[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JP2015144110A - 発光装置 - Google Patents

発光装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2015144110A
JP2015144110A JP2014190216A JP2014190216A JP2015144110A JP 2015144110 A JP2015144110 A JP 2015144110A JP 2014190216 A JP2014190216 A JP 2014190216A JP 2014190216 A JP2014190216 A JP 2014190216A JP 2015144110 A JP2015144110 A JP 2015144110A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
concavo
light
convex
light emitting
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014190216A
Other languages
English (en)
Inventor
安寿 稲田
Yasuhisa Inada
安寿 稲田
学 中田
Manabu Nakada
学 中田
平澤 拓
Hiroshi Hirasawa
拓 平澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Original Assignee
Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd filed Critical Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Priority to JP2014190216A priority Critical patent/JP2015144110A/ja
Priority to US14/570,015 priority patent/US9214649B2/en
Publication of JP2015144110A publication Critical patent/JP2015144110A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K50/00Organic light-emitting devices
    • H10K50/80Constructional details
    • H10K50/85Arrangements for extracting light from the devices
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K50/00Organic light-emitting devices
    • H10K50/80Constructional details
    • H10K50/805Electrodes
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K50/00Organic light-emitting devices
    • H10K50/80Constructional details
    • H10K50/805Electrodes
    • H10K50/81Anodes
    • H10K50/818Reflective anodes, e.g. ITO combined with thick metallic layers
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K50/00Organic light-emitting devices
    • H10K50/80Constructional details
    • H10K50/805Electrodes
    • H10K50/82Cathodes
    • H10K50/826Multilayers, e.g. opaque multilayers
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K50/00Organic light-emitting devices
    • H10K50/80Constructional details
    • H10K50/85Arrangements for extracting light from the devices
    • H10K50/856Arrangements for extracting light from the devices comprising reflective means

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Electroluminescent Light Sources (AREA)

Abstract

【課題】表面プラズモンの影響を低減することで発光効率の高い有機EL素子を提供する。
【解決手段】発光装置は、透明電極13と、反射電極11と、透明電極13および反射電極11に挟まれており、発光層を有する有機層12とを含む発光素子19と、低屈折率層16と高屈折率層17とを含み、高屈折率層17が透明電極13と接するように発光素子19に設けられた透明積層体18と、低屈折率層16と高屈折率層17との界面に設けられた第1の凹凸構造50と、反射電極11と有機層12との界面に設けられた第2の凹凸構造20とを備え、第1の凹凸構造50の凹部に対する凸部の高さは400nm以上であり、第2の凹凸構造20の凹部に対する凸部の高さは20nm以上100nm以下である。
【選択図】図11

Description

本開示は、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」と称する。)などの発光装置に関する。
有機EL素子は、発光デバイスとして各種装置への適用が検討および実用化されている。例えば、フラットパネルディスプレイ、液晶表示装置用バックライト、照明用光源に用いられている。
図1は、従来の一般的な有機EL素子の構成を模式的に示す断面図である。図1に示すように、一般的な有機EL素子100では、反射電極111、有機層112、透明電極113、および透明基板114がこの順に積層されている。有機層112は、例えば不図示の電子注入層、電子輸送層、発光層、ホール輸送層、およびホール注入層が積層されることによって構成される。陰極側に電子注入層および電子輸送層を配置し、陽極側にホール注入層およびホール輸送層を配置し、電子輸送層とホール輸送層との間に発光層を配置する構成が一般的である。以下では、反射電極111を陰極とし、透明電極113を陽極とする場合について考える。電子輸送層およびホール輸送層がそれぞれ陰極および陽極に接するように配置されていると想定する。なお、透明電極113を陽極とし、反射電極111を陰極とする場合にも同様にして考えることができる。
有機EL素子の効率を支配する要因は、主に、電気−光変換効率、駆動電圧、光取り出し効率の3つである。電気−光変換効率については、最近のいわゆる燐光材料の登場により、外部量子効率が20%を超えるものが報告されている。この値は、内部量子効率に換算するとほぼ100%に相当すると考えられる。すなわち、電気−光変換効率がほぼ限界値に到達した例が実験的に確認されたといえる。
駆動電圧については、エネルギーギャップに相当する電圧の10〜20%増し程度の電圧で比較的高い輝度の発光を行う素子が得られるようになってきている。言い換えると、駆動電圧の低減による有機EL素子の効率向上の余地はさほど大きくない。したがって、電気−光変換効率および駆動電圧の2つの要因の改善による有機EL素子の効率の向上はあまり期待できない。
一方、有機EL素子の光取り出し効率は、発光パターンや内部の層構造によって多少差異があるが、一般に20〜30%程度であり、改善の余地が大きい。光取り出し効率がこのように低くなる理由として、光が発生する部分およびその周辺部を構成する材料が、高屈折率性および光吸光性などの特性を有することが挙げられる。このため、屈折率の異なる界面での全反射や材料による光の吸収が生じ、発光が観測される外界へ有効に光を伝播させることが難しい。
有機EL素子では、光の干渉効果を利用して正面方向(図1の上方向)の光を強めるために、発光位置と反射電極との距離を短く(例えば、30〜80nm)設定する場合が多い。しかしながら、発光位置と反射電極との距離が短いと、表面プラズモンの影響が生じる。ここで、「表面プラズモン」とは、金属の表面に存在する電子が集団振動する振動モードである。金属中の自由電子と光とが相互作用を起こす現象を「表面プラズモン共鳴」という。有機EL素子では、反射電極の主な材料としてアルミニウム(Al)又は銀(Ag)などの金属が用いられる場合が多い。発光位置と反射電極との距離が短いときには、発光位置で発生した光の一部は表面プラズモンに結合した後、反射電極に吸収される。
特許文献1、2によれば、これらの結果、有機EL素子では、活用できない光が全発光量の70〜80%を占めると説明されている。このため、光取り出し効率の向上による有機EL素子の効率向上への期待は非常に大きい。
米国特許第7667387号明細書 米国特許出願公開第2010/0087019号明細書 国際公開第2010/010634号明細書
従来の有機EL素子では、発光層で生じた光をより高い効率で外部へ取り出すことが求められていた。本開示は、発生した光を高効率で取り出すことができる発光装置を提供する。
本開示の一態様に係る発光装置は、透明電極と、反射電極と、前記透明電極および前記反射電極に挟まれており、発光層を有する有機層とを含む発光素子と、低屈折率層と高屈折率層とを含み、前記高屈折率層が前記透明電極と接するように前記発光素子に設けられた透明積層体と、前記低屈折率層と前記高屈折率層との界面に設けられた第1の凹凸構造と、前記反射電極と前記有機層との界面に設けられた第2の凹凸構造とを備え、前記第1の凹凸構造の凹部に対する凸部の高さは400nm以上であり、前記第2の凹凸構造の凹部に対する凸部の高さは20nm以上100nm以下である。
本開示の他の態様に係る発光装置は、透明電極と、反射電極と、前記透明電極および前記反射電極の間に挟まれ、発光層を有する有機層とを備える。前記反射電極と前記有機層との界面には、複数の凹部と複数の凸部とがランダム性を有するパターンで2次元的に配列された凹凸構造が形成されている。
本願に開示された発光装置によれば、発生した光を高い効率で外部へ取り出すことが可能となる。
従来の一般的な有機EL素子の構成を示す断面図である。 図1に示す構造において、反射電極111と有機層112との界面から発光点までの距離と、発光点におけるエネルギーが表面プラズモンに結合せず発光する割合との関係を計算した結果を示す図である。 反射電極と有機層との界面に周期的な凹凸構造を有する有機EL素子の断面図である。 表面プラズモンの電場の分布を示す図である。 図3の有機EL素子において、AlおよびAgからなる反射電極に設ける凹凸の周期と発光量の割合との関係を示す図である。 図3の有機EL素子において、Agからなる反射電極に設ける凹凸の高さと発光量の割合との関係を示す図である。 図3の有機EL素子において、反射電極で反射する光の経路を示す図である。 図3の有機EL素子において、凹凸の周期と光取り出し効率との関係を示す。 図3の有機EL素子において、凹凸の高さと光取り出し効率との関係を示す。 特許文献1に示される有機EL素子の断面構造を示す図である。 第1の実施形態にかかる発光装置の断面を示す図である。 参考例の発光装置の断面を示す図である。 他の参考例の発光装置の断面を示す図である。 実施例の発光装置第の第1の凹凸構造の周期と基板に取り出される光量との関係を示す図である。 実施例の発光装置第の第1の凹凸構造の周期と基板に取り出される光量との関係を示す図である。 実施例の発光装置第の第1の凹凸構造の高さと取り出し効率との関係を示す図である。 実施例の発光装置第の第2の凹凸構造の周期と取り出し効率との関係を示す図である。 (a)から(d)は、第1の実施形態にかかる発光装置の製造方法を示す工程断面図である。 (a)から(e)は、第1の実施形態にかかる発光装置の他の製造方法を示す工程断面図である。 (a)および(b)は、第1の実施形態にかかる発光装置の他の製造方法を示す工程断面図である。 第2の実施形態にかかる発光装置の断面を示す図である。 ランダムな凹凸パターンの一例を示す平面図である。 低周波成分が抑制された凹凸パターンの一例を示す平面図である。 図23Aに示す凹凸構造における2種類の単位構造体を示す図である。 低周波成分が抑制された凹凸構造の他の例を示す平面図である。 図24Aに示す凹凸構造における2種類の単位構造体を示す図である。 凹凸パターンをフーリエ変換することによってランダムパターンが有する周期成分の分析を行った結果を示す図である。 構造のパターンから平均周期を求める方法を説明するための図である。 正六角形を基本形状とするランダム構造の一例を示す図である。 ランダム性を調整して大きな構造の発生を抑制したランダムパターンの一例を示す図である。 図23Aに示す構造における第1の単位構造体151および第2の単位構造体152の出現確率をそれぞれ75%および25%に変更した凹凸構造の例を示す平面図である。 図28の凹凸パターンをフーリエ変換し、空間周波数成分の振幅を示した図である。 (a)〜(e)は、周期性成分の割合の異なる5通りの凹凸パターンの構造と、パターンをフーリエ変換した結果を示す図である。 第3の実施形態にかかる実施形態における発光装置200の構成を模式的に示す断面図である。 第3の実施形態において凹凸構造を他の層にも形成した有機EL素子の一例を示す図である。 第3の実施形態において凹凸構造を他の層にも形成した有機EL素子の他の例を示す図である。 (a)〜(c)は、凹凸構造130を含む発光装置の製造方法の一例を示す図である。 (a)〜(c)は、凹凸構造130を含む発光装置の製造方法の他の例を示す図である。 第3の実施形態の有機EL素子300の構造を示す断面図である。 第3の実施形態における電極パターン42の構成を示す平面図である。 第3の実施形態における正方格子状の電極パターン42の寸法を説明するための図である。 第3の実施形態における実施例1および比較例2における視野角依存性を示す図である。 第3の実施形態における実施例1および比較例2のそれぞれにおける比較例1と比較したときのスペクトルの増強率を測定した結果を示す図である。 図22および図24Aの各パターンについて、構造のサイズwに対する発光量の割合を計算した結果を示す図である。 図24Aに示す低周波除去構造における凹凸の高さに対する発光量割合の依存性を示すグラフである。
本願発明者は、有機EL素子の発光層において発生した光を高い効率で外部へ取り出すこと、つまり光取り出し効率を高める構造について詳細に検討した。特許文献1、2は、発光層と電極との界面における、表面プラズモンによる光のロスを低減しつつ、全反射ロスを低減する方法として、電極と接する発光層の界面に周期的な突起部を設けることを開示している。特許文献1、2によれば表面プラズモンを光に変換し、発光層側に光を取り出すことで発光効率を改善できると記載している。
特許文献3は、反射電極を有する有機EL素子において反射電極と有機層との界面における反射効率を高めるため、透明基板上に硬化性透明樹脂で周期的な凹凸形状を作製し、その上に有機層および反射電極を形成することによって、有機層と反射電極との界面に凹凸を形成することを開示している。
しかし、本願発明者が特許文献1、2に開示された構造および製造方法を検討したところ、特許文献1、2に開示された構造では、突起により発光層の厚さが局所的に大きい部分が生じる。このため、発光層の厚さが大きい箇所においてキャリア輸送(あるいは注入)性能が悪くなり、電気的特性が悪くなる可能性がある。
また特許文献3の構造によれば、有機層全体に凹凸形状が反映されるため、凹凸の高さがたとえば、100nmを超える場合、数十nmオーダーの積層からなる有機層が分断されるなどによって、電流が有機層全体に流れなくなる、あるいは電極間が導通することにより、有機EL素子として機能しない可能性がある。
本願発明者はこのような課題に鑑み、表面プラズモンによる光のロスを低減する構造および全反射によるロスを低減する構造を詳細に検討した。
<プラズモンを抑制する構造>
本願発明者らは、まず、有機EL素子の発光層からの発光がプラズモンに結合する効果を検討した。有機層の屈折率を1.8、反射電極の材料をAgまたはAl、発光波長500nmとして、転送行列法による計算を行った。転送行列法の代わりに、例えば、CYBERNET社のsetfos等のソフトウェアを用いても同様の計算が可能である。図1に示す構成において、反射電極111と有機層112との界面から発光点までの距離と、表面プラズモンに結合せず透明基板114側に取り出される光の量(発光量)の割合との関係を計算した。
図2は、この計算結果を示している。図2において、縦軸は、発光し伝播光となった光の割合を示している。1から減少した分が表面プラズモン効果によるロスを表している。図2から、発光点が反射電極111に近いほど発光量の割合が低下することがわかる。これは、反射電極に近いほど、発生した光が金属表面の表面プラズモンに結合しやすくなるからである。
上述したように、表面プラズモンは、金属の表面に存在する電子が集団振動する際の振動モードであるため、電子が集団的に振動しにくくなるような構造を金属表面に設ければ、プラズモン効果が抑制され、光との相互作用も抑制できると考えられる。例えば、図3に示すように、有機EL素子において、反射電極111と有機層112との界面111aに周期的な凹凸構造120を設ければ、表面プラズモンが抑制され、発光量の割合も増大すると考えられる。凹凸構造について重要なパラメータとして、その周期pと高さh(凹部の底面と凸部の上面との高低差)が挙げられる。そこで、本願発明者らは、反射電極111に設けられる凹凸構造の周期および凹凸の高さについて詳細に検討した。
図4は、表面プラズモンの電場の強度分布を模式的に示す図である。有機層112と反射電極111との界面111a近傍に発生するプラズモンの電場は、反射電極111の内部に向かう方向、有機層112の内部に向かう方向、および界面111aに平行な方向に広がりをもって分布する。図4(a)は、有機層112の内部に向かう方向(有機層方向)および反射電極111の内部に向かう方向(電極方向)の電場強度の分布を示している。この図では横軸が電場強度を表している。図4(b)は、界面111aに平行な方向(界面方向)の電場強度の分布を示しており、縦軸が電場強度を表している。ここで、界面方向、有機層方向、および電極方向について、電場強度が1/e(eは自然対数の底)となる距離(「減衰距離」という)を、それぞれγmetal、γorgおよびγsurとする。Journal of Plasma Fusion Research Vol.84. N0.1 (2008) pp.10-18によれば、これらの減衰距離は、以下の式(1)〜(3)によって表される。
Figure 2015144110

