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JP2016027132A - 芳香族ポリエステル及びその製造方法 - Google Patents

芳香族ポリエステル及びその製造方法 Download PDF

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JP2016027132A JP2015127376A JP2015127376A JP2016027132A JP 2016027132 A JP2016027132 A JP 2016027132A JP 2015127376 A JP2015127376 A JP 2015127376A JP 2015127376 A JP2015127376 A JP 2015127376A JP 2016027132 A JP2016027132 A JP 2016027132A
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Abstract

【課題】高周波対応の電気絶縁材料用途として必要な高度の誘電特性を有し、低吸水率、低線膨張率に優れる硬化物を与え、配線埋め込み平坦性や樹脂流動性に優れる硬化性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】式(a')及び(b')で表される繰返し構造単位と、末端構造単位として一価の芳香族基を有する芳香族ポリエステルであって、各構造単位のモル分率が、構造単位(a')15〜94%、構造単位(b')1〜35%、末端構造単位5〜60%であり、水酸基当量値及びカルボキシル基当量値の総和が1,000(g/eq)以上であり、触媒に由来する不純物量が1.0重量%以下である芳香族ポリエステル。
Figure 2016027132

Figure 2016027132

(Z及びZは各々独立に二価の芳香族基;Yはエーテル基又はケトン基)
【選択図】なし

Description

本発明は、芳香族ポリエステル及びその製造方法に関する。特に、電気・電子機器の絶縁材料や回路基板材料、中でもエポキシ硬化性樹脂組成物や硬化物等として好適に使用できる芳香族ポリエステル及びその製造方法に関する。
近年の情報通信量の増加にともない高周波数帯域での情報通信が盛んに行われるようになり、より優れた電気特性、なかでも高周波数帯域での伝送損失を低減させるため、低誘電率と低誘電正接を有し、特に厳しい熱履歴を受けた後の誘電特性変化の小さい電気絶縁材料が求められている。
一方、電子機器の小型化、多機能化、通信高速化等の追求に伴い、電子機器に用いられる回路基板のさらなる高密度化が要求されており、このような高密度化の要求に応えるために、回路基板の多層化が図られている。このような多層回路基板は、例えば、電気絶縁層とその表面に形成された導体層とからなる内層基板の上に、電気絶縁層を積層し、この電気絶縁層の上に導体層を形成させ、さらに、これら電気絶縁層の積層と、導体層の形成と、を繰り返し行なうことにより形成される。このような多層回路基板の電気絶縁層を構成するための材料としては、一般的にセラミックや熱硬化性樹脂が用いられている。中でも、熱硬化性樹脂としてのエポキシ樹脂は、経済性と性能のバランスの点で優れるため、広く使用されている。
このような電気絶縁層を構成するための一般的なエポキシ樹脂材料は、たとえば、フェノール化合物、アミン化合物、多価カルボン酸などの活性水素を有する硬化剤と反応させて硬化させるが、この際、エポキシ基と活性水素との反応によりエポキシ基の開環反応が起こり、極性の高いヒドロキシ基が生成して、吸湿性、誘電率、誘電正接などが損なわれるという問題があった。また、硬化剤として、分子中に活性水素を持たない酸無水物を用いた場合には、エポキシ樹脂との硬化反応において、反応が停止する末端を除いてヒドロキシ基が生じることはない。しかし、実際には、酸無水物が吸湿により容易に開環して活性水素を有するカルボン酸を生成するため、硬化反応において、部分的にヒドロキシ基の生成が避けられず、好ましい電気特性を有する絶縁材料は得られなかった。
また、前記の一般的なエポキシ樹脂材料を改良したものとして、特許文献1〜4には、エポキシ樹脂と、硬化剤として活性エステル化合物と、硬化促進剤を含有する樹脂組成物が開示されている。
しかしながら、これら特許文献に記載の樹脂組成物を用いて、電子材料用プリント基板の絶縁樹脂層を形成した場合、硬化剤としての活性エステル化合物が非晶性の化合物であるために、10GHzを越える高周波数帯域での伝送損失が大きくなって、伝送信号の信頼性が低下してしまうという問題や、樹脂層の線膨張率が大きく、積層基板の変形が大きく、薄型化が困難になってしまうという問題、さらには、吸水時の特性変化が大きく、信頼性が不十分であるという問題があることが明らかになった。
一方、特許文献5には、異方性溶融相を形成し得る溶融加工性ポリエステルの分子鎖末端の官能基を、芳香環を一つ以上持つ分子量350以下の低分子化合物で封鎖したポリエステルを主成分とする電子部品封止用樹脂組成物が開示されている。しかしながら、この技術によって得られる樹脂組成物は、溶融成形加工温度範囲が280℃以上と高温であるために、通常、150℃〜200℃の温度範囲で硬化を行うエポキシ樹脂とブレンドして、硬化性樹脂組成物とするためには、成形加工条件の範囲が狭いために、微細配線に対応した成形加工の際、信頼性が低下してしまうという問題があった。さらに、この溶融加工性ポリエステルは、溶剤可溶性が低く、通常、エポキシ系樹脂を配合成分とする硬化性樹脂組成物で使用されている溶剤では、ワニスを作成することができないという課題もあった。特許文献5には、封止材には、成形硬化時、及び急激な温度変化のある使用時の樹脂の低歪化、低応力化及び封止すべき物体との接着性のためシリコーンを配合することができ、シリコーン樹脂として、エポキシ変性アルキル基を有するものが使用できること、及び更に安定剤として、各種エポキシ樹脂が使用できることが記載されている。しかしながら、この溶融加工性ポリエステルは、前述のように加工温度範囲と溶剤可溶性の点で、大きく制約を受けるために、エポキシ変性シリコーン樹脂及び各種エポキシ樹脂は、通常の熱硬化性樹脂組成物に於ける硬化樹脂としての主材としての使用ではなく、熱可塑性樹脂組成物に於ける添加剤としての使用に留まっていた。このため、通常、エポキシ樹脂系硬化性樹脂組成物が使用されるプリント配線板の製造プロセスには適合しないという問題点があった。
このように、従来のエポキシ樹脂材料及び芳香族ポリエステル並びにそれらの硬化性樹脂組成物は電気絶縁材料用途、特に10GHzを越える高周波数対応の電気絶縁材料用途として必要な誘電特性を持つ硬化物を与えるものではなく、また、低吸水性、樹脂流動性、線膨張係数、及び、配線埋め込み平坦性の点でも不十分なものであった。
WO2010/87526号 特開2002−12650号公報 特開2004−217869号公報 特開2003−252957号公報 特開平5−93051号公報
上述した従来技術の問題点に鑑み、本発明の目的は、従来のエポキシ樹脂材料及び芳香族ポリエステル材料では達成できなかった、低吸水性、樹脂流動性、線膨張係数、及び配線埋め込み平坦性に優れ、かつ、10GHzを越える高周波数対応の電気絶縁材料用途として必要な誘電特性を有する材料を提供することである。
本発明者らは、特定の芳香族ポリエステルが、前記課題を解決するために有効であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記の繰返し構造単位(a')及び(b')と、下記の末端構造単位(c')とを有する芳香族ポリエステルであって、各構造単位のモル分率が、構造単位(a')15〜94%、構造単位(b')1〜35%、構造単位(c')5〜60%であり、水酸基当量値及びカルボキシル基当量値の総和が1,000(g/eq)以上であり、触媒に由来する不純物量が1.0重量%以下であることを特徴とする芳香族ポリエステルである。
Figure 2016027132
Figure 2016027132
Figure 2016027132
(式中、Z及びZは、それぞれ独立して、二価の芳香族基であり、Zは、一価の芳香族基であり、X及びYは、エーテル基又はケトン基である。)
なお、Xは、Yがエーテル基である場合はケトン基であり、Yがケトン基である場合はエーテル基であることが好ましい。
上記芳香族ポリエステルにおいて、前記Zが、下記の群(1)から選ばれる少なくとも一種の基であり、前記Zが、下記の群(2)から選ばれる少なくとも一種の基であり、前記Zが、下記の群(3)から選ばれる少なくとも一種の基であることが好ましい。
Figure 2016027132
Figure 2016027132
Figure 2016027132
(式中、R、Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基又はベンジル基であり、式(34)のXは炭素数1〜4のアルキレン又は−O−であり、nは0〜2の整数を示す。)
上記芳香族ポリエステルにおいて、繰返し構造単位(b')が芳香族多価カルボン酸残基又は芳香族多価ヒドロキシ化合物残基であり、末端構造単位(c')が芳香族モノヒドロキシ化合物残基又は芳香族モノカルボン酸残基であることが好ましい。
本発明の上記芳香族ポリエステルの製造方法は、芳香族オキシカルボン酸(a)と、芳香族多価カルボン酸又は芳香族多価ヒドロキシ化合物(b)と、芳香族モノヒドロキシ化合物及び/又は芳香族モノカルボン酸(c)とを、芳香族オキシカルボン酸(a)、芳香族多価カルボン酸又は芳香族多価ヒドロキシ化合物(b)、及び芳香族モノヒドロキシ化合物又は芳香族モノカルボン酸(c)のモル分率が、(a)成分15〜94%、(b)成分1〜35%、(c)成分5〜60%で配合し、エステル化触媒の存在下で縮合することを特徴とする。
上記芳香族ポリエステルの製造方法において、芳香族オキシカルボン酸(a)が、下記の群(4)から選ばれる少なくとも一種の化合物であることが好ましい。
Figure 2016027132
上記芳香族ポリエステルの製造方法において、芳香族多価カルボン酸又は芳香族多価ヒドロキシ化合物(b)が、下記の群(5)(6)から選ばれる少なくとも一種の化合物であることが好ましい。
Figure 2016027132
Figure 2016027132
上記芳香族ポリエステルの製造方法において、芳香族モノヒドロキシ化合物又は芳香族モノカルボン酸(c)が、下記の群(7)(8)から選ばれる少なくとも一種の化合物であることが好ましい。
Figure 2016027132
Figure 2016027132
(式中、R、Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基又はベンジル基であり、式(84)のXは炭素数1〜4のアルキレン又は−O−であり、nは0〜2の整数を示す。)
また、本発明の芳香族ポリエステルを(A)成分として使用し、(D)成分として1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含有する硬化性樹脂組成物として利用できる。
(D)成分のエポキシ樹脂は、13C−NMRにおいて、検出される全ての炭素の共鳴線面積に占める芳香族炭素の面積百分率が30〜95%であることが適する。また、(D)成分が、芳香族ポリエステルにおけるエステル結合1モルに対して、0.1〜1.5モル含有されることが好ましい。
本発明の芳香族ポリエステルを構成する芳香族オキシカルボン酸単位(a')、芳香族多価カルボン酸又は芳香族多価ヒドロキシ化合物単位(b')、及び芳香族モノヒドロキシ化合物又は芳香族モノカルボン酸単位(c')の合計に対し、これら各単位に占める2環以上の芳香族化合物残基のモル分率が、0.25以上であることが適する。そして、上記芳香族オキシカルボン酸単位(a')、芳香族多価カルボン酸又は芳香族多価ヒドロキシ化合物単位(b')、及び芳香族モノヒドロキシ化合物又は芳香族モノカルボン酸単位(c')の合計に対し、各単位のモル分率が、(a')=0.15〜0.94、(b')=0.01〜0.35、及び(c')=0.05〜0.60を満足することがよい。
(a)芳香族オキシカルボン酸としては、上記群(4)から選ばれる少なくとも一種の化合物が挙げられる。
(b)芳香族多価カルボン酸又は芳香族多価ヒドロキシ化合物としては、(b1)芳香族多価カルボン酸である場合と、(b2)芳香族多価ヒドロキシ化合物である場合とがある。同様に(c)芳香族モノヒドロキシ化合物又は芳香族モノカルボン酸としては、(c1)芳香族モノヒドロキシ化合物と(c2)芳香族モノカルボン酸である場合とがある。(b1)芳香族多価カルボン酸を使用する場合は、(c1)芳香族モノヒドロキシ化合物を使用し、(b2)芳香族多価ヒドロキシ化合物を使用する場合は、(c2)芳香族モノカルボン酸を使用する。
(b1)芳香族多価カルボン酸と(c1)芳香族モノヒドロキシ化合物を使用する場合、(b1)芳香族多価カルボン酸としては、上記群(5)から選ばれる芳香族多価カルボン酸が挙げられ、(c1)芳香族モノヒドロキシ化合物としては、上記群(8)から選ばれる化合物が挙げられる。
(b2)芳香族多価ヒドロキシ化合物を使用する場合は、(c2)芳香族モノカルボン酸を使用する場合、(b2)芳香族多価ヒドロキシ化合物としては上記群(6)から選ばれる化合物が挙げられ、(c2)芳香族モノカルボン酸としては上記群(7)から選ばれる化合物が挙げられる。
