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JP2018178039A - 青色染料組成物 - Google Patents

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JP2018178039A
JP2018178039A JP2017083277A JP2017083277A JP2018178039A JP 2018178039 A JP2018178039 A JP 2018178039A JP 2017083277 A JP2017083277 A JP 2017083277A JP 2017083277 A JP2017083277 A JP 2017083277A JP 2018178039 A JP2018178039 A JP 2018178039A
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Abstract

【課題】耐光性が良好で、各種の基材、好ましくはポリエステル繊維、又はポリエステル繊維を含有する混紡繊維の染色に用いる青色染料組成物、昇華転写性を有する青色染料組成物の提供。【解決手段】式(1)で表される化合物と、式(1)で表される化合物とは異なる化学構造を有し、550nm〜700nmの範囲に最大吸収波長を有する着色剤Aと、を含有する青色染料組成物。[R1、R2及びR3は、各々独立にH、又はC1−C4アルキル基を表し、且つ、R1、R2及びR3の全てがHとなることはない。XはO、又はイミノ基を示す。]【選択図】なし

Description

本発明はアンスラキノン系化合物を含有する青色染料組成物、それが付着した基材(特にはポリエステル繊維)、及び染色方法に関する。
分散染料は、ポリエステル等の疎水性繊維を染色する染料として工業的に広く使用されている。繊維の染色方法としては、浸染、捺染、連続染色など従来から実施されている大量生産方式の工業的な染色方法が挙げられる。また、近年では、多品種小ロット化、納期の短期化、デザインのデジタル化等に対応するため、インクジェット方式による捺染が増加している。
分散染料を含有するインクを用いる繊維の捺染方法は、大きく2つに分けられる。1つの方法は、繊維にインクを付着させる「ダイレクト捺染」である。もう1つの方法は、
紙などの中間媒体にインクを付着させた後、そのインクの付着面と、繊維とを重ね合わせて加熱することにより、中間媒体から繊維へ染料を昇華させて捺染する「昇華転写捺染」である。昇華転写捺染方法は、繊維に対して染料の乾熱固着が可能であり、染色後の洗浄工程を必要としない。この理由から、昇華転写捺染方法は、染色工程における染色廃水等の水が大幅に削減できる。このため、この捺染方法は環境に優しい染色方法として、先進国だけでなく、新興国も含めて世界的に普及が進んでいる。
分散染料で捺染された繊維は、一般に鮮明性や堅牢性が非常に優れることが知られている。この理由から、サインディスプレイ、スポーツアパレル、インテリア、及びカーシート等の様々な用途への応用が期待される。このため、分散染料には、鮮明で色再現範囲が広いこと、耐光性が良好であることが求められている。また、分散染料の中でも昇華転写捺染に使用される染料には、これらに加えて昇華転写性(染着性)が良好であることが求められている。
フルカラーの捺染に使用されるイエロー、マゼンタ、シアンの各色の分散染料のうち、シアン色の染料としては、アンスラキノン系の化合物、例えば、C.I.ディスパースブルー 60、334、及び359等が挙げられる。これらの中で、4環性の化学構造であるC.I.ディスパースブルー 60及び334は耐光性が高いものの、昇華転写性が低く、高い染色濃度が得られないことが問題とされている。また、3環性の化学構造とされるC.I.ディスパースブルー 359は昇華転写性が高いものの、耐光性が低く、且つ、光により赤みに変色してしまう問題がある。従って、高い耐光性を有し、且つ、昇華転写性が良好な染料の開発が強く要求されている。しかしながら、現状ではこの要求を満足できる染料は見出されていない。
特許文献1〜2には、分散染料混合物が開示されている。
米国特許8506654号公報 特開2004−339514号公報
本発明は、耐光性が良好で、各種の基材、好ましくは繊維、より好ましくはポリエステル繊維、又はポリエステル繊維を含有する混紡繊維の染色に用いる青色染料組成物、好ましくは昇華転写性を有する青色染料組成物の提供を課題とする。
本発明者等は、前記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の青色染料組成物により、前記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明は以下の1)〜12)に関する。
1)
下記式(1)で表される化合物と、下記式(1)で表される化合物とは異なる化学構造を有し、且つ、550nm〜700nmの範囲に最大吸収波長を有する着色剤Aと、を含有する青色染料組成物。
Figure 2018178039
[式(1)中、R、R2及びRは、それぞれ独立して水素原子、又はC1−C4アルキル基を表し、且つ、R、R2及びRの全てが水素原子となることはない。Xは酸素原子、又はイミノ基を示す。]
2)
前記式(1)中、Rが水素原子若しくはC1−C4アルキル基であり、RがC1−C4アルキル基であり、R3がC1−C4アルキル基であり、Xが酸素原子である、前記1)に記載の青色染料組成物。
3)
前記式(1)中、Rが水素原子であり、RがC1−C4アルキル基であり、R3がC1−C4アルキル基であり、Xが酸素原子である、前記1)に記載の青色染料組成物。
4)
前記式(1)中、Rが水素原子であり、RがC1−C4アルキル基であり、R3がC1−C4アルキル基であり、且つ、R及びR3の炭素数の総和が4〜8であり、Xが酸素原子である、前記1)に記載の青色染料組成物。
5)
