JP2019137562A - フロートガラス製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
フロートバスで成形したガラスリボンを、熱処理炉に設けた複数本の搬送ローラを用いて搬送しながら徐冷し、
前記熱処理炉の内部で搬送している前記ガラスリボンの下方に設けられるガス吐出ノズルから、前記ガラスリボンの下面に向けて、SO2ガスおよびSO3ガスから選ばれる少なくとも1つの酸化硫黄ガスを吐出し、
搬送方向最も上流側に配置される前記ガス吐出ノズルとして、前記熱処理炉の内部雰囲気の酸素ガス濃度が1体積%以上になる搬送方向位置であって且つ前記熱処理炉の内部雰囲気の温度がフロートガラスのガラス転移点よりも100℃を超えて低くなる搬送方向位置に配置したものを用いることを特徴とするフロートガラス製造方法が提供される。
図1は、一実施形態によるフロートガラス製造装置の断面図である。図1において、X方向はガラスリボン6の搬送方向、Y方向はガラスリボン6の幅方向、Z方向は鉛直方向である。X方向、Y方向およびZ方向は、互いに垂直な方向である。
フロートガラス製造方法は、フロートバス20に貯留されている溶融金属2の上で溶融ガラス4を流動させることによりガラスリボン6に成形する。また、フロートガラス製造方法は、フロートバス20に貯留されている溶融金属2からガラスリボン6を引き上げると共にフロートバス20から熱処理炉30に搬送する。さらに、フロートガラス製造方法は、熱処理炉30に設けた複数本のリフトアウトローラ41および複数本のレアローラ51を用いてガラスリボン6を搬送しながら徐冷する。さらにまた、フロートガラス製造方法は、熱処理炉30で徐冷されたガラスリボン6を所定の寸法に切断することによって、フロートガラスを得る。フロートガラスは、例えばソーダライムシリケートガラス、アルミノシリケートガラス、ボレートガラス、リチウムアルミノシリケートガラス、ホウ珪酸ガラス等で形成される。
(i)SiO2を63〜73%、Al2O3を0.1〜25%、Na2Oを10〜20%、K2Oを0〜1.5%、MgOを5〜13%およびCaOを4〜10%含むガラス組成
(ii)SiO2を50〜74%、Al2O3を1〜25%、Na2Oを6〜14%、K2Oを3〜11%、MgOを2〜15%、CaOを0〜6%およびZrO2を0〜5%含有し、SiO2およびAl2O3の含有量の合計が75%以下、Na2OおよびK2Oの含有量の合計が12〜25%、MgOおよびCaOの含有量の合計が7〜15%であるガラス組成
(iii)SiO2を68〜80%、Al2O3を4〜25%、Na2Oを5〜16%、K2Oを0〜1%、MgOを4〜15%およびZrO2を0〜1%含有するガラス組成
(iv)SiO2を63〜75%、Al2O3を2〜12%、MgOを5〜15%、CaOを0.5〜10%、SrOを0〜3%、BaOを0〜3%、Na2Oを10〜18%、K2Oを0〜8%、ZrO2を0〜3%、Fe2O3を0.003〜0.1%含有し、R2O/Al2O3(式中、R2OはNa2O+K2Oである)が3.0以上7.0以下であるガラス組成。
図2は、一実施形態によるガラスリボン、レアローラ、ガス吐出ノズルおよびガス採取ノズルの位置関係を示す平面図である。図2において、黒丸はガス吐出ノズル52のガス吐出口52aを示し、白丸はガス採取ノズル61のガス採取口61aを示す。
実施例1では、図1に示すフロートガラス製造装置10を用いて、フロートガラスを製造した。フロートガラスは、モル%表示で、SiO2を68.8%、Al2O3を2.9%、Na2Oを14.2%、K2Oを0.1%、MgOを6.1%、CaOを7.8%含有するガラス組成であった。このガラス組成のTgは550℃であって、T0(T0=Tg−100)は450℃であった。Tg(転移点)は、日本工業規格(JIS R 3103−3:2001)に準拠して測定した。
搬送方向最も上流側のガス吐出ノズル52は、徐冷炉50の内部雰囲気の温度が410℃になるX方向位置に配置した。搬送方向最も上流側のガス吐出ノズルは、0.3m3/hのノルマル流量でSO2ガスを吐出し、空気を吐出しなかった。酸化硫黄ガス配管54の途中には、SO2ガスをSO3ガスに置換する触媒を設けなかった。
