JP2018026480A - セラミック配線基板及びセラミック配線基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
また、これとは別に、近年では、LTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)とよばれるガラスセラミックの研究が行われており、このガラスセラミックに関しては、抵抗体等の基板内蔵化のために同時焼成が試みられている。
Tsb<Tsa<セラミック基板の焼成温度 ・・(2)
|Tsb−Tsa|≦150℃ ・・(3)
本第1局面では、後述する実験例からも明らかなように、前記式(1)〜式(3)を満たしているので、抵抗体の変形による断線や短絡(導電体間の短絡)の発生や、ガラス材の発泡等によるボイドの発生等の不具合を抑制できる。また、抵抗体の特性の変化、例えば抵抗値のバラツキや耐電圧特性の低下を抑制できる。
ガラスを含むセラミック基板の材料とガラスを含む抵抗体の材料とを同時焼成する場合、ガラスの軟化点付近の温度域(ガラスが濡れ広がっていく状況)では、酸化ルテニウムがガラスに良く濡れ、抵抗体材料が互いに繋がり(即ち抵抗体ネットワーク)を保ったまた存在することにより、抵抗体として特性を発現することが知られている。
なお、前記式(3)の温度差は、前記式(1)、(2)を満たす範囲で、小さい方が好ましい。
本第2局面は、多層セラミック配線基板において、その内部や表面に抵抗体を備えたものを例示している。
(4)本発明の第4局面では、抵抗体パターンを形成したグリーンシートを複数積層して積層体を形成し、積層体を同時焼成することによって、内部及び表面の少なくとも一方に、抵抗体を備えた多層セラミック配線基板を製造する。
<以下、本発明の各構成について説明する>
・セラミックとしては、例えば、アルミナ、ムライト、コージェライトなどを採用できる。
・抵抗体ペーストは、前記抵抗体の材料(固体成分)にペーストを作製するための材料を含むペーストである。
[1−1.セラミック配線基板の構成]
まず、実施形態のセラミック配線基板の構成について説明する。
このセラミック配線基板1の内部には、隣接するセラミック層3の間に内部配線層5が形成されている。また、セラミック配線基板1の表面(例えば上面及び下面の両方又は一方)には、表面配線層7が形成されている。
前記セラミック層3は、アルミナと第1ガラス(例えば、SiO2、Al2O3、B2O3を主成分とするホウケイ酸系ガラス)とから構成されたガラスセラミックである。
この第1ガラスであるホウケイ酸系ガラスとして、例えばSiO2−B2O3−Al2O3−CaO系ガラスを用いる場合には、第1ガラスの軟化点Tsaは、950℃である。なお、アルミナと第1ガラスとの割合は、重量比で1:1である。
さらに、抵抗体11は、酸化ルテニウムと第2ガラス(例えば、下記表1に示す各種の第2ガラス)とから構成された抵抗体である。なお、第2ガラスとして、例えばGA33(日本電気硝子製)を用いる場合には、第2ガラスの軟化点Tsbは927℃である。また、酸化ルテニウムと第2ガラスとの重量割合は、1:1である。
ラスの軟化点Tsbとが、下記の式(1)、式(2)、式(3)を満たしている。
Tsb<Tsa<セラミック基板の焼成温度 ・・(2)
|Tsb−Tsa|≦150℃ ・・(3)
ここで、ガラスの軟化点の一般的な測定方法の例について説明する。
具体的には、特定の測定対象のガラス粉末を用意し、白金製試料皿に均一に載せ、熱分析装置内にセットする。そして、熱分析装置を、10℃/minで昇温して測定する。その結果、例えば図2に示すようなTG−DTA曲線を得ることができる。
T1:ピークの立ち上がり温度
T2:ベースラインとピークの最大傾斜の交点
T3:ピーク頂点の温度
例えば前記図2に示すようなDTAの場合には、図4に示すように直線を引くことにより、転移点(Tg):約659.4℃、屈服点(Td):約766.2℃、軟化点(Ts):約928.1℃を求めることができる。
次に、セラミック配線基板1の製造方法について説明する。屈服点
<セラミックグリーンシートの作製工程>
セラミック原料粉末として、SiO2、Al2O3、B2O3を主成分とするホウケイ酸系ガラス粉末(詳しくはSiO2−B2O3−Al2O3−CaO系ガラス)とアルミナ粉末とを用意した。
次に、アルミナ製のポットに、前記ホウケイ酸系ガラス粉末とアルミ粉末とを、重量比で50:50、総量で1kgとなるように秤量して投入した。
<導電ペーストの作製工程>
内部配線層5、表面配線層7、ビア9を構成する導電材料として、金(金粉末)を使用
した。
抵抗体11を作製するために、抵抗体材料の無機成分として、酸化ルテニウム粉末と(例えば後述する実験例に用いるような第2ガラスである)ガラス粉末とを用意し、重量比で50:50となるように秤量した。
<セラミック配線基板の作製工程>
次に、図5(b)に示すように、前記セラミックグリーンシート13にビア9やキャビティ等となる開口部(貫通孔)15を加工した。その後、ビア9となる開口部15に、前記導電ペーストを充填して、ビア導体17を形成した。
また、図5(d)に示すように、セラミックグリーンシート13上において抵抗体11を形成する箇所に、前記抵抗体ペーストを用いて、抵抗体パターン21を形成した。
次に、本発明の効果を確認するために行った実験例1について説明する。
この実験例1は、下記表1に示す7種のセラミック配線基板の試料(No.1〜7)を製造し、その抵抗体の抵抗値のバラツキを測定し、また、静電気放電破壊(ESD)試験を行ったものである。
