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JP2017193462A - 中空シリカ粒子及びその製造方法 - Google Patents

中空シリカ粒子及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】アルカリ金属含有量が低減された中空シリカ粒子を簡便に得ることができる中空シリカ粒子の製造方法を提供。【解決手段】本開示は、下記工程(1)及び(2)を含む、中空シリカ粒子の製造方法に関する。(1)シリカを有機アルカリ水溶液に溶解したシリカ溶解液を噴霧乾燥し、中空シリカ前駆体を得る工程。(2)前記中空シリカ前駆体を焼成し、中空シリカ粒子を得る工程。【選択図】図3

Description

本開示は、中空シリカ粒子及びその製造方法に関する。
内部空間を形成する外殻部を備え、外殻部がシリカを含む成分から構成される中空シリカ粒子は、低屈折率、低誘電率、低熱伝導率、低密度などの特性を有することから、反射防止材、低誘電材、断熱材、低密度フィラーとしての応用が期待でき注目を集めている。
中空シリカ粒子の製造方法としては、粒子内部の空間となるテンプレート粒子(乳化油滴)の表面にシリカの前駆体を集合、縮合させ、テンプレート粒子の表面にシリカを含む成分から構成される外殻部を形成させた後、テンプレート粒子を除去して中空シリカ粒子を製造する方法(テンプレート法)が知られている(例えば、特許文献1及び2)。
さらに、その他の中空シリカ粒子の製造方法として、珪酸ナトリウム(水ガラス)等のアルカリ金属珪酸塩の水溶液を噴霧乾燥してシリカ前駆体粒子を作製し、前記シリカ前駆体粒子を酸処理して該前駆体粒子中のアルカリ金属を除去し、中空シリカ粒子を製造する方法が知られている(例えば、特許文献3及び4)。
特開2009−203115号公報 特開2011−126761号公報 WO2013/121703 特開2015−155373号公報
特許文献1及び2に開示されるテンプレート法は、工程が複雑で、シリカ濃度が低濃度での合成であるため、コストが高い。
特許文献3及び4に開示される水ガラスの噴霧乾燥を用いた製造方法では、テンプレート法よりも低コストが可能であるが、噴霧乾燥後に酸処理をしてアルカリ金属を除去する必要がある。そして、電子材料の用途に用いる場合、アルカリ金属のさらなる低減化が求められる。
本開示は、アルカリ金属含有量が低減された中空シリカ粒子を簡便に得ることができる中空シリカ粒子の製造方法を提供する。
本開示は、一態様において、下記工程(1)及び(2)を含む、中空シリカ粒子の製造方法に関する。
(1)シリカを有機アルカリ水溶液に溶解したシリカ溶解液を噴霧乾燥し、中空シリカ前駆体を得る工程。
(2)前記中空シリカ前駆体を焼成し、中空シリカ粒子を得る工程。
本開示は、他の一態様において、内部空間を形成する外殻部を有し、前記外殻部がシリカを含む成分から構成される中空シリカ粒子であって、前記外殻部は、閉気孔を有し、前記閉気孔は、前記外殻部の割断面を観察したとき、ピンドット状である、中空シリカ粒子に関する。
本開示は、他の一態様において、内部空間を形成する外殻部を備え、前記外殻部がシリカを含む成分から構成される中空シリカ粒子であって、前記外殻部は、閉気孔を有し、前記中空シリカ粒子のBET比表面積が、20m2/g以下である、中空シリカ粒子に関する。
本開示は、アルカリ金属含有量が低減された中空シリカ粒子を簡便に得ることができるという効果を奏しうる。
図1は、実施例1の中空シリカ粒子のSEM画像の一例である。 図2は、実施例1の中空シリカ粒子を含む樹脂割断面のSEM画像の一例である。 図3は、実施例1の中空シリカ粒子の外殻部の割断面のSEM画像の一例である。 図4は、比較例3の中空シリカ粒子の外殻部の割断面のSEM画像の一例である。
本開示は、シリカを有機アルカリ水溶液に溶解したシリカ溶解液を噴霧乾燥させることにより、アルカリ金属含有量が低減された中空シリカ粒子を簡便に得ることができるという知見に基づく。
すなわち、本開示は、一態様において、下記工程(1)及び(2)を含む、中空シリカ粒子の製造方法(以下、「本開示に係る製造方法」ともいう。)に関する。
(1)シリカを有機アルカリ水溶液に溶解したシリカ溶解液を噴霧乾燥し、中空シリカ前駆体を得る工程。
(2)前記中空シリカ前駆体を焼成し、中空シリカ粒子を得る工程。
本開示に係る製造方法によれば、アルカリ金属含有量が低減された中空シリカ粒子を簡便に得ることができるという効果が奏されうる。
本開示の効果が発現するメカニズムの詳細は明らかではないが、以下のように推定される。すなわち、シリカの溶解に有機アルカリ水溶液を用いることで、噴霧乾燥に用いるシリカ溶解液中のアルカリ金属含有量を減少させることができ、アルカリ金属含有量が減少した中空シリカ粒子を得ることができる。さらに、焼成工程で中空シリカ前駆体中の有機アルカリが消失又は蒸発することで、外殻部に微細で均一な閉気孔が形成され、中空シリカ粒子の空孔率が向上すると考えられる。ただし、本開示はこれらのメカニズムに限定して解釈されなくてもよい。
