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JP2008138309A - 縦溝が形成された工業用二層織物 - Google Patents

縦溝が形成された工業用二層織物 Download PDF

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JP2008138309A JP2006324782A JP2006324782A JP2008138309A JP 2008138309 A JP2008138309 A JP 2008138309A JP 2006324782 A JP2006324782 A JP 2006324782A JP 2006324782 A JP2006324782 A JP 2006324782A JP 2008138309 A JP2008138309 A JP 2008138309A
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Abstract

【課題】表面平滑性、繊維支持性を維持しつつも、従来の問題であった脱水性、通気性、耐摩耗性を向上させる工業用二層織物を提供することを目的とする。
【解決手段】二層織物において、第1上面側経糸が織物組織上本来通るべき一部の上面側緯糸の上側を通らない補完部分を有し、当該補完部分において隣接配置する経糸接結糸が該上面側緯糸の上を通り、上面側表面に第2上面側経糸と同じ経糸1本分の組織を形成し、下面側層では隣接配置する複数本の下面側経糸と経糸接結糸が、協働して下面側緯糸の下側に経糸2本分に相当する2の並列配置するナックルを形成し、該ナックルは下面側緯糸1本交互に下面側に現れ、経糸2本分が密着した畝織組織群を形成し該畝織組織群間に経糸1本以上の間隔を設け下面側層には畝織組織群間に縦方向に伸びる縦溝が形成された工業用二層織物である。
【選択図】図3

Description

本発明は、縦溝が形成された工業用二層織物に関し、特に経糸の本数を減らすことなく下面側層に縦溝が形成された表面平滑性、繊維支持性、通気性、脱水性、耐摩耗性に優れた工業用二層織物に関する。
従来から工業用織物としては経糸、緯糸で製織した織物が広く使用されており、例えば抄紙用織物や搬送用ベルト、ろ布等があり、用途や使用環境に適した織物特性が要求されている。特に織物の網目を利用して原料の脱水等を行う製紙工程で使用される抄紙用織物での要求は厳しく、紙に織物のワイヤーマークが転写しにくい表面平滑性に優れた織物、また原料に含まれる余分な水分を十分脱水するための脱水性、過酷な環境下においても好適に使用できる程度の剛性、耐摩耗性を持ち合わせたもの、そして良好な紙を製造するために必要な条件を長期間持続することのできる織物が要求されている。その他にも繊維支持性、製紙の歩留まりの向上、寸法安定性、走行安定性等が要求されている。さらに近年では抄紙マシンが高速化しているため、それに伴い抄紙用織物への要求も一段と厳しいものとなっている。
このように工業用織物の中でも最も要求が厳しい抄紙用織物について説明すればほとんどの工業用織物の要求とその解決について理解できるので、以下抄紙用織物を代表して本発明を説明する。
近年では表面性、繊維支持性、剛性、耐摩耗性を持ち合わせた二層構造の織物が広く使用されており、中でも上下層を経糸接結糸で織り合わせた二層織物の開発が進んでいる。例えば、特許文献1には経糸接結糸を用いた二層織物が開示されている。経糸接結糸は上下層を織り合わせる機能の他に、上面側緯糸と織り合わされて上面側層組織の一部を形成するものであり、近接する経糸接結糸が組になって上面側表面に経糸1本分の組織を形成する。そのため、表面組織を崩すことなく上下層をしっかりと織り合わせることができる。
製紙用織物としては、特に上面側表面の表面平滑性、繊維支持性が求められているため、上面側表面の線径を小さく、糸の配置密度を高くすることで緻密な表面を形成するのである。しかし、緻密な表面とすることで、原料等を脱水するためのろ水性、通気性が阻害されてしまう傾向にある。
そこで、二層織物の下面側緯糸配置本数を上面側緯糸よりも少なくし、下面側層にろ水空間を設けるという技術が活用されてきた。特許文献1の図1等の実施例も同じコンセプトであり、上面側緯糸と下面側緯糸の配置本数比率は2:1で、下面側緯糸の方が少ない。このように、上面側表面は緻密でありながらろ水性、通気性に優れた織物とする方法がとられてきた。しかし、この横方向に延びるろ水空間は、織物走行方向と直交する方向にできた脱水溝であるため、水の抜け道が遮られてしまい、ろ水性、通気性は十分ではなく、未だ問題を解決することはできていない。
特開2003−342889号公報
表面平滑性、繊維支持性を維持しつつも、従来の問題であった脱水性、通気性、耐摩耗性を向上させる工業用二層織物を提供することを目的とする。