前記の着色剤AがC.I.Disperse Blue、C.I.Disperse Violet、及びC.I.Solvent Blueから選択される染料である、前記1)に記載の青色染料組成物。
6)
水、及び有機溶剤から選択される少なくとも1種類の液媒体と、前記1)〜5)のいずれか一項に記載の青色染料組成物を含有するインク。
7)
さらに分散剤を含有する前記6)に記載のインク。
8)
前記1)〜5)のいずれ一項に記載の青色染料組成物が付着した基材。
9)
前記6)又は7)に記載のインクが付着した基材。
10)
前記の基材が繊維である、前記8)又は9)に記載の基材。
11)
前記の繊維が、疎水性繊維である前記10)に記載の基材。
12)
前記の疎水性繊維が、ポリエステル又はポリエステルを含有する混紡繊維である前記11)に記載の基材。
本発明により、耐光性が良好で、各種の基材、好ましくは繊維、より好ましくはポリエステル繊維、又はポリエステル繊維を含有する混紡繊維の染色に用いる、青色染料組成物、好ましくは昇華転写性を有する青色染料組成物が提供できた。
本明細書において「C.I.」とは、「カラーインデックス」を意味する。また、本明細書においては、実施例等も含めて「%」及び「部」は、特に断りの無い限り、いずれも質量基準で記載する。
また、前記の青色染料組成物は、本明細書において特に断りの無い限り、単に「染料組成物」と記載することがある
前記式(1)中、R、R及びRにおけるC1−C4アルキル基としては、直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基が挙げられる。これらの中では直鎖、又は分岐鎖が好ましく、直鎖がより好ましい。
その具体例としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチルの直鎖アルキル基;イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチルの分岐鎖アルキル基;シクロプロピル、シクロブチルの環状アルキル基が挙げられる。これらの中ではエチルが好ましい。
、R及びRの炭素数の合計は通常4〜12、好ましくは4〜8、より好ましくは4〜6、さらに好ましくは4又は5、特に好ましくは4である。炭素数の合計が小さくなると、昇華転写性が良好になる傾向が有る。昇華転写性に着目すると、R及びRの炭素数の合計は4又は5が好ましく、4がより好ましい。式(1)で表される化合物は、昇華転写性を有する方が好ましい。
、R及びRとしては、全てがアルキル基、又は、いずれか1つが水素原子であり、残りの2つがアルキル基が好ましく;いずれか1つが水素原子であり、残りの2つがアルキル基がより好ましい。
Xは酸素原子、又はイミノ基であり、酸素原子が好ましい。
前記式(1)で表される化合物は、公知の方法により得ることができる。
一例としては、下記式(4)で表される化合物、及び下記式(5)で表されるアミン化合物を有機溶剤(例えばスルホラン)中で加え、70℃〜220℃、好ましくは120℃〜180℃で反応させることにより、前記式(1)で表される化合物を得ることができる。この反応は常圧で行うことができる。また、オートクレーブ等を使用して反応を加圧下で行うと、反応が促進されるため好ましい。
Figure 2018178039
式(3)中、Xは式(1)におけるのと同じ意味を表す。
Figure 2018178039
式(5)中、R、R及びRは、式(1)におけるのと同じ意味を表す。
前記のようにして得られた化合物は、必要に応じて公知の方法により精製することができる。精製方法としては、例えば、酸析、塩析、懸濁精製、及び晶析等が挙げられる。
前記の着色剤Aは、式(1)で表される化合物とは異なる化学構造を有し、且つ、最大吸収波長(λmax)を有する着色剤が好ましい。着色剤Aは通常550nm〜700nm、好ましくは580nm〜630nmに最大吸収波長を有する。
着色剤Aは、水不溶性の染料であるのが好ましく;C.I.Disperse Violet、C.I.Disperse Blue、及びC.I.Solvent Blueから選択される染料がより好ましい。
その具体例としては、例えば、C.I.Disperse Violet 8、17、23、27、28、29、36、57;C.I.Disperse Blue 3、5、7、9、14、16、19、20、26、27、28、35、43、44、54、55、56、58、60、62、64、71、72、73、75、77、79、81、82、83、87、91、93、94、95、96、102、106、108、112、113、115、118、120、122、125、128、130、134、139、141、142、143、146、148、149、153、154、158、165、167、171、173、174、176、181、183、185、186、187、189、197、198、200、201、205、207、211、214、224、225、257、259、266、267、268、270、284、285、287、288、291、293、295、297、301、315、330、333、334、359、360、366;C.I.Solvent Blue 35、36、59、63、83、97、104、105、111等が挙げられる。
着色剤Aとしては、下記式(2)で表される化合物も好ましい。
Figure 2018178039
式(2)中、
は水素原子、置換基を有してもよいフェニル基、又はアルキル基を表し、
は水素原子、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオ基、又はハロゲン原子を表し、
は水素原子、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有しても良いアルコキシ基、置換基を有してもよいアミノカルボニル基、又はハロゲン原子を表し、
Qは酸素原子、又はNH基を表し、
は、Qが酸素原子のとき水素原子を表し、QがNH基のとき、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、又は置換基を有してもよいフェニル基を表し、
