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JP2017205057A - 生分解性農業用フィルム - Google Patents

生分解性農業用フィルム Download PDF

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JP2017205057A
JP2017205057A JP2016099621A JP2016099621A JP2017205057A JP 2017205057 A JP2017205057 A JP 2017205057A JP 2016099621 A JP2016099621 A JP 2016099621A JP 2016099621 A JP2016099621 A JP 2016099621A JP 2017205057 A JP2017205057 A JP 2017205057A
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Japan
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acid
biodegradable
film
aliphatic
agricultural film
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JP2016099621A
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梨絵 砥綿
Nashie Towata
梨絵 砥綿
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Mitsubishi Chemical Agri Dream Co Ltd
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Mitsubishi Chemical Agri Dream Co Ltd
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Abstract

【解決課題】
地中部と地表部の境界においても、使用する期間の初期で発生する分解を抑制することによって、長期間に亘って使用が可能であり、使用後は生分解される農業用フィルムを提供すること。
【解決手段】
生分解性を有する農業用フィルムであって、前記農業用フィルムの少なくとも片面に、生分解性樹脂粒子を含有する塗膜層が少なくとも部分的に設けられていることを特徴とする生分解性農業用フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、農業用に使用するフィルムに関し、更に詳しくは、生分解性プラスチック材料からなる生分解性農業用フィルムに関する。
昨今の廃棄物問題等を解決する手段の一つとして、生分解性を有する材料を用いた研究が数多くなされてきている。生分解性材料の代表例としては、ポリ乳酸、ポリブチレンスクシネート、ポリブチレンスクシネートアジペートといった脂肪族ポリエステル系樹脂やポリブチレンアジペートテレフタレートといった芳香族−脂肪族共重合ポリエステル系樹脂が挙げられ、種々検討が行なわれている。
これらの生分解性材料は、土中に生息する微生物により分解することができるため、この生分解性材料を使用した農業用フィルムなどは、回収する必要が無く、使用後は土中で分解させることを可能とするものである。
しかしながら、生分解性プラスチック製の農業用フィルムは、フィルムを固定するために土を被せた地中部と、土を被せない地表部の境界において、使用する期間の初期の段階で生分解が促進され、フィルムを長期に亘って固定することができないという問題が、近年報告されるようになってきた。
このような中、生分解性及び製造性を両立した農業用フィルムとして、組成物の全成分100質量%のうち、ポリ乳酸系樹脂を30質量%以上含有するフィルムが提案されている(特許文献1)。
しかしながら、特許文献1に開示された農業用マルチフィルムは、ポリ乳酸を多く含むため剛性が高く、農業用マルチフィルムとして使用するには柔軟性や引裂き性が不十分であり、マルチフィルムとして使用するには十分なものではなかった。
また、特許文献2には、長期間の使用が可能な農業用マルチフィルムとして、フィルムの両端部、両面に抗菌性の物質を含むコーティング層を形成する方法が提案されている
しかしながら、特許文献2のような抗菌性物質を含むコーティング層を形成する方法では、選択する抗菌性物質によって、土壌生物への影響が懸念され、また、フィルムに土を被せた地中部と、土を被せない地表部の境界という特定の条件において、早期に分解し始めることを抑制することはできないという問題があった。
特開2012−177045公報 特開2002−171847公報
本発明は、このような問題に鑑み、地中部と地表部の境界において、使用する期間の初期で発生する分解を抑制することによって、長期間に亘って使用が可能であり、使用後は生分解される農業用フィルムを提供することを目的とする。
本発明者等は、鋭意検討したところ、生分解性プラスチック材料からなる農業用フィルムにおいて、農業用フィルムの少なくとも片面に、生分解性樹脂粒子を含む塗膜層が少なくとも部分的に設けられている農業用フィルムが、上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明の要旨は、