Figure 2015144110

Figure 2015144110

ここで、εmetalおよびεorgは、それぞれ、反射電極111および有機層112における複素誘電率であり、cは真空中の光速であり、ω(=2πc/λ)は角周波数であり、λは波長であり、Imは、虚部を取り出す関数である。
一般に、ある媒質の屈折率をn、消衰係数をk、複素誘電率の実部をε1、虚部をε2とするとき、その媒質の複素屈折率はn~=n+ik、複素誘電率はεr=ε1+iε2と表される(iは虚数単位)。複素屈折率と複素誘電率との間には、n~2=εrの関係があるため、ε1=n2−k2、ε2=2knが成立する。したがって、上記の式(1)〜(3)における複素誘電率εmetalおよびεorgは、反射電極111および有機層112のそれぞれの屈折率および消衰係数によって決定される。
反射電極111の材料および発光波長を様々に変えて減衰距離γsur、γorg、γmetalを計算した結果を表1に示す。
Figure 2015144110
表1からわかるように、界面方向におけるプラズモンの減衰距離γsurは、いずれの金属材料についても長い。特に、発光デバイスの電極としてよく用いられるAgやAlでは、減衰距離が数μmにもなる。このような表面プラズモンの発生を抑制するためには、この減衰距離よりも小さい周期で凹凸を設ければよい。即ち、周期の好ましい上限は3μm程度である。なお、発光層から生じる光が単色光ではなく、波長域に広がりを有する光である場合は、平均波長λmeanに対応する角周波数ωmean(=2πc/λmean)について算出した減衰距離よりも小さい周期で凹凸を設ければよい。ここで、「平均波長」とは、発光スペクトルにおいて、その波長よりも長い波長の光の強度和と、その波長よりも短い波長の光の強度和とが等しくなる波長を意味する。本明細書では、平均波長λmeanに対応する周波数ωmeanを「平均周波数」と称することがある。
一方、凹凸の周期が光の波長の半分以下である場合は、周期的な凹凸構造による光の回折が生じなくなる。このような構造はモスアイ構造と呼ばれ、反射防止膜に用いられる構造である。つまり、凹凸の周期を例えば500nmの光の波長の半分である250nm以下にすると、反射電極における光の吸収量が増大し、反射率が小さくなるため、光取り出し効率が低下する。よって、反射電極に設ける凹凸構造の周期としては250nm〜3μmが好ましい。
図5は、凹凸の周期と発光量の割合との関係を計算した結果を示している。計算はFDTD(Finite-difference time-domain)法により行った。計算条件は、有機層の屈折率を1.8、反射電極の材料をAgまたはAl、発光波長を500nm、周期構造の高さを60nmとした。図5に示すように、周期がおおよそ0.25μm〜3μmのときに発光量が増大(凹凸構造がない場合の発光量の割合はAg、Alの場合でそれぞれおよそ0.55、0.65)していることが確認できる。このように、周期的な凹凸構造を有機層と反射電極との界面に設けることにより、発光量の割合が向上することが確認できた。
次に、凹凸構造の好ましい高さを検討した。図4に示すように、表面プラズモンの電場は有機層方向にγorg程度侵入している。したがって、表面プラズモンの電場の発生を抑制するためには、凹凸構造の高さ(凹部と凸部との高低差)をγorgと同程度、あるいはこれよりも大きくすればよい。表1から、AgやAlにおけるγorgは、数十nm〜120nm程度である。よって、表面プラズモンの電場の発生を抑制するためには、凹凸構造の高さは、例えば20nm以上であればよく、凹凸構造が高いほど抑制効果が顕著に得られる。凹凸構造の高さがおおよそ120nmであれば、ほぼプラズモンの発生を抑制できると考えられる。
図6は、反射電極に設けられた凹凸構造の高さと発光量の割合との関係を示している。ここで、反射電極の材料をAg、凹凸構造の周期を800nmとした。図6からわかるように、凹凸の高さが100nm程度以上であれば、発光量の割合はほぼ一定となり、プラズモンの発生をほぼ抑制できる。ただし、有機EL素子における有機層を構成する複数の層の厚さはそれぞれ20nm〜100nm程度であるため、凹凸構造の高さが100nmを超える場合、凹凸構造に隣接する有機層の各層の厚さよりも凹凸構造の段差の方が大きくなる。そのような場合、有機層が連続的に形成されない、あるいは、局所的に厚さの小さい箇所が有機層中に生じ、電流のリークパスができる可能性がある。このため、凹凸構造の高さは、有機層を構成する各層の厚さにもよるが、100nm以下に設定することが好ましい。
<全反射ロスを低減し光を効率よく取り出す構造>
次に、発生した光が、基板114に取り出される割合(取り出し効率)を計算した。一般に、基板の屈折率は1.5程度であり、有機層や透明電極の屈折率(1.7〜2.0程度)に比べて小さい。よって、基板に到達するまでに、光の一部は全反射してしまい、光を取り出すことができない。しかし、図7に示すように、反射電極111と有機層112との界面111aに凹凸構造を設けることによって、全反射を抑制することができる。凹凸構造により、反射電極111において光が反射する際、光を回折させることができる。有機層112内の発光点から出射した光を、透明電極113や基板114の主面に対してより垂直に近い角度で透明電極113や基板114に入射させることができる。これにより、光の取り出し効率を高めることができる。
図8は、反射電極111の界面111aに高さ60nmの周期的な凹凸構造を設けた場合における凹凸の周期と、発生した光が基板114に取り出される割合(取り出し効率)との関係を示す。図9は、周期を1μmにした場合における凹凸構造の高さと基板114への取り出し効率との関係を示す。図8より、凹凸の周期が1μm以上であれば、取り出し効率が高くなることが分かる。また、図9より、凹凸の高さが100nm以上であれば、取り出し効率がより高くなることが分かる。
<基板に取り出される光量>
図5および図6では、凹凸構造による発光量の変化を計算した。また、図8および図9では、発光した光の取り出し効率を計算した。最終的に基板に取り出される光量は、(発光量)×(取り出し効率)で計算することができる。図14の参考例1に基板に取り出される光量の計算結果を示す。基板に取り出される光量の最大値は63%程度である。ここで、図5の発光量と図8の取り出し効率とを比較すると、凹凸形状の周期の最適値が異なることが分かる。つまり、取り出し効率をより改善するような構成が他にもあるといえる。
そこで、特許文献3に開示されているような構成(図10)、すなわち、透明電極113と透明基板(硬化性透明樹脂)114の界面にも凹凸形状がある構成を採用することにより、図7の構成よりも全反射ロスを低減することができる。しかしながら、この凹凸形状の高さが100nm程度である場合、凹凸形状を通過する光はほとんど位相差の影響を受けないため、全反射ロスを抑制する効果はほとんど得られない。例えば、波長550nmの光に対して、樹脂の屈折率を1.5、透明電極の屈折率を1.8とすると、高さ100nmの凹凸形状でを通過するときの光の位相のずれは、2π×(1.8−1.5)×100nm/550nm≒0.1πである。これは、最適な回折効率が得られるπより遥かに小さいため、光はほとんど回折しない。つまり、図10の構成では、透明電極1134と硬化性透明樹脂114の界面に設けられた凹凸形状による全反射ロスを低減し光を効率よく取り出す効果はほとんどない。反射電極111の界面111aに設けられた周期的な凹凸構造により全反射ロスが低減され光が取り出されている。
そこで、凹凸形状の高さを大きくすることで高い取り出し効率を得ることが考えられる。しかし、図10の構造において、凹凸形状の高さを100nm以上にすると、発光素子の各層(数十nm〜数百nmの厚み)が正しく形成できない可能性がある。
本願発明者は、このような検討の結果、表面プラズモンの発生を抑制することで、効率を向上しつつ、全反射ロスを低減し得る、新規な構造を有する発光装置を想到した。本発明の実施形態の概要は以下のとおりである。
本開示は、以下の項目に記載の発光装置および製造方法を含む。
[項目1]
透明電極と、反射電極と、前記透明電極および前記反射電極に挟まれており、発光層を有する有機層とを含む発光素子と、
低屈折率層と高屈折率層とを含み、前記高屈折率層が前記透明電極と接するように前記発光素子に設けられた透明積層体と、
前記低屈折率層と前記高屈折率層との界面に設けられた第1の凹凸構造と、
前記反射電極と前記有機層との界面に設けられた第2の凹凸構造と
を備え、
前記第1の凹凸構造の凹部に対する凸部の高さは400nm以上であり、
前記第2の凹凸構造の凹部に対する凸部の高さは20nm以上100nm以下である、発光装置。
これにより、表面プラズモンの発生および発光素子から外部へ出射する際の全反射ロスを抑制することができる。その結果、発光層で発生した光を外部へ効率よく取り出すことができる。
[項目2]
前記第1の凹凸構造は、複数の凹部と複数の凸部とが2次元に周期的に配列された形状を有し、前記第1の凹凸構造の平均周期は、800nm以上6μm以下である項目1に記載の発光装置。
これにより、可視光帯域における光の取り出し効率を高めることができる。
[項目3]
前記第2の凹凸構造は、複数の凹部と複数の凸部とが2次元に周期的に配列された形状を有し、前記第2の凹凸構造の平均周期は、200nm以上3μm以下である項目1または2に記載の発光装置。
これにより、表面プラズモンの発生を効果的に抑制できる。
[項目4]
前記第1の凹凸構造、あるいは前記第2の凹凸構造のいずれか、または両方が、複数の凹部と複数の凸部とが周期的に配列された凹凸形状を有する項目1から3のいずれかに記載の発光装置。
これにより、比較的容易に光取り出し効率の高い発光装置を製造できる。
[項目5]
前記第1の凹凸構造が、複数の凹部と複数の凸部とが2次元的にランダムに配列された凹凸形状を有する項目1に記載の発光装置。
これにより、発光装置から出射する光の色むらおよび輝度むらを抑制することができる。
[項目6]
前記第1の凹凸構造において、前記複数の凹部および前記複数の凸部の各々に内接する楕円の短辺の長さの最小値をwとするとき、前記凹凸形状のパターンの周期成分のうち、2wよりも大きな成分が、前記複数の凹部および前記複数の凸部をランダムに並べた場合と比較して抑制されている項目5に記載の発光装置。
これにより、色むらおよび輝度むらを抑制しながら、光取り出し効率をさらに向上させることができる。
[項目7]
前記第1の凹凸構造の前記wは400nm以上3μm以下である、項目6に記載の発光装置。
これにより、平均周期が好ましい範囲の値になり、光取り出し効率を高くすることができる。
[項目8]
前記第2の凹凸構造は、複数の凹部と複数の凸部とが2次元に周期的に配列された形状を有する項目1から7のいずれかに記載の発光装置。
これにより、比較的容易に光取り出し効率の高い発光装置を製造できる。
[項目9]
前記第2の凹凸構造が、複数の凹部と複数の凸部とが2次元的にランダムに配列された凹凸形状を有する項目1から7のいずれかに記載の発光装置。
これにより、表面プラズモンの影響を低減して発光効率を改善するとともに、色むらや輝度むらの少ない発光装置を実現できる。
[項目10]
前記第2の凹凸構造における前記複数の凹部および前記複数の凸部の各々に内設する楕円の短辺の長さの最小値をwとするとき、前記第2の凹凸構造におけるパターンの周期成分のうち、2wよりも大きい成分が、前記複数の凹部および前記複数の凸部をランダムに並べた場合と比較して抑制されている、項目9に記載の発光装置。
これにより、周期の大きい構造の発生を抑制できるため、表面プラズモンの影響をさらに抑制できる。
[項目11]
前記第2の凹凸構造の前記wは、100nm以上3000nm以下である、項目9または10に記載の発光装置。
これにより、周期の大きい構造の発生を抑制できるため、表面プラズモンの影響をさらに抑制できる。
[項目12]
前記第2の凹凸構造は、予め定められた個数以上の凹部または凸部が、配列方向に連続しないように構成されている、項目9から11のいずれかに記載の発光装置。
これにより、周期の大きい構造の発生を抑制できるため、表面プラズモンの影響をさらに抑制できる。
[項目13]
前記第1の凹凸構造と前記第2の凹凸構造のパターンが等しい、項目1から12のいずれかに記載の発光装置。
[項目14]
前記第1の凹凸構造と前記第2の凹凸構造は同一のランダムに配列された凹凸パターンを有する項目9から13のいずれかに記載の発光装置。
[項目15]
前記界面に平行な平面で前記複数の凹部および前記複数の凸部の各々を切断したときの断面形状は、四角形である、項目9から14のいずれかに記載の発光装置。
[項目16]
前記凹凸構造は、3個以上の凹部または凸部が配列方向に連続しないように構成されている、項目15に記載の発光装置。
[項目17]
前記界面に平行な平面で前記複数の凹部および前記複数の凸部の各々を切断したときの断面形状は、六角形である、項目9から14のいずれかに記載の発光装置。
[項目18]
前記凹凸構造は、4個以上の凹部または凸部が、配列方向に連続しないように構成されている、項目17に記載の発光装置。
[項目19]
前記有機層の複素誘電率をεorg、前記反射電極の複素誘電率をεmetal、平均発光周波数をω、真空中の光速をcとするとき、前記第2の凹凸構造の平均周期は、
Figure 2015144110