は水素原子、置換基を有してもよいアミノ基、ニトロ基、又はヒドロキシ基を表し、
は水素原子、アミノ基、ニトロ基、又はヒドロキシ基を表す。
但し、R〜Rの全てが水素原子となることはない。
における置換基を有してもよいフェニル基の置換基としては、アルキル基、又はアルキルスルホニルオキシ基が挙げられる。
前記のうち、アルキル基としては直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基が挙げられ、直鎖、又は分岐鎖が好ましく、直鎖がより好ましい。その炭素数の範囲は通常C1−C3、好ましくはC1−C2である。その具体例としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピルが挙げられる。これらの中ではメチルが好ましい。
前記のうち、アルキルスルホニル基としては、前記アルキル基を有するスルホニルオキシ基が挙げられる。その具体例としては、例えば、メチルスルホニルオキシ、エチルスルホニルオキシ、n−プロピルスルホニルオキシ、イソプロピルスルホニルオキシ、シクロプロピルスルホニルオキシが挙げられる。これらの中ではメチルスルホニルオキシが好ましい。
における置換基を有してもよいフェニル基の具体例としては、例えば、フェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,6−ジエチル−4−メチルフェニル、4−メチルスルホニルオキシフェニル等が挙げられる。
におけるアルキル基としては、直鎖、分岐鎖、又は環状の非置換アルキル基が挙げられ、直鎖、又は分岐鎖が好ましい。その炭素数の範囲は通常C1−C5、好ましくはC1−C4である。その具体例としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、イソプロピル等が挙げられる。
及びRにおける置換基を有してもよいフェニル基の置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、又はヒドロキシ基が挙げられる。これらの中で、Rにおいてはヒドロキシ基が好ましく、Rにおいてはアルコキシ基、又はヒドロキシ基が好ましい。
アルキル基としては、前記「Rにおける置換基を有してもよいフェニル基の置換基」として挙げたアルキル基と、好ましいもの等を含めて同じアルキル基が挙げられる。
アルコキシ基としては、直鎖、分岐鎖、又は環状アルキルオキシ基が挙げられ、直鎖、又は分岐鎖が好ましく、直鎖がより好ましい。その炭素数の範囲は通常C1−C3、好ましくはC1−C2、より好ましくはC1である。アルコキシ部分の具体例としては、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、シクロプロポキシ等が挙げられる。
及びRにおける置換基を有してもよいフェニル基の具体例としては、例えば、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、2−エチルフェニル、3−エチルフェニル、4−エチルフェニル、2−メトキシフェニル、3−メトキシフェニル、4−メトキシフェニル、2−ヒドロキシフェニル、3−ヒドロキシフェニル、4−ヒドロキシフェニル等が挙げられる。これらの中で、Rにおいては4−ヒドロキシフェニルが好ましく、Rにおいては4−メトキシフェニル、4−ヒドロキシフェニルが好ましい。
及びRにおける置換基を有してもよいアルコキシ基としては、それぞれ置換基を有してもよいアルキルオキシ基、又はフェニルオキシ基が挙げられる。これらの中で、フェニルオキシ基は非置換が好ましい。
アルキルオキシ基としては、直鎖、分岐鎖、又は環状アルキルオキシ基が挙げられ、直鎖、又は分岐鎖が好ましく、直鎖がより好ましい。その炭素数の範囲は通常C1−C7、好ましくはC1−C6である。アルキルオキシ基の具体例としては、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキシロキシ、イソプロポキシ、シクロプロポキシ等が挙げられる。
における置換基を有してもよいアルコキシ基の置換基としては、アルキルオキシ基、又はヒドロキシ基が挙げられる。これらの中では、ヒドロキシ基が好ましい。
また、Rにおける置換基を有してもよいアルコキシ基の置換基としては、フェニルオキシ基が挙げられる。
及びRにおける置換基を有してもよいアルコキシ基の具体例としては、例えば、2−ヒドロキシ−n−エトキシ、3−ヒドロキシ−n−プロポキシ、4−ヒドロキシ−n−ブトキシ、5−ヒドロキシ−n−ペントキシ、6−ヒドロキシ−n−ヘキシロキシ、フェニルオキシ、2−メチルフェニルオキシ、3−メチルフェニルオキシ、4−メチルフェニルオキシ、4−ヒドロキシフェニルオキシ等が挙げられる。これらの中で、Rにおいては6−ヒドロキシ−n−ヘキシロキシ、又はフェニルオキシが好ましく、Rにおいてはフェニルオキシ基が好ましい。
における置換基を有してもよいアルキルチオ基としては、直鎖、分岐鎖、又は環状アルキルチオ基が挙げられ、直鎖、又は分岐鎖が好ましく、直鎖がより好ましい。その炭素数の範囲は通常C1−C4、好ましくはC1−C3、より好ましくはC2である。その具体例としては、例えば、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、n−ブチルチオ、n−ペンチルチオ、イソプロピルチオ、シクロプロピルチオ等が挙げられる。
における置換基を有してもよいアルキルチオ基の置換基としては、アルコキシ基、又はヒドロキシ基が挙げられる。これらの中では、ヒドロキシ基が好ましい。アルコキシ基の具体例としては、前記「Rにおける置換基を有してもよいフェニル基の置換基」として挙げたアルコキシ基と、好ましいもの等を含めて同じものが挙げられる。
