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JP2017148973A - 繊維強化複合材料成形品の製造方法 - Google Patents

繊維強化複合材料成形品の製造方法 Download PDF

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満 轡田
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敦 野原
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正洋 市野
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和久 池田
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Abstract

【課題】 立体形状を有する繊維強化複合材料成形品の生産性と物性とを両立させることができる、繊維強化複合材料成形品の製造方法を提供する。【解決手段】実質的に連続した強化繊維に熱硬化性樹脂マトリックス樹脂が含浸されている、横幅が3〜55mmの範囲である繊維強化複合材料を一平面内においては直進するよう敷設することで、該繊維強化複合材料からなる積層体を製作する敷設工程と、該積層体を賦形することにより、所望する成形品形状とほぼ正味形状を有するプリフォームを製作する賦形工程と、該プリフォームを該熱硬化性マトリックス樹脂の硬化温度以上に調温せしめた成形型内で圧縮成形する成形工程とからなる、繊維強化複合材料成形品の製造方法。【選択図】 なし

Description

本発明は、所望の立体形状を有する繊維強化複合材料成形品の製造方法に関する。
繊維強化複合材料成形品の製造には、強化繊維を一方向に引き揃えたシート状物や織物や不織布などに、熱硬化性マトリックス樹脂を含浸させた中間基材である、シート状プリプレグを用いることが多い。
一方、シート状プリプレグ以外にも、数千〜数万本のフィラメントが一方向に配列した強化繊維束に熱硬化性マトリックス樹脂を含浸させた、トウプレグ、トウプリプレグ、ヤーンプリプレグ、あるいはストランドプリプレグと呼ばれる細幅の中間基材(以下、トウプレグということがある)が、繊維強化複合材料成形品の製造に利用されている。
特許文献1には、トウプレグを平坦に敷設することでシート状プリプレグと見立て、これをインフュージョン成形やスタンピング成形に利用する、繊維強化複合材料成形品の製造方法が提案されている。
特許文献1には、トウプレグのスタンピング成形への適用例として、熱硬化性マトリックス樹脂が含浸されたトウプレグを平面に敷設することで形成される積層体を準備し、この積層体の周囲をスタンピング金型内で固締させた後に、このスタンピング金型による積層体の型打ちと加熱を同時に行い、このトウプレグを構成する熱硬化性マトリックス樹脂が硬化するまでこの状態を保持することで、所望の形状を有する繊維強化複合材料成形品を製造することが記載されている。
特表2004−504962号公報
しかしながら、スタンピング金型の温度が、上記の熱硬化性マトリックス樹脂の硬化温度よりも高温の場合には、このマトリックス樹脂は速やかに硬化するため、上記積層体の型打ちによる賦形が不充分となり、得られる成形品にはシワが発生しやすくなるとともに、強化繊維の蛇行が発生し、その結果、成形品の強度が損なわれたり、所望する立体形状の成形品を得ることが困難となったりすることがあった。
また、スタンピング金型の温度が、上記の熱硬化性マトリックス樹脂の硬化温度よりも低温の状態で積層体を賦形した後に、この樹脂の硬化温度までスタンピング金型を昇温させる場合には、樹脂の硬化やスタンピング金型の昇降温に長時間を要することとなり、成形品の生産速度や生産効率が著しく損なわれる傾向にあった。
上記の課題を解決するため、本発明は、
実質的に連続した強化繊維に熱硬化性樹脂マトリックス樹脂が含浸されている、横幅が3〜55mmの範囲である繊維強化複合材料を一平面内においては直進するよう敷設することで、該繊維強化複合材料からなる積層体を製作する敷設工程と、該積層体を賦形することにより、所望する成形品形状とほぼ正味形状を有するプリフォームを製作する賦形工程と、該プリフォームを該熱硬化性マトリックス樹脂の硬化温度以上に調温せしめた成形型内で圧縮成形する成形工程とからなる、繊維強化複合材料成形品の製造方法を提供する。
前記繊維強化複合材料は、炭素繊維トウに熱硬化性マトリックス樹脂を含浸して得られたトウプレグであることが好ましい。
また、前記敷設工程と前記賦形工程の間には、前記敷設工程を経て得られた積層体の圧密化工程を有するのが好ましい。