よりも小さい、項目1から18のいずれかに記載の発光装置。
[項目20]
前記有機層の複素誘電率をεorg、前記反射電極の複素誘電率をεmetal、平均発光周波数をω、真空中の光速をcとするとき、前記複数の凹部と前記複数の凸部との高低差は、
Figure 2015144110

よりも大きい、項目1から18のいずれかに記載の発光装置。
[項目21]
基板上に、第1の凹凸構造を有する低屈折率層を形成する工程と、
前記低屈折層の第1の凹凸構造を高屈折材料で埋める工程と、
前記高屈折材料の表面に他の凹凸構造を形成することにより、高屈折層を形成する工程と、
前記高屈折層に透明電極、有機層および反射電極を積層することによって、前記有機層と前記反射電極との界面に前記他の凹凸構造と同じ周期および高さを有する第2の凹凸構造を有する発光素子を形成する工程と、
を包含し、
前記第1の凹凸構造の凹部に対する凸部の高さは400nm以上であり、
前記第2の凹凸構造の凹部に対する凸部の高さは20nm以上100nm以下である、
発光装置の製造方法。
[項目22]
基板の表面に、凹凸構造を形成する工程と、
前記凹凸構造上に反射電極を形成することにより、前記凹凸構造と同じ周期および高さを有する凹凸構造を有する反射電極を前記基板上に形成する工程と、
前記反射電極上に有機層を形成し、前記有機層上に透明電極を形成することによって、前記基板上に発光素子を完成させる工程と、
前記透明電極の表面を高屈折材料で埋める工程と、
前記高屈折材料の表面を平坦化する工程と、
前記平坦化された高屈折材料の表面に他の凹凸構造を形成することにより、前記他の凹凸構造を有する高屈折率層を完成させる工程と、
前記高屈折率層の前記他の凹凸構造を埋めるように低屈折材料を形成し、前記低屈折材料の表面を平坦化することにより、低屈折率層を完成させる工程と
を包含し、
前記高屈折率層と前記低屈折率層との界面における凹凸構造の凹部に対する凸部の高さは400nm以上であり、
前記反射電極と前記有機層との界面における凹凸構造の凹部に対する凸部の高さは20nm以上100nm以下である、発光装置の製造方法。
[項目23]
基板上に、第1の凹凸構造を有する低屈折率層を形成する工程と、
前記低屈折層の第1の凹凸構造を高屈折材料で埋めこみ、凸部の高さが第1の凹凸構造よりも小さい他の凹凸構造を有する高屈折層を形成する工程と、
前記高屈折層に透明電極、有機層および反射電極を積層することによって、前記有機層と前記反射電極との界面に前記他の凹凸構造と同じ周期および高さを有する第2の凹凸構造を有する発光素子を形成する工程と、
を包含し、
前記第1の凹凸構造の凹部に対する凸部の高さは400nm以上であり、
前記第2の凹凸構造の凹部に対する凸部の高さは20nm以上100nm以下である、発光装置の製造方法。
以下、本開示の具体的な実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
1. 構造
以下、本発明による発光装置の第1の実施形態を説明する。本実施形態では、一例として、有機EL素子を用いた発光装置を説明する。
図11は、本実施形態の発光装置101の概略構成を示す断面図である。本実施形態の発光装置101は、発光素子19と透明積層体18とを備える。発光素子19は有機EL素子である。発光素子19は、透明電極13と、反射電極11と、透明電極13および反射電極11に挟まれた有機層12とを有する。有機層12は、発光層を有する。
反射電極11は、有機層12における発光層に電子を注入するための電極(陰極)である。反射電極11と透明電極13との間に所定の電圧が印加されると、反射電極11から有機層12の発光層へ電子が注入される。反射電極11の材料としては、例えば銀(Ag)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)や、これらを主成分とした合金などを用いることができる。また、これらの金属を組み合わせて積層することによって反射電極11を構成してもよい。
透明電極13は、有機層12の発光層にホールを注入するための電極(陽極)である。透明電極13は、仕事関数の比較的大きい金属、合金、電気伝導性化合物、あるいはこれらの混合物などの材料から構成され得る。透明電極13の材料としては、例えばITO、酸化錫、酸化亜鉛、IZO(登録商標)、ヨウ化銅などの無機化合物、PEDOT、ポリアニリンなどの導電性高分子、任意のアクセプタなどでドープした導電性高分子、カーボンナノチューブなどの導電性光透過性材料を挙げることができる。
透明電極13は、スパッタ法、真空蒸着法、塗布法などによって薄膜として形成することができる。なお、透明電極13のシート抵抗は、例えば数百Ω/□以下に設定され、ある例では100Ω/□以下に設定され得る。透明電極13の膜厚は、例えば500nm以下であり、ある例では10−200nmの範囲で設定され得る。透明電極13を薄くするほど光の透過率が向上するが、シート抵抗が膜厚に反比例して増加するため、シート抵抗が増加する。その結果、発光装置101の大面積化の際に、高電圧化の問題や、電圧降下による電流密度の不均一化に伴う輝度の不均一化の問題が発生し得る。このトレードオフを回避するため、メタルなどの補助配線(グリッド)を透明電極13上に形成してもよい。補助配線の材料としては導電性に優れたものが使用され得る。例えば、Ag、Cu、Au、Al、Rh、Ru、Ni、Mo、Cr、Pdやこれらの合金(MoAlMo、AlMo、AgPdCuなど)を用いることができる。この際、メタルグリッドが遮光材料として働かないように、グリッド部に電流が流れるのを防ぐ絶縁処理を施してもよい。また、拡散した光がグリッドに吸収されることを防ぐため、反射率の高い金属をグリッドに用いてもよい。なお、本実施形態では、透明電極13を陽極、反射電極11を陰極としているが、これらの電極の極性は逆であってもよい。発光層は、透明電極13および反射電極11から注入される電子およびホールの再結合によって光を発生する材料から形成される。
発光層は、透明電極13および反射電極11から注入される電子およびホールの再結合によって光を発生する材料から形成される。発光層は、例えば、低分子または高分子の発光材料や、金属錯体などの一般に知られる任意の発光材料によって形成され得る。図11には示されていないが、有機層12は、発光層の両側に位置する電子輸送層及びホール輸送層をさらに含んでいてもよい。電子輸送層は反射電極11(陰極)側に配置され、ホール輸送層は透明電極13(陽極)側に配置される。なお、反射電極11を陽極とする場合には、電子輸送層は透明電極13側に配置され、ホール輸送層は電極11側に配置される。電子輸送層は、電子輸送性を有する化合物の群から適宜選定することができる。この種の化合物としては、例えば、電子輸送性材料として知られるAlq3のような金属錯体や、フェナントロリン誘導体、ピリジン誘導体、テトラジン誘導体、又は、オキサジアゾール誘導体等のヘテロ環を有する化合物などが挙げられる。但し、これらの材料に限定されるものではなく、一般に知られる任意の電子輸送性材料を用いることが可能である。ホール輸送層は、正孔輸送性を有する化合物の群から適宜選定することができる。この種の化合物としては、例えば、4,4’−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TPD)、2−TNATA、4,4’,4”−トリス(N−(3−メチルフェニル)N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)、4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニル(CBP)、スピロ−NPD、スピロ−TPD、スピロ−TAD、又は、TNBなどを代表例とするトリアリールアミン系化合物、カルバゾール基を含むアミン化合物、フルオレン誘導体を含むアミン化合物などを挙げることができる。但し、これらの材料に限定されるものではなく、一般に知られる任意の正孔輸送性材料を用いることが可能である。このように、反射電極11と透明電極13との間には、発光層以外にも、電子輸送層やホール輸送層等の他の層が設けられ得る。
有機層12の構造は、上述の例に限らず、種々の構造を採用することができる。例えば、ホール輸送層と発光層との積層構造や、発光層と電子輸送層との積層構造を採用してもよい。また、陽極とホール輸送層との間にホール注入層を介在させてもよいし、陰極と電子輸送層との間に電子注入層を介在させてもよい。また、発光層は、単層構造に限らず、多層構造を有していてもよい。例えば、所望の発光色が白色である場合には、発光層中に赤色、緑色、青色の3種類のドーパント色素をドーピングするようにしてもよい。また、青色正孔輸送性発光層と緑色電子輸送性発光層と赤色電子輸送性発光層との積層構造を採用してもよいし、青色電子輸送性発光層と緑色電子輸送性発光層と赤色電子輸送性発光層との積層構造を採用してもよい。さらに、陽極と陰極とで挟んで電圧を印加すれば発光する素子からなる層を1つの発光ユニットとして、複数の発光ユニットを光透過性および導電性を有する中間層を介して積層した構造(電気的に直列接続されたマルチユニット構造)を採用してもよい。
透明積層体18は、低屈折率層16と高屈折率層17とを含む。高屈折率層17は透明電極13と接するように位置している。本実施形態では、発光装置101は、更に基板14を含み、透明積層体18の発光素子19と反対側の面に基板14が位置している。低屈折率層16は、基板14と接している。透明積層体18および基板14は、発光素子19から出射する光に対して透明である。
低屈折率層16は、高屈折率層17よりも小さい屈折率を有していればよく、さらに基板14の屈折率より低いほうがより望ましく、SiO2やガラスなどの無機材料や、樹脂などを用いることができる。低屈折率層16の厚さは特に光学特性に影響はないが、塗布や半導体プロセス等の工程で形成することを考えると、数μm〜数10μm程度に設定され得る。
高屈折率層17の屈折率は、発光層の屈折率よりも高い方が望ましく、例えば1.7以上に設定され得る。高屈折率層17に用いる材料として、例えばITO(酸化インジウム錫)、TiO2(酸化チタン)、SiN(窒化シリコン)、Ta25(五酸化タンタル)、ZrO2(ジルコニア)などの比較的高い屈折率の無機材料または高屈折率樹脂などを使用することができる。高屈折率層17の厚さは特に光学特性には影響はないが、塗布や半導体プロセス等の工程で形成することを考えると、数μm〜数10μm程度に設定されうる。
基板14は、透明積層体18および発光素子19を支持するための部材である。基板14の材料としては、例えばガラスや樹脂等の透明材料を用いることができる。基板14の屈折率は、例えば1.45〜1.65程度であるが、屈折率が1.65以上の高屈折率基板を用いてもよいし、屈折率が1.45よりも小さい低屈折率基板を用いてもよい。
発光装置101は、発光素子19の発光層で発生した光の外部への取り出し効率を高めるために、第1の凹凸構造50と第2の凹凸構造20とを備える。第1の凹凸構造50は発光素子から外部へ出射する際の全反射ロスを低減し、第2の凹凸構造20はプラズモンを抑制する。このために、第1の凹凸構造50は、透明積層体18の低屈折率層16と高屈折率層17との界面に設けられる。一方、上述したプラズモンによる発光効率の低下は、有機層12と反射電極11との界面近傍で生じるため、第2の凹凸構造20は、少なくとも有機層12と反射電極11との界面に設けられればよい。ただし、有機層12と有機層12と反射電極11との界面を直接加工することによって、第2の凹凸構造20の形状を形成することが困難な場合には、他の層の表面に第2の凹凸構造20と同じ形状を有する構造を形成し、発光素子19の各層を堆積する際に、各層にもその形状を反映させることによって、最終的に、有機層12と反射電極11との界面に第2の凹凸構造20を形成してもよい。
本実施形態の発光装置101は、透明積層体18の高屈折率層17と発光素子19の透明電極13との界面にまず、第2の凹凸構造と同じ構造を有する凹凸構造40を形成し、その形状を反映した発光素子19の各層を形成している。このため、透明電極13と有機層12との界面にも第2の凹凸構造と同じ構造を有する凹凸構造30が形成されている。また、反射電極11の有機層12と反対側の面にも第2の凹凸構造と同じ構造を有する凹凸構造10が形成されている。
上述したように、プラズモンを抑制する効果を得るための第2の凹凸構造20の凹部および凸部のレベルの差である高さは、あまり大きくない。このため、凹凸構造30および凹凸構造40における回折効果はほとんど生じず、凹凸構造30および凹凸構造40が、界面において光の屈折に与える影響は小さい。
第1の凹凸構造50は、本実施形態では、周期構造であり、複数の凹部および複数の凸部が交互に、かつ、2次元に配列された形状を有する。本実施形態では、第1の凹凸構造50は、2レベルの異なる高さの部分で構成されるため、凸部と凸部の間の空間を凹部と呼び、逆に、凹部と凹部の間を凸部と呼んでいる。第1の凹凸構造50は、低屈折率層16と高屈折率層17との界面に平行な面において、正方形の凹部および凸部が交互にかつ2次元に配置されている。
図11に示す凹部に対する凸部の高さh1は、400nm以上である。配列方向に沿った周期p1は、800nm以上6μm以下である。このような数値範囲にある第1の凹凸構造50は可視光帯域において光の取り出し効率を高めることができる。
発光素子19の透明電極13は、有機層12と反対側において透明積層体18の高屈折率層17と接する。このため、発光素子19で発生した光が、透明電極13と高屈折率層17との界面において全反射するのが抑制され、発光素子19で発生した光が高い効率で透明積層体18へ伝播する。また、透明積層体18に入射した発光素子19からの光は、第1の凹凸構造50において回折し、低屈折率層16に対してより垂直に近い方向から低屈折率層16に入射する。このため、低屈折率層16と高屈折率層17との界面における全反射が低減され、多くの光を基板14から出射させることができる。
第2の凹凸構造20も、本実施形態では、複数の凹部および複数の凸部が交互に2次元に配列された形状を有する。本実施形態では、第2の凹凸構造20は、2レベルの異なる高さの部分で構成されるため、凸部と凸部の間の空間を凹部と呼び、逆に、凹部と凹部の間を凸部と呼んでいる。第2の凹凸構造20は、有機層12と反射電極11との界面に平行な面において、正方形の凹部および凸部が交互にかつ2次元に配置されている。
図11に示す凹部に対する凸部の高さh2は、20nm以上100nm以下である。配列方向に沿った周期p2は、50nm以上0.75μm以下である。上述したように、第2の凹凸構造20がこの範囲の凹凸形状を有することによって、表面プラズモンの発生を抑制することができ、有機層12の発光層で発生した光を有機層12の外部へ効率よく、取り出すことが可能となる。このように、第1の凹凸構造50および第2の凹凸構造20は、異なる目的で発光装置101に設けられており、凹部に対する凸部の高さおよび周期が互いに異なっている。
なお、本実施形態の発光装置101は基板14を備えているが、基板14はなくてもよい。また、基板14に到達した光は、例えば、そのまま基板14の表面からデバイス外部に取り出してもよいし、基板14の表面(裏面)に設けた光取り出しフィルムなどを用いて発光装置15の外部に光を取り出してもよい。
2. 構造の詳細な検討
以下、本実施形態の発光装置101の光取り出し効率を評価するために、第1の凹凸構造50と第2の凹凸構造20の周期をおよび高さを変えて、図11に示す基板14に到達する光の量を計算した結果を示す。また、以下の参考例の構造を備える発光装置において、基板14に到達する光の量も合わせて計算した。
(実施例1)
図11に示す実施例1の発光装置を検討した。第1の凹凸構造50および第2の凹凸構造20の高さは、それぞれ600nmおよび60nmである。また、第2の凹凸構造20の周期は800nmである。電極の主な材料はAgである。
(実施例2)
図12に示す実施例2の発光装置を検討した。図12に示す発光装置は、図11に示す本実施形態の発光装置と同様、低屈折率層16と高屈折率層17との間に第1の凹凸構造50を備え、有機層12と反射電極11との間に第2の凹凸構造20を備える。また、高屈折率層17と透明電極13との間および透明電極13と有機層12との間にも凹凸構造40、30をそれぞれ備える。ただし、これらの凹凸構造の周期はいずれも互いに等しい。また、第1の凹凸構造50および第2の凹凸構造20の高さは、それぞれ600nmおよび60nmである。電極の主な材料はAgである。
(実施例3)
図11に示す実施例3の発光装置を検討した。第1の凹凸構造50および第2の凹凸構造20の周期は1μmおよび800nmであり、第2の凹凸構造20の高さは、60nmである。電極の主な材料はAlである。
(実施例4)
図11に示す実施例4の発光装置を検討した。第1の凹凸構造50の周期は2μmであり、第1の凹凸構造50および第2の凹凸構造20の高さは、それぞれ600nmおよび60nmである。電極の主な材料はAlである。
(参考例1)
図3に示す参考例1の発光装置を検討した。参考例1の発光装置は、有機層112と反射電極111との間に第2の凹凸構造120のみを備えている。第2の凹凸構造120の高さは100nmである。
(参考例2)
図13に示す参考例2の発光装置を検討した。参考例2の発光装置は、低屈折率層116と高屈折率層117との間に第1の凹凸構造150のみを備えている。第1の凹凸構造150の高さは600nmである。
(参考例3)
図3に示す参考例3の発光装置を検討した。参考例3の発光装置は、有機層112と反射電極111との間に第2の凹凸構造120のみを備えている。第2の凹凸構造120の周期は800nmであり、高さは100nmである。
(参考例4)
図13に示す参考例4の発光装置を検討した。参考例4の発光装置は、低屈折率層116と高屈折率層117との間に第1の凹凸構造150のみを備えている。第1の凹凸構造150の周期は1μmである。
図14は、反射電極がAgによって構成される場合において、第1の凹凸構造の周期と基板に取り出される光量との関係を示している。図14から分かるように、実施例1の発光装置は、図14に示す範囲の周期全体(0.05μm〜8μm)において、第2の凹凸構造のみを備える参考例1および第1の凹凸構造のみを備える参考例2よりも、高い発光量を得ることができる。特に、周期が0.4μ〜8μmの範囲において、参考例1のピーク発光量よりも高い発光量を得ることができる。特に、1μm〜5μmの範囲において、反射電極がAlの場合を上回る0.7以上の発光量を得ることができる。これは、Agの方が光吸収が少なく、取り出し効率の改善効果が大きいからである。
また、実施例2の発光装置でも、0.4μm〜8μmの範囲において高い発光量を得ることができる。特に、周期が0.4μm(400nm)〜2μmの範囲において、参考例1のピーク発光量よりも高い発光量を得ることができる。実施例1の発光装置が、実施例2の発光装置に比べてより高い発光量が得られるのは、第2の凹凸構造の周期をプラズモンの抑制に効果が大きい800nmに設定しているからと考えられる。
図15は、反射電極がAlによって構成される場合において、第1の凹凸構造の周期と基板に取り出される光量との関係を示している。
図15から分かるように、Agの場合と同様、実施例1の発光装置は、図15に示す範囲の周期全体(0.05μm〜8μm)において、第2の凹凸構造のみを備える参考例1および第1の凹凸構造のみを備える参考例2よりも、高い発光量を得ることができる。特に、周期が0.8μ〜7μmの範囲において、参考例1のピーク発光量よりも高い発光量を得ることができる。
また、実施例2の発光装置でも0.4μm〜8μmの範囲において、高い発光量を得ることができる。特に、周期が0.4μm(400nm)〜3μmの範囲において、参考例1のピーク発光量よりも高い発光量を得ることができる。
