0.1
7.精製水 0.1
[製造方法]成分1~4及び7を混合し、顆粒成型する。成型した顆粒に成分5及び6を加えて打錠する。1粒1.0gとする。
(処方例12)飲料
処方 含有量(部)
1.リグスチクムシネンセの熱水抽出物(製造例1) 0.05
2.ステビア 0.05
3.リンゴ酸 5.0
4.香料 0.1
5.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分1~3を少量の水に溶解する。次いで、成分4及び5を加えて混合する。
次に、本発明の効果を詳細に説明するため、実験例を挙げる。
実験例1 I型コラ-ゲン(COL1A1)、MMP-1、MMP-2及びヒアルロン酸合成酵素2(HAS2) mRNA発現量の測定
COL1A1、MMP-1、MMP-2及びHAS2 mRNA発現量の測定を行った。ヒト皮膚線維芽細胞を60mm dishに1×10個播種し、10%FBSを含むDMEM培養液にて、37℃、5%CO条件下で培養した。コンフルエントな状態になったところで、各試料を最終濃度10μg/mLとなるように添加したDMEM(-)培養液にて24時間培養した後、総RNAの抽出を行った。細胞からの総RNAの抽出は、RNAiso Plus(タカラバイオ)を用いて行い、総RNA量は分光光度計(Nanodrop)を用いて260nmにおける吸光度により求めた。mRNA発現量の測定は、細胞から抽出した総RNAを基にしてリアルタイムRT-PCR法により行った。リアルタイムRT-PCR法には、High Capacity RNA-to-cDNA Kit(Aplied Biosystems)を用いた。即ち、500ngの総RNAを逆転写反応後、PCR反応(95℃:15秒間、60℃:60秒間、40cycles)を行った。その他の操作は定められた方法に従い、COL1A1、MMP-1、MMP-2及びHAS2 mRNAの発現量を、内部標準であるGAPDH mRNAの発現量に対する割合として求めた。COL1A1発現促進率は、コントロ-ル(試料未添加)群のCOL1A1 mRNAの発現量の比率として算出した。MMP-1発現抑制率、MMP-2発現抑制率及びHAS2発現促進率についても、同様に算出した。尚、各遺伝子の発現量の測定に使用したプライマ-は次の通りである。
COL1A1用のプライマ-セット
AGGACAAGAGGCATGTCTGGTT(配列番号1)
TTGCAGTGGTAGGTGATGTTCTG(配列番号2)
MMP-1用のプライマ-セット
GGGAGATCATCGGGACAACTC(配列番号3)
TGAGCATCCCCTCCAATACC(配列番号4)
MMP-2用のプライマ-セット
CCGTCGCCCATCATCAA(配列番号5)
CTTCTGCATCTTCTTTAGTGTGTCCTT(配列番号6)
HAS2用のプライマ-セット
TGGATGACCTACGAAGCGATTA(配列番号7)
GCTGGATTACTGTGGCAATGAG(配列番号8)
GAPDH用のプライマ-セット
TGCACCACCAACTGCTTAGC(配列番号9)
TCTTCTGGGTGGCAGTGATG(配列番号10)
これらの実験結果を表1~4に示した。その結果、本発明のリグスチクムシネンセの抽出物には、優れたCOL1A1発現促進効果(コラ-ゲン産生促進作用)、MMP-1発現抑制効果(MMP-1阻害作用)、MMP-2発現抑制効果(MMP-2阻害作用)及びHAS2発現促進効果(ヒアルロン酸産生促進作用)が認められた。特にリグスチクムシネンセのエタノ-ル抽出物(製造例3)のCOL1A1発現促進効果、MMP-1発現抑制効果及びMMP-2発現抑制効果、リグスチクムシネンセの熱水抽出物(製造例1)のHAS2発現促進効果において、顕著に効果が高かった
実験例2 使用試験
本発明の処方例1及び比較処方例1について使用試験を行い、本発明のリグスチクムシネンセの抽出物を含有する化粧水の使用感について評価した。
男女パネラー(5名)を一群として各試料をブラインドにて使用させ、処方例1及び比較処方例1について、使用感及び皮膚トラブルの有無を評価した。
その結果、処方例1で得られた化粧水は、比較処方例1よりも使用感が良好であり、皮膚トラブル等もなく安全に使用できた。また、処方成分の劣化についても問題なかった。
以上のことから、本発明のリグスチクムシネンセの抽出物は、優れたコラ-ゲン産生促進作用、MMP阻害作用及びヒアルロン酸産生促進作用を有し、安定性にも優れていた。よって、本発明のリグスチクムシネンセの抽出物は、皮膚の老化といった美容分野だけでなく、老化による機能低下の抑制、ガンの予防、治療等といった医療分野にも利用でき、化粧品、食品、医薬部外品及び医薬品等への応用が期待される。

Claims (5)

  1. リグスチクムシネンセの抽出物を有効成分として含有することを特徴とするコラ-ゲン産生促進剤。
  2. リグスチクムシネンセの抽出物を有効成分として含有することを特徴とするMMP阻害剤。
  3. リグスチクムシネンセの抽出物を有効成分として含有することを特徴とするヒアルロン酸産生促進剤。
  4. リグスチクムシネンセの抽出物を有効成分として含有することを特徴とするシワ改善剤。
  5. リグスチクムシネンセの抽出物を有効成分として含有することを特徴とするMMPの亢進が原因で起こる各種疾患の予防・改善用食品組成物。

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