JP2016152871A - 吸収性物品 - Google Patents
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Abstract
Description
このような現象は、清涼剤の揮発性が要因の1つであると考えられる。すなわち、清涼剤は、揮発すると下着に固定されたズレ止剤の界面に可塑剤として働き、該ズレ止剤を軟化させ、これにより下着に糊残りが生じるものと考えられる。
一方で、清涼剤の清涼作用もまた揮発性によるもので、これまで用いられた清涼剤では、肌に感じる清涼感を持続させようとすると糊残りの回避が難しかった。また、清涼剤の揮発の程度によっては肌へ強い刺激として感じられる場合もあった。
このように、清涼剤の冷感作用、肌へ過度の刺激防止、糊残り防止を全て達成することは難しかった。
本発明においては、このようなケイ酸エステル化合物の作用は、パンティーライナー等の吸収性物品のムレ感の解消にとって好適なものとなる。通常、吸収性物品内のムレ感は、装着直後よりもその後の排泄後に高まりやすいものであり、本発明の吸収性物品では、この排泄によるムレ感の高まりに応じた肌への清涼作用の発現の調節が可能である。しかも、清涼成分の放出が徐々になされるため、その後の装着時間の長期化で高まるムレ感にも対応して、清涼作用を持続させることができる。例えば、前記剤を特別増量させなくても、着用者が清涼感を感じられるレベルを3時間程度持続させることも可能となる。加えて、清涼感の持続にも拘らず、前記の徐放性が、肌への過度な刺激を装着初期の段階から抑えることができ、かつ、ズレ止剤の下着への糊残りをも抑制することができる。これにより使用者は良好な装着感を感じることができ、大切な下着等の着衣を汚さずに安心して使用することができる。
ここで例示する化合物は、本発明で用いられるケイ酸エステル化合物のR1、R2、R3及びR4のいずれかの基として結合するとき、その結合形態は特に制限されるものではない。典型的には、酸または塩基の存在下での、原料ケイ酸エステルと清涼成分の化合物とのエステル交換反応で得られる。例えば、前記化合物が水酸基を有するものである場合、該水酸基を1つ除いた残基がR1、R2、R3及びR4のいずれかの基となって結合される。この場合、清涼成分としては、分子間架橋を避ける観点から、水酸基を1つだけ有するものが好ましい。また、より多くの清涼成分を原料ケイ酸エステルに導入する観点から、該水酸基が1級又は2級であるものが好ましい。なお、本発明のケイ酸エステル化合物には、上記の製造過程で副生する副生物や製造原料を含んでいてもよい。また、シロキサンが環状に縮合したものを含んでいてもよい。
1)シクロヘキシル誘導体:
乳酸メンチル、メンチルエチルアミノシュウ酸、3−(l−メントキシ)プロパン−1,2−ジオール、3−(l−メントキシ)−2−メチルプロパン−1,2−ジオール、コハク酸メンチル、3−(l−メントキシ)エタン−1−オール、3−(l−メントキシ)プロパン−1−オール、3−(l−メントキシ)ブタン−1−オール、l−メンチル−4−ヒドロキシペンタノエート、l−メンチル−3−ヒドロキシブチレート等。
2)シクロヘキサノール誘導体:
メントール、p−メンタン−3,8−ジオール、イソプレゴール等。
3)カルボキサミド類:
N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド(N−エチル−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサン−1−カルボキサミド)、N,2,3−トリメチル−2−(l−メチルエチル)−ブタンアミド、l−メンチル酢酸N−エチルアミド等。
このうち、清涼感及び2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノールによる刺激抑制効果の点から、メントール、乳酸メンチル及びN−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミドが好ましい。