[1]生分解性を有する農業用フィルムであって、
前記農業用フィルムの少なくとも片面に、生分解性樹脂粒子を含有する塗膜層が少なくとも部分的に設けられていることを特徴とする生分解性農業用フィルム。
[2]前記塗膜層が、少なくとも、フィルムを固定するために土を被せた地中部と土を被せない地表部の境界部位となる位置に設けられている、[1]に記載の生分解性農業用フィルム。
[3]前記塗膜層の塗工量は、0.2〜20g/mであることを特徴とする[1]又は[2]に記載の生分解性農業用フィルム。
[4]前記生分解性樹脂粒子の平均粒子径は、0.1〜10μmであることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の生分解性農業用フィルム。
[5]前記生分解性樹脂粒子が、ポリ乳酸系樹脂粒子であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1項に記載の生分解性農業用フィルム。
[6]前記生分解性農業用フィルムの機械方向(MD)の引裂き強さが30N/mm以上であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1項に記載の生分解性農業用フィルム。
に関する。
本発明により、地中部と地表部の境界で展張する期間の初期に発生する分解が抑制された生分解性農業用フィルムを提供することができる。従って、本発明により、栽培作物の播種や定植からある程度作物が育つまでの期間においては、十分な強度を有し、かつ、栽培作物の収穫が終わり、次期作物の栽培が始まる前には、耕作作業において事実上支障がない程度まで分解していることを可能とした生分解特性を有する生分解性農業用フィルムを提供することができる。
本発明の生分解性農業用フィルムの一例の概略図。
本発明の生分解性農業用フィルムは、生分解性を有する農業用フィルムの少なくとも片面に、生分解性樹脂粒子を含む塗膜層が少なくとも部分的に設けられていることが重要である。特に、塗膜層が、少なくとも、フィルムを固定するために土を被せた地中部(以下「地中部」とも略記する)と土を被せない地表部(以下「地表部」とも略記する)の境界部位となる位置に設けられていることが重要である。図1に本発明の生分解性農業用フィルムの一例の概略図を示す。図中の1は生分解性農業用フィルムであり、2は塗膜層であり、3は地中部と地表部の境界部位を示す。
地中部と地表部の境界部位においては、原因は明確となっていないが、特異的に早期に分解される現象が発生する。この早期の分解を抑制するには、生分解性の発生を遅らせる方法があるが、公知に知られている方法で生分解性を長期に持たせる配合とすると、フィルムそのものの物性は脆性の性質を示す方向となり、例えば、農業用のマルチフィルムとして使用する場合には、柔軟性や引裂き性に劣ってしまう。これに対し、生分解性樹脂粒子を含む塗膜層を、地中部と地表部の境界部位となる位置に設けることで、特異的な部位に発生する早期の分解を抑制することができる。
塗膜層は、農業用フィルムを展張した際の、地中部と地表部の境界部位の少なくとも片面に塗布することが重要である。また、展張した際、上面となる側のフィルム表面に該塗膜層を設けることがより好ましい。また、フィルムの上面と下面の両側に該塗膜層を設けることもできる。
また、塗膜層を設ける巾は、地中部と地表部の境界部位となる位置に設けられていれば特に限定することはないが、栽培期間中に、雨や風等により、該境界部位が一定に定まらない可能性があるため、塗膜層は、境界部位となる境界線から左右に少なくとも15mm以上程度の幅で設けることが好ましい。
また、該塗膜層は、農業用フィルムの全面に又は部分的に塗布してもよいが、塗膜量が増えると、塗工作業や塗膜量増加により、費用が増加していく点を考慮すると、塗膜層は部分的に塗布するのが好ましく、また、適宜必要な個所に塗膜層を設けることがより好ましい。
また、本発明において、生分解性樹脂粒子を含有する塗膜層の塗工量は、0.1〜20g/mであることが好ましく、0.2〜19g/mであることがより好ましく、0.2〜18g/mであることが更に好ましい。塗工量を上記の範囲とすることにより、地中部と地表部の境界の分解を抑制することができる、また該塗膜層を設けた農業用フィルムを巻き取った際のロール形状を著しく損なう外観となることを抑制することができる。
本発明に使用する生分解性樹脂粒子は、平均粒子径が0.1〜10μmであることが好ましく、0.2〜9μmであることがより好ましく、0.5〜8μmであることが更に好ましい。平均粒子径を上記範囲とすることで、農業用フィルムを使用している期間中、塗膜層の保持性を良好にすることができる。
本発明で使用する生分解性樹脂粒子は、生分解性を有する樹脂粒子であれば特に限定されることはなく、たとえば、ポリカプロラクトン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、セルロースエステル、脂肪族ポリエステル系樹脂、脂肪族−芳香族ポリエステル系樹脂、ポリヒドロキシアルカノエート系樹脂、乳酸系ポリエステル系樹脂などの粒子を使用することができる。これらの樹脂粒子は単独で使用することもでき、2種類以上を組み合わせて使用することもできる。なかでも、少なくとも乳酸系ポリエステル系樹脂を使用することが好ましい。乳酸系ポリエステル系樹脂粒子を使用することで、地中部と地表部の境界で発生する分解をより長期に亘って抑制することができる。