図16は、第1の凹凸構造の高さと基板に取り出される光量との関係を示している。破線は、参考例3の発光装置における基板に取り出される光量を示している。参考例3の発光装置は、第1の凹凸構造を備えていないため、横軸に対して光の割合は一定である。
図16から分かるように、実施例3の発光装置において、第1の凹凸構造の高さが、100nm以上であれば、参考例3の発光装置よりも、高い光の割合を得ることができる。特に、高さが400nm以上であれば、取り出し効率が0.9以上になる。
図17は、反射電極がAgおよびAlによって構成される場合において、第2の凹凸構造の周期と取り出し効率との関係を示している。破線は、参考例3の発光装置における取り出し効率のピーク値(周期が800nm)を示している。
図17から、反射電極がAgおよびAlのいずれによって構成されている場合でも、第2の凹凸構造の周期が、200nm〜3μmの範囲にあれば、参考例3の発光装置における最も高い割合よりも高い割合を得ることができる。
以上の結果から、第1の凹凸構造の周期は800nm〜6μmであり、高さが400nm以上であれば、高い光取り出し効率を得られることがわかる。また、第2の凹凸構造の周期が200nm〜3μmであり、高さが20nm〜100nmであれば、表面プラズモンの影響を効果的に抑制できることがわかる。
このように、本実施形態の発光装置によれば、第1の凹凸構造と第2の凹凸構造の形状を異ならせることによって、高い光取り出し効率が得られることが分かった。特に、図9と図14から、表面プラズモンの影響を効果的に抑制し得る第2の凹凸構造と、全反射を抑制し発光素子からの光を高効率で取り出すための第1の凹凸構造とにおいて、最適な凹凸の高さは異なっている。このため、適切な高さを第1の凹凸構造および第2の凹凸構造に設定することにより、全体として光の取り出し効率の高い発光装置を実現し得ることが分かった。
また、第1の凹凸構造と第2の凹凸構造の周期を異ならせることによって、周期に依存する光の回折効率や回折角度の波長に依存性を分散させることができる。よって、第1の凹凸構造と第2の凹凸構造の周期を異ならせることにより、発光装置から出射する光の色むらを低減することも可能となる。
3. 製造方法
図18を参照しながら本実施形態の発光装置の製造方法を説明する。
まず、図18(a)に示すように、透明な基板14上に低屈折率層16を形成し、低屈折率層16の表面に第1の凹凸構造50を形成する。低屈折率層16は基板14の一部であってもよい。フォトリソグラフィおよびエッチングを組み合わせた半導体プロセスによって低屈折率層16の表面に第1の凹凸構造50を形成してもよいし、また、切削などによって第1の凹凸構造50を形成してもよい。また、低屈折率層16を熱あるいは紫外線による硬化樹脂によって形成してもよい。この場合、ナノインプリント技術を用いることができる。例えば基板14の表面に未硬化の硬化性樹脂を形成し、その表面に、第1の凹凸構造50を規定する型を押し当て、熱あるいは紫外線により、硬化性樹脂を硬化させ、低屈折率層16を得る。
次に、図18(b)に示すように、低屈折率層16の表面に設けられた第1の凹凸構造50を高屈折材料17’で埋め込む。蒸着法やスパッタ法によって、高屈折材料17’で埋め込んだ後、表面17aを平坦化してもよい。あるいは、樹脂材料を第1の凹凸構造50の表面に塗布したり、スピンコートしてもよい。
その後、図18(c)に示すように、第2の凹凸構造20と同じ周期および高さを有する形状を備えた凹凸構造40を、半導体プロセスや切削、ナノインプリントなどの方法によって、高屈折材料17’の表面に形成し、高屈折率層17を形成する。
図18(d)に示すように、高屈折率層17の表面に、透明電極13、有機層12および反射電極11を含む発光素子19を形成する。凹凸構造40の高さが100nm程度であれば、発光素子19の各層を蒸着や塗布などで形成する際に、凹凸構造40の形状を形成した層の表面に反映させることができる。これにより、有機層12と反射電極11との界面に第2の凹凸構造20を形成することができ、本実施形態の発光装置が完成する。
本実施形態の発光装置は、反射電極側から形成することも可能である。図19(a)に示すように、基板31を用意し、第2の凹凸構造20と同じ周期および高さを有する形状を備えた凹凸構造20’を、半導体プロセスや切削、ナノインプリントなどの方法によって、基板31の表面に形成する。基板31の表面に樹脂層や無機材料層を形成し、これらの表面に凹凸構造20’を形成してもよい。
次に、図19(b)に示すように、反射電極11を蒸着法やスパッタ法により形成する。これにより、凹凸構造20’の形状を反映し、第2の凹凸構造20が表面に設けられた反射電極11が形成できる。
図19(c)に示すように、有機層12および透明電極13を形成し、表面を高屈折材料17’で埋め込み、高屈折材料17’の表面を平坦化する。図19(c)、(d)に示すように、さらに高屈折材料17’の表面に第1の凹凸構造50を形成する。
最後に図19(e)に示すように、第1の凹凸構造50を低屈折率層16で埋め込み、表面を平坦化する。さらに基板14を低屈折率層16の表面に形成してもよい。これにより、本実施形態の発光装置が完成する。
また、第1の凹凸構造と第2の凹凸構造とが同じ周期を有する場合には、以下の方法によって本実施形態の発光装置を作製してもよい。
図20(a)に示すように、まず基板14に透明な基板14上に低屈折率層16を形成し、低屈折率層16の表面に第1の凹凸構造50を形成する。次に、図20(b)に示すように、スピンコート法などによって、高屈折材料17を少量、第1の凹凸構造50に配置することによって、第1の凹凸構造50の凹部を埋め込み、凸部の高さが第1の凹凸構造50の高さよりも小さい凹凸構造40が形成される。この凹凸構造40の周期は第1の凹凸構造50の周期と同じであるが、凹凸構造40の高さは第1の凹凸構造50の高さよりも小さい。凹凸構造40の高さを第2の凹凸構造20の高さと一致するように、配置する高屈折材料17’の量を調整することによって、第2の凹凸構造20を規定するパターンを別途形成することなく、第2の凹凸構造20を形成することができる。この場合、第1の凹凸構造50を規定するパターンと第2の凹凸構造20を規定するパターンとは互いに等しくなる。その後、凹凸構造40上に発光素子19を形成することにより、発光装置を製造することができる。この方法によれば、凹凸構造40を第1の凹凸構造50とは別にパターニングする必要がなく、製造工程を簡単にすることができる。
(第2の実施形態)
以下、本発明による発光装置の第2の実施形態を説明する。
図21は、本実施形態の発光装置102の概略構成を示す断面図である。本実施形態の発光装置102は、発光素子19と透明積層体18とを備える。発光素子19は有機EL素子であり、透明電極13と、反射電極11、透明電極13および反射電極11に挟まれており、発光層を有する有機層12とを含む。透明積層体18は低屈折率層16と高屈折率層17とを含む。低屈折率層16と高屈折率層17との界面に第1の凹凸構造51が設けられている。反射電極11と有機層12との界面には第2の凹凸構造20が設けられている。
本実施形態の発光装置102は、第1の凹凸構造51が、複数の凹部と複数の凸部とが2次元的にランダムに配列された凹凸形状を有する点で、第1の実施形態と異なる。
第1の凹凸構造および第2の凹凸構造が周期構造である場合、回折する光の回折角に波長依存性が生じ、発光装置から出射する光に色むらや輝度むらが発生する可能性がある。これは、特に、発光装置が白色光を出射する場合に大きな影響を与える。このような課題を解決するため、本実施形態では、第1の凹凸構造51がランダムに配列された凹凸形状を有する。発光装置は第1の凹凸構造および第2の凹凸構造を備えているため、これらのいずれかをランダム構造にするか、両方をランダム構造にしてもよい。好ましくは、本実施形態のように第1の凹凸構造51がランダムに配列された凹凸形状を有し、第2の凹凸構造20が、第1の実施形態で説明したように周期構造を備えている。これにより、基板14越しに発光装置を見た場合には、ランダム性によってどの方向からも発光が均一に見える効果が得られ、かつ、第2の凹凸構造20によってプラズモンを効果的に抑制する効果が得られる。
ここで、「ランダム構造」とは、ランダム性を有するパターンで複数の凹部および複数の凸部が配列された構造を意味する。「ランダム性を有するパターン」とは、周期的ではない任意の配列パターンを意味する。例えば、凹部と凸部とをランダムに同数ずつ配列した完全にランダムなパターンのみならず、同種の構造(凹部または凸部)が配列方向に所定回数以上連続しないように調整されたパターンも「ランダム性を有するパターン」に含まれる。複数の凹部と複数の凸部とは、必ずしも同数である必要はなく、両者の数が異なっていてもよい。複数の凹部および複数の凸部の各々は、典型的には同一のx方向サイズおよびy方向サイズを有するが、そのような構成に限らず、これらのサイズに偏りがあってもよい。以下の説明では、簡単のため、各凹部および各凸部のx方向およびy方向のサイズはいずれも同一であるものとする。本明細書では、「ランダム性を有するパターン」を、省略して「ランダムパターン」と称することがある。
第1の凹凸構造51が備えるランダムな凹凸形状について詳細に説明する。ランダム性を有する凹凸構造の例として、例えば特許第4870195号に開示されている構造が考えられる。この構造は、一辺の長さwの正方形を単位領域とするグリッドを考え、そのグリッド上に複数の凹部および複数の凸部をランダムに並べることで実現される。図22は、このような凹凸パターンの一例を示す平面図である。図22において、例えば白い領域が凹部であり、黒い領域が凸部である(この関係は逆でもよい)。
図22に示す構造では、幅wの凹部または凸部が存在する確率は1/2であり、幅2wの連続した凹部または凸部が存在する確率は(1/2)2である。一般化すれば、x方向およびy方向の各々について、幅nw(nは任意の自然数)の連続した凹部または凸部が存在する確率は(1/2)nである。したがって、ランダムな凹凸構造における同種の構造(凹部または凸部)のx方向およびy方向の平均の長さwexpは、以下の計算によって2wと求められる。
Figure 2015144110
平均周期は、凹部の平均サイズと凸部の平均サイズの和であるから4wとなる。
第1の実施形態で説明したように、第1の凹凸構造の周期は800nm〜6μmであり、第2の凹凸構造の周期は200nm〜3μmであることが好ましい。したがって、第1の凹凸構造および第2の凹凸構造がそれぞれランダムな凹凸構造である場合には、好ましいwの範囲は、第1の凹凸構造について、200nm〜1.5μmであり、第2の凹凸構造について、50nm〜0.75μmである。
ただし、このような1/2の確率で凹部または凸部を配置するランダム構造では、ある一定の確率で、多数の凹部または凸部が連続し、一部に3μmを超える連続した凹部または凸部が生じてしまう。例えば、図22において矢印を付した部分は、x方向に6wの長さを有している。そこで、このような大きい構造を含まないようにランダム性が調整された凹凸構造を採用してもよい。
図23Aは、大きい構造を含まない凹凸構造の一例を示す平面図である。図23Aに示す凹凸構造は、図23Bに示す2種類の単位構造体151、152をランダムに配列したものである。単位構造体151、152は、2個の凹部と2個の凸部とをそれぞれ対角に配置したものであり、単位構造体151と単位構造体152とでは、凹部と凸部とが反転している。このような2種類の単位構造体をランダムに隙間なく配列することにより、凹部および凸部自体をランダムに配列した図22の構造と比較して、ランダム性を抑制することができる。このような凹凸構造を採用した場合、配列方向(x方向およびy方向)のいずれについても、凹部または凸部が3以上連続しない。つまり、図22に示す凹凸構造においては、複数の凹部および複数の凸部の各々に内接する円61の直径または楕円62の短辺の長さの最小値をwとするとき、2wよりも大きい構造(周期成分)が生成されない。このため、このような凹凸構造を第1の凹凸構造に採用した場合、全反射によるロスを抑制でき、第2の凹凸構造に採用した場合、表面プラズモンを効果的に抑制できる。
図24Aは、大きい構造を含まない凹凸構造の他の例を示す平面図である。この凹凸構造は、図24Bに示す2種類の単位構造体161、162をランダムに配列したものである。このような凹凸構造を用いた場合でも、x、y方向について2wよりも大きい構造が生成されない。このため、このような凹凸構造を第1の凹凸構造に採用した場合、全反射によるロスを抑制でき、第2の凹凸構造に採用した場合、表面プラズモンを効果的に抑制することができる。
図23Aおよび図24Aに示す構成では、x方向およびy方向の長さがwまたは2wの構造しか存在しないため、周期の大きい成分(すなわち低周波成分)が抑制されていると考えることができる。これらのランダムパターンのランダム性は、パターンをフーリエ変換することによって分析できる。ここで、「パターンをフーリエ変換する」とは、基準面に対する凹部および凸部の平坦部の高さを座標x、yについての二次元関数として表したときのフーリエ変換を意味する。
図25は、凹凸パターンをフーリエ変換することによってランダムパターンが有する周期成分の分析を行った結果を示す図である。図25は、x方向についての周期成分(空間周波数成分の逆数)ごとの割合を示している。ここでは、図22に示すランダムパターンと、図24Aに示す制限付きのランダムパターンとを比較した。図22のパターンに比べて、図24Aのパターンは周期が2wの成分にピークがあり、2wよりも大きい周期成分が抑制されていることがわかる。したがって、図24Aのパターンは、主に周期が2wの周波数成分を有する構造と考えることができる。
図23Aまたは図24Aに示す低周波成分を抑制した構造においても図22の構造と同様の考え方で平均周期を求めることができる。構造のパターンから平均周期を求める方法を図26に示す。ここで、図26に示す横方向および縦方向のそれぞれについて、連続する同種の構造の群からなる領域に内接する楕円(真円を含む)を考える。図26の下の図における白い部分の大きさの平均値は、白い部分に内接する楕円の軸の長さの平均値を計算することによって求めることができる。ここで、「軸の長さ」とは、図26の上の図に示す短軸の長さaまたは長軸の長さbのいずれかを指す。黒い部分についても同様である。これらの平均値を足し合わせた値を平均周期とすればよい。
したがって、第1の凹凸構造および第2の凹凸構造が、このようなランダム性で凹部および凸部が配列された凹凸形状を有する場合、このランダム構造におけるwとして好ましい範囲は、第1の凹凸構造について、400nm〜3μmであり、第2の凹凸構造について、100nm〜1.5μmである。
以上の例では、界面に平行な平面で凹部および凸部の空間を仮想的に切断したときの断面形状が正方形であることを前提としたが、断面形状は六角形などの他の形状であってもよい。本願発明者らの検討によれば、正方形ではなく正六角形の断面形状を有する構造を並べた方が光取り出し効率が高くなる。これは、正方形の対角の長さが辺の長さの√2倍であるのに対し、正六角形の対角の長さは辺の長さの√3/2倍であるため、正六角形の断面形状を有する構造を並べた方が方位依存性が小さいためである。つまり、正方形の構造を並べた場合は、辺の方向または対角の方向のいずれかの取り出し効率が低くなってしまうが、正六角形の構造を並べた場合は、方位によらず高い取り出し効率が得られる。
図27Aは、基本形状を正方形から正六角形に変更したランダム構造(凹部と凸部の出現確率がともに1/2)の一例を示している。図27Bは、図23Aや図24Aのパターンと同様にランダム性を調整して大きな構造の発生を抑制したランダムパターンの一例を示している。図27Bに示すランダムパターンでは、正六角形が配列方向(3つの辺に垂直な3方向)に最大で3つしか並ばないようにランダム性が調整されている。すなわち、同種の構造の配列方向のサイズがw〜3wの範囲内に納まっている。このようなパターンをフーリエ変換した場合も周期が2wの成分にピークがあり、2wよりも大きい周期成分(低周波成分)が抑制される。
凹凸パターンがランダム性を有しているか、周期性を有しているかは、上記のようにパターンをフーリエ変換することで判断することができる。以下、フーリエ変換によってランダム性および周期性のいずれが支配的であるかを判断する方法を説明する。
図28は、図23Aに示す構造における第1の単位構造体151および第2の単位構造体152の出現確率をそれぞれ75%および25%に変更した凹凸構造の例を示す平面図である。図29は、図28の凹凸パターンをフーリエ変換し、空間周波数成分の振幅を示した図である。この凹凸構造は、ランダム性の成分を有するとともに、出現確率の高い第1の単位構造体151が周期的に出現することによる周期性の成分を有する。周期性の成分は、図29における中心から斜め4方向に位置する4つの点に対応し、ランダム性の成分は、それらの4点の周辺に分布する複数の点に対応する。
図30は、周期性成分の割合の異なる5通りの凹凸パターンの構造と、パターンをフーリエ変換した結果を示す図である。図30において、右側は凹凸パターンを示しており、左側はその凹凸パターンにおける1つの配列方向についての周期成分の振幅の一次元分布を示している。図30(a)〜(e)は、それぞれ、周期性成分の割合が100%、60%、40%、20%、0%である場合の例を示している。これらの凹凸パターンでは、第1の単位構造体151および第2の単位構造体の出現確率が異なることにより、周期性成分の割合が異なっている。
ここで、x>y、x+y=100として、第1の単位構造体151の出現確率をx%、第2の単位構造体152の出現確率をy%とする。全体のy%に相当する数の第1の単位構造体151は、第2の単位構造体152のペアが存在するのでランダム性の成分であると考えることができる。これに対し、全体の(x−y)%に相当する数の第1の単位構造体151は、第2の単位構造体152のペアが存在しないので周期性の成分であると考えることができる。すなわち、第1の単位構造体151の出現確率をx%、第2の単位構造体152の出現確率をy%としたときには、全体のy%分の第1の単位構造体151がランダム性の成分、全体の(x−y)%分の第1の単位構造体151が周期性の成分といえる。
図30(a)のパターンでは、第1の単位構造体151の個数と第2の単位構造体152の個数との比は100:0であり、周期性成分の割合は100%である。図30(b)のパターンでは、両者の比は80:20であり、周期性成分の割合は60%である。図30(c)のパターンでは、両者の比は、70:30であり、周期性成分の割合は40%である。図30(d)のパターンでは、両者の比は、65:45であり、周期性成分の割合は20%である。図30(e)のパターンでは、両者の比は、50:50であり、周期性成分の割合は0%である。図30(b)〜(d)に示す凹凸パターンでは、フーリエ変換結果から、周期性の成分とランダム性の成分とが共存していることがわかる。
ランダムパターンの周期成分(空間周波数成分)を解析することにより、ランダム性の成分が支配的であるか、周期性の成分が支配的であるかを判定することができる。例えば、あるパターンにおいて、ランダム性に起因する周波数成分の振幅が周期性に起因する周波数成分の振幅よりも大きい場合には、そのパターンは、ランダム性の成分が支配的であると考えることができる。したがって、本願の実施の形態における凹凸構造は、ランダム性の成分が支配的であるランダムパターンを有する構成といえる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態を説明する。本実施形態の発光装置は、上述した第2の凹凸構造に相当する構造を有しているが、第1の凹凸構造に相当する構造を有していない点で、第1および第2の実施形態とは異なる。以下、これらの実施形態と異なる点を説明する。