本発明者は、製紙行程で必要とされる織物は、上面側層は緻密でありながら下面側層はろ水空間を有する粗い構造の二層織物が有効と考え、さらに、効率の良い脱水を行うために、従来から用いられているマシン横断方向(横方向)に伸びる脱水溝の他に、マシン走行方向(縦方向)に伸びる脱水溝を形成する組織とすることで、ろ水性、通気性が必要とされる様々な工業分野に適する織物の開発をするに至った。
本発明は、上記課題を解決するため以下の構成を採用した。
(1)上面側経糸と上面側緯糸からなる上面側層と、下面側経糸と下面側緯糸からなる下面側層を、上下層を接結する経糸接結糸で織り合わせてなる二層織物において、前記上面側経糸は組織の異なる第1上面側経糸と第2上面側経糸からなり、第1上面側経糸が織物組織上本来通るべき一部の上面側緯糸の上側を通らない補完部分を有し、当該補完部分において隣接配置する経糸接結糸が該上面側緯糸の上を通り、上面側表面に第2上面側経糸と同じ経糸1本分の組織を形成し、下面側層では隣接配置する複数本の下面側経糸と経糸接結糸が、協働して下面側緯糸の下側に経糸2本分または3本分に相当する2または3の並列配置するナックルを形成し、該並列配置する2または3のナックルは、下面側緯糸1本交互に下面側表面に現れ、かつ経糸2本分または3本分が密着した畝織組織群を形成することにより該畝織組織群間に経糸1本以上の間隔を設け、下面側緯糸は1つの畝織組織群の上、1つの畝織組織群の下を交互に通る組織であり、下面側層には畝織組織群と畝織組織群の間に縦方向に伸びる縦溝が形成された工業用二層織物である。
(2)上記(1)に記載の下面側経糸と経糸接結糸により形成された畝織組織群の他に、隣接する2本または3本の下面側経糸が揃って下面側緯糸1本交互に上下する平織組織を形成した直進畝織組織群(*直進畝織組織群は仮名称)があり、完全組織内に直進畝織組織群と畝織組織群を混在配置し、群と群の間に縦溝が形成されたことを特徴とする工業用二層織物である。
(3)前記畝織組織群を形成する経糸が、下面側緯糸と織り合わされる1本の第1下面側経糸と、1または2本の第2下面側経糸と、1本の経糸接結糸であり、第1下面側経糸と第2下面側経糸は異なる組織であって、第1下面側経糸は織物組織上本来通るべき一部の下面側緯糸の下側を通らず、隣接配置する経糸接結糸が該下面側緯糸の下側を通ることで、下面側表面に第2下面側経糸と同じ経糸1本分の平織組織を形成することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の縦溝が形成された工業用二層織物である。
(4)前記畝織組織群を形成する経糸が、下面側緯糸と織り合わされる1または2本の第2下面側経糸と、2本の経糸接結糸であり、隣接配置する2本の経糸接結糸が異なる下面側緯糸の下側を通ることで下面側表面に第2下面側経糸と同じ経糸1本分の平織組織を形成することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の縦溝が形成された工業用二層織物である。
(5)前記畝織組織群を形成する経糸が、1本の下面側経糸と、2本の経糸接結糸であり、該下面側経糸と該経糸接結糸によって下面側緯糸の下側に並列配置する2つのナックルを形成する組織であって、下面側経糸は1本の下面側緯糸の上下を交互に通る平織組織を形成する組織であり、その両側には経糸接結糸が隣接配置し、下面側経糸のナックルの一部では、下面側経糸の下面側ナックルとその左側に配置した経糸接結糸が2つの並列するナックルを形成しており、下面側経糸の他のナックル部では、右側に配置した経糸接結糸が下面側経糸のナックルと2つの並列するナックルを形成することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の縦溝が形成された工業用二層織物である。
(6)前記畝織組織群を形成する経糸が、下面側緯糸と織り合わされる2本の下面側経糸と、2本の経糸接結糸であり、該下面側経糸と該経糸接結糸によって下面側緯糸の下側に並列配置する3つのナックルを形成する組織であって、2本の下面側経糸は同じ下面側緯糸の上下を交互に通る平織組織を形成し、下面側経糸のナックルの一部では2本の下面側経糸の下面側ナックルと、1本の経糸接結糸により形成された3つのナックルが並列配置
し、下面側経糸のその他のナックル部では、下面側経糸の下面側ナックルと、もう一方の経糸接結糸により形成された3つのナックルが並列配置していることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の縦溝が形成された工業用二層織物である。
(7)前記畝織組織群を形成する経糸接結糸が、畝織組織群の端に配置されていることを特徴とする上記(1)ないし(6)のいずれか1項に記載された縦溝が形成された工業用二層織物である。
本発明に係る工業用二層織物は、上面側層を密な構造とし、下面側層は経糸本数を減らすことなくマシン走行方向に伸びる縦溝が形成された経糸接結二層構造としたことで、表面平滑性、繊維支持性、脱水性、通気性、耐摩耗性に優れた織物とすることが可能となった。
本発明の工業用二層織物の最大の特徴は下面側表面に縦方向に伸びる溝が形成されているところである。