さらに、前記敷設工程にて、前記繊維強化複合材料を表皮材上に敷設することにより、該表皮材を前記繊維強化複合材料成形品の外面または内面に形成させるのが好ましい。
本発明により、立体形状を有する繊維強化複合材料成形品の生産性と物性とを両立させることができる。また、本発明により、繊維強化複合材料成形品に優れた意匠性を付与することが可能である。
図1は、本発明の実施形態の一例を示すための成形品形状図である。 図2は、本発明の実施形態の一例を示すための平面形状図である。 図3は、本発明の実施形態の一例を示すための積層構成図である。 図4は、本発明の実施形態の一例を示す図である。 図5は、本発明の実施形態の一例を示す図である。 図6は、本発明の実施形態の一例を示すためのプリフォーム形状図である。 図7は、本発明の実施形態の一例を示す図である。 図8は、本発明の実施形態の一例を示すためのプリフォーム形状図である。 図9は、本発明の実施形態の一例により得られた成形品の強度試験図である。 図10は、本発明の実施形態の一例を示すための積層構成図である。 図11は、本発明の実施形態の一例により得られた成形品形状図である。 図12は、特許文献1の一例により得られた成形品形状図である。
(繊維強化複合材料)
本発明の繊維強化複合材料成形品の製造方法に用いることができる繊維強化複合材料は、例えば敷設工程や賦形工程における低温時の取り扱い性に優れるとともに、成形品の物性にも優れることから、熱硬化性マトリックス樹脂と強化繊維を含む繊維強化複合材料である必要がある。
繊維強化複合材料の形態は、強化繊維が実質的に連続する方向に対する直交方向の長さ(以下、横幅という)が3〜55mmの範囲であることを特徴とする。これは、横幅が3mmより短いと、一平面の敷設に必要となる前記繊維強化複合材料の本数が多くなり、敷設効率が低下する傾向にあるためである。より好ましくは5mm以上であり、さらに好ましくは6mm以上である。また、横幅が55mmを超えると、敷設する平面形状によっては、前記繊維強化複合材料の歩留まり低下が懸念される傾向にあるためである。より好ましくは40mm以下であり、さらに好ましくは30mm以下である。
また、繊維強化複合材料は、敷設工程で繊維強化複合材料の幅を容易に調整できることから、トウプレグであることが好ましい。ただし、この繊維強化複合材料の横幅が3〜55mmの範囲であれば、トウプレグに限定されることはなく、例えば、シート状プリプレグを前記横幅に裁断したものを繊維強化複合材として用いることができる。
(強化繊維)
本発明の繊維強化複合材料成形品の製造方法に用いることができる強化繊維としては、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、高強度ポリエステル繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、窒化珪素繊維、ナイロン繊維などが挙げられる。本発明に用いる強化繊維としては、これらから一種以上を適宜選択して使用することができるが、中でも比強度および比弾性に優れることから、炭素繊維が好ましい。
本発明に用いる炭素繊維には、炭素繊維トウの収束性や、繊維強化複合材料成形品とした際の炭素繊維と熱硬化性マトリックス樹脂との接着性を改善するため、エポキシ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、アクリレート基およびメタクリレート基から選ばれる1種類以上の官能基を持つ物質が0.01〜5質量%程度付着されたものであってもよい。
(強化繊維トウ)
トウプレグに用いる炭素繊維トウについては、何ら制限されるものではないが、炭素繊維フィラメント数が1000〜100000本程度の炭素繊維トウであることが好ましい。また、本発明に使用する強化繊維糸条は、積層体表面の凹凸が減少する傾向にあることから、無撚りであることが好ましい。撚りがある場合は撚り数にして5回/m以下が好ましく、2回/m以下がさらに好ましい。
(熱硬化性マトリックス樹脂)
本発明の繊維強化複合材料成形品の製造方法に用いることができる熱硬化性マトリックス樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、ベンゾオキサジン樹脂などが挙げられる。本発明に用いる熱硬化性マトリックス樹脂としては、これらの中から一種以上を適宜選択して使用することができるが、中でも硬化後の強度を高くできる傾向にあることから、エポキシ樹脂が好ましい。
また、熱硬化性マトリックス樹脂中には、硬化剤、離型剤、脱法剤、紫外線吸収剤、充填剤などの各種添加剤などが含まれてもよい。
(トウプレグの製造方法)
