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JP2016128532A - 微多孔膜およびその製造方法 - Google Patents

微多孔膜およびその製造方法 Download PDF

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JP2016128532A JP2015002952A JP2015002952A JP2016128532A JP 2016128532 A JP2016128532 A JP 2016128532A JP 2015002952 A JP2015002952 A JP 2015002952A JP 2015002952 A JP2015002952 A JP 2015002952A JP 2016128532 A JP2016128532 A JP 2016128532A
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Abstract


【課題】 電池セパレータ材として有用な低熱収縮性のポリプロピレン系樹脂製微多孔膜を提供すること。
【解決手段】 メルトマスフローレイト(MFR、JIS K6758に準拠して230℃、荷重21.18Nで測定)が1.0〜10.0g/10分であるポリプロピレン系重合体からなり、押出方向(MD)の引張強度が200MPa以上、幅方向(TD)の引張強度が10MPa以上であり、かつ、突刺強度が4.9N以上である、微多孔膜。及び、その製造方法による。
【選択図】 なし

Description

本発明はポリプロピレン系重合体からなる微多孔膜、これから得られる蓄電デバイス、及び上記微多孔膜の製造方法に関する。
合成樹脂製微多孔膜は、各種分離膜や、電池セパレータの材料として利用されている。中でもポリオレフィン系樹脂は、耐薬剤性が高く、様々な方法で多孔化が可能である点で、薬剤に接した状態で使用される各種分離膜や、電池セパレータ微多孔膜の原料として有用である。
ポリオレフィン系樹脂フィルムの多孔化方法は、湿式法と乾式法に大別される。湿式法では、ポリオレフィン系樹脂と、可塑剤、オイル、パラフィンなどとの溶融混合物をフィルム状に展開する。次に、ポリオレフィン以外の成分を抽出し、これら成分が存在した部分を空隙化する。その結果、ポリオレフィン系樹脂が微多孔膜に成形加工される。乾式法では、可塑剤、オイル、パラフィンなどの成分や溶剤を含まない、ポリオレフィン系樹脂を主体とする原料を延伸することによって、ポリオレフィン系樹脂を微多孔膜に成形加工する方法である。乾式法として、ポリオレフィン系樹脂中のラメラ構造の間隙に空隙を発生させる方法と、原料に添加した無機添加剤とポリオレフィン系樹脂との界面に空隙を発生させる方法とが知られている。
電池セパレータ用のポリオレフィン系樹脂製微多孔膜については、特許文献1、2、3に記載されたような、様々な製造方法が知られている。
特許文献1には、ポリオレフィン系樹脂と共役ジエンポリマーとの混合物からなる原料を、湿式法により微多孔フィルムに加工し、得られた微多孔膜を電池セパレータ材として用いることが記載されている。
特許文献2には、ポリプロピレンとポリエチレンとの混合物を、乾式法により2段階で延伸することによって微多孔フィルムに加工し、得られた微多孔膜を電池セパレータ材として用いることが記載されている。
特許文献3には、ポリオレフィンに低分子量物質を配合した混合物を、乾式法により2段階で延伸することによって微多孔フィルムに加工し、得られた微多孔膜を電池セパレータ材として用いることが記載されている。
