JP2015132007A - 積層体の製造方法、及び積層体製造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1の処理室内で、基材11の一面に原子層堆積膜を形成する原子層堆積膜形成工程と、原子層堆積膜の外周部のみと接触するガイドローラ27により、原子層堆積膜が形成された基材11を第1の処理室からオーバーコート層形成室61(第2の処理室)内に案内する基材案内工程と、基材案内工程後、オーバーコート層形成室61内で、原子層堆積膜の一面に、オーバーコート層を形成するオーバーコート層形成工程と、オーバーコート層を形成後、オーバーコート層の一面と巻き取りローラ82のローラ面とを接触させ、巻き取りローラ82により、積層体10をローラ状に巻き取る巻き取り工程と、を含む。
【選択図】図2
Description
このとき、成膜時の反応を促進させたり、反応温度を下げたりするために、プラズマや触媒(Catalyst)反応を併用するものがある。
このようなCVD法を用いると、成膜欠陥が少なくなるため、例えば、半導体デバイスの製造工程(例えば、ゲート絶縁膜の成膜工程)等に適用されている。
ALD法は、表面吸着した物質を表面における化学反応によって原子レベルで一層ずつ成膜していく方法である。上記ALD法は、CVD法の範疇に分類されている。
始めに、いわゆるセルフ・リミッティング効果(基板上の表面吸着において、表面がある種のガスで覆われると、それ以上、該ガスの吸着が生じない現象のことをいう。)を利用し、基板上に前駆体が一層のみ吸着したところで未反応の前駆体を排気する(第1のステップ)。
次いで、チャンバ内に反応性ガスを導入して、先の前駆体を酸化または還元させて所望の組成を有する薄膜を一層のみ形成した後に反応性ガスを排気する(第2のステップ)。
ALD法では、上記第1及び第2のステップを1サイクルとし、該サイクルを繰り返し行うことで、基板上に薄膜を成長させる。
このため、食品及び医薬品等の包装分野や電子部品分野等の幅広い分野への応用が期待されている。
そのため、ALD法は、深さと幅との比が大きい高アスペクト比を有する基板上のラインやホールの被膜や、3次元構造物の被膜用途であるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)関連技術への応用が期待されている。
これらの基板に薄膜を形成するための量産設備では、取り扱いの容易さ、及び成膜品質等によって様々な基板の取り扱い方法が提案され、かつ実用化されている。
さらに、フレシキブル基板に薄膜を成膜する場合の成膜装置としては、ローラからフレシキブル基板を巻き出しながら成膜を行い、別のローラでフレシキブル基板を巻き取る、いわゆるロールツーロールを採用したコーティング成膜装置がある。
いずれの成膜装置による成膜方法や基板取り扱い方法についても、品質面や取り扱いの容易さ等から判断して、成膜速度が最速となるような成膜装置の組み合わせが採用されている。
また、特許文献1には、上記手法を用いることで、コーティング欠陥を減らすことが可能になると共に、数十ナノメートルの厚さにおいて、気体透過を桁違いに低減させることが可能であることが開示されている。
また、特許文献2には、原子層堆積膜が形成された基板を再巻取りドラムに巻き取ることが開示されている。
このような傷が生じると、該傷を通じて原子層堆積膜と基材との間にガスが出入りしてしまうため、ガスバリア性が低下してしまう。
この場合、原子層堆積膜の表面全体が傷付く恐れがあり、原子層堆積膜の表面全体が傷付いた場合、原子層堆積膜のガスバリア性が低下してしまう。
しかしながら、特許文献3では、オーバーコート成膜部が原子層堆積膜成膜部のように、チャンバ(或いは、筐体)で区画されていないため、オーバーコート成膜部と原子層堆積膜成膜部との間でガス(オーバーコート成膜部で使用するガス、及び原子層堆積膜成膜部で使用するガス)がミキシング(混合)されやすい環境で、原子層堆積膜及びオーバーコート層を形成していたため、原子層堆積膜及びオーバーコート層の性能が低下してしまうという問題があった。
つまり、特許文献3に開示された積層体の製造方法では、原子層堆積膜のガスバリア性が低下してしまうという問題があった。
また、巻き取りローラ以外の剛体(例えば、別の搬送用ローラ)がオーバーコート層に接触した場合でも原子層堆積膜の一面が損傷することを抑制できる。
その結果、積層体の厚さ方向において、ガスが通過するような隙間が形成されにくくなるため、積層体のガスバリア性を向上させることができる。
その結果、積層体の厚さ方向にガスが通過するような形成されにくくなるため、積層体のガスバリア性を向上できる。
したがって、フラッシュ蒸着法を用いてオーバーコート層を形成することで、第1の処理室内のガスと第2の処理室内のガスとが混合される可能性をさらに低くすることが可能となるので、膜質に優れた原子層堆積膜及びオーバーコート層を形成することができる。
これにより、原子層堆積膜のガスバリア性の低下を抑制できると共に、基材と原子層堆積膜との間の密着性の低下を抑制できる。
これにより、原子層堆積膜のガスバリア性の低下を抑制できると共に、基材と原子層堆積膜との間の密着性の低下を抑制できる。
その結果、積層体の厚さ方向において、ガスが通過するような隙間が形成されにくくなるため、積層体のガスバリア性を向上させることができる。
その結果、積層体の厚さ方向にガスが通過するような形成されにくくなるため、積層体のガスバリア性を向上させることができる。