トウプレグの製造方法は何ら制限するものではなく、例えば、熱硬化性マトリックス樹脂を加熱により低粘度化させ、引き揃えた炭素繊維トウをその低粘度化された熱硬化性マトリックス樹脂中に浸漬通過させて含浸させる方法であっても良いし、熱硬化性マトリックス樹脂を溶剤で希釈した液状樹脂に炭素繊維トウを浸漬させてから、必要に応じで過剰の樹脂溶液を除去した後に、加熱等により溶剤を蒸発させてトウプレグを得る方法(以下、ラッカー法という)であっても良いし、予め熱硬化性マトリックス樹脂を支持シートに塗布して一定厚みのフィルム上の樹脂としたのちに、このフィルム上の樹脂と炭素繊維トウとを重ねて加熱加圧することで、熱硬化性マトリックス樹脂を炭素繊維トウに含浸させる方法であっても良い。
(敷設工程)
横幅が3〜55mmの範囲の上述の繊維強化複合材料を一平面内においては直進するよう敷設する工程を繰り返すことによって、繊維強化複合材料を平面上に敷設し、さらにこの平面状の敷設物上に、この工程を繰り返すことによって、実質的に平坦である所望の形状の繊維強化複合材料の積層体を製作することができる。
(敷設方法)
本発明の繊維強化複合材料の敷設方法としては、例えば、上述の繊維強化複合材料を手作業で配置しても良いし、一般的に知られる自動積層装置を用いて配置してもよい。この敷設による繊維強化複合材料の敷設条件は、同一層内における隣り合う繊維強化複合材料どうしが大きく重なったり、大きく隙間が開いたりさえしなければ、特に制限はない。
(繊維配向)
同一平面における強化繊維の配向は、実質的に一様であり、かつ略平行に引き揃えられていることが、立体形状を有する繊維強化複合材料成形品の生産性と物性とを両立させる上で必要である。また、並列する細幅の繊維強化複合材料は、互いに当接していることが好ましい。
(積層構成)
上述の積層体の積層構成としては、一方向積層、直交積層、擬似等方積層などを採用することができ、特に制限されないが、後の賦形工程で積層体を賦形しやすく、得られるプリフォームに目開きが発生しにくいことから、直交積層や疑似等方積層が好ましい。
積層体の層数は、特に制限されるものではなく、目的とする繊維強化複合材料成形品に応じて適宜選択することができる。
(積層体の厚み)
積層体の厚みは、特に制限されるものではないが、0.2〜6mmの範囲とするのが好ましい。これは、積層体の厚みを0.2mm以上とすることによって、後の賦形工程で得られるプリフォームの形状保持性が良好となる傾向にあるためである。より好ましくは、0.4mm以上であり、さらに好ましくは0.6mm以上である。また、積層体の厚み6mm以下とすることによって、上記のプリフォームの賦形性が良好となり、得られる成形品へのシワ発生が低減される傾向にあるためである。より好ましくは、5mm以下であり、さらに好ましくは4mm以下である。
(表皮材)
前記敷設工程を表皮材の上で行うことにより、繊維強化複合材料と表皮材が一体となった積層体を製作してもよい。これによって、成形品に効率良く意匠性を付与することができる。ここで用いる表皮材としては、特に制限されることなく、目的とする繊維強化複合材料成形品に応じて適宜選択することができる。
(圧密化工程)
本発明においては、上述の積層体を製作する敷設工程と、この積層体を賦形してプリフォームを製作する賦形工程の間に、必要に応じて、圧密化工程を採用することができる。
この工程によって積層体を圧密化することで、敷設された繊維強化複合材料を、それらの適切な位置に保持させることができ、この賦形工程によって製作された積層体の運搬時における繊維強化複合材料の剥離や、賦形工程時における強化繊維の大きな配向の乱れを予防でき、その結果、得られる成形品の物性を良好とすることができる。
積層体の圧密化方法としては、材料の加熱がなく、積層体の強化繊維が蛇行しない方法が好ましく、例えば、平坦なツール上に積層体を配置して、その上部からゴム膜などを配置した後、内部を真空引きしてゴム膜を圧着させることで圧密化する方法などを挙げることができる。
(賦形工程)
本発明では、目的とする繊維強化複合材料成形品を得る成形工程に先立って、上述の積層体を賦形することにより、所望する成形品形状の正味形状を有するプリフォームを製作する。
(賦形)
上述の賦形工程における積層体の賦形の方法としては、例えば、人手によって上述の積層体を型に貼り込むことにより、この積層体を賦形してプリフォームを製作しても良いし、型上に上述の積層体を配置して、その上部からゴム膜などを配置した後に、内部を真空引きしてゴム膜を圧着させることで積層体を賦形してプリフォームを製作しても良いし、簡易な成形機に雄雌型を配置し、開いた雄雌型の間に積層体を配置して、雄雌型を挟圧することで賦形してプリフォームを製作しても良いし、これらの方法を適宜組み合わせることで賦型しても良いが、大きな形状であっても短時間で賦形できることから、雄雌型の挟圧により積層体を賦形してプリフォームを製作することが好ましい。