特許文献1に開示された構成では、周期的な突起を有する回折格子が用いられているため、波長依存性が大きく、見る角度によって輝度や色が変化する。すなわち、いわゆる輝度むらおよび色むらの問題が生じる。特に、白色で発光する有機EL素子においては、色むらは致命的な課題である。
本実施形態は、表面プラズモンの影響を低減して発光効率を改善するとともに、色むらや輝度むらの少ない発光装置に関する。本実施形態では、波長依存性を低減するために、ランダム性を有するパターンで構成された凹凸構造を用いる。
図31は、本実施形態における発光装置(有機EL素子)200の構成を模式的に示す断面図である。発光装置200は、図3に示す構成と同様、透明基板114、透明電極113、有機層112、反射電極111がこの順に積層された構造を有する。有機層112と反射電極111との間の界面111aには、複数の凹部と複数の凸部とがランダム性を有するパターンで2次元的に配列された凹凸構造130が形成されている。図31において、複数の凹部および複数の凸部の配列方向をx方向およびy方向とし、それらに垂直な方向をz方向としている。凹凸構造130は、上述した第2の凹凸構造に相当する構造である。凹凸構造130の2次元配列パターンは、例えば、図23A、図24A、図27Bのようなパターンであり得る。
上記の各凹凸構造のパターンはあくまでも例示であり、凹凸構造のパターンは上記のものに限定されない。図23B、図24Bに示すような単位構造体を配列する方法以外の方法で大きい周期成分が抑制された構造を決定してもよい。また、有機層112と反射電極111との界面を直接加工することによって凹凸構造130を形成することが困難な場合には、他の層の表面に凹凸構造130に対応する形状を有する構造を形成することによって最終的に凹凸構造130を形成してもよい。他の層の表面に凹凸構造130に対応する形状を有する構造を形成することにより、有機層112の各層を堆積する際に、各層にもその形状を反映させることができる。その結果、有機層112と反射電極111との界面に凹凸構造130を形成することができる。
図32Aおよび図32Bは、凹凸構造を他の層にも形成した有機EL素子の例を示す図である。図18Aに示すように、凹凸構造130と同じ構造を透明基板114と透明電極113との界面に形成することによって有機層112と反射電極111との界面に凹凸構造130を形成してもよい。あるいは、図32Bに示すように、透明基板113と有機層112との界面に凹凸構造130に対応する凹凸構造140を形成することによって凹凸構造130を形成してもよい。
以下、図33を参照しながら、凹凸構造130を含む発光装置の製造方法の一例を説明する。まず、図33(a)に示すように、透明基板114の表面に凹凸構造130に対応する形状を有する凹凸構造50を形成する。凹凸構造50は、半導体プロセスや、切削、ナノインプリントなど、任意の方法で形成してよい。
次に、図33(b)に示すように、透明基板114の表面に、透明電極113を形成する。透明電極113は、蒸着や塗布などの方法で形成することができる。凹凸構造50の高さが100nm程度であれば、凹凸構造50の形状を形成した透明電極113の表面に反映させることができる。これにより、透明電極113の表面に凹凸構造60が形成される。
続いて、図33(c)に示すように、有機層112を形成し、さらに反射電極111を形成する。これらの工程でも同様に、各層を蒸着や塗布などで形成する際に、凹凸構造60の形状を形成した各層の表面に反映させることができる。これにより、有機層112と反射電極111との界面に凹凸構造130を形成することができ、発光装置が完成する。
発光装置は、反射電極111側から形成することも可能である。図34は、そのような方法を示す図である。まず、図34(a)に示すように、基板31を用意し、凹凸構造130と同じ周期および高さを有する形状を備えた凹凸構造130’を、半導体プロセスや切削、ナノインプリントなどの方法によって、基板31の表面に形成する。基板31の表面に樹脂層や無機材料層を形成し、これらの表面に凹凸構造130’を形成してもよい。
次に、図34(b)に示すように、反射電極111を蒸着法やスパッタ法により形成する。これにより、凹凸構造130’の形状を反映した凹凸構造130が表面に設けられた反射電極111が形成できる。
続いて、図34(c)に示すように、有機層112および透明電極113を形成し、表面を透明材料で埋め込み、表面を平坦化することによって透明基板114を形成する。これにより、発光装置が完成する。
なお、透明基板114は必須の構成要素ではない。また、透明基板114に到達した光は、例えば、そのまま透明基板114の表面から発光装置の外部に取り出してもよいし、透明基板114の表面にマイクロレンズアレイや複数の拡散粒子からなる層などの光取り出しフィルムを用いて発光装置の外部に光を取り出してもよい。発光装置の製造方法は上記の方法に限定されず、どのような方法を用いてもよい。
以上のように、ランダム性を有する凹凸構造を有機層と反射電極との間に設けることにより、表面プラズモンの影響を抑え、光取り出し効率を高めることができる。以下、このような凹凸構造を有する有機EL素子について、より具体的に説明する。
図35は、本実施形態の有機EL素子300の構造を示す断面図である。有機EL素子300は、基板10と、基板10の一方の表面(以下、「電極側表面」と称することがある。)側に設けられた反射電極11と、基板10がある側の反対側において反射電極11に対向する透明電極13と、反射電極11と透明電極13との間に挟まれ、発光層32を有する有機層30とを備える。反射電極11における透明電極13側の表面(反射電極11と有機層30との界面)には、ランダム性を有する凹凸構造130が形成されている。反射電極11、有機層30および透明電極13の積層構造は、素子部1を構成している。本実施形態の有機EL素子300は、透明電極13側から光を取り出すトップエミッション型の有機EL素子である。
透明電極13は、有機層30に接し光透過性を有する導電性層39を有する。これにより、有機EL素子300は、透明電極13側から光を取り出すことができる。透明電極13は、導電性高分子層39の他に、導電性高分子層39における有機層30側とは反対側に位置する電極パターン42を有してもよい。電極パターン42は、図36の平面図に示すように、導電性層39における有機層30側とは反対側の表面を覆う電極部44と、電極部44に囲まれ、有機層30からの光を外部に取り出すための複数の開口部41とを有する。複数の開口部41は、導電性層39における有機層30側とは反対側の表面を露出させるように構成されている。これにより、有機EL素子300は、透明電極13側から光を取り出すことができる。なお、導電性層39の抵抗による電圧降下が問題にならない場合には、透明電極13を導電性層39のみから構成してもよい。導電性層39の抵抗による電圧降下が問題にならない場合としては、例えば、有機EL素子300の輝度の面内均一性が、要求仕様を満たすような場合が挙げられる。導電性層39は、例えば導電性高分子やITOなどで形成することができる。
有機EL素子300は、さらに、光が出射する側において基板10に対向する位置に配置された透光性を有する封止基板80と、基板10の周部と封止基板80の周部との間に介在する矩形枠状のフレーム部95とを備えている。
有機EL素子300は、反射電極11において有機層30および透明電極13の積層膜が形成されていない部分(図示せず)を端子部としてもよいし、反射電極11に引出し配線を介して接続された端子部を設けてもよい。あるいは、基板10を金属板や金属箔により形成して、その露出部分を端子部としてもよい。以下、このような反射電極11側の端子部を「第1端子部」と称し、引出し配線を「第1引出し配線」と称することがある。
有機EL素子300は、透明電極13に第2引出し配線46を介して電気的に接続された第2端子部47を備えている。また、有機EL素子300は、基板10の電極側表面と、反射電極11の側面と、有機層30の側面と、有機層30における透明電極13側の表面の外周部とに跨って形成された絶縁層60を備えている。これにより、第2引出し配線46と、有機層30および反射電極11とが、絶縁層60によって電気的に絶縁されている。図35の構成例では、第2引出し配線46および第2端子部47が基板10の電極側表面に設けられているが、このような構成に限られない。例えば、基板10が金属箔によって形成されている場合、第2端子部47を絶縁層60および基板10のそれぞれの一部とともに封止基板80側とは反対側に折り返してもよい。
以下、有機EL素子300の各構成要素について詳細に説明する。
基板10は、平面視で矩形の形状を有しているが、これに限定されない。基板10の平面視形状は、矩形状に限らず、例えば、矩形状以外の多角形状、円形状などでもよい。
本実施形態では、基板10は、リジッドなガラス基板であるが、これに限らず、例えば、リジッドまたはフレキシブルなプラスチック板や、リジッドな金属板、フレキシブルな金属箔などを用いてもよい。ガラス基板の材料としては、例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラスなどを採用することができる。また、プラスチック板の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネートなどを採用することができる。また、金属板や金属箔の材料としては、例えば、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、錫、鉛、金、銀、鉄、チタンなどの金属や、これらの金属の1種以上を含む合金などを採用することができる。プラスチック板を用いる場合は、プラスチック板の表面にSiON膜、SiN膜などが成膜されたものを用いることによって水分の透過を抑えるようにしてもよい。上記のように、基板10は、リジッドなものでもよいし、フレキシブルなものでもよい。また、透明なガラス基板、透明なプラスチック板、金属板、金属箔に限らず、機械的強度が高く、低コストで、ガスバリア性、耐薬品性、耐熱性などを有する任意の材料を用いることができる。また、基板10として、金属板や金属箔などの導電性を有するものを用いる場合には、基板10が反射電極11の一部を構成してもよいし、基板10が反射電極11を兼ねる構成としてもよい。
基板10としてガラス基板を用いる場合には、基板10の電極側表面の凹凸が有機EL素子300のリーク電流を誘発し、有機EL素子300の劣化原因となることがある。このため、基板10としてガラス基板を用いる場合には、例えば基板10の電極側表面の表面粗さが小さくなるように高精度に研磨された素子形成用のガラス基板を用いればよい。基板10の電極側表面の表面粗さについては、JIS B 0601−2013(ISO 4287−1997)で規定されている算術平均粗さRaが10nm以下であることが好ましく、数nm以下であることが、より好ましい。これに対して、基板10としてプラスチック板を用いる場合には、特に高精度な研磨を行わなくても、電極側表面の算術平均粗さRaが数nm以下のものを低コストで得ることが可能である。
本実施形態の有機EL素子300では、反射電極11が陰極を構成し、透明電極13が陽極を構成している。この場合、反射電極11から有機層30へ注入されるキャリアは電子であり、透明電極13から有機層30へ注入されるキャリアは正孔(ホール)である。なお、反射電極11が陽極を構成し、透明電極13が陰極を構成するようにしてもよい。
有機層30は、反射電極11側から順に、発光層32、ホール輸送層33、ホール注入層34を備えている。なお、反射電極11が陽極を構成し、透明電極13が陰極を構成する場合には、ホール輸送層33の代わりに電子輸送層を、ホール注入層34の代わりに電子注入層を設ければよい。
有機層30の構造は、図35に示す構造に限定されない。例えば、反射電極11と発光層32との間に、電子注入層、電子輸送層を設けたり、発光層32とホール輸送層33との間にインターレイヤーを設けたりしてもよい。反射電極11が陽極を構成し、透明電極13が陰極を構成している場合は、反射電極11と発光層32との間に、ホール注入層およびホール輸送層を設けてもよい。
有機層30は、少なくとも発光層32を含んでいればよい。言い換えれば、有機層30は、発光層32のみから構成されていてもよい。発光層32以外の層、例えば、電子注入層、電子輸送層、インターレイヤー、ホール輸送層33、ホール注入層34などは適宜設ければよい。発光層32は、単層構造でも多層構造でもよい。例えば、所望の発光色が白色の場合には、発光層32の内部に赤色、緑色、青色の3種類のドーパント色素をドーピングするようにしてもよいし、青色ホール輸送性発光層と緑色電子輸送性発光層と赤色電子輸送性発光層との積層構造を採用してもよいし、青色電子輸送性発光層と緑色電子輸送性発光層と赤色電子輸送性発光層との積層構造を採用してもよい。
発光層32の材料としては、例えば、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、色素体、金属錯体系発光材料を用いることができる。より具体的には、アントラセン、ナフタレン、ピレン、テトラセン、コロネン、ペリレン、フタロペリレン、ナフタロペリレン、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、クマリン、オキサジアゾール、ビスベンゾキサゾリン、ビススチリル、シクロペンタジエン、クマリン、オキサジアゾール、ビスベンゾキサゾリン、ビススチリル、シクロペンタジエン、キノリン金属錯体、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、トリス(5−フェニル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、アミノキノリン金属錯体、ベンゾキノリン金属錯体、トリ−(p−ターフェニル−4−イル)アミン、ピラン、キナクリドン、ルブレン、およびこれらの誘導体を用いることができる。あるいは、1−アリール−2,5−ジ(2−チエニル)ピロール誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、スチリルアリーレン誘導体、スチリルアミン誘導体、および上記の発光性化合物からなる基を分子の一部分に有する化合物などを用いてもよい。また、上記化合物に代表される蛍光色素由来の化合物のみならず、いわゆる燐光発光材料、例えばイリジウム錯体、オスミウム錯体、白金錯体、ユーロピウム錯体などの発光材料、又はそれらを分子内に有する化合物もしくは高分子も好適に用いることができる。これらの材料は、必要に応じて、適宜選択して用いることができる。
発光層32は、塗布法(例えば、スピンコート法、スプレーコート法、ダイコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法など)のような湿式プロセスによって成膜することができる。発光層32の成膜方法は、塗布法に限らず、例えば、真空蒸着法、転写法などの乾式プロセスによって発光層32を成膜してもよい。
電子注入層の材料は、例えば、フッ化リチウムやフッ化マグネシウムなどの金属フッ化物、塩化ナトリウム、塩化マグネシウムなどに代表される金属塩化物などの金属ハロゲン化物や、チタン、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウムなどの酸化物を用いることができる。これらの材料の場合、電子注入層は、真空蒸着法により形成することができる。また、電子注入層の材料は、例えば、電子注入を促進させるドーパント(アルカリ金属など)を混合した有機半導体材料を用いることができる。このような材料の場合、電子注入層は、塗布法により形成することができる。
また、電子輸送層の材料は、電子輸送性を有する化合物の群から選定することができる。この種の化合物としては、Alq3などの電子輸送性材料として知られる金属錯体や、フェナントロリン誘導体、ピリジン誘導体、テトラジン誘導体、オキサジアゾール誘導体などのヘテロ環を有する化合物などが挙げられるが、この限りではなく、一般に知られる任意の電子輸送材料を用いることが可能である。
ホール輸送層の材料としては、例えば、ポリビニルカルバゾール(PVCz)や、ポリピリジン、ポリアニリンなどの側鎖や主鎖に芳香族アミンを有するポリアリーレン誘導体などの芳香族アミンを含むポリマーなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、ホール輸送層の材料としては、例えば、4,4’−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TPD)、2−TNATA、4,4’,4”−トリス(N−(3−メチルフェニル)N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)、4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニル(CBP)、スピロ−NPD、スピロ−TPD、スピロ−TAD、TNB、TFB(Poly[(9,9-dioctylfluorenyl-2,7-diyl)-co-(4,4’-(N-(4-sec-butylphenyl))diphenyl amine)])などを用いることが可能である。
ホール注入層の材料としては、例えば、チオフェン、トリフェニルメタン、ヒドラゾリン、アミールアミン、ヒドラゾン、スチルベン、トリフェニルアミンなどを含む有機材料が挙げられる。具体的には、例えば、ポリビニルカルバゾール、ポリエチレンジオキシチオフェン:ポリスチレンスルホネート(PEDOT:PSS)、TPDなどの芳香族アミン誘導体などで、これらの材料を単独で用いてもよいし、2種類以上の材料を組み合わせて用いてもよい。このようなホール注入層は、塗布法(スピンコート法、スプレーコート法、ダイコート法、グラビア印刷法など)のような湿式プロセスによって成膜することができる。
インターレイヤーは、例えば、発光層32側からの透明電極13側への電子の漏れを抑制するキャリア障壁としてのキャリアブロッキング機能(ここでは、電子ブロッキング機能)を有するように構成される。更に、ホールを発光層32へ輸送する機能、発光層32の励起状態の消光を抑制する機能などを有していてもよい。本実施形態では、インターレイヤーが、発光層32側からの電子の漏れを抑制する電子ブロッキング層を構成しているものとする。
有機EL素子300では、インターレイヤーを設けることにより、発光効率の向上および長寿命化を図ることが可能となる。インターレイヤーの材料としては、例えば、ポリアリールアミンもしくはその誘導体、ポリフルオレンもしくはその誘導体、ポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体、またはトリフェニルジアミン誘導体などを用いることができる。このようなインターレイヤーは、塗布法(スピンコート法、スプレーコート法、ダイコート法、グラビア印刷法など)のような湿式プロセスによって成膜することができる。
陰極は、有機層30中に電子を注入するための電極である。反射電極11が陰極の場合、陰極の材料としては、仕事関数の小さい金属、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物からなる電極材料を用いることができる。反射電極11の仕事関数とLUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)準位との差が大きくなりすぎないように、例えば仕事関数が1.9eV以上5eV以下の電極材料を好適に用いることができる。陰極の電極材料の例として、アルミニウム、銀、マグネシウム、金、銅、クロム、モリブデン、パラジウム、錫、およびこれらと他の金属との合金、例えばマグネシウム−銀混合物、マグネシウム−インジウム混合物、アルミニウム−リチウム合金を挙げることができる。また、金属、金属酸化物、またはこれらと他の金属との混合物を使用することもできる。例えば、酸化アルミニウムからなる極薄膜(例えば、トンネル注入により電子を流すことが可能な1nm以下の薄膜)とアルミニウムからなる薄膜との積層膜を使用することもできる。反射電極11が陰極の場合、陰極の材料としては、発光層32から放射される光の反射率が高く、且つ、抵抗率の低い金属、例えば、アルミニウムや銀を好適に用いることができる。なお、反射電極11が有機層30中にホールを注入する陽極である場合、反射電極11の材料としては、仕事関数の大きい金属を好適に用いることができる。反射電極11の仕事関数とHOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)準位との差が大きくなりすぎないように、例えば仕事関数が4eV以上6eV以下の電極材料を好適に用いることができる。