本発明の芳香族ポリエステルを含有する硬化性樹脂組成物には、更に(E)〜(H)成分から選ばれる1種以上の成分を配合することが望ましい。ここで、(E)成分は硬化促進剤であり、(F)成分は重量平均分子量(Mw)が1万以上である高分子量樹脂であり、(G)成分は無機充填材であり、(H)成分は難燃剤である。そして、(F)成分の高分子量樹脂としては、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂、水添スチレン−ブタジエン共重合体、水添スチレン−イソプレン共重合体、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、又はポリエステル樹脂((A)成分の芳香族ポリエステルを除く)が挙げられる。
また、本発明の芳香族ポリエステルは、それを含有する硬化性樹脂組成物を溶剤に溶解させてなる回路基板材料用ワニス、硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物、更にこの硬化物を用いてなる電気・電子部品、及びこの硬化物を用いてなる回路基板としても利用できる。
更に、本発明の芳香族ポリエステルは、それを含有する硬化性樹脂組成物と基材を含む硬化性複合材料、及びこの硬化性複合材料を硬化して得られた複合材料硬化物、またこの複合材料硬化物の層と金属箔層とを有する積層体としても利用できる。
本発明の芳香族ポリエステルは、それを含有する硬化性樹脂組成物又はこれを硬化させて得られる硬化物が、高度の誘電特性を有し、厳しい条件下での湿熱履歴後も低い吸水率を有する。かつ、樹脂流動性に優れ、線膨張率が低く、配線埋め込み平坦性に優れる。さらに、硬化物において、優れた耐薬品性、低吸水性、耐熱性、難燃性、機械特性を示す他、反り等の成形不良現象がなく、異種材料との密着性に優れるため、電気的信頼性に優れる。
このような優れた特性を有することから、本発明の芳香族ポリエステルを含有する硬化性樹脂組成物は、10GHzを越える高周波対応の電気絶縁材料として好適に用いることができる。従って、電気産業、宇宙・航空機産業等の先端材料分野における誘電材料、絶縁材料、耐熱材料として、好適に用いられ、例えば、電気・電子部品用材料に於いて、特に片面、両面、多層のプリント基板、フレキシブルプリント基板、ビルドアップ基板等の回路基板材料として用いることができる。
以下、本発明を更に説明する。
本発明の芳香族ポリエステルは、(a)芳香族オキシカルボン酸、(b)芳香族多価カルボン酸又は芳香族多価ヒドロキシ化合物、及び(c)芳香族モノヒドロキシ化合物又は芳香族モノカルボン酸を縮合して得られる。上記モノマーを縮合して生じる芳香族ポリエステルは、(a)芳香族オキシカルボン酸、(b)芳香族多価カルボン酸又は芳香族多価ヒドロキシ化合物、及び(c)芳香族モノヒドロキシ化合物又は芳香族モノカルボン酸に由来する構造単位(a')、(b')、及び(c')を有することになる。以下、(a)芳香族オキシカルボン酸を(a)成分、(a)芳香族オキシカルボン酸に由来する構造単位を構造単位(a')と、(b)芳香族多価カルボン酸又は芳香族多価ヒドロキシ化合物を(b)成分、(b)成分に由来する構造単位を構造単位(b')と、(c)芳香族モノヒドロキシ化合物又は芳香族モノカルボン酸を(c)成分、(c)成分に由来する構造単位を構造単位(c')ともいう。
(b)芳香族多価カルボン酸又は芳香族多価ヒドロキシ化合物としては、(b1)芳香族多価カルボン酸である場合と、(b2)芳香族多価ヒドロキシ化合物である場合とがある。(b1)か(b2)のいずれか一方を使用することが好ましい。(b1)と(b2)の両方を使用する場合は、いずれか一方を多く使用してCOOH基又はOH基を過剰とするとよい。
同様に(c)芳香族モノヒドロキシ化合物又は芳香族モノカルボン酸としては、(c1)芳香族モノヒドロキシ化合物と(c2)芳香族モノカルボン酸である場合とがある。(b1)を使用する場合は、(c1)を使用し、(b2)を使用する場合は、(c2)を使用して、COOH基とOH基のモル比を1.0に近づける。(b1)と(b2)の両方を使用する場合は、いずれか一方を多く使用し、過剰のCOOH基又はOH基に相当する量の(c1)又は(c1)を使用する。
これらについても、上記と同様に(b1)成分、(b2)成分、(c1)成分、(c2)成分、構造単位(b1')、(b2')、(c1')及び(c2')ともいう。
(b)成分及び(c)成分の組合せにより、芳香族ポリエステルの分子鎖末端がアリールオキシカルボニル基もしくはアリールカルボニルオキシ基で封止される。そのため、分子末端がエポキシ基と反応しても極性の高いヒドロキシ基を生じることがないため、得られる硬化物は極性基が少なくなるという構造上の特長を有する。そのため、誘電特性、低吸水率性に優れる。好ましくは、前記特性と生産性とのバランスから、芳香族ポリエステルの水酸基当量値(OH当量値)及びカルボキシル基当量値(COOH当量値)の総和が1,000以上である。好ましくは、2,000〜30,000であり、より好ましくは3,000〜20,000である。より好ましくは、芳香族ポリエステルの水酸基当量値及びカルボキシル基当量値いずれも1000以上であることがよい。ここで、芳香族ポリエステルの水酸基当量及びカルボキシル基当量の単位はg/eqであり、1当量あたりの芳香族ポリエステルのg数である。芳香族ポリエステルの水酸基当量値をX及びカルボキシル基当量値をYとすると、総和はX+Yである。
水酸基当量値及びカルボキシル基当量値の総和を1,000以上とするためには、芳香族ポリエステルの分子鎖末端へのアリールオキシカルボニル基もしくはアリールカルボニルオキシ基の導入率を制御する必要がある。末端に存在するCOOH基又はOH基の可及的全部を(c)成分で封止することである。そのためには、(c)成分を末端のCOOH基又はOH基に相当する量を使用する。通常、重縮合反応で末端に効率的に官能基を導入しようとする場合、反応終期に過剰量の末端官能基を導入するための単官能化合物を添加して、末端基を生成させることが行われるが、この場合、反応終了後に未反応の単官能化合物を除去する工程が必要となり、工程数の増加に伴うコストの上昇という工業的実施に於ける困難を伴うようになる。一方、末端官能基を導入するための単官能化合物の添加量を下げた場合、溶融重縮合の場合、反応終期の条件が厳しいと、単官能化合物が系外に留去し、分子量が増大し、目的の分子量にコントロールすることが難しくなる。一方、反応終期の条件を緩和すると、この縮合反応を促進するために用いられる無水酢酸や副生する酢酸等を十分に留去させることが困難となり、誘電特性の悪化を招くので、好ましくない。なお、当然のことながら(a)成分、(b)成分及び(c)成分を含むモノマー中のカルボキシ基とヒドロキシ基は当量となるように使用し、かつ未反応のカルボキシ基とヒドロキシ基が可及的に残存しないように縮合反応を十分に進行させる。
本発明の芳香族ポリエステルは、エステル化に使用する触媒(エステル化触媒)に由来する不純物、例えば触媒が無水酢酸の場合は、それに由来する酢酸及び無水酢酸の総量が1.0重量%以下であることが好ましい。好ましくは、0.5重量%以下であり、より好ましくは、生産性とのバランスから、0.0001〜0.2重量%である。これにより、硬化性樹脂組成物中の極性不純物が低減し、誘電特性、低吸水率性に優れるものとなる。
この総量を1.0重量%以下とするためには、芳香族ポリエステルを溶融重縮合で製造する際の反応終期の真空度と温度を制御する必要がある。しかしながら、反応終期の条件が厳しいと、末端官能基を導入するための単官能化合物が系外に留去し、分子量が増大し、目的の分子量にコントロールすることが難しくなるので、過度に真空度と温度を高くすることは望まれない。
また、本発明の芳香族ポリエステルを構成する構造単位(a')、(b')、及び(c')の合計に対し、これら構造単位に占める2環以上の芳香族化合物残基を持つ構造単位のモル分率が、0.25以上、好ましくは0.30以上とすることが好ましい。このような範囲とすることで、誘電特性と低吸水性に優れる。また、芳香族ポリエステルの全ての構造単位に対しても、2環以上の芳香族化合物残基を持つ構造単位のモル分率が、0.25以上、好ましくは0.30以上とすることが好ましい。なお、2環以上の芳香族化合物残基を持つ構造単位を与える化合物を例示すれば、上記群(4)の式(43)〜(45)、群(5)の式(53)〜(54)、群(8)の式(82)〜(84)、群(6)の式(63)〜(64)、及び群(7)の式(72)〜(74)で表される化合物が挙げられる。
(a)成分、(b)成分及び(c)成分の使用割合は、全量が反応すれば構造単位(a')、(b')、及び(c')の存在割合(モル分率)に対応するものとなる。構造単位(a')、(b')、及び(c')合計に対する、構造単位(a')、(b')、及び(c')のそれぞれのモル分率は、(a')=0.15〜0.94、(b')=0.01〜0.35、及び(c')=0.05〜0.60を満足することが好ましい。より好ましくは、(a')=0.15〜0.75であり、(b')=0.5〜0.30であり、(c')=0.10〜0.55である。
構造単位(a')のモル分率が0.15未満であると、芳香族ポリエステルの成形加工温度が上昇する傾向にあり、0.94を超えると溶剤可溶性が低下する傾向にある。構造単位(b')のモル分率が0.01未満であると、誘電特性が低下する傾向にあり、0.35を超えると流動性が低下する傾向にある。構造単位(c')のモル分率が0.05未満であると、樹脂の流動性が低下する傾向にあり、0.60を超えると、誘電特性が低下する傾向にある。
また、芳香族ポリエステルの分子量制御の観点から、(b)成分が(b1)芳香族多価カルボン酸である場合は、(c)成分は(c1)芳香族モノヒドロキシ化合物であることが好ましく(以下、この組合せを組成Aという。)、(b)成分が(b2)芳香族多価ヒドロキシ化合物である場合は、(c)成分は(c2)芳香族モノカルボン酸であることが好ましい(以下、この組合せを組成Bという。)。
組成A及び組成Bにおいて、(a)成分は、誘電特性及び耐熱性の観点から、上記の群(4)から選ばれる少なくとも一種の化合物であることが好ましい。より好ましくは式(41)、(43)又は(45)で表される化合物である。最も好ましくは式(41)又は(43)で表される化合物である。
組成Aにおいては、(b)成分が(b1)成分であり、(c)成分が(c1)成分である。そして、(b1)成分は、誘電特性及び耐熱性の観点から、上記の群(5)の式(51)〜(54)から選ばれる少なくとも一種の化合物が好ましく、より好ましくは式(51)〜(53)で表される化合物である。最も好ましくは式(51)又は(52)で表される化合物である。
(c1)成分は、誘電特性及び耐熱性の観点から、上記の群(8)から選ばれる少なくとも一種の化合物を好適に使用することができる。より好ましくは式(81)〜(83)で表される化合物であり、最も好ましくは式(82)又は(83)で表される化合物である。式中、R、Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基又はベンジル基であるが、好ましくは、耐熱安定性及び可溶性の観点から、アルコキシ基又はフェニル基である。式(84)のXは、耐熱安定性及び可溶性の観点から、炭素数1〜4のアルキレン又は−O−である。nは0〜2の整数を示す。
組成Bにおいては、(b)成分が(b2)成分であり、(c)成分が(c2)成分である。そして、(b2)成分は、誘電特性及び耐熱性の観点から、上記の群(6)の式(61)〜(64)から選ばれる少なくとも一種の化合物が好適に使用できるが、より好ましくは式(61)、(62)又は(64)で表される化合物である。
(c1)成分としては、誘電特性及び耐熱性の観点から、上記の群(7)式(71)〜(74)から選ばれる少なくとも一種の化合物が好適に使用されるが、好ましくは式(71)〜(73)で表される化合物であり、最も好ましくは式(71)又は(72)で表される化合物である。式(71)〜(74)中、R、Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基又はベンジル基であるが、好ましくは、耐熱安定性及び可溶性の観点から、アルコキシ基又はフェニル基である。式(74)のXは炭素数1〜4のアルキレン又は−O−である。nは0〜2の整数を示す。
本発明の芳香族ポリエステルは、(c)成分により分子末端を封止する構造を有する。そのため、エポキシ樹脂との硬化性樹脂組成物を調製し、これを硬化して硬化物とした場合に、水酸基の発生を抑え、良好な誘電特性が得られる。前記分子末端は、両側の末端の封止が好ましいが、片側の末端のみの封止でも良い。芳香族ポリエステルの全分子末端の内、25%以上が封止されていることが好ましく、より好ましくは50%以上である。最も好ましくは、75%以上である。
また、本発明の芳香族ポリエステルは、溶融時に光学的異方性を示す異方性溶融相を形成する液晶性ポリマーであることが好ましい。芳香族ポリエステルが液晶性を示すことによって、ポリマー分子が高度に凝集し、外部電界に起因する極性分子の動きが抑制されることによって、誘電特性がさらに向上する。このような液晶性ポリマーは一般にサーモトロピック液晶ポリマーに分類される。
サーモトロピック液晶ポリマーは溶融状態でポリマー分子鎖が規則的な平行配列をとる性質を有している。このような状態をしばしば液晶状態又は液晶性物質のネマチック相ともいう。このようなサーモトロピック液晶ポリマーの構造は、一般に、細長く、偏平で、分子の長軸に沿ってかなり剛性が高く、同軸又は平行のいずれかの関係にある複数の連鎖伸長結合を有している。異方性溶融相の形成は、直交偏光子を利用した慣用の偏光検査法により確認することができる。具体的には、Leitz偏光顕微鏡を使用し、Leitzホットステージに乗せた溶融試料を窒素雰囲気下で40倍の倍率で観察する。前記溶融試料が光学的異方性を有する場合、直交偏光子の間で検査したときに光を透過させる。たとえ静止状態であっても偏光は透過する。