ガス吐出位置P1での、徐冷炉50の内部雰囲気に含まれるSO2ガスおよびSO3ガスの合計濃度は、ガステック社製のSO2検知管(型番:5M)により測定したところ、2500体積ppmであった。
フロートガラスの下面(溶融金属との接触面、以下、「ボトム面」とも呼ぶ。)に形成された硫酸塩の結晶の総量は、S count(以下、単に「SC」とも呼ぶ。)で評価した。SCは、蛍光X線分析装置を用いて測定され、フロートガラスのボトム面のS−Kα線ピーク強度から、参照ガラスのボトム面のS−Kα線ピーク強度を差し引いた値として求められる。参照ガラスとしては、ガス吐出ノズル52からガスを全く吐出しない以外、実施例1で得られたフロートガラスと同一の条件で製造したものを用いた。
SCの測定後、フロートガラスのボトム面を洗浄して硫酸塩の結晶を除去した後、フロートガラスのボトム面をフッ酸水溶液でエッチング処理し、白曇りの有無を目視で確認した。フッ酸水溶液としては、フッ酸(HF)を2質量%、塩酸(HCl)を18質量%、水を80質量%含むものを用いた。
比較例1では、ガス吐出ノズルのX方向位置および吐出量を変更した以外、実施例1と同じ条件で実験を行った。比較例1では、搬送方向最も上流側のガス吐出ノズル52のX方向位置において、徐冷炉50の内部雰囲気の温度は540℃であった。搬送方向最も上流側のガス吐出ノズルは、0.3m3/hのノルマル流量でSO2ガスを吐出すると共に4m3/hのノルマル流量で空気を吐出した。酸化硫黄ガス配管54の途中には、SO2ガスをSO3ガスに置換する触媒を設けた。ガス吐出位置P1での、徐冷炉50の内部雰囲気に含まれるSO2ガスおよびSO3ガスの合計濃度は、ガステック社製のSO2検知管(型番:5H)により測定したところ、5000体積ppmであった。なお、実施例1で用いたSO2検知管(型番:5M)は3600体積ppmまでしか測定できないが、比較例1で用いたSO2検知管(型番:5H)は20000体積ppmまで測定できる。また、ガス吐出位置P1での、徐冷炉50の内部雰囲気の酸素ガス濃度は3体積%であったため、ガス吐出ノズル52から吐出されたSO2ガスの一部はSO3ガスに変化しSO3ガスとして存在しているものと推定される。
比較例2では、ガス吐出ノズルのX方向位置および吐出量を変更した以外、実施例1と同じ条件で実験を行った。比較例2では、搬送方向最も上流側のガス吐出ノズル52のX方向位置において、徐冷炉50の内部雰囲気の温度は540℃であった。搬送方向最も上流側のガス吐出ノズルは、1.5m3/hのノルマル流量でSO2ガスを吐出すると共に5m3/hのノルマル流量で空気を吐出した。酸化硫黄ガス配管54の途中には、SO2ガスをSO3ガスに置換する触媒を設けなかった。ガス吐出位置P1での、徐冷炉50の内部雰囲気に含まれるSO2ガスおよびSO3ガスの合計濃度は、ガステック社製のSO2検知管(型番:5H)により測定したところ、10000体積ppmであった。また、ガス吐出位置P1での、徐冷炉50の内部雰囲気の酸素ガス濃度は14体積%であったため、ガス吐出位置P1において十分な濃度の酸素ガスが存在しており、ガス吐出ノズル52から吐出されたSO2ガスの一部はSO3ガスに変化しSO3ガスとして存在しているものと推定される。
表2に、実施例1および比較例1、2の実験条件および実験結果を示す。また、図6に、実施例1および比較例1、2で得られたフロートガラスのエッチング後のボトム面の顕微鏡写真を示す。図6に示す各顕微鏡写真の撮像領域は、縦3μm×横3μmである。
酸化硫黄ガス雰囲気下、熱処理炉の内部雰囲気の温度と、エッチング処理後の白曇りの発生との関連性を調べるために、石英炉芯管を用いる簡易試験を行った。簡易試験で用いるフロートガラスは、実施例1および比較例1、2で用いたガラス組成と同一である。
(1)板厚0.6mmのフロートガラスのボトム面を0.1mm研磨し、続いて仕上げ研磨としてバフ研磨を施すことにより、ボトム面に形成されたスズ成分に富む変質層を除去した。バフ研磨には、セリア砥粒を用いた。
(2)バフ研磨後のフロートガラスから、矩形状(縦30mm×横30mm)のガラス板を切り出した。切り出したガラス板をエタノールと蒸留水を1:1で混合した液に浸漬し、超音波洗浄を10分間行った。
(3)石英炉芯管の内部に、ガラス板の研磨面を上方に向けてガラス板を設置した。ガラス板の近傍には、温度を測定する熱電対を設置した。