本開示において、「中空シリカ粒子」とは、内部空間を形成する外殻部を備え、前記外殻部がシリカを含む成分から構成される中空シリカ粒子であって、外殻部によって形成される内部空間に空気等の気体が存在するシリカ粒子をいう。本開示において、「シリカを含む成分から構成される外殻部」とは、外殻部の骨格を形成する主成分がシリカであることをいい、外殻部の成分の好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらにより好ましくは95質量%以上が二酸化ケイ素であることをいう。本開示において「中空シリカ前駆体」とは、シリカ溶解液を噴霧乾燥して得られた粉末粒子のことであり、工程(2)の焼成を行うことにより中空シリカ粒子となる粒子である。
以下、上記工程(1)及び(2)の詳細とそこで用いる各成分等について説明する。
[工程(1):噴霧乾燥]
本開示に係る製造方法における工程(1)は、シリカを有機アルカリ水溶液に溶解したシリカ溶解液を噴霧乾燥して中空シリカ前駆体を得る噴霧乾燥工程である。シリカ溶解液を噴霧乾燥すると、シリカ溶解液の液滴表面は乾燥して緻密な膜になり、液滴内部は乾燥して空洞になり、中空構造の前駆体粒子(中空シリカ前駆体)が得られる。シリカ溶解液は、例えば、シリカを有機アルカリ水溶液と混合することにより調製できる。よって、本開示に係る製造方法における工程(1)は、例えば、シリカを有機アルカリ水溶液に混合し、シリカを有機アルカリ水溶液に溶解してシリカ溶解液を調製する溶解工程を含むことができる。
<シリカ>
シリカ溶解液の調製に用いられるシリカとしては、結晶性シリカ、非晶質シリカ、ヒュームドシリカ、湿式シリカ、コロイダルシリカ等が挙げられ、シリカ溶解液の製造容易性、純度、コストの観点から、非晶質シリカが好ましい。
有機アルカリ水溶液と混合される前のシリカの状態は、特に限定されなくてもよく、例えば、粉末状、ゾル状、又はゲル状が挙げられる。電子材料の用途に用いる観点からは、シリカは、高純度シリカが好ましく、超高純度シリカがより好ましい。
<有機アルカリ水溶液>
シリカ溶解液の調製に用いられる有機アルカリ水溶液は、シリカを溶解できるものであればよく、例えば、pH11以上の有機アルカリ水溶液が挙げられる。
有機アルカリ水溶液に含まれる有機アルカリとしては、シリカを溶解できるものであればよく、中空シリカ粒子の粒子構造の均一化、外殻部の厚みの均一化、安定な外殻部形成、及び生産性向上の観点から、例えば、第二級アミン、第三級アミン、第四級アンモニウム塩等が挙げられ、シリカ溶解液の製造容易性の観点から、第四級アンモニウム塩が好ましい。
第四級アンモニウム塩としては、中空シリカ粒子の粒子構造の均一化、外殻部の厚みの均一化、安定な外殻部形成、及び生産性向上の観点から、例えば、下記式(I)で表される、第四級アンモニウムカチオンとヒドロキシドとからなる塩が挙げられる。
上記式(I)において、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立に、炭素数が1以上22以下のアルキル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基及びヒドロキシプロピル基から選ばれる少なくとも1種である。前記アルキル基の炭素数としては、中空シリカ粒子の粒子構造の均一化、外殻部の厚みの均一化、安定な外殻部形成、及び生産性向上の観点から、1以上12以下が好ましく、1以上3以下がより好ましい。前記アルキル基としては、直鎖状アルキル基又は分岐状アルキル基が挙げられるが、外殻部の厚みを均一にする観点から、直鎖状アルキル基が好ましい。
第四級アンモニウム塩の具体例としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(以下、TMAHともいう)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(以下、TEAHともいう)、ジメチルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、及びトリメチルエチルアンモニウムヒドロキシドから選ばれる少なくとも1種が挙げられ、中空シリカ粒子の粒子構造の均一化、外殻部の厚みの均一化、安定な外殻部形成、及び生産性向上の観点から、TMAH又はTEAHが好ましい。
第二級アミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。
第三級アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミントリエタノールアミン、テトラメチルヘキサンジアミン、ジメチルアミノヘキサノール、ブチルジエタノールアミン、テトラメチルエチレンジアミン等が挙げられる。
<シリカ溶解液>
シリカ溶解液は、例えば、シリカと有機アルカリ水溶液とを混合し、シリカを溶解させることにより得られうる。溶解方法は、シリカを溶解できれば特に制限されず、公知の溶解方法を用いることができる。溶解方法としては、例えば、加温処理、加圧処理、又は機械的粉砕処理等が挙げられ、これらを組み合わせて用いてもよい。加温条件としては、例えば、60〜200℃と設定することができる。加圧条件としては、例えば、0〜3MPaと設定することができる。機械的粉砕は、例えば、ボールミル等を用いて行うことができる。さらに、シリカを有機アルカリ水溶液に溶解させる際に、超音波振動が付与されていてもよい。