また、本発明の芳香族ポリエステルは、溶融時の光学異方性を損なわない範囲で、それ自体では溶融時に異方性を示さない他のポリエステル骨格又はポリエステルアミド骨格(以下、併せて「他の骨格」という。)を同一分子鎖中に含んでいるものでもよい。この他の骨格は、アルキレンの炭素数が4以下のポリアルキレンテレフタレート骨格が望ましく、ポリエチレンテレフタレート骨格、ポリブチレンテレフタレート骨格がより好適である。
本発明の芳香族ポリエステルは、前記組成Aの場合は、例えば、芳香族オキシカルボン酸と、芳香族多価カルボン酸とを重縮合させ、両末端にカルボキシ基を有するポリエステルを合成しておき、このカルボキシ基を芳香族モノヒドロキシ化合物でエステル化(脱水エステル化反応。)して得られる。また、脱水エステル化反応以外に、エステル交換反応や直接重縮合反応によって製造することもできる。例えば、エステル交換反応では、芳香族オキシカルボン酸と芳香族モノヒドロキシ化合物を無水酢酸によりアセチル化した後、芳香族多価カルボン酸とをアシドリシスさせることにより芳香族ポリエステルが得られる。エステル交換反応を利用した溶融重縮合の場合、エステル交換反応によって芳香族ポリエステルの各単量体ユニットが再配列されるので、重縮合の初期段階より芳香族モノヒドロキシ化合物を加えていても、効率的に末端に芳香族モノヒドロキシ化合物が導入された芳香族ポリエステルを合成することが可能である。
直接重縮合反応を利用する場合、芳香族オキシカルボン酸化合物、芳香族多価カルボン酸化合物、および芳香族モノヒドロキシ化合物を触媒の共存下で脱水重縮合させることにより芳香族ポリエステルが得られる。
一般に脱水エステル化反応の反応効率は低いので、無水酢酸によりアセチル化を経てエステル交換反応を行うか、あるいは直接重縮合反応を利用するのが好ましい。
また、組成Bの場合は、例えば、芳香族オキシカルボン酸と、芳香族多価ヒドロキシ化合物とを重縮合させ、両末端に水酸基を有するポリエステルを合成しておき、この水酸基を芳香族モノカルボン酸でエステル化(脱水エステル化反応)して得られる。また、脱水エステル化反応以外にエステル交換反応や直接重縮合反応によって製造することもできる。芳香族オキシカルボン酸と芳香族多価ヒドロキシ化合物を無水酢酸によりアセチル化した後、芳香族モノカルボン酸とをアシドリシスさせることにより芳香族ポリエステルが得られる。前述したように、エステル交換反応を利用した溶融重縮合の場合、エステル交換反応によって芳香族ポリエステルの各単量体ユニットが再配列されるので、重縮合の初期段階より芳香族モノカルボン酸を加えていても、効率的に末端に芳香族モノカルボン酸が導入された芳香族ポリエステルを合成することが可能である。
直接重縮合反応を利用する場合、芳香族オキシカルボン酸化合物、芳香族多価ヒドロキシ化合物、および芳香族モノカルボン酸を触媒の共存下で脱水重縮合させることにより芳香族ポリエステルが得られる。
一般に前記脱水エステル化反応の反応効率は低いので、前記無水酢酸によりアセチル化を経てエステル交換反応を行うか、あるいは前記直接重縮合反応を利用するのが好ましい。
本発明の芳香族ポリエステルの分子量及び分子中のエステル結合のモル数は、特に制限されないが、(a)成分、(b)成分及び(c)成分のモル比を調節することで任意に設定することができる。耐熱性向上と有機溶剤への溶解性を両立する点から、分子量(Mn)は300〜10,000、分子中のエステル結合のモル数は2〜30であることが好ましい。分子量は、より好ましくは500〜5,000であり、最も好ましくは、分子量は500〜2,000である。なお、分子量及び分子量分布測定は、GPC(東ソー製、HLC−8120GPC)を使用し、単分散ポリスチレン(PS)による検量線を用い、PS換算分子量として測定することにより行うことができる。また、芳香族ポリエステルは構造単位(a')、(b')、及び(c')を主成分とする。好ましくは全構造単位の50モル%以上、より好ましくは80モル%以上を占める。構造単位(a')、(b')、及び(c')が主成分であることによって、誘電特性と低吸水性が良好となる傾向がある。
芳香族ポリエステル中に未反応原料や、副生成物として、ハロゲンやアルカリ金属類を含有する有機化合物および無機化合物などの不純物が残留すると、エポキシ樹脂組成物を硬化して得られるエポキシ樹脂硬化物の低吸湿性、低誘電率、低誘電正接を損ねる原因となるため、これらの不純物の残留量(不純物量)をできるかぎり低減することが好ましく、特に酢酸総量が1.0重量%以下、できれば100ppm以下にすることが好ましい。不純物量は、ガスクロマトグラフィー分析、蛍光エックス線分析、中和滴定分析などの公知の分析法で求められる。また、不純物を低減する方法としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属などの水酸化物類や炭酸塩類を含有したアルカリ水洗浄法、塩酸、リン酸塩などを含有した酸性水洗浄法、脱イオン水洗浄法、再結晶法、再沈殿法などの公知の洗浄方法を用いることができる。
次に、本発明の芳香族ポリエステルを含有する硬化性樹脂組成物は、(A)成分として上述した芳香族ポリエステル、及び(D)成分として1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を必須成分として含む。
以下、本発明の芳香族ポリエステルを含有する硬化性樹脂組成物に配合される前記(D)成分としてのエポキシ樹脂について説明する。
(D)成分は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂である。好ましくは、1分子中に2以上のエポキシ基と芳香族構造を有するエポキシ樹脂(D1)、1分子中に2以上のエポキシ基とシアヌレート構造を有するエポキシ樹脂(D2)又は1分子中に2以上のエポキシ基と脂環構造を有するエポキシ樹脂(D3)からなる群から選ばれる1種以上が使用される。D3は炭素数3〜8の脂環構造を有することがよい。
また、(D)成分が、13C−NMRにおいて、検出される全ての炭素の共鳴線面積に占める芳香族炭素の共鳴線の百分率が30〜95%であることが好ましい。このような範囲とすることで、誘電特性と難燃性のバランスに優れるものとなる。より好ましくは35〜85%である。この百分率は、エポキシ樹脂を構成する全炭素中、芳香族環を構成する炭素の割合に対応する。このような観点からすれば、芳香族構造を有するエポキシ樹脂(D1)又は(D2)を使用するか、それらと他のエポキシ樹脂を併用することが望ましいと言える。
より好ましくは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、キシリレン変性フェノールノボラック型エポキシ樹脂、キシリレン変性アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性ヒドロキシル基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物、ナフタレン型エポキシ樹脂等を挙げることができる。これらのエポキシ樹脂は各々単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、例えば、例えば、4,4’‐メチレンビス(2,6‐ジメチルフェノール)のジグリシジルエーテルを主成分とするエポキシ樹脂、4,4’‐メチレンビス(2,3,6‐トリメチルフェノール)のジグリシジルエーテルを主成分とするエポキシ樹脂、4,4’‐メチレンビスフェノールのジグリシジルエーテルを主成分とするエポキシ樹脂が好ましい。中でも、4,4’‐メチレンビス(2,6‐ジメチルフェノール)のジグリシジルエーテルを主成分とするエポキシ樹脂が好ましい。ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては市販品として新日鉄住金化学株式会社製商品名YSLV‐80XYとして入手可能である。
ビフェニル型エポキシ樹脂としては、4,4’−ジグリシジルビフェニル、又は4,4’−ジグリシジル−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル等のエポキシ樹脂が好ましい。ビフェニル型エポキシ樹脂としては市販品として三菱化学株式会社製商品名YX−4000、YL−6121Hとして入手可能である。
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂としては、ジシクロペンタジエン骨格を有するフェノールノボラックエポキシモノマー等が好ましい。
ナフタレン型エポキシ樹脂としては、1,2−ジグリシジルナフタレン、1,5−ジグリシジルナフタレン、1,6−ジグリシジルナフタレン、1,7−ジグリシジルナフタレン、2,7−ジグリシジルナフタレン、トリグリシジルナフタレン、及び1,2,5,6−テトラグリシジルナフタレン、ナフトール・アラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格変性クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、メトキシナフタレン変性クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、メトキシナフタレンジメチレン型エポキシ樹脂等の変性ナフタレン型エポキシ樹脂等が好ましい。
エポキシ樹脂の内、(A)成分の芳香族ポリエステルとの相溶性、誘電特性、及び、成形品の反りの小ささの観点から、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、キシリレン変性フェノールノボラック型エポキシ樹脂、キシリレン変性アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂がより好適に使用される。
(D)成分のエポキシ樹脂のMwは1万以下であることが好ましく、より好ましくは600以下であり、さらに好ましくは200〜550である。Mwが200未満の場合、揮発性が高くなり、硬化性樹脂組成物の一形態であるキャストフィルム・シートの取扱い性が低下する傾向にある。一方で、Mwが1万を超えると、キャストフィルム・シートが固くかつ脆くなりやすく、また、キャストフィルム・シートの硬化物の接着性が低下する傾向にある。ここで、キャストフィルム・シートとは、硬化性樹脂組成物を溶剤に溶解させてワニスとし、このワニスを、数μm〜数mmの厚みになるように成膜し、乾燥させて、硬化性樹脂組成物のフィルム又はシートにしたものである。
硬化性樹脂組成物における(D)成分の含有量は、芳香族ポリエステルにおけるエステル結合1モルに対して、0.1〜1.5モル含有することが好ましい。0.2〜1.0モルとなる配合量であればさらに好ましい。最も好ましくは、0.3〜0.94モルである。この含有量が上記範囲外であると、芳香族ポリエステルによるエポキシ樹脂の硬化反応が十分に進行せず、誘電正接やガラス転移温度に及ぼす効果が不十分になる。(D)成分の含有量が前記好ましい下限を満たすと、キャストフィルム・シートの硬化物の接着性をより一層高めることができ、前記好ましい上限を満たすと、未硬化状態でのキャストフィルム・シートのハンドリング性がより一層高くなる。
また、本発明の硬化性樹脂組成物には、硬化速度又は硬化物の物性等を調整するために、(E)成分として硬化促進剤を添加しても良い。
(E)成分の含有量は、特に限定されるものではないが、硬化促進剤の配合量は、芳香族ポリエステル及び(D)成分のエポキシ樹脂の総和100重量%に対して、0.01〜5重量%の範囲であることが好ましい。硬化促進剤の配合量が0.01重量%未満であると硬化反応速度が遅くなり、5重量%より多いとエポキシ樹脂(D)の自己重合が生じて芳香族ポリエステル(A)によるエポキシ樹脂の硬化反応が阻害されることがある。
(E)成分の硬化促進剤としては、特に限定されないが、具体例としては、3級アミン、イミダゾール類、イミダゾリン類、トリアジン類、有機リン系化合物、4級ホスホニウム塩類及び有機酸塩等のジアザビシクロアルケン類等が挙げられる。また、有機金属化合物類、4級アンモニウム塩類及び金属ハロゲン化物等が挙げられ、有機金属化合物類としては、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫及びアルミニウムアセチルアセトン錯体等が挙げられる。
(E)成分として、高融点のイミダゾール硬化促進剤、高融点の分散型潜在性硬化促進剤、マイクロカプセル型潜在性硬化促進剤、アミン塩型潜在性硬化促進剤、及び高温解離型かつ熱カチオン重合型潜在性硬化促進剤等も使用できる。前記硬化促進剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
また、有機リン系化合物又は高融点のイミダゾール系硬化促進剤であることが好ましい。有機リン系化合物又は高融点のイミダゾール系硬化促進剤の使用により、キャストフィルム・シートの硬化速度等の前記硬化性樹脂組成物の硬化性を容易に制御でき、またキャストフィルム・シート等の前記硬化性樹脂組成物の硬化物の物性等をより一層容易に調整できる。硬化促進剤の融点は100℃以上であることが、取扱い性に優れるため好ましい。
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、(F)成分として高分子量樹脂を添加することができる。高分子量樹脂はそのMwが1万以上であれば、その構造は特に限定されない。また、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