ケイ酸エステル化合物の含有量の測定方法は、吸収性物品1枚をヘキサン溶液100mlに浸漬後、そのヘキサン溶液をガスクロマトグラフ質量分析計(GC−MS)を用いて測定する。
市販品を分析する場合は、該市販品を液体窒素液の入れた後、各部材は剥がす。室温乾燥後、各部材をヘキサンに3時間浸漬後、ヘキサン溶液をGC−MS装置を用いてケイ酸エステルの定量を行う。
排泄液や汗との接触でケイ酸エステル化合物から清涼成分等が的確に放出さて肌に清涼感を与えつつ、過度な肌への刺激を回避し、ズレ止剤の下着への糊残りを抑制する観点から次のような方法が好ましい。すなわち、前記ケイ酸エステル化合物を、適当なキャリアビヒクルを用いて、溶液、懸濁液、分散液、エマルション、ワックス等の形態とし、吸収性物品の構成部材に含有させる方法が好ましい。ここで代表的なキャリアビヒクルとしては、多価アルコール、炭化水素油、脂肪酸エステル、長鎖アルコール、及びシリコーン油のような油及び脂質、デンプン又はタルク等のような超微粒子状固体が挙げられる。
なお、前記ケイ酸エステル化合物は、前述のとおり徐放性を有するため、カプセル化しなくてもよい。
とりわけ、肌から一定の距離を保って過度の刺激を回避し、同時に下着に触れるバックシート裏面のズレ止剤からも距離を保って糊残りを抑制する観点から、吸収体に上記のケイ酸エステル化合物を含ませることが好ましい。吸収体に該ケイ酸エステル化合物を含ませると、肌と吸収性物品とで囲まれた空間で清涼成分を拡散させながら肌の広い領域に作用させることができる。この拡散が、肌への1点集中した刺激を回避して、着用者に優しい爽快感を与え、良好な装着感が実現できる。また、この拡散が、ズレ止剤への作用も分散させることができるので、上記の離間距離による作用とともに糊残りを抑えることができる。これにより、着用者は、安心して着用することができる。
さらに、含有位置は、吸収性物品の幅方向両サイドより、中央部(いわゆる中心帯)、すなわち体液が排出される領域であることが好ましい。特に、吸収体の肌面側の中心帯に、前述の坪量の範囲で、多く存在するように含有するのが好ましい。
吸収体は、親水性繊維又は粉体をエアレイド法によってシート状に成形したエアレイドシートでもよい。エアレイドシートの例としては、繊維と粒子状ポリマーとをバインダー等でシート物に成形したものが挙げられる。なお、粒子状ポリマーは、エアレイドシートにおいて、層状に分散されていてもよいし、厚み方向に偏っていてもよい。また、吸収体は、例えば、銀・銅・亜鉛・シリカ・活性炭・アルミノケイ酸塩化合物・ゼオライト等の粒状消臭材、又は粒状抗菌材を添加してもよい。
吸収体には、着用中の型崩れやヨレの防止、又は厚みを調整するため、エンボスが形成されていてもよい。
表面シートは、織布、不織布、有孔プラスチックシート(開孔フィルム)等、液体を透過する構造のシート状の材料であれば、特に限定されない。織布や不織布の素材としては、天然繊維、化学繊維のいずれも使用できる。
天然繊維の例としては、粉砕パルプ、コットン等のセルロースが挙げられる。化学繊維の例としては、レーヨン、フィブリルレーヨン等の再生セルロース、アセテート、トリアセテート等の半合成セルロース、熱可塑性疎水性化学繊維、又は親水化処理を施した熱可塑性疎水性化学繊維などが挙げられる。
熱可塑性疎水性化学繊維の例としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の単繊維、ポリエチレンとポリプロピレンをグラフト重合してなる繊維、芯鞘構造等の複合繊維が挙げられる。
不織布のウェブフォーミング方法としては、乾式(カード法、スパンボンド法、メルトブローン法、エアレイド法等)及び湿式のいずれか一つの方法を用いることができる。乾式法と湿式法のうち、複数の方法を組み合わせてもよい。また、サーマルボンディング、ニードルパンチ、ケミカルボンディング等の方法が挙げられる。不織布を作成する方法は、上述の方法に限定されない。
エアスルー方式にて製造した25g/m2の不織布をトップシートとして使用した。
エアスルー方式にて製造した40g/m2の不織布をセカンドシートとして使用した。(吸収体)
