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JP2015010212A - 昇華転写用インク - Google Patents

昇華転写用インク Download PDF

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JP2015010212A
JP2015010212A JP2013138328A JP2013138328A JP2015010212A JP 2015010212 A JP2015010212 A JP 2015010212A JP 2013138328 A JP2013138328 A JP 2013138328A JP 2013138328 A JP2013138328 A JP 2013138328A JP 2015010212 A JP2015010212 A JP 2015010212A
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JP2013138328A
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秀輝 小口
Hideki Oguchi
秀輝 小口
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Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
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Abstract

【課題】発色性及び吐出安定性に優れる昇華転写用インクを提供することを目的とする。【解決手段】 水と、水溶性有機溶剤と、昇華性染料と、を含み、前記昇華性染料は、C.I.Disperse Blue 359及びC.I.Disperse Blue 360を含む、昇華転写用インク。【選択図】なし

Description

本発明は、昇華転写用インクに関する。
従来、昇華転写を利用した布帛等に対する染色が、広く行われている。このような昇華転写を利用した染色方法としては、例えば、紙等のシート状の中間転写媒体に昇華性染料を含むインク(以下、「昇華転写用インク」ともいう。)を用いてインクジェット方式による印刷を行った後、布帛等の被記録媒体に中間転写媒体を重ねて、加熱により昇華転写する方法や、剥離可能なインク受容層が設けられた被記録媒体(フィルム製品等)のインク受容層に昇華転写用インクを用いてインクジェット方式による印刷を行い、その後、そのまま加熱して下層側の被記録媒体に昇華拡散染色を行い、さらにその後、インク受容層を剥離する方法等がある。
このような昇華転写用インクを用いた記録技術として、例えば、特許文献1において、印刷時に擦れ、ドット欠け、飛行曲がりが生じず、印刷された昇華転写紙にべたつきがなく、ポリエステル生地に熱プレスして、転写画像が歪むことなく、高濃度で鮮明なフルカラー画像を得ることを目的として、少なくとも昇華性染料、アセチレングリコール系界面活性剤、水溶性有機溶剤及び水を含有するポリエステル生地昇華転写用インクジェットインクにおいて、水溶性有機溶剤は、グリセリン、グリコール類及びグリコールエーテル類の少なくとも3種からなり、インクにおいて、グリセリンの含有量が5重量%以上30重量%以下の範囲であり、グリコール類の含有量が1重量%以上15重量%以下の範囲であり、グリコールエーテル類の含有量が0.1重量%以上5重量%以下の範囲であるポリエステル生地昇華転写用インクジェットインクが知られている。
特開2010−053197号公報
しかしながら、従来の昇華転写用インクにおいては昇華性と発色性を兼ね備えた黒色の分散染料はない。発色のよい黒色を得るために、特許文献1のように青系の染料をベースに補色染料(黄色、赤色等)を加えて昇華転写用のブラックインクとすることが考えられるが、これでも発色性は不十分である。
さらに、発色のよい黒色を得るために、昇華性染料を高濃度化することも考えられるが、この場合、吐出安定性が劣化するという課題がある。そのため、昇華転写用インクにおいては発色性を向上させるという課題と吐出安定性を向上させるという課題との間にトレードオフの関係があった。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、発色性及び吐出安定性に優れる昇華転写用インクを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、所定の昇華性染料を含む昇華転写用インクであれば上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
水と、水溶性有機溶剤と、昇華性染料と、を含み、
前記昇華性染料は、C.I.Disperse Blue 359及びC.I.Disperse Blue 360を含む、昇華転写用インク。
〔2〕
C.I.Disperse Brown 27及びC.I.Disperse Orange 25の少なくともいずれかをさらに含む、前項〔1〕に記載の昇華転写用インク。
〔3〕