工業用織物の中でも製紙用織物は、特に上面側層の表面性、繊維支持性が求められているため、上面側表面の線径を小さく、糸の配置密度を高くすることで緻密な表面としてきた。しかし、緻密な表面とすることで、原料等を脱水するためのろ水性、通気性が阻害されてしまう傾向にあるため、二層織物の下面側緯糸配置本数を上面側緯糸よりも少なくし、下面側層にろ水空間を設ける技術が活用されてきた。この方法により、経糸の仕掛けを変えることなく緯糸の打ち込みを操作するだけで上面側表面は緻密でありながらろ水性、通気性に優れた織物を提供できる。
しかし、この織物は使用時には織物の経糸が進行方向、そして緯糸が走行方向に対し直交方向であるため、下面側層に設けられたろ水空間も走行方向に対し直交方向に存在することとなり、十分な脱水を得られなかった。これは織物上で脱水された水の一部が下面側層に設けられたろ水空間に保水されるが、湿紙が織物と分離する際にろ水空間に保水された水が織物進行方向に沿った溝がないことから脱水されず、再び被脱水物へ戻ることになるからである。そこで本発明の発明者は織物進行方向に沿ったろ水空間を設けることで効率的な脱水ができると考えた。
下面側の縦方向に脱水溝を設ける手段としては、下面側経糸本数を減らす方法がある。しかし、織物自体が高張力下で使用されるため、経糸本数が減ると剛性の低下に繋がり伸びの発生や走行安定性の問題が生じてしまう。そこで、本発明の発明者は経糸本数を減らすことなく、織組織によって下面側表面に縦方向に伸びる脱水溝を設けるという本発明の構成に至った。
本発明の明細書内で使用されている用語について説明する。
完全組織とは織物組織を形成する最小の繰り返し単位であり、これが前後左右に繰り返されて織物が形成される。また、この織物は上面側層と下面側層から構成される二層構造であるため、形成される完全組織も上面側層と下面側層の組み合わせからなる。そして、上面側層のシャフト数とは完全組織を形成する上面側の経糸本数であり、下面側層のシャフト数とは完全組織を形成する下面側の経糸本数であり、織物全体のシャフト数は、完全組織を形成する経糸の合計本数を表すものである。
そして、ナックルとは経糸が1本(または2本)の緯糸の上、または下を通るところで緯糸に沿って屈曲している、織物表面に形成される織り合せ部をいい、それらの組み合わせによって組織が形成される。
そして、畝織組織群とは、複数の隣接する下面側経糸、経糸接結糸により下面側表面に
形成された2または3の並列配置するナックルが、下面側緯糸1本交互に現れることで、見かけ上、密着する2本または3本の経糸が揃って平織組織を形成している経糸の一群をいう。経糸接結糸は上面側層、下面側層の両方の一部を形成する糸であるため、表出すべきところで層内に潜り込まないように畝織組織群の両側に配置するとよい。
また、直進畝織組織群とは、隣接する2本または3本の下面側経糸が揃って同じ下面側緯糸の上下を交互に通る平織組織を形成する組織で、密着配置した経糸の一群をいう。
本発明では織物完全組織内に少なくとも畝織組織群が1つ配置されていればよく、それ以外を直進畝織組織群としてもよい。もちろん直進畝織組織群はなくても構わない。そして、群と群の間に縦溝が形成されるが、その際の「群と群」は「2つの畝織組織群」を意味する場合と、「畝織組織群と直進畝織組織群」を意味する場合がある。また、便宜上直進畝織組織群を単に畝織組織群として表現することもあるが、それは前述したように畝織組織群が完全組織内に少なくとも1つ存在すれば、他を直進畝織組織群に置き換えても構わないからである。
本発明の織物は、上面側経糸と上面側緯糸からなる上面側層と、下面側経糸と下面側緯糸からなる下面側層からなる二層構造の織物であり、上下層を経糸接結糸によって織り合わせている。上面側層では経糸接結糸がその一部を形成しており、下面側層でも経糸接結糸がその一部を形成している。経糸接結糸は少なくとも1本の上面側緯糸の上を通り、下面側に下がって1本の下面側緯糸の下側を通る組織であり、上面側経糸としての機能と下面側経糸としての機能、そして接結糸としての機能をも有する。また本発明の織物は上面側経糸と下面側経糸が1:1の割合で配置されており、下面側経糸の代わりに経糸接結糸を配置させるとよい。
上面側経糸には、第1上面側経糸と第2上面側経糸があり、それらは常に上面側緯糸と織り合わされている。第2上面側経糸は上面側の組織を崩すことなく連続的に上面側緯糸と織り合わされている組織であって、第1上面側経糸は基本的には第2上面側経糸と同組織を作ろうとしているが、その一部で本来通るべき上面側緯糸の上を通らず上面側緯糸と下面側緯糸の間を通る組織である。
また、補完部分とは、第1上面側経糸が、本来通るべき上面側緯糸の上を通らなかった部分を指し、またその部分では組織を崩さないように隣接する接結経糸が該上面側緯糸の上を通り、第1上面側経糸の欠けた組織を経糸接結糸が補完している。そのため第1上面側経糸と経糸接結糸を隣接配置するものである。それにより第1上面側経糸と経糸接結糸が協働して第2上面側経糸と同じ組織を上面側表面に形成する。
