JP2016112013A - 農業用生分解性フィルム - Google Patents
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Abstract
Description
[1]生分解性樹脂組成物からなるフィルムであって、前記生分解性樹脂組成物は、脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂を当該組成物中の樹脂成分の全質量に対して47質量%以上含有し、かつ250〜400nmの波長域に吸収能を有するトリアジン系紫外線吸収剤の少なくとも一種を含有することを特徴とする農業用生分解性フィルム。
[2]前記生分解性樹脂組成物中の樹脂成分の全質量100質量部に対して、前記トリアジン系紫外線吸収剤を0.05〜1.0質量部含有することを特徴とする[1]に記載の農業用生分解性フィルム。
[3]更にヒンダードアミン系光安定剤を含有することを特徴とする[1]または[2]に記載の農業用生分解性フィルム。
[4]200〜400nmの波長域の全光線透過率の平均値が、27%以下であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の農業用生分解性フィルム。
[5]400〜700nmの波長域の全光線透過率の平均値が、75%以上であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1項に記載の農業用生分解性フィルム。
[6]耐候性試験機に100時間暴露した後の機械の成形方向(MD)の引張破断伸び率が、耐候性試験機に暴露する前の引張破断伸び率に対して40%以上保持していることを特徴とする、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の農業用生分解性フィルム。
に関する。
本発明における脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂は、脂肪族ジカルボン酸単位と、芳香族ジカルボン酸単位と、鎖状脂肪族および/または脂環式ジオール単位とを含み、芳香族ジカルボン酸単位の含有量は、脂肪族ジカルボン酸単位と芳香族ジカルボン酸単位の全量を基準(100モル%)として、5〜60モル%である。
−O−R1−O− (1)
(式中、R1は2価の鎖状脂肪族炭化水素基および/または2価の脂環式炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。)
−OC−R2−CO− (2)
(式中、R2は直接結合を示すか、2価の鎖状脂肪族炭化水素基および/または2価の脂環式炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。)
−OC−R3CO− (3)
(式中、R3は2価の芳香族炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。)
前記トリアジン系紫外線吸収剤を含有させることで、生分解性樹脂組成物の耐候性能を優れるものとすることができる。より詳しくは、本発明に使用する生分解性樹脂組成物の主原料である脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂は、200〜400nmの波長域の紫外線を吸収する特性を持っており耐候性に劣るが、250〜400nmの波長域の紫外線に吸収能を有するトリアジン系紫外線吸収剤を含有させることで、脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂が吸収する紫外線量を抑制することが可能となり、本発明の生分解性樹脂組成物で構成される農業用生分解性フィルムが特に紫外線に暴露される環境に使用する場合において、劣化が促進されることを抑制することができる。
本発明に使用するトリアジン系紫外線吸収剤は、250〜400nmの波長域の紫外線に吸収能を有するものであれば特に限定することはない。
たとえば、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチロキシ)フェノール:CAS Number2725−22−6で表される化合物(例えばCytecのCYASORB UV−1164)や、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール:CAS Number 147315−50−2(例えばBASFジャパンのTinuvin1577FF、ソンウォンのSongsorb1577PW)、2−[4,6−ビス(ジフェニル−4−イル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−[(2−エチルヘキシル)オキシ]−フェノール(例えば、BASFジャパンのTinuvin1600)を用いることができる。なかでも、2−[4,6−ビス(ジフェニル−4−イル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−[(2−エチルヘキシル)オキシ]−フェノールを好ましく用いることができる。
また、前記トリアジン系紫外線吸収剤は、単独で使用してもよく2種以上の併用であってもよい。
特に本発明の農業用生分解性フィルムを有効に活用できる用途として、マルチフィルムが挙げられる。マルチフィルムは、土中に埋設される部分と、直接、太陽光を浴びる土の表面に展張する複合された環境において使用するため、上述する性能を有する本発明の農業用生分解性フィルムは、特に優れた性能を得ることができる。
これにより、栽培作物の播種や定植からある程度作物が育つまでの期間において、土中と土の表面に設置された状態においてマルチフィルムとして必要な十分な強度を有し、かつ、栽培作物の収穫が終わり、次期作物の栽培が始まる前には、耕作作業において事実上支障がない程度までマルチフィルムを分解させることを可能とすることができる。