<第1の実施の形態に係る積層体>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る積層体の製造方法により製造される積層体を模式的に示す断面図である。
図1を参照するに、積層体10は、フィルム状とされた積層体であり、基材11と、原子層堆積膜12と、オーバーコート層14と、を有する。
基材11の材料としては、例えば、高分子材料を用いることができる。該高分子材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミドフィルム(PI)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)等のプラスチック材料を用いることができる。
なお、基材11の材料は、上記材料に限定されず、耐熱性、強度物性、及び電気絶縁性等を考慮して適宜選択することができる。
原子層堆積膜12としては、例えば、AlOx、TiOx、SiOx、ZnOx、SnOx等の無機酸化膜、或いはこれらの無機物よりなる窒化膜や酸窒化膜、または他元素からなる酸化膜、窒化膜、酸窒化膜等を用いることができる。
原子層堆積膜12の厚さは、例えば、2nm〜500nmの範囲内で適宜設定することができる。
これにより、巻き取りローラ82との接触に起因する原子層堆積膜の損傷を抑制することができる。
このように、原子層堆積膜12の機械的強度と同等以上の機械的強度を有するオーバーコート層14を用いることで、巻き取りローラ82との接触に起因する原子層堆積膜12の損傷をさらに抑制することができる。
また、巻き取りローラ82以外の剛体(例えば、搬送用のローラ)がオーバーコート層14に接触して、積層体10に外力が印加された場合でも原子層堆積膜12の一面12aが損傷することを抑制できる。
これにより、積層体10をローラ状に巻き取る際に、原子層堆積膜12が損傷することを抑制する効果をさらに向上できる。
上記水系の有機高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレンイミン等を用いることができる。
なお、金属原子Mとしては、例えば、Si、Ti、Al、Zn等を用いることができる。
金属原子MがZrのR1(Si−OR2)としては、例えば、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトライソプロボキシジルコニウム、テトラプトキシジルコニウム等を例示することができる。
金属原子MがAlのR1(Si−OR2)としては、例えば、テトラメトキシアルミニウム、テトラエトキシアルミニウム、テトライソプロポキシアルミニウム、テトラプトキシアルミニウム等がある。
このような無機物質としては、例えば、ハロイサイト、炭酸カルシウム、無水ケイ酸、含水ケイ酸、アルミナ等を用いることができる。
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る積層体製造装置の概略構成を示す正面図である。図2において、図1に示す積層体10、及び積層体10を構成する構成要素と同一構成部分には、同一符号を付す。
また、図2において、Aは基材巻回用ローラ36の回転方向(以下、「A方向」という)、Bは支持部材21の回転方向(以下、「B方向」という)、Cはダンサーローラ81の回転方向(以下、「C方向」という)をそれぞれ示している。
また、図2において、基材11または積層体10の近傍に付した矢印(上記符号A〜Cが付されていない矢印)は、基材11の搬送方向(所定の搬送方向)を示している。
さらに、紙面の都合上、実際には数十個(例えば、70個)存在する膜形成部43を図示することが困難なため、図2では、3つの膜形成部43のみを図示する。
第1の実施の形態の積層体製造装置20は、所定の方向(一方向)に延在する帯状の基材11をインラインでロールツーロール方式により、基材11の一面11aに、原子層堆積膜12と、オーバーコート層14と、を順次形成する装置である。
第1の実施の形態の積層体製造装置20は、支持部材21と、基材搬送部23と、プラズマ前処理部24と、原子層堆積膜形成部26と、ガイドローラ27と、一対の押さえローラ28と、中間室29と、オーバーコート層形成部31と、ローラ32と、積層体巻き取り部33と、を有する。
上記支持部材21としては、例えば、ドラムを用いることができる。
基材巻回用ローラ36は、そのローラ面が支持部材21の外面21aと対向するように、支持部材21から離間した位置に配置されている。基材巻回用ローラ36のローラ面には、所定の方向(一方向)に延在する帯状の基材11が巻回されている。
基材巻回用ローラ36は、A方向に回転することで、基材繰り出し用ローラ37を介して、支持部材21の外面21aに基材11を搬送する。
基材繰り出し用ローラ37は、基材巻回用ローラ36よりも外径の小さいローラであり、基材11の他面11bと支持部材21の外面21aとが接触するように、支持部材21に基材11を供給する。このため、基材繰り出し用ローラ37は、支持部材21の外面21aに近接して配置されている。
支持部材21の外面21aに供給された基材11は、支持部材21の外面21aに沿って、プラズマ前処理部24に搬送される。
プラズマ前処理部24は、基材11の一面11aに対してプラズマ前処理を実施する処理チャンバ41を有する。処理チャンバ41は、処理チャンバ41内に基材搬送部23により供給された基材11を導入する導入口(図示せず)と、プラズマ前処理された基材11を処理チャンバ41の外に導出する導出口(図示せず)と、を有する。