ここでの雄雌型とは、一方の型の凸部または凹部に、他方の凹部または凸部が対応する一対の型のことを意味する。
(予備加熱)
また、賦形工程における上述の積層体の賦形に先立って、前記積層体を予備加熱しても良く、さらにはこの積層体の温度が40〜80℃になるよう予備加熱することが好ましい。これにより、熱硬化性マトリックス樹脂の粘性が適度に低下することで賦形作業が容易となり、繊維強化複合材料がこの作業中に硬化することなく、プリフォームを良好に製作することができる。
この予備加熱温度を40℃以上とすることによって、例えば、熱硬化性マトリックス樹脂としてエポキシ樹脂を使用する場合には、マトリックス樹脂に充分な成形性を付与できる傾向にある。また、予備加熱温度を80℃以下とすることによって、マトリックス樹脂の粘性を適度に維持することができ、賦形時におけるプリフォームの繊維乱れを発生させることなく、機械特性に優れた繊維強化複合材料成形品を最終的に得ることができる傾向にある。
予備加熱の方法としては、例えば積層体に温風を当てることによって実施しても良いし、赤外線を当てることで実施しても良いし、加熱したプレート上に積層体を配置することによって実施しても良いが、積層体を短時間で予備加熱できることや、予備加熱後の積層体の取り扱いが容易であることから、赤外線による予備加熱が好ましい。
(裁断)
本発明には、積層体、あるいはプリフォームの裁断工程を採用することができるが、裁断工程を採用することなく、得られるプリフォームの形状が所望する成形品形状の正味形状となるのであれば、この裁断工程を採用する必要はない。
成形品の正味形状となるプリフォームを製作するための裁断工程としては、例えば、積層体を所望する成形品形状の平面展開形状となるよう裁断し、前記積層体を賦形することで、成形品の正味形状を有するプリフォームを製作しても良いし、あるいは、積層体を賦形することで、成形品のほぼ正味形状のプリフォーム製作した後に、前記プリフォームの余剰部分を裁断することで、成形品の正味形状を有するプリフォームとしても良い。得られるプリフォームの寸法精度を高められることから、成形品形状のほぼ正味形状を有するプリフォームを裁断することで、成形品の正味形状を有するプリフォームを製作することが好ましい。
(成形工程)
本発明では、熱硬化性マトリックス樹脂の硬化温度以上に調温せしめた成形型内で、プリフォームを圧縮成形することにより、所望の立体形状を有する繊維強化複合材料成形品を得ることができる。
前記圧縮成形に先立ち、成形型を調温しておくことで、成形型の昇降温を回避しながら、成形サイクルを短くすることができ、効率よく成形品を得ることができる。
(成形型)
上述の前記成形型は、プリフォーム厚みに応じたクリアランスが設定されており、この成形型は、必要に応じ、真空引き機構やイジェクター機構などを採用することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
(実施例1)
本実施例では、図1に示した形状を有する成形品1を得るための繊維強化複合材成形品の製造方法について記載する。
フィラメント数24000本からなる炭素繊維トウ(グラフィル社製;34−700、密度1.8g/cm)にエポキシ樹脂を主成分とした熱硬化性マトリックス樹脂組成物(密度1.2g/cm)を加熱含浸させて、体積あたりの炭素繊維含有量が56.4質量%となるトウプリプレグを得た。
(敷設)
前記トウプレグを、自動積層装置(BA Composite‘s社製;STAXX Compact1700)を使用して、図2に示した平面形状を有する前記トウプレグからなる積層体2を製作した。
前記トウプレグは、敷設後の横幅が6.35mmとなるよう、互いに当接するよう平行に敷設した。前記積層体2の一層における厚みは0.25mm、繊維目付けは256g/mであった。
前記積層体2は、図3が示すように、各層の炭素繊維方向が、0°/90°/0°と互いに直交するよう、三層の直交積層であり、前記積層体2の厚みは0.75mmであった。なお、図3の矢印方向は炭素繊維の0°方向を示している。
(圧密化)
前記積層体2を平坦な作業台上に搬送し、前記積層体2をデバルグ装置3(Torr社製;T−7シールシステム)で覆い、真空ポンプで内部を減圧状態にすることで、前記積層体2を圧密化した。減圧状態は、真空圧は700mmHgの状態を、5分間維持した。
その後、内部を大気圧に戻し、圧密化された前記積層体4(以下、「圧密化された積層体」についても、説明の便宜上「積層体」という)を得た。
(賦形)