昇華転写後の記録物においてLab表示系における彩度C*が、10以下である、前項〔1〕又は〔2〕に記載の昇華転写用インク。
〔4〕
前記昇華性染料の含有量が、前記昇華転写用インクの総質量100質量%に対して、5.0〜10質量%である、前項〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の昇華転写用インク。
〔5〕
前記水溶性有機溶剤は、グリセリン及びアルキレングリコールの少なくともいずれかを含む、前項〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の昇華転写用インク。
〔6〕
前記グリセリン及びアルキレングリコールの総含有量が、前記昇華転写用インクの総質量100質量%に対して、10質量%以上である、前項〔5〕に記載の昇華転写用インク。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
〔昇華転写用インク〕
本実施形態に係る昇華転写用インクは、水と、水溶性有機溶剤と、昇華性染料と、を含み、昇華性染料は、C.I.Disperse Blue 359及びC.I.Disperse Blue 360を含む。
〔水〕
本実施形態に係る昇華転写用インクは、水を含む。水としては、特に制限されることなく、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。水の含有量は、昇華転写用インクの総質量(100質量%)に対して、50〜90質量%が好ましく、55〜70質量%がより好ましい。水の含有量が上記範囲内であることにより、昇華転写用インクの粘度を好適な範囲に調整することができる。
昇華転写用インクが水を含むことにより、昇華転写用インクの粘度が、好ましい範囲になるように、より容易に調整することができる。これにより、昇華転写用インクは吐出安定性に更に優れるものとなる。また、水は吐出後に容易に除去することができるため、記録物は生産性により優れるものとなる。
〔水溶性有機溶剤〕
本実施形態に係る昇華転写用インクは、水溶性有機溶剤を含む。水溶性有機溶剤の含有量は、昇華転写用インクの総質量(100質量%)に対して、1〜40質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましい。水溶性有機溶剤の含有量が上記範囲内であることにより、昇華転写用インクの粘度が、好ましい範囲になるように、より容易に調整することができる。
本実施形態で用いる水溶性有機溶剤としては、特に限定されないが、例えば、グリセリン、及びアルキレングリコールの少なくともいずれかが挙げられる。このような水溶性有機溶剤を含むことにより、昇華転写用インクの保湿性がより優れる傾向にある。そのため、ノズルの目詰まりを防止でき、吐出安定性がより優れる傾向にある。
アルキレングリコールとしては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオールに代表されるモノアルキレングリコール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールに代表されるポリアルキレングリコールが挙げられる。
グリセリン及びアルキレングリコールの総含有量は、昇華転写用インクの総質量(100質量%)に対して、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましい。グリセリン及びアルキレングリコールの総含有量が10質量%以上であることにより、ノズルの目詰まりを防止でき、吐出安定性により優れる傾向にある。また、グリセリン及びアルキレングリコールの総含有量は、昇華転写用インクの総質量(100質量%)に対して、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。グリセリン及びアルキレングリコールの総含有量が40質量%以下であることにより、ノズル近傍での昇華転写用インク中の水の蒸発による、昇華転写用インクの粘度の上昇を抑制できる傾向にある。
本実施形態で用いる水溶性有機溶剤としては、グリコールエーテルも挙げられる。グリコールエーテルとしては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール及びトリプロピレングリコールから選択されるグリコールのモノアルキルエーテル及びポリアルキルエーテルが挙げられる。このなかでも、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルが好ましい。
本実施形態に係る昇華転写用インク中における、グリコールエーテルの含有量は、昇華転写用インクの総質量(100質量%)に対して、0.5〜5質量%が好ましく、1〜3質量%がより好ましい。グリコールエーテルの含有量が上記範囲内であることにより、中間転写媒体上での乾燥性により優れる傾向にある。
〔昇華性染料〕