試料No.1:酸化ルテニウム+ガラス粉末(GA33:日本電気硝子製)
試料No.2:酸化ルテニウム+ガラス粉末(GA47:日本電気硝子製)
試料No.3:酸化ルテニウム+ガラス粉末(GA74:日本電気硝子製)
試料No.4:田中貴金属工業株式会社製の厚膜抵抗体材料(RM−41)
試料No.5:酸化ルテニウム+ガラス粉末(GA55:日本電気硝子製)
試料No.6:酸化ルテニウム+ガラス粉末(GA77:日本電気硝子製)
試料No.7:酸化ルテニウム+ガラス粉末(A:セラミック基板と同じガラス材料)
そして、上述した各20個の試料の抵抗体に対して、下記のようにして、抵抗値を測定し、また、ESD試験を行った。
前記試料に対して、一対の内部配線層を露出させて、抵抗計(Agilent 34401A)を用いて、抵抗体の抵抗値(一対の内部配線層間の抵抗値)を測定した。
3c.v.=3σ/平均値 ・・・(4)
その結果を、下記表1に記す。なお、表1では、各試料の20個のデータの平均値を示している。
JIS IEC−61000−4−2の規定に従って、静電気放電破壊(ESD)試験を行った。
この表1及び表2から明らかなように、本発明例である試料No.1〜3は、前記式(1)〜式(3)の条件を満たしている。従って、抵抗値のバラツキが小さく、また、抵抗値の変化率が少ない(即ち耐電圧特性が高い)。つまり、1000℃以上で焼成した場合でも、抵抗体として好適な特性を有していることが分かる。
また、比較例の試料No.5〜7は、前記式(2)又は式(3)の条件を満たしていない。詳しくは、式(3)の条件を満たしていない試料No.5、7は、抵抗値のバラツキが大きく、また、抵抗値の変化率が大きいので(即ち耐電圧特性が低いので)、好ましくない。また、式(2)の条件を満たしていない試料No.6は、抵抗値の変化率はやや小さいものの、抵抗値のバラツキが大きいので、好ましくない。
本実験例2では、前記試料No.4の市販の厚膜抵抗体材料(田中貴金属工業株式会社製:RM41 890℃焼成用)を用いて、前記図6に示すように、セラミック配線基板の内部に抵抗体を形成した。
この抵抗体の断面の組織を、同様に観察したところ、図7(b)(倍率500倍のSEM写真)及び図7(c)(倍率2000倍のSEM写真)に示すように、抵抗体の変形やボイドが見られなかった。
本実施形態では、前記式(1)〜式(3)を満たしているので、抵抗体の変形による断線や短絡の発生や、ガラス材の発泡等によるボイドの発生等の不具合を抑制できる。また、抵抗体の特性の変化、例えば抵抗値のバラツキや耐電圧特性の低下を抑制できる。
ここで、特許請求の範囲と実施形態とにおける文言の対応関係について説明する。
実施形態の、セラミック配線基板1、セラミック層3、抵抗体11、セラミックグリーンシート13、抵抗体パターン21、積層体23が、それぞれ、本発明の、セラミック配線基板、セラミック基板、抵抗体、グリーンシート、抵抗体パターン、積層体の一例に相当する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
(3)セラミック基板の組成については、前記実施形態の組成に限定されることなく、各種の組成のセラミック基板を採用できる。
3…セラミック基板(セラミック層)
11…抵抗体
13…セラミックグリーンシート
21…抵抗体パターン
23…積層体
Claims (4)
- セラミックと第1ガラスとを含むセラミック基板に、酸化ルテニウムと第2ガラスとを含む抵抗体が形成されたセラミック配線基板において、
前記セラミック基板は1000℃以上の焼成温度で焼成される材料からなり、
且つ、前記セラミック基板中の前記第1ガラスの成分と、前記抵抗体中の前記第2ガラスの成分とが異なり、
さらに、前記第1ガラスの軟化点Tsaと前記第2ガラスの軟化点Tsbとが、下記の式(1)、式(2)、式(3)を満たすことを特徴とするセラミック配線基板。
Tsa≧セラミック基板の焼成温度−70℃ ・・(1)
Tsb<Tsa<セラミック基板の焼成温度 ・・(2)
|Tsb−Tsa|≦150℃ ・・(3) - 前記セラミック配線基板は、内部及び表面の少なくとも一方に、前記抵抗体を備えた多層セラミック配線基板であることを特徴とする請求項1に記載のセラミック配線基板。
- セラミックと第1ガラスとを含むグリーンシートの表面に、酸化ルテニウムと第2ガラスとを含む抵抗体ペーストを用いて抵抗体パターンを形成し、前記グリーンシートと前記抵抗体パターンとを同時焼成して、抵抗体を備えたセラミック配線基板を製造するセラミック配線基板の製造方法において、
前記グリーンシートは1000℃以上の焼成温度で焼成される材料からなり、
且つ、前記グリーンシート中の前記第1ガラスの成分と、前記抵抗体ペースト中の前記第2ガラスの成分とが異なり、
さらに、前記第1ガラスの軟化点Tsaと前記第2ガラスの軟化点Tsbとが、下記の式(1)、式(2)、式(3)を満たすことを特徴とするセラミック配線基板の製造方法。
Tsa≧セラミック基板の焼成温度−70℃ ・・(1)
Tsb<Tsa<セラミック基板の焼成温度 ・・(2)
|Tsb−Tsa|≦150℃ ・・(3) - 前記抵抗体パターンを形成した前記グリーンシートを複数積層して積層体を形成し、該積層体を同時焼成することによって、内部及び表面の少なくとも一方に、前記抵抗体を備えた多層セラミック配線基板を製造することを特徴とする請求項3に記載のセラミック配線基板の製造方法。
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