シリカ溶解液中のシリカ濃度は、異形粒子の生成抑制の観点、及び生産性向上の観点から、2質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上が更に好ましく、そして、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。シリカ溶解液中のシリカの含有量は、熱重量測定装置を用いて測定できる。
シリカ溶解液中の有機アルカリに対するシリカのモル比(シリカ/有機アルカリ)は、空孔率向上の観点から、0.5以上が好ましく、1.0以上がより好ましく、1.5以上が更に好ましく、そして、3.5以下が好ましく、3.0以下がより好ましく、2.5以下が更に好ましい。
本開示において、シリカ溶解液は、水系溶媒を含んでいてもよい。水系溶媒としては、蒸留水、イオン交換水、超純水等が挙げられる。
<噴霧乾燥法>
噴霧乾燥法としては、例えば、回転ディスク法、加圧ノズル、2流体ノズル法、4流体ノズル法等の公知の方法が挙げられる。噴霧乾燥には、例えば、市販の噴霧乾燥装置を用いることができる。
前記噴霧乾燥における熱風の入口温度としては、中空シリカ粒子の粒子構造の均一化、外殻部の厚みの均一化、安定な外殻部形成、及び生産性向上の観点から、80℃〜250℃が好ましく、100℃〜220℃がより好ましく、120℃〜200℃が更に好ましい。噴霧乾燥における熱風の出口温度としては、同様の観点から、50℃〜120℃が好ましく、60℃〜110℃がより好ましく、70℃〜100℃が更に好ましい。出口温度は、入口温度を制御することにより、調整可能である。
前記噴霧乾燥の際の噴霧圧力、噴霧量、及び風量等については、使用する噴霧乾燥装置等に応じて適宜設定すればよい。
工程(1)において、噴霧乾燥に用いるシリカ溶解液(以下、「噴霧液ともいう」)は、使用時に希釈して用いてもよい。シリカ溶解液を希釈したものを噴霧液とする場合、希釈には、蒸留水、イオン交換水、超純水等の水系溶媒を用いることができる。噴霧液中のシリカ濃度は、生産性向上の観点から、2質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上が更に好ましく、そして、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。噴霧液中のシリカの含有量は、上記シリカ溶解液と同じ方法により算出できる。
本開示において、シリカ溶解液及び噴霧液には、本開示の効果が損なわれない範囲で、その他の成分を含むことができる。その他の成分としては、有機バインダ、活性剤等が挙げられる。
本開示において、シリカ溶解液及び噴霧液には、中空シリカ粒子の電子材料用途への適用の観点からは、Na、K等のアルカリ金属を実質的に含まないことが好ましい。すなわち、シリカ溶解液又は噴霧液中のアルカリ金属の合計量は、0.1質量%以下が好ましく、0.01質量%以下がより好ましく、0.005質量%以下が更に好ましい。シリカ溶解液又は噴霧液中のアルカリ金属含有量は、後述する中空シリカ粒子と同様の方法により測定できる。
工程(1)で得られる中空シリカ前駆体は、例えば、空気分級により回収することができる。したがって、本開示に係る製造方法は、工程(1)と後述の工程(2)との間に、噴霧乾燥により得られた中空シリカ前駆体を空気分級して選択的に回収する空気分級工程を含むことができる。空気分級することで、粒径を均一にすることができ、使用目的に適した粒径の粒子が得られる。空気分級は、例えば、気流式分級機、バグフィルター等を用いた公知の方法で行うことができる。
[工程(2):焼成]
本開示に係る製造方法における工程(2)は、前記工程(1)で得られた中空シリカ前駆体を焼成する焼成工程である。この工程(2)により、中空シリカ前駆体の外殻部に含まれる有機アルカリが消失又は蒸発するため、図3に示されるような、有機アルカリに起因する微細な閉気孔が複数形成された外殻部を有する中空シリカ粒子が得られる。
焼成温度は、細孔を適度に焼き締める観点、空孔率向上及び粒子強度向上の観点から、700℃以上が好ましく、800℃以上がより好ましく、900℃以上が更に好ましく、そして、1500℃以下が好ましく、1300℃以下がより好ましく、1200℃以下が更に好ましい。
焼成は、例えば、電気炉等を用いて行うことができる。焼成時間は、焼成温度等により異なるが、通常、0.5〜100時間に設定でき、生産性の観点から、0.5〜48時間が好ましい。
[中空シリカ粒子]
本開示の製造方法によって得られる中空シリカ粒子は、一又は複数の実施形態において、図1に示すような球状粒子である。そして、一又は複数の実施形態において、本開示の製造方法によって得られる中空シリカ粒子は、該中空シリカ粒子を含む樹脂割断面のSEM画像を観察したとき、図2に示すような中空構造を有する粒子である。図2のSEM画像において、円形状の黒色部分が粒子内部の空間である。すなわち、本開示は、内部空間を形成する外殻部を有し、前記外殻部がシリカを含む成分から構成される中空シリカ粒子(以下、「本開示に係る中空シリカ粒子」ともいう)に関する。そして、本開示に係る中空シリカ粒子は、一又は複数の実施形態において、シリカを有機アルカリ水溶液に溶解したシリカ溶解液を噴霧乾燥し、中空シリカ前駆体を得る工程(1)と、前記中空シリカ前駆体を焼成する工程(2)とを順に経て得られるものである。
