JP2015091574A - 分離膜エレメント - Google Patents
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Abstract
【課題】特に長期間にわたり高い圧力をかけて分離膜エレメントを運転した時の分離除去性能を安定化させる。【解決手段】集水管と、分離膜本体と、前記分離膜の透過側の面に固着した複数の突起物と、を備える分離膜エレメントであって、前記突起物は伸度が2%以上である、少なくとも前記分離膜の長さ方向に連続するように配置され、かつ前記分離膜の全長に対して3%以上20%以下の領域で前記突起物の接着力が1N/mを下回る。【選択図】図2
Description
本発明は、液体、気体等の流体に含まれる成分を分離するために使用される分離膜エレメントに関する。
海水およびかん水などに含まれるイオン性物質を除くための技術においては、近年、省エネルギーおよび省資源のためのプロセスとして、分離膜エレメントによる分離法の利用が拡大している。分離膜エレメントによる分離法に使用される分離膜は、その孔径や分離機能の点から、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜、正浸透膜に分類される。これらの膜は、例えば海水、かん水および有害物を含んだ水などからの飲料水の製造、工業用超純水の製造、並びに排水処理および有価物の回収などに用いられており、目的とする分離成分及び分離性能によって使い分けられている。
分離膜エレメントとしては様々な形態があるが、分離膜の一方の面に原流体を供給し、他方の面から透過流体を得る点では共通している。分離膜エレメントは、束ねられた多数の分離膜を備えることで、1個の分離膜エレメントあたりの膜面積が大きくなるように、つまり1個の分離膜エレメントあたりに得られる透過流体の量が大きくなるように形成されている。分離膜エレメントとしては、用途や目的にあわせて、スパイラル型、中空糸型、プレート・アンド・フレーム型、回転平膜型、平膜集積型などの各種の形状が提案されている。
例えば、逆浸透ろ過には、スパイラル型分離膜エレメントが広く用いられる。スパイラル型分離膜エレメントは、中心管と、中心管の周囲に巻き付けられた積層体とを備える。積層体は、原流体を分離膜表面へ供給する供給側流路材、原流体に含まれる成分を分離する分離膜、及び分離膜を透過し供給側流体から分離された透過側流体を中心管へと導くための透過側流路材が積層されることで形成される。スパイラル型分離膜エレメントは、原流体に圧力を付与することができるので、透過流体を多く取り出すことができる点で好ましく用いられている。
スパイラル型分離膜エレメントでは、一般的に、供給側流体の流路を形成させるために、供給側流路材として、主に高分子製のネットが使用される。また、分離膜として、積層型の分離膜が用いられる。積層型の分離膜は、供給側から透過側に積層された、ポリアミドなどの架橋高分子からなる分離機能層、ポリスルホンなどの高分子からなる多孔性樹脂層、ポリエチレンテレフタレートなどの高分子からなる不織布を備える分離膜である。また、透過側流路材としては、分離膜の落ち込みを防き、かつ透過側の流路を形成させる目的で、供給側流路材よりも間隔の細かいトリコットと呼ばれる編み物部材が使用される。
近年、造水コストの低減への要求の高まりから、膜エレメントの高性能化が求められている。例えば、分離膜エレメントの分離性能の向上、および単位時間あたりの透過流体量の増大のために、各流路部材等の分離膜エレメント部材の性能向上が提案されている。
具体的には、特許文献1では、ベーンと称されたエラストマーから構成される流路材が分離膜に配置することで、ネットなどの供給側流路材やトリコットなどの透過側流路材を必要としないエレメントが提案されている。特許文献2では、樹脂を分離膜の透過側に、接着力が1N/m以上となるように配置することで、エレメントの造水量を高めたエレメントが提案されている。
しかし、上記した分離膜エレメントは、長期間にわたり高圧で運転を行った際のエレメントの構造安定性が十分とは言えない。
そこで、本発明は、特に長期間にわたり高い圧力をかけて分離膜エレメントを運転した時の分離除去性能を安定化させることのできる分離膜および分離膜エレメントを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の技術を提供する。
(i)集水管と、
供給側の面および透過側の面を有する分離膜本体と、前記分離膜本体の透過側の面に固着した複数の突起物と、を備え、前記集水管の周囲に巻回された分離膜と
を備える分離膜エレメントであって、
前記突起物が以下の条件:
(1)少なくとも前記分離膜本体の長さ方向に連続するように配置され、
(2)前記方向における前記分離膜本体の全長に対して3%以上20%以下の領域で、前記分離膜本体に対する前記突起物の接着力が1N/mを下回り、
(3)前記突起物の伸度が2%以上である、
を満たす分離膜エレメント。
(ii) 集水管と、
供給側の面および透過側の面を有し、前記集水管の周囲に巻回された分離膜と、
前記分離膜の透過側の面に配置されたシートおよび前記シートに固着された複数の突起物を備える透過側流路材と、
を備える分離膜エレメントであって、
前記突起物が上記条件(1)〜(3)を満たす分離膜エレメント。
(i)集水管と、
供給側の面および透過側の面を有する分離膜本体と、前記分離膜本体の透過側の面に固着した複数の突起物と、を備え、前記集水管の周囲に巻回された分離膜と
を備える分離膜エレメントであって、
前記突起物が以下の条件:
(1)少なくとも前記分離膜本体の長さ方向に連続するように配置され、
(2)前記方向における前記分離膜本体の全長に対して3%以上20%以下の領域で、前記分離膜本体に対する前記突起物の接着力が1N/mを下回り、