における置換基を有してもよいアルキルチオ基の具体例としては、例えば、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、シクロプロピルチオ、2−メトキシエチルチオ、3−メトキシプロピルチオ、2−ヒドロキシエチルチオ、3−ヒドロキシプロピルチオ等が挙げられる。これらの中では2−ヒドロキシエチルチオが好ましい。
及びRにおけるハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。これらの中ではフッ素原子、塩素原子、及び臭素原子が好ましく、塩素原子、及び臭素原子がより好ましい。
における置換基を有してもよいアミノカルボニル基の置換基としては、直鎖、分岐鎖、又は環状のヒドロキシアルキル基が挙げられる。これらの中では直鎖、又は分岐鎖が好ましく、直鎖がより好ましい。その炭素数の範囲は通常C2−C6、好ましくはC2−C4、より好ましくはC2である。
ヒドロキシアルキル基の具体例としては、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシ−n−プロピル、4−ヒドロキシ−n−ブチル、5−ヒドロキシ−n−ペンチル、6−ヒドロキシ−n−ペンチル等が挙げられる。これらの中では2−ヒドロキシエチルが好ましい。
における置換基を有してもよいアミノカルボニル基としては、非置換アミノカルボニル、又は2−ヒドロキシエチルアミノカルボニルが好ましい。
QがNH基のとき、式(2)で表される化合物は、下記式(3)で表される化合物を意味する。下記式(3)中、R〜Rは、式(2)と同じ意味を有する。
Figure 2018178039
QがNH基のとき、Rにおける置換基を有してもよいアルキル基としては、非置換アルキル基、又はヒドロキシアルキル基が挙げられる。また、置換基を有してもよいフェニル基がとしては、前記「Rにおける置換基を有してもよいフェニル基の置換基」のうち、アルキル基を有するフェニル基が挙げられる。
置換基を有してもよいアルキル基としては、好ましいもの等を含めて、前記のうち「Rにおけるアルキル基」として挙げた非置換アルキル基、又は、「Rにおける置換基を有してもよいアミノカルボニル基の置換基」として挙げたヒドロキシアルキル基と同じものが挙げられる。
として好ましい具体例はメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、イソプロピル、2−ヒドロキシエチル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,6−ジエチル−4−メチルフェニル等が挙げられる。
における置換基を有してもよいアミノ基としては、好ましいもの等を含めて、前記のうち「Rにおけるアルキル基」として挙げた非置換アルキル基が挙げられる。それらの中ではメチルが好ましい。
前記のうち、着色剤AとしてはC.I.Disperse Violet、及びC.I.Solvent Blueから選択され、且つ、前記式(2)又は式(3)で表される化合物が好ましい。
そのような化合物としては、例えば、C.I.Disperse Blue 3、5、14、26、28、35、56、60、72、73、77、81、334;C.I.Disperse Violet 27等が挙げられる。
着色剤Aとして好ましい化合物の具体例を、下記表1〜表2に示す。
Figure 2018178039
Figure 2018178039
前記の中で、着色剤Aとしては、C.I.Disperse Violet 27、及びC.I.Disperse Blue 72が好ましく、C.I.Disperse Blue72がより好ましい。
前記の染料組成物が含有する、式(1)で表される化合物と、着色剤Aの含有量の比は、質量基準で通常10/90〜90/10、好ましくは30/70〜90/10、より好ましくは40/60〜85/15、さらに好ましくは55/45〜80/20である。この比とすることにより、色相と昇華性を良好にすることができる。
前記の染料組成物は、液媒体と、当該染料組成物とを含有するインクとすることができる。液媒体としては、水、及び有機溶剤から選択される少なくとも1種類が好ましい。
染料混合物は、水と必要に応じて有機溶剤とを含有する水系インクとすることも、実質的に水を含有しないインク、すなわち溶剤インクとすることもできる。本明細書において、「実質的に水を含有しないインク」とは、意図的に水を加えないインクを意味する。
有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等のC1−C4アルコール;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン又は1,3−ジメチルヘキサヒドロピリミド−2−オン等の複素環式ケトン;アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等のケトン又はケトアルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル;エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール等のジオール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオジグリコール等のC2−C6アルキレン単位を有するジ、オリゴ、若しくはポリアルキレングリコール又はチオグリコール;グリセリン、ヘキサン−1,2,6−トリオール、トリメチロールプロパン等のポリオール(好ましくはトリオール);エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールのC1−C4モノアルキルエーテル;γ−ブチロラクトン;ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
前記インクを水系インクとするときは、さらに分散剤を含有するのが好ましい。また、そのときの有機溶剤は、水溶性有機溶剤であるのが好ましい。すなわち、前記インクを水系インクとするときは、水、水溶性有機溶剤、分散剤、式(1)で表される化合物、及び着色剤Aを含有するインクが好ましい。