前記(F)成分の高分子量樹脂の具体例を挙げると、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリシクロペンタジエン樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、芳香族ポリエステル以外のポリエステル樹脂、あるいは、既知の熱可塑性エラストマー、例えば、スチレン−エチレン−プロピレン共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、水添スチレン−ブタジエン共重合体、水添スチレン−イソプレン共重合体等やあるいはゴム類、例えばポリブタジェン、ポリイソプレン等の樹脂を使用できる。好ましくは、芳香族ポリエステルとの相溶性、密着信頼性の観点から、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂、水添スチレン−ブタジエン共重合体、水添スチレン−イソプレン共重合体、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、および芳香族ポリエステル以外のポリエステル樹脂等である。
(F)成分の高分子量樹脂のガラス転移温度(Tg)の好ましい下限は−40℃、より好ましい下限は50℃、最も好ましい下限は90℃である。好ましい上限は250℃、より好ましい上限は200℃である。Tgが前記好ましい下限を満たすと、樹脂が熱劣化し難くなる。Tgが前記好ましい上限を満たすと、(F)成分と他の樹脂との相溶性が高くなる。この結果、未硬化状態でのキャストフィルム・シートのハンドリング性、並びにキャストフィルム・シートの硬化物の耐熱性をより一層高めることができる。
高分子量樹脂のMwは1万以上であるが、好ましい下限は2万、より好ましい下限は3万、好ましい上限は100万、より好ましい上限は25万である。Mwが前記好ましい下限を満たすと、絶縁シートが熱劣化し難くなる。Mwが前記好ましい上限を満たすと、(F)成分の高分子量樹脂と他の樹脂との相溶性が高くなる。この結果、未硬化状態でのキャストフィルム・シートのハンドリング性、並びにキャストフィルム・シートの硬化物の耐熱性をより一層高めることができる。
(F)成分を含む硬化性樹脂組成物は、容易にキャストフィルム・シートに加工することができる。キャストフィルム・シートに含まれている樹脂成分の合計((A)、(D)、(F)成分及びその他の樹脂成分含む。)を100重量%とした場合、(F)成分の含有量は10〜60重量%の範囲内であることが好ましい。好ましくは、下限が20重量%、より好ましくは、上限が50重量%である。含有量が10重量%以上であれば、未硬化状態でのキャストフィルム・シートのハンドリング性をより一層高めることができる。60重量%以下であれば、前記(G)成分の分散が容易になる。
また、硬化性樹脂組成物から得られる硬化物、硬化性複合材料、複合材料硬化物、積層体、電気・電子部品及び回路基板の熱膨張率をさらに低下させるために、(G)成分として無機充填材を添加してもよい。無機充填材としては、例えば、シリカ、アルミナ、硫酸バリウム、タルク、クレニ、雲母粉、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、ホウ酸アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム等が挙げられ、これらの中でも無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ等のシリカが特に好適である。シリカとしては球状のものが好ましい。2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(G)成分の平均粒径は、特に限定されるものではないが、絶縁層への微細配線形成の観点から好ましくは5μm以下、より好ましくは1μm以下、さらに好ましくは0.7μm以下である。平均粒径が小さくなりすぎると、本発明の硬化性樹脂組成物を、回路基板材料用ワニス等の樹脂ワニスとした場合に、ワニスの粘度が上昇し、取り扱い性が低下する傾向にあるため、平均粒径は0.05μm以上であるのが好ましい。前記平均粒径はミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的にはレーザー回折式粒度分布測定装置により、無機充填材の粒度分布を体積基準で作製し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材を超音波により水中に分散させたものを好ましく使用することができる。レーザー回折式粒度分布測定装置としては、(株)堀場製作所製 LA−500等を使用することができる。
(G)成分は、エポキシシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤等の表面処理剤で表面処理させたものが好ましい。耐湿性が向上するからである。前記(G)成分の配合量は、本発明の硬化性樹脂組成物の不揮発分100質量%に対し、10〜80質量%の範囲が好ましく、15〜70質量%の範囲がより好ましく、20〜65質量%の範囲が更に好ましい。前記(G)成分の配合量が80質量%を超えると、硬化物が脆くなる傾向や、ピール強度が低下する傾向にある。一方、配合量が10質量%未満であると、配合の効果が十分に発現しない。
また、本発明の硬化性樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で(H)成分として難燃剤を含有させても良い。難燃剤としては、例えば、有機リン系難燃剤、有機系窒素含有リン化合物、窒素化合物、シリコーン系難燃剤、金属水酸化物等が挙げられる。有機リン系難燃剤としては、三光(株)製のHCA、HCA−HQ、HCA−NQ等のフェナントレン型リン化合物、昭和高分子(株)製のHFB−2006M等のリン含有ベンゾオキサジン化合物、味の素ファインテクノ(株)製のレオフォス30、50、65、90、110、TPP、RPD、BAPP、CPD、TCP、TXP、TBP、TOP、KP140、TIBP、北興化学工業(株)製のPPQ、クラリアント(株)製のOP930、大八化学(株)製のPX200等のリン酸エステル化合物、東都化成(株)製のFX289、FX305等のリン含有エポキシ樹脂、東都化成(株)製のERF001等のリン含有フェノキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン(株)製のYL7613等のリン含有エポキシ樹脂等が挙げられる。有機系窒素含有リン化合物としては、四国化成工業(株)製のSP670、SP703等のリン酸エステルミド化合物、大塚化学(株)製のSPB100、SPEl00、(株)伏見製作所製FP−series等のホスファゼン化合物等が挙げられる。金属水酸化物としては、宇部マテリアルズ(株)製のUD65、UD650、UD653等の水酸化マグネシウム、巴工業(株)製のB−30、B−325、B−315、B−308、B−303、UFH−20等の水酸化アルミニウム等が挙げられる。
(H)成分の配合量は、樹脂成分100重量部に対して、10〜400重量部の範囲であることが好ましい。より好ましくは20〜300重量部の範囲である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内で、(A)成分としての芳香族ポリエステル及び前記(D)成分以外のMw1万未満の熱硬化性樹脂を含有していてもよい。前記Mw1万未満の熱硬化性樹脂としては、例えば、ビスマレイミド化合物とジアミン化合物の重合物、ビスアリルナジド樹脂、ベンゾオキサジン化合物、ベンゾシクロブテン化合物等を挙げることができる。これらを2種以上混合して用いてもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、フェノキシ樹脂を含有していてもよい。フェノキシ樹脂を配合することにより、硬化が促進され硬化性樹脂組成物の熱硬化性が向上する。フェノキシ樹脂は2官能エポキシ樹脂とビスフェノール化合物の反応生成物からなるポリマーであり、芳香族ポリエステルの硬化促進作用を示すため、比較的低い硬化温度で十分な硬化物性(耐熱性、低誘電正接等)を発揮することが可能になると考えられる。またフェノキシ樹脂の配合により、硬化物の酸化剤による粗化性が向上し、メッキにより形成された導体層との密着性も向上する。
また、末端に残存するエポキシ基を(メタ)アクリル酸で反応させたフェノキシ樹脂、又はヒドロキシル基の一部にイソシアネート基を有するメタクリレート化合物やアクリレート化合物を反応させたフェノキシ樹脂を使用することもでき、この場合これらフェノキシ樹脂はラジカル重合性樹脂としても機能する。
フェノキシ樹脂の好ましい例としては、例えばビスフェノールA タイプのフェノトートYP50(東都化成(株)製)、E−1256(ジャパンエポキシレジン(株)製)の他、臭素化されたフェノキシ樹脂であるフェノトートYPB40(東都化成(株)製)等が挙げられる。特にビフェニル骨格を有するフェノキシ樹脂が、耐熱性、耐湿性および硬化促進作用の点で好ましい。このようなフェノキシ樹脂の具体例としては、ビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製YX4000)と各種ビスフェノール化合との反応生成物からなるフェノキシ樹脂である、YL6742BH30、YL6835B H40、YL6953BH30、YL6954BH30、YL6974BH30、YX8100BH30を挙げることができる。これらのフェノキシ樹脂は各々単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
フェノキシ樹脂は、硬化促進作用のほか接着フィルムの可とう性を向上させこれらの取り扱いを容易にするとともに硬化物の機械的強度、可とう性も向上させる。フェノキシ樹脂としては、重量平均分子量が5000〜100000のフェノキシ樹脂を好ましく用いることができる。フェノキシ樹脂の重量平均分子量が5000未満であると、前記の効果が十分でない場合があり、100000を超えるとエポキシ樹脂及び有機溶剤への溶解性が著しく低下し、実際上の使用が困難となる場合がある。
フェノキシ樹脂の配合量については、その種類によっても異なるが、好ましくは芳香族ポリエステルとエポキシ樹脂との合計量100重量部に対し3〜40重量部の範囲で配合される。特に5〜25重量部の範囲で配合するのが好ましい。3重量部未満であると樹脂組成物の硬化促進作用が十分でない場合が生じ、樹脂組成物を回路基板にラミネート(積層)する際、あるいはラミネートした樹脂組成物を熱硬化する際、樹脂の流動性が大きくなりすぎて絶縁層厚が不均一となる傾向にある。また導体層形成のための硬化物の粗化性も得られ難い傾向にある。一方、40重量部を超えると、フェノキシ樹脂の官能基が過剰に存在することになり、十分に低い誘電正接値が得られない傾向にあり、更には接着フィルムを回路基板にラミネートする際の流動性が低すぎて回路基板に存在するビアホールやスルーホール内の樹脂充填が十分に行えなくなる傾向にある。なお、フェノキシ樹脂のMwが1万以上である場合は、(F)成分にも該当するが、フェノキシ樹脂全体としての配合量は前記配合量とすることが好ましい。
本発明の回路基板材料用ワニスは、硬化性樹脂組成物を溶剤に溶解させることにより製造することができる。ここで使用し得る前記有機溶剤としては、メチルエチルケトン、アセトン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジメチルホルムアミド、メチルイソブチルケトン、メトキシプロパノール、シクロヘキサノン、メチルセロソルブ、エチルジグリコールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられ、その選択や適正な使用量は用途によって適宜選択し得る。例えば、プリント配線板用途では、メチルエチルケトン、アセトン、トルエン、キシレン、1−メトキシ−2−プロパノール等の沸点が160℃以下の溶剤であることが好ましく、また、不揮発分20〜80質量%となる割合で使用することが好ましい。一方、ビルドアップ用接着フィルム用途では、有機溶剤として、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等を用いることが好ましく、また、不揮発分20〜80質量%となる割合で使用することが好ましい。この回路基板材料用ワニスを硬化させることにより、本発明の回路基板を有利に得ることができる。回路基板としては、具体的にはプリント配線基板、プリント回路板、フレキシブルプリント配線板、ビルドアップ配線板等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物は、用途に応じて、成型物、積層物、注型物、接着剤、塗膜、フィルム又はシートとして使用できる。例えば、半導体封止材料用途としては、硬化物は注型物又は成型物であり、硬化性樹脂組成物を注型、又はトランスファ−成型機、射出型機等を用いて成型し、さらに80〜230℃で0.5〜10時間に加熱することにより硬化物を得ることができる。また、回路基板用途としては、硬化物は積層物であり、回路基板材料用ワニスをガラス繊維、カーボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙等の基材に含浸させ加熱乾燥してプリプレグ(硬化性複合材料)を得て、この複数のプリプレグ同士を積層して硬化性複合材料の積層物とし、又はこのプリプレグと銅箔等の金属箔とを積層して樹脂付き金属箔とし、熱プレス成型することにより硬化物を得ることができる。
また、チタン酸バリウム等の無機の高誘電体粉末、あるいはフェライト等の無機磁性体を配合することができる。これにより、電気・電子部品用材料、特に高周波電子部品材料として有用である。
また、後述する硬化性複合材料と同様、金属箔(金属板を含む。以下、同じ。)と張り合わせて、又は塗布して樹脂付き金属箔又は積層体として用いることができる。
次に、本発明の硬化性複合材料とその硬化体について説明する。硬化性複合材料には、機械的強度を高め、寸法安定性を向上させるために基材が使用される。