本発明の織物は、上面側経糸と上面側緯糸からなる上面側層と、下面側経糸と下面側緯糸からなる下面側層からなる二層構造の織物であり、上下層を経糸接結糸によって織り合わせている。上面側層では経糸接結糸がその一部を形成している。経糸接結糸は少なくとも1本の上面側緯糸の上を通り、下面側に下がって1本の下面側緯糸の下側を通る組織であり、上面側経糸としての機能と接結糸としての機能の両方を有する。
上面側層における「経糸1本分の組織」はどのような組織であっても構わなく、第2上面側経糸に合わせるように第1上面側経糸と経糸接結糸の組織を決定する。補完場所や下面側の接結位置等によって組織のバリエーションはいくつかあり、適宜選択できる。例えば、経糸接結糸の組織は上面側層では1本の上面側緯糸の上を通る組織や、2本の上面側緯糸の上を通る組織等があり、下面側では1本の下面側緯糸の下側を通る組織が挙げられる。
上面側表面組織としては、平織組織や、1本の上面側緯糸の上を通った後3本の上面側緯糸の下を通る1/3組織を順次シフトさせて構成した綾織や、ランダムにシフトさせた
朱子織、そして2本の上面側緯糸の上を通った後3本の上面側緯糸の下を通る2/3組織等があり、各糸の組織や配置を考慮して決定すればよい。
ここでは「第1上面側経糸と経糸接結糸によって形成される組織」を「経糸1本分の組織」に限定したが、それは第1上面側経糸と経糸接結糸が同じ上面側緯糸の上を通る部分のない組織であることを意味する。同じ上面側緯糸の上側を通る組織だと、その部分だけ経糸ナックルが並ぶので緯糸の引き込みが強くなり落ち込みが生じるため好ましくない。また1本で上面側表面組織を形成する第2上面側経糸と異なる組織となるため表面組織が崩れ好ましくない。
同様に、下面側層は複数本の下面側経糸と経糸接結糸から構成され、隣接配置する複数本の下面側経糸と経糸接結糸が、協働して下面側緯糸の下側に2または3の並列配置する経糸2本分または3本分に相当するナックルを形成し、該並列配置する2または3のナックルは、下面側緯糸1本交互に下面側表面に現れ、見かけ上密着する2本または3本の経糸が揃って平織組織を形成する畝織組織群を形成する。
下面側緯糸は下面側経糸と同等の機能を有する経糸接結糸、下面側経糸によって強固に織り合わされているため、剛性に優れ、下面側緯糸が表面に突出するため耐摩耗性も向上する。
下面側緯糸の組織は1つの畝織組織群の上、1つの畝織組織群の下を交互に通る組織である。そして、畝織組織群と畝織組織群の間には縦方向に伸びる縦溝が形成される。
ここでいう「下面側層では隣接配置する複数本の下面側経糸と経糸接結糸が、協働して下面側緯糸の下側に2または3の並列配置する経糸2本分または3本分に相当するナックルを形成し、該並列配置する2または3のナックルは、下面側緯糸1本交互に下面側表面に現れ、経糸2本分または3本分に相当する畝織組織群を形成する」とは、次の(1)〜(4)に示した4つの方法がある。
これらを詳細に説明すると、(1)は「(畝織組織群を形成する)隣接配置する複数本の下面側経糸と経糸接結糸」の内訳としては、下面側緯糸と織り合わされる1本の第1下面側経糸と、1または2本の第2下面側経糸と、1本の経糸接結糸からなり、第1下面側経糸と第2下面側経糸は異なる組織であって、第2下面側経糸は1本の下面側緯糸の上、下面側緯糸の下を1本交互に通る平織組織である。そして、第1下面側経糸は織物組織上本来通るべき一部の下面側緯糸の下側を通らず、隣接配置する経糸接結糸が該下面側緯糸の下側を通ることで、経糸1本分の平織組織を形成する。つまり、第1下面側経糸と経糸接結糸がそれぞれ異なる下面側緯糸の下側にナックルを形成し、これらが寄り合うことで見かけ上1本の経糸が形成する平織組織と同等の組織を形成する。
そして、第1下面側経糸と経糸接結糸のどちらかが、第2下面側経糸が通る下面側緯糸の下側を通る組織とすることで、該下面側緯糸の下側に並列するナックルが形成されることとなる。
例えば、第2下面側経糸が1本の場合、2つのナックルが並列配置する、経糸2本分の畝織組織群が形成される。そして、第2下面側経糸が2本の場合、3つのナックルが並列配置する、経糸3本分の畝織組織群が形成される。本発明において、畝織組織群は経糸2本分または3本分としたが、4本以上だと経糸が寄りにくくそれらが密着配置しにくいため好ましくない。
(2)は下面側緯糸と織り合わされる1または2本の下面側経糸と、2本の経糸接結糸からなり、隣接配置する2本の経糸接結糸が異なる下面側緯糸の下側を通り、密着して下面側表面に下面側経糸と同じ経糸1本分の平織組織を形成する。
下面側経糸は上記(1)と同様に1本の下面側緯糸の上、1本の下面側緯糸の下を交互
に通る平織組織である。
そして、2本の経糸接結糸のどちらかが、下面側経糸が通った下面側緯糸の下側を通り、下面側経糸のナックルに並列する経糸接結糸のナックルが形成されることとなる。
例えば、上記下面側経糸が1本だった場合には下面側経糸と経糸接結糸からなる2つのナックルが並列配置され、経糸2本分の畝織組織群が形成される。そして、下面側経糸が2本だった場合には3つのナックルが並列配置され、経糸3本分の畝織組織群が形成される。
(3)は1本の下面側経糸と、2本の経糸接結糸からなり、下面側経糸は1本の下面側緯糸の上下を交互に通る平織組織を形成する組織であって、その両側に経糸接結糸が隣接配置している。
