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JP2015017340A - 工業用二層織物 - Google Patents

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JP2015017340A JP2013146050A JP2013146050A JP2015017340A JP 2015017340 A JP2015017340 A JP 2015017340A JP 2013146050 A JP2013146050 A JP 2013146050A JP 2013146050 A JP2013146050 A JP 2013146050A JP 2015017340 A JP2015017340 A JP 2015017340A
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Abstract

【課題】工業用二層織物における内部摩耗を抑制し、脱水マークの発生を軽減し、表面平滑性、ろ水性を向上させる。
【解決手段】上面側経糸と隣接する下面側経糸とを一組とした場合、少なくとも片方の経糸が上面側織物と下面側織物とを接合する機能を有する経糸接結糸である第一の経糸対3Ub、3Lb、4Ub、4Lbと、経糸接結糸を有しない第二の経糸対1U、1Lとを有し、第一の経糸対及び第二の経糸対とが完全組織中に4組以上配置され、第一の経糸対及び第二の経糸対とが2組以上隣接して配置された構成を有する。特に第一の経糸対を構成する接結糸の少なくとも1本が上面側織物上に連続して複数のナックルを形成している箇所を有しており、当該箇所に隣接する箇所に隣接している第一の経糸対における接結糸の連続しない単一のナックル又は隣接する第一の経糸対における接結糸の連続した複数のナックルの端部が配置されている。
【選択図】図3

Description

本発明は、経糸接結糸を有する工業用二層織物に関し、特に内部摩耗を抑制し、脱水マークを軽減すると共に表面平滑性に優れた工業用二層織物に関する。
従来から工業用織物として経糸、緯糸で製織したものが広く使用されており、例えば製紙用織物や搬送用ベルト、ろ布等があり、それぞれ用途や使用環境に適した織物特性が要求されている。これらの織物のうち、織物の網目を利用して原料の脱水等を行う製紙工程で使用される抄紙用織物での要求は特に厳しい。例えば、紙に織物の脱水マークが転写しにくい表面平滑性に優れた織物、また原料に含まれる余分な水分を十分且つ均一に脱水するための脱水性、過酷な環境下でも好適に使用できる程度の剛性、耐摩耗性を持ち合わせ、更に良好な紙を製造するために必要な条件を長期間持続することのできる織物が要求されている。その他にも繊維支持性、製紙の歩留まりの向上、寸法安定性、走行安定性等が要求されている。さらに近年では抄紙マシンが高速化しているため、それに伴い抄紙用織物への要求も一段と厳しいものとなっている。
工業用織物の中でも最も要求が厳しい抄紙用織物について説明すれば、現行のほとんどの工業用織物の要求とその解決について理解できる。そこで、以下、抄紙用織物を一例に挙げて説明する。
上面側織物と下面側織物を接結糸によって接合した工業用二層織物では、抄紙マシンで走行中に上面側織物と下面側織物との接触箇所で摩耗が生じることが知られていた。
特に近年では抄紙マシンの高速化に伴い、内部摩耗の発生が増大していた。内部摩耗が発生すると、織物の内部における糸の表面が毛羽立つことより、網の通気度が低下してしまい、脱水速度が低下する原因となってしまう。
このような内部摩耗を防ぐ方法としては、上面側織物と下面側織物との密着力を上げる方法が知られている。例えば、上面側織物と下面側織物との密着力を上げる方法としては、接結糸の径を太くするか、接結糸の本数を増やす方法がある(特許文献1を参照。)。例えば、接結糸の本数を増やし、完全組織における接結比率を上げれば、上面側織物と下面側織物とを接結する糸が増加するため、密着力が向上することになる。
しかし、上述の方法によって、接結比率を上げると、上面側織物において脱水マークが発生しやすくなる。すなわち、経糸接結糸を含む工業用二層織物は、上面側経糸において上面側織物上にナックルを形成する箇所でナックルを形成せず、下面側経糸が上面側織物上にナックルを形成する構造が一般的である(特許文献2参照)。このように上面側経糸のナックルを下面側経糸で補完している箇所では、上経側経糸が崩しとなっていることから、実質的に経糸密度が2倍になっている。経糸密度が増えることから、その部分が脱水阻害箇所になる。そして、このような織物の構造において接結糸の本数を増やし接結比率を上げると、脱水阻害箇所が均等に並ぶことになり、その並びの形状によって脱水阻害ラインが形成されことから、抄紙の表面に脱水マークが形成されることになる。
ここで、接結糸による脱水阻害箇所を密集させないため、完全組織における緯糸の本数を増やす方法により、完全組織における縦方向を長く形成する方法が考えられる。このような構造によって、脱水阻害箇所の密度を低下させることができる。一方、このような構造を通常の組織に採用すると、1本の接結糸が上面側織物上に連続して複数のナックルを形成することになる。
そして1本の接結糸が上面側織物上に連続して複数のナックルを形成する組織の場合は、織物の形状が連続する複数のナックルの中央部を頂点とした山形の形状となることが知られている。