(3)前記突起物の伸度が2%以上である、
を満たす分離膜エレメント。
(ii) 集水管と、
供給側の面および透過側の面を有し、前記集水管の周囲に巻回された分離膜と、
前記分離膜の透過側の面に配置されたシートおよび前記シートに固着された複数の突起物を備える透過側流路材と、
を備える分離膜エレメントであって、
前記突起物が上記条件(1)〜(3)を満たす分離膜エレメント。
本発明によって、高効率かつ安定した透過側流路を形成することができ、分離成分の除去性能と高い透過性能を有する高性能、高効率の分離膜エレメントを得ることができる。
以下、本発明の実施の一形態について、詳細に説明する。
〔1.分離膜〕
(1−1)分離膜の概要
分離膜とは、分離膜表面に供給される流体中の成分を分離し、分離膜を透過した透過流体を得ることができる膜である。分離膜は、分離膜本体と、分離膜本体上に配置された突起物とを備える。
(1−1)分離膜の概要
分離膜とは、分離膜表面に供給される流体中の成分を分離し、分離膜を透過した透過流体を得ることができる膜である。分離膜は、分離膜本体と、分離膜本体上に配置された突起物とを備える。
このような分離膜の例として、本実施形態の分離膜1は、図1に示すように、分離膜本体2と透過側の突起物3とを備える。分離膜本体2は、供給側の面21と透過側の面22とを備える。
本書において、分離膜本体の「供給側の面」とは、分離膜本体の2つの面のうち、原流体が供給される側の表面を意味する。「透過側の面」とは、その逆側の面を意味する。後述するように分離膜本体が、図7に示すように、基材201及び分離機能層203を備える場合は、一般的に、分離機能層側の面が供給側の面であり、基材側の面が透過側の面である。
突起物3は、透過側の面22上に、流路を形成するように設けられている。分離膜1の各部の詳細については後述する。
図中にx軸、y軸、z軸の方向軸を示す。x軸を第1方向、y軸を第2方向と称することがある。図1等に示すように、分離膜本体2は長方形であり、第1方向および第2方向は、分離膜本体2の外縁に平行である。第1方向を幅方向と称し、第2方向を長さ方向と称することがある。
(1−2)分離膜本体
<概要>
分離膜本体としては、使用方法、目的等に応じた分離性能を有する膜が用いられる。分離膜本体は、単一層によって形成されていてもよいし、分離機能層と基材とを備える複合膜であってもよい。また、図7に示すように、複合膜においては、分離機能層203と基材201との間に、多孔性支持層202が形成されていてもよい。
<概要>
分離膜本体としては、使用方法、目的等に応じた分離性能を有する膜が用いられる。分離膜本体は、単一層によって形成されていてもよいし、分離機能層と基材とを備える複合膜であってもよい。また、図7に示すように、複合膜においては、分離機能層203と基材201との間に、多孔性支持層202が形成されていてもよい。
<分離機能層>
分離機能層の厚みは具体的な数値に限定されないが、分離性能と透過性能の点で5nm以上3000nm以下であることが好ましい。特に逆浸透膜、正浸透膜、ナノろ過膜では5nm以上300nm以下であることが好ましい。
分離機能層の厚みは具体的な数値に限定されないが、分離性能と透過性能の点で5nm以上3000nm以下であることが好ましい。特に逆浸透膜、正浸透膜、ナノろ過膜では5nm以上300nm以下であることが好ましい。
分離機能層の厚みは、これまでの分離膜の膜厚測定法に準ずることができる。例えば、分離膜を樹脂により包埋し、それを切断することで超薄切片を作製し、得られた切片に染色などの処理を行う。その後、透過型電子顕微鏡により観察することで、厚みの測定が可能である。また、分離機能層がひだ構造を有する場合、多孔性支持層より上に位置するひだ構造の断面長さ方向に50nm間隔で測定し、ひだの数を20個測定し、その平均から求めることができる。
分離機能層は、分離機能および支持機能の両方を有する層であってもよいし、分離機能のみを備えていてもよい。なお、「分離機能層」とは、少なくとも分離機能を備える層を指す。
分離機能層が分離機能および支持機能の両方を有する場合、分離機能層としては、セルロース、ポリフッ化ビニリデン、ポリエーテルスルホン、またはポリスルホンを主成分として含有する層が好ましく適用される。
なお、本書において、「XがYを主成分として含有する」とは、XにおけるYの含有率が、50質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、又は95質量%以上であることを意味する。また、Yに該当する複数の成分が存在する場合は、それら複数の成分の合計量が、上述の範囲を満たせばよい。
一方、多孔性支持層分離機能層としては、孔径制御が容易であり、かつ耐久性に優れるという点で架橋高分子が好ましく使用される。特に、原流体中の成分の分離性能に優れるという点で、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物とを重縮合させてなるポリアミド分離機能層、有機無機ハイブリッド機能層などが好適に用いられる。これらの分離機能層は、多孔性支持層上でモノマーを重縮合することによって形成可能である。
例えば、分離機能層は、ポリアミドを主成分として含有することができる。このような膜は、公知の方法により、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物とを界面重縮合することで形成される。例えば、多孔性支持層に多官能アミン水溶液を塗布し、余分なアミン水溶液をエアーナイフなどで除去し、その後、多官能酸ハロゲン化物を含有する有機溶媒溶液を塗布することで、ポリアミド分離機能層が得られる。
また、分離機能層は、Si元素などを有する有機−無機ハイブリッド構造を有してもよい。有機無機ハイブリッド構造を有する分離機能層は、例えば、以下の化合物(A)、(B):