本開示に係る中空シリカ粒子の外殻部は、閉気孔を有するものである。そして、一又は複数の実施形態において、閉気孔は、外殻部の割断面をSEM観察したとき、図3に示されるようなピンドット状である。図3のSEM画像において、黒点として視認できる部分がピンドット状の閉気孔である。本開示において「閉気孔」とは、一又は複数の実施形態において、上述したように、図3に示されるような、有機アルカリに起因する気孔をいう。「有機アルカリに起因する気孔」とは、一又は複数の実施形態において、上述の工程(2)の焼成の際に、中空シリカ前駆体中の有機アルカリが消失又は蒸発することにより形成されるものである。一又は複数の実施形態において、外殻部の割断面をSEM観察したときの閉気孔の大きさは、5nm以上100nm以下である。本開示において、閉気孔は、空孔率向上及び粒子強度向上の観点から、外殻部に複数形成されていることが好ましい。本開示において、空孔率向上及び粒子強度向上の観点から、外殻部の割断面1μm2あたりの平均閉気孔数は、30個以上が好ましく、50個以上がより好ましく、80個以上が更に好ましく、そして、300個以下が好ましく、250個以下がより好ましく、200個以下が更に好ましい。平均閉気孔数は、実施例に記載の方法により測定できる。
本開示に係る中空シリカ粒子によれば、外殻部に閉気孔を有する中空シリカ粒子が得られる。例えば、本開示の中空シリカ粒子は、外殻部に閉気孔を有するため、平均粒径及び外殻部の厚みが同じで、外殻部に閉気孔を有さない中空シリカ粒子に比べて、空孔率を向上でき、さらに、本開示の中空シリカ粒子が外殻部に多量の閉気孔を有する場合には、より空孔率を向上できると考えられる。さらに、本開示の中空シリカ粒子において、例えば、外殻部に形成される閉気孔の大きさが微小(例えば、5〜30nm程度)である場合や、複数の閉気孔が外殻部に均一に分散している場合、外部からの衝撃等に起因する亀裂の伝播を抑制又は方向転換させ、粒子強度の低下を抑制できると考えられる。
本開示に係る中空シリカ粒子の平均粒径は、用途等を考慮して適宜調整しうるが、中空シリカ粒子を樹脂添加フィラーなどに利用する際の樹脂への分散性の観点から、0.1μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましく、1.0μm以上が更により好ましく、そして、50μm以下が好ましい。平均粒径は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(堀場製作所社製「LA−750」)、又は、コールターカウンター(ベックマン・コールター社製「Multisizer 3」)を用いて測定できる。
本開示に係る中空シリカ粒子のBET比表面積は、中空シリカ粒子の外殻部表面の緻密性を確保する観点から、20m2/g以下が好ましく、15m2/g以下がより好ましく、10m2/g以下が更に好ましい。「BET比表面積」は、後述の実施例に記載の方法により測定できる。
本開示において、中空シリカ粒子の平均粒子径は、シリカ溶解液中の各成分の濃度、噴霧条件、焼成条件等により適宜調整することができる。
本開示に係る中空シリカ粒子の嵩密度は、中空シリカ粒子の誘電率の低減化、及び粒子強度向上の観点から、0.44g/cm3以上が好ましく、0.66g/cm3以上がより好ましく、0.88g/cm3以上が更に好ましく、そして、1.98g/cm3以下が好ましく、1.76g/cm3以下がより好ましく、1.54g/cm3以下が更に好まし好ましい。本開示において「嵩密度」は、ガスピクノメータにより測定できる。具体的には、実施例に記載の方法により測定できる。
本開示に係る中空シリカ粒子の空孔率は、中空シリカ粒子の誘電率を低減させる観点と強度の観点から、10%以上が好ましく、20%以上がより好ましく、30%以上が更に好ましく、そして、80%以下が好ましく、70%以下がより好ましく、60%以下が更に好ましい。空孔率は、真密度測定装置を用いて下記式により算出できる。具体的には、実施例に記載の方法により測定できる。
空孔率(%)=[1−(中空シリカ粒子の真密度/シリカ粒子の真密度)]×100
本開示に係る中空シリカ粒子は、電子材料の品質向上の観点から、Na、K等のアルカリ金属を実質的に含まないことが好ましい。すなわち、中空シリカ粒子中のアルカリ金属の合計含有量は、0.1質量%以下が好ましく、0.01質量%以下がより好ましく、0.005質量%以下が更に好ましい。中空シリカ粒子中のアルカリ金属含有量は、実施例に記載の方法により測定できる。
本開示に係る中空シリカ粒子は、中空シリカ粒子を利用可能な各種分野で用いることができ、例えば、触媒担体;酵素担体;吸着材料;分離材料;光学材料;電子回路の多層配線構造に用いられる絶縁材料;半導体封止材料;電子材料;低誘電膜や低誘電膜用コーティング剤等に用いられる低誘電率材料;断熱材用材料;遮蔽性材料;建築材料;スキンケア化粧料、メークアップ化粧料、ボディケア化粧料、フレグランス化粧料等の化粧料用材料;として用いられうる。