ところで、最近の電池性能に対する要求は、ますます高度化、多様化している。特に、車両や携帯端末などの屋外で使用される工業製品に搭載されるリチウムイオン電池には、優れた充放電特性に加え、高い安全性と強度が求められる。リチウムイオン電池セパレータは、電池筺体内に配置されている部材ではあるが、液状電解質に浸漬された状態で幾層にも捲回されて電池筺体空間を満たしているから、セパレータの強度は電池の強度に大きく寄与する。そのため、強度の高いリチウムイオン電池本体を製造するために、強度の高いセパレータが求められている。
強度の高いセパレータを製造するためには、セパレータの材料として強度の高い微多孔膜を用いることが求められる。微多孔膜の強度の指標としては、微多孔膜の引張強度と突刺強度が一般的に用いられている。
引張強度と突刺強度が高い、電池セパレータ用のポリオレフィン系樹脂製微多孔膜については、特許文献4、5に記載されている。
特許文献4には、ポリプリピレンにβ結晶核剤を配合したポリプロピレン組成物を原料とした、引張強度と突刺強度の高い微多孔膜が記載されている。
特許文献5には、ポリプロピレンにポリエチレンを配合したポリプロピレン組成物を原料とした、引張強度と突刺強度の高い微多孔膜が記載されている。
しかしながら、セパレータのイオン電導性を発現するための微多孔膜の空孔率と、微多孔膜の強度とはいわゆるトレードオフの関係を示す傾向があり、空孔率と強度とのバランスに優れる電池セパレータ用ポリオレフィン樹脂製微多孔膜には、未だ改善の余地がある。
特開2004−352834号公報 特開2008−248231号公報 特開平8−20660号公報 国際公開第2010/147149号パンフレット 特許第5354132号公報
そこで本発明の発明者は、引張強度や突刺強度などの強度が高く、しかも高い空孔率を有する、電池セパレータ材として有用なポリオレフィン系樹脂製微多孔膜を探求した。
その結果、特定のメルトマスフローレイトを有するポリプロピレン系樹脂を原料として用い、乾式法によって、引張強度や突刺強度などの強度が高く、しかも高い空孔率を有する、電池セパレータ材として有用な微多孔膜を製造することに成功した。
すなわち本発明は以下のものである。
(発明1)メルトマスフローレイト(MFR、JIS K6758に準拠して230℃、荷重21.18Nで測定)が1.0〜10.0g/10分であるポリプロピレン系重合体からなり、以下の方法(A)で求めた押出方向(MD)の引張強度が200MPa以上、幅方向(TD)の引張強度が10MPa以上であり、かつ、以下の方法(B)で測定された突刺強度が4.9N以上である、微多孔膜。
方法(A):微多孔膜から押出方向(MD)と、幅方向(TD)の2方向に試験片を切り出し、それぞれの試験片(MD方向の試験片、TD方向の試験片)の破断荷重(N)を引張速度500mm/分の条件で測定する。以下の式により押出方向(MD)の引張強度、幅方向(TD)の引張強度を算出する。
押出方向(MD)の引張強度(MPa)=[押出方向(MD)の破断荷重(N)]/[試験片の断面積(mm)]
幅方向(TD)の引張強度(MPa)=[幅方向(TD)の破断荷重(N)]/[試験片の断面積(mm)]
方法(B):微多孔膜表面に先端が直径1mmの球面形状の針で、100mm/分の速度で突刺して針に掛る荷重を測定する。このときの最大荷重(N)を突刺強度の値とする。
(発明2)空孔率が45〜55%の範囲にある、発明1の微多孔膜。
(発明3)ポリプロピレン系重合体が、融点が150〜170℃の範囲にあり、メルトマスフローレイト(MFR、JIS K6758(230℃、21.18N)に準拠した条件で測定)が1.0〜10g/10分の範囲にある、任意にエチレン、炭素数4〜8のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種を含んでいてもよい、プロピレン主体の重合体である、発明1または2の微多孔膜。
(発明4)蓄電デバイスのセパレータに用いられることを特徴とする発明1〜3のいずれかの微多孔膜。
(発明5)蓄電デバイスがリチウムイオン電池である、発明4の微多孔膜。