(A)エチレン性不飽和基を有する反応性基および加水分解性基がケイ素原子に直接結合したケイ素化合物、ならびに
(B)前記化合物(A)以外の化合物であってエチレン性不飽和基を有する化合物
を含有することができる。具体的には、分離機能層は、化合物(A)の加水分解性基の縮合物ならびに化合物(A)および/または(B)のエチレン性不飽和基の重合物を含有してもよい。すなわち、分離機能層は、
・化合物(A)のみが縮合および/または重合することで形成された重合物、
・化合物(B)のみが重合して形成された重合物、並びに
・化合物(A)と化合物(B)との共重合物
のうちの少なくとも1種の重合物を含有することができる。なお、重合物には縮合物が含まれる。また、化合物(A)と化合物(B)との共重合体中で、化合物(A)は加水分解性基を介して縮合していてもよい。
(A)エチレン性不飽和基を有する反応性基および加水分解性基がケイ素原子に直接結合したケイ素化合物、ならびに
(B)前記化合物(A)以外の化合物であってエチレン性不飽和基を有する化合物
を含有することができる。具体的には、分離機能層は、化合物(A)の加水分解性基の縮合物ならびに化合物(A)および/または(B)のエチレン性不飽和基の重合物を含有してもよい。すなわち、分離機能層は、
・化合物(A)のみが縮合および/または重合することで形成された重合物、
・化合物(B)のみが重合して形成された重合物、並びに
・化合物(A)と化合物(B)との共重合物
のうちの少なくとも1種の重合物を含有することができる。なお、重合物には縮合物が含まれる。また、化合物(A)と化合物(B)との共重合体中で、化合物(A)は加水分解性基を介して縮合していてもよい。
ハイブリッド構造は、公知の方法で形成可能である。ハイブリッド構造の形成方法の一例は次のとおりである。化合物(A)および化合物(B)を含有する反応液を多孔性支持層に塗布する。余分な反応液を除去した後、加水分解性基を縮合させるためには、加熱処理すればよい。化合物(A)および化合物(B)のエチレン性不飽和基の重合方法としては、熱処理、電磁波照射、電子線照射、プラズマ照射を行えばよい。重合速度を速める目的で分離機能層形成の際に重合開始剤、重合促進剤等を添加することができる。
なお、いずれの分離機能層についても、使用前に、例えばアルコール含有水溶液、アルカリ水溶液によって膜の表面を親水化させてもよい。
<多孔性支持層>
多孔性支持層は、分離機能層を支持する層であり、多孔性樹脂層とも言い換えられる。
多孔性支持層は、分離機能層を支持する層であり、多孔性樹脂層とも言い換えられる。
多孔性支持層に使用される材料やその形状は特に限定されないが、例えば、多孔性樹脂によって基板上に形成されてもよい。多孔性支持層としては、ポリスルホン、酢酸セルロース、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂あるいはそれらを混合、積層したものが使用され、化学的、機械的、熱的に安定性が高く、孔径が制御しやすいポリスルホンを使用することが好ましい。
多孔性支持層は、分離膜に機械的強度を与え、かつイオン等の分子サイズの小さな成分に対して分離膜のような分離性能を有さない。多孔性支持層の有する孔のサイズおよび孔の分布は特に限定されないが、例えば、多孔性支持層は、均一で微細な孔を有してもよいし、あるいは分離機能層が形成される側の表面からもう一方の面にかけて径が徐々に大きくなるような孔径の分布を有してもよい。また、いずれの場合でも、分離機能層が形成される側の表面で原子間力顕微鏡または電子顕微鏡などを用いて測定された細孔の投影面積円相当径は、1nm以上100nm以下であることが好ましい。特に界面重合反応性および分離機能層の保持性の点で、多孔性支持層において分離機能層が形成される側の表面における孔は、3nm以上50nm以下の投影面積円相当径を有することが好ましい。
多孔性支持層の厚みは特に限定されないが、分離膜に強度を与えるため等の理由から、20μm以上500μm以下の範囲にあることが好ましく、より好ましくは30μm以上300μm以下である。
多孔性支持層の形態は、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡、原子間顕微鏡により観察できる。例えば走査型電子顕微鏡で観察するのであれば、基材から多孔性支持層を剥がした後、これを凍結割断法で切断して断面観察のサンプルとする。このサンプルに白金または白金−パラジウムまたは四塩化ルテニウム、好ましくは四塩化ルテニウムを薄くコーティングして3kV〜6kVの加速電圧で、高分解能電界放射型走査電子顕微鏡(UHR−FE−SEM)で観察する。高分解能電界放射型走査電子顕微鏡は、日立製S−900型電子顕微鏡などが使用できる。得られた電子顕微鏡写真に基づいて、多孔性支持層の膜厚、表面の投影面積円相当径を測定することができる。
多孔性支持層の厚み、孔径は、平均値であり、多孔性支持層の厚みは、断面観察で厚み方向に直交する方向に20μm間隔で測定し、20点測定の平均値である。また、孔径は、200個の孔について測定された、各投影面積円相当径の平均値である。
次に、多孔性支持層の形成方法について説明する。多孔性支持層は、例えば、ポリスルホンのN,N−ジメチルホルムアミド(以降、DMFと記載)溶液を、後述する基材、例えば密に織ったポリエステル布あるいは不織布の上に一定の厚さに注型し、それを水中で湿式凝固させることによって、製造することができる。
多孔性支持層は、”オフィス・オブ・セイリーン・ウォーター・リサーチ・アンド・ディベロップメント・プログレス・レポート”No.359(1968)に記載された方法に従って形成される。なお、所望の形態を得るために、ポリマー濃度、溶媒の温度、貧溶媒は調整可能である。