プラズマ前処理部24では、例えば、酸素プラズマ雰囲気に基材11の一面11aを暴露させることで、基材11の一面11aの改質(具体的には、基材11の一面11aの官能基を変化させること)を行う。
プラズマ前処理された基材11は、支持部材21の外面21aに沿って、原子層堆積膜形成部26に搬送される。
なお、上記プラズマ前処理の条件は、基材11の材料の特性に応じて、適宜選択することができる。
なお、第1の実施の形態では、原子層堆積膜12の一例として、酸化アルミニウム(Al2O3)膜を形成する場合を例に挙げて、以下の説明を行う。
膜形成部43は、パージ用チャンバ45と、前駆体吸着用チャンバ46と、第2の前駆体供給用ノズル47と、を有する。
よって、原子層堆積膜形成部26は、基材11の搬送方向に配置された複数の第1の処理室を有する。
パージ用チャンバ45は、パージ用チャンバ45内に基材11を導入するための導入口(図示せず)と、パージ用チャンバ45外に基材11を導出するための導出口(図示せず)と、を有する。
パージ用チャンバ45内では、前駆体吸着用チャンバ46を通過させることで基材11の一面11aに吸着する余分(過剰)な第1の前駆体(例えば、トリメチルアルミニウム(TMA))及び副生成物の除去を行うと共に、第2の前駆体供給用ノズル47を通過させることで基材11の一面11aに吸着する余分(過剰)な第2の前駆体(例えば、H2O)及び副生成物の除去を行う。
なお、本発明における「第2の前駆体」とは、第1の前駆体(本実施の形態の場合、TMA)に酸化反応をさせる物質のことをいう。
前駆体吸着用チャンバ46は、前駆体吸着用チャンバ46内に基材11を導入するための導入口(図示せず)と、パージ用チャンバ45内(言い換えれば、前駆体吸着用チャンバ46外)に基材11を導出するための導出口(図示せず)と、を有する。
この場合、前駆体吸着用チャンバ46内の圧力は、例えば、10〜50Pa、前駆体吸着用チャンバ46の内壁の温度は、例えば、70℃に保持することができる。
第2の前駆体供給用ノズル47は、基材11と対向するように配置されている。第2の前駆体供給用ノズル47は、基材11の一面11aに水を供給するためのノズルである。
この場合、第2の前駆体供給用ノズル47内の圧力は、例えば、10〜50Pa、第2の前駆体供給用ノズル47の内壁の温度は、例えば、70℃に保持することができる。
この場合、第2の前駆体供給用ノズル47と対向する基材11では、基材11の一面11aに吸着したトリメチルアルミニウム(TMA)と水とが反応することで、原子層堆積膜12である酸化アルミニウム(Al2O3)膜の一部を構成する一原子層レベルの酸化アルミニウム(Al2O3)層が形成される。
そして、該酸化アルミニウム(Al2O3)層が形成された基材11は、パージ用チャンバ45の外に導出される。
例えば、基材11の一面11aに、厚さ(所望の厚さ)10nmの酸化アルミニウム(Al2O3)膜を形成する場合で、かつ1サイクルの酸化アルミニウム(Al2O3)層の厚さが0.14〜0.15nmの場合、70サイクルの処理が必要となる。
したがって、この場合、原子層堆積膜形成部26を構成する膜形成部43の数は、70個必要となる。
なお、原子層堆積膜形成部26において、原子層堆積膜12を成膜する幅を規定することができる。
図5は、図2に示すガイドローラの斜視図である。図5では、図2及び図4に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
ガイドローラ27は、一対(2つ)のガイドローラ本体51と、回転軸52と、を有する。一対のガイドローラ本体51は、円柱形状とされている。一対のガイドローラ本体51は、それぞれローラ面51aを有する。
原子層堆積膜12の一面12aと接触するローラ面51aの幅W2は、例えば、基材11の幅W1の5〜10%程度の値にすることができる。
これにより、原子層堆積膜12のガスバリア性の低下を抑制できると共に、基材11と原子層堆積膜12との間の密着性の低下を抑制できる。
押さえローラ本体54は、基材11の他面11bの外周部と接触するローラ面54aを有する。押さえローラ本体54は、ローラ面54aがガイドローラ本体51のローラ面51aと対向する位置に配置されている。回転軸55は、その一端が押さえローラ本体54と接続されている。
上記構成とされた押さえローラ54は、ガイドローラ本体51に対して、ガイドローラ本体51のローラ面51aと接触する原子層堆積膜12が形成された基材11を押し付けるためのローラである。
第1の導入口29−1は、中間室29の外から中間室29内に、原子層堆積膜12が形成された基材11を導入させるための導入口である。第2の導入口29−2は、中間室29内からオーバーコート層形成部31内に、原子層堆積膜12が形成された基材11を導入させるための導入口である。
第2の導出口29−4は、中間室29内から中間室29の外に、オーバーコート層形成部31でオーバーコート層14が形成された基材11を導出するための導出口である。
中間室29は、第1の処理室から第2の処理室に基材11を搬送する際、及び第2の処理室から基材11を搬出させる際に使用される。
具体的には、第1の処理室(具体的には、パージ用チャンバ45内)の真空度が100Pa、第2の処理室(オーバーコート層形成室61内)の真空度が0.01Paの場合、中間室29内の真空度は、例えば、1Paとすることができる。