本実施形態に係る昇華転写用インクは、昇華性染料を含む。ここで「昇華性染料」とは、加熱により昇華する性質を有する染料である。本実施形態で用いる昇華性染料は、C.I.Disperse Blue 359及びC.I.Disperse Blue 360を含む。C.I.Disperse Blue 359及びC.I.Disperse Blue 360は長波長帯においてそれぞれ吸光度を有する領域が異なる。そのため、C.I.Disperse Blue 359及びC.I.Disperse Blue 360を同時に含むことにより、長波長帯において広い領域の吸光度を有するようになるため、発色のよい黒色を得ることができる。また、従来の昇華転写用インクに含まれる昇華性染料と同じ含有量であっても、優れた発色性を有するため、吐出安定性を劣化させることがなく、吐出安定性に優れる。さらに、単に昇華性染料を高濃度化すると、高濃度化すると吐出安定性が悪くなるだけでなく、発色性の向上にも限界がある。この点において、本実施形態に係る昇華転写用インクは、DB359、360をC.I.Disperse Blue 359及びC.I.Disperse Blue 360を同時に含むことにより発色性の更なる向上を図るものである。
C.I.Disperse Blue 359及びC.I.Disperse Blue 360の含有量は、昇華転写用インクの総質量(100質量%)に対して、2〜5質量%が好ましく、2.5〜4質量%がより好ましい。C.I.Disperse Blue 359及びC.I.Disperse Blue 360の含有量が上記範囲内であることにより、発色性及び吐出安定性により優れる傾向にある。
C.I.Disperse Blue 359の含有量は、C.I.Disperse Blue 359及びC.I.Disperse Blue 360の総質量(100質量%)に対して、10〜50質量%が好ましく、20〜30質量%がより好ましい。C.I.Disperse Blue 359の含有量が上記範囲内であることにより、発色性により優れる傾向にある。
また、本実施形態で用いる昇華性染料は、C.I.Disperse Blue 359及びC.I.Disperse Blue 360を含むものであれば特に制限されず、C.I.Disperse Brown 27及びC.I.Disperse Orange 25の少なくともいずれかをさらに含むことができる。このような昇華性染料を含むことにより、発色性に更に優れる傾向にある。
さらに、本実施形態に係る昇華転写用インクとしては、その他の昇華性染料を必要に応じて含んでもよい。その他の昇華性染料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.Disperse Yellow 3、7、8、23、39、51、54、60、71、86;C.I.Disperse Orange 1、1:1、5、20、25:1、33、56、76;C.I.Disperse Brown 2;C.I.Disperse Red 11、50、53、55、55:1、59、60、65、70、75、93、146、158、190、190:1、207、239、240;C.I.Bad Red 41;C.I.Disperse Violet 8、17、23、27、28、29、36、57;C.I.Disperse Blue14、19、26、26:1、35、55、56、58、64、64:1、72、72:1、81、81:1、91、95、108、131、141、145;C.I.Solvent Blue 36、63、105、111等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
昇華性染料の含有量は、昇華転写用インクの総質量(100質量%)に対して、5〜10質量%が好ましく、6〜8質量%がより好ましい。昇華性染料の含有量が5質量%以上であることにより、発色性により優れる傾向にある。また、昇華性染料の含有量が10質量%以下であることにより、吐出安定性により優れる傾向にある。
〔彩度C*
昇華転写後の記録物におけるLab表示系における彩度C*は、10以下が好ましく、6以下がより好ましい。彩度C*の下限は特に制限されず低いほど好ましく、より好ましくは0である。彩度C*が10以下であることにより、黒くなる傾向にある。彩度C*は、昇華性染料の種類、混合割合を適宜変更することにより制御することができる。なお、彩度C*は、実施例に記載の方法により測定することができる。
ここで、本明細書において「彩度C*が10以下である昇華転写用インク」とは、白色記録媒体に、200℃で60秒の条件で転写工程を行ったときに彩度C*が10以下である記録物を得ることができる昇華転写用インクを意味する。なお、本明細書において「白色」とはL*が70以上、a*値およびb*値がともに−10以上10以下の範囲内であることを意味する。
〔その他の成分〕
本実施形態に係る昇華転写用インクは、上述した以外の成分(その他の成分)を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、分散剤、防腐防黴剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、紫外線吸収剤、消泡剤、表面張力調整剤、ポリシロキサン化合物等が挙げられる。
(分散剤)
昇華転写用インクは分散剤を含むことができる。昇華転写用インクが分散剤を含むことにより、昇華転写用インクにおける昇華性染料の分散安定性により優れる傾向にあり、昇華転写用インクの保存安定性、昇華転写用インクの長期にわたる吐出安定性等がより優れる傾向にある。