35g/m2の台紙を吸水紙のみからなる吸収体として使用した。
(バックシート)
34g/m2の透湿フィルムを使用した。
(各部材間の固定材〕
ホットメルト剤を塗布して使用した。
(ズレ止め材)
ホットメルト剤を塗布して使用した。
特開2011−207780号公報の実施例1(段落[0034])に記載の方法により、テトラエトキシシランと上記式(2)で表されるメントールとをエステル交換反応させてメントールケイ酸エステルを作製した。このメントールケイ酸エステルをエタノール溶液(和光純薬工業株式会社製)で溶解して10質量%濃度のメントールケイ酸エステル溶液を得た。
同様にして、テトラエトキシシランと上記式(3)で表される乳酸メンチルとをエステル交換反応させて乳酸メンチルケイ酸エステルを作製し、これをエタノール溶液(和光純薬工業株式会社製)で溶解して10質量%濃度の乳酸メンチルケイ酸エステル溶液を得た。
メントール溶液は、l−メントール(和光純薬工業株式会社製)をエタノール溶液(和光純薬工業株式会社製)で溶解し10質量%濃度とした。また、乳酸メンチル溶液は、乳酸メンチル(和光純薬工業株式会社製)をエタノール溶液(和光純薬工業株式会社製)で溶解し10質量%濃度とした。
2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノール溶液は、2−メチル−4−フェニル−1−ペンタノール(International Flavors & Fragrances Inc.製)をエタノール溶液(和光純薬工業株式会社製)で溶解し10質量%濃度とした。
メントールケイ酸エステル溶液を長さ100mm、幅65mmの吸水紙の全面に16mg〜98mg塗布した後、スプレー糊で固定した。この吸水紙にホットメルト剤を塗布した後、幅方向に向けて3つ折りに曲げた状態(長さ100mm、幅30mm)に固定した。ホットメルト剤でこの吸水紙をバックシートに固定後、吸水紙の上にセカンドシート、トップシートを載せ、それぞれ固定した。最後にバックシートにズレ止め用ホットメルト剤を塗布し剥離紙を載せることで、サンプルを作製した。
乳酸メンチルケイ酸エステル溶液を用いた以外は、実施例1と同様の方法にしてサンプルを作製した。
メントールケイ酸エステル溶液をセカンドシート(長さ140mm、最大幅59mm、最小幅50mm)の全面に塗布した後、スプレー糊で固定した。このセカンドシートにホットメルト剤を塗布した後、幅方向に向けて3つ折りした吸水紙に(長さ100mm、幅30mm)に固定した。その後、ホットメルト剤でバックシート、トップシートをそれぞれ固定した。最後にバックシートにズレ止め用ホットメルト剤を塗布し剥離紙を載せることで、サンプルを作製した。
乳酸メンチルケイ酸エステル溶液を用いた以外は、実施例8と同様の方法にしてサンプルを作製した。
メントールケイ酸エステル溶液をトップシート(長さ140mm、最大幅59mm、最小幅50mm)の全面に塗布した後、スプレー糊で固定した。このトップシートの溶液塗布面を皮膚と接しない面にし、セカンドシートにホットメルト剤を塗布した後、幅方向に向けて3つ折りした吸水紙に(長さ100mm、幅30mm)に固定した。その後、ホットメルト剤でバックシート、表面シート(トップシート及びセカンドシート)をそれぞれ固定した。最後にバックシートにズレ止め用ホットメルト剤を塗布し剥離紙を載せることで、サンプルを作製した。
(実施例19及び20)
メントールケイ酸エステル溶液と乳酸メンチルケイ酸エステル溶液とを混合した溶液を用いた以外は、実施例1と同様の方法にしてサンプルを作製した。
メントール溶液を用いた以外は、実施例1と同様の方法にてサンプルを作製した。
メントール溶液とパンプルフルール溶液とを混合した溶液を用いた以外は、実施例1と同様の方法にてサンプルを作製した。
乳酸メンチル溶液を用いた以外は、実施例5と同様の方法にてサンプルを作製した。
乳酸メンチル溶液とパンプルフルール溶液とを混合した溶液を用いた以外は、実施例5と同様の方法にてサンプルを作製した。