このような基材としては、ロービングクロス、クロス、チョップドマット、サーフェシングマット等の各種ガラス布、アスベスト布、金属繊維布及びその他合成若しくは天然の無機繊維布、全芳香族ポリアミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリベンゾザール繊維等の液晶繊維から得られる織布又は不織布、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維等の合成繊維から得られる織布又は不織布、綿布、麻布、フェルト等の天然繊維布、カーボン繊維布、クラフト紙、コットン紙、紙−ガラス混繊紙等の天然セルロース系布等の布類、紙類等が挙げられる。それぞれ単独で、又は2種以上を併せて用いられる。
硬化性複合材料中における基材の占める割合は、硬化性複合材料中に5〜90wt%、好ましくは10〜80wt%、更に好ましくは20〜70wt%である。基材が5wt%より少なくなると硬化性複合材料の硬化後の寸法安定性や強度が低下する傾向にある。また基材が90wt%を超えると硬化性複合材料の誘電特性が低下する傾向にある。
本発明の硬化性複合材料には、必要に応じて樹脂と基材の界面における接着性を改善する目的でカップリング剤を用いることができる。カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネートカップリング剤等一般のものが使用できる。
本発明の硬化性複合材料を製造する方法としては、例えば、本発明の硬化性樹脂組成物(必要に応じて他の成分を加えても良い。)を前記回路基板材料用ワニスに用いられる溶媒若しくはその混合溶媒中に均一に溶解又は分散させ、基材に含浸させた後、乾燥する方法が挙げられる。含浸は浸漬(ディッピング)、塗布等によって行われる。含浸は必要に応じて複数回繰り返すことも可能であり、組成や濃度の異なる複数の溶液を用いて含浸を繰り返し、最終的に希望とする樹脂組成及び樹脂量に調整することも可能である。
本発明の硬化性複合材料を、加熱等の方法により硬化することによって複合材料硬化物が得られる。その製造方法は特に限定されるものではなく、例えば硬化性複合材料を複数枚積層し、加熱及び加圧を同時に行うことによりそれらを接着せしめると同時に熱等により硬化を行い、所望の厚みの複合材料硬化物を得ることができる。また、複合材料硬化物に対して、更に硬化性複合材料を接着、接着及び硬化させて新たな層構成の複合材料硬化物を得ることも可能である。接着、接着及び硬化は、通常、真空ラミネータ等の熱プレス等を用い同時に行われるが、積層及び接着の工程と硬化の工程とをそれぞれ単独で行ってもよい。すなわち、あらかじめ積層及び接着して得た未硬化あるいは半硬化の複合材料を、熱処理又は別の方法で処理することによって硬化させることができる。
接着、接着及び硬化は、これらを同時に行う場合、温度:80〜300℃、圧力:0.1〜1000kg/cm、時間:1分〜10時間の範囲、より好ましくは、温度:100〜250℃、圧力1〜500kg/cm、時間:1分〜5時間の範囲で行うことができる。
本発明の積層体とは、複合材料硬化物の層と金属箔の層より構成されるものである。ここで用いられる金属箔としては、例えば銅箔、アルミニウム箔等が挙げられる。本発明で使用される金属箔の厚みは特に限定されないが、1〜50μm、より好ましくは3〜35μmの範囲である。また、積層体の厚みは20〜5,000μmの範囲である。
本発明の積層体を製造する方法としては、例えば、本発明の硬化性複合材料と、金属箔を目的に応じた層構成で積層し、加熱及び加圧を同時に行うことにより各層間を接着せしめると同時に熱硬化させる方法を挙げることができる。本発明の積層体は、複合材料硬化物と金属箔が任意の層構成で積層される。金属箔は表層としても中間層としても用いることができる。また、硬化性複合材料及び金属箔の積層と硬化を複数回繰り返して多層化することも可能である。
硬化性複合材料と金属箔との接着には接着剤を用いることもできる。接着剤としては、エポキシ系、アクリル系、フェノール系、シアノアクリレート系等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。積層及び接着並びに硬化は、本発明の複合材料硬化物の製造と同様の条件で行うことができる。
また、本発明の硬化性樹脂組成物をフィルム状に成形することもできる。フィルム状に成形することで、電気・電子部品等に加工しやすくなるため好ましい。その厚みは特に限定されないが、3〜200μm、より好ましくは5〜105μmである。
フィルムを製造する方法としては特に限定されることはなく、例えば硬化性樹脂組成物と必要に応じて他の成分を芳香族系、ケトン系等の溶媒若しくはその混合溶媒中に均一に溶解又は分散させ、PETフィルム等の樹脂フィルムに塗布した後乾燥する方法等が挙げられる。塗布は必要に応じて複数回繰り返すことも可能であり、またこの際組成や濃度の異なる複数の溶液を用いて塗布を繰り返し、最終的に希望とする樹脂組成及び樹脂量に調整することも可能である。
本発明の樹脂付き金属箔とは本発明の硬化性樹脂組成物と金属箔より構成されるものである。ここで用いられる金属箔としては、例えば銅箔、アルミニウム箔等が挙げられる。その厚みは特に限定されないが、3〜200μm、より好ましくは5〜105μmの範囲である。また、前記金属箔の厚みは1〜50μmの範囲である。
本発明の樹脂付き金属箔を製造する方法としては特に限定されることはなく、例えば硬化性樹脂組成物(必要に応じて他の成分を加えても良い)と、前述の回路基板材料用ワニスに用いられる溶媒若しくはその混合溶媒中に均一に溶解又は分散させ、金属箔に塗布した後乾燥する方法が挙げられる。塗布は必要に応じて複数回繰り返すことも可能であり、またこの際、組成や濃度の異なる複数の溶液を用いて塗布を繰り返し、最終的に希望とする樹脂組成及び樹脂量に調整することも可能である。
また、本発明においては、フィルム状に成形した硬化性樹脂組成物(以下、「フィルム」という。)を接着層とし、これと後述する被めっき層用樹脂組成物からなる被めっき層とを有する積層フィルムとしてもよい。
この積層フィルムの製造方法は、たとえば、以下の2つの方法が挙げられる。製造方法(1):被めっき層用樹脂組成物を支持体上に塗布、散布又は流延し、必要に応じて乾燥させ、次いで、その上に、硬化性樹脂組成物をさらに塗布又は流延し、必要に応じて乾燥させることにより製造する方法;製造方法(2):被めっき層用樹脂組成物を支持体上に塗布、散布又は流延し、必要に応じて乾燥させ、次いで、硬化性樹脂組成物を別の支持体上に塗布、散布又は流延し、必要に応じて乾燥させて、これらを積層し、一体化させることにより製造する方法。これらの製造方法の内、より容易なプロセスであり生産性に優れることから、製造方法(1)が好ましい。製造方法(1)及び(2)において、硬化性樹脂組成物又は被めっき層用樹脂組成物に有機溶剤を添加してワニスとした後に、それらを塗布、散布又は流延することが好ましい。
支持体としては、樹脂フィルムや金属箔等が挙げられる。樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリアリレートフィルム、ナイロンフィルム等が挙げられる。これらのフィルムのうち、耐熱性、耐薬品性、剥離性等の観点からポリエチレンテレフタレートフィルム又はポリエチレンナフタレートフィルムが好ましい。金属箔としては、銅箔、アルミ箔、ニッケル箔、クロム箔、金箔、銀箔等が挙げられる。なお、支持体の表面平均粗さRaは、通常、300nm以下、好ましくは150nm以下、より好ましくは100nm以下である。
製造方法(1)及び(2)における、被めっき層用樹脂組成物及び硬化性樹脂組成物の厚みは、特に限定されないが、積層フィルムとした際における、被めっき層の厚みは、好ましくは1〜10μm、より好ましくは1.5〜8μm、さらに好ましくは2〜5μmである。また、接着層の厚みは、好ましくは10〜100μm、より好ましくは10〜80μm、さらに好ましくは15〜60μmである。被めっき層の厚みが1μm未満であると、積層フィルムを硬化して得られる硬化物上に、無電解めっきにより導体層を形成した際における、導体層の形成性が低下してしまうおそれがあり、一方、被めっき層の厚みが100μmを超えると、積層フィルムを硬化して得られる硬化物の線膨張が大きくなるおそれがある。また、接着層の厚みが10μm未満であると、積層フィルムの配線埋め込み性が低下してしまうおそれがある。
被めっき層用樹脂組成物及び硬化性樹脂組成物を塗布する方法としては、ディップコート、ロールコート、カーテンコート、ダイコート、スリットコート、グラビアコート等が挙げられる。
また、上述の(1)の製造方法における、被めっき層用樹脂組成物を支持体上に塗布、散布又は流延した後、あるいは硬化性樹脂組成物を被めっき層用樹脂組成物上に塗布、散布又は流延した後、あるいは上述の(2)の製造方法における、被めっき層用樹脂組成物及び硬化性樹脂組成物を支持体上に塗布した後、必要に応じて、乾燥を行ってもよい。乾燥温度は、被めっき層用樹脂組成物及び硬化性樹脂組成物が硬化しない程度の温度とすることが好ましく、より好ましくは、20〜300℃、さらに好ましくは30〜200℃である。また、乾燥時間は、通常、30秒間〜1時間、好ましくは1分間〜30分間である。
なお、積層フィルムは、被めっき層及び接着層が未硬化又は半硬化の状態であることが好ましい。そうすることにより、積層フィルムを構成する接着層を接着性の高いものとすることできる。
本発明の硬化性複合材料は、本発明の硬化性樹脂組成物と基材からなる。例えば、硬化性樹脂組成物を繊維状の基材(以下、「繊維基材」という。)に含浸したものは、硬化性複合材料の一種であるプリプレグである。通常、シート状又はフィルム状の形態を有している。
この場合に用いる前記繊維基材は、たとえば、ポリアミド繊維、ポリアラミド繊維やポリエステル繊維等の有機繊維や、ガラス繊維、カーボン繊維等の無機繊維が挙げられる。また、繊維基材の形態としては、平織りもしくは綾織り等の織物の形態、又は不織布の形態等が挙げられる。繊維基材の厚さは5〜100μmが好ましく、10〜50μmの範囲が好ましい。5μm未満であると取り扱いが困難となり、100μmを超えると相対的に樹脂層が薄くなり配線埋め込み性が不十分になる場合がある。
また、前記プリプレグ中の繊維基材の量は、通常、20〜90重量%、好ましくは30〜85重量%である。
本発明の硬化性樹脂組成物を、繊維基材に含浸させる方法としては、特に限定されないが、粘度等を調整するために本発明の硬化性樹脂組成物に有機溶剤を添加し、これに繊維基材を浸漬する方法、有機溶剤を添加した硬化性樹脂組成物を繊維基材に塗布又は散布する方法等が挙げられる。例えば、支持体の上に繊維基材を置いて、これに、有機溶剤を添加した硬化性樹脂組成物を塗布又は散布する。なお、プリプレグは、硬化性樹脂組成物が未硬化又は半硬化の状態であることが好ましい。
また、硬化性樹脂組成物を繊維基材に含浸させた後、必要に応じて、乾燥を行ってもよい。乾燥温度は、本発明の硬化性樹脂組成物が硬化しない程度の温度とすることが好ましく、より好ましくは、20〜300℃、更に好ましくは30〜200℃である。乾燥温度が300℃を超えると、硬化反応が進行しすぎて、得られるプリプレグが未硬化又は半硬化の状態とならなくなるおそれがある。また、乾燥時間は、好ましくは、30秒間〜1時間、さらに好ましくは1分間〜30分間である。
また、プリプレグは、前記積層フィルムと、繊維基材とからなるものであってもよい。この場合には、プリプレグの一方の面が前記接着層で、他方の面が前記被めっき層であり、それらの層の内部に繊維基材が存在する。この場合においても、繊維基材としては、上述したものと同じものを用いることができる。
また、その製造方法は特に限定されないが、たとえば、以下の3つの製造方法が挙げられる。製造方法(1)支持体を2つ用意し、一方の支持体に、接着層用硬化性樹脂組成物を積層し、もう一方の支持体に、めっき層用樹脂組成物を積層し、それらの樹脂組成物側を対向させて、繊維基材を間に挟んで、必要により加圧、真空、加熱等の条件のもとで積層して製造する方法;製造方法(2):接着層用硬化性樹脂組成物又は被めっき層用樹脂組成物のいずれかを繊維基材に含浸して、必要により乾燥することによりプリプレグを作製し、このプリプレグにもう一方の樹脂組成物を直接塗布、散布又は流延することにより、又は、前記もう一方の樹脂組成物を支持体上に積層し、これを前記プリプレグに樹脂組成物層側を対向させて積層することにより製造する方法;製造方法(3):支持体上に接着層用硬化性樹脂組成物又は被めっき層用樹脂組成物のいずれかを塗布、散布又は流延等により積層し、その上に繊維基材を重ね、さらにその上からもう一方の樹脂組成物を塗布、散布又は流延することにより積層し、必要により乾燥させることにより製造することができる。なお、いずれの方法も各樹脂組成物には必要に応じて有機溶剤を添加して、樹脂組成物の粘度を調整することにより、繊維基材への含浸や支持体への塗布、散布又は流延における作業性を制御することが好ましい。また、被めっき層用樹脂組成物及び硬化性樹脂組成物を塗布する方法としては、ディップコート、ロールコート、カーテンコート、ダイコート、スリットコート、グラビアコート等が挙げられる。
この際に用いる支持体としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリアリレートフィルム、ナイロンフィルム等の樹脂フィルムや、銅箔、アルミ箔、ニッケル箔、クロム箔、金箔、銀箔等の金属箔が挙げられ、これらは、プリプレグの一方の面だけでなく、両方の面に付いていてもよい。
積層フィルムと繊維基材からなるプリプレグの厚みは、特に限定されないが、被めっき層の厚みは、好ましくは1〜10μm、より好ましくは1.5〜8μm、さらに好ましくは2〜5μmである。また、接着層の厚みは、好ましくは10〜100μm、より好ましくは10〜80μm、さらに好ましくは15〜60μmとなるような厚みである。