(発明6)蓄電デバイスがキャパシタである、発明4の微多孔膜。
(発明7)発明4の微多孔膜を備える蓄電デバイス。
(発明8)発明5の微多孔膜を備えるリチウムイオン電池。
(発明9)発明6の微多孔膜を備えるキャパシタ。
(発明10)以下の工程を含む、発明1〜9のいずれかの記載の微多孔膜の製造方法。
(工程1)JIS K6758に準拠して230℃、荷重21.18Nで測定したメルトマスフローレイト(MFR)が1.0〜10.0g/10分であるポリプロピレン系重合体を押出成形して原反フィルムを製膜する工程。
(工程2)工程1で得られた原反フィルムを熱処理する工程。
(工程3)工程2で得られた熱処理後の原反フィルムを、−5〜45℃で、長さ方向に1.0〜1.1倍に延伸する工程。
(工程4)工程3を終えた延伸フィルムを、ポリプロピレン系重合体の融点よりも5〜65℃低い温度で、長さ方向に1.5〜4.0倍に延伸する工程。
(工程5)工程4で得られた温延伸後のフィルムを、加熱下、長さが0.7〜1.0倍になるように弛緩させる工程。
本発明の微多孔膜は高い強度と高い空孔率を兼ね備える。したがって本発明の微多孔膜は、優れた物質透過性という化学的機能と、高い強度という構造的機能とを兼ね備える素材である。このような本発明の微多孔膜は、分離膜、蓄電デバイスのセパレータなどの部材に適している。
(微多孔膜)
本発明の微多孔膜は、メルトマスフローレイト(MFR、JIS K6758に準拠して230℃、荷重21.18Nで測定)が1.0〜10.0g/10分であるポリプロピレン系重合体からなり、以下の方法(A)で求めた押出方向(MD)の引張強度が200MPa以上、幅方向(TD)の引張強度が10MPa以上であり、かつ、以下の方法(B)で測定された突刺強度が4.9N以上である。
方法(A):微多孔膜から押出方向(MD)と、幅方向(TD)の2方向に試験片を切り出し、それぞれの試験片(MD方向の試験片、TD方向の試験片)の破断荷重(N)を引張速度500mm/分の条件で測定する。以下の式により押出方向(MD)の引張強度、幅方向(TD)の引張強度を算出する。
押出方向(MD)の引張強度(MPa)=[押出方向(MD)の破断荷重(N)]/[試験片の断面積(mm)]
幅方向(TD)の引張強度(MPa)=[幅方向(TD)の破断荷重(N)]/[試験片の断面積(mm)]
方法(B):微多孔膜表面に先端が直径1mmの球面形状の針で、100mm/分の速度で突刺して針に掛る荷重を測定する。このときの最大荷重(N)を突刺強度の値とする。
(微多孔膜の原料)
本発明の微多孔膜の原料は、ポリプロピレン系重合体であって、プロピレンの単独重合体あるいはコモノマーを共重合した共重合体がこれに相当する。本発明で使用するポリプロピレン系重合体としては、結晶性が比較的高い、融点が150〜170℃の範囲にあるものが好ましく、融点が155〜168℃の範囲にあるものがさらに好ましい。上記コモノマーは、一般的には、エチレンおよび炭素数4〜8のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種である。またこれらと共に、2−メチルプロペン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなどの炭素数4〜8の分岐オレフィン類、スチレン類、ジエン類を共重合したものであってもよい。
上記コモノマーの含有量は、微多孔膜が所望の性質を示す限り、いかなる範囲にあってもよい。好ましくは、高結晶性ポリプロピレン系重合体を与える範囲である、重合体100重量部に対して5重量部以下、特に2重量部以下が好ましい。
また上記ポリプロピレン系重合体のメルトマスフローレイト(MFR、JIS K6758(230℃、21.18N)に準拠した条件で測定)は1.0〜10g/10分、好ましくは1.0〜5.0g/10分である。