透明電極13の導電性高分子層39の材料としては、例えば、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセチレン、ポリカルバゾールなどの導電性高分子材料を用いることができる。導電性を高めるために、例えば、スルホン酸、ルイス酸、プロトン酸、アルカリ金属、アルカリ土類金属などのドーパントをドーピングしたものを採用してもよい。ここで、導電性高分子層39は、抵抗率が低いほど、横方向(面内方向)への導電性が向上し、発光層32に流れる電流の面内ばらつきを低減することができ、輝度むらを抑制することができる。
透明電極13の電極パターン42における電極部44は、金属の粉末と有機バインダとを含む電極材料によって構成され得る。この種の金属としては、例えば、銀、金、銅などを採用することができる。これにより、透明電極13が導電性透明酸化物によって形成された薄膜である場合に比べて、電極部の抵抗率およびシート抵抗を小さくすることができ、輝度むらを抑えることができる。なお、電極パターン42を構成する導電性材料としては、金属の代わりに合金やカーボンブラックを用いることもできる。
電極パターン42は、例えば、金属の粉末に有機バインダおよび有機溶剤を混合させたペースト(印刷インク)を、スクリーン印刷法、グラビア印刷法といった方法によって印刷して形成することができる。有機バインダとしては、例えば、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン、ポリアクリルニトリル、ポリビニルアセタール、ポリアミド、ポリイミド、ジアクリルフタレート樹脂、セルロース系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、その他の熱可塑性樹脂や、これらの樹脂を構成する単量体の2種以上の共重合体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
第2引出し配線46および第2端子部47の材料としては、透明電極13の電極パターン42と同じ材料を採用しているが、特に限定するものではない。第2引出し配線46および第2端子部47の材料と透明電極13の電極パターン42の材料とが同じ場合には、第2引出し配線46および第2端子部47と電極パターン42とを同時に形成することができる。第2端子部47は、単層構造に限らず、2層以上の積層構造を有していてもよい。
本実施形態の有機EL素子300では、反射電極11の膜厚を80〜200nm、発光層32の膜厚を60〜200nm、ホール輸送層33の膜厚を5〜30nm、ホール注入層34の膜厚を10〜60nm、導電性高分子層39の膜厚を200〜400nmにそれぞれ設定している。これらの数値は一例であり、特に限定するものではない。
電極パターン42は、図36に示すように、格子状(網状)に形成されており、複数(例えば6×6=36)の開口部41を有している。図36に示す電極パターン42は、平面視における各開口部41の各々の形状が正方形状である正方格子状の形状を有しているが、これに限定されるものではない。
透明電極13における正方格子状の電極パターン42の寸法の一例として、電極パターン42における電極部44の線幅L1(図37参照)を1μm〜100μm、高さH1(図37参照)を50nm〜100μm、ピッチP1(図37参照)を100μm〜2000μmとすればよい。ただし、電極パターン42における電極部44の線幅L1、高さH1およびピッチP1それぞれの数値範囲は、上記の範囲に限定するものではなく、反射電極11、素子部1の平面サイズに基づいて適宜設定すればよい。ここで、電極パターン42における電極部44の線幅L1については、発光層32から出射された光の利用効率の観点からは狭い方が好ましく、透明電極13の低抵抗化によって輝度むらを低減するという観点からは広い方が好ましい。したがって、電極部44の線福L1は、有機EL素子300の平面サイズや要求される性能に基づいて適宜設定すればよい。電極部44の高さH1については、透明電極13の低抵抗化の観点、電極パターン42をスクリーン印刷法などの塗布法により形成する際の電極パターン42の材料の使用効率の観点、および有機層30から放射される光の放射角の観点などの種々の観点から設定され得る。高さH1は、例えば100nm以上10μm以下に設定され得るが、これに限られない。
カバー基板として機能する封止基板80は、例えばガラス基板であるが、これに限らず、プラスチック板などの他の材料を用いてもよい。ガラス基板の材料としては、例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラスなどを採用することができる。プラスチック板の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネートを採用することができる。なお、基板10がガラス基板によって構成されている場合には、基板10と同じ材料のガラス基板によって封止基板80を構成することが好ましい。
封止基板80は、可視光についての全光線透過率が例えば70%以上であることが好ましが、この限りではない。有機EL素子300の光取り出し効率の向上の観点からは、封止基板80の全光線透過率が大きいほうが好ましい。なお、全光線透過率の測定法としては、例えば、ISO 13468−1で規定されている測定法を採用することができる。
本実施形態では平板状の封止基板80を用いているが、他の形状のものを用いてもよい。例えば、基板10に対向するように、素子部1を収納する収納凹所を形成したものを配置し、収納凹所の周部を全周に亘って基板10側と接合するようにしてもよい。このような構成では、別部材のフレーム部95を用いる必要がなくなるという利点がある。一方、平板状の封止基板80と枠状のフレーム部95とを別部材によって構成した場合、封止基板80に要求される光学的な物性(光透過率、屈折率など)と、フレーム部95に要求される物性(ガスバリア性など)との両方の要求を満たす材料を採用することができるという利点がある。
本実施形態では、フレーム部95と基板10の電極側表面側とを接合する接合材料(「第1の接合材料」と称する。)として、エポキシ樹脂を用いているが、これに限らず、例えば、アクリル樹脂などを採用してもよい。第1の接合材料として用いられるエポキシ樹脂やアクリル樹脂は、例えば、紫外線硬化型のものでもよいし、熱硬化型のものでもよい。また、接合材料として、エポキシ樹脂にフィラー(例えば、シリカ、アルミナなど)を含有させたものを用いてもよい。フレーム部95は、フレーム部95における基板10に対向する面が全周に亘って気密になるように基板10の電極側表面に接合されている。
フレーム部95と封止基板80とを接合する接合材料(「第2の接合材料」と称する。)として、本実施形態ではエポキシ樹脂を用いているが、これに限らず、例えば、アクリル樹脂やフリットガラスなどを採用してもよい。第2接合材料として用いられるエポキシ樹脂やアクリル樹脂は、例えば、紫外線硬化型のものでもよいし、熱硬化型のものでもよい。また、第2接合材料として、エポキシ樹脂にフィラー(例えば、シリカ、アルミナなど)を含有させたものを用いてもよい。フレーム部95は、フレーム部95における封止基板80に対向する面が全周に亘って気密になるように封止基板80に接合されている。
絶縁層60の材料としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂などの光硬化性樹脂に吸湿剤を含有させたものを用いることができる。吸湿剤としては、例えばアルカリ土類金属の酸化物や硫酸塩を用いることができる。アルカリ土類金属の酸化物としては、例えば、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウムなどが挙げられる。硫酸塩としては、例えば、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸ガリウム、硫酸チタン、硫酸ニッケルなどが挙げられる。吸湿剤としては、上記のもの以外にも、例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化銅、酸化マグネシウムなどの無機化合物を用いることができる。あるいは、例えばシリカゲルやポリビニルアルコールなどの吸湿性を有する化合物を用いてもよい。吸湿剤の材料は特に限定されないが、これらの中でも、酸化カルシウム、酸化バリウム、シリカゲルなどが特に好適に用いられ得る。絶縁層60中の吸湿剤の含有率は、特に限定されない。
有機層30と反射電極11との界面の凹凸構造130は、配列方向に同種の構造が所定回数以上連続しないようにランダム性が調整されたパターンで形成されている。凹凸構造130は、例えば図23A、図24A、および図27Bのいずれかのパターンで形成することができる。また、これらとは異なるパターンで形成されていてもよい。図32A、図32Bに例示されるように、有機層112と透明電極113との界面にも同様の凹凸構造が形成されていてもよい。
上述の実施形態で説明した有機EL素子は、例えば、照明用の有機EL素子として好適に用いることができるが、照明用に限らず、他の用途に用いることも可能である。
なお、上述の実施形態において説明した各図は、模式的なものであり、各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が、必ずしも実際のものの寸法比を反映しているとは限らない。
(実施例1)
実施例1として、図35に示す有機EL素子300を製造した。この実施例1の有機EL素子300の製造条件は、以下の通りである。実施例1の有機EL素子300の製造にあたっては、まず、基板10を用意した。
この基板10の一表面上に、真空蒸着法により、膜厚が120nmのアルミニウム膜からなる反射電極11(陰極)を形成する第1工程を行った。この際、図24Aに示すような正方形を基本の断面形状とする凹凸パターン130を反射電極11の表面に形成した。凹凸の正方形の大きさwは0.8nm、高さは60nmに設定した。
第1工程の後には、有機層30を形成する第2工程を行った。第2工程では、発光層32、ホール輸送層33、ホール注入層34を順次形成した。
発光層32の形成にあたっては、まず、赤色高分子材料(アメリカンダイソース社製の「Light Emitting polymer ATS111RE」)をTHF溶媒に1wt%になるよう溶解した溶液を、反射電極11上に膜厚が約200nmになるようにスピンコーターで塗布した。次に、100℃で10分間の焼成を行うことにより、発光層32を得た。この発光層32の屈折率は約1.8である。
ホール輸送層33の形成にあたっては、まず、TFB(アメリカンダイソース社製の「Hole Transport Polymer ADS259BE」)をTHF溶媒に1wt%になるよう溶解した溶液を発光層32上に膜厚が約12nmになるようにスピンコーターで塗布してTFB被膜を作製した。次に、このTFB被膜を200℃で10分間の焼成を行うことにより、ホール輸送層33を得た。このホール輸送層33の屈折率は約1.8である。
ホール注入層34の形成にあたっては、まず、ホール輸送層33上にPEDOT−PSS(HERAEUS社製の「CLEVIOUS P VP AI4083」、PEDOT:PSS=1:6)とイソプロピルアルコールを1:1で混合した溶液をPEDOT−PSSの膜厚が約100nmになるようにスピンコーターで塗布した。次に、150℃で10分間の焼成を行うことにより、ホール注入層34を得た。このホール注入層34の屈折率は約1.5である。
第2工程の後には、導電性高分子層39を形成する第3工程を行った。この第3工程では、高導電タイプのPEDOT−PSS(HERAEUS社製の「CLEVIOUS SHT」)をスクリーン印刷法により塗布した後、130℃で30分間、窒素雰囲気下において熱処理することにより、導電性高分子層39を得た。この導電性高分子層39の屈折率は、約1.43である。
第3工程の後には、絶縁層60を形成する第4工程を行った。この第4工程では、スクリーン版をマスクとして、イミド系樹脂(OPTMATE製の「HRI1783」、屈折率が1.78、濃度が18%)を塗布してから、130℃で30分間、窒素雰囲気下において熱処理することにより、絶縁層60の膜を形成した。
第4工程の後には、電極パターン42を形成する第5工程を行った。この第5工程では、線幅が50μm、スペース幅が500μmのスクリーン版をマスクとしてAgペーストを塗布してから、130℃で30分間、窒素雰囲気下において熱処理することで、電極パターン42を形成した。この際、絶縁層60と電極パターン42とが互いの厚さ方向において重なるようにアライメントを行って電極パターン42を形成した。第5工程で用いるスクリーン版には、第1引出し配線、第1端子部、第2引出し配線46および第2端子部47それぞれを形成するための開孔部が形成されている。このため、第5工程では、電極パターン42だけでなく、第1引出し配線、第1端子部、第2引出し配線46、および第2端子部47も形成される。実施例1の有機EL素子300では、導電性高分子層39と電極パターン42とからなる透明電極13が陽極を構成している。
実施例1の有機EL素子300の製造にあたっては、第5工程までが終了した後に、第6工程を行った。第6工程では、まず、基板10を露点−80℃以下のドライ窒素雰囲気のグローブボックス内へ大気に暴露することなく搬送した。一方、封止基板80とフレーム部95とを一体に備えた無アルカリガラス製の封止キャップのフレーム部95に紫外線硬化型のエポキシ樹脂製のシール剤を塗布したものを用意した。そして、グローブボックス内で、封止キャップと基板10とで素子部1を囲むように封止キャップを基板1にシール剤で張り合わせることにより、有機EL素子300を得た。
(比較例1)
比較例1として、実施例1の有機EL素子300から凹凸構造130を省いた有機EL素子を作製した。比較例1の作製条件は、凹凸構造130がないことを除いて、実施例1における作製条件と同一である。
<実験による検証結果>
実施例1と、比較例1とを作製し、それぞれの有機EL素子について、光取り出し効率を測定したところ、下記の表2に示す結果が得られた。
Figure 2015144110
表2では、「光取り出し効率比」として、比較例1の有機EL素子の光取り出し効率を1.0としたときの実施例1の有機EL素子の光取り出し効率の相対値を記載している。光取り出し効率の測定にあたっては、実施例1および比較例1のそれぞれの有機EL素子の第2端子部47と第1端子部との間に、DC電源(ケースレイ社製の2400)を用いて電流密度が10mA/cm2の定電流を流し、出射される全放射束を積分球により計測し、その計測結果に基づいて光取り出し効率を求めた。また、光取出し効率の測定にあたっては、実施例1および比較例1それぞれの有機EL素子の第2端子部47と第1端子部との間に、DC電源(ケースレイ社製の2400)から電流密度が10mA/cm2の定電流を流し、0°〜80°の角度方位での発光輝度を輝度計(トプコン社製のSR−3)で測定することで算出した。
表2から、実施例1の有機EL素子では、比較例1の有機EL素子に比べて、光取り出し効率が1.61倍に向上していることがわかる。
また、比較例2として、実施例1の有機EL素子300における凹凸構造130を周期パターンを有する回折格子に変更した有機EL素子を作製した。凹凸の周期は1μm、高さは60nmとした。図38に実施例1と比較例2の視野角依存性を示す。図24Aに示すランダム構造を用いた実施例1では、なだらかな視野角特性が得られている。一方、回折格子を用いた比較例2では、角度によって強度が急峻に変化している。このように、実施例1では視野角依存性が改善していることを確認できる。また、ランダム構造の方が回折格子よりも高い取り出し効率が得られた。
図39は、実施例1および比較例2のそれぞれにおける比較例1と比較したときのスペクトルの増強率を測定した結果を示す図である。ここでは、凹凸構造がない比較例1における各波長成分の強度を基準として、実施例1および比較例2のそれぞれにおけるスペクトルの増強割合を計算した。図示されるように、回折格子を用いた比較例2では、波長630nm付近のみスペクトルが増強されているのに対して、ランダム構造を有する実施例1では、スペクトルの広い領域に亘ってスペクトルが増強されている。これは、図24Aのようなランダム構造が比較的広い周波数成分を有しているからである。
次に、図22に示すような完全にランダムなパターンと、図24Aに示す制限されたランダムパターン(低周波除去構造)との比較結果を説明する。図40は、それぞれのパターンについて、構造のサイズwに対する発光量の割合を計算した結果を示す図である。図示されるように、wが300nm〜約3.0μmの範囲で図24Aに示すパターンの方が改善効果が大きい。前述のように、図24Aに示す構成において、表面プラズモンの抑制に好適なwの範囲は100nm以上1500nm以下であるため、wが300nm以上1500nm以下の範囲では、低周波除去構造による表面プラズモン抑制効果と、発光量の増加の効果とを同時に得ることができる。ただし、wは、この範囲に限定されず、100nm以上3000nm以下であれば、比較的高い発光量を実現することができる。
図41は、図24Aに示す低周波除去構造における凹凸の高さに対する発光量割合の依存性を示すグラフである。ここでは、w=500nmとして計算を行った。図6に示す周期構造についての結果と同様、凹凸の高さが100nm程度以上であれば、発光量の割合はほぼ一定となり、プラズモンの発生をほぼ抑制できる。ただし、凹凸構造に隣接する有機層の各層の厚さよりも凹凸構造の段差の方が大きくなって電流のリークパスが生じないように、凹凸構造の高さは、典型的には100nm以下に設定され得る。
上記態様によれば、表面プラズモンの影響を抑制することで発光効率を向上させながら、色むらや輝度むらの少ない発光装置を提供することができる。
本願に開示された発光装置は、フラットパネルディスプレイ、液晶表示装置用バックライトおよび照明用光源等の発光装置として広く利用することができる。
11 反射電極
12 有機層
13 透明電極
14 基板
16 低屈折率層
17 高屈折率層
18 透明積層体
19 発光素子
20 第2の凹凸構造
30 機能層(有機層)
31 基板
32 発光層
33 ホール輸送層
34 ホール注入層
39 導電性高分子層
40 凹凸構造
41 開口部
42 電極パターン
44 電極部
46 第2引出し配線
47 第2端子部
50 第1の凹凸構造
51 第1の凹凸構造
60 絶縁層
61 円
62 楕円
80 封止基板
90 樹脂層
95 フレーム部
100 有機EL素子
101 発光装置
102 発光装置
111 反射電極
111a 界面
112 有機層
113 透明電極
114 基板
115 発光点
116 低屈折率層
117 高屈折率層
120 周期的な凹凸構造
130 ランダム性を有する凹凸構造
150 第1の凹凸構造
151 第1の単位構造体
152 第2の単位構造体
161 第1の単位構造体
162 第2の単位構造体
200 発光装置
300 有機EL素子