分散剤としては、特に限定されないが、例えば、アニオン系分散剤、ノニオン系分散剤、高分子分散剤が挙げられる。
アニオン系分散剤としては、特に限定されないが、例えば、芳香族スルホン酸のホルマリン縮合物、β−ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、アルキルナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、及び、クレオソート油スルホン酸のホルマリン縮合物が挙げられる。
上記芳香族スルホン酸としては、特に限定されないが、例えば、クレオソート油スルホン酸、クレゾールスルホン酸、フェノールスルホン酸、β−ナフトールスルホン酸、メチルナフタレンスルホン酸、ブチルナフタレンスルホン酸等のアルキルナフタレンスルホン酸、β−ナフタレンスルホン酸とβ−ナフトールスルホン酸との混合物、クレゾールスルホン酸と2−ナフトール−6−スルホン酸との混合物、リグニンスルホン酸等が挙げられる。
ノニオン系分散剤としては、特に限定されないが、例えば、フィトステロールのエチレンオキサイド付加物、コレスタノールのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
高分子分散剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリアクリル酸部分アルキルエステル、ポリアルキレンポリアミン、ポリアクリル酸塩、スチレン−アクリル酸共重合物、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合物等が挙げられる。
(防腐防黴剤)
昇華転写用インクは防腐防黴剤を含むことができる。防腐防黴剤としては、特に限定されないが、例えば、有機硫黄系化合物、有機窒素硫黄系化合物、有機ハロゲン系化合物、ハロアリルスルホン系化合物、ヨードプロパギル系化合物、N−ハロアルキルチオ系化合物、ベンゾチアゾール系化合物、ニトリル系化合物、ピリジン系化合物、8−オキシキノリン系化合物、イソチアゾリン系化合物、ジチオール系化合物、ピリジンオキシド系化合物、ニトロプロパン系化合物、有機スズ系化合物、フェノール系化合物、第4アンモニウム塩系化合物、トリアジン系化合物、チアジアジン系化合物、アニリド系化合物、アダマンタン系化合物、ジチオカーバメイト系化合物、ブロム化インダノン系化合物、ベンジルブロムアセテート系化合物、無機塩系化合物が挙げられる。
有機ハロゲン系化合物としては、特に限定されないが、例えば、ペンタクロロフェノールナトリウム等が挙げられる。
ピリジンオキシド系化合物としては、特に限定されないが、例えば、ソジウムピリジンチオン−1−オキサイド、ジンクピリジンチオン−1−オキサイド等が挙げられる。
イソチアゾリン系化合物としては、特に限定されないが、例えば、1−ベンズイソチアゾリン−3−オンのアミン塩、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンマグネシウムクロライド、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド等が挙げられる。
その他の防腐防黴剤としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
(pH調整剤)
昇華転写用インクはpH調整剤を含むことができる。昇華転写用インクがpH調整剤を含むことにより、昇華転写用インクの保存安定性等がより優れる傾向にある。
pH調整剤としては、特に限定されないが、例えば、昇華転写用インクのpHを6.0以上11.0以下の範囲に制御できるものを好適に用いることができる。このようなpH調整剤としては、特に限定されないが、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン等のアルカノールアミン;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化アンモニウム;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;タウリン等のアミノスルホン酸等が挙げられる。
(キレート試薬)
昇華転写用インクはキレート試薬を含むことができる。キレート試薬としては、特に限定されないが、例えば、エチレンジアミン四酢酸2ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラシル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。
(防錆剤)
昇華転写用インクは防錆剤を含むことができる。防錆剤としては、特に限定されないが、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ベンゾトリアゾール系化合物等が挙げられる。
(紫外線吸収剤)