次いで、前記積層体4を、図5に示される上面が開口したキャビティを有する雌型5の開口部上に載せ、前記積層体4を可動式赤外線ヒーター6により70℃に加熱した後、簡易成形機7に取り付けた雄型8を下降させ、雌型5と雄型8とで挟み込みこむことにより、前記積層体4を賦形して、成形品1のほぼ正味形状を有するプリフォーム9を製作した。そして、雌型5および雄型8に空気を吹き付けて冷却した後、雄型8を上昇させて、図6に示される形状のプリフォーム9を雌型5のキャビティから取出した。
(トリミング)
前記プリフォーム9を図7に示されるトリミング冶具10に載せ、前記プリフォーム9の外周を固定し、トリミング冶具10の溝に沿って超音波カッター11により前記プリフォーム3を裁断することで、成形品1の正味形状を有する図8に示されるプリフォーム12を製作した。
(圧縮成形)
得られたプリフォーム12を、予め140℃に調温せしめた圧縮成形型の下型内に配置し、これを140℃に調温せしめた圧縮成形型の上型で挟み込み、加熱加圧してプリフォーム12を硬化させ、成形品1を得た。得られた成形品1には強化繊維の蛇行は見られなかった。
次に、得られた成形品1を図9に示すように、成形品1の端部2点を拘束させて、側面に対し荷重を加える試験を行った。その結果、目標荷重を達成したことから、得られた成形品1の物性は良好であった。
(実施例2)
炭素繊維織物に熱硬化性マトリックス樹脂を含浸した織物プリプレグ(三菱レイヨン株式会社製;TR3523 360GMP、織物プリプレグ1層あたりの厚み;0.20mm、織物プリプレグ目付;200g/m)を表皮材101として用意し、前記表皮材101の上に、前記実施例1と同様の方法で、図10に示される積層体102を製作した。
前記積層体102は、前記トウプレグによる各層の炭素繊維が0°/90°/0°と互いに直交するよう積層しており、前記積層体102の厚みは0.95mmであった。
実施例1と同様の方法で、前記積層体102を圧密化した後にプリフォームとし、外周をトリミングした後に圧縮成形することで、図11に示される成形品103を得た。
成形品103の片方の表面は表皮材101で構成されていた。
得られた成形品103は実施例1と同様の方法で試験を行ったところ、目標荷重を達成したことから、得られた成形品103の物性は良好であった。
(比較例1)
実施例1と同様の方法で積層体2を製作した。予め140℃に調温した雌型5の開口部上に前記積層体2を載せ、簡易成形機7に取り付けた、雌型5と同様に140℃に調温された雄型8を降下させ、雌型5と雌型8で挟みこむことにより、前記積層体2を加熱加圧して硬化させ、成形品201を得た。得られた成形品201には、図12に示されるような強化繊維の大きな蛇行が見られた。
次に、得られた成形品201を実施例1と同様の方法で試験を行ったところ、目標荷重を達成できなかったことから、得られた成形品201の物性は不良であった。
本発明の繊維強化複合材料成形品の製造方法によって、立体形状を有する繊維強化複合材料成形品の生産性と物性とを両立させることができる。また、本発明により、繊維強化複合材料成形品に優れた意匠性を付与することができる。
1 成形品
2 積層体
2A 表層
2B 中層
2C 下層
3 デバルグ装置
4 積層体
5 雌型
6 赤外線ヒーター
7 簡易成形機
8 雄型
9 プリフォーム
10 トリミング冶具
11 超音波カッター
12 プリフォーム
101 表皮材
102 積層体
103 成形品
201 成形品

Claims (4)

  1. 実質的に連続した強化繊維に熱硬化性樹脂マトリックス樹脂が含浸されている、横幅が3〜55mmの範囲である繊維強化複合材料を一平面内においては直進するよう敷設することで、該繊維強化複合材料からなる積層体を製作する敷設工程と、該積層体を賦形することにより、所望する成形品形状とほぼ正味形状を有するプリフォームを製作する賦形工程と、該プリフォームを該熱硬化性マトリックス樹脂の硬化温度以上に調温せしめた成形型内で圧縮成形する成形工程とからなる、繊維強化複合材料成形品の製造方法。
  2. 前記繊維強化複合材料は、炭素繊維トウに熱硬化性マトリックス樹脂を含浸して得られたトウプレグである、請求項1記載の繊維強化複合材料成形品の製造方法。
  3. 前記敷設工程と前記賦形工程の間に、前記敷設工程を経て得られた積層体の圧密化工程を有する、請求項1又は2に記載の繊維強化複合材料成形品の製造方法。
  4. 前記敷設工程にて、前記繊維強化複合材料を表皮材上に敷設することにより、該表皮材を前記繊維強化複合材料成形品の外面または内面に形成させる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の繊維強化複合材料成形品の製造方法。
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