乳酸メンチル溶液とパンプルフルール溶液とを混合した溶液を用いた以外は、実施例12と同様の方法にてサンプルを作製した。
乳酸メンチル溶液とパンプルフルール溶液とを混合した溶液を用いた以外は、実施例17と同様の方法にてサンプルを作製した。
1.以下の様にして装着テストを行い、官能評価を行った。
1)試験条件
テスト環境:温度27℃、湿度60%、衣服:下着、ポロシャツ、スラックス
ショーツにサンプル製品を装着し、デスクワーク
着用者(評価者):女性1〜3名
装着1時間後、または3時間後及び4時間後の清涼感、痛みとムレ感を評価した。
2−1)清涼感の官能値は、以下の8段階で表した。
5 : 清涼感が強すぎる
4 : 清涼感がやや強い
3 : ちょうど良い清涼感
2 : 清涼感を感じるが、やや弱い
1 : 清涼感を感じるが、弱い
0 : 感じない(リファレンスもしくは外部環境と同じ)
各評価者の評価の平均値を各サンプルの評価数値とした。
5 : 激しく痛い
4 : 強く強い
3 : 痛い
2 : 少し痛い
1 : やや痛い
0 : 感じない(リファレンスもしくは外部環境と同じ)
各評価者の評価の平均値を各サンプルの評価数値とした。
1: ムレを感じない
2: ややムレを感じる
3: ムレを感じる
4: 強くムレを感じる
各評価者の評価について、成人女性1〜3人の平均値を各サンプルの評価数値とした。
試験布として綿金巾、ロリエショーツ身生地と股布を貼り合わせたものを用意し、80×200mmに切断したものを試験布とした。次に、試験布の股布側にサンプルのズレ止め材のある面を向け貼り合わせ、試験布を下にして平らな試験台に置いた。次に、サンプルの上に平らな金属板(30×100mm、厚さ6mm、約150g)を載せ、更に1kgの荷重をかけ、40℃、80%の恒温恒湿室中で24時間放置した。その後、荷重と金属板をはずし、試験布からサンプルを剥がし、試験布をインクリボンで擦って、黒色になる面積を測定した。その測定した面積のズレ止め剤全体の面積に占める割合(%)を算出した。ズレ止剤全体の面積は、21cm2であった。
一方、比較例では、清涼感、痛みの効果は時間とともに低下していき、比較例1は4時間後の効果は無かった。また、比較例3は、1時間後の効果が強すぎて装着テストを続行できなかった。そして、いずれの比較例でも糊残り量が多かった。
また、比較例1及び3では、メントールないし乳酸メンチルの塗布坪量が多かったため、清涼感がやや強くなっていた。一方で、パンプルフルールによる刺激抑制もないため、痛みが強く、この感覚がムレ感と同じように感じて、該ムレ感が強く感じる評価結果になったものと考えられる。
一方で、実施例では、徐放性ゆえに、清涼感を強く感じても痛み及びムレ感が低い評価結果となっていた。
2 トップシート
3 バックシート
4 吸収体
5 セカンドシート
Claims (6)
- 前記炭素数が1以上15以下の有機基が、直鎖若しくは分枝鎖の、アルキル基、アルケニル基、フェニル基、アルコキシ基を有するアルキル基、アシルオキシ基を有するアルキル基、及びフェニル基を有するアルキル基、並びにシクロヘキシル基及びシクロヘキシル基を有する基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基である請求項1記載の吸収性物品。
- 前記吸収性物品はトップシート、バックシート及びこれらに挟まれた吸収体を有し、
前記清涼剤が、前記トップシートと前記バックシートの間に含まれている請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。 - 前記清涼剤が吸収性物品当たり1g/m2以上25g/m2以下で含まれている請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
- 前記清涼剤が吸収性物品当たり10mg以上200mg以下で含まれている請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
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