昇華転写用インクは紫外線吸収剤を含むことができる。紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、ベンゾフェノン系化合物、桂皮酸系化合物、トリアジン系化合物、スチルベン系化合物、いわゆる蛍光増白剤(ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物)等が挙げられる。
(消泡剤)
昇華転写用インクは消泡剤を含むことができる。消泡剤としては、特に限定されないが、例えば、高酸化油系化合物、グリセリン脂肪酸エステル系化合物、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、アセチレン系化合物等が挙げられる。
(表面張力調整剤)
昇華転写用インクは表面張力調整剤を含むことができる。表面張力調整剤としては、特に限定されないが、例えば、界面活性剤が挙げられる。界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等が挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、アルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸及びその塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリールスルホン酸塩、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキルシルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀酸塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、その他イミダゾリン誘導体等が挙げられる。
カチオン系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、2−ビニルピリジン誘導体、ポリ4−ビニルピリジン誘導体等が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル系界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系界面活性剤;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール等のアセチレングリコール系界面活性剤等が挙げられる。
昇華転写用インクはポリシロキサン化合物を含むことができる。昇華転写用インクがポリシロキサン化合物を含むことにより、吐出されるインク滴の吐出安定性を向上させることができる。ポリシロキサン化合物としては、例えば、ポリエーテル変性シロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。
(表面張力)
なお、昇華転写用インクの表面張力(25℃における表面張力)は、20mN/m以上50mN/m以下が好ましく、25mN/m以上40mN/m以下がより好ましい。なお、昇華転写用インクの表面張力は、表面張力計CBVP−A3(協和界面科学株式会社製)を用いて、JIS K3362に準拠した測定により求めることができる。表面張力が上記範囲内であることにより、吐出安定性により優れる傾向にある。
(粘度)
また、昇華転写用インクの粘度(25℃における粘度)は、2.0mPa・s以上20mPa・s以下が好ましい。粘度が上記範囲内であることにより、昇華転写用インクの吐出安定性がより優れる傾向にある。なお、昇華転写用インクの粘度は、振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠した測定により求めることができる。
〔記録方法〕
次に、本実施形態に係る昇華転写用インクを用いた記録物の記録方法について説明する。記録方法としては、特に限定されないが、例えば、インクジェット方式により、本実施形態に係る昇華転写用インクを中間転写媒体に付与するインク付与工程と、昇華転写用インクが付与された中間転写媒体を加熱し、昇華転写用インクを構成する昇華性染料を被記録媒体に転写させる転写工程と、を有する。これにより、生産性良く記録物を記録することができる、昇華転写用インクを用いた記録物の記録方法を提供することができる。以下、各工程について詳細に説明する。
(インク付与工程)
インク付与工程では、インクジェット方式により、本実施形態に係る昇華転写用インクを中間転写媒体に付与する。インクジェット方式による昇華転写用インクの吐出は、公知のインクジェット記録装置を用いて行うことができる。吐出方法としては、ピエゾ方式や、インクを加熱して発生した泡(バブル)によりインクを吐出させる方式等を用いることができる。このなかでも、昇華転写用インクの変質のし難さ等の観点から、ピエゾ方式が好ましい。
インク付与工程では、本実施形態に係る昇華転写用インク以外の昇華転写用インクを用いてもよい。これにより、例えば、表現することのできる色域をより広いものとすることができる。
(中間転写媒体)