例えば、所定量のポリスルホンをDMFに溶解し、所定濃度のポリスルホン樹脂溶液を調製する。次いで、このポリスルホン樹脂溶液をポリエステル布あるいは不織布からなる基材上に略一定の厚さに塗布した後、一定時間空気中で表面の溶媒を除去した後、凝固液中でポリスルホンを凝固させることによって得ることができる。
<基材>
分離膜本体の強度、寸法安定性等の観点から、分離膜本体は基材を有してもよい。基材としては、強度、凹凸形成能および流体透過性の点で繊維状基材を用いることが好ましい。
分離膜本体の強度、寸法安定性等の観点から、分離膜本体は基材を有してもよい。基材としては、強度、凹凸形成能および流体透過性の点で繊維状基材を用いることが好ましい。
基材としては、長繊維不織布及び短繊維不織布のいずれも好ましく用いることができる。特に、長繊維不織布は、優れた製膜性を有するので、高分子重合体の溶液を流延した際に、その溶液が過浸透により裏抜けすること、多孔性支持層が剥離すること、さらには基材の毛羽立ち等により膜が不均一化すること、及びピンホール等の欠点が生じることを抑制できる。また、基材が熱可塑性連続フィラメントより構成される長繊維不織布からなることにより、短繊維不織布と比べて、高分子溶液流延時に繊維の毛羽立ちによって起きる不均一化および膜欠点の発生を抑制することができる。さらに、分離膜は、連続製膜されるときに、製膜方向に対し張力がかけられるので、寸法安定性に優れる長繊維不織布を基材として用いることが好ましい。
長繊維不織布は、成形性、強度の点で、多孔性支持層とは反対側の表層における繊維が、多孔性支持層側の表層の繊維よりも縦配向であることが好ましい。そのような構造によれば、強度を保つことで膜破れ等を防ぐ高い効果が実現されるだけでなく、分離膜に凹凸を付与する際の、多孔性支持層と基材とを含む積層体としての成形性も向上し、分離膜表面の凹凸形状が安定するので好ましい。
より具体的には、長繊維不織布の、多孔性支持層とは反対側の表層における繊維配向度は、0°以上25°以下であることが好ましく、また、多孔性支持層側表層における繊維配向度との配向度差が10°以上90°以下であることが好ましい。
分離膜の製造工程やエレメントの製造工程においては加熱する工程が含まれるが、加熱により多孔性支持層または分離機能層が収縮する現象が起きる。特に連続製膜において張力が付与されていない幅方向において、収縮は顕著である。収縮することにより、寸法安定性等に問題が生じるため、基材としては熱寸法変化率が小さいものが望まれる。不織布において多孔性支持層とは反対側の表層における繊維配向度と多孔性支持層側表層における繊維配向度との差が10°以上90°以下であると、熱による幅方向の変化を抑制することもでき、好ましい。
ここで、繊維配向度とは、多孔性支持層を構成する不織布基材の繊維の向きを示す指標である。具体的には、繊維配向度とは、連続製膜を行う際の製膜方向、つまり不織布基材の長手方向と、不織布基材を構成する繊維との間の角度の平均値である。つまり、繊維の長手方向が製膜方向と平行であれば、繊維配向度は0°である。また、繊維の長手方向が製膜方向に直角であれば、すなわち不織布基材の幅方向に平行であれば、その繊維の配向度は90°である。よって、繊維配向度が0°に近いほど縦配向であり、90°に近いほど横配向であることを示す。
繊維配向度は以下のように測定される。まず、不織布からランダムに小片サンプル10個を採取する。次に、そのサンプルの表面を走査型電子顕微鏡で100〜1000倍で撮影する。撮影像の中で、各サンプルあたり10本を選び、不織布の長手方向(縦方向、製膜方向)を0°としたときの角度を測定する。つまり1枚の不織布あたり計100本の繊維について、角度の測定が行われる。こうして測定された100本の繊維についての角度から平均値を算出する。得られた平均値の小数点以下第一位を四捨五入して得られる値が、繊維配向度である。
基材の厚みは、基材と多孔性支持層との厚みの合計が、30μm以上300μm以下の範囲内、または50μm以上250μm以下の範囲内となる程度に設定されることが好ましい。
(1−3)突起物(透過側流路材)
<概要>
分離膜本体の透過側の面には、透過側流路を形成するように突起物が設けられる。「透過側の流路を形成するように設けられる」とは、分離膜が後述の分離膜エレメントに組み込まれたときに、分離膜本体を透過した透過流体が集水管に到達できるように、突起物が形成されていることを意味する。突起物の構成の詳細は以下のとおりである。
<概要>
分離膜本体の透過側の面には、透過側流路を形成するように突起物が設けられる。「透過側の流路を形成するように設けられる」とは、分離膜が後述の分離膜エレメントに組み込まれたときに、分離膜本体を透過した透過流体が集水管に到達できるように、突起物が形成されていることを意味する。突起物の構成の詳細は以下のとおりである。
<突起物の構成成分>
突起物3は、分離膜本体2とは異なる素材で形成されることが好ましい。異なる素材とは、分離膜本体2で使用される材料とは異なる組成を有する材料を意味する。特に、突起物3の組成は、分離膜本体2のうち、突起物3が形成されている面の組成とは異なることが好ましく、分離膜本体2を形成するいずれの層の組成とも異なることが好ましい。
突起物3は、分離膜本体2とは異なる素材で形成されることが好ましい。異なる素材とは、分離膜本体2で使用される材料とは異なる組成を有する材料を意味する。特に、突起物3の組成は、分離膜本体2のうち、突起物3が形成されている面の組成とは異なることが好ましく、分離膜本体2を形成するいずれの層の組成とも異なることが好ましい。