このような樹脂粒子の具体例としては、樹脂粒子を含有するエマルションとして入手できるものとして、ミヨシ油脂社製のポリ乳酸樹脂エマルション「ランディPLシリーズ」や第一工業製薬社製「プラセマ」などが挙げられる。
なお、樹脂粒子の平均粒子径は、散乱型粒度分布計で測定した平均粒子径をいう。
本発明において、塗膜層を形成する方法は、特に限定することなく公知の方法を使用することができる。たとえば、生分解性樹脂粒子をそのまま蒸着する方法や、生分解性樹脂粒子を水、有機溶媒(2種以上の有機溶媒からなる混合溶媒を含む)又は水と1種以上の有機溶媒との混合溶媒に分散又は溶解し、生分解性樹脂粒子を含む分散液又は溶液(以下「樹脂エマルション」とも言う。)を調製し、当該樹脂エマルションを農業用フィルムの表面に塗工等し、乾燥することにより塗膜層を形成することができる。また、前記樹脂エマルションを作製する方法は、公知の方法を使用することができる。たとえば、特許第4577804号公報、特許第4382909号公報、特開平11−92712号公報などに開示された方法により作製することができる。
本発明において、塗膜層を部分的に形成する方法としては、例えば、フィルムの幅方向において、塗布すべき箇所に1以上のコーティングロールを設置し、上記樹脂エマルションを農業用フィルムの表面に塗工することが挙げられる。
また、基材フィルムに塗膜層を設ける際に、基材フィルムと塗膜層の接着性が充分でない場合には、基材フィルムに予め表面処理を施しておいてもよい。本発明の農業用フィルムの表面に施す処理の方法としては、コロナ放電処理、スパッタエッチング処理、ナトリウム処理、サンドブラスト処理等の方法が挙げられる。コロナ放電処理法は、針状あるいはナイフエッジ電極と対極間で放電を行わせ、その間に試料を入れて処理を行い、フィルム表面にアルデヒド、酸、アルコールパーオキサイド、ケトン、エーテル等の酸素を含む官能基を生成させる処理である。スパッタエッチング処理は、低気圧グロー放電を行っている電極間に試料を入れ、グロー放電によって生じた正イオンの衝撃によりフィルム上に多数の微細な突起を形成するものである。サンドブラスト処理は、フィルム面に微細な砂を吹きつけて、表面上に多数の微細な凹凸を形成するものである。これら表面処理の中では、塗膜層との密着性、作業性、安全性、コスト等の点から、コロナ放電処理が好適である。
本発明の生分解性農業用フィルムは、機械方向(MD)の引裂き強度が、30N/mm以上であることが好ましく、35N/mm以上であることがより好ましく、45N/mm以上であることが更に好ましく、50N/mm以上であることが特に好ましい。引裂き強度を上記範囲とすることで、展張した際やフィルムに穿孔等を行う場合等、破損し難いフィルムとなり、農業用フィルム、特に農業用マルチフィルムとして好適に使用することができる。
また、本発明の生分解性農業用フィルムの基材フィルムとして使用できる生分解性樹脂は、特に限定することはなく、一般的に入手することができる生分解性樹脂を使用することができる。例えば、ポリカプロラクトン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、セルロースエステル、乳酸系ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリエステル系樹脂、脂肪族−芳香族ポリエステル系樹脂などがあげられる。なかでもフィルムを作製する時の生産性や圃場に展張する際の作業性、また使用後の生分解性を考慮すると、脂肪族−芳香族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリエステル系樹脂などを使用することが好ましく、脂肪族−芳香族ポリエステル系樹脂及び/又は脂肪族ポリエステル系樹脂(乳酸系ポリエステル系樹脂を除く)は、基材フィルムに使用する生分解性樹脂組成物100質量%に対して70質量%以上含有することがより好ましく、80質量%以上含有することが更に好ましく、85質量%以上含有することが特に好ましい。
<脂肪族−芳香族ポリエステル系樹脂>
本発明に使用できる脂肪族−芳香族ポリエステル系樹脂は、脂肪族ジカルボン酸単位と、芳香族ジカルボン酸単位と、鎖状脂肪族及び/または脂環式ジオール単位とを含み、芳香族ジカルボン酸単位の含有量は、脂肪族ジカルボン酸単位と芳香族ジカルボン酸単位の全量を基準(100モル%)として、5〜60モル%である。
本発明に使用できる脂肪族−芳香族ポリエステル系樹脂は、具体的には、例えば、下記式(1)で表される脂肪族ジオ−ル単位、下記式(2)で表される脂肪族ジカルボン酸単位、及び、下記式(3)で表される芳香族ジカルボン酸単位を必須成分とするものである。
−O−R1−O− (1)
(式中、R1は2価の鎖状脂肪族炭化水素基及び/または2価の脂環式炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。)
−OC−R2−CO− (2)
(式中、R2は直接結合を示すか、2価の鎖状脂肪族炭化水素基及び/または2価の脂環式炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。)
−OC−R3CO− (3)
(式中、R3は2価の芳香族炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。)