例えば、図1(a)では、経糸1が緯糸1’と3’において上面側織物上にナックルを形成している。このような織構造では、矢印方向に応力がかかるため、中央部に位置する緯糸2’を頂点とした山形の形状となる。又、図1(b)では、経糸2が緯糸1’、2’、5’、6’、9’、10’において上面側織物上にナックルを形成している。このような織構造では、矢印方向に応力がかかるため、中央部に位置する緯糸5’、6’を頂点とした山形の形状となる。更に、図1(c)では、経糸3が緯糸1’、5’、9’、13’において上面側織物上にナックルを形成している。このような織構造では、矢印方向に応力がかかるため、中央部に位置する緯糸7’を頂点とした山形の形状となることが分かった。
上述の如く山形に突出した部位が均等に並ぶことにより、脱水マークに加えて更に織物における表面平滑性を悪化させる原因となっているのである。
上述した問題点が現状の工業用二層織物には存在するが、これらの問題点は接結比率を下げることで解消される。しかし、接結比率を下げると上述の如く、上面側織物と下面側織物との密着力が低下することから内部摩耗が発生する。すなわち、接結比率と密着力とはトレードオフの関係にあると言える。
そして、上述した内部摩耗、脱水マーク及び表面平滑性といった要求特性を全て満足させる組織は今までに存在しなった。
特開2001−98483号公報 特開2003−342889号公報
本発明は、工業用二層織物における内部摩耗を抑制すると共に、脱水マークの発生を軽減するとともに、表面平滑性、ろ水性に優れた工業用二層織物を提供することを目的とする。
本発明は、接結比率と内部摩耗というトレードオフの関係にある問題点に着目して開発されたものである。すなわち本発明は、上記従来技術の課題を解決するために、以下の構成を採用した。
(1)上面側経糸と上面側緯糸とからなる上面側織物と、下面側経糸と下面側緯糸とからなる下面側織物とを接結糸によって接合する工業用二層織物における16シャフト以上の完全組織において、上面側経糸と隣接する下面側経糸とを一組とした場合、少なくとも片方の経糸が上面側織物と下面側織物とを接合する機能を有する経糸接結糸である第一の経糸対と、経糸接結糸を有しない第二の経糸対とを有し、第一の経糸対及び第二の経糸対とが夫々完全組織中に4組以上配置され、第一の経糸対及び第二の経糸対とが夫々2組以上隣接して配置された構成を有することを特徴とする工業用二層織物である。
(2)前記2組以上隣接して配置された第一の経糸対が、第一の経糸対を構成する接結糸の少なくとも1本が上面側織物上に連続して複数のナックルを形成している箇所を有しており、当該箇所に隣接する箇所に、隣接している第一の経糸対における接結糸の連続しない単一のナックル又は隣接する第一の経糸対における接結糸の連続した複数のナックルの端部、が配置されていることを特徴とする上記(1)に記載された工業用二層織物である。
(3)前記2組以上隣接して配置された第一の経糸対が、第一の経糸対を構成する全ての経糸が接結糸であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載された工業用二層織物である。
(4)前記2組以上隣接して配置された第一の経糸対において、一つの組の第一の経糸対における経糸が全て接結糸で構成され、他の組の第一の経糸対における片方の経糸が接結糸で構成されていることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載された工業用二層織物である。
本発明は、工業用二層織物における内部摩耗を抑制すると共に、脱水マークの発生を軽減する効果を奏する。また、表面平滑性、ろ水性に優れた工業用二層織物を提供するという効果を奏する。
織物が連続する複数のナックルの中央部を頂点とした山形の形状となることを説明する概念図である。 本発明の工業用二層織物に係る実施形態1の完全組織を示す意匠図である。 図2に示した実施形態1における経糸方向の断面概念図である。 本発明の工業用二層織物に係る実施形態2の完全組織を示す意匠図である。 図4に示した実施形態2における経糸方向の断面概念図である。 本発明の工業用二層織物に係る実施形態3の完全組織を示す意匠図である。 図6に示した実施形態3における経糸方向の断面概念図である。 本発明の工業用二層織物に係る実施形態4の完全組織を示す意匠図である。 図8に示した実施形態4における経糸方向の断面概念図である。 本発明の工業用二層織物に係る実施形態5の完全組織を示す意匠図である。 図10に示した実施形態5における経糸方向の断面概念図である。 本発明の工業用二層織物に係る実施形態6の完全組織を示す意匠図である。 図12に示した実施形態6における経糸方向の断面概念図である。 従来の工業用二層織物に係る比較例1の完全組織を示す意匠図である。 図14に示した比較例1における経糸方向の断面概念図である。 比較例1と実施形態1に係る工業用二層織物における上面側表面の表面転写マークを表わしたものである。(a)は比較例1に係る工業用二層織物における上面側表面、(b)は実施形態1に係る工業用二層織物における上面側表面を表わす。
以下、本発明に係る工業用二層織物について詳細に説明する。
本発明に係る工業用二層織物における完全組織は、上面側経糸と隣接する下面側経糸とを一組とした場合、少なくとも片方の経糸が上面側織物と下面側織物とを接合する機能を有する経糸接結糸である第一の経糸対と、経糸接結糸を有しない第二の経糸対とを有し、第一の経糸対及び第二の経糸対とが夫々完全組織中に4組以上配置され、第一の経糸対及び第二の経糸対とが夫々2組以上隣接して配置された構成を有している。本発明に係る工業用二層織物における完全組織は16シャフト以上を前提としている。