本発明の微多孔膜の原料には、結晶核剤や充填剤などの添加剤を配合することができる。添加剤の種類や量は、多孔性を損なわない範囲であれば、制限はない。
(微多孔膜の製造方法)
本発明の微多孔膜は、上述の原料を用いて、いわゆる乾式法によって製造される。本発明の微多孔膜の製造方法は、以下の工程1〜5を含む。
(工程1:製膜工程)
原料を押出成形して原反フィルムを製膜する工程である。JIS K6758に準拠して230℃、荷重21.18Nで測定したメルトマスフローレイト(MFR)が1.0〜10.0g/10分であるポリプロピレン系重合体を押出機に供給し、ポリプロピレン系重合体をその融点以上の温度で溶融混練し、押出機の先端に取り付けたダイスからポリプロピレン系重合体フィルムを押出す。使用される押出機は限定されない。押出機としては、例えば、単軸押出機、二軸押出機、タンデム型押出機のいずれもが使用可能である。使用されるダイスはフィルム成形に用いられるものであれば、いずれも使用できる。ダイスとしては、例えば、各種T型ダイス使用することができる。原反フィルムの厚みや形状は特に限定されない。好ましくは、ダイスリップクリアランスと原反フィルム厚さの比(ドラフト比)は100以上、さらに好ましくは150以上である。好ましくは、原反フィルムの厚みは10〜200μm、さらに好ましくは15〜100μmである。
(工程2:熱処理工程)
工程1を終えた原反フィルムを熱処理する工程である。ポリプロピレン系重合体の融点よりも5〜65℃、好ましくは10〜25℃低い温度で、原反フィルムに長さ方向の一定の張力を加える。張力は、好ましくは、原反フィルムの長さが1.0倍を超え1.1倍以下となる大きさである。
(工程3:冷延伸工程)
工程2を終えた熱処理後の原反フィルムを比較的低い温度で延伸する工程である。延伸温度は−5〜45℃、好ましくは5〜30℃である。延伸倍率は、長さ方向に1.0〜1.1、好ましくは1.00〜1.08、さらに好ましくは1.02以上1.05未満である。ただし、延伸倍率は1.0倍より大きい。延伸手段は制限されない。ロール延伸法、テンター延伸法などの公知の手段が使用できる。延伸の段数は任意に設定できる。1段延伸でもよく、複数のロールを経て2段以上の延伸を行ってもよい。冷延伸工程で、原反フィルムを構成するポリプロピレン系重合体の分子が配向する。その結果、分子鎖が密なラメラ部と、ラメラ間の分子鎖が疎な領域(クレーズ)とを有する延伸フィルムが得られる。
(工程4:温延伸工程)
工程3を終えた延伸フィルムを比較的高い温度で延伸する工程である。延伸温度はポリプロピレン系重合体の融点よりも5〜65℃低い温度、好ましくはポリプロピレン系重合体の融点よりも10〜45℃低い温度である。延伸倍率は、長さ方向に1.5〜4.5倍、好ましくは2.0〜4.0倍、さらに好ましくは3.0〜3.2倍である。延伸手段は制限されない。ロール延伸法、テンター延伸法などの公知の手段が使用できる。延伸の段数は任意に設定できる。1段延伸でもよく、複数のロールを経て2段以上の延伸を行ってもよい。温延伸工程で工程3で生じたクレーズが引き延ばされ、空孔が発生する。
(工程5:弛緩工程)
工程4を終えた温延伸後のフィルムの収縮を防ぐためにフィルムを弛緩させる工程である。弛緩温度は、温延伸の温度よりもやや高い温度であり、0〜20℃高い温度が一般的である。弛緩の度合いは、工程4を終えた延伸フィルムの長さが最終的に0.7〜1.0倍になるように調整される。
本発明の微多孔膜を特徴づける引張強度は以下の方法(A)により求められる。
方法(A):微多孔膜から押出方向(MD)と、幅方向(TD)の2方向に試験片を切り出し、それぞれの試験片(MD方向の試験片、TD方向の試験片)の破断荷重(N)を引張速度500mm/分の条件で測定する。以下の式により押出方向(MD)の引張強度、幅方向(TD)の引張強度を算出する。