式(1)のジオール単位を与えるジオール成分は、炭素数が通常2〜10のものであり、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。中でも、炭素数2以上4以下のジオールが好ましく、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールがより好ましく、1,4−ブタンジオールが特に好ましい。
式(2)のジカルボン酸単位を与えるジカルボン酸成分は、炭素数が通常2以上10以下のものであり、例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が挙げられる。中でも、コハク酸またはアジピン酸が好ましい。
式(3)の芳香族ジカルボン酸単位を与える芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられ、中でも、テレフタル酸、イソフタル酸が好ましく、テレフタル酸が特に好ましい。また、芳香環の一部がスルホン酸塩で置換されている芳香族ジカルボン酸が挙げられる。なお、脂肪族ジカルボン酸成分、脂肪族ジオール成分及び芳香族ジカルボン酸成分は、それぞれ2種類以上を用いることもできる。
本発明における脂肪族−芳香族ポリエステル系樹脂には、脂肪族オキシカルボン酸単位が含有されていてもよい。脂肪族オキシカルボン酸単位を与える脂肪族オキシカルボン酸の具体例としては、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、またはこれらの混合物等が挙げられる。さらに、これらの低級アルキルエステル又は分子内エステルであってもよい。これらに光学異性体が存在する場合には、D体、L体またはラセミ体の何れでもよく、形態としては固体、液体または水溶液のいずれであってもよい。これらの中で好ましいものは、乳酸またはグリコール酸である。これら脂肪族オキシカルボン酸は単独でも、2種以上の混合物としても使用することができる。
この脂肪族オキシカルボン酸の量は、脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂を構成する全構成成分中、0〜30モル%であるのが好ましく、更に0.01〜20モル%であるのが好ましい。
本発明における脂肪族−芳香族ポリエステル系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、190℃、2.16kg荷重で測定した場合、好ましくは0.1〜100g/10分であり、更に好ましくは0.1〜50g/10分であり、特に好ましくは0.1〜30g/10分である。
このような脂肪族−芳香族ポリエステル系樹脂の具体例としては、BASF社製「Ecoflex」、S−EnPol社製「EnPol」などが挙げられる。
<脂肪族ポリエステル系樹脂>
本発明に使用できる脂肪族ポリエステル系樹脂は、ジカルボン酸単位としてアジピン酸単位を含む脂肪族ポリエステル系樹脂やジカルボン酸単位としてアジピン酸単位を含まない脂肪族ポリエステル系樹脂等を使用することができる。
本発明に使用できる脂肪族ポリエステル系樹脂の構成成分である脂肪族ポリエステル系樹脂は、脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位を主成分とする脂肪族ポリエステル系樹脂であることが好ましい。ここで、「主成分」とは、脂肪族ポリエステルを構成する単量体単位全体を基準(100モル%)として、脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位が70モル%以上、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上であることをいう。
脂肪族ポリエステル系樹脂を具体的に示すと、例えば下記式(4)で表される鎖状脂肪族及び/または脂環式ジオール単位、並びに、下記式(5)で表される鎖状脂肪族及び/または脂環式ジカルボン酸単位からなるものである。
−O−R4−O− (4)
(式中、R4は2価の鎖状脂肪族炭化水素基及び/または2価の脂環式炭化水素基を示す。共重合されている場合には、樹脂中に二種以上のR4が含まれていてもよい。)
−OC−R5−CO− (5)
(式中、R5は2価の鎖状脂肪族炭化水素基及び/または2価の脂環式炭化水素基を示す。共重合されている場合には、樹脂中に二種以上のR5が含まれていてもよい。)
なお、上記式(4)、式(5)において、「2価の鎖状脂肪族炭化水素基及び/または2価の脂環式炭化水素基」とは、2価の鎖状脂肪族炭化水素基と2価の脂環式炭化水素基の両方を含んでいてもよいという意味である。また、以下「鎖状脂肪族及び/または脂環式」を単に「脂肪族」と略記する場合がある。
前記脂肪族ポリエステル系樹脂は、上記式(4)のジオール単位として、1,4ブタンジオール単位を必須成分として含むものである。1,4ブタンジオール単位の含有量は、脂肪族ポリエステル系樹脂を構成する単量体単位全体を基準(100モル%)として、30〜60モル%、特に40〜50モル%であるのが好ましい。
1,4ブタンジオール単位以外のジオール単位としては特に限定されないが、炭素数3〜10個の脂肪族ジオール単位が好ましく、炭素数4〜6個の脂肪族ジオール単位が特に好ましい。具体的には1,3−プロパンジオール、1,4−ヘキサンジメタノール等が挙げられる。前記脂肪族ジオール単位を与えるジオール成分は2種類以上を用いることもできる。
前記脂肪族ポリエステル系樹脂は、更に、ジカルボン酸単位としてコハク酸単位を必須成分として含むものである。