ここで第一の経糸対とは、2本の経糸を組み合わせて形成されている。かかる2本の経糸のうち少なくとも1本が経糸接結糸であることを要する。もちろん、第一の経糸対を2本の経糸接結糸で形成しても良い。また、第一の経糸対は、完全組織中において2組以上隣接して配置されていることが特徴である。
2組以上隣接して配置された第一の経糸対は、第一の経糸対を構成する全ての経糸が接結糸であっても良い。または、一つの組の第一の経糸対における経糸が全て接結糸で構成され、他の組の第一の経糸対における片方の経糸が接結糸で構成されていても良い。
このように第一の経糸対を一つの完全組織中で隣接して配置し、第一の経糸対同士の間に、経糸接結糸を有しない第二の経糸対を配置することによって、上面側織物と下面側織物との密着力を向上させると共に、内部摩耗を抑制することができる。また、経糸接結糸を含まない第二の経糸対を2組以上隣接して配置することによって、ろ水性を向上することができる。すなわち、本発明に係る工業用二層織物は、上記の構成を採用することによって、内部摩耗を抑制し織物の内部における耐摩耗性を向上させると共に脱水性を向上させることができる。
さらに本発明に係る工業用二層織物における完全組織の第二の形態は、2組以上隣接して配置された第一の経糸対が、第一の経糸対を構成する接結糸の少なくとも1本が上面側織物上に連続して複数のナックルを形成している箇所を有しており、当該箇所に隣接する箇所に、隣接している第一の経糸対における接結糸の連続しない単一のナックル又は隣接する第一の経糸対における接結糸の連続した複数のナックルの端部、が配置されていることを特徴とする。
図1に示す如く、織構造では、上面側織物上にナックルを形成している部分において、ナックルの中央部分は凸状となり、ナックルの端の部分は凹状となり、凹凸形状が形成されてしまう。これでは織物の要求特性である表面平滑性を得ることができない。
第一の経糸対を構成する接結糸の少なくとも1本が上面側織物上に連続して複数のナックルを形成している箇所では、複数のナックルを形成する中央の緯糸を頂点とした山形の形状となる。このような山形の形状が発生し得る箇所に、他の第一の経糸対を配置する。そして、一の経糸対の山形形状となる箇所において、隣接する他の経糸対の単一のナックル又は連続した複数のナックルの端部が配置されるように織構造を形成する。
このような織構造を採用することによって、第一の経糸対において発生する凹凸形状を、隣接する他の経糸対との応力関係によって打ち消しあうことができる。そのため、紙に対して織物の脱水マークの転写を抑止し、表面平滑性を良好なものとすることができる。
本実施形態に使用される糸は用途によって選択すればよいが、例えば、モノフィラメントの他、マルチフィラメント、スパンヤーン、捲縮加工や嵩高加工等を施した一般的にテクスチャードヤーン、バルキーヤーン、ストレッチヤーンと称される加工糸、あるいはこれらを撚り合わせる等して組み合わせた糸が使用できる。また、糸の断面形状も円形だけでなく四角形状や星型等の短形状の糸や楕円形状、中空等の糸が使用できる。また、糸の材質としても、自由に選択でき、ポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリフッ化ビニリデン、ポリプロ、アラミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンナフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、綿、ウール、金属等が使用できる。もちろん、共重合体やこれらの材質に目的に応じてさまざまな物質をブレンドしたり含有させた糸を使用しても良い。抄紙用ワイヤーとしては一般的には、上面側経糸、下面側経糸、下縦糸接結糸、上面側緯糸には剛性があり、寸法安定性に優れるポリエステルモノフィラメントを用いるのが好ましい。また、耐摩耗性が要求される下面側緯糸にはポリエステルモノフィラメントとポリアミドモノフィラメントを交互に配置する等、交織するのが剛性を確保しつつ耐摩耗性を向上できて好ましい。
以下、本発明に係る工業用二層織物の実施形態を説明する。以下に示す実施形態は、本発明の一例であって、本発明を限定するものではない。
本発明の工業用二層織物に係る実施形態を図面に則して説明する。図2〜図13は本発明の工業用二層織物に係る実施形態1〜6を示す意匠図である。意匠図とは織物組織の最小の繰り返し単位であって、この完全組織が上下左右につながって織物全体の組織が形成される。意匠図において、経糸はアラビア数字、例えば1、2、3・・・で示した。本実施形態では少なくとも1本が接結機能を有する経糸(b)を含む第一の経糸対と、経糸接結糸(b)を有しない上面側経糸と下面側経糸からなる第二の経糸対がある。緯糸はダッシュを付したアラビア数字、例えば1’、2’、3’・・・で示した。配置比率によって上面側緯糸と下面側緯糸が上下に配置されている場合と、上面側緯糸のみの場合がある。また、×印は上面側経糸が上面側緯糸の上側に位置していることを示し、▲印は下面側経糸接結糸が上面側緯糸の上側に位置していることを示し、■印は上面側経糸接結糸が上面側緯糸の上側に位置していることを示し、○印は下面側経糸が下面側緯糸の下側に位置していることを示し、△印は下面側接結糸が下面側緯糸の下側に位置していることを示し、□印は上面側経糸接結糸が下面側緯糸の下側に位置していることを示す。
上面側経糸と下面側経糸、および上面側緯糸と下面側緯糸は上下に重なって配置されているところがある。緯糸については配置比率から一部上面側緯糸の下に下面側緯糸が配置されていないところもある。意匠図では糸が上下に正確に重なって配置されることになっているが、これは図面の都合上であって実際の織物ではずれて配置されても構わない。
実施形態1