Claims (12)

  1. 透明電極と、反射電極と、前記透明電極および前記反射電極に挟まれており、発光層を有する有機層とを含む発光素子と、
    低屈折率層と高屈折率層とを含み、前記高屈折率層が前記透明電極と接するように前記発光素子に設けられた透明積層体と、
    前記低屈折率層と前記高屈折率層との界面に設けられた第1の凹凸構造と、
    前記反射電極と前記有機層との界面に設けられた第2の凹凸構造と
    を備え、
    前記第1の凹凸構造の凹部に対する凸部の高さは400nm以上であり、
    前記第2の凹凸構造の凹部に対する凸部の高さは20nm以上100nm以下である、発光装置。
  2. 前記第1の凹凸構造は、複数の凹部と複数の凸部とが2次元に周期的に配列された形状を有し、前記第1の凹凸構造の平均周期は、800nm以上6μm以下である請求項1に記載の発光装置。
  3. 前記第1の凹凸構造が、複数の凹部と複数の凸部とが2次元的にランダムに配列された凹凸形状を有する請求項1に記載の発光装置。
  4. 前記第1の凹凸構造において、前記複数の凹部および前記複数の凸部の各々に内接する楕円の短辺の長さの最小値をwとするとき、前記凹凸形状のパターンの周期成分のうち、2wよりも大きな成分が、前記複数の凹部および前記複数の凸部をランダムに並べた場合と比較して抑制されている請求項3に記載の発光装置。
  5. 前記第1の凹凸構造の前記wは400nm以上3μm以下である、請求項3に記載の発光装置。
  6. 前記第2の凹凸構造は、複数の凹部と複数の凸部とが2次元に周期的に配列された形状を有する
    請求項1から5のいずれかに記載の発光装置。
  7. 前記第2の凹凸構造は、複数の凹部と複数の凸部とが2次元的にランダムに配列された凹凸形状を有する請求項1から5のいずれかに記載の発光装置。
  8. 前記第2の凹凸構造における前記複数の凹部および前記複数の凸部の各々に内設する楕円の短辺の長さの最小値をwとするとき、前記第2の凹凸構造におけるパターンの周期成分のうち、2wよりも大きい成分が、前記複数の凹部および前記複数の凸部をランダムに並べた場合と比較して抑制されている、請求項7に記載の発光装置。
  9. 前記第2の凹凸構造の前記wは、100nm以上3000nm以下である、請求項7または8に記載の発光装置。
  10. 前記第2の凹凸構造は、予め定められた個数以上の凹部または凸部が、配列方向に連続しないように構成されている、請求項7から9のいずれかに記載の発光装置。
  11. 前記第1の凹凸構造と前記第2の凹凸構造のパターンが等しい、請求項1から10のいずれかに記載の発光装置。
  12. 前記有機層の複素誘電率をεorg、前記反射電極の複素誘電率をεmetal、平均発光周波数をω、真空中の光速をcとするとき、前記第2の凹凸構造の平均周期は、
    Figure 2015144110
    よりも小さい、請求項1から11のいずれかに記載の発光装置。
JP2014190216A 2013-12-25 2014-09-18 発光装置 Pending JP2015144110A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014190216A JP2015144110A (ja) 2013-12-25 2014-09-18 発光装置
US14/570,015 US9214649B2 (en) 2013-12-25 2014-12-15 Light-emitting device