また、本発明の硬化性複合材料(プリプレグ)を、上述した積層フィルムと、繊維基材とからなるものとする場合には、前記した積層フィルムと同様に、被めっき層及び接着層を構成する樹脂組成物が未硬化又は半硬化の状態であることが好ましい。
そして、このようにして得られる本発明の硬化性複合材料を加熱し、硬化させることにより、複合材料硬化物とすることができる。
硬化温度は、通常、30〜400℃、好ましくは70〜300℃、より好ましくは100〜200℃である。また、硬化時間は、0.1〜5時間、好ましくは0.5〜3時間である。加熱の方法は特に制限されず、例えば電気オーブン等を用いて行えばよい。
本発明の積層体は、本発明の硬化性樹脂組成物又は硬化性複合材料(以下、併せて「電気絶縁層前駆体」という。)を基板に積層してなるものである。
基板は、表面に導体層を有する基板であることが好ましい。なお、前記電気絶縁層前駆体が、前記積層フィルム又は積層フィルムと繊維基材とからなるプリプレグである場合には、前記積層フィルムの接着層と基板が接触して積層されるものとする。
表面に導体層を有する基板は、電気絶縁性基板の表面に導体層を有するものである。電気絶縁性基板は、公知の電気絶縁材料(たとえば、脂環式オレフィン重合体、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、トリアジン樹脂、ポリフェニルエーテル、ガラス等)を含有する樹脂組成物を硬化して形成されたものである。導体層は、特に限定されないが、通常、導電性金属等の導電体により形成された配線を含む層であって、更に各種の回路を含んでいてもよい。配線や回路の構成、厚み等は、特に限定されない。表面に導体層を有する基板の具体例としては、プリント配線基板、シリコンウェーハ基板等を挙げることができる。表面に導体層を有する基板の厚みは、通常、10μm〜10mm、好ましくは20μm〜5mm、より好ましくは30μm〜2mmである。
表面に導体層を有する基板は、電気絶縁層との密着性を向上させるために、導体層表面に前処理が施されていることが好ましい。前処理の方法としては、公知の技術を、特に限定されず使用することができる。例えば、導体層が銅からなるものであれば、強アルカリ酸化性溶液を導体層表面に接触させて、導体表面に酸化銅の層を形成して粗化する酸化処理方法、導体層表面を先の方法で酸化した後に水素化ホウ素ナトリウム、ホルマリン等で還元する方法、導体層にめっきを析出させて粗化する方法、導体層に有機酸を接触させて銅の粒界を溶出して粗化する方法、及び導体層にチオール化合物やシラン化合物等によりプライマー層を形成する方法等が挙げられる。これらの内、微細な配線パターンの形状維持の容易性の観点から、導体層に有機酸を接触させて銅の粒界を溶出して粗化する方法、及び、チオール化合物やシラン化合物等によりプライマー層を形成する方法が好ましい。
また、基板として、銅箔、アルミ箔、鉄箔等の金属箔を用いてもよい。例えば、銅箔に前記硬化性樹脂組成物を積層させた場合、樹脂付き銅箔になる。
本発明の積層体は、通常、表面に導体層を有する基板上に、前記の電気絶縁層前駆体を加熱圧着することにより、製造することができる。
加熱圧着の方法としては、支持体付きの電気絶縁層前駆体を、前記の基板の導体層に接するように重ね合わせ、加圧ラミネータ、プレス、真空ラミネータ、真空プレス、ロールラミネータ等の加圧機を使用して加熱圧着(ラミネーション)する方法が挙げられる。加熱圧着することにより、基板表面の導体層と電気絶縁層前駆体との界面に空隙が実質的に存在しないように結合させることができる。なお、この際において、電気絶縁層前駆体が、前記積層フィルム又は積層フィルムと繊維基材とからなるプリプレグである場合は、電気絶縁層前駆体の接着層が、前記の基板の導体層に接するように重ね合わせた状態で、加熱圧着する。
加熱圧着の温度は、通常、30〜250℃、好ましくは70〜200℃であり、加える圧力は、通常、10kPa〜20MPa、好ましくは100kPa〜10MPaであり、時間は、通常、30秒〜5時間、好ましくは1分〜3時間である。また、加熱圧着は、配線パターンの埋め込み性を向上させ、気泡の発生を抑えるために減圧下で行うのが好ましい。具体的には、通常100kPa〜1Pa、好ましくは40kPa〜10Paである。
また、電気絶縁層の平坦性を向上させる目的や、電気絶縁層の厚みを増す目的で、基板の導体層上に電気絶縁層前駆体を2層以上積層しても良い。
本発明の積層体は、電気絶縁層前駆体を硬化する処理により電気絶縁層前駆体を電気絶縁層とすることによって、硬化物積層体とすることができる。硬化は、通常、積層体全体を加熱することにより行う。また、積層体の製造における、電気絶縁層前駆体と基板との加熱圧着と同時に行うこともできる。
硬化温度は、通常、30〜400℃、好ましくは70〜300℃、より好ましくは100〜200℃である。また、硬化時間は、0.1〜5時間、好ましくは0.5〜3時間である。加熱の方法は特に制限されず、例えば電気オーブン等を用いて行えばよい。
また、本発明の積層体の複合材料硬化物層の上に、さらに別の導体層(以下、「導体層2」という。)を形成しても良い。前記導体層2としては金属めっき又は金属箔を使用することができる。この場合において、電気絶縁層が、前記積層フィルム又は積層フィルムと繊維基材からなるプリプレグである場合は、電気絶縁層の被めっき層上に、導体層2を形成する。
導体層2として金属めっき材料を使用する場合は、めっき種としては、金、銀、銅、ロジウム、パラジウム、ニッケル又はスズ等が挙げられる。金属箔を使用する場合は、前記フィルム又はプリプレグの製造時に用いる支持体として使用されるものが挙げられる。なお、本発明においては、導体層としては金属めっきを使用する方法のほうが、微細配線が可能であるという点より、好ましい。以下、前記複合体の製造方法を、一例として、導体層2として金属めっきを用いた多層回路基板をとして、説明する。
まず、硬化物積層体に、電気絶縁層を貫通するビアホールやスルーホールを形成する。ビアホールは、多層回路基板とした場合に、多層回路基板を構成する各導体層を連結するために形成される。ビアホールやスルーホールは、フォトリソグラフィ法のような化学的処理により、又は、ドリル、レーザー、プラズマエッチング等の物理的処理等により形成することができる。これらの方法の中でもレーザーによる方法(炭酸ガスレーザー、エキシマレーザー、UV−YAGレーザー等)は、より微細なビアホールを電気絶縁層の特性を低下させずに形成できるので好ましい。
次に、前記硬化物積層体の電気絶縁層(すなわち、本発明の硬化物又は複合材料硬化物)の表面を、粗化する表面粗化処理を行う。表面粗化処理は、電気絶縁層上に形成する導体層2との接着性を高めるために行う。
電気絶縁層の表面平均粗度Raは、好ましくは0.05μm以上0.5μm未満、より好ましくは0.06μm以上0.3μm以下であり、かつ表面十点平均粗さRzjisは、下限が、好ましくは0.3μm以上、より好ましくは0.5μm以上であり、上限が、好ましくは6μm未満、より好ましくは5μm以下、さらに好ましくは4μm未満、特に好ましくは2μm以下である。なお、本明細書において、RaはJIS B0601−2001に示される算術平均粗さであり、表面十点平均粗さRzjisは、JIS B0601−2001付属書1に示される十点平均粗さである。
表面粗化処理方法としては、特に限定されないが、電気絶縁層表面と酸化性化合物とを接触させる方法等が挙げられる。酸化性化合物としては、無機酸化性化合物や有機酸化性化合物等の酸化能を有する公知の化合物が挙げられる。電気絶縁層の表面平均粗度の制御の容易さから、無機酸化性化合物や有機酸化性化合物を用いるのが特に好ましい。無機酸化性化合物としては、過マンガン酸塩、無水クロム酸、重クロム酸塩、クロム酸塩、過硫酸塩、活性二酸化マンガン、四酸化オスミウム、過酸化水素、過よう素酸塩等が挙げられる。有機酸化性化合物としてはジクミルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、m−クロロ過安息香酸、過酢酸、オゾン等が挙げられる。
無機酸化性化合物や有機酸化性化合物を用いて電気絶縁層表面を表面粗化処理する方法に格別な制限はない。例えば、前記酸化性化合物を溶解可能な溶媒に溶解して調製した酸化性化合物溶液を電気絶縁層表面に接触させる方法が挙げられる。酸化性化合物溶液を、電気絶縁層の表面に接触させる方法としては、特に限定されないが、たとえば、電気絶縁層を酸化性化合物溶液に浸漬するディップ法、酸化性化合物溶液の表面張力を利用して、酸化性化合物溶液を、電気絶縁層に載せる液盛り法、酸化性化合物溶液を、電気絶縁層に噴霧するスプレー法、等いかなる方法であってもよい。表面粗化処理を行うことにより、電気絶縁層の、導体層2等他の層との間の密着性を向上させることができる。
これらの酸化性化合物溶液を電気絶縁層表面に接触させる温度や時間は、酸化性化合物の濃度や種類、接触方法等を考慮して、任意に設定すればよいが、温度は、通常、10〜250℃、好ましくは20〜180℃であり、時間は、通常、0.5〜60分間、好ましくは1〜40分間である。
なお、表面粗化処理後、酸化性化合物を除去するため、表面粗化処理後の電気絶縁層表面を水で洗浄する。また、水だけでは洗浄しきれない物質が付着している場合には、その物質を溶解可能な洗浄液でさらに洗浄したり、他の化合物と接触させたりすることにより水に可溶な物質にしてから水で洗浄する。例えば、過マンガン酸カリウム水溶液や過マンガン酸ナトリウム水溶液等のアルカリ性水溶液を電気絶縁層と接触させた場合は、発生した二酸化マンガンの皮膜を除去する目的で、硫酸ヒドロキシアミンと硫酸との混合液等の酸性水溶液により中和還元処理した後に水で洗浄することができる。
次いで、積層体の電気絶縁層について表面粗化処理を行った後、電気絶縁層の表面並びにビアホール及びスルーホールの内壁面に、導体層2を形成する。
導体層2の形成方法は、密着性に優れる導体層2を形成できるという観点より、無電解めっき法により行なう。例えば、無電解めっき法により導体層2を形成する際においては、まず、電気絶縁層上に、銀、パラジウム、亜鉛、コバルト等の触媒核を付着させてから、その上に金属薄膜を形成するのが一般的である。触媒核を電気絶縁層に付着させる方法は特に制限されず、例えば、銀、パラジウム、亜鉛、コバルト等の金属化合物やこれらの塩や錯体を、水又はアルコールもしくはクロロホルム等の有機溶剤に0.001〜10重量%の濃度で溶解した液(必要に応じて酸、アルカリ、錯化剤、還元剤等を含有していてもよい。)に浸漬した後、金属を還元する方法等が挙げられる。
無電解めっき法に用いる無電解めっき液としては、公知の自己触媒型の無電解めっき液を用いればよく、めっき液中に含まれる金属種、還元剤種、錯化剤種、水素イオン濃度、溶存酸素濃度等は特に限定されない。例えば、次亜リン酸アンモニウム、次亜リン酸、水素化硼素アンモニウム、ヒドラジン、ホルマリン等を還元剤とする無電解銅めっき液;次亜リン酸ナトリウムを還元剤とする無電解ニッケル−リンめっき液;ジメチルアミンボランを還元剤とする無電解ニッケル−ホウ素めっき液;無電解パラジウムめっき液;次亜リン酸ナトリウムを還元剤とする無電解パラジウム−リンめっき液;無電解金めっき液;無電解銀めっき液;次亜リン酸ナトリウムを還元剤とする無電解ニッケル−コバルト−リンめっき液等の無電解めっき液を用いることができる。
金属薄膜を形成した後、複合体表面を防錆剤と接触させて防錆処理を施すことができる。また、金属薄膜を形成した後、密着性向上等のため、金属薄膜を加熱することもできる。加熱温度は、通常、50〜350℃、好ましくは80〜250℃である。なお、この際において、加熱は加圧条件下で実施してもよい。このときの加圧方法としては、例えば、熱プレス機、加圧加熱ロール機等の物理的加圧手段を用いる方法が挙げられる。加える圧力は、通常、0.1〜20MPa、好ましくは0.5〜10MPaである。この範囲であれば、金属薄膜と電気絶縁層との高い密着性が確保できる。
このようにして形成された金属薄膜上にめっき用レジストパターンを形成し、更にその上に電解めっき等の湿式めっきによりめっきを成長させ(厚付けめっき)、次いで、レジストを除去し、更にエッチングにより金属薄膜をパターン状にエッチングして導体層2を形成する。従って、この方法により形成される導体層2は、通常、パターン状の金属薄膜と、その上に成長させためっきとからなる。
あるいは、多層回路基板を構成する導体層2として、金属めっきの代わりに、金属箔を用いた場合には、以下の方法により製造することができる。
すなわち、まず前記と同様にして、電気絶縁層と金属箔からなる導体層とから構成される硬化物積層体を準備する。このような硬化物積層体としては、積層成形した場合に、硬化性樹脂組成物を各要求特性が保持できる硬化度とし、その後の加工を行なった場合や、多層回路基板とした際に問題のないようなものとすることが望ましく、特に、積層成形を、真空下に行なうことにより形成することが望ましい。なお、このような硬化物積層体は、たとえば、公知のサブトラクティブ法によりプリント配線板にも用いることができる。
そして、準備した硬化物積層体に、前記と同様にして、電気絶縁層を貫通するビアホールやスルーホールを形成し、次いで、形成したビアホール内の樹脂残渣を除去するために、スルーホールを形成した硬化物積層体について、デスミア処理を行なう。デスミア処理の方法は特に限定されないが、例えば、過マンガン酸塩等の酸化性化合物の溶液(デスミア液)を接触させる方法が挙げられる。具体的には、過マンガン酸ナトリウム濃度60g/L、水酸化ナトリウム濃度28g/Lになるように調整した60〜80℃の水溶液に、ビアホールを形成した硬化物積層体を1〜50分間揺動浸漬することにより、デスミア処理を行なうことができる。