図2は本発明の工業用二層織物に係る実施形態1の完全組織を示す意匠図である。経糸接結糸を有しない上面側経糸(1U,2U,5U,6U)と下面側経糸(1L,2L,5L,6L)からなる第二の経糸対と、接結機能を有する上面側経糸接結糸(3Ub,4Ub,7Ub,8Ub)と下面側経糸接結糸(3Lb,4Lb,7Lb,8Lb)を含む第一の経糸対とがある。第一の経糸対は、3Ubと3Lb及び4Ubと4Lbの2組が隣接し、更に7Ubと7Lb及び8Ubと8Lbの2組が隣接し、完全組織中に4組が配置されている。第二の経糸対は、1Uと1L及び2Uと2Lの2組が隣接し、更に5Uと5L及び6Uと6Lの2組が隣接し、完全組織中に4組が配置されている。図2に示す如く第一の経糸対と第二の経糸対の2組同士は、交互に配置されており、合計16シャフトの織物である。なお、上面側緯糸と下面側緯糸の配置比率は2:1である。
上面側織物は経糸が1本の上面側緯糸の上、下を交互に通る1/1組織(平織組織)を形成している。第一の経糸対における経糸接結糸は、接結機能を有する経糸であり、上面側緯糸と下面側緯糸を織り込むことで上面側織物と下面側織物を接結する。一方の第二の経糸対の上面側経糸と下面側経糸は接結機能を持たない経糸である。
具体的には、図3に示す如く、第二の経糸対(1U,1L)の2本組のうち上面側経糸1Uは、上面側緯糸1’Uの下、上面側緯糸2’Uの上、上面側緯糸3’Uの下、上面側緯糸4’Uの上、上面側緯糸5’Uの下・・・を通り平織りとなっている。下面側経糸1Lは、下面側緯糸7’Lと15’Lの下を通っている。次に第一の経糸対(3Ub,3Lb)の2本組のうち下面側経糸接結糸3Lbは、平織の構成上、本来上側を通るはずの上面側緯糸6’U、8’U、10’U、12’Uの上側を通らず、上面側緯糸5’U,6’U,7’U,8’Uと下面側緯糸5’L,7’Lの間を通り、下面側緯糸9’Lの下側を通った後、上面側緯糸10’U,11’U,12’U,13’Uと下面側緯糸11’L,13’Lとの間を通り、次いで上面側緯糸14’Uと16’Uの上を通っている。一方、上面側経糸接結糸3Ubは、下面側経糸接結糸3Lbが本来上側を通るはずだった上面側緯糸6’U、8’U、10’U、12’Uの上側を通った後に、下面側緯糸1’Lの下側を通って平織組織を形成し、2本組となって経糸1本分の組織を形成している。その隣に配置される他の第一の経糸対(4Ub,4Lb)は、上記した第一の経糸対(3Ub,3Lb)と同様の組織を形成するが、上面側緯糸3本分シフトさせて平織組織を形成している。具体的には上面側経糸接結糸4Ubが上面側緯糸9’U,11’U,13’U,15’Uの上、下面側緯糸3’Lの下を通る平織組織を形成している。
本実施形態1では、第一の経糸対(3Ubと3Lb)が、第一の経糸対を構成する下面側経糸接結糸(3Lb)が上面側織物上に連続して複数のナックルを形成している箇所(上面側緯糸6’U,8’U,10’U,12’U)を有しており、当該箇所に隣接する箇所に、隣接している第一の経糸対(4Ubと4Lb)における接結糸の連続した複数のナックルの端部(7’U,9’U)が配置されている。
このような構造を採用することによって、図3に示す如く、第一の経糸対(3Ubと3Lb)においては、上面側緯糸9’Uを頂点として上方向へ応力がかかるが、隣接する第一の経糸対(4Ubと4Lb)では下方向へ応力がかかることから、互いの応力関係によって凹凸形状を打ち消しあうことができる。その他の部分においても、夫々凸部及び凹部が発生するが、隣接する経糸対における凹部及び凸部によって相互の凹凸形状を打ち消しあう構造となっている。そのため、紙に対して織物の脱水マークの転写を抑止し、表面平滑性を良好なものとすることができる。
実施形態2
図4は本発明の工業用二層織物に係る実施形態2の完全組織を示す意匠図である。経糸接結糸を有しない上面側経糸(1U,2U,5U,6U)と下面側経糸(1L,2L,5L,6L)からなる第二の経糸対と、接結機能を有する上面側経糸接結糸(3Ub,4Ub,7Ub,8Ub)と下面側経糸接結糸(3Lb,4Lb,7Lb,8Lb)を含む第一の経糸対とがある。第一の経糸対は、3Ubと3Lb及び4Ubと4Lbの2組が隣接し、更に7Ubと7Lb及び8Ubと8Lbの2組が隣接し、完全組織中に4組が配置されている。第二の経糸対は、1Uと1L及び2Uと2Lの2組が隣接し、更に5Uと5L及び6Uと6Lの2組が隣接し、完全組織中に4組が配置されている。図4に示す如く第一の経糸対と第二の経糸対の2組同士は、交互に配置されており、合計16シャフトの織物である。なお、上面側緯糸と下面側緯糸の配置比率は2:1である。
第一の経糸対における経糸接結糸は、接結機能を有する経糸であり、上面側緯糸と下面側緯糸を織り込むことで上面側織物と下面側織物を接結する。一方の第二の経糸対の上面側経糸と下面側経糸は接結機能を持たない経糸である。
具体的には、図5に示す如く、第二の経糸対(1U,1L)の2本組のうち上面側経糸1Uは、上面側緯糸2’U、3’Uの上、上面側緯糸4’U、5’Uの下、上面側緯糸6’U、7’Uの上、上面側緯糸8’U、9’Uの下・・・を通っている。下面側経糸1Lは、下面側緯糸5’Lと15’Lの下を通っている。かかる第二の経糸対(1U,1L)に隣接する第二の経糸対(2U,2L)の2本組のうち上面側経糸2Uは、上面側緯糸1’Uの下、上面側緯糸2’Uの上、上面側緯糸3’Uの下、上面側緯糸4’Uの上、上面側緯糸5’Uの下・・・を通り平織りとなっている。下面側経糸2Lは、下面側緯糸5’Lと15’Lの下を通っている。