オーバーコート層形成室61は、第1のローラ62、第2のローラ63、原料タンク65、原料供給配管66、原料供給用ポンプ68、噴霧器69、気化器72、気体供給配管74、コーティングノズル76、及び光照射部78を収容している。
オーバーコート層形成室61内の雰囲気は、コート材料の架橋の阻害にならないように、例えば、不活性ガス雰囲気(例えば、窒素雰囲気)にするとよい。
原料供給配管66は、その一端が原料タンク65と接続されており、他端が噴霧器69と接続されている。
噴霧器69は、原料供給配管66の他端、及び気化器72と接続されている。噴霧器69は、原料供給配管66を介して供給されたコート材料を気化器72に対して噴霧する。噴霧器69としては、例えば、アトマイザーを用いることができる。
気体供給配管74は、その一端が気化器72と接続されており、他端がコーティングノズル76と接続されている。気体供給配管74は、気体状態とされたコート材料をコーティングノズル76に供給する。気体供給配管74は、高温に保たれた配管である。
原子層堆積膜12の一面12aに、噴射された気体状態とされたコート材料は、被膜層(オーバーコート層14の母材)となる。
上記被膜層は、光(例えば、電子線や紫外線等)を照射されることで、架橋し、硬化されたオーバーコート層14が形成される。これにより、図1に示す積層体10が形成される。
ローラ32は、ローラ面32aと支持部材21の外面21aとの間に積層体10を挟み込めるように、支持部材21に近接して配置されている。
ローラ32を通過した積層体10は、支持部材21の外面21aに沿って、積層体巻き取り部33(具体的には、積層体巻き取り部33を構成するダンサーローラ81)に搬送される。
ダンサーローラ81は、ローラ32の後段に設けられている。ダンサーローラ81は、積層体10を構成するオーバーコート層14の一面14aと接触するローラ面を有する。ダンサーローラ81は、ダンサーローラ81のローラ面と支持部材21の外面21aとの間に積層体10を挟み込めるように、支持部材21に近接して配置されている。
ダンサーローラ81は、積層体10が巻き取りローラ82に巻き取られる際に、積層体10に対して所定のテンションを印加させる機能を有する。ダンサーローラ81を通過した積層体10は、巻き取りローラ82に搬送される。
よって、巻き取りローラのローラ面が原子層堆積膜の一面と直接接触することがなくなるため、原子層堆積膜に巻き取りローラに起因する傷の発生を抑制することができる。
これにより、原子層堆積膜12のガスバリア性の低下を抑制できると共に、基材11と原子層堆積膜12との間の密着性の低下を抑制できる。
図8は、本発明の第1の実施の形態に係る積層体の製造方法を説明するためのフローチャートである。
次に、図2〜図4、図7、及び図8を参照して、第1の実施の形態に係る積層体の製造方法について説明する。
その後、一面11aが改質された基材は、支持部材21の外面21aに沿って、原子層堆積膜形成部26に搬送され、処理は、STEP2へと進む。
なお、プラズマ前処理の条件は、基材11の材料の特性に応じて、適宜選択することができる。
具体的には、STEP2では、以下の処理が行われる。始めに、搬送された基材11が1つ目の膜形成部43に到達すると、基材11は、不活性ガス雰囲気(例えば、窒素雰囲気)とされたパージ用チャンバ45内に導入される。
パージ用チャンバ45内では、余分(過剰)な第1の前駆体(例えば、トリメチルアルミニウム(TMA))の除去、及びSTEP1で処理された基材11の一面11aに吸着した副生成物の除去が行われる。
この場合、前駆体吸着用チャンバ46内では、基材11の一面11aに前駆体としてトリメチルアルミニウム(TMA)が吸着する。
第2の前駆体供給用ノズル47内の雰囲気を、例えば、窒素ガスと水とが混在する雰囲気とする場合、第2の前駆体供給用ノズル47内の圧力は、例えば、10〜50Paにすることができる。この場合、第2の前駆体供給用ノズル47の内壁の温度は、例えば、70℃に保持することができる。
この場合、第2の前駆体供給用ノズル47内では、トリメチルアルミニウム(TMA)と水とが反応することで、原子層堆積膜12である酸化アルミニウム(Al2O3)膜の一部を構成する一原子層レベルの酸化アルミニウム(Al2O3)層が形成される。
次いで、一面11aに一原子層レベルの酸化アルミニウム(Al2O3)層が形成された基材11は、パージ用チャンバ45の外に導出される。
上記説明したSTEP2に示す原子層堆積膜形成工程が終わると、処理は、STEP3へと進む。
これにより、原子層堆積膜12のガスバリア性の低下を抑制できると共に、基材11と原子層堆積膜12との間の密着性の低下を抑制できる。
具体的には、第1の処理室(具体的には、パージ用チャンバ45内)の真空度が100Pa、第2の処理室(オーバーコート層形成室61内)の真空度が0.01Paの場合、中間室29内の真空度は、例えば、1Paとすることができる。
このとき、原子層堆積膜12が形成された基材11の他面11bは、第1及び第2のローラ62,63のローラ面と接触する。また、原子層堆積膜12が形成された基材11は、原子層堆積膜12の一面12aがコーティングノズル76及び光照射部78と対向するように搬送される。
上記STEP3の基材案内工程が終わると、処理は、STEP4へと進む。
これにより、基材11、原子層堆積膜12、及びオーバーコート層14が積層された積層体10が製造される。