式(1)で表される化合物、及び着色剤Aの一部又は全ては、分散剤で被覆することができる。
分散剤としては、ノニオン分散剤、アニオン分散剤、及び高分子分散剤が挙げられ、目的に応じて適宜選択することができる。
分散剤の使用量は固形分換算で、染料組成物の総質量に対して通常1%〜100%、好ましくは5%〜90%、より好ましくは10%〜80%である。
ノニオン分散剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ショ糖エステル、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン−β−ナフチルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル等が挙げられる。
アニオン分散剤としては、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルアリールエーテル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、アルキルアリール及びアルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルアリルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル硫酸塩等が挙げられる。
また、高分子系スルホン酸、好ましくは芳香族スルホン酸のホルマリン縮合物、リグニンスルホン酸のホルマリン縮合物等も挙げられる。芳香族スルホン酸のホルマリン縮合物としては、例えば、クレオソート油スルホン酸、クレゾールスルホン酸、フェノールスルホン酸、β−ナフトールスルホン酸、β−ナフタリンスルホン酸とβ−ナフトールスルホン酸、及びクレゾールスルホン酸と2−ナフトール−6−スルホン酸の、各ホルマリン縮合物が挙げられる。これらの中では、クレオソート油スルホン酸、ナフタレンスルホン酸、リグニンスルホン酸の、各ホルマリン縮合物等が好ましい。
このようなアニオン分散剤は、例えば、いずれも花王株式会社製のデモール N、デモール C、デモール SNB、デモール W、第一工業製薬株式会社製のラベリン W(クレオソート油スルホン酸のホルマリン縮合物)等として入手することができる。
アニオン分散剤は、スルホン酸等の官能基を中和剤で中和した塩として使用することもできる。中和剤としては、後記するpH調整剤等が使用できる。
高分子分散剤としては、スチレン及びその誘導体(好ましくはスチレン及びα−メチルスチレンから選択される単量体);ビニルナフタレン及びその誘導体;α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル等;(メタ)アクリル酸及びその誘導体;マレイン酸及びその誘導体;イタコン酸及びその誘導体;フマール酸及びその誘導体;酢酸ビニル、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、アクリルアミド、及びその誘導体よりなる群等の単量体から選択される、少なくとも2つの単量体(好ましくは、このうち少なくとも1つが親水性の単量体)からなる共重合体、及び/又はそれらの塩等が挙げられる。共重合体としては、例えば、ブロック共重合体、ランダム共重合体及びグラフト共重合体等が挙げられる。なお、本明細書において(メタ)アクリル酸とは、メタクリル酸及びアクリル酸の両方を意味する。
これらの中では、スチレン及びその誘導体、及び(メタ)アクリル酸及びその誘導体から選択される、少なくとも2つの単量体からなる共重合体が好ましい。そのような分散剤の具体例としては、例えば、BASF社製のジョンクリルシリーズが好ましい。
前記の化合物を含有する分散液(好ましくは水性分散液)の調製方法としては、公知の方法が使用できる。その一例としては、当該染料混合物と分散剤を混合し、サンドミル(ビーズミルともいう)、ロールミル、ボールミル、ペイントシェーカー、超音波分散機、マイクロフルイダイザー等を用いて分散処理を行う方法が挙げられる。これらの中ではサンドミルが好ましい。サンドミルを用いた分散液の調製は、0.01mm〜1mm径程度のビーズを使用するのが好ましい。また、分散液の調製において、ビーズの充填率を大きくすること等により、分散の効率を高めることができる。
分散処理を行った後に、ろ過及び/又は遠心分離等により、ビーズ及び夾雑物等の除去を行う。このとき、目的とする平均粒径よりも巨大な粒子を除去することも好ましく行われる。このような粒子を除去することにより、プリンタヘッドの目詰まりを防止することができる。
分散液の調製中に泡立ちが生じるときは、公知のシリコーン系、アセチレングリコール系等の消泡剤を極微量加えることができる。
その他の分散液の調製方法としては、酸析法、転相乳化法、界面重合法、in−situ重合法、液中硬化被膜法、コアセルベーション(相分離)法、液中乾燥法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等が挙げられる。これらの中では転相乳化法、酸析法、及び界面重合法が好ましい。
前記インクは、必要に応じてインク調製剤を含有することができる。インク調製剤としては、例えば、防腐防黴剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、紫外線吸収剤、粘度調整剤、染料溶解剤、褪色防止剤、表面張力調整剤、及び消泡剤等が挙げられる。インク調製剤の含有量は合計で、インクの総質量に対して通常0〜10%程度、好ましくは0.05〜5%程度である。
防腐防黴剤としては、例えば、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ソジウムピリジンチオン−1−オキサイド、ジンクピリジンチオン−1−オキサイド、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、1−ベンズイソチアゾリン−3−オンのアミン塩、アーチケミカルズ社製のプロキセル GXL等が挙げられる。