次に第一の経糸対(3Ub,3Lb)の2本組のうち下面側経糸接結糸3Lbは、織物の構成上、本来上側を通るはずの上面側緯糸8’U、9’Uと12’U,13’Uの上側を通らず、下面側緯糸11’Lの下側を通った後、上面側緯糸16’Uと1’Uの上を通っている。一方、上面側経糸接結糸3Ubは、下面側経糸接結糸3Lbが本来上側を通るはずだった上面側緯糸8’U,9’Uと12’U,13’Uの上側を通った後に、下面側緯糸1’Lの下側を通っている。その隣に配置される他の第一の経糸対(4Ub,4Lb)の2本組のうち下面側経糸接結糸4Lbは、平織の構成上、本来上側を通るはずの上面側緯糸5’U,7’U,9’Uの上側を通らず、上面側緯糸5’Uと下面側緯糸5’Lの間を通り、下面側緯糸7’Lの下側を通った後、上面側緯糸9’Uと下面側緯糸9’Lとの間を通り、次いで上面側緯糸11’U,13’U,15’U,1’U,3’Uの上を通っている。一方、上面側経糸接結糸4Ubは、下面側経糸接結糸4Lbが本来上側を通るはずだった上面側緯糸5’U,7’U,9’Uの上側を通った後に、下面側緯糸1’Lの下側を通って、2本組となって経糸1本分の平織組織を形成している。
本実施形態2では、第一の経糸対(3Ubと3Lb)が、第一の経糸対を構成する上面側経糸接結糸(3Ub)が上面側織物上に連続して複数のナックルを形成している箇所(上面側緯糸8’U,9’Uと12’U,13’U)を有しており、当該箇所に隣接する箇所に、隣接している第一の経糸対(4Ubと4Lb)における接結糸の連続した複数のナックルの端部(11’U)が配置されている。
このような構造を採用することによって、図5に示す如く、第一の経糸対(3Ubと3Lb)においては、上面側緯糸2’U,3’Uと10’U,11’Uを頂点として上方向へ応力がかかるが、隣接する第一の経糸対(4Ubと4Lb)では下方向へ応力がかかることから、互いの応力関係によって凹凸形状を打ち消しあうことができる。その他の部分においても、夫々凸部及び凹部が発生するが、隣接する経糸対における凹部及び凸部によって相互の凹凸形状を打ち消しあう構造となっている。そのため、紙に対して織物の脱水マークの転写を抑止し、表面平滑性を良好なものとすることができる。
実施形態3
図6は本発明の工業用二層織物に係る実施形態3の完全組織を示す意匠図である。経糸接結糸を有しない上面側経糸(1U,2U,5U,6U)と下面側経糸(1L,2L,5L,6L)からなる第二の経糸対と、接結機能を有する上面側経糸接結糸(3Ub,4Ub,7Ub,8Ub)と下面側経糸接結糸(3Lb,4Lb,7Lb,8Lb)を含む第一の経糸対とがある。第一の経糸対は、3Ubと3Lb及び4Ubと4Lbの2組が隣接し、更に7Ubと7Lb及び8Ubと8Lbの2組が隣接し、完全組織中に4組が配置されている。第二の経糸対は、1Uと1L及び2Uと2Lの2組が隣接し、更に5Uと5L及び6Uと6Lの2組が隣接し、完全組織中に4組が配置されている。図6に示す如く第一の経糸対と第二の経糸対の2組同士は、交互に配置されており、合計16シャフトの織物である。なお、上面側緯糸と下面側緯糸の配置比率は3:2である。
第一の経糸対における経糸接結糸は、接結機能を有する経糸であり、上面側緯糸と下面側緯糸を織り込むことで上面側織物と下面側織物を接結する。一方の第二の経糸対の上面側経糸と下面側経糸は接結機能を持たない経糸である。
具体的には、図7に示す如く、第二の経糸対(1U,1L)の2本組のうち上面側経糸1Uは、上面側緯糸1’Uの上、上面側緯糸2’U,3’U,4’Uの下、上面側緯糸5’Uの上・・・を通っている。下面側経糸1Lは、下面側緯糸1’Lと7’Lの下を通っている。かかる第二の経糸対(1U,1L)に隣接する第二の経糸対(2U,2L)の2本組のうち上面側経糸2Uは、上面側緯糸1’U,2’Uの下、上面側緯糸3’Uの上、上面側緯糸4’U,5’U,6’Uの下・・・を通っている。下面側経糸2Lは、下面側緯糸1’L,7’Lの下を通っている。
次に第一の経糸対(3Ub,3Lb)の2本組のうち下面側経糸接結糸3Lbは、織物の構成上、本来上側を通るはずの上面側緯糸6’U,10’Uの上側を通らず、下面側緯糸8’Lの下側を通っている。一方、上面側経糸接結糸3Ubは、下面側経糸接結糸3Lbが本来上側を通るはずだった上面側緯糸6’U,10’Uの上側を通り、下面側緯糸2’Lの下側を通っている。その隣りに配置される他の第一の経糸対(4Ub,4Lb)の2本組のうち下面側経糸接結糸4Lbは、本来上側を通るはずの上面側緯糸4’U,12’Uの上側を通らず、下面側緯糸2’Lの下側を通っている。一方、上面側経糸接結糸4Ubは、下面側経糸接結糸4Lbが本来上側を通るはずだった上面側緯糸12’U,4’Uの上側を通った後に、下面側緯糸8’Lの下側を通って、2本組となって経糸1本分の組織を形成している。
本実施形態3では、第一の経糸対(3Ubと3Lb)が、第一の経糸対を構成する上面側経糸接結糸(3Ub)が上面側織物上に複数のナックルを形成している箇所(上面側緯糸6’U,10’U)を有しており、当該箇所に隣接する箇所に、隣接している第一の経糸対(4Ubと4Lb)における接結糸の連続しない単一のナックル(8’U)が配置されている。
このような構造を採用することによって、図7に示す如く、第一の経糸対(3Ubと3Lb)においては、上面側緯糸8’Uを頂点として上方向へ応力がかかるが、隣接する第一の経糸対(4Ubと4Lb)では下方向へ応力がかかることから、互いの応力関係によって凹凸形状を打ち消しあうことができる。その他の部分においても、夫々凸部及び凹部が発生するが、隣接する経糸対における凹部及び凸部によって相互の凹凸形状を打ち消しあう構造となっている。そのため、紙に対して織物の脱水マークの転写を抑止し、表面平滑性を良好なものとすることができる。
実施形態4