本発明に使用するヒンダードアミン系光安定剤は、特に限定することはなく、たとえば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−n−ブチル−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)マロネート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−n−ブチル−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)マロネート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチル−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)マロネート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチル−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)マロネート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスド(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスド(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスド{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/β,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−〔2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン〕ジエチル}−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスド{1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/β,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−〔2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン〕ジエチル}−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1,2−ビス(3−オキソ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)エタン、1−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,1−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシカルボニル)ペンタン、ポリ〔1−オキシエチレン(2,2,6,6−テトラメチル−1,4−ピペリジル)オキシスクシニル〕、ポリ〔2−(1,1,4−トリメチルブチルイミノ)−4,6−トリアジンジイル−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノヘキサメチレン−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス〔N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ〕−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物及びそのN−メチル化合物、コハク酸と1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物、ポリ[{6−((1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、オレフィン(C20−C24)・無水マレイン酸・4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン共重合物等が挙げられる。
本発明に使用する生分解性樹脂組成物は、脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂を生分解性樹脂組成物中の樹脂成分の全質量に対して47質量%以上含有することが重要であるが、その他の生分解性樹脂を含有することができる。
例えば、脂肪族ポリエステル系樹脂や乳酸系ポリエステル系樹脂を使用することができる。
脂肪族ポリエスエステル系樹脂は、ジカルボン酸単位としてアジピン酸単位を含む脂肪族ポリエステル系樹脂やジカルボン酸単位としてアジピン酸単位を含まない脂肪族ポリエステル系樹脂等を使用することができる。
本発明に使用できる脂肪族ポリエステル系樹脂の構成成分である脂肪族ポリエステル系樹脂は、脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位を主成分とする脂肪族ポリエステル系樹脂であることが好ましい。ここで、「主成分」とは、脂肪族ポリエステルを構成する単量体単位全体を基準(100モル%)として、脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位が70モル%以上、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上であることをいう。
−O−R4−O− (4)
(式中、R4は2価の鎖状脂肪族炭化水素基および/または2価の脂環式炭化水素基を示す。共重合されている場合には、樹脂中に二種以上のR4が含まれていてもよい。)
−OC−R5−CO− (5)
(式中、R5は2価の鎖状脂肪族炭化水素基および/または2価の脂環式炭化水素基を示す。共重合されている場合には、樹脂中に二種以上のR5が含まれていてもよい。)
なお、上記式(4)、式(5)において、「2価の鎖状脂肪族炭化水素基および/または2価の脂環式炭化水素基」とは、2価の鎖状脂肪族炭化水素基と2価の脂環式炭化水素基の両方を含んでいてもよいという意味である。また、以下「鎖状脂肪族および/または脂環式」を単に「脂肪族」と略記する場合がある。
1,4ブタンジオール単位以外のジオール単位としては特に限定されないが、炭素数3〜10個の脂肪族ジオール単位が好ましく、炭素数4〜6個の脂肪族ジオール単位が特に好ましい。具体的には1,3−プロパンジオール、1,4−ヘキサンジメタノール等が挙げられる。前記脂肪族ジオール単位を与えるジオール成分は2種類以上を用いることもできる。