始めに、コーティングノズルから原子層堆積膜12の一面12aに、気体状とされたコート材料(例えば、アクリルコート剤(例えば、エステルアクリレート、エーテルアクリレート、フェニルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、シリコーンアクリレート、アセタールアクリレート、ブタジエン系アクリレート、メラミンアクリレート等のアクリルモノマー又はアクリルオリゴマー、或いはベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、キサントン類、アセトフェノン誘導体等の光開始剤等を含むコート剤)を噴霧することで、被膜層(オーバーコート層14の母材)を形成する。
上記フラッシュ蒸着法は、真空中(例えば、電子線光の場合、0.01〜0.1Pa)でモノマー、オリゴマー等を所望の厚さでコーティングする方法であり、非接触で、溶媒等の多量の揮発成分を発生させることなく、かつ低熱負荷によって、オーバーコート層14となるアクリル層を形成することができる。このとき、常温において液体であり、溶媒を含まないアクリルモノマー、アクリルオリゴマー等が使用される。
オーバーコート層14の厚さの調節は、以下の方法を用いて行う。オーバーコート層14の厚さを厚くしたい場合には、気化器72へのコート材料の滴下量を多くし、オーバーコート層14の厚さを薄くしたい場合には、気化器72へのコート材料の滴下量を少なくする。
また、オーバーコート層14の厚さの均一性の確保は、単位時間当たりのコート材料の滴下量を一定に保つことで行う。
このように、原子層堆積膜12よりも機械的強度の高いオーバーコート層14を形成することで、オーバーコート層14の一面14aと巻き取りローラ82のローラ面とを接触させ、巻き取りローラ82により、積層体10をローラ状に巻き取る際に、原子層堆積膜12が損傷することをさらに抑制することができる。
このように、厚さが原子層堆積膜14の厚さよりも厚くなるように、原子層堆積膜12と同等の機械的強度を有するオーバーコート層14を形成することで、オーバーコート層14の一面と巻き取りローラ82のローラ面とを接触させ、巻き取りローラ82により、積層体10をローラ状に巻き取る際に、原子層堆積膜12が損傷することをさらに抑制することができる。
上記STEP4のオーバーコート層形成工程が終わると、処理は、STEP5へと進む。
このように、オーバーコート層14の一面14aと巻き取りローラ82のローラ面とを接触させ、巻き取りローラ82により、積層体10をローラ状に巻き取ることで、巻き取りローラ82のローラ面が原子層堆積膜12の一面12aと直接接触することがなくなるため、原子層堆積膜12に巻き取りローラ82に起因する傷の発生を抑制することができる。
上記STEP5の巻き取り工程が終わると、図8に示す処理は、終了する。
これにより、原子層堆積膜12のガスバリア性の低下を抑制できると共に、基材11と原子層堆積膜12との間の密着性の低下を抑制できる。
図9は、第1の実施の形態の変形例に係る積層体製造装置の概略構成を模式的に示す正面図である。図9において、図2に示す第1の実施の形態の積層体製造装置20と同一構成部分には、同一符号を付す。
積層体製造装置80は、第1の実施の形態の積層体製造装置20を構成するオーバーコート層形成部31(フラッシュ蒸着法によりオーバーコート層14を形成するオーバーコート層形成部)に替えて、オーバーコート層形成部91(真空蒸着法によりオーバーコート層14を形成するオーバーコート層形成部)を有すること以外は、積層体製造装置20と同様に構成される。
積層体製造装置80では、ガイドローラ27が第1のガイドローラに相当し、後述するガイドローラ85が第2のガイドローラに相当する。
メインローラ83の下部に位置するローラ面83aに搬送される際、原子層堆積膜12の一面12aにオーバーコート層14(図1参照)が形成される。
ガイドローラ85は、ガイドローラ27と同様な構成とされている。ガイドローラ85を構成するガイドローラ本体51のローラ面51aは、原子層堆積膜12の一面12aの外周部と接触する。
これにより、原子層堆積膜12のガスバリア性の低下を抑制できると共に、基材11と原子層堆積膜12との間の密着性の低下を抑制することができる。
ガイドローラ86は、ガイドローラ27と同様な構成とされている。ガイドローラ86は、オーバーコート層14が形成された基材11(図1参照)をローラ87に向けて搬送する。
ガイドローラ86は、通常のローラであり、オーバーコート層14の一面14a(図1参照)の外周部と接触する。
上記加熱装置としては、例えば、電子ビームを用いて蒸発源89を加熱する装置や、蒸発源89(この場合、抵抗体として機能)として高融点金属を用いて、蒸発源89に通電させて、コート材料を加熱する装置等を例示することができる。
また、上記積層体製造装置80を用いて積層体10を製造する場合、真空蒸着法により、オーバーコート層14を形成すること以外は、第1の実施の形態の積層体の製造方法と同様な手法により製造することができる。
オーバーコート層形成室61内の圧力は、例えば、0.01〜0.1Paにすることができる。
このように、真空蒸着法により、オーバーコート層14を形成することで、高速でオーバーコート層14を形成することができると共に、厚膜のオーバーコート層14を形成することができる。
<第2の実施の形態に係る積層体>
図10は、本発明の第2の実施の形態に係る積層体の製造方法により製造される積層体を模式的に示す断面図である。図10において、図1に示す第1の実施の形態の積層体10と同一構成部分には、同一符号を付す。
図10を参照するに、積層体100は、第1の実施の形態で説明した積層体10の構成に、さらに、アンダーコート層101を有すること以外は、積層体10と同様に構成される。