押出方向(MD)の引張強度(MPa)=[押出方向(MD)の破断荷重(N)]/[試験片の断面積(mm)]
幅方向(TD)の引張強度(MPa)=[幅方向(TD)の破断荷重(N)]/[試験片の断面積(mm)]
本発明の微多孔膜を特徴づける突刺強度以下の方法(B)により求められる。
方法(B):微多孔膜表面に直径1mmの先端が球面形状の針で、100mm/分の速度で突刺して針に掛る荷重を測定する。このときの最大荷重(N)を突刺強度の値とする。
また本発明の微多孔膜の空孔率は以下の関係式を用いて求めた値である。
(空孔率)
幅50mm×長さ120mmの微多孔膜切片について、以下の計算式により算出した値である。
空孔率(%)=[1−(切片重量)/(切片面積X樹脂密度×切片厚み)]×100
本発明の微多孔膜は、高い引張強度と高い突刺し強度を示す。本発明の微多孔膜の、押出方向(MD)の引張強度(MPa)は200MPa以上、幅方向(TD)の引張強度(MPa)は10MPa以上である。本発明の微多孔膜の突刺強度は4.9N以上である。さらに本発明の微多孔膜は45〜55%という高い空孔率を備える。
本発明の微多孔膜の例を以下に示す。なお、実施例、比較例で製造した微多孔膜の引張強度、突刺強度は、以下の操作で測定、算出した。
(押出方向(MD)の引張強度の測定)
プロピレン系樹脂微多孔フィルムから、押出方向(MD)120mm×幅方向(TD)10mmの試験片を切り出す。引張試験機(島津製作所社製オートグラフ AGS−X)を使い、試験片をつかみ間隔50mmで挟み、500mm/分の速度で引張り、押出方向(MD)の破断荷重(N)を測定する。次に、試験片の引張方向の断面積(10mm×試験片の厚み(mm))を求める。
以下の式により、押出方向(MD)の引張強度(MPa)を算出する。
押出方向(MD)の引張強度(MPa)=[押出方向(MD)の破断荷重(N)]/[試験片の断面積(mm)]
上述の操作を合計5枚の試験片で行う。得られた5回分の押出方向(MD)の引張強度(MPa)の平均値を求める。この平均値を、実施例、比較例の押出方向(MD)の引張強度(MPa)とする。
(幅方向(TD)の引張強度の測定)
プロピレン系樹脂微多孔フィルムから、幅方向(TD)120mm×押出方向(MD)10mmの試験片を切り出す。引張試験機(島津製作所社製オートグラフ AGS−X)を使い、試験片をつかみ間隔50mmで挟み、500mm/分の速度で引張り、幅方向(MD)の破断荷重(N)を測定する。次に、試験片の引張方向の断面積(10mm×試験片の厚み(mm))を求める。
以下の式により、幅方向(TD)の引張強度(MPa)を算出する。
幅方向(TD)の引張強度(MPa)=[幅方向(TD)の破断荷重(N)]/[試験片の断面積(mm)]
上述の操作を合計5枚の試験片で行う。得られた5回分の幅方向(TD)の引張強度(MPa)の平均値を求める。この平均値を、実施例、比較例の幅方向(TD)の引張強度(MPa)とする。
(突刺強度の測定)
プロピレン系樹脂微多孔フィルムから、幅10cm×長さ10cmの正方形片を切り出す。この試験片に対し、直径11mmの穴が開いた治具に固定し、その穴の中央に先端が球面(曲率半径R:0.5mm)の直径1mmの針で、100mm/分の速度で突刺したときの荷重を測定する。この時の最大荷重(N)を突刺強度とする。
(実施例1)
(原料)微多孔膜の原料として、JIS K6758(230℃、21.18N)に従い測定したメルトマスフローレイト(MFR)が2.0g/10分、融点が165℃のプロピレン単独重合体を使用した。(工程1)単軸押出機で溶融混練した原料をドラフト比159でTダイから押出し、厚さ22μmの原反フィルムを製造した。(工程2)次いで、原反フィルムを150℃で熱処理した。(工程3)原反フィルムを30℃で長さ方向に1.04倍に冷延伸した。(工程4)得られた延伸フィルムを145℃で長さ方向に、1段目は2.4倍に、2段目は1.3倍に延伸して、総延伸倍率3.0倍となるように温延伸した。(工程5)得られた延伸フィルムの長さが0.88倍になるように150℃で弛緩させた。こうして最終厚みが20μmの本発明の微多孔膜が得られた。得られた微多孔膜の熱収縮率と空孔率を上述の方法で測定し、その結果を製造条件と共に表1に示す。