そして、下面側経糸が形成するナックルの一部では、下面側経糸の左側に配置した経糸接結糸が、下面側経糸が形成するナックルに並列してナックルを形成し、それ以外の部分では下面側経糸の右側に配置した経糸接結糸が、下面側経糸が形成するナックルに並列してナックルを形成している。これにより、2つのナックルが並列配置した経糸2本分の畝織組織群が形成される。
(4)は(3)の方法に下面側緯糸と織り合わされる1本の下面側経糸を追加したものであり、下面側緯糸の下側に並列配置する3つのナックルを形成する組織である。(3)と同様に下面側経糸は下面側緯糸の上下を1本交互に通る平織組織を形成する組織である。
経糸の配置としては、特に限定されなく、例えば1本の下面側経糸の両側に経糸接結糸を配置し、どちらか一方の経糸接結糸の横にもう1本の下面側経糸を配置したものや、2本の下面側経糸を挟むように、両側に経糸接結糸を配置したもの、他には2本の経糸接結糸を挟むように、両側に下面側経糸を配置したものであってもよい。これら4本の経糸により3つのナックルが並列する、経糸3本分の畝織組織群を形成する。
1つの例として、1本の第1下面側経糸と経糸接結糸が交互に配置された4本からなる畝織組織群では、2本の下面側経糸は同じ組織で、同じ下面側緯糸の上下を通る平織組織であり、下面側経糸が形成するナックルの一部では、一方の経糸接結糸が下面側経糸が形成するナックルに並列し、その結果、3つの並列するナックルを形成する。そして、それ以外のナックルではもう一方の経糸接結糸が、下面側経糸が形成するナックルに並列し、その結果、3つのナックルを形成するものがある。
上記のような4つの方法により畝織組織群は形成される。また、それとは別に隣接する2本または3本の下面側経糸が揃って同じ下面側緯糸を1本交互に上下する平織組織を形成する直進畝織組織群があってもよい。これは、限られた経糸本数で経糸2本分または3本分の畝織組織群を形成する際の本数調整用、あるいは接結糸を減らすために配置するものである。
下面側緯糸の組織は1つの畝織組織群の上、1つの畝織組織群の下を交互に通る組織であるため、隣り合う畝織組織群は異なる下面側緯糸の下にナックルを形成している。つまり、1つの畝織組織群が1本の下面側緯糸の上、下を通る組織であった場合には、その両隣の畝織組織群は1本の下面側緯糸の下、上を通る組織となる。
1つの畝織組織群を構成する経糸は常に同じ下面側緯糸の上、下を通る組織のため、下面側緯糸との交点では緯糸と交絡し、且つ隣接する畝織組織群の下面側経糸とは逆に下面側緯糸の上に存在する組織のため、該下面側緯糸に高低差が生じ、畝織組織群の経糸はよりくっつき合おうとする。そして、隣の畝織組織群は逆の挙動を示す組織のため群と群の間は離れようとする。それにより、上面側層の上面側経糸は均一に整列配置しているが、
下面側層では経糸が密着している箇所(群)と離れている箇所(溝)が交互に現れた構造となる。下面側緯糸は1つの畝織組織群の上、下を交互に通る組織であるが、実質的には複数本の下面側経糸の上下を通る組織であるため、下面側表面には比較的長いクリンプが形成され耐摩耗性に優れた構造となる。また、下面側緯糸は連続配置する複数本の経糸によって下側から強力に織り合わされているため、下面側緯糸クリンプは外側に突出し耐摩耗体積が増える。これは、畝織組織群の端部に経糸接結糸が配置されている本発明の織物でより顕著となる。
織物を構成する経糸は16シャフト、20シャフト、24シャフト等適宜選択でき、限定されない。
使用する構成糸の線径については、緻密で平滑な表面とするために上面側表面を構成する上面側緯糸、上面側経糸は比較的線径の小さいものである方が好ましい。経糸接結糸と上面側経糸は協働して上面側層組織を形成するためそれらの線径を同じとするとよい。
緯糸については、上面側層は緻密な表面とするために、上面側緯糸の線径を比較的小さく、そして下面側層はマシンやロール接触面側となる下面側表面は剛性や耐摩耗性が必要とされるため、下面側緯糸は比較的線径の大きいものである方が好ましい。また、上面側緯糸、下面側緯糸、経糸接結糸の線径を同じとしても、下面側経糸のみを大径としても、もちろん下面側経糸も同径であっても構わない。上面側緯糸と下面側緯糸の配置比率は1:1であってもよく、その他2:1や3:2、4:3等適宜選択できる。下面側緯糸本数を上面側緯糸本数より少なくすることで横溝も形成され、縦溝と組み合わせることで脱水性、ろ水性がより向上する。
本発明に使用される糸は用途によって選択すればよいが、例えば、モノフィラメントの他、マルチフィラメント、スパンヤーン、捲縮加工や嵩高加工等を施した一般的にテクスチャードヤーン、バルキーヤーン、ストレッチヤーンと称される加工糸、あるいはこれらを撚り合わせる等して組み合わせた糸が使用できる。また、糸の断面形状も円形だけでなく四角形状や星型等の短形状の糸や楕円形状、中空等の糸が使用できる。また、糸の材質としても、自由に選択でき、ポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリフッ化ビニリデン、ポリプロ、アラミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンナフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、綿、ウール、金属等が使用できる。もちろん、共重合体やこれらの材質に目的に応じてさまざまな物質をブレンドしたり含有させた糸を使用しても良い。