pH調整剤は、インクのpHを6〜11程度に制御できるものであれば、任意の物質を使用することができる。例えば、前記アルコールアミン、アルキルアミン;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の、元素の周期表の第1族元素の水酸化物、及び炭酸塩;タウリン等のアミノスルホン酸等が挙げられる。
キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸2ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラシル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、桂皮酸系化合物、トリアジン系化合物、スチルベン系化合物が挙げられる。また、ベンズオキサゾール系化合物等の蛍光増白剤等も紫外線吸収剤として使用できる。
粘度調整剤としては、前記の水溶性有機溶剤、及び水溶性高分子化合物が挙げられる。後者の例としては、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアミン、ポリイミン等が挙げられる。
染料溶解剤としては、例えば尿素、ε−カプロラクタム、エチレンカーボネート等が挙げられる。
褪色防止剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。褪色防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。
有機系としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、及びヘテロ環類等が挙げられる。
金属錯体系としては、ニッケル錯体、亜鉛錯体等が挙げられる。
表面張力調整剤としては、界面活性剤が挙げられる。界面活性剤の種類としては、例えば、アニオン、カチオン、両性、ノニオン、シリコーン系、及びフッ素系等が挙げられる。
アニオン界面活性剤としてはアルキルスルホカルボン酸塩;α−オレフィンスルホン酸塩;ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩;N−アシルアミノ酸又はその塩;N−アシルメチルタウリン塩;アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩;アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩;ロジン酸石鹸;ヒマシ油硫酸エステル塩;ラウリルアルコール硫酸エステル塩;アルキルフェノール型リン酸エステル;アルキル型リン酸エステル;アルキルアリールスルホン酸塩;ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキルシルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀酸塩等のスルホ琥珀酸系等が挙げられる。
これらの界面活性剤は、多様な種類が市販されている。その一例としては、例えば、ライオン株式会社製、リパール 835I、860K、870P、NTD、MSC;アデカ株式会社製、アデカコール EC8600;花王株式会社製 ペレックス OT−P、CS、TA、TR;新日本理化株式会社製、リカマイルド ES−100、ES−200、リカサーフ P−10、M−30、M−75、M−300、G−30、G−600;東邦化学工業株式会社製、コハクノール L−300、L−40、L−400、NL−400等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、2−ビニルピリジン誘導体、ポリ4−ビニルピリジン誘導体等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N’−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、イミダゾリン誘導体等が挙げられる。
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル系;ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール等のアセチレングリコール(アルコール)系;日信化学社製、サーフィノール 104、104PG50、105、82、465、オルフィン STG等;ポリグリコールエーテル系(例えばSIGMA−ALDRICH社製のTergitol 15−S−7等)等が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、ポリエーテル変性シロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。市販品の具体例としては、例えば、いずれもビックケミー社製の、BYK−347(ポリエーテル変性シロキサン);BYK−345、BYK−348(ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン)等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸系化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物等が挙げられる。その具体例としては、例えば、DuPont社製のZonyl TBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、Capstone FS−30、FS−31;オムノバ社製のPF−151N、PF−154N等が挙げられる。
消泡剤としては、高酸化油系、グリセリン脂肪酸エステル系、フッ素系、シリコーン系、及びアセチレングリコール系の化合物等が挙げられる。
前記インクは、各種の記録に使用することができる。例えば、筆記具、水性印刷、情報記録、繊維の染色、及びインクジェット記録等に好適である。