本開示は、さらに以下の製造方法、中空シリカ粒子、或いは用途を開示する。
<1> 下記工程(1)及び(2)を含む、中空シリカ粒子の製造方法。
(1)シリカを有機アルカリ水溶液に溶解したシリカ溶解液を噴霧乾燥し、中空シリカ前駆体を得る工程。
(2)前記中空シリカ前駆体を焼成し、中空シリカ粒子を得る工程。
<2> 工程(1)は、シリカを有機アルカリ水溶液に混合し、シリカを有機アルカリ水溶液に溶解してシリカ溶解液を調製する溶解工程を含む、<1>に記載の製造方法。
<3> 有機アルカリは、第四級アンモニウム塩である、<1>又は<2>に記載の製造方法。
<4> 第四級アンモニウム塩は、下記式(I)で表される、第四級アンモニウムカチオンとヒドロキシドとからなる塩である、<3>に記載の製造方法。
<5> 式(I)中、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に、炭素数が1以上22以下のアルキル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基及びヒドロキシプロピル基から選ばれる少なくとも1種である、<4>に記載の製造方法。
<6> 式(I)中、前記アルキル基の炭素数は、1以上12以下が好ましく、1以上3以下がより好ましい、<5>に記載の製造方法。
<7> 式(I)中、前記アルキル基は、直鎖状アルキル基又は分岐状アルキル基であり、直鎖状アルキル基が好ましい、<5>又は<6>に記載の製造方法。
<8> 第四級アンモニウム塩は、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、及びトリメチルエチルアンモニウムヒドロキシドから選ばれる少なくとも1種であり、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドが好ましい、<4>に記載の製造方法。
<9> シリカ溶解液中のシリカ濃度は、2質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上が更に好ましい、<1>から<8>のいずれかに記載の製造方法。
<10> シリカ溶解液中のシリカ濃度は、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい、<1>から<9>のいずれかに記載の製造方法。
<11> シリカ溶解液中のシリカ濃度は、2質量%以上30質量%以下である、<1>から<10>のいずれかに記載の製造方法。
<12> シリカ溶解液中の有機アルカリに対するシリカのモル比(シリカ/有機アルカリ)は、0.5以上が好ましく、1.0以上がより好ましく、1.5以上が更に好ましい、<1>から<11>のいずれかに記載の製造方法。
<13> シリカ溶解液中の有機アルカリに対するシリカのモル比(シリカ/有機アルカリ)は、3.5以下が好ましく、3.0以下がより好ましく、2.5以下が更に好ましい、<1>から<12>のいずれかに記載の製造方法。
<14> シリカ溶解液のアルカリ金属の合計量は、0.1質量%以下が好ましく、0.01質量%以下がより好ましく、0.005質量%以下が更に好ましい、<1>から<13>のいずれかに記載の製造方法。
<15> 工程(1)の噴霧乾燥における熱風の入口温度は、80℃〜250℃が好ましく、100℃〜220℃がより好ましく、120℃〜200℃が更に好ましい、<1>から<14>のいずれかに記載の製造方法。
<16> 工程(1)の噴霧乾燥における熱風の出口温度は、50℃〜120℃が好ましく、60℃〜110℃がより好ましく、70℃〜100℃が更に好ましい、<1>から<15>のいずれかに記載の製造方法。
<17> 工程(1)と工程(2)との間に、噴霧乾燥により得られた中空シリカ前駆体を空気分級して選択的に回収する空気分級工程をさらに含む、<1>から<16>のいずれかに記載の製造方法。
<18> 工程(2)における焼成温度は、700℃以上が好ましく、800℃以上がより好ましく、900℃以上が更に好ましい、<1>から<17>のいずれかに記載の製造方法。
<19> 工程(2)における焼成温度は、1500℃以下が好ましく、1300℃以下がより好ましく、1200℃以下が更に好ましい、<1>から<18>のいずれかに記載の製造方法。
<20> 内部空間を形成する外殻部を備え、前記外殻部がシリカを含む成分から構成される中空シリカ粒子であって、前記外殻部は、閉気孔を有し、前記閉気孔は、前記外殻部の割断面を観察したとき、ピンドット状である、中空シリカ粒子。
<21> 内部空間を形成する外殻部を備え、前記外殻部がシリカを含む成分から構成される中空シリカ粒子であって、前記外殻部は、閉気孔を有し、前記中空シリカ粒子のBET比表面積が、20m2/g以下である、中空シリカ粒子。