(実施例2)
(原料)実施例1と同じ原料を使用した。(工程1)単軸押出機で溶融混練した原料をドラフト比159でTダイから押出し、厚さ22μmの原反フィルムを製造した。(工程2)次いで、原反フィルムを150℃で熱処理した。(工程3)原反フィルムを30℃で長さ方向に1.04倍に冷延伸した。(工程4)得られた延伸フィルムを145℃で長さ方向に、1段目は3.0倍に、2段目は1.0倍に延伸して、総延伸倍率3.0倍となるように温延伸した。(工程5)得られた延伸フィルムの長さが0.88倍になるように150℃で弛緩させた。こうして最終厚みが20μmの本発明の微多孔膜が得られた。得られた微多孔膜の熱収縮率と空孔率を上述の方法で測定し、その結果を製造条件と共に表1に示す。
(実施例3)
(原料)微多孔膜の原料として、JIS K6758(230℃、21.18N)に従い測定したメルトマスフローレイト(MFR)が1.5g/10分、融点が158℃のプロピレン−エチレン共重合体を使用した。(工程1)単軸押出機で溶融混練した原料をドラフト比205でTダイから押出し、厚さ22μmの原反フィルムを製造した。(工程2)次いで、原反フィルムを150℃で熱処理した。(工程3)原反フィルムを30℃で長さ方向に1.07倍に冷延伸した。(工程4)得られた延伸フィルムを128℃で長さ方向に、1段目は3.2倍に、2段目は1.0倍に延伸して、総延伸倍率3.2倍となるように温延伸した。(工程5)得られた延伸フィルムの長さが0.88倍になるように150℃で弛緩させた。こうして最終厚みが20μmの本発明の微多孔膜が得られた。得られた微多孔膜の熱収縮率と空孔率を上述の方法で測定し、その結果を製造条件と共に表1に示す。
(比較例1)
(原料)微多孔膜の原料として、JIS K6758(230℃、21.18N)に従い測定したメルトマスフローレイト(MFR)が0.5g/10分、融点が165℃のプロピレン単独重合体を使用した。(工程1)単軸押出機で溶融混練した原料をドラフト比159でTダイから押出し、厚さ22μmの原反フィルムを製造した。(工程2)次いで、原反フィルムを150℃で熱処理した。(工程3)原反フィルムを30℃で長さ方向に1.03倍に冷延伸した(工程4)得られた延伸フィルムを145℃で長さ方向に、1段目は1.0倍に、2段目は2.9倍に延伸して、総延伸倍率2.9倍となるように温延伸した。(工程5)得られた延伸フィルムの長さが0.87倍になるように150℃で弛緩させた。こうして最終厚みが20μmの比較用の微多孔膜が得られた。評価結果を製造条件と共に表1に示す。
(比較例2)
(原料)比較例1と同じ原料を使用した。(工程1)単軸押出機で溶融混練した原料をドラフト比159でTダイから押出し、厚さ22μmの原反フィルムを製造した。(工程2)次いで、原反フィルムを150℃で熱処理した。(工程3)原反フィルムを30℃で長さ方向に1.03倍に冷延伸した(工程4)得られた延伸フィルムを145℃で長さ方向に、1段目は1.0倍に、2段目は2.8倍に延伸して、総延伸倍率2.8倍となるように温延伸した。(工程5)得られた延伸フィルムの長さが0.85倍になるように150℃で弛緩させた。こうして最終厚みが20μmの比較用の微多孔膜が得られた。評価結果を製造条件と共に表1に示す。
Figure 2016128532
実施例1、2、3で得られた本発明の微多孔膜は、比較例1、2に比べて引張強度と突刺強度が高い。しかも、実施例1、2、3で得られた本発明の微多孔膜は、引張強度、突刺強度、空孔率とのバランスからみても比較例1、2よりも優れている。