次いで、硬化物積層体についてデスミア処理を行った後、ビアホール内壁面に、導体層2を形成する。導体層2の形成方法は、特に限定されず、無電解めっき法又は電解めっき法のいずれも用いることができるが、密着性に優れる導体層2を形成できるという観点より、無電解めっき法により行なうことができる。
次いで、ビアホール内壁面および銅箔上に無電解めっき層を形成した後、全面に電解めっきをおこない、次いで金属箔上の電解めっき層の上に、レジストパターンを形成し、更に、エッチングにより電解めっき層および金属箔をパターン状にエッチングして導体層2を形成する。もしくは、ビアホール内壁面に導体層2を形成した後、金属箔上に、めっき用レジストパターンを形成し、更にその上に電解めっき等の湿式めっきによりめっきを成長させ(厚付けめっき)、次いで、レジストを除去し、更にエッチングにより金属箔をパターン状にエッチングして導体層2を形成する。従って、この方法により形成される導体層2は、通常、パターン状の金属箔と、その上に成長させためっきとからなる。
以上のようにして得られた多層回路基板を、複合体を製造するための基板とし、この基板と電気絶縁層前駆体とを加熱圧着し、硬化して電気絶縁層を形成し、さらにこの上に、前記の方法に従い、導体層2の形成を行い、これらを繰り返すことにより、更なる多層化を行うことができ、これにより所望の多層回路基板とすることができる。
このようにして得られる複合体(複合材料硬化物及びその一例としての多層回路基板)は、本発明の硬化性樹脂組成物又は硬化性複合材料を硬化して得られる電気絶縁層を有してなり、該電気絶縁層は、低線膨張であり、電気特性、耐熱性、配線埋め込み平坦性に優れるものであるため、本発明の複合体は、電気・電子部品等、各種用途に好適に用いることができる。
また、本発明の複合体の電気絶縁層が、積層フィルム又は積層フィルムと繊維基材とからなるプリプレグで構成した場合には、該電気絶縁層を、低線膨張であり、電気特性、耐熱性、配線埋め込み平坦性に優れることに加えて、高いピール強度を有するものとすることができる。そして、この場合には、該電気絶縁層に導体層を形成し、形成した導体層をパターン化し、微細配線を形成した際に、導体層のパターン化を良好に行なうことが可能となる。
本発明の電気・電子部品は、本発明の硬化物を用いてなるものである。前記電気・電子部品は、耐熱性、耐水性が求められる環境下での信頼性や高周波信号の伝送信頼性が要求される携帯電話機、PHS、ノート型パソコン、PDA(携帯情報端末)、携帯テレビ電話機、パーソナルコンピューター、スーパーコンピューター、サーバー、ルーター、液晶プロジェクタ、エンジニアリング・ワークステーション(EWS)、ページャ、ワードプロセッサ、テレビ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、電子手帳、電子卓上計算機、カーナビゲーション装置、POS端末、タッチパネルを備えた装置等の各種電気・電子機器用の部品として好適に用いることができる。特に、本発明の硬化物の優れた誘電特性の耐熱安定性及び微細パターンの回路形成に対応した寸法安定性、成形性から、前記電気・電子機器用の回路基板として好適に用いることができる。具体的には、片面、両面、多層プリント基板、フレキシブル基板、ビルドアップ基板が挙げられる。前記の導体層として金属めっきを用いた多層回路基板も好ましい例として含まれる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらにより制限されるものではない。なお、各例中の部はいずれも重量部である。また、実施例中の測定結果は以下に示す方法により試料調製及び測定を行ったものである。
1)芳香族ポリエステルの分子量及び分子量分布(Mw/Mn)
分子量及び分子量分布測定はGPC(東ソー製、HLC−8120GPC)を使用し、溶媒:テトラヒドロフラン(THF)、流量:1.0ml/min、カラム温度:40℃で行った。分子量は単分散ポリスチレンによる検量線を用い、ポリスチレン換算分子量として測定を行った。
2)ガラス転移温度(Tg)及び軟化温度
硬化性樹脂組成物溶液を支持体に易剥離処理を行ったポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム;厚さ38μm)上に、乾燥後の樹脂組成物層の厚みが50μmとなるようにダイコーターにて均一に塗布し、イナートオーブンを用いて、窒素気流下、90℃で10分間乾燥させた(樹脂組成物層中の残留溶媒量:約1.7質量%)。得られた接着フィルムを190℃で90分間加熱することで熱硬化させ、支持体を剥離することによりフィルム状の硬化物を得た。得られた硬化物フィルムは、TMA(熱機械分析装置)測定装置で測定可能な大きさにカットし、窒素気流下、イナートオーブン中で、200℃で30分間加熱処理することにより、残存する溶媒を除去した。硬化物フィルムを室温まで放冷した後、TMA測定装置にセットし、窒素気流下、昇温速度10℃/分で30℃から320℃までスキャンさせることにより測定を行い、接線法により、線膨張係数の変化する変曲点をTgとして求めた。さらに、平均線膨張係数(CTE)は、0〜40℃における試験片の寸法変化より算出した。
加熱プレス成形により得られた硬化物フィルムのTgの測定は動的粘弾性測定装置を使用し、昇温速度3℃/minで測定を行い、損失弾性率のピークより決定した。
4)引張り強度及び伸び率
硬化物フィルムの引張り強度及び伸び率は引張り試験装置を用いて測定を行った。伸び率は引張り試験のチャートから測定した。
5)誘電率及び誘電正接ならびにそれらの変化率
JIS C2565規格に準拠し、株式会社エーイーティー製、空洞共振器法誘電率測定装置を使用して、真空下、80℃で絶乾させた後の硬化物シート、および、絶乾後、デシケーター中で恒量を取った後、85℃、相対湿度85%の恒温恒湿槽で3週間放置した後の硬化物シートの18.0GHzでの誘電率および誘電正接を測定した。
また、前記硬化物フィルムを、200℃の空気雰囲気下のオーブン中に1hr放置した後の誘電率と誘電正接を測定し、放置前後の誘電率及び誘電正接の変化率を測定した。
6)銅箔引き剥し強さ
積層体から幅20mm、長さ100mmの試験片を切り出し、銅箔面に幅10mmの平行な切り込みを入れた後、面に対して180°の方向に50mm/分の速さで連続的に銅箔を引き剥し、その時の応力を引張り試験機にて測定し、その応力の最低値を示した(JIS C 6481に準拠)。
7)成形性
黒化処理を行った銅張り積層板の上に、硬化性樹脂組成物の未硬化フィルムを積層し、真空ラミネーターを用いて、温度:110℃、プレス圧:0.1MPaで真空ラミネートを行い、黒化処理銅箔とフィルムの接着状態により評価を行った。評価は黒化処理銅箔とフィルムの接着状態が良好であったものを○、黒化処理銅箔とフィルムとが容易に剥離することができる接着状態のものを×として評価した。また、一部剥離するもの又は反りが生じたものを△として評価した。
8)配線埋め込み平坦性
内層回路基板(IPCMULTI−PURPOSE TESTBOARD No.IPC−B−25、導体厚30μm、0.8mm厚)の両面に、フィルム成形体の樹脂層側の面が接するように積層した。具体的には、一次プレスを、耐熱ゴム製プレス板を上下に備えた真空ラミネータにて、200Paの減圧下で温度110℃、圧力0.1MPaで90秒間の加熱圧着で行い、さらに、金属製プレス板を上下に備えた油圧プレス装置を用いて、圧着温度110℃、1MPaで90秒間、加熱圧着することで、積層体を得た。そして、この積層体から支持フィルムを剥がし、180℃で60分間硬化した。硬化後、導体幅165μm、導体間隔165μmのくし型パターン部分の導体がある部分とない部分との段差を触針式段差膜厚計(TencorInstruments製 P−10)にて測定し、以下の基準で、配線埋め込み平坦性を評価した。
○:段差が2μm未満
△:段差が2μm以上、3μm未満
×:段差が3μm以上
10)液晶相発現温度
芳香族ポリエステルの液晶相発現温度は、加熱ステージ上に置かれた粒径250μm以下のサンプル樹脂粉末を偏光下、25℃/分で昇温して、溶融状態における光学異方性を肉眼観察することにより行なった。
11)水酸基当量値及びカルボキシル基当量値の総和
芳香族ポリエステルの水酸基当量値及びカルボキシル基当量値の総和は、芳香族ポリエステルを試料1.5g〜2.0gを丸底フラスコに 1 mg の桁まで秤りとる。0.5mol/L 水酸化カリウムエタノール溶液 25 mL を、全量ピペットを用いて加える。フラスコに空気冷却器を取り付け,ときどき内容物を振り混ぜながら、80℃で 2時間、油浴又は加熱板上で穏やかに加熱して反応させる。加熱するときは,還流するエタノールの環が空気冷却器の上端に達しないように加熱温度を調節する。反応が終わった後,直ちに丸底フラスコを加熱源から取り外し,内容物が寒天状に固まらないうちに、空気冷却器の上から少量の水を吹き付けてその内壁を洗浄した後,空気冷却器を外す。分解させて、得られた分解生成物を、液体クロマトグラフィーを使用して、(a)芳香族オキシカルボン酸、(b)多官能芳香族化合物及び(c)単官能芳香族化合物を定量し、(a)〜(c)成分を定量値から、芳香族ポリエステルの末端に存在する水酸基当量値及びカルボキシル基当量値の総和を算出した。
12)残存酢酸及び残存無水酢酸(酢酸総量)
芳香族ポリエステルの残存酢酸及び残存無水酢酸の総和は、芳香族ポリエステルをシクロペンタノンに溶解させ、1−メチルナフタレンを内部標準物質として、ガスクロマトグラフィーにて測定を行った。
13)溶液粘度
溶液粘度は、25℃で、E型粘度計を用いて測定した。
実施例1
p−ヒドロキシ安息香酸493.3g(3.5モル)と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸672.1g(3.5モル)、イソフタル酸167.8g(1.0モル)、1−ナフトール294.2g(2.0モル)、三酸化アンチモン2.2g(0.0075モル)および無水酢酸1894.4g(18.0モル)を櫛型撹拌翼付きの重合槽に仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら昇温し、220℃で1時間、240℃で1時間、280℃で1時間反応させた。そして、徐々に減圧度を高め、さらに2.0torrの減圧下に300℃で1時間重合させた。この間に、副生する酢酸を系外へ留出し続けた。その後、系を除々に冷却し、180℃で得られたポリマーを系外へ取出した。
得られたポリマーを、γ―ブチロラクトン7600mlに溶解させた後、メタノール30Lに強撹拌下に装入し、生成物を再沈殿した。得られた樹脂の沈殿を濾過・乾燥し、芳香族ポリエステルを得た。それぞれ各構造単位(原料名)とモル比を表1に示す。モル比は、原料の量から計算した値である。以下、芳香族ポリエステルをCLCP−Aと略記する。このポリマーは、150℃以上で光学異方性を示した。
実施例2〜6
(a)芳香族オキシカルボン酸、(b)芳香族多価カルボン酸、及び、(c)芳香族モノヒドロキシ化合物の種類と組成を下記の表1の通りに変更したこと以外は実施例1と同様にして、芳香族ポリエステル(CLCP−B〜CLCP−F)を得た。結果を表1に示す。
Figure 2016027132
実施例7
実施例1で得られたCLCP−A 70gと、エポキシ樹脂として、ESN−475:新日鉄住金化学社製ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂30g、並びに、γ−ブチロラクトン100gを80℃に加熱し、撹拌混合し、反応触媒として、2−メチル−4−エチルイミダゾール(2E4MZ、東京化成工業社製)0.3gを加えた。
その後、反応温度140℃まで加熱し、1時間保持して反応させた。なお、反応液中のエステル化合物は、反応初期には、反応溶媒やエポキシ樹脂に対して溶解性が不十分である為、一部不溶分を生じながら撹拌混合されているが、時間が経過するにつれて均一に溶解した。
反応終了後、金型上に硬化性樹脂組成物溶液3.0gを秤量し、真空乾燥器を使用して組成物溶液を、真空下160℃まで加熱して気泡と残存揮発分(水分他)を除去して、硬化性樹脂組成物の中間反応物を得た。
この中間反応物を載せた金型を組上げた後、180℃、3MPaの条件で90分間真空加圧プレスを行い、熱硬化させ、得られた厚さ:0.2mmの硬化物シートについて、誘電率と誘電正接を始めとする諸特性を測定した。また、誘電率及び誘電正接の耐湿熱試験後の変化率を測定した。これら測定により得られた結果を表2に示した。
実施例8〜12、比較例1
配合を表2に記載のとおりに変更したこと以外は、実施例7と同様の方法で、成形、試験片作成及び諸特性を測定した。得られた結果を表2に示す。比較例1では、誘電率、誘電正接及び誘電正接変化率は、材料の誘電損失が大きく、測定装置の測定可能な範囲を超えてしまった為、測定できなかった。表中、*は測定不可を示す。
表中の記号の説明。
ESN−475:ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製)
(CN値(13C−NMRにおいて、検出される全ての炭素の共鳴線面積に占める芳香族炭素の面積百分率):76.5%)
ESN−165S:ナフタレンフェノールノボラック型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製)(CN値:76.5%)
ESN−375:βナフトールアラルキル型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製)
(CN値:65.0%)
XD−1000:ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(日本化薬社製)
(CN値:38.3%)
YDCN−700−3:フェノールノボラック型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製)