<22> 内部空間を形成する外殻部を備え、前記外殻部がシリカを含む成分から構成される中空シリカ粒子であって、前記中空シリカ粒子は、シリカを有機アルカリ水溶液に溶解したシリカ溶解液を噴霧乾燥し、中空シリカ前駆体を得る工程と、前記中空シリカ前駆体を焼成する工程とを順に経て得られるものであり、前記外殻部は、閉気孔を有する、中空シリカ粒子。
<23> 外殻部の成分の好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらにより好ましくは95質量%以上が二酸化ケイ素である、<20>から<22>のいずれかに記載の中空シリカ粒子。
<24> 閉気孔は、有機アルカリに起因する気孔である、<20>から<23>のいずれかに記載の中空シリカ粒子。
<25> 中空シリカ粒子のBET比表面積が、20m2/g以下が好ましく、15m2/g以下がより好ましく、10m2/g以下が更に好ましい、<20>から<24>のいずれかに記載の中空シリカ粒子。
<26> 外殻部の割断面1μm2あたりの平均閉気孔数は、30個以上が好ましく、50個以上がより好ましく、80個以上が更に好ましい、<20>から<25>のいずれかに記載の中空シリカ粒子。
<27> 外殻部の割断面1μm2あたりの平均閉気孔数は、300個以下が好ましく、250個以下がより好ましく、200個以下が更に好ましい、<20>から<26>のいずれかに記載の中空シリカ粒子。
<28> 外殻部の割断面1μm2あたりの平均閉気孔数は、30個以上300個以下である、<20>から<27>のいずれかに記載の中空シリカ粒子。
<29> 外殻部の割断面を観察したときの閉気孔の大きさが、5nm以上100nm以下である、<20>から<28>のいずれかに記載の中空シリカ粒子。
<30> 中空シリカ粒子の空孔率は、10%以上が好ましく、20%以上がより好ましく、30%以上が更に好ましい、<20>から<29>のいずれかに記載の中空シリカ粒子。
<31> 中空シリカ粒子の空孔率が、80%以下が好ましく、70%以下がより好ましく、60%以下が更に好ましい、<20>から<30>のいずれかに記載の中空シリカ粒子。
<32> 中空シリカ粒子の空孔率が、10%以上80%以下である、<20>から<31>のいずれかに記載の中空シリカ粒子。
<33> 中空シリカ粒子の平均粒径は、0.1μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましく、1.0μm以上が更により好ましい、<20>から<32>のいずれかに記載の中空シリカ粒子。
<34> 中空シリカ粒子の平均粒径は、50μm以下である、<20>から<33>のいずれかに記載の中空シリカ粒子。
<35> 中空シリカ粒子の平均粒径が、0.5μm以上50μm以下である、<20>から<34>のいずれかに記載の中空シリカ粒子。
<36> 中空シリカ粒子の嵩密度は、0.44g/cm3以上が好ましく、0.66g/cm3以上がより好ましく、0.88g/cm3以上が更に好ましい、<20>から<35>のいずれかに記載の中空シリカ粒子。
<37> 中空シリカ粒子の嵩密度は、1.98g/cm3以下が好ましく、1.76g/cm3以下がより好ましく、1.54g/cm3以下が更に好まし好ましい、<20>から<36>のいずれかに記載の中空シリカ粒子。
<38> 中空シリカ粒子中のアルカリ金属の合計含有量は、0.1質量%以下が好ましく、0.01質量%以下がより好ましく、0.005質量%が更に好ましい、<20>から<37>のいずれかに記載の中空シリカ粒子。
<39> <20>から<38>のいずれかに記載の中空シリカ粒子の、触媒担体、酵素担体、吸着材料、分離材料、光学材料、絶縁材料、半導体封止材料、電子材料、低誘電率材料、断熱材用材料、遮蔽性材料、建築材料及び化粧料用材料から選ばれる少なくとも1種の材料への使用。
以下、実施例により本開示をさらに詳細に説明するが、これらは例示的なものであって、本開示はこれら実施例に制限されるものではない。
1.各パラメータの測定方法
後述する実施例及び比較例の粒子の各種測定は、以下の方法により行った。
[嵩密度の測定]
ガスピクノメータ(カンタクローム・インスツルメンツ・ジャパン合同会社製「Ultrapyc1200e」)を用いて、1分間の脱気処理後に嵩密度の測定を行った。該測定を10回行い、その平均値を中空シリカ粒子の嵩密度(g/cm3)とした。
[空孔率の測定]
空孔率は、ガスピクノメータ(カンタクローム・インスツルメンツ・ジャパン合同会社製「Ultrapyc1200e」)を用いて測定した密度より、下記式により算出した。シリカ粒子の真密度は2.2g/cm3である。
空孔率(%)=[1−(中空シリカ粒子の真密度/シリカ粒子の真密度)]×100
[BET比表面積の測定]
比表面積測定装置(株式会社島津製作所製、商品名「フローソーブIII2305」)を使用し、中空シリカ粒子のBET比表面積を測定した。試料は、200℃で15分加熱する前処理を行った。
[平均粒径]
中空シリカ粒子の平均粒径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製「LA−920」 相対屈折率を1.4に設定し測定)を使用し、体積基準のメジアン径(D50)として測定した。さらに、中空シリカ粒子の平均粒径は、コールターカウンター(Coulter Corporation社製、50μmアパチャーチューブを使用)を用いて測定した。