また、脂肪族ポリエステル系樹脂はジカルボン酸単位としてアジピン酸を必須成分として含む場合、アジピン酸単位の含有量は、脂肪族ポリエステル系樹脂を構成する単量体単位全体を基準(100モル%)として、0.5〜20モル%であるのが好ましく、1〜15モル%であるのが更に好ましい。
コハク酸単位、アジピン酸単位以外のジカルボン酸単位としては特に限定されないが、炭素数2〜10個の脂肪族ジカルボン酸単位が好ましく、炭素数4〜8個の脂肪族ジカルボン酸単位が特に好ましい。具体的には、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が挙げられる。前記脂肪族ジカルボン酸単位を与えるジカルボン酸成分は2種類以上を用いることもできる。
更に、前記脂肪族ポリエステル系樹脂は、脂肪族オキシカルボン酸単位を含有していてもよい。脂肪族オキシカルボン酸単位を与える脂肪族オキシカルボン酸の具体例としては、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸等、またはこれらの低級アルコールもしくは分子内エステルが挙げられる。これらに光学異性体が存在する場合には、D体、L体またはラセミ体の何れでもよく、形態としては固体、液体または水溶液の何れであってもよい。これらの中で特に好ましいのは、乳酸またはグリコール酸である。これらの脂肪族オキシカルボン酸は単独でも、2種以上の混合物としても使用することもできる。
脂肪族オキシカルボン酸単位の含有量は、脂肪族ポリエステル系樹脂を構成する単量体単位全体を基準(100モル%)として、0〜30モル%であるのが好ましく、更に0.01〜20モル%であるのが好ましく、特に0.01〜10モル%であるのが好ましい。
このような脂肪族ポリエステル系樹脂の具体例としては、三菱化学社製「GSPla」、昭和電工社製「ビオノーレ」などが挙げられる。
<乳酸系ポリエステル系樹脂>
本発明に使用できる乳酸系ポリエステル系樹脂は、L−乳酸、D−乳酸、DL−乳酸またはそれらの混合物、ラクチドなどのホモポリマーまたはコポリマーなどが使用できる。乳酸系ポリエステル系樹脂は、これらの原料から直接脱水縮合またはラクチドの開環重合などによって製造することができるが、製法は特に限定されない。また、乳酸系ポリエステル系樹脂の性質を損なわない程度に、乳酸以外の他のヒドロキシカルボン酸、脂肪族多価アルコール、脂肪族多塩基酸等を共重合してもかまわない。
このような乳酸系ポリエステル系樹脂の具体例としては、Nature Works社製「Ingeo Biopolymer」、浙江海正生物材料社製「REVODE」などが挙げられる。
また、この様にして製造された乳酸系ポリエステル系樹脂を、他の脂肪族ポリエステル系樹脂、または、脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂と事前に混合した原料を用いることもできる。
このような乳酸系ポリエステル系樹脂との混合系樹脂の具体例としては、BASFジャパン社製「Ecovio Fブレンド C2224」などが挙げられる。
<その他の成分>
本発明の生分解性農業用フィルムに使用できる生分解性樹脂は、さらに、従来公知の各種添加剤を配合することができる。添加剤としては、例えば、結晶核剤、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、紫外線吸収剤、耐光剤、可塑剤、安定剤、着色剤、難燃剤、離型剤、帯電防止剤、防曇剤、表面ぬれ改善剤、焼却補助剤、滑剤、分散剤や各種界面活性剤、加水分解防止剤等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。これらの中で特にスリップ剤、アンチブロッキング剤、紫外線吸収剤は配合した方が好ましい。
スリップ剤としては、炭素数6〜30の不飽和脂肪酸からなる不飽和脂肪酸アマイド、不飽和脂肪酸ビスアマイドが挙げられ、エルカ酸アマイド、エルカ酸ビスアマイドが好ましい。
アンチブロッキング剤としては、炭素数6〜30の飽和脂肪酸アマイド、または飽和脂肪酸ビスアマイド(例えばステアリン酸アマイド、ステアリン酸ビスアマイド)、メチロールアマイド、エタノールアマイド、天然シリカ、合成シリカ、合成ゼオライト、タルク等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、トリアジン系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸系、シアノアクリレート系等が挙げられ、その中でも、トリアジン系、ベンゾトリアゾール系またはベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましい。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチロキシ)フェノール:CAS Number2725−22−6で表される化合物(例えばCytecのCYASORB UV−1164)や、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール:CAS Number 147315−50−2(例えばBASFジャパンのTinuvin1577FF)、2−[4,6−ビス(ジフェニル−4−イル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−[(2−エチルヘキシル)オキシ]−フェノール(例えば、BASFジャパンのTinuvin1600)を用いることができる。