前記インクをインクジェットインクとして使用するときは、25℃の粘度が、E型粘度計で測定したときに通常3mPa・s〜20mPa・s、好ましくは8mPa・s〜20mPa・sである。
同様に、前記インクの25℃における表面張力は、プレート法で測定したときに通常20mN/m〜40mN/m、好ましくは25mN/m〜35mN/mである。
同様に、前記インクの5℃における10Hzでの動的表面張力は、最大泡圧法で測定したときに通常25mN/m〜45mN/m、好ましくは30mN/m〜40mN/mである。
前記の基材は、インク受容層を有するものと、有さないものとに大別される。前記インクジェット記録方法に用いる基材としては、これらのいずれも好ましい。
具体的な基材としては、例えば、紙、フィルム、繊維や布(ポリエステル、セルロース、ナイロン、羊毛等)、皮革、カラーフィルター用基材等が挙げられる。
インク受容層は、インクを吸収してその乾燥を早める等の作用を目的として、基材に設置される。インク受容層は、例えば前記の基材にカチオン系ポリマーを含浸又は塗工する方法;無機微粒子を、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーと共に、基材の表面に塗工する方法等により設置される。前記の無機微粒子としては、多孔質シリカ、アルミナゾル、及び特殊セラミックス等が挙げられる。
このようなインク受容層を有する基材は、通常インクジェット専用紙、インクジェット専用フィルム、光沢紙、光沢フィルム等と呼ばれる。市販されているインクジェット専用紙としては、例えば、キヤノン株式会社製、プロフェッショナルフォトペーパー等が挙げられる。
また、インク受容層を有さない紙としては普通紙等が挙げられる。市販されている普通紙としては、例えば、プレーンペーパーコピー(PPC)用紙等が挙げられる。
前記の染料混合物を含有するインクが付着した基材は、本発明の範囲に含まれる。そのような基材としては、例えば、文字、記号、各種のデザイン等が記録された紙等が挙げられる。そのような基材は、そのまま鑑賞等に使用することができる。また、繊維等の他の基材に前記の文字等を熱転写(昇華転写)するときに使用する、中間記録媒体とすることもできる。
前記インクは、前記の基材のうち繊維に対しても極めて好適に記録を行うことができる。繊維の種類は特に制限されないが、疎水性繊維が好ましい。疎水性繊維としては、例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、トリアセテート繊維、ジアセテート繊維、ポリアミド繊維、及びこれらの繊維を2種類以上用いた混紡繊維等が挙げられる。また、これらの繊維とレーヨン等の再生繊維;及び、これらの繊維と、木綿、絹、及び羊毛等の天然繊維との混紡繊維も、本明細書においては疎水性繊維に含まれる。
繊維の中には、インク受容層を有するものも知られており、そのような繊維も好適に使用することができる。インク受容層を有する繊維は公知の方法で調製することも、また、市販品として入手することもできる。インク受容層の材質や構造等は特に限定されず、目的等に応じて適宜使用することができる。
前記インクを、基材に付着させる方法は特に制限されず、公知の全ての方法(例えば各種の筆記具、及びインクジェット記録等)を使用することができる。基材として繊維を使用するときは、サイズプレス法、コーテイング法等を含む表面塗工染色方法、又は内添染色方法等も使用できる。また、前記の染料組成物は昇華性を有するものを含む。そのような染料組成物は、昇華転写染色方法にも好ましく使用できる。
前記した全ての事項について、好ましいもの同士の組み合わせはより好ましく、より好ましいもの同士の組み合わせはさらに好ましい。好ましいものとより好ましいものの組み合わせ等についても同様である。
また、式(1)で表される化合物、及び着色剤Aを含め、前記した全ての成分は、その単一の成分を用いることができる。また、必要に応じて2種類以上を併用することもできる。
以下の実施例により本発明を更に詳細に説明するが、これらの実施例により本発明が限定されるものではない。また、各式中の官能基については、遊離の形で表わす。
実施例中の「水」は、特に断りの無い限り「イオン交換水」を意味する。
極大吸収波長(λmax)の測定は、島津製作所製、可視紫外分光光度計 UV2550を用いた。被検液は、測定する化合物0.015gを75%アセトン水溶液(アセトン75%と水25%の混合液)250mlで希釈した後、この希釈液1mlを、75%アセトン水溶液25mlでさらに希釈して調製した。
[実施例1]:下記式(6)で表される化合物の合成。
スルホラン75部中に、1,4−ジアミノ−2,3−アンスラキノンジカルボキシイミド3.0部、3−アミノペンタン25部を加えて液を得た。得られた液をオートクレーブ中で140℃に加熱し、6時間反応させて液を得た。得られた液を室温へ冷却することにより析出した固体を濾過分離した。得られた固体をメタノール100部、及び水200部で洗浄した後、乾燥することにより、下記式(6)で表される化合物3.1部を得た(λmax=664nm)。
Figure 2018178039
[調製例1]:分散剤の溶液の調製。
48%水酸化ナトリウム水溶液(3.1部)、イオン交換水(96.9部)、及びプロピレングリコール(60部)の混合液にジョンクリル678(40部)を加え、90℃に加熱して5時間撹拌することにより、分散剤の溶液を得た。下記表1中の「JC678」は、この分散剤の溶液を意味する。
[実施例1〜4、及び、比較例1〜5]:分散液の調製。
下記表3に記載の各成分を混合して液を得た。得られた液をサンドミルに入れ、0.3mmのジルコニアビーズを加えて水冷下、1500rpm、15時間の条件で分散処理を行い液を得た。得られた液にイオン交換水を加えて希釈することにより、着色剤の総含有量を15%に調整した液を得た。この液をガラス繊維ろ紙GC−50(ADVANTEC社製)で濾過することにより、着色剤の総含有量が15%の実施例1〜4、及び、比較例1〜4の分散液をそれぞれ得た。なお、ここで用いた「着色剤の総含有量」とは、式(6)で表される化合物と、分散剤Aとの総含有量を意味する。