具体的には、アンダーコート層101としては、例えば、アクリルコート層、ウレタンコート層、無機物質を含有したアクリルコート層等を用いることができる。
アンダーコート層101の厚さは、例えば、0.1〜10μmの範囲内で適宜設定することができる。
その結果、積層体100の厚さ方向において、ガスが通過するような隙間が形成されにくくなるため、積層体100のガスバリア性を向上させることができる。
その結果、積層体100の厚さ方向にガスが通過するような形成されにくくなるため、積層体100のガスバリア性を向上させることができる。
図11は、本発明の第2の実施の形態に係る積層体製造装置の概略構成を示す正面図である。図11において、図2に示す第1の実施の形態の積層体製造装置20と同一構成部分には、同一符号を付す。
第2の実施の形態の積層体製造装置110は、第1の実施の形態の積層体製造装置20の構成に、さらに、アンダーコート層形成部111を有すること以外は、積層体製造装置20と同様に構成される。
アンダーコート層形成部111は、プラズマ前処理が実施された基材11の一面11aに、無機物質及び/または有機高分子を含有するアンダーコート層101を形成するための装置である。アンダーコート層形成部111としては、例えば、フラッシュ蒸着装置を用いることができる。
また、アンダーコート層形成部111は、基材繰り出し用ローラ37と原子層堆積膜形成部26との間を通過する基材11の一面11aと対向するように配置されるほか、オーバーコート層形成室61のような処理室を別途設けて、配置されてもよい。
図12は、本発明の第2の実施の形態に係る積層体の製造方法を説明するためのフローチャートである。
次に、図10〜図12を参照して、第2の実施の形態に係る積層体の製造方法について説明する。
図12に示すフローチャートの処理が開始されると、基材搬送部23により、基材巻回用ローラ36に巻回された基材11(例えば、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)よりなるフィルム)が支持部材21の外面21aに沿って、プラズマ前処理部24に向かう方向に搬送される。このとき、基材11は、他面11bが支持部材21の外面21aと接触するように搬送される。
その後、一面11aが改質された基材は、支持部材21の外面21aに沿って、原子層堆積膜形成部26に搬送され、処理は、STEP12へと進む。
具体的には、例えば、フラッシュ蒸着法により、アンダーコート層101として、厚さ0.1μmとされたアクリル層を形成する。
上記STEP12に示すアンダーコート層形成工程が終わると、処理は、STEP13へと進む。
例えば、原子層堆積膜12として、厚さ10nmの酸化アルミニウム(Al2O3)膜を形成する。
上記STEP13に示す原子層堆積膜形成工程が終わると、処理は、STEP14へと進む。
第1の処理室の真空度が100Pa、第2の処理室の真空度が1Paの場合、中間室29内の真空度は、例えば、10Paとすることができる。
上記STEP14の基材案内工程が終わると、処理は、STEP15へと進む。
これにより、基材11、アンダーコート層101、原子層堆積膜12、及びオーバーコート層14が順次積層された積層体100が製造される。
STEP15では、図8で説明したSTEP4と同様な手法により、オーバーコート層14を形成する。
上記STEP15のオーバーコート層形成工程が終わると、処理は、STEP16へと進む。
STEP16では、図8で説明したSTEP5と同様な手法により、積層体100をローラ状に巻き取る。上記STEP16の巻き取り工程が終わると、図12に示す処理は、終了する。
その結果、積層体100の厚さ方向において、ガスが通過するような隙間が形成されにくくなるため、積層体100のガスバリア性を向上させることができる。
その結果、積層体100の厚さ方向にガスが通過するような形成されにくくなるため、積層体100のガスバリア性を向上させることができる。
図13に示すように、第1の実施の形態の変形例に係る積層体製造装置80の構成に、図11に示すアンダーコート層形成部111を設けることで、積層体製造装置120を構成してもよい。
このような構成とされた積層体製造装置120は、図11に示す第2の実施の形態の積層体製造装置110と同様な効果を得ることができる。
このように、化学蒸着法を用いてオーバーコート層14を形成することで、原子層堆積膜12への損傷が少ないオーバーコート層14を形成することができる。つまり、緻密で、バリア性が向上したオーバーコート層14を形成することができる。
また、オーバーコート層14を形成する領域とその外部との差圧を大きく取る必要がなくなる。
<実施例1の積層体の作製>
実施例1では、図11に示す積層体製造装置110を用いて、図10に示す積層体100(以下、実施例1の積層体100を「積層体100−1」という)を作製した。
以下、図10及び図11を参照して、積層体100−1の製造方法について説明する。
始めに、基材11(高分子フィルム)として、基材巻回用ローラ36に巻回された厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)の延伸フィルムを準備した。次いで、基材搬送部23により、基材11の搬送を開始した。
次いで、支持部材21により、一面11aが改質された基材11をアンダーコート層形成部111に搬送した。
次いで、アンダーコート層111が形成された基材11を原子層堆積膜形成部26に搬送した。