また、脂肪族ポリエステル系樹脂はジカルボン酸単位としてアジピン酸を必須成分として含む場合、アジピン酸単位の含有量は、脂肪族ポリエステル系樹脂を構成する単量体単位全体を基準(100モル%)として、0.5〜20モル%であるのが好ましく、1〜15モル%であるのが更に好ましい。
コハク酸単位、アジピン酸単位以外のジカルボン酸単位としては特に限定されないが、炭素数2〜10個の脂肪族ジカルボン酸単位が好ましく、炭素数4〜8個の脂肪族ジカルボン酸単位が特に好ましい。具体的には、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が挙げられる。前記脂肪族ジカルボン酸単位を与えるジカルボン酸成分は2種類以上を用いることもできる。
脂肪族オキシカルボン酸単位の含有量は、脂肪族ポリエステル系樹脂を構成する単量体単位全体を基準(100モル%)として、0〜30モル%であるのが好ましく、更に0.01〜20モル%であるのが好ましく、特に0.01〜10モル%であるのが好ましい。
このような脂肪族ポリエステル系樹脂の具体例としては、三菱化学社製「GSPla」、昭和電工社製「ビオノーレ」などが挙げられる。
本発明に使用できる乳酸系ポリエステル系樹脂は、L−乳酸、D−乳酸、DL−乳酸またはそれらの混合物、ラクチドなどのホモポリマーまたはコポリマーなどが使用できる。乳酸系ポリエステル系樹脂は、これらの原料から直接脱水縮合またはラクチドの開環重合などによって製造することができるが、製法は特に限定されない。また、乳酸系ポリエステル系樹脂の性質を損なわない程度に、乳酸以外の他のヒドロキシカルボン酸、脂肪族多価アルコール、脂肪族多塩基酸等を共重合してもかまわない。
このような乳酸系ポリエステル系樹脂の具体例としては、Nature Works社製「Ingeo Biopolymer」、浙江海正生物材料社製「REVODE」などが挙げられる。
また、この様にして製造された乳酸系ポリエステル系樹脂を、他の脂肪族ポリエステル系樹脂、または、脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂と事前に混合された原料を用いることもできる。
このような乳酸系ポリエステル系樹脂との混合系樹脂の具体例としては、BASFジャパン社製「Ecovio Fブレンド C2224」などが挙げられる。
本発明に使用する生分解性樹脂組成物は、さらに、従来公知の各種添加剤を配合することができる。添加剤としては、例えば、結晶核剤、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、紫外線吸収剤、可塑剤、熱安定剤、着色剤、難燃剤、離型剤、帯電防止剤、防曇剤、表面ぬれ改善剤、焼却補助剤、顔料、滑剤、分散剤や各種界面活性剤、加水分解防止剤等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。これらの中で特にスリップ剤、アンチブロッキング剤は配合した方が好ましい。
トリアジン系紫外線吸収剤以外の紫外線吸収剤としては、たとえば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸系、シアノアクリレート系等が挙げられ、その中でも、ベンゾトリアゾール系またはベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましく、具体的には、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル6−(tert-ブチル)フェノール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α、α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシ−フェノール、オクタベンゾン、2,2’−ジヒドロキシ−4−4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−4,4’−テトラヒドロベンゾフェノンなどが挙げられる。
一方、金属原子としては、周期表の1A、2A、2B及び3B族の原子が好ましい。好ましい例としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、アルミニウム、亜鉛などが挙げられる。
また、本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で生分解性樹脂および天然物、例えば、ポリカプロラクトン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、セルロースエステル等や澱粉、セルロース、紙、木粉、キチン・キトサン質、椰子殻粉末、クルミ殻粉末等の動物/植物物質微粉末またはこれらの混合物を配合することができる。
ここで、耐候性試験機としては、サンシャインウェザーメーター(例えば、スガ試験機社製のサンシャインウェザーメーター)を用いることができる。
また、耐候性試験機での暴露条件としては、JISA1415を用いることができる。
生分解性樹脂組成物からフィルムを成形加工する方法は、押出機を用いてTダイにて押出ししたフィルムをキャストロールで冷却固化する押出成形や、インフレーション成形機により成形する方法が適している。
(1)耐候性試験方法
インフレーション成形機を用いて成形したフィルムを、JISA1415の条件に従って、スガ試験機社製サンシャインウェザーメーターを用いて、ブラックパネル温度を63℃とし、100時間暴露した。
(2)耐候性試験後の伸び残率の測定方法
JISK6781に準拠した方法で、(株)島津製作所製の引張試験機を用いて、機械の成形方向(MD)の引張試験を行い、サンプル破断時の標線間距離から次の計算式により算出した。
破断伸び率(%)=((破断時の標線間距離)−(初期の標線間距離))/(初期の標線間距離))×100
引張試験は、耐候性試験を行う前後に行い、以下の計算式から伸び残率を算出した。
伸び残率(%)=(耐候性試験後の伸び率)/(初期伸び率)×100
<伸び残率の評価基準(100時間暴露後)>
◎:伸び残率が60%以上
○:伸び残率が40%以上60%未満
△:伸び残率が20%以上40%未満
×:伸び残率が20%未満
(3)全光線透過率の測定方法
機器名:島津製作所社製UV−2450
測定波長域:200−900nm