図8は本発明の工業用二層織物に係る実施形態4の完全組織を示す意匠図である。経糸接結糸を有しない上面側経糸(1U,2U,5U,6U)と下面側経糸(1L,2L,5L,6L)からなる第二の経糸対と、接結機能を有する上面側経糸接結糸(3Ub,4Ub,7Ub,8Ub)と下面側経糸接結糸(3Lb,4Lb,7Lb,8Lb)を含む第一の経糸対とがある。第一の経糸対は、3Ubと3Lb及び4Ubと4Lbの2組が隣接し、更に7Ubと7Lb及び8Ubと8Lbの2組が隣接し、完全組織中に4組が配置されている。第二の経糸対は、1Uと1L及び2Uと2Lの2組が隣接し、更に5Uと5L及び6Uと6Lの2組が隣接し、完全組織中に4組が配置されている。図8に示す如く第一の経糸対と第二の経糸対の2組同士は、交互に配置されており、合計16シャフトの織物である。なお、上面側緯糸と下面側緯糸の配置比率は4:3である。
第一の経糸対における経糸接結糸は、接結機能を有する経糸であり、上面側緯糸と下面側緯糸を織り込むことで上面側織物と下面側織物を接結する。一方の第二の経糸対の上面側経糸と下面側経糸は接結機能を持たない経糸である。
具体的には、図9に示す如く、第二の経糸対(1U,1L)の2本組のうち上面側経糸1Uは、上面側緯糸1’U,2’Uの下、上面側緯糸3’U,4’Uの上、上面側緯糸5’U,6’Uの下・・・を通っている。下面側経糸1Lは、下面側緯糸1’L,6’L,11’Lの下を通っている。かかる第二の経糸対(1U,1L)に隣接する第二の経糸対(2U,2L)の2本組のうち上面側経糸2Uは、上面側緯糸1’Uの上、上面側緯糸2’Uの下、上面側緯糸3’Uの上、上面側緯糸4’Uの下、上面側緯糸5’Uの上・・・を通り平織りとなっている。下面側経糸2Lは、下面側緯糸2’L,7’L.13’Uの下を通っている。
次に第一の経糸対(3Ub,3Lb)の2本組のうち上面側経糸接結糸3Ubは、織物の構成上、本来上側を通るはずの上面側緯糸5’U,6’U及び9’U,10’Uの上側を通らず、下面側緯糸7’Lの下側を通っている。一方、下面側経糸接結糸3Lbは、上面側経糸接結糸3Ubが本来上側を通るはずだった上面側緯糸5’U,6’U及び9’U,10’Uの上側を通り、下面側緯糸2’L,13’Uの下側を通っている。その隣に配置される他の第一の経糸対(4Ub,4Lb)の2本組のうち上面側経糸接結糸4Ubは、平織の構成上、本来上側を通るはずの上面側緯糸2’U,4’U,6’Uの上側を通らず、上面側緯糸1’U,2’Uと下面側緯糸1’L,2’Lの間を通り、下面側緯糸3’Lの下側を通った後、上面側緯糸4’U,5’U,6’Uと下面側緯糸5’L,6’Lとの間を通り、次いで上面側緯糸8’U,10’U,12’U,14’U,16’Uの上を通っている。一方、下面側経糸接結糸4Lbは、上面側経糸接結糸4Ubが本来上側を通るはずだった上面側緯糸2’U,4’U,6’Uの上側を通った後に、下面側緯糸9’L.14’Lの下側を通って、2本組となって経糸1本分の平織組織を形成している。
本実施形態4では、第一の経糸対(4Ubと4Lb)が、第一の経糸対を構成する上面側経糸接結糸(4Ub)が上面側織物上に連続して複数のナックルを形成している箇所(上面側緯糸8’U,10’U,12’U,14’U,16’U)を有しており、当該箇所に隣接する箇所に、隣接している第一の経糸対(3Ubと3Lb)における隣接する第一の経糸対(3Ub,3Lb)における接結糸の複数のナックル(9’U、10’U,13’U,14’U)が配置されている。
このような構造を採用することによって、図9に示す如く、第一の経糸対(4Ubと4Lb)においては、上面側緯糸12’Uを頂点として上方向へ応力がかかるが、隣接する第一の経糸対(3Ubと3Lb)では下方向へ応力がかかることから、互いの応力関係によって凹凸形状を打ち消しあうことができる。その他の部分においても、夫々凸部及び凹部が発生するが、隣接する経糸対における凹部及び凸部によって相互の凹凸形状を打ち消しあう構造となっている。そのため、紙に対して織物の脱水マークの転写を抑止し、表面平滑性を良好なものとすることができる。
実施形態5
図10は本発明の工業用二層織物に係る実施形態5の完全組織を示す意匠図である。経糸接結糸を有しない上面側経糸(1U,2U,5U,6U)と下面側経糸(1L,2L,5L,6L)からなる第二の経糸対と、接結機能を有する上面側経糸接結糸(3Ub,4Ub,7Ub,8Ub)と下面側経糸接結糸(3Lb,4Lb,7Lb,8Lb)を含む第一の経糸対とがある。第一の経糸対は、3Ubと3Lb及び4Ubと4Lbの2組が隣接し、更に7Ubと7Lb及び8Ubと8Lbの2組が隣接し、完全組織中に4組が配置されている。第二の経糸対は、1Uと1L及び2Uと2Lの2組が隣接し、更に5Uと5L及び6Uと6Lの2組が隣接し、完全組織中に4組が配置されている。図10に示す如く第一の経糸対と第二の経糸対の2組同士は、交互に配置されており、合計16シャフトの織物である。なお、上面側緯糸と下面側緯糸の配置比率は2:1である。
第一の経糸対における経糸接結糸は、接結機能を有する経糸であり、上面側緯糸と下面側緯糸を織り込むことで上面側織物と下面側織物を接結する。一方の第二の経糸対の上面側経糸と下面側経糸は接結機能を持たない経糸である。
具体的には、図11に示す如く、第二の経糸対(1U,1L)の2本組のうち上面側経糸1Uは、上面側緯糸1’Uの上、上面側緯糸2’U,3’U,4’Uの下、上面側緯糸5’Uの上・・・を通っている。下面側経糸1Lは、下面側緯糸5’L,13’Lの下を通っている。かかる第二の経糸対(1U,1L)に隣接する第二の経糸対(2U,2L)の2本組のうち上面側経糸2Uは、上面側緯糸2’Uの上、上面側緯糸3’U,4’U,5’Uの下、上面側緯糸6’Uの上・・・を通っている。下面側経糸2Lは、下面側緯糸1’L,9’Lの下を通っている。