(CN値:54.5%)
TPP:トリフェニルホスフィン
Figure 2016027132
実施例13〜14
(硬化性樹脂組成物の調製)
実施例1又は2で得られたCLCP−A又はCLCP−B 60g、エポキシ樹脂として、ESN−475:新日鉄住金化学社製ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂30g、及びフェノキシ樹脂として、YL7553BH30(重量平均分子量37000、三菱化学(株)製、不揮発分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)10g(固形分換算)、充填剤(E)としての球状シリカ(商品名SC2500−SXJ、アドマテックス社製、アミノシランタイプシランカップリング剤処理品、体積平均粒径0.5μm)200g、溶剤としてγ−ブチロラクトン100gを混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、熱硬化性樹脂組成物のワニスを作製した。
さらにこれに、反応触媒として、2E4MZ 0.3gを混合し、遊星式攪拌機で5分間攪拌して硬化性樹脂組成物を得た。なお、溶液粘度は、25℃、E型粘度計で測定した。
(フィルム成形体の作製)
次いで、前記にて得られた硬化性樹脂組成物のワニスを、ダイコーターを用いて、縦300mm×横300mmの大きさで厚さが38μm、表面平均粗度Raが0.08μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体:ルミラー(登録商標)T60 東レ社製)上に塗工し、次いで、窒素雰囲気下、80℃で10分間乾燥し、支持体上に厚さ48μmの樹脂組成物のフィルム成形体を得た。そして、得られたフィルム成形体を用いて、前記方法に従い、配線埋め込み平坦性の測定を行なった。結果を表3に示す。
(フィルム状硬化物の作製)
次いで、厚さ10μmの銅箔に、得られた硬化性樹樹脂組成物のフィルム成形体から切り出した小片を、支持体が付いた状態で、硬化性樹脂組成物が内側になるようにして、耐熱性ゴム製プレス板を上下に備えた真空ラミネータを用い、200Paに減圧して、温度110℃、圧力0.1MPaで60秒間加熱圧着積層し、支持体を剥がした後180℃で120分間、空気中で加熱硬化した。硬化後、銅箔付き硬化樹脂を切り出し、銅箔を1mol/Lの過硫酸アンモニウム水溶液にて溶解し、フィルム状の硬化物を得た。得られたフィルム状硬化物を用いて、前記方法に従い、比誘電率、誘電正接、線膨張係数、ガラス転移温度ならびに誘電率及び誘電正接の変化率を測定した。これら測定により得られた結果を表3に示す。
比較例2
実施例1で得られたCLCP−Aの代わりに、硬化剤としてフェノール樹脂であるMEH−7851−Sを用い、表3に示す配合とした他は、実施例13と同様にして、樹脂組成物、フィルム成形体、フィルム状硬化物を得た。結果を表3に示す。
Figure 2016027132
実施例21
p−ヒドロキシ安息香酸493.3g(3.5モル)と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸672.1g ( 3.5 モル)、レゾルシノール111.2g(1.0モル)、安息香酸245.5g(2.0モル)、三酸化アンチモン2.2g(0.0075モル)および無水酢酸1894.4g(18.0モル)を櫛型撹拌翼付きの重合槽に仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら昇温し、220℃で1時間、240℃で1時間、280℃で1時間反応させた。そして、徐々に減圧度を高め、さらに2.0torrの減圧下に300℃で1時間重合させた。この間に、副生する酢酸を系外へ留出し続けた。その後、系を除々に冷却し、180℃で得られたポリマーを系外へ取出した。
得られたポリマーを、γ―ブチロラクトン7600mlに溶解させた後、メタノール30Lに強撹拌下に装入し、生成物を再沈殿した。得られた樹脂の沈殿を濾過・乾燥し、下記の繰り返し単位からなる全芳香族ポリエステルを得た。それぞれ各構造ユニットのモル比は、原料の量から計算した。以下、該液晶ポリエステルをCLCP−2Aと略記する。このポリマーは、150℃以上で光学異方性を示した。
実施例22〜26
(a)芳香族オキシカルボン酸、(b)芳香族多価ヒドロキシ化合物、及び(c)芳香族モノカルボン酸の種類と組成を下記の表1の通りに変更したこと以外は実施例21と同様にして、液晶ポリエステル(CLCP−2B〜CLCP−2F)を得た。結果を表4に示す。
Figure 2016027132
実施例27
実施例21で得られたCLCP−2A 65gと、エポキシ樹脂として、ESN−475:新日鉄住金化学社製ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂35g、並びにシクロヘキサノン100gを80℃に加熱し、撹拌混合し、反応触媒として2−メチル−4−エチルイミダゾール(2E4MZ、東京化成工業社製)0.3gを加えた。
その後、反応温度140℃まで加熱し、1時間保持して反応させた。なお、反応液中のエステル化合物は、反応初期には、反応溶媒やエポキシ樹脂に対して溶解性が不十分である為、一部不溶分を生じながら撹拌混合されているが、時間が経過するにつれて均一に溶解した。
反応終了後、金型上に硬化性樹脂組成物溶液3.0gを秤量し、真空乾燥器を使用して組成物溶液を、真空下160℃まで加熱して溶媒を除去して、硬化性樹脂組成物の中間反応物を得た。
この中間反応物を載せた金型を組上げた後、180℃、3MPaの条件で90分間真空加圧プレスを行い、熱硬化させ、得られた厚さ:0.2mmの硬化物シートについて、誘電率と誘電正接を始めとする諸特性を測定した。また、誘電率及び誘電正接の耐湿熱試験後の変化率を測定した。これら測定により得られた結果を表5に示した。
実施例28〜32、比較例21
配合を表5に記載のとおりに変更したこと以外は、実施例27と同様の方法で、成形、試験片作成及び諸特性を測定した。得られた結果を表5に示す。
Figure 2016027132
実施例33
(硬化性樹脂組成物の調製)
実施例21で得られたCLCP−2A 60g、エポキシ樹脂として、ESN−475:新日鉄住金化学社製ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂30g、及び、フェノキシ樹脂として、YL7553BH30(重量平均分子量37000、三菱化学(株)製、不揮発分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)10g(固形分換算)、充填剤(E)としての球状シリカ(商品名「SC2500−SXJ」、アドマテックス社製、アミノシランタイプシランカップリング剤処理品、体積平均粒径0.5μm)200g、溶剤としてγ−ブチロラクトン100gを混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、熱硬化性樹脂組成物のワニスを作製した。
さらにこれに、反応触媒として、2−メチル−4−エチルイミダゾール(2E4MZ、東京化成工業社製)0.3gを混合し、遊星式攪拌機で5分間攪拌して硬化性樹脂組成物を得た。なお、溶液粘度は、25℃、E型粘度計で測定した。
(フィルム成形体の作製)
次いで、上記にて得られた硬化性樹脂組成物のワニスを、ダイコーターを用いて、縦300mm×横300mmの大きさで厚さが38μm、表面平均粗度Raが0.08μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体:ルミラー(登録商標)T60 東レ社製)上に塗工し、次いで、窒素雰囲気下、80℃で10分間乾燥し、支持体上に厚さ48μmの樹脂組成物のフィルム成形体を得た。そして、得られたフィルム成形体を用いて、上記方法に従い、配線埋め込み平坦性の測定を行なった。結果を表6に示す。
(フィルム状硬化物の作製)
次いで、厚さ10μmの銅箔に、得られた硬化性樹樹脂組成物のフィルム成形体から切り出した小片を、支持体が付いた状態で、硬化性樹脂組成物が内側になるようにして、耐熱性ゴム製プレス板を上下に備えた真空ラミネータを用い、200Paに減圧して、温度110℃、圧力0.1MPaで60秒間加熱圧着積層し、支持体を剥がした後180℃で120分間、空気中で加熱硬化した。硬化後、銅箔付き硬化樹脂を切り出し、銅箔を1mol/Lの過硫酸アンモニウム水溶液にて溶解し、フィルム状の硬化物を得た。得られたフィルム状硬化物を用いて、上記方法に従い、比誘電率、誘電正接、線膨張係数、ガラス転移温度ならびに誘電率及び誘電正接の変化率を測定した。これら測定により得られた結果を表6に示す。
実施例34、比較例22
実施例21で得られたCLCP−2Aの代わりに、CLCP−2B又は硬化剤としてフェノール樹脂であるMEH−7851−Sを用い、表6に示す配合とした他は、実施例33と同様にして、樹脂組成物、フィルム成形体、フィルム状硬化物を得た。結果を表6に示す。
Figure 2016027132
本発明の芳香族ポリエステルは、それを含有する硬化性樹脂組成物又はこれを硬化させて得られる硬化物が、電気産業、宇宙・航空機産業等の先端材料分野における誘電材料、絶縁材料、耐熱材料として、好適に用いられ、例えば、電気・電子部品用材料において、特に片面、両面、多層のプリント基板、フレキシブルプリント基板、ビルドアップ基板等の回路基板材料として利用することができる。

Claims (8)

  1. 下記の繰返し構造単位(a')及び(b')と、下記の末端構造単位(c')とを有する芳香族ポリエステルであって、各構造単位のモル分率が、構造単位(a')15〜94%、構造単位(b')1〜35%、構造単位(c')5〜60%であり、水酸基当量値及びカルボキシル基当量値の総和が1,000(g/eq)以上であり、触媒に由来する不純物量が1.0重量%以下であることを特徴とする芳香族ポリエステル。
    Figure 2016027132
    Figure 2016027132
    Figure 2016027132
    (式中、Z及びZは、それぞれ独立して、二価の芳香族基であり、Zは、一価の芳香族基であり、X及びYは、エーテル基又はケトン基である。)
  2. 前記Zが、下記の群(1)から選ばれる少なくとも一種の基であり、前記Zが、下記の群(2)から選ばれる少なくとも一種の基であり、前記Zが、下記の群(3)から選ばれる少なくとも一種の基であることを特徴とする請求項1に記載の芳香族ポリエステル。
    Figure 2016027132
    Figure 2016027132
    Figure 2016027132
    (式中、R、Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基又はベンジル基であり、式(34)のXは炭素数1〜4のアルキレン又は−O−であり、nは0〜2の整数を示す。)
  3. 繰返し構造単位(b')が芳香族多価カルボン酸残基又は芳香族多価ヒドロキシ化合物残基であり、末端構造単位(c')が芳香族モノヒドロキシ化合物残基又は芳香族モノカルボン酸残基であることを特徴とする請求項1に記載の芳香族ポリエステル。
  4. 芳香族オキシカルボン酸(a)と、芳香族多価カルボン酸又は芳香族多価ヒドロキシ化合物(b)と、芳香族モノヒドロキシ化合物又は芳香族モノカルボン酸(c)とを、芳香族オキシカルボン酸(a)、芳香族多価カルボン酸又は芳香族多価ヒドロキシ化合物(b)及び芳香族モノヒドロキシ化合物又は芳香族モノカルボン酸(c)のモル分率が、(a)成分15〜94%、(b)成分1〜35%、(c)成分5〜60%で配合し、エステル化触媒の存在下で縮合することを特徴とする請求項1に記載の芳香族ポリエステルの製造方法。
  5. 芳香族オキシカルボン酸(a)が、下記の群(4)から選ばれる少なくとも一種の化合物である請求項4に記載の芳香族ポリエステルの製造方法。
    Figure 2016027132
  6. 芳香族多価カルボン酸又は芳香族多価ヒドロキシ化合物(b)が、下記の群(5)(6)から選ばれる少なくとも一種の化合物である請求項4に記載の芳香族ポリエステルの製造方法。
    Figure 2016027132
    Figure 2016027132
  7. 芳香族モノヒドロキシ化合物又は芳香族モノカルボン酸(c)が、下記の群(7)(8)から選ばれる少なくとも一種の化合物である請求項4に記載の芳香族ポリエステルの製造方法。
    Figure 2016027132
    Figure 2016027132
    (式中、R、Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基又はベンジル基であり、式(74)及び式(84)のXは炭素数1〜4のアルキレン又は−O−であり、nは0〜2の整数を示す。)
  8. 下記の繰返し構造単位(a')及び(b')から主としてなり、下記の末端構造単位(c')を有する芳香族ポリエステルであって、各構造単位のモル分率が、各々、繰返し構造単位(a')15〜95%、繰返し構造単位(b')1〜35%、末端構造単位(c')5〜60%であり、水酸基当量値及びカルボキシル基当量値の総和が1,000(g/eq)以上であり、不純物量が1.0重量%以下であることを特徴とする硬化型芳香族ポリエステル。
    Figure 2016027132
    Figure 2016027132
    Figure 2016027132
    (式中、Z及びZは、それぞれ独立して、二価の芳香族基であり、Zは、一価の芳香族基であり、X及びYは、エーテル基又はケトン基である。)
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