突起物を構成する成分としては特に限定されないが、樹脂が好ましく用いられる。具体的には、耐薬品性の点で、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンや共重合ポリオレフィンなどが好ましく、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などのポリマーも選択でき、これらを単独もしくは2種類以上からなる混合物として用いることができる。特に、熱可塑性樹脂は成形が容易であるため、均一な形状の突起物を形成することができる。
<突起物の形状および配置>
<<概要>>
従来広く用いられているトリコットは編み物であり、立体的に交差した糸で構成されている。つまり、トリコットは、二次元的に連続した構造を有している。このようなトリコットが透過側流路材として適用された場合、流路の高さはトリコットの厚みよりも小さくなる。すなわち、トリコットの厚みの全てを流路の高さとして利用することはできない。
<<概要>>
従来広く用いられているトリコットは編み物であり、立体的に交差した糸で構成されている。つまり、トリコットは、二次元的に連続した構造を有している。このようなトリコットが透過側流路材として適用された場合、流路の高さはトリコットの厚みよりも小さくなる。すなわち、トリコットの厚みの全てを流路の高さとして利用することはできない。
これに対して、本発明の構成の例として、図1等に示す突起物3は、互いに重ならないように配置されている。よって、本実施形態の突起物3の高さ(つまり厚み)は全て、流路の溝の高さとして活用される。よって、本実施形態の突起物3が適用された場合、突起物3の高さと同じ厚みを有するトリコットが適用された場合よりも、流路は高くなる。つまり、流路の断面積がより大きくなるので、流動抵抗はより小さくなる。
また、各図においては、不連続な複数の突起物3が、1つの分離膜本体2上に設けられている。「不連続」とは、突起物3を分離膜本体2から剥離すると、複数の突起物3が互いに分かれる構造であることを指す。これに対して、ネット、トリコットおよびフィルム等の部材は、分離膜本体2から分離されても、連続した一体の形状を有する。
不連続な複数の突起物3が設けられていることで、分離膜1は、後述の分離膜エレメント100に組み込まれたときに、圧力損失を低く抑えることができる。このような構成の一例として、図2では、突起物3は第1方向においてのみ不連続に形成されおり、図3では第1方向および第2方向のいずれにおいても不連続に形成されている。
分離膜は、分離膜エレメントにおいて、第2方向が巻回方向と一致するように配置されることが好ましい。つまり、分離膜エレメントにおいて、分離膜は、第1方向が集水管6の長手方向に平行であり、第2方向が集水管6の長手方向に直交するように配置されることが好ましい。
図2に示す例では、突起物3は、第1方向において不連続に設けられると共に、第2方向においては、分離膜本体2の一端から他端まで連続するように設けられている。つまり、図5のように分離膜エレメントに分離膜が組み込まれたときに、図2の突起物3は、巻回方向における分離膜1の内側端部から外側端部まで連続するように配置される。巻回方向の内側とは、分離膜において集水管に近い側であり、巻回方向の外側とは、分離膜において集水管から遠い側である。
突起物が「第2方向において連続する」とは、図2のように途切れなく設けられている場合と、図3のように途切れても実質的に連続している場合の両方を包含する。「実質的に連続する」形態とは、好ましくは、第2方向における突起物の間隔e(つまり突起物において途切れている部分の長さ)が5mm以下であることを満たす。特に、1mm以下を満たすことがより好ましく、0.5mm以下であることがさらに好ましい。また、第2方向において並ぶ一列の突起物の先頭から最後尾までで、間隔eの合計値が、100mm以下であることが好ましく、30mm以下であることがより好ましく3mm以下であることがさらに好ましい。
図2のように突起物3が途切れずに設けられている場合、加圧ろ過時に膜落ち込みが抑制される。膜落ち込みとは、膜が流路に落ち込んで流路を狭めることである。
また、図3では、突起物3は、第1方向だけでなく第2方向においても不連続に設けられている。つまり、突起物3は、長さ方向において間隔をおいて設けられている。ただし、上述したように、突起物3が第2方向において実質的に連続していることで、膜落ち込みは抑制される。さらに、突起物3が、第1方向および第2方向の2つの方向において不連続であることで、突起物と流体との接触面積が小さくなるので圧力損失が小さくなる。この形態は、流路5が分岐点を備える構成であるとも言い換えられる。つまり、図3の構成において、透過流体は、流路5を流れながら、突起物3によって分けられ、さらに下流で合流することができる。
上述したように、図2では、突起物3が、長さ方向(第2方向)において分離膜本体2の一端から他端まで連続するように設けられている。また、図3では長さ方向(第2方向)において突起物3は複数の部分に分割されているが、これらの複数の部分が、分離膜本体2の一端から他端まで並ぶように設けられている。
突起物が「分離膜本体の一端から他端まで設けられている」とは、突起物が分離膜本体の縁まで設けられていなければならない、という意味ではない。突起物は、透過側の流路を形成できる程度に、分離膜の第2方向全体に渡って配置されていればよい。透過側の面における他の分離膜との接着部分には、突起物が設けられる必要はない。また、その他の仕様上または製造上の理由により、分離膜の外縁付近等の一部の箇所には、突起物が配置されない領域が設けられていてもよい。
<突起物の接着力>
分離膜の透過側の面には伸度が2%以上の突起物が、少なくとも前記分離膜の長さ方向に連続状に配置され、かつ分離膜本体の全長に対して20%以下の領域で突起物の接着力が1N/mを下回る。すなわち、分離膜本体の全長に対して20%以下の領域で突起物の接着力が1N/mを下回り、それ以外の領域では突起物の接着力が1N/m以上である。このように1N/mを境界として接着力が異なる領域が並立することで、後述するような突起物が固着された分離膜のカール性や巻回時の耐ズレ性、分離膜エレメントの膜リーフエンド部の接着剤シール不良による漏れが改善される。なお、このように突起物の接着力が1N/mを下回る領域は幅方向および長さ方向に複数存在しても良い。