[粒子強度]
粒子強度は、粒子:10gをジルコニアボール(10mmφZrO2):200gを用いて粉砕処理(95rpm、1時間)し、粉砕前後の粒子の比重増加量から評価した。評価基準を以下に示す。
比重増加量が0.03g/cm3以下の場合、粒子強度に優れると判断し、比重増加量が0.03g/cm3を超える場合、粒子強度が劣ると判断した。
[アルカリ金属含有量]
中空シリカ粒子中のアルカリ金属含有量は、JIS−K0133に準拠し、ICP−MS(アジレント製「7700S」)を用いて測定した。フッ化水素酸により中空シリカ粒子を完全溶解させた水溶液を試料として用いた。ここでは、中空シリカ粒子中に含まれるNaの含有量を、シリカ溶解液中のアルカリ金属含有量とした。
[中空シリカ粒子の割断面のSEM観察と外殻部の平均厚みの測定]
中空粒子をエポキシ樹脂に混練し、硬化した後、試料を割断した。そして、割断面を電界放射型走査電子顕微鏡(SEM)(日立製作所社製の「S−4000」)を用いて、3千倍に拡大して観察した。そして、50〜100個の中空粒子の外殻部厚みを写真上で計測して外殻部の平均厚みを求めた。
[外殻部の割断面のSEM観察と平均閉気孔数の測定]
中空粒子をエポキシ樹脂に混練し、硬化した後、試料を割断した。そして、中空粒子の外殻部の割断面を、電界放射型走査電子顕微鏡(SEM)(日立製作所社製の「S−4000」)を用いて、5万倍に拡大して観察した。そして、3〜10個の中空粒子のそれぞれの割断面1μm2当たりの閉気孔の個数から、平均閉気孔数を求めた。
2.中空シリカ粒子の製造(実施例1〜34及び比較例1〜4)
(実施例1)
中空シリカ粒子は、噴霧乾燥工程(1)及び焼成工程(2)の2工程を経て製造される。
まず、噴霧乾燥工程(1)に用いるシリカ溶解液を調製した。すなわち、撹拌機のついた反応槽(耐圧硝子工業社製、TEM−D1500M)に、シリカ(アドマテックス社製、アドマファインSOE2):200g、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド25%水溶液(セイケムアジア社製、pH14):640g、及び、イオン交換水:160gを入れて撹拌しながら、1時間30分で180℃まで昇温し、その後、180℃で1時間撹拌することにより、シリカ溶解液(シリカ濃度:20質量%、モル比(シリカ/有機アルカリ):1.9)を得た。180℃で撹拌中の反応槽内の圧力は0.85MPaであった。
次いで、調製したシリカ溶解液をそのまま噴霧液として、噴霧乾燥機(東京理化器械社製、SD−1000)を用いて噴霧乾燥し、乾燥粉末(中空シリカ前駆体)を得た(噴霧乾燥工程(1))。噴霧乾燥機の噴霧ノズルには、2流体ノズル(試料吐出孔径:0.4mm)を用いた。噴霧条件は、入口温度:130℃、出口温度:98℃、噴霧圧力:250kPa、風量:0.7m3/分、噴霧量:10mL/分であった。
次いで、噴霧乾燥により得られた乾燥粉末(中空シリカ前駆体)を電気炉(モトヤマ社製、SK−2535E−OP)にて1100℃まで100℃/時間で昇温し、その後、1100℃で1時間保持し焼成することで、実施例1の中空シリカ粒子を得た(焼成工程(2))。
実施例1の中空シリカ粒子の物性測定結果を下記表1に示す。そして、実施例1の中空シリカ粒子のSEM画像を図1に示す。図1から、実施例1の中空シリカ粒子の形状は球状であることが分かった。さらに、実施例1の中空シリカ粒子の外殻部の割断面のSEM画像を図3に示す。図3において、閉気孔を示す黒点が目視で確認できた。すなわち、図3から、実施例1の中空シリカ粒子の外殻部には、閉気孔が形成されていることが確認できた。
(実施例2〜33)
シリカ溶解液中の各原料の濃度、及び、噴霧乾燥条件を表1に記載のとおり変更したこと以外は、上記実施例1と同様の方法により、実施例2〜33の中空シリカ粒子を得た。各々の物性測定結果を表1に示す。
(実施例34)
まず、噴霧乾燥工程(1)に用いるシリカ溶解液を調製した。すなわち、撹拌機のついた反応槽(耐圧硝子工業社製、TEM−D1500M)に、シリカ(アドマテックス社製、アドマファインSOE2):200g、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド20%水溶液(TEAH)(和光純薬工業株式会社社製):1287gを入れて撹拌しながら、1時間30分で170℃まで昇温し、その後、170℃で1時間撹拌することにより、実施例34のシリカ溶解液(シリカ濃度:13質量%、モル比(シリカ/有機アルカリ):1.9)を得た。170℃で撹拌中の反応槽内の圧力は1.20MPaであった。
そして、噴霧液として実施例34のシリカ溶解液を用いたこと、及び噴霧条件を表1に記載のとおり変更したこと以外は、上記実施例1と同様の方法により、実施例34の中空シリカ粒子を得た。実施例34の中空シリカ粒子の物性測定結果を表1に示す。
(比較例1)