本発明の微多孔膜は高い強度と高い空孔率を兼ね備える。したがって本発明の微多孔膜は、優れた物質透過性という化学的機能と、高い強度という構造的機能とを兼ね備える素材である。このような本発明の微多孔膜は、分離膜、蓄電デバイスのセパレータなどの部材に適している。本発明の微多孔膜は、過酷な環境下で使用される車両用電池のセパレータ、屋外で使用されるキャパシタのセパレータの材料として有用である。

Claims (10)

  1. メルトマスフローレイト(MFR、JIS K6758に準拠して230℃、荷重21.18Nで測定)が1.0〜10.0g/10分であるポリプロピレン系重合体からなり、以下の方法(A)で求めた押出方向(MD)の引張強度が200MPa以上、幅方向(TD)の引張強度が10MPa以上であり、かつ、以下の方法(B)で測定された突刺強度が4.9N以上である、微多孔膜。

    方法(A):
    微多孔膜から押出方向(MD)と、幅方向(TD)の2方向に試験片を切り出し、それぞれの試験片(MD方向の試験片、TD方向の試験片)の破断荷重(N)を引張速度500mm/分の条件で測定する。以下の式により押出方向(MD)の引張強度、幅方向(TD)の引張強度を算出する。
    押出方向(MD)の引張強度(MPa)=[押出方向(MD)の破断荷重(N)]/[試験片の断面積(mm)]
    幅方向(TD)の引張強度(MPa)=[幅方向(TD)の破断荷重(N)]/[試験片の断面積(mm)]

    方法(B):
    微多孔膜表面に先端が直径1mmの球面形状の針で、100mm/分の速度で突刺して針に掛る荷重を測定する。このときの最大荷重(N)を突刺強度の値とする。
  2. 空孔率が45〜55%の範囲にある、請求項1に記載の微多孔膜。
  3. ポリプロピレン系重合体が、融点が150〜170℃の範囲にあり、メルトマスフローレイト(MFR、JIS K6758(230℃、21.18N)に準拠した条件で測定)が1.0〜10g/10分の範囲にある、任意にエチレン、炭素数4〜8のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種を含んでいてもよい、プロピレン主体の重合体である、請求項1または2に記載の微多孔膜。
  4. 蓄電デバイスのセパレータに用いられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の微多孔膜。
  5. 蓄電デバイスがリチウムイオン電池である、請求項4に記載の微多孔膜。
  6. 蓄電デバイスがキャパシタである、請求項4に記載の微多孔膜。
  7. 請求項4記載の微多孔膜を備える蓄電デバイス。
  8. 請求項5に記載の微多孔膜を備えるリチウムイオン電池。
  9. 請求項6に記載の微多孔膜を備えるキャパシタ。
  10. 以下の工程を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の微多孔膜の製造方法。
    (工程1)JIS K6758に準拠して230℃、荷重21.18Nで測定したメルトマスフローレイト(MFR)が1.0〜10.0g/10分であるポリプロピレン系重合体を押出成形して原反フィルムを製膜する工程。
    (工程2)工程1で得られた原反フィルムを熱処理する工程。
    (工程3)工程2で得られた熱処理後の原反フィルムを、−5〜45℃で、長さ方向に1.0〜1.1倍に延伸する工程。
    (工程4)工程3を終えた延伸フィルムを、ポリプロピレン系重合体の融点よりも5〜65℃低い温度で、長さ方向に1.5〜4.0倍に延伸する工程。
    (工程5)工程4で得られた温延伸後のフィルムを、加熱下、長さが0.7〜1.0倍になるように弛緩させる工程。
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