分離膜の透過側の面には伸度が2%以上の突起物が、少なくとも前記分離膜の長さ方向に連続状に配置され、かつ分離膜本体の全長に対して20%以下の領域で突起物の接着力が1N/mを下回る。すなわち、分離膜本体の全長に対して20%以下の領域で突起物の接着力が1N/mを下回り、それ以外の領域では突起物の接着力が1N/m以上である。このように1N/mを境界として接着力が異なる領域が並立することで、後述するような突起物が固着された分離膜のカール性や巻回時の耐ズレ性、分離膜エレメントの膜リーフエンド部の接着剤シール不良による漏れが改善される。なお、このように突起物の接着力が1N/mを下回る領域は幅方向および長さ方向に複数存在しても良い。
突起物を構成する樹脂は、分離膜本体に塗布されるときは溶融しているが、その後冷却によって固化する。このとき、樹脂に体積収縮が発生し、分離膜にカールが生じることがある。上記カール性とは、このカールの程度の大きさである。膜のカール性が大きいと、巻回が困難となり、かつ巻回時に膜ズレが起きやすくなる。また、膜リーフエンド部の接着剤シール不良とは、膜のカールによって膜を封止する接着剤が浮き上がり、シールが不十分で発生する現象である。このようなシール不良がおきると、供給水が透過側へ流入しやすくなるため分離除去能が低下する。
これに対して、分離膜本体に対する突起物の接着力が1N/mを下回る領域では、突起物が分離膜本体から剥がれやすい。分離膜本体から剥がれた部分では、突起物の収縮および変形の影響が分離膜本体に伝わりにくい。その結果、分離膜のカール、ならびにそれに起因する膜ズレおよびシール不良が抑制される。
さらに、巻回時には突起物には曲げるように力がかかり、その力が分離膜本体に直接かかると、分離膜本体にしわが生じたり、分離機能層が破壊されたりすることがある。これに対して、突起物が分離膜本体から剥がれやすいことで、この力が開放されるので、巻回によるこれらの不具合の発生も抑制することができる。
一方で、突起物の接着力が1N/mを下回る領域が、分離膜本体の全長に対して20%以下であることで、圧力にも耐えうる流路を形成することができる。
このような基材と突起物間の接着力は、例えばISO 4578:1997に記載されている方法や、それを参考にした方法に従って測定できる。少なくとも、後述の実施例に記載の方法で測定された接着力が、この範囲内に入っていればよい。なお、この接着とは突起物が単独で接着していることを指す。よって、分離膜リーフまたは封筒状膜のように、分離膜同士を、または分離膜と他の部材とを接着する接着剤が分離膜に付着している状態で接着力を測定するときは、その接着剤が突起物に付着している部分は、測定の対象から除かれる。また、接着剤が付着した部分は、「分離膜本体の全長」からも除かれる。
なお、後述するように、膜の長さ方向において、後述する突起物の間隔eが0より大きい場合には、長さ方向に並んだ突起物の一列を選択して、その列に沿って、膜の一端から他端まで、突起物の接着力を測定すればよい。
なお、固着部の接着力を測定するときに突起物を基材から剥がすと、基材の一部も突起物に付随して剥がれることがある。このように基材が剥がれたとしても、そのときに測定された値は接着力とみなされる。
(接着力が1N/mを下回る領域の位置)
接着力が1N/mを下回る領域の位置は特に限定されないが、上述したような突起物が固着された分離膜のカール性や巻回時の耐ズレ性、分離膜エレメントの膜リーフエンド部の接着剤シール不良抑制の観点から、分離膜エレメントにおける分離膜の巻回方向の内側もしくは外側端部に設けることが好ましい。すなわち巻回方向のいずれかの端部に配置されることで、分離膜に負荷される応力を効率良く除くことができる。
接着力が1N/mを下回る領域の位置は特に限定されないが、上述したような突起物が固着された分離膜のカール性や巻回時の耐ズレ性、分離膜エレメントの膜リーフエンド部の接着剤シール不良抑制の観点から、分離膜エレメントにおける分離膜の巻回方向の内側もしくは外側端部に設けることが好ましい。すなわち巻回方向のいずれかの端部に配置されることで、分離膜に負荷される応力を効率良く除くことができる。
また、接着力が1N/mを下回る領域が巻回方向のいずれかの端部に配置される場合、突起物の幅は、接着力が1N/m以上の領域の突起物幅よりも細くなることが好ましく、長さ方向に不連続になっても良い。
(突起物の伸度)
本発明のように、突起物が1N/mを下回る接着力で分離膜透過側へ、分離膜の全長に対して20%以下の領域で設けられている場合、突起物の伸度は2%以上であることが好ましい。伸度が2%以上である場合、分離膜の搬送や巻取時に突起物が破壊されて折れることを防ぐことができ、折れ目が抵抗となって分離膜が十分に湾曲せずに分離膜エレメントの断面が真円から遠ざかる現象を防ぐことができる。その結果、分離膜エレメント断面は真円に近いため、実運転の際に実施する円筒型のベッセルへスムーズに充填できる。なお、分離膜エレメント断面が真円から遠ざかるほど、ベッセルに充填する際に引っ掛かりが生じるなど分離膜エレメントの破壊につながる。
本発明のように、突起物が1N/mを下回る接着力で分離膜透過側へ、分離膜の全長に対して20%以下の領域で設けられている場合、突起物の伸度は2%以上であることが好ましい。伸度が2%以上である場合、分離膜の搬送や巻取時に突起物が破壊されて折れることを防ぐことができ、折れ目が抵抗となって分離膜が十分に湾曲せずに分離膜エレメントの断面が真円から遠ざかる現象を防ぐことができる。その結果、分離膜エレメント断面は真円に近いため、実運転の際に実施する円筒型のベッセルへスムーズに充填できる。なお、分離膜エレメント断面が真円から遠ざかるほど、ベッセルに充填する際に引っ掛かりが生じるなど分離膜エレメントの破壊につながる。