ベンゾトリアゾール系またはベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル6−(tert−ブチル)フェノール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α、α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、オクタベンゾン、2,2’−ジヒドロキシ−4−4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−4,4’−テトラヒドロベンゾフェノンなどが挙げられる。
酸化防止剤としては、BHT、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−tert−ブチル−α,α’,α”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリス[(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H、3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H、3H,5H)−トリオン、カルシウムジエチルビス[{3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル}メチル]ホスホネート、ビス(2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ−tert−ブチル−5,5’−ジメチルフェニル)エタン、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオンアミド、n−オクタデシル3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のヒンダードフェノール系酸化防止剤、トリデシルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’―ジイルビスホスフォナイト、ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等のリン系酸化防止剤、3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−フラン−2−オンとキシレンの反応生成物等のラクトン系酸化防止剤、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート等の硫黄系酸化防止剤及びこれらの2種以上の混合物などが例示できる。
安定剤としては脂肪酸金属塩が挙げられる。脂肪酸金属塩の脂肪酸成分としてはカルボキシル基を有する通常炭素数が6〜30の鎖状のカルボン酸であり、直鎖状でも分岐状でもよく、また飽和結合のみでも不飽和結合を有していてもよい。脂肪酸の具体例としてはカプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸、モンタン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エイコセン酸、エルシン酸、エライジン酸、トランス11エイコセン酸、トランス13ドコセン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、エルカ酸等が挙げられる。
一方、金属原子としては、周期表の1A、2A、2B及び3B族の原子が好ましい。好ましい例としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、アルミニウム、亜鉛などが挙げられる。
脂肪酸金属塩としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸マグネシウム、ラウリン酸アルミニウム、モンタン酸ナトリウム等が挙げられる。これらは1種でもよく2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でもステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸マグネシウム及びラウリン酸アルミニウムが好ましい。
分散剤としては、モンタンワックス等のエステル系ワックスが挙げられる。
また、本発明の生分解性樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で他の生分解性樹脂及び天然物、例えば、ポリカプロラクトン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、セルロースエステル等や澱粉、セルロース、紙、木粉、キチン・キトサン質、椰子殻粉末、クルミ殻粉末等の動物/植物物質微粉末またはこれらの混合物を配合することができる。