中間転写媒体としては、特に限定されないが、例えば、普通紙等の紙、インク受容層が設けられた被記録媒体(インクジェット用専用紙、コート紙等で呼称される)等を用いることができる。このなかでも、シリカ等の無機微粒子でインク受容層が設けられた紙が好ましい。これにより、中間転写媒体に付与した昇華転写用インクが乾燥する過程で、滲み等が抑制された中間転写媒体を得ることができ、また、後の転写工程において、昇華性染料の昇華がより円滑に進行する傾向にある。
(転写工程)
その後、昇華転写用インクが付与された中間転写媒体を加熱し、昇華転写用インクを構成する昇華性染料を被記録媒体に転写させる。これにより、記録物が得られる。
本工程での加熱温度は、160℃以上220℃以下が好ましく、170℃以上200℃以下がより好ましい。加熱温度が上記範囲内であることにより、転写に要するエネルギーをより少なくすることができ、記録物の生産性により優れる傾向にある。また、得られる記録物の発色性がより優れる傾向にある。
本工程での加熱時間は、加熱温度にもよるが、30秒以上90秒以下が好ましく、45秒以上60秒以下がより好ましい。加熱時間が上記範囲内であることにより、転写に要するエネルギーをより少なくすることができ、記録物の生産性により優れる傾向にある。また、得られる記録物の発色性がより優れる傾向にある。
また、本工程は、昇華転写用インクが付与された中間転写媒体の表面を、被記録媒体と一定間隔で離間して対向させた状態で加熱することにより行うことも、中間転写媒体と被記録媒体とを密着させた状態で加熱することにより行うこともできる。このなかでも、中間転写媒体と被記録媒体とを密着させた状態で加熱することにより行うことが好ましい。これにより、転写に要するエネルギーをより少なくすることができ、記録物の生産性により優れる傾向にある。また、得られる記録物の発色性がより優れる傾向にある。
(被記録媒体)
被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、布帛(疎水性繊維布帛等)、樹脂(プラスチック)フィルム、紙、ガラス、金属、陶磁器等が挙げられる。また、被記録媒体としては、シート状、球状又は直方体形状等の立体的な形状を有する物を用いてもよい。
被記録媒体が布帛である場合に、布帛を構成する繊維としては、特に限定されないが、例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、トリアセテート繊維、ジアセテート繊維、ポリアミド繊維及びこれらの繊維を2種以上用いた混紡品等が挙げられる。また、これらとレーヨン等の再生繊維あるいは木綿、絹、羊毛等の天然繊維との混紡品を用いてもよい。
また、被記録媒体が樹脂(プラスチック)フィルムである場合、用い得る樹脂(プラスチック)フィルムとしては、特に限定されないが、例えば、ポリエステルフィルム、ポリウレタンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム等が挙げられる。樹脂(プラスチック)フィルムは、複数の層が積層された積層体であってもよいし、材料の組成が傾斜的に変化する傾斜材料で構成されたものであってもよい。
(他の工程)
上述したような工程に加え、さらに他の工程(前処理工程、中間処理工程、後処理工程)を有するものであってもよい。
前処理工程としては、特に限定されないが、例えば、被記録媒体にコート層を塗布する工程が挙げられる。
中間処理工程としては、特に限定されないが、例えば、被記録媒体を予備加熱する工程が挙げられる。
後処理工程としては、特に限定されないが、例えば、被記録媒体を洗浄する工程が挙げられる。
また、本実施形態に係る昇華転写用インクは、中間転写媒体を用いない昇華転写においても好適に使用できる。中間転写媒体を用いない昇華転写は、特に限定されないが、例えば、剥離可能なインク受容層が設けられた被記録媒体(フィルム製品等)のインク受容層に、インクジェット方式により本実施形態に係る昇華転写用インクを付与する工程と、昇華転写用インクが付与されたインク受容層が設けられた被記録媒体をそのまま加熱して、インク受容層から、その下層側の被記録媒体に昇華拡散染色する工程と、インク受容層を被記録媒体から剥離して記録物を得る工程とを有する方法が挙げられる。
〔記録物〕
次に、本実施形態に係る昇華転写用インクにより得られる記録物について説明する。記録物は、上述したような本実施形態に係る昇華転写用インクを用いて記録されたものである。これにより、発色性に優れた記録物を提供することにある。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
[昇華転写用インクの材料]
下記の実施例及び比較例において使用した昇華転写用インクの主な材料は、以下の通りである。
〔昇華性染料〕
DB359(C.I.Disperse Blue 359)
DB360(C.I.Disperse Blue 360)
DO25(C.I.Disperse Orange 25)
DBr27(C.I.Disperse Brown 27)
DY54(C.I.Disperse Yellow 54)
DR60(C.I.Disperse Red 60)
〔分散剤〕
NS(β−ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物(アニオン系分散剤))
〔界面活性剤〕
BYK348(ビックケミー・ジャパン社製)
〔水溶性有機溶剤〕