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013267351 2013-12-25
JP2013267351 2013-12-25
JP2013267350 2013-12-25
JP2013267350 2013-12-25
JP2014190216A JP2015144110A (ja) 2013-12-25 2014-09-18 発光装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2015144110A true JP2015144110A (ja) 2015-08-06

Family

ID=53401073

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014190216A Pending JP2015144110A (ja) 2013-12-25 2014-09-18 発光装置

Country Status (2)

Country Link
US (1) US9214649B2 (ja)
JP (1) JP2015144110A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20180063067A (ko) * 2015-09-29 2018-06-11 닛토덴코 가부시키가이샤 플렉시블 발광 디바이스, 조명 장치 및 화상 표시 장치
JP2018092767A (ja) * 2016-12-01 2018-06-14 凸版印刷株式会社 有機el素子、ならびに、当該有機el素子を含む照明装置、面状光源、および表示装置
US11036073B2 (en) 2017-08-08 2021-06-15 Samsung Electronics Co., Ltd. Optical member, polarization member, and display device

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102760841B (zh) * 2012-07-11 2014-11-26 深圳市华星光电技术有限公司 有机发光二极管器件及相应的显示装置
KR20160070142A (ko) * 2013-11-13 2016-06-17 파나소닉 아이피 매니지먼트 가부시키가이샤 유기 전계 발광 소자, 조명 장치 및 표시 장치
CN105118934B (zh) * 2015-09-17 2017-03-15 京东方科技集团股份有限公司 不平坦粒子层制备方法、有机电致发光器件和显示装置
CN106992268A (zh) * 2017-04-28 2017-07-28 京东方科技集团股份有限公司 一种有机发光二极管器件及其制造方法、显示装置
KR102605887B1 (ko) * 2018-05-08 2023-11-23 엘지디스플레이 주식회사 발광 표시 장치
CN109886163B (zh) * 2019-01-30 2021-08-06 武汉华星光电半导体显示技术有限公司 具有指纹辨识功能的显示装置及其制造方法
CN113658521B (zh) * 2021-08-26 2023-06-02 业成科技(成都)有限公司 薄膜显示器

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006236748A (ja) 2005-02-24 2006-09-07 Konica Minolta Holdings Inc 有機電界発光装置
JP2007234254A (ja) 2006-02-27 2007-09-13 Sanyo Electric Co Ltd 有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法
KR100818270B1 (ko) 2006-06-23 2008-03-31 삼성전자주식회사 유기전계발광소자 및 그 제조방법
JP2009009861A (ja) 2007-06-28 2009-01-15 Tokyo Institute Of Technology 有機el素子及びその製造方法
US8389303B2 (en) 2008-07-25 2013-03-05 Tokyo Institute Of Technology Organic EL element and method of manufacturing the same
JP5711726B2 (ja) 2010-04-22 2015-05-07 出光興産株式会社 有機エレクトロルミネッセンス素子及び照明装置
CN103097098B (zh) * 2010-09-30 2015-11-25 三菱丽阳株式会社 表面具有微细凹凸构造的模具、表面具有微细凹凸构造的物品制造方法、物品用途、体现色彩差异的层积体以及面发光体
JP5821038B2 (ja) 2011-03-23 2015-11-24 パナソニックIpマネジメント株式会社 有機エレクトロルミネッセンス素子
CN103503571B (zh) 2011-06-28 2016-03-30 松下知识产权经营株式会社 有机电致发光元件
JP2013175403A (ja) 2012-02-27 2013-09-05 Panasonic Corp 有機エレクトロルミネッセンス素子

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20180063067A (ko) * 2015-09-29 2018-06-11 닛토덴코 가부시키가이샤 플렉시블 발광 디바이스, 조명 장치 및 화상 표시 장치
KR102648444B1 (ko) 2015-09-29 2024-03-15 닛토덴코 가부시키가이샤 플렉시블 발광 디바이스, 조명 장치 및 화상 표시 장치
JP2018092767A (ja) * 2016-12-01 2018-06-14 凸版印刷株式会社 有機el素子、ならびに、当該有機el素子を含む照明装置、面状光源、および表示装置
US11036073B2 (en) 2017-08-08 2021-06-15 Samsung Electronics Co., Ltd. Optical member, polarization member, and display device

Also Published As

Publication number Publication date
US9214649B2 (en) 2015-12-15
US20150179977A1 (en) 2015-06-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9214649B2 (en) Light-emitting device
JP5866552B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子及びそれを用いた照明装置
JP5830194B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子及びそれを用いた照明装置
JP5520418B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP6089338B2 (ja) 有機el素子及びその製造方法
JP5887540B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP5991626B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP5810319B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP5991627B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP2013161682A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP2015095383A (ja) 発光装置
JP2015118863A (ja) 発光素子及びそれを用いた照明装置
JP2013097966A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP2012243622A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP2013030334A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP2013008624A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP2015222697A (ja) 有機発光素子及びそれを用いた照明装置
WO2012176584A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP2012243623A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
WO2012161113A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
WO2012161057A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
WO2013001958A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP2013008625A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP2013030306A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
WO2015097971A1 (ja) 発光装置