次に第一の経糸対(3Ub,3Lb)の2本組のうち下面側経糸接結糸3Lbは、織物の構成上、本来上側を通るはずの上面側緯糸3’U,7’U及び11’Uの上側を通らず、下面側緯糸7’Lの下側を通っている。一方、上面側経糸接結糸3Ubは、下面側経糸接結糸3Lbが本来上側を通るはずだった上面側緯糸3’U,7’U及び11’Uの上側を通り、下面側緯糸15’Uの下側を通っている。その隣に配置される他の第一の経糸対(4U,4Lb)の2本組のうち上面側経糸4Uは、織物の構成上本来上側を通るはずの上面側緯糸8’Uの上側を通らず、上面側緯糸と下面側緯糸の間を通った後、上面側緯糸12’U,16’Uの上を通っている。一方、下面側経糸接結糸4Lbは、上面側経糸4Uが本来上側を通るはずだった上面側緯糸8’Uの上側を通った後に、下面側緯糸11’L,3’Lの下側を通って、2本組となって経糸1本分の組織を形成している。
本実施形態5では、第一の経糸対(3Ubと3Lb)が、第一の経糸対を構成する上面側経糸接結糸(3Ub)が上面側織物上に連続して複数のナックルを形成している箇所(上面側緯糸3’U,7’U,11’U)を有しており、当該箇所に隣接する箇所に、隣接している第一の経糸対(4Ubと4Lb)における接結糸の連続しない単一のナックル(8’U)が配置されている。
このような構造を採用することによって、図11に示す如く、第一の経糸対(3Ub,3Lb)においては、上面側緯糸7’Uを頂点として上方向へ応力がかかるが、隣接する第一の経糸対(4Ubと4Lb)では下方向へ応力がかかることから、互いの応力関係によって凹凸形状を打ち消しあうことができる。そのため、紙に対して織物の脱水マークの転写を抑止し、表面平滑性を良好なものとすることができる。
実施形態6
図12は本発明の工業用二層織物に係る実施形態6の完全組織を示す意匠図である。経糸接結糸を有しない上面側経糸(1U,2U,3U,6U,7U,8U)と下面側経糸(1L,2L,3L,6L,7L,8L)からなる第二の経糸対と、接結機能を有する上面側経糸接結糸(4Ub,5Ub,9Ub,10Ub)と下面側経糸接結糸(4Lb,5Lb,9Lb,10Lb)を含む第一の経糸対とがある。第一の経糸対は、4Ubと4Lb及び5Ubと5Lbの2組が隣接し、更に9Ubと9Lb及び10Ubと10Lbの2組が隣接し、完全組織中に4組が配置されている。第二の経糸対は、1Uと1L,2Uと2L及び3Uと3Lの3組が隣接し、更に6Uと6L,7Uと7L及び8Uと8Lの3組が隣接し、完全組織中に6組が配置されている。図12に示す如く第一の経糸対と第二の経糸対の組は、交互に配置されており、合計20シャフトの織物である。なお、上面側緯糸と下面側緯糸の配置比率は2:1である。
第一の経糸対における経糸接結糸は、接結機能を有する経糸であり、上面側緯糸と下面側緯糸を織り込むことで上面側織物と下面側織物を接結する。一方の第二の経糸対の上面側経糸と下面側経糸は接結機能を持たない経糸である。
具体的には、図13に示す如く、第二の経糸対(1U,1L)の2本組のうち上面側経糸1Uは、上面側緯糸1’Uの上、上面側緯糸2’Uの下・・・を通って平織を形成している。下面側経糸1Lは、下面側緯糸9’L,19’Lの下を通っている。
次に第一の経糸対(4Ub,4Lb)の2本組のうち下面側経糸接結糸4Lbは、織物における平織の構成上、本来上側を通るはずの上面側緯糸6’U,8’U,10’U,12’U及び14’Uの上側を通らず、上面側緯糸5’U〜10’Uと下面側緯糸5’L,7’L,9’Lの間を通り、下面側緯糸11’Lの下側を通った後、上面側緯糸12’U〜15’Uと下面側緯糸13’L,15’Lとの間を通り、次いで上面側緯糸16’U,18’U,20’Uの上を通っている。一方、上面側経糸接結糸4Ubは、下面側経糸接結糸4Lbが本来上側を通るはずだった上面側緯糸6’U,8’U,10’U,12’U及び14’Uの上側を通った後に、下面側緯糸1’Lの下側を通って、2本組となって経糸1本分の平織組織を形成している。
そして、上述した第一の経糸対(4Ub,4Lb)の隣に配置される他の第一の経糸対(5U,5Lb)の2本組のうち下面側経糸5Lbは、織物の平織の構成上、本来上側を通るはずの上面側緯糸11’U,13’U,15’U,17’U及び19’Uの上側を通らず、上面側緯糸と下面側緯糸の間を通った後、下面側緯糸13’Uの下を通っている。一方、上面側経糸接結糸5Ubは、下面側経糸接結糸5Lbが本来上側を通るはずだった上面側緯糸11’U,13’U,15’U,17’U及び19’Uの上側を通った後に、下面側緯糸3’L,13’Lの下側を通って、2本組となって経糸1本分の平織組織を形成している。
本実施形態6では、第一の経糸対(4Ubと4Lb)が、第一の経糸対を構成する上面側経糸接結糸(4Ub)及び下面側経糸接結糸(4Lb)が、上面側織物上に連続して複数のナックルを形成している箇所を有している。このような織構造では、前記箇所の夫々の中央部に位置する緯糸11’U及び20’Uを頂点とした山形の形状となる。しかし、当該箇所に隣接している箇所には、第一の経糸対(5Ubと5Lb)における接結糸の連続した複数のナックルの端部(11’U,20’U)が配置されている。
このような構造を採用することによって、図13に示す如く、第一の経糸対(4Ub,4Lb)においては、上面側緯糸11’U、20’Uを頂点として矢印(上)方向へ応力がかかるが、隣接する第一の経糸対(5Ubと5Lb)では矢印(下)方向へ応力がかかることから、互いの応力関係によって凹凸形状を打ち消しあうことができる。そのため、紙に対して織物の脱水マークの転写を抑止し、表面平滑性を良好なものとすることができるのである。