(4)石英炉芯管の内部に窒素ガスを供給しながら、熱電対の測定温度が設定温度になるまで石英炉芯管をヒータで加熱した。設定温度は、400℃、450℃、500℃、550℃の中から選択した。
(5)熱電対の測定温度が設定温度になるように維持しながら、石英炉芯管の内部に酸化硫黄含有ガスを30秒間供給した。酸化硫黄含有ガスとしては、SO2ガスを0.2体積%、SO3ガスを5.0体積%、酸素ガスを5.0体積%、水蒸気を2.0体積%、窒素ガスを87.8体積%含むものを用いた。
(6)酸化硫黄含有ガスの供給を停止し、代わりに窒素ガスを石英炉芯管の内部に供給しながら、ガラス板を室温まで冷却した。
(7)室温まで冷却されたガラス板を石英炉芯管の内部から取り出し、ガラス板の研磨面に形成された硫酸塩の結晶の総量を表すSCを測定した。SCの測定条件は、実施例1と同じ条件とした。
(8)ガラス板の研磨面を洗浄し、硫酸塩の結晶を除去した後、ガラス板の研磨面をフッ酸水溶液でエッチング処理し、白曇りの有無を調べた。フッ酸水溶液としては、実施例1と同じ配合のものを用いた。
20 フロートバス
21 浴槽
30、30A 熱処理炉
31、32 仕切壁
40、40A ドロスボックス
41 リフトアウトローラ
49 カーボンブロック
50、50A 徐冷炉
51 レアローラ
52 ガス吐出ノズル
59 カーボンブロック
Claims (9)
- フロートバスで成形したガラスリボンを、熱処理炉に設けた複数本の搬送ローラを用いて搬送しながら徐冷し、
前記熱処理炉の内部で搬送している前記ガラスリボンの下方に設けられるガス吐出ノズルから、前記ガラスリボンの下面に向けて、SO2ガスおよびSO3ガスから選ばれる少なくとも1つの酸化硫黄ガスを吐出し、
搬送方向最も上流側に配置される前記ガス吐出ノズルとして、前記熱処理炉の内部雰囲気の酸素ガス濃度が1体積%以上になる搬送方向位置であって且つ前記熱処理炉の内部雰囲気の温度がフロートガラスのガラス転移点よりも100℃を超えて低くなる搬送方向位置に配置したものを用いることを特徴とするフロートガラス製造方法。 - 搬送方向最も上流側に配置される前記ガス吐出ノズルのガス吐出位置で前記熱処理炉の内部雰囲気に含まれるSO2ガスおよびSO3ガスの合計濃度が50体積ppm以上になるように、搬送方向最も上流側の前記ガス吐出ノズルから前記酸化硫黄ガスを吐出する、請求項1に記載のフロートガラス製造方法。
- 搬送方向最も上流側に配置される前記ガス吐出ノズルのガス吐出位置で前記熱処理炉の内部雰囲気に含まれるSO2ガスおよびSO3ガスの合計濃度が20000体積ppm以下になるように、搬送方向最も上流側の前記ガス吐出ノズルから前記酸化硫黄ガスを吐出する、請求項1または2に記載のフロートガラス製造方法。
- 搬送方向最も上流側に配置される前記ガス吐出ノズルとして、前記熱処理炉の内部雰囲気の温度が300℃以上になる搬送方向位置に配置したものを用いる、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフロートガラス製造方法。
- 搬送方向最も上流側の前記ガス吐出ノズルよりもさらに搬送方向上流側に設けられる複数本の前記搬送ローラのうち半数以上の前記搬送ローラのそれぞれの外周面にカーボン保護膜を形成する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のフロートガラス製造方法。
- 搬送方向最も上流側に配置される前記ガス吐出ノズルとして、前記熱処理炉の内部を仕切る上下一対の仕切壁よりも搬送方向下流側に配置したものを用いる、請求項1〜5のいずれか一項に記載のフロートガラス製造方法。
- 前記上下一対の仕切壁として、前記フロートバスの出口壁から搬送方向下流側に3m以上離して配置したものを用いる、請求項6に記載のフロートガラス製造方法。
- 前記フロートバスの出口壁から前記上下一対の仕切壁までの間で、前記熱処理炉の内部雰囲気の温度を50℃以上低下させる、請求項6または7に記載のフロートガラス製造方法。
- 前記フロートバスの出口での雰囲気温度を前記ガラス転移点以下に制御する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のフロートガラス製造方法。
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