平均値算出方法:0.5nm毎の測定データを取出し、200〜400nmまで及び、400〜700nmまでの波長域の全光線透過率の平均値を算出した。
(4)土中の埋設評価方法
三重県の試験圃場に、幅10cm×長さ30cmのサンプルを埋設し、4ヶ月後、埋設したサンプルを取り出して、目視確認で各サンプルの破損の程度を評価した。
<破損の程度の評価基準(4ヶ月埋設後)>
◎:破れの発生が見られない、または1cm以下の破れが発生している。
○:1cmより大きく3cm以下の破れが発生している。
△:3cmより大きく5cm以下の破れが発生している。
×:5cmより大きい破れが発生している。
・脂肪族芳香族ポリエステル(A−1):BASF社製 商品名「Ecoflex」
・脂肪族芳香族ポリエステル(A−2):S−EnPol社製 商品名「EnPol」
・脂肪族ポリエステル:三菱化学社製 商品名「GSPla FZ91PN」
・ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤:BASFジャパン社製 商品名「Tinuvin326」
・トリアジン系紫外線吸収剤(B−1):BASFジャパン社製 商品名「Tinuvin1600」
・トリアジン系紫外線吸収剤(B−2):ソンウォン社製 商品名「Songsorb1577PW」
・ヒンダードアミン系光安定剤(C−1):BASFジャパン社製 商品名「Chimassorb944FD」
・ヒンダードアミン系光安定剤(C−2):BASFジャパン社製 商品名「Tinuvin622」
・ヒンダードアミン系光安定剤(C−3):BASFジャパン社製 商品名「Uvinul5050」
・ヒンダードアミン系光安定剤(C−4):三共社製 商品名「サノールLS770」
・無機充填材(タルク):日本ミストロン社製 商品名「MISTRON850JS」
紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤及び無機充填材については、事前に脂肪族ポリエステルと一定量で混合したものを二軸の押出し機を用いて溶融混練してマスターバッチを作製し、各々表1に記載されている配合により、ペレット状態でドライブレンドし、シリンダおよびダイス温度は脂肪族芳香族ポリエステルの溶融温度+40℃に設定し、モダン社製のインフレーション成形機を用いて、厚み18μm(実施例1〜12及び比較例1〜4)のフィルムを成形した。
また、実施例2、比較例1、参考例1及び参考例2の全光線透過率の測定値グラフを図1に示す。
実施例2のフィルムは、250〜400nmの波長域の紫外線に高い吸収能を有するトリアジン系紫外線吸収剤を含有させることによって、脂肪族芳香族ポリエステル樹脂が吸収する紫外線の量を減少させることを可能とし、脂肪族芳香族ポリエステル樹脂を主原料としたフィルムとした場合にも、耐候性を上げることが可能であることがわかる。
なお、比較例1のフィルムは、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含有させたものであり、紫外線吸収剤を含有させていない参考例1と比較すると200〜400nmの波長域の紫外線を若干吸収しているものの吸収量が不十分であるため、耐候性能が不十分であることが分かる。
また、実施例1〜12のいずれも、土中での埋設試験において、栽培期間を想定した4ヶ月経過後も破損していないことが確認された。
これに対して、脂肪族芳香族ポリエステル含有量が本発明で規定する含有量より少ない比較例2〜4においては、土中埋設試験4ヶ月経過時に分解が進行し、また本発明で規定するトリアジン系紫外線吸収剤を含有していない比較例1においては、土の表面に展張した箇所で早期に劣化が進行し、比較例1〜4のフィルムは、いずれも栽培期間中における農業用フィルムとしての性能、特に土中の温度を保温する性能として十分な性能を保有しない結果となった。
また、実施例1〜12のいずれも、畑での展張試験6ヶ月後において、土中に展張された環境における加水分解や微生物分解が進み、また、土の表面に展張された環境における紫外線による劣化も進んでおり、栽培期間終了後の土中に鋤き込まれた破片は、機械で処理ができる程度の状態となっており、次の栽培が開始されるまでに問題のない程度に分解が進むことを確認した。
従って、本発明により、栽培作物の播種や定植からある程度作物が育つまでの期間においては、地温の保温機能を有すると共に雑草が生えることを防止するために必要な十分な強度を有し、かつ、栽培作物の収穫が終わり、次期作物の栽培が始まる前には、耕作作業において事実上支障がない程度まで分解していることを可能とした生分解特性を有する農業用生分解性フィルムを提供することが可能となる。
Claims (6)
- 生分解性樹脂組成物からなるフィルムであって、前記生分解性樹脂組成物は、脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂を当該組成物中の樹脂成分の全質量に対して47質量%以上含有し、かつ250〜400nmの波長域に吸収能を有するトリアジン系紫外線吸収剤の少なくとも一種を含有することを特徴とする農業用生分解性フィルム。
- 前記生分解性樹脂組成物中の樹脂成分の全質量100質量部に対して、前記トリアジン系紫外線吸収剤を0.05〜1.0質量部含有することを特徴とする請求項1に記載の農業用生分解性フィルム。
- 更にヒンダードアミン系光安定剤を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の農業用生分解性フィルム。
- 200〜400nmの波長域の全光線透過率の平均値が、27%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の農業用生分解性フィルム。
- 400〜700nmの波長域の全光線透過率の平均値が、75%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の農業用生分解性フィルム。
- 耐候性試験機に100時間暴露した後の機械の成形方向(MD)の引張破断伸び率が、耐候性試験機に暴露する前の引張破断伸び率に対して40%以上保持していることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の農業用生分解性フィルム。
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