抄紙用ワイヤーとしては一般的には、上面側経糸、下面側経糸、経糸接結糸、上面側緯糸には剛性があり、寸法安定性に優れるポリエステルモノフィラメントを用いるのが好ましい。また、耐摩耗性が要求される下面側緯糸にはポリエステルモノフィラメントとポリアミドモノフィラメントを交互に配置する等、交織するのが剛性を確保しつつ耐摩耗性を向上できて好ましい。
発明の実施の形態を実施例にもとづき図面を参照して説明する。
図1〜9は本発明の実施例であり、図10は従来例を示す。図1、4、6、8は意匠図であり、図2、5、7、9は経糸に沿った断面図で、図3、10は緯糸に沿った断面図である。
意匠図とは織物組織の最小の繰り返し単位であって、この完全組織が上下左右につながって織物全体の組織が形成される。意匠図において、経糸はアラビア数字、例えば1、2、3・・・で示し、上面側経糸と下面側経糸からなる組と、上面側経糸と経糸接結糸からなる組の場合がある。緯糸はダッシュを付したアラビア数字、例えば1´、2´、3´・・・で示した。配置比率によって上面側緯糸と下面側緯糸が上下に配置されている場合と
、上面側緯糸のみの場合がある。
また、×印は上面側経糸が上面側緯糸の上側に位置していることを示し、□印は下面側経糸が下面側緯糸の下側に位置していることを示す。◆印は経糸接結糸が上面側緯糸の上側に位置してナックルを形成していることを示し、◇印はその経糸接結糸が下面側緯糸の下側に位置してナックルを形成していることを示す。
意匠図では糸が上下に正確に重なって配置されることになっているが、これは図面の都合上であって実際の織物ではずれて配置されていることがある。特に、下面側経糸は畝織組織群を形成しているため上面側経糸との重なりは大きくずれていることが多い。緯糸については配置比率から一部上面側緯糸の下に下面側緯糸が配置されていないところもある。
また、各図において畝織組織群をAとし、直進畝織組織群をBで示した。
(実施例1)
図1は本発明の実施例1の織物の意匠図である。実施例1は経糸24本からなる24シャフトの織物であり、2、8、14、20が経糸接結糸であり、下面側では第1下面側経糸と経糸接結糸が協働して経糸1本分の平織組織を形成することが特徴である。上面側緯糸と下面側緯糸の配置比率は2:1である。
上面側層は平織組織であり、異なる2本の上面側経糸と経糸接結糸により形成される。
例えば、経糸1は第2上面側経糸であり、1本の上面側緯糸の上、下を交互に通る平織組織を形成している。そして、経糸3は第1上面側経糸であり、平織組織の一部のナックルが形成されていない組織である。そして、経糸2は経糸接結糸であり、第1上面側経糸3が平織組織を形成するために織物組織上本来通るべきであったが通らなかった補完部分の上面側緯糸の上側を通る組織である。これにより、経糸接結糸2と第1上面側経糸3が協働して上面側表面に経糸1本分の平織組織を形成する。図2の経糸断面図では組み合わせがずれているが、実質的に経糸接結糸2と上面側経糸3は隣接配置しているため、これらが密着し合い経糸1本分の平織組織を形成している。
そして、第1上面側経糸と経糸接結糸により形成された平織組織、第2上面側経糸により形成された平織組織により、上面側表面に織物として均一な平織組織が形成される。
下面側層は下面側緯糸と織り合わされる第1下面側経糸と第2下面側経糸と経糸接結糸から構成されており、第1下面側経糸と経糸接結糸が協働して下面側表面に経糸1本分の平織組織を形成する組織である。第2下面側経糸は1本の下面側緯糸の上、下を交互に通る平織組織を形成している。
例えば、経糸4は第1下面側経糸であり、平織組織を形成するナックルの一部が形成されていない組織である。そして、経糸2は経糸接結糸であり、第1下面側経糸4が平織組織を形成するために織物組織上本来通るべきであったが、通らなかった下面側緯糸の下側を通る組織である。これらは隣接配置しているため、経糸接結糸2と第1下面側経糸4が協働して下面側表面に経糸1本分の平織組織を形成する。
経糸6は1本の下面側緯糸の上、下を交互に通る平織組織である。経糸接結糸2と第1下面側経糸4のいずれかは、下面側経糸6が通る下面側緯糸の下側を通ることで、これら2つのナックルが並列配置されることとなる。この並列配置する2つのナックルは、下面側緯糸1本交互に下面側表面に現れ、経糸2本分が密着した畝織組織群となる。
図1、2、3では畝織組織群はAで示してあり、本実施例では経糸2〜6、8〜12、14〜18、20〜24からなる4つの畝織組織群が存在する。そして、図3に示した通り畝織組織群では下面側経糸が密着配置しているため、畝織組織群と畝織組織群の間に縦