GL(グリセリン)
TEGMME(トリエチレングリコールモノメチルエーテル)
[昇華転写用インクの調製]
各材料を下記の表1に示す組成で混合し、十分に撹拌し、フィルタで不溶解物を除去することにより、各昇華転写用インクを得た。なお、下記の表1中、数値の単位は質量部であり、合計は100質量部である。
Figure 2015010212
[記録方法(実施例1〜4、比較例1〜4)]
上記で得られた各昇華転写用インクをインクカートリッジに充填し、該インクカートリッジをインクジェットプリンタ(PX−G930、セイコーエプソン社製)に装着した。その後、プリンタードライバーを用いて、プリンタのヘッドに昇華転写用インクを充填し、目詰まりしているノズルがなく、通常記録できることを確認した。このインクジェットプリンタを用いて、上記各昇華転写用インクを吐出し、中間転写媒体であるTRANSJET Classic(Cham Paper社)に、記録解像度1440×720dpiでベタパターンを付着させた。尚、プリンタの動作環境は40℃、20RH%とした。
その後、中間転写媒体の昇華転写用インク付着側を白色記録媒体である布帛(ポリエステル100%、アミーナ、東レ社製)と密着させ、この状態で、ヒートプレス機(TP−608M、太陽精機社製)を用いて200℃で60秒の条件で加熱し、昇華転写を行い、各記録物を得た。
[評価]
〔発色性(OD値)〕
得られた各記録物について、発色性の評価を行った。具体的には、得られた各記録物について、測色機(Gretag Macbeth Spectrolino、X−Rite社製)を用いて、BlackのOD値を測定し、得られたOD値に基づいて評価基準により発色性を評価した。結果を表2に示す。
(評価基準)
A:OD値が1.62以上
B:OD値が1.61以上1.62未満
C:OD値が1.60以上1.61未満
D:OD値が1.60未満
〔黒さ〕
得られた各記録物について、黒さの評価を行った。具体的には、得られた各記録物について、測色機(Gretag Macbeth Spectrolino、X−Rite社製)を用いてa*値b*値の測色を行い、C*=(a*+b*1/2によりC*を算出し、以下の基準にて評価した。結果を表2に示す。
(評価基準)
A:C*が10以下
B:C*が10を超える
〔吐出安定性〕
上記で得られた各昇華転写用インクをインクカートリッジに充填し、インクジェットプリンタ(PX−G930、セイコーエプソン社製)に装着した。その後、プリンタードライバーを用いて、プリンタのヘッドに昇華転写用インクを充填し、目詰まりしているノズルがなく、通常記録できることを確認した。
中間転写媒体であるTRANSJET Classic(Cham Paper社)上の任意の地点Aにインク滴を吐出し、吐出パターン1を得た。次にインクを吐出させない状態でキャリッジを4.3秒間駆動させた後、中間転写媒体であるTRANSJET Classic(Cham Paper社)上の任意の地点Aで再度インク滴を吐出し、吐出パターン2を得た。尚、プリンタの動作環境は40℃、20RH%とした。
中間転写媒体に付着した吐出パターン1及び吐出パターン2を比較して、インク滴の着弾位置のずれ量を光学顕微鏡で測定し、以下の評価基準で評価をした。結果を表2に示す。
A:ずれ量が80μm未満
B:ずれ量が80μm以上120μm未満
C:ずれ量が120μm以上
Figure 2015010212
実施例に比べ、C.I.Disperse Blue 359のみを含有する比較例1、4は発色性に劣ることが分かった。また、C.I.Disperse Blue 359をより多く含有する比較例4では吐出安定性(間欠特性)も劣化することが示された。また、実施例に比べ、C.I.Disperse Blue 360のみを含有する比較例2、3は発色性に劣ることが分かった。

Claims (6)

  1. 水と、水溶性有機溶剤と、昇華性染料と、を含み、
    前記昇華性染料は、C.I.Disperse Blue 359及びC.I.Disperse Blue 360を含む、昇華転写用インク。
  2. C.I.Disperse Brown 27及びC.I.Disperse Orange 25の少なくともいずれかをさらに含む、請求項1に記載の昇華転写用インク。
  3. 昇華転写後の記録物においてLab表示系における彩度C*が、10以下である、請求項1又は2に記載の昇華転写用インク。
  4. 前記昇華性染料の含有量が、前記昇華転写用インクの総質量100質量%に対して、5.0〜10質量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の昇華転写用インク。
  5. 前記水溶性有機溶剤は、グリセリン及びアルキレングリコールの少なくともいずれかを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の昇華転写用インク。
  6. 前記グリセリン及びアルキレングリコールの総含有量が、前記昇華転写用インクの総質量100質量%に対して、10質量%以上である、請求項5に記載の昇華転写用インク。
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