<突起物の構成成分>
突起物31は、分離膜本体2とは異なる材料で形成されることが好ましい。異なる材料とは、分離膜本体2で使用される材料とは異なる組成を有する材料を意味する。特に、突起物31の組成は、分離膜本体2のうち、突起物31が形成されている面の組成とは異なることが好ましく、分離膜本体2を形成するいずれの層の組成とも異なることが好ましい。
突起物31は、分離膜本体2とは異なる材料で形成されることが好ましい。異なる材料とは、分離膜本体2で使用される材料とは異なる組成を有する材料を意味する。特に、突起物31の組成は、分離膜本体2のうち、突起物31が形成されている面の組成とは異なることが好ましく、分離膜本体2を形成するいずれの層の組成とも異なることが好ましい。
突起物を構成する材料としては特に限定されないが、樹脂が好ましく用いられる。具体的には、耐薬品性の点で、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンやオレフィン共重合体などが好ましい。これらに比べて接着性ではやや劣るものの、突起物を構成する材料として、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などのポリマーも選択でき、これらを単独もしくは2種類以上からなる混合物として用いることができる。特に、熱可塑性樹脂は成形が容易であるため、均一な形状の突起物を形成することができる。
また、突起物を構成するポリマーにワックス等の減粘剤を添加することで、基材への含浸を促進し、それによって突起物の基材への接着力を高めることができる。また、突起物に、接着成分(例えばタッキファイヤー)などの各種添加剤を加えることで、流路材となる溶融樹脂の表面自由エネルギーを大きくすることができ、その結果、突起物の基材への接着力を高めることができる。このように突起物の表面自由エネルギーを調整することで、基材の材質に応じた接着力を実現することができる。さらに、突起物の材料として、そのSP値(Solubility Parameter)と基材のSP値との差が小さい材料を用いることも、突起物と基材との接着性を高める上で効果的である。具体的には、突起物の主成分のSP値と、基材の主成分のSP値との差が、好ましくは3以下、より好ましくは2以下であることが好ましい。
なお、突起物を基材に固着させるに先立ち、基材をプライマー処理しても良い。
<<分離膜本体および突起物の寸法>>
図2〜図4に示すように、a〜fは下記値を指す。
図2〜図4に示すように、a〜fは下記値を指す。
a:分離膜本体2の長さ
b:分離膜本体2の幅方向における突起物3の間隔
c:突起物の高さ d:突起物3の幅
e:分離膜本体2の長さ方向における上記突起物の間隔
f:突起物3の長さ
値a〜fの測定には、例えば、市販の形状測定システムまたはマイクロスコープなどを用いることができる。各値は、1枚の分離膜において30箇所以上で測定を行い、それらの値を総和した値を測定総箇所の数で割って平均値を算出することで、求められる。このように、少なくとも30箇所における測定の結果得られる各値が、上記範囲を満たせばよい。
b:分離膜本体2の幅方向における突起物3の間隔
c:突起物の高さ d:突起物3の幅
e:分離膜本体2の長さ方向における上記突起物の間隔
f:突起物3の長さ
値a〜fの測定には、例えば、市販の形状測定システムまたはマイクロスコープなどを用いることができる。各値は、1枚の分離膜において30箇所以上で測定を行い、それらの値を総和した値を測定総箇所の数で割って平均値を算出することで、求められる。このように、少なくとも30箇所における測定の結果得られる各値が、上記範囲を満たせばよい。
(分離膜本体の長さa)
長さaは、第2方向における分離膜本体2の一端から他端までの距離である。この距離が一定でない場合、1枚の分離膜本体2において30箇所以上の位置でこの距離を測定し、平均値を求めることで長さaを得ることができる。
長さaは、第2方向における分離膜本体2の一端から他端までの距離である。この距離が一定でない場合、1枚の分離膜本体2において30箇所以上の位置でこの距離を測定し、平均値を求めることで長さaを得ることができる。
(第1方向での突起物間隔b)
第1方向における突起物3の間隔bは、流路5の幅に相当する。1つの断面において1つの流路5の幅が一定でない場合、つまり隣り合う2つの突起物3の側面が平行でない場合は、1つの断面内で、1つの流路5の幅の最大値と最小値の平均値を測定し、その平均値を算出する。図4に示すように、第2方向に垂直な断面において、突起物3は上が細く下が太い台形状を示す場合、まず、隣接する2つの突起物3の上部間の距離と下部間の距離を測定して、その平均値を算出する。任意の30箇所以上の断面において、突起物3の間隔を測定して、それぞれの断面において平均値を算出する。そして、こうして得られた平均値の相加平均値をさらに算出することで、間隔bが算出される。
第1方向における突起物3の間隔bは、流路5の幅に相当する。1つの断面において1つの流路5の幅が一定でない場合、つまり隣り合う2つの突起物3の側面が平行でない場合は、1つの断面内で、1つの流路5の幅の最大値と最小値の平均値を測定し、その平均値を算出する。図4に示すように、第2方向に垂直な断面において、突起物3は上が細く下が太い台形状を示す場合、まず、隣接する2つの突起物3の上部間の距離と下部間の距離を測定して、その平均値を算出する。任意の30箇所以上の断面において、突起物3の間隔を測定して、それぞれの断面において平均値を算出する。そして、こうして得られた平均値の相加平均値をさらに算出することで、間隔bが算出される。