方向に伸びる溝(図中斜線部)が形成され、脱水性、通気性に優れた織物となる。これは、下面側表面に同じ経糸2本分の長さのクリンプを形成する、図10の従来例の脱水溝の幅と比較しても明らかに広い縦溝が形成される。
また、下面側緯糸は畝織組織群を交互に上下する組織であり、図3の緯糸クリンプの方が図10の緯糸クリンプよりもはるかに長く、耐摩耗性に優れた効果を奏する。
このようにして、上面側表面は緻密であるため、繊維支持性、表面平滑性に優れたものとなり、下面側表面は縦方向に沿った溝が形成されるため脱水性、ろ水性、通気性に優れ、且つ耐摩耗性にも優れた織物となる。
(実施例2)
図4は本発明の実施例2の織物の意匠図である。実施例2は経糸16本からなる16シャフトの織物であり、6、8、14、16が経糸接結糸であり、下面側では2本の経糸接結糸が協働して経糸1本分の平織組織を形成することが特徴である。上面側緯糸と下面側緯糸の配置比率は2:1である。
上面側層は平織組織であり、前実施例と同様に上面側表面に均一な平織組織が形成される。
下面側層は下面側緯糸と織り合わされる第2下面側経糸と経糸接結糸から構成されており、2本の経糸接結糸が協働して下面側表面に経糸1本分の平織組織を形成する組織である。
例えば、図4では下面側経糸2、4が平織組織を形成している。これらは下面側緯糸1´、5´、9´の下側でナックルを形成している。そして、経糸接結糸6と8のどちらか一方がそれらの下面側緯糸の下側でナックルを形成している。それにより、畝織組織群には3つの並列したナックルが形成されている。
このようにして、上面側表面は緻密であるため、繊維支持性、表面平滑性に優れたものとなり、下面側表面は縦方向に沿った溝が形成されるため脱水性、ろ水性、通気性に優れ、且つ耐摩耗性にも優れた織物となる。
(実施例3)
図6は本発明の実施例3の織物の意匠図である。実施例3は経糸20本からなる20シャフトの織物であり、6、10、16、20が経糸接結糸であり、1本の下面側経糸とその両側に配置した経糸接結糸により経糸2本分の平織組織を形成することが特徴である。上面側緯糸と下面側緯糸の配置比率は2:1である。
上面側層は平織組織であり、前実施例と同様に上面側表面に均一な平織組織が形成される。
下面側層は下面側緯糸と織り合わされる下面側経糸と経糸接結糸から構成されており、1本の下面側経糸と2本の経糸接結糸が協働して下面側表面に経糸2本分の平織組織を形成する組織である。
例えば、図6では経糸8が下面側経糸で、経糸6、10が経糸接結糸である。経糸8は平織組織を形成するものであり、下面側緯糸3´、7´、11´、15´、19´、23´の下側でナックルを形成している。そして、経糸接結糸6と10のどちらか一方がそれらの下面側緯糸の下側でナックルを形成している。それにより、畝織組織群には2つの並列したナックルが形成されている。意匠図上では畝織組織群は蛇行しているが、実際の織物では真っ直ぐになろうとし、縦溝としては十分な機能を果たす。
また、経糸2と4、12と14は直進畝織組織群であり、これら2本の下面側経糸が揃って同じ下面側緯糸の上下を交互に通る平織組織を形成する組織である。これは群を構成する経糸の中に経糸接結糸が存在しない点が畝織組織群と異なる。しかし、畝織組織群と同様に経糸が密着配置しており、群と群の間に縦溝が形成される。
このようにして、上面側表面は緻密であるため、繊維支持性、表面平滑性に優れたものとなり、下面側表面は縦方向に沿った溝が形成されるため脱水性、ろ水性、通気性に優れ、且つ耐摩耗性にも優れた織物となる。
(実施例4)
図8は本発明の実施例4の織物の意匠図である。実施例4は経糸24本からなる24シャフトの織物であり、6、12、18、24が経糸接結糸であり、2本の下面側経糸とその両側に配置した経糸接結糸により経糸3本分の平織組織を形成することが特徴である。上面側緯糸と下面側緯糸の配置比率は2:1である。
上面側層は平織組織であり、前実施例と同様に上面側表面に均一な平織組織が形成される。
下面側層は下面側緯糸と織り合わされる下面側経糸と経糸接結糸から構成されており、2本の下面側経糸と2本の経糸接結糸が協働して下面側表面に経糸3本分の平織組織を形成する組織である。
例えば、図8では経糸8、10が第2下面側経糸で、経糸6、12が経糸接結糸である。第2下面側経糸8、10は平織組織を形成するものであり、下面側緯糸3´、7´、11´、15´、19´、23´の下側でナックルを形成している。そして、経糸接結糸6と12のどちらか一方がそれらの下面側緯糸の下側でナックルを形成している。それにより、畝織組織群には3つの並列したナックルが形成される。意匠図上では畝織組織群は蛇行しているが、実際の織物では真っ直ぐなろうとし、縦溝としては十分な機能を果たす。
また、経糸2と4、14と16は直進畝織組織群であり、これら2本の下面側経糸が揃って同じ下面側緯糸の上下を交互に通る平織組織を形成する組織である。これは畝織組織群とは異なり、群を構成する経糸の中に経糸接結糸は存在しない。しかし、畝織組織群と同様に経糸が密着配置しており、群と群の間に縦溝が形成される。