耐光剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−n−ブチル−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)マロネート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−n−ブチル−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)マロネート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチル−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)マロネート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチル−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)マロネート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスド(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスド(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスド{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/β,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−〔2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン〕ジエチル}−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスド{1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/β,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−〔2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン〕ジエチル}−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1,2−ビス(3−オキソ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)エタン、1−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,1−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシカルボニル)ペンタン、ポリ〔1−オキシエチレン(2,2,6,6−テトラメチル−1,4−ピペリジル)オキシスクシニル〕、ポリ〔2−(1,1,4−トリメチルブチルイミノ)−4,6−トリアジンジイル−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノヘキサメチレン−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス〔N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ〕−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物及びそのN−メチル化合物、コハク酸と1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物、ポリ[{6−((1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、オレフィン(C20−C24)・無水マレイン酸・4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン共重合物等が挙げられる。
また、本発明の生分解性農業用フィルムに使用できる生分解性樹脂組成物は、無機充填材を含有してもよい。無機充填剤の含有量は、農業用フィルムの生分解性樹脂成分の全質量100質量部に対して、好ましくは0.05〜15質量部、より好ましくは0.1〜10質量部、更に好ましくは0.5〜8質量部である。無機充填材を上記のように含有させることで、農業用フィルムを生産する際、農業用フィルムの生分解性樹脂組成物を適度な粘度とすることができ、より良好な成形性を得ることが可能となる。また、引裂き強度をより良好とすることができる。
本発明に使用できる無機充填材としては、シリカ、雲母、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウム、ケイ藻土、アロフェン、ベントナイト、チタン酸カリウム、ゼオライト、セピオライト、スメクタイト、カオリン、カオリナイト、ガラス、石灰石、カーボン、ワラステナイト、焼成パーライト、珪酸カルシウム及び珪酸ナトリウム等の珪酸塩、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、炭酸第二鉄、酸化亜鉛、酸化鉄、リン酸アルミニウム並びに硫酸バリウム等が挙げられ、これらのうち1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明の生分解性農業用フィルムの厚さは、5μm〜50μmが好ましく、5μm〜40μmがより好ましく、5μm〜30μmが更に好ましく、5μm〜20μmがとりわけ好ましい。フィルムの厚さを5μm以上とすることでフィルムの成形をより安定させることができ、展張作業等に使用するときに強度が不十分になることを抑制することができる。また、フィルム厚さを50μm以下とすることで、フィルムの強度が高くなりすぎることを抑制し、展張作業をより容易にすることができる。