前駆体吸着用チャンバ46内に基材11を導入することで、アンダーコート層111の一面111aに前駆体であるトリメチルアルミニウム(TMA)を吸着させた。
前駆体を吸着させた基材11を第2の前駆体供給用ノズル47内に搬送することで、アンダーコート層111の一面111aに付着したトリメチルアルミニウム(TMA)とH2Oとを反応させることで、酸化アルミニウム層(原子層堆積膜12である酸化アルミニウム膜の一部を構成する層)を生成した。酸化アルミニウム層の成膜温度は、90℃とした。
上記1サイクルで形成される酸化アルミニウム層の厚さは、0.14〜0.15nmであった。
そこで、上記処理を1サイクルとして、70個の膜形成部43を用いて、70サイクルの成膜処理を行うことで、厚さ10nmの原子層堆積膜12である酸化アルミニウム(Al2O3)膜(バリア層)を形成した。70サイクルを処理する時間は、30minであった。
次いで、オーバーコート層形成部31を用いたフラッシュ蒸着法により、原子層堆積膜12の一面12aに、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート:プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート=90(重量%):10(重量%)の混合比で混合させた混合物よりなり、かつ厚さが1μmとされた未硬化の被膜層(オーバーコート層14の母材)を形成した。
このとき、オーバーコート層形成室61内の圧力は、0.05Paを維持するように調整した。
これにより、基材11である100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)と、アンダーコート層101である厚さ0.1μmのウレタンアクリルコート層と、原子層堆積膜12である厚さ10nmの酸化アルミニウム膜と、オーバーコート層14である厚さ1μmのアクリルコート層と、が順次積層された実施例1の積層体100−1が製造された。
次いで、実施例1の積層体100−1のガスバリア性を評価するために、モダンコントロール社製の水蒸気透過度測定装置であるMOCON Aquatran(登録商標)を用いて、実施例1の積層体100−1の水蒸気透過率(WVTR)を測定した。測定条件として、温度が40℃、湿度が90%RHの条件を用いた。
その結果、表1に示すように、実施例1の積層体100−1の水蒸気透過率(WVTR)は、6.0×10−4(g/m2/day)であった。
<実施例2の積層体の作製>
実施例2では、図13に示す積層体製造装置120を用いて、図10に示す積層体100(以下、実施例2の積層体100を「積層体100−2」という)を作製した。
実施例2の積層体100−2は、オーバーコート層14を形成する工程が実施例1とは異なることと、原子層堆積膜12である酸化アルミニウム(Al2O3)膜の厚さが異なる(実施例2の酸化アルミニウム(Al2O3)膜の厚さは5nm)こと以外は、積層体100−1と同様な手法により作製した。
実施例2では、オーバーコート層形成部91を用いた真空蒸着法により、オーバーコート層14として、厚さ200nmの酸化ケイ素膜(SiO2膜)を形成した。
具体的には、蒸発源89内にSiOのブロック体を収容し、該ブロック体を電子ビーム(E1ectron Beam:EB)で加熱することで該ブロック体を加熱気化させて、原子層堆積膜12の一面12aに蒸着させることで、酸化ケイ素膜(SiO2膜)を形成した。
次いで、実施例2の積層体100−2のガスバリア性を評価するために、実施例1で使用した水蒸気透過度測定装置を用いて、実施例2の積層体100−2の水蒸気透過率(WVTR)を測定した。測定条件は、実施例1と同じ条件を用いた。
その結果、表1に示すように、実施例2の積層体100−2の水蒸気透過率(WVTR)は、9.8×10−4(g/m2/day)であった。
<比較例の積層体を作製する際に使用する積層体製造装置>
図14は、比較例の積層体を作製する際に使用する積層体製造装置の概略構成を示す正面図である。図14において、図2に示す第1の実施の形態の積層体製造装置20と同一構成部分には、同一符号を付す。
積層体製造装置200は、第1の実施の形態の積層体製造装置20を構成する中間室29、ガイドローラ27、ローラ32、第1のローラ62、及び第2のローラ63を構成要素から外し、積層体製造装置20を構成するオーバーコート層形成部31に替えて、支持部材21の外面21aに近接して配置されたオーバーコート層形成部201を有する。
オーバーコート層形成部201は、オーバーコート層形成室61を有していない構成とされている。
比較例では、図14に示す積層体製造装置210を用いて、積層体210を作製した。
始めに、実施例1と同様な手法により、実施例1で準備した基材(厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートよりなる延伸フィルム)の一面に、原子層堆積膜である厚さ5nmの酸化アルミニウム(Al2O3)膜を形成した。
これにより、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートよりなる延伸フィルムと、厚さ5nmの酸化アルミニウム(Al2O3)膜と、厚さ1μmのアクリルコート層と、が順次積層された積層体210を作製した。
その後、積層体巻き取り部33を構成する巻き取りローラ82により、積層体210を巻回した。