このようにして、上面側表面は緻密であるため、繊維支持性、表面平滑性に優れたものとなり、下面側表面は縦方向に沿った溝が形成されるため脱水性、ろ水性、通気性に優れ、且つ耐摩耗性にも優れた織物となる。
本発明の実施例1の完全組織を示す意匠図である。 図1の経糸1−12の断面図である。 図1の緯糸3´の断面図である。 本発明の実施例2の完全組織を示す意匠図である。 図4の経糸1−8の断面図である。 本発明の実施例3の完全組織を示す意匠図である。 図6の意匠図の経糸1−10の断面図である。 本発明の実施例4の完全組織を示す意匠図である。 図8の意匠図の経糸1−12の断面図である。 従来例の織物の緯糸に沿った断面図である。
符号の説明
1、2、3・・・12 上面側経糸、下面側経糸、経糸接結糸
1’、2’・・・24’ 上面側緯糸、下面側緯糸

Claims (7)

  1. 上面側経糸と上面側緯糸からなる上面側層と、下面側経糸と下面側緯糸からなる下面側層を、上下層を接結する経糸接結糸で織り合わせてなる二層織物において、前記上面側経糸は組織の異なる第1上面側経糸と第2上面側経糸からなり、第1上面側経糸が織物組織上本来通るべき一部の上面側緯糸の上側を通らない補完部分を有し、当該補完部分において隣接配置する経糸接結糸が該上面側緯糸の上を通り、上面側表面に第2上面側経糸と同じ経糸1本分の組織を形成し、下面側層では隣接配置する複数本の下面側経糸と経糸接結糸が、協働して下面側緯糸の下側に経糸2本分または3本分に相当する2または3の並列配置するナックルを形成し、該並列配置する2または3のナックルは、下面側緯糸1本交互に下面側表面に現れ、かつ経糸2本分または3本分が密着した畝織組織群を形成することにより該畝織組織群間に経糸1本以上の間隔を設け、下面側緯糸は1つの畝織組織群の上、1つの畝織組織群の下を交互に通る組織であり、下面側層には畝織組織群と畝織組織群の間に縦方向に伸びる縦溝が形成されたことを特徴とする工業用二層織物。
  2. 請求項1に記載の下面側経糸と経糸接結糸により形成された畝織組織群の他に、隣接する2本または3本の下面側経糸が揃って下面側緯糸1本交互に上下する平織組織を形成した直進畝織組織群(*直進畝織組織群は仮名称)があり、完全組織内に直進畝織組織群と畝織組織群を混在配置し、群と群の間に縦溝が形成されたことを特徴とする工業用二層織物。
  3. 前記畝織組織群を形成する経糸が、下面側緯糸と織り合わされる1本の第1下面側経糸と、1または2本の第2下面側経糸と、1本の経糸接結糸であり、第1下面側経糸と第2下面側経糸は異なる組織であって、第1下面側経糸は織物組織上本来通るべき一部の下面側緯糸の下側を通らず、隣接配置する経糸接結糸が該下面側緯糸の下側を通ることで、下面側表面に第2下面側経糸と同じ経糸1本分の平織組織を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の縦溝が形成された工業用二層織物。
  4. 前記畝織組織群を形成する経糸が、下面側緯糸と織り合わされる1または2本の第2下面側経糸と、2本の経糸接結糸であり、隣接配置する2本の経糸接結糸が異なる下面側緯糸の下側を通ることで下面側表面に第2下面側経糸と同じ経糸1本分の平織組織を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の縦溝が形成された工業用二層織物。
  5. 前記畝織組織群を形成する経糸が、1本の下面側経糸と、2本の経糸接結糸であり、該下面側経糸と該経糸接結糸によって下面側緯糸の下側に並列配置する2つのナックルを形成する組織であって、下面側経糸は1本の下面側緯糸の上下を交互に通る平織組織を形成する組織であり、その両側には経糸接結糸が隣接配置し、下面側経糸のナックルの一部では、下面側経糸の下面側ナックルとその左側に配置した経糸接結糸が2つの並列するナックルを形成しており、下面側経糸の他のナックル部では、右側に配置した経糸接結糸が下面側経糸のナックルと2つの並列するナックルを形成することを特徴とする請求項1または2に記載の縦溝が形成された工業用二層織物。
  6. 前記畝織組織群を形成する経糸が、下面側緯糸と織り合わされる2本の下面側経糸と、2本の経糸接結糸であり、該下面側経糸と該経糸接結糸によって下面側緯糸の下側に並列配置する3つのナックルを形成する組織であって、2本の下面側経糸は同じ下面側緯糸の上下を交互に通る平織組織を形成し、下面側経糸のナックルの一部では2本の下面側経糸の下面側ナックルと、1本の経糸接結糸により形成された3つのナックルが並列配置し、下面側経糸のその他のナックル部では、下面側経糸の下面側ナックルと、もう一方の経糸接結糸により形成された3つのナックルが並列配置していることを特徴とする請求項1または2に記載の縦溝が形成された工業用二層織物。
  7. 前記畝織組織群を形成する経糸接結糸が、群の端に配置されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載された縦溝が形成された工業用二層織物。
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