本発明の生分解性農業用フィルムを作製する場合の、生分解性樹脂の混練方法は、樹脂組成物の混練方法として一般的な方法が使用できる。具体的には、ペレットや粉体、固体の細片等をヘンシェルミキサーやリボンミキサーで乾式混合し、単軸や2軸の押出し機、バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシングロールなどの公知の溶融混練機に供給して溶融混練することができる。
生分解性樹脂組成物からフィルムを成形加工する方法は、押出機を用いてTダイにて押出ししたフィルムをキャストロールで冷却固化する押出成形や、インフレーション成形機により成形する方法が適している。
以下本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
[評価方法]
(1) 引裂き性の評価(引裂強さ)
JISK7128−1に準拠した方法で、(株)島津製作所製の引張試験機を用いて、機械の成形方向(MD)のトラウザー引裂法による引裂き試験を行い、試験力と試験片の厚さから次の計算式により算出した。
引裂強さ(N/mm)=試験力(N)/試験片厚さ(mm)
(2)分解性の評価
三重県松阪市の農地にフィルムを幅100cm、長さ300cmに展張し、展張2ヶ月後の地中部と地表部の境界を目視で観察した。
<分解性の評価基準>
◎:破れの発生が見られない、または1cm未満の破れが発生している。
○:1cmより大きく3cm未満の破れが発生している。
△:3cmより大きく5cm未満の破れが発生している。
×:5cm以上の破れが発生している。
[使用原料]
・脂肪族−芳香族ポリエステル系樹脂(A):BASF社製 商品名「Ecoflex」
・脂肪族ポリエステル系樹脂(B):三菱化学社製 商品名「GSPla FZ91PN」、
・脂肪族−芳香族ポリエステル系樹脂と乳酸系ポリエステル系樹脂の混合物(C):BASFジャパン社「Ecovio FブレンドC2224」(Ecoflex/PLA:55/45)
・生分解性樹脂粒子(D−1):ミヨシ油脂社製 商品名「ランディ PL−1000」(ポリ乳酸の平均粒子径:5μm)
・生分解性樹脂粒子(D−2):ミヨシ油脂社製 商品名「ランディ PL−3000」(ポリ乳酸の平均粒子径:1μm)
・キトサン(E):大日精化工業社製 商品名「ダイキトサン キトサン溶液A」
・無機充填材(F):タルク(イメリス・スペシャリティーズジャパン社製 商品名「MISTRON850JS」(タルクの平均粒子径:5μm))
[実施例1〜12及び比較例1〜6]
<農業用フィルムの作製>
各々表1に記載されている配合により、ペレット状態でドライブレンドし、シリンダ及びダイス温度は脂肪族芳香族−ポリエステル系樹脂の溶融温度+40℃に設定し、モダン社製のインフレーション成形機を用いて、厚み18μmのフィルムを成形した。
<塗膜層の形成>
乾燥後の塗工量が表1及び表2に記載する塗工量となるように、事前に調整した塗布液(樹脂エマルション(D)等)をバーコートにて塗工し、80℃に設定したオーブンで乾燥させて塗膜層を形成した。なお、基材フィルムの表面は、塗工前にコロナ処理を行い、塗膜層の幅は、地中部と地表部の境界線を中心に、左右に50mm(合計幅:100mm)とした。
得られたフィルムを上記の試験方法及び評価基準により評価した。その結果を表1及び表2に示す。
Figure 2017205057
Figure 2017205057
表1より、実施例1〜12の農業用フィルムは、機械の成形方向(MD)で良好な引裂き強度を有している結果が得られた。
また、実施例1〜12のいずれも、農地での展張試験において、栽培期間を想定した展張2ヶ月後も地中部と地表部の境界で破損していないことが確認された。
これに対して、本発明で規定する塗膜層を持たない比較例1〜3においては、展張2ヶ月経過時に分解が進行しており、栽培期間中マルチフィルムとして十分な性能を保有しない結果となった。また、比較例4および5は、フィルムの引裂き性が劣るため、展張の作業性に劣る結果となり、比較例6の抗菌剤を塗布したものは、地中部と地表部の境界部位において早期の分解を抑制することができない結果となった。

Claims (6)

  1. 生分解性を有する農業用フィルムであって、
    前記農業用フィルムの少なくとも片面に、生分解性樹脂粒子を含有する塗膜層が少なくとも部分的に設けられていることを特徴とする生分解性農業用フィルム。
  2. 前記塗膜層が、少なくとも、フィルムを固定するために土を被せた地中部と土を被せない地表部の境界部位となる位置に設けられている、請求項1に記載の生分解性農業用フィルム。
  3. 前記塗膜層の塗工量は、0.2〜20g/mであることを特徴とする請求項1又は2に記載の生分解性農業用フィルム。
  4. 前記生分解性樹脂粒子の平均粒子径は、0.1〜10μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の生分解性農業用フィルム。
  5. 前記生分解性樹脂粒子が、ポリ乳酸系樹脂粒子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の生分解性農業用フィルム。
  6. 前記生分解性農業用フィルムの機械方向(MD)の引裂き強さが30N/mm以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の生分解性農業用フィルム。
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