撹拌機のついた反応槽にメタノール(和光純薬社製):23.9重量部、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド30%水溶液(第一工業製薬社製):1.0重量部、ヘキサン(和光純薬社製):1.0重量部、25%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(セイケムアジア社製):0.5重量部を入れて撹拌し、溶液Aを調製した。さらに、別の撹拌機のついた反応槽にイオン交換水:71.6重量部を入れて撹拌し、溶液Bとした。そして、溶液Aを攪拌しながら溶液Bを45秒で添加し、その後、25℃で10分撹拌することにより、O/W型乳化液を得た。
次いで、O/W型乳化液に、テトラメトキシシラン(TMOS、多摩化学製):2.0重量部(溶液C)を30秒で添加し、その後、25℃で10分間撹拌し、白濁液を得た。
次いで、得られた白濁液を5Cのろ紙を用いてろ別し、水洗いした後、100℃で乾燥することにより白色の乾燥粉末を得た。得られた乾燥粉末を1100℃で1時間焼成することで、比較例1の中空シリカ粒子を得た。比較例1の中空シリカ粒子の物性測定結果を表1に示す。
(比較例2)
シリカとしてコロイダルシリカ(日産化学工業社製、「スノーテックス N」、シリカ濃度20質量%)を用いたこと、シリカを溶解しなかったこと以外は、上記実施例1と同様の方法により、比較例2の中空シリカ粒子を得た。得られた比較例2の中空シリカ粒子は、中空構造を有していたが、空孔率は低かった。比較例2の中空シリカ粒子の物性測定結果を表1に示す。
(比較例3)
シリカとして3号水ガラス(大阪珪酸曹達株式会社製)を用い、上記実施例1と同様の方法で噴霧乾燥を行った。得られた乾燥粉末を500℃で1時間焼成し、比較例4の中空シリカ粉末を得た。水ガラスを原料とした場合、ナトリウムの影響で500℃以上の温度で焼成するとシリカが溶解する。得られた比較例3のシリカ粒子は中空構造を有していた。比較例3の中空シリカ粒子の物性測定結果を表1に示す。そして、比較例3の中空シリカ粒子の外殻部の割断面のSEM画像を図4に示す。図4において、閉気孔を示す黒点は確認できなかった。すなわち、図4から、比較例3の中空シリカ粒子の外殻部には、閉気孔が形成されていないことが分かった。
(比較例4)
焼成温度を700℃に変更したこと以外は、比較例1と同様にして、比較例4の中空シリカ粒子を得た。比較例4の中空シリカ粒子は、メソポーラスシリカであった。比較例4の中空シリカ粒子は、嵩密度が2.20g/cm3、空孔率が0%、BET比表面積が718m3/gであった。
上記表1に示すとおり、実施例1〜34では、アルカリ金属含有量が含まれない中空シリカ粒子を簡便に製造できた。
さらに、実施例1〜2、11、28〜29、33の中空シリカ粒子の外殻部の平均厚み及び平均閉気孔数、並びに比較例1〜3の中空シリカ粒子の外殻部の平均閉気孔数を、表2に示す。さらに表2に、中空シリカ粒子の物性を表1から一部抜粋したものも示す。
上記表2に示すとおり、実施例1〜2、11、28〜29、33の中空シリカ粒子は、外殻部に複数の閉気孔が形成された中空シリカ粒子であった。一方、比較例1〜3の中空シリカ粒子は、外殻部に閉気孔が形成されていない中空シリカ粒子であった。
本開示によれば、例えば、中空シリカ粒子を利用可能な、触媒担体、吸着剤、物質分離剤、酵素や機能性有機化合物の固定化担体、電子材料等を扱う分野において有用である。

Claims (10)

  1. 下記工程(1)及び(2)を含む、中空シリカ粒子の製造方法。
    (1)シリカを有機アルカリ水溶液に溶解したシリカ溶解液を噴霧乾燥し、中空シリカ前駆体を得る工程。
    (2)前記中空シリカ前駆体を焼成し、中空シリカ粒子を得る工程。
  2. 前記有機アルカリは、第四級アンモニウム塩である、請求項1に記載の中空シリカ粒子の製造方法。
  3. 前記シリカ溶解液中のシリカ濃度は、2質量%以上30質量%以下である、請求項1又は2に記載の中空シリカ粒子の製造方法。
  4. 内部空間を形成する外殻部を備え、前記外殻部がシリカを含む成分から構成される中空シリカ粒子であって、
    前記外殻部は、閉気孔を有し、
    前記閉気孔は、前記外殻部の割断面を観察したとき、ピンドット状である、中空シリカ粒子。
  5. 内部空間を形成する外殻部を備え、前記外殻部がシリカを含む成分から構成される中空シリカ粒子であって、
    前記外殻部は、閉気孔を有し、
    前記中空シリカ粒子のBET比表面積が、20m2/g以下である、中空シリカ粒子。
  6. 前記閉気孔は、有機アルカリに起因する気孔である、請求項4又は5に記載の中空シリカ粒子。
  7. 前記外殻部の割断面1μm2当たりの平均閉気孔数が、30個以上300個以下である、請求項4から6のいずれかに記載の中空シリカ粒子。
  8. 前記外殻部の割断面を観察したときの閉気孔の大きさが、5nm以上100nm以下である、請求項4から7のいずれかに記載の中空シリカ粒子。
  9. 中空シリカ粒子の空孔率が、10%以上80%以下である、請求項4から8のいずれかに記載の中空シリカ粒子。
  10. 中空シリカ粒子の平均粒径が、0.1μm以上50μm以下である、請求項4から9のいずれかに記載の中空シリカ粒子。
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