下記表1中の略号等は、以下の意味を表す。
式(6):実施例1で得た式(6)で表される化合物。
DB72:C.I.Disperse Blue 72(λmax=583nm)。
DB60:C.I.Disperse Blue 60。
DB359:C.I.Disperse Blue 359。
SF104:サーフィノール 104PG50。
GXL:プロキセル GXL。
Figure 2018178039
[インクの調製]
実施例1〜4、及び、比較例1〜4で得た各分散液を用い、下記表4に記載の各成分を混合して得られた液を、5μmのメンブレンフィルターで濾過することにより、実施例5〜8、及び、比較例5〜8の評価試験用の各インクを得た。各インクが含有する着色剤の総含有量は、4.8%に調整した。
Figure 2018178039
[染布の調製]
前記のようにして得たインクを転写紙(紀和化学社製)に塗布し、60℃で30分乾燥させることにより、各インクが付着した転写紙をそれぞれ得た。これらの転写紙は、いずれもシアン色に染色された。得られた各転写紙を20cm×8cmに裁断し、同じ大きさのポリエステル布トロピカル(帝人株式会社製)と、転写紙の染色面とを重ね合わせた後、太陽精機株式会社製のトランスファープレス機「TP−600A2」を用いて200℃×60秒の条件にて熱処理し、転写紙からポリエステル布へ昇華転写することにより、青色の染布を得た。
実施例5〜8のインクにより染色された染布を、それぞれ染布1〜4とする。また、比較例5〜8のインクにより染色された染布を、それぞれ比較染布1〜4とする。
[染色濃度の測定]
前記のようにして得た各染布、及び比較染布の反射濃度(Dc値)を、X−rite社製の測色機、SpectroEyeを用いて測定した。測定は、濃度基準にANSI A、視野角2度、光源D65の条件で行った。Dc値が高いほど染色が濃いことを示すため、昇華転写性が優れる。測定結果を下記表5に示す
[色相評価]
前記のようにして得た各染布、及び比較染布の色相(L*,C*,h)及び光学濃度(Dc)を、X−rite社製の測色機、SpectroEyeを用いて測定した。測定は、濃度基準にANSI A、視野角2度、光源D65の条件で行った。色相評価は下記に示す3段階の基準により、評価した。
A:h、*C、Lが278<h<298、60<*C、32<Lの範囲に入る。
B:h、*C、Lのどれか2項目が278<h<298、60<*C、32<Lの範囲に入る。
C:h、*C、Lのどれか1項目が278<h<298、60<*C、32<Lの範囲に入る。
[耐光性試験]
耐光性試験はJIS L0843 A法に従って行った。すなわち、ブラックパネル温度63℃、槽内温度38℃、相対湿度50%、放射照度50W/m(300〜400nm)、インナーフィルター石英、アウターフィルターソーダライムガラスの条件で、キセノンウェザーメーター SUGA NX75(スガ試験機社製)を用い、前記のようにして得た各染布に光源キセノンアークで39.4時間、光照射した。
この光照射後の各染布に対してJIS L−0841に規定されたブルースケールの等級に準じて目視判定を行い、耐光性の判定級を決定した。判定結果の耐光性等級を下記表3に示す。
Figure 2018178039
表5から明らかなように、実施例の各染布は、いずれも良好な染色濃度、色相、及び耐光性を有することが確認された。
一方、各比較染布は、良好な耐光性を有するが、色相がやや不十分である。また、染色濃度が低いため、昇華転写性において劣ることが明らかとなった。
本発明の青色染料混合物は耐光性が良好で、且つ、昇華転写性が良好である。従って、各種の基材、好ましくは繊維、より好ましくは疎水性繊維の染色に用いる青色染料組成物として極めて有用である。

Claims (12)

  1. 下記式(1)で表される化合物と、下記式(1)で表される化合物とは異なる化学構造を有し、且つ、550nm〜700nmの範囲に最大吸収波長を有する着色剤Aと、を含有する青色染料組成物。
    Figure 2018178039
    [式(1)中、R、R2及びRは、それぞれ独立して水素原子、又はC1−C4アルキル基を表し、且つ、R、R2及びRの全てが水素原子となることはない。Xは酸素原子、又はイミノ基を示す。]
  2. 前記式(1)中、Rが水素原子若しくはC1−C4アルキル基であり、RがC1−C4アルキル基であり、R3がC1−C4アルキル基であり、Xが酸素原子である、請求項1に記載の青色染料組成物。
  3. 前記式(1)中、Rが水素原子であり、RがC1−C4アルキル基であり、R3がC1−C4アルキル基であり、Xが酸素原子である、請求項1に記載の青色染料組成物。
  4. 前記式(1)中、Rが水素原子であり、RがC1−C4アルキル基であり、R3がC1−C4アルキル基であり、且つ、R及びR3の炭素数の総和が4〜8であり、Xが酸素原子である、請求項1に記載の青色染料組成物。
  5. 前記の着色剤AがC.I.Disperse Blue、C.I.Disperse Violet、及びC.I.Solvent Blueから選択される染料である、請求項1に記載の青色染料組成物。
  6. 水、及び有機溶剤から選択される少なくとも1種類の液媒体と、請求項1〜5のいずれか一項に記載の青色染料組成物を含有するインク。
  7. さらに分散剤を含有する請求項6に記載のインク。
  8. 請求項1〜5のいずれ一項に記載の青色染料組成物が付着した基材。
  9. 請求項6又は7に記載のインクが付着した基材。
  10. 前記の基材が繊維である、請求項8又は9に記載の基材。
  11. 前記の繊維が、疎水性繊維である請求項10に記載の基材。
  12. 前記の疎水性繊維が、ポリエステル又はポリエステルを含有する混紡繊維である、請求項11に記載の基材。
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