次いで、比較例の積層体210のガスバリア性を評価するために、実施例1で使用した水蒸気透過度測定装置を用いて、比較例の積層体210の水蒸気透過率(WVTR)を測定した。測定条件は、実施例1と同じ条件を用いた。
その結果、表1に示すように、比較例の積層体210の水蒸気透過率(WVTR)は、1.5×10−3(g/m2/day)であった。
表1を参照するに、原子層堆積膜形成部26と同等の成膜圧力帯でオーバーコート層を形成した比較例の積層体210と比較して、実施例1,2の積層体100−1,100−2の水蒸気透過率(WVTR)は、1桁ほど良化することが確認できた。
Claims (13)
- 帯状とされた基材と、該基材の一面に形成された原子層堆積膜と、該原子層堆積膜の一面に形成されたオーバーコート層と、を含み、前記原子層堆積膜及び前記オーバーコート層がインラインで形成される積層体の製造方法であって、
第1の処理室内で、前記基材の一面に前記原子層堆積膜を形成する原子層堆積膜形成工程と、
前記原子層堆積膜の一面の外周部のみと接触するガイドローラにより、前記原子層堆積膜が形成された前記基材を前記第1の処理室から該第1の処理室の外側に配置された第2の処理室内に案内する基材案内工程と、
前記基材案内工程後、前記第2の処理室内で、前記原子層堆積膜の一面に、オーバーコート層を形成するオーバーコート層形成工程と、
前記オーバーコート層を形成後、前記オーバーコート層の一面と巻き取りローラのローラ面とを接触させ、該巻き取りローラにより、前記積層体をローラ状に巻き取る巻き取り工程と、
を含むことを特徴とする積層体の製造方法。 - 前記オーバーコート層形成工程では、前記原子層堆積膜よりも機械的強度の高い前記オーバーコート層を形成することを特徴とする請求項1記載の積層体の製造方法。
- 前記オーバーコート層形成工程では、前記オーバーコート層の厚さが前記原子層堆積膜の厚さよりも厚くなるように、該原子層堆積膜と同等の機械的強度を有する前記オーバーコート層を形成することを特徴とする請求項1記載の積層体の製造方法。
- 前記原子層堆積膜形成工程の前に、前記基材の一面に、無機物質及び/または有機高分子を含有するアンダーコート層を形成するアンダーコート層形成工程を有し、
前記原子層堆積膜形成工程では、前記アンダーコート層の一面に、該アンダーコート層の一面から露出する前記無機物質及び/または前記有機高分子と結合するように、前記原子層堆積膜を形成することを特徴とする請求項1ないし3のうち、いずれか1項記載の積層体の製造方法。 - 前記基材案内工程では、前記第1の処理室内の圧力と、前記第2の処理室内の圧力との間の圧力とされた中間室を経由して、前記基材を前記第2の処理室に案内することを特徴とする請求項1ないし4のうち、いずれか1項記載の積層体の製造方法。
- 前記オーバーコート層形成工程では、フラッシュ蒸着法により、前記オーバーコート層を形成することを特徴とする請求項1ないし5のうち、いずれか1項記載の積層体の製造方法。
- 前記オーバーコート層形成工程では、真空蒸着法により、前記オーバーコート層を形成することを特徴とする請求項1ないし5のうち、いずれか1項記載の積層体の製造方法。
- 前記オーバーコート層形成工程では、化学蒸着法により、前記オーバーコート層を形成することを特徴とする請求項1ないし5のうち、いずれか1項記載の積層体の製造方法。
- 帯状の基材をインラインでロールツーロール方式により、該基材、及び該基材の一面側に形成された原子層堆積膜を含む積層体を形成する積層体製造装置であって、
外形が円筒形状とされ、外面により前記基材の一面とは反対側に位置する他面を支持する支持部材と、
前記支持部材の外面に沿って、前記基材を所定の搬送方向に搬送する搬送部と、
前記基材を導入及び導出可能な状態で、前記支持部材の外面に配置され、前記基材の一面に、前記原子層堆積膜を形成する第1の処理室を含む原子層堆積膜形成部と、
前記所定の搬送方向において、前記原子層堆積膜形成部の後段に配置され、前記原子層堆積膜の一面にオーバーコート層を形成する第2の処理室を含むオーバーコート層形成部と、
前記原子層堆積膜の一面の外周部のみと接触し、前記原子層堆積膜が形成された前記基材を前記第2の処理室内に案内する第1のガイドローラと、
前記オーバーコート層形成部の後段に配置され、前記積層体を構成する前記オーバーコート層の一面と接触することで、該積層体をロール状に巻き取る積層体巻き取り部と、
を有することを特徴とする積層体製造装置。 - 前記第1のガイドローラと接触する前記原子層堆積膜が形成された前記基材を、前記第1のガイドローラのローラ面に対して押し付ける押さえローラを有することを特徴とする請求項9記載の積層体製造装置。
- 前記オーバーコート層形成部は、前記第2の処理室内に配置され、前記原子層堆積膜の一面の外周部のみと接触する第2のガイドローラを含むことを特徴とする請求項9または10記載の積層体製造装置。
- 前記第1の処理室から前記第2の処理室に前記基材を搬送する際、及び前記第2の処理室から前記基材を搬出させる際に通過する中間室を有することを特徴とする請求項9ないし11のうち、いずれか1項記載の積層体製造装置。
- 前記所定の搬送方向において、前記原子層堆積膜形成部の前段に配置され、前記基材の一面に、無機物質及び/または有機高分子を含有するアンダーコート層を形成するアンダーコート層形成部を有することを特徴とする請求項9ないし12のうち、いずれか1項記載の積層体製造装置。
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