比較例1
図14は従来の工業用二層織物の一例を示す比較例1の完全組織を示す意匠図である。かかる従来の工業用二層織物には、経糸接結糸を有しない上面側経糸(1U,3U,5U,7U)と下面側経糸(1L,3L,5L,7L)が4組存在する。また、接結機能を有する上面側経糸接結糸(2Ub,4Ub,6Ub,8Ub)と下面側経糸接結糸(2Lb,4Lb,6Lb,8Lb)が4組存在する。上面側経糸と下面側経糸の組と、接結糸の組とは交互に配置されている。なお、上面側緯糸と下面側緯糸の配置比率は4:3である。
具体的には、図15に示す如く、上面側経糸と下面側経糸の組のうち、上面側経糸1Uは、上面側緯糸2’U,4’U・・・の上を通り平織りとなっている。下面側経糸1Lは1Lは、下面側緯糸5’L,10’L,15’Lの下を通っている。
次に上記上面側経糸と下面側経糸の組(1U,1L)に隣接する接結糸の組(2Ub,2Lb)のうち上面側経糸接結糸2Ubは、織物の構成上、本来上側を通るはずの上面側緯糸11’U,12’Uの上側を通らず、下面側緯糸11’Lの下側を通っている。一方、下面側経糸接結糸2Lbは、上面側経糸接結糸2Ubが本来上側を通るはずだった上面側緯糸11’U,12’Uの上側を通り、下面側緯糸1’L,6’Uの下側を通っている。
その隣には上面側経糸と下面側経糸の組(3U,3L)が配置されている。この組の組織は、上述した組(1U,1L)と同じ組織となっている。
このような従来の工業用二層織物の構造では、接結糸の組(2Ubと2Lb)においては、上面側緯糸3’U,4’Uを頂点とした山形の形状となる。また、上面側緯糸11’U,12’Uの部分には下方向への応力がかかることから凹凸形状が生じる。一方、隣接する上面側経糸の組(1U,1L及び3U,3L)は、平織り組織であり、特に上下方向への偏った応力は生じない。そのため、接結糸の組で生じた応力を隣接する経糸対の織構成によって打ち消すことができない。そして、上述の如く山形に突出した部位が均等に並ぶことにより、抄紙等に脱水マークが発生し、織物における表面平滑性が悪化していた。
図16は、比較例1と実施形態1に係る工業用二層織物における上面側表面の表面転写マークを表わすものである。図16(a)は比較例1に係る工業用二層織物における上面側表面、(b)は実施形態1に係る工業用二層織物における上面側表面を表わす。
黒く現れた部分は、織物の表面において凸部を形成している部分である。図16(a)に示す如く、比較例1に係る工業用二層織物においては、斜め方向に連続する転写マークが現れているのが看取される。一方、図16(b)に示す如く、実施形態1に係る工業用二層織物においては、黒い点が均一に分散しており、比較例1に比較して斜め方向の転写マークが看取されない。すなわち図16より、実施形態1に係る工業用二層織物は、従来の工業用二層織物に比較して、紙に対する脱水マークの転写が抑止され、網厚を増大させることなく表面平滑性を良好なものとする顕著な効果を奏することが明らかとなった。
1〜10 経糸
1’〜20’ 緯糸
U 上糸
L 下糸
b 接結糸
上述の如く山形に突出した部位が均等に並ぶことにより、脱水マークに加えて更に織物における表面平滑性を悪化させる原因となっているのである。
上述した問題点が現状の工業用二層織物には存在するが、これらの問題点は接結比率を下げることで解消される。しかし、接結比率を下げると上述の如く、上面側織物と下面側織物との密着力が低下することから内部摩耗が発生する。すなわち、接結比率増加による密着率の向上と、接結箇所(脱水阻害箇所)の増加に起因する脱水マークや表面平滑性とはトレードオフの関係にあるといえる
そして、上述した内部摩耗、脱水マーク及び表面平滑性といった要求特性を全て満足させる組織は今までに存在しなった。

Claims (4)

  1. 上面側経糸と上面側緯糸とからなる上面側織物と、下面側経糸と下面側緯糸とからなる下面側織物とを接結糸によって接合する工業用二層織物における16シャフト以上の完全組織において、上面側経糸と隣接する下面側経糸とを一組とした場合、少なくとも片方の経糸が上面側織物と下面側織物とを接合する機能を有する経糸接結糸である第一の経糸対と、経糸接結糸を有しない第二の経糸対とを有し、第一の経糸対及び第二の経糸対とが夫々完全組織中に4組以上配置され、第一の経糸対及び第二の経糸対とが夫々2組以上隣接して配置された構成を有することを特徴とする工業用二層織物。
  2. 前記2組以上隣接して配置された第一の経糸対が、第一の経糸対を構成する接結糸の少なくとも1本が上面側織物上に連続して複数のナックルを形成している箇所を有しており、当該箇所に隣接する箇所に、隣接している第一の経糸対における接結糸の連続しない単一のナックル又は隣接する第一の経糸対における接結糸の連続した複数のナックルの端部、が配置されていることを特徴とする請求項1に記載された工業用二層織物。
  3. 前記2組以上隣接して配置された第一の経糸対が、第一の経糸対を構成する全ての経糸が接結糸であることを特徴とする請求項1又は2に記載された工業用二層織物。
  4. 前記2組以上隣接して配置された第一の経糸対において、一つの組の第一の経糸対における経糸が全て接結糸で構成され、他の組の第一の経糸対における片方の経糸が接結糸で構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載された工業用二層織物。
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