間隔bが大きくなるにつれて圧力損失が小さくなるものの、膜落ち込みが生じやすくなる。逆に間隔bが小さいほど膜落ち込みが生じにくくなるが、圧力損失は大きくなる。エレメントとしての性能や安定性を勘案すると、間隔bは0.05mm以上5mm以下であることが好ましく、この範囲であれば、膜落ち込みを抑えながら圧力損失を小さくすることができる。間隔bはより好ましくは0.2mm以上2mm以下であり、さらに好ましくは0.3mm以上0.8mm以下である。
(突起物の高さc)
高さcとは、突起物と分離膜本体の表面との高低差である。図4に示すように、高さcは、第2方向に垂直な断面における、突起物3の最も高い部分と分離膜本体の透過側面との高さの差である。すなわち、高さにおいては、基材中に含浸している部分の厚みは考慮しない。高さcは、30箇所以上の突起物3について高さを測定し、平均して得られる値である。突起物の高さcは、同一の平面内における突起物の断面の観察によって得られてもよいし、複数の平面における突起物の断面の観察によって得られてもよい。
高さcとは、突起物と分離膜本体の表面との高低差である。図4に示すように、高さcは、第2方向に垂直な断面における、突起物3の最も高い部分と分離膜本体の透過側面との高さの差である。すなわち、高さにおいては、基材中に含浸している部分の厚みは考慮しない。高さcは、30箇所以上の突起物3について高さを測定し、平均して得られる値である。突起物の高さcは、同一の平面内における突起物の断面の観察によって得られてもよいし、複数の平面における突起物の断面の観察によって得られてもよい。
高さcが大きいと流動抵抗が小さくなる。一方、高さcが小さいと、1つのエレメント当たりの膜の数は多くなるものの、流路の流動抵抗が大きくなり、分離特性および透過性能が低下する。その結果、高さエレメントの造水能力が低下し、造水量を増加させるための運転コストが高くなる。従って、上述した各性能のバランスや運転コストを考慮すると、高さcは0.03mm以上0.8mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.05mm以上0.4mm以下、さらに好ましくは0.1mm以上0.32mm以下である。
ただし、高低差cを小さくすれば、分離膜エレメントに充填する分離膜を増やすことができる。そのため、流動抵抗が増加するものの、分離膜の大面積化によって造水量が向上する傾向にあり、実際に使用する条件や目的に応じて適宜選択できる。
なお、上述したように、高さcが小さいと、分離膜エレメントに充填される分離膜を増やすことができので、流動抵抗が増加するものの、分離膜の大面積化によって造水量が向上する傾向にある。よって、高さcは、エレメントの使用条件および目的などに応じて適宜選択できる。
また、分離膜中に(より具体的には基材中に)固着されている複数の突起物の内、突起物とその隣接する突起物との高さの差が小さいことが好ましい。高さの差が大きいと加圧ろ過時に分離膜の歪みが生じるので、分離膜に欠陥が発生することがある。隣接する2つの突起物の高低差は、0.1mm以下であることが好ましく、0.06mm以下であることがより好ましく、0.04mm以下であることがさらに好ましい。
同様の理由から、分離膜に設けられた全ての突起物の最大高低差は0.25mm以下であることが好ましく、特に好ましくは0.1mm以下であり、さらに好ましくは0.03mm以下である。
(突起物の幅d)
突起物3の幅dは、次のように測定される。まず、第1方向に垂直な1つの断面において、1つの突起物3の最大幅と最小幅の平均値を算出する。つまり、図4に示すような上部が細く下部が太い突起物3においては、突起物下部の幅と上部の幅を測定し、その平均値を算出する。このような平均値を少なくとも30箇所の断面において算出し、その相加平均を算出する。突起物3の幅dは好ましくは0.2mm以上または0.3mm以上である。幅dが0.2mm以上であることで、分離膜エレメントの運転時に突起物3に圧力がかかっても、突起物の形状を保持することができ透過側流路が安定的に形成される。幅dは、好ましくは2mm以下または1.5mm以下である。幅dが2mm以下であることで、透過側の流路を十分確保することができる。
突起物3の幅dは、次のように測定される。まず、第1方向に垂直な1つの断面において、1つの突起物3の最大幅と最小幅の平均値を算出する。つまり、図4に示すような上部が細く下部が太い突起物3においては、突起物下部の幅と上部の幅を測定し、その平均値を算出する。このような平均値を少なくとも30箇所の断面において算出し、その相加平均を算出する。突起物3の幅dは好ましくは0.2mm以上または0.3mm以上である。幅dが0.2mm以上であることで、分離膜エレメントの運転時に突起物3に圧力がかかっても、突起物の形状を保持することができ透過側流路が安定的に形成される。幅dは、好ましくは2mm以下または1.5mm以下である。幅dが2mm以下であることで、透過側の流路を十分確保することができる。
突起物の幅が幅方向での突起物間隔bよりも広いことで、突起物にかかる圧力を分散することができる。
突起物3は、その長さがその幅よりも大きくなるように形成されている。このように長い突起物3は「壁状物」とも称される。
(第2方向での突起物の間隔e)
第2方向における突起物3の間隔eは、第2方向において隣り合う突起物3間の最短距離である。図2に示すように、突起物3が第2方向において分離膜本体2の一端から他端まで(分離膜エレメント内では、巻回方向の内側端部から外側端部まで)連続して設けられている場合、間隔eは0mmである。また、図3に示すように、突起物3が第2方向において途切れている場合
間隔eは、好ましくは0mm以上5mm以下であり、より好ましくは0mm以上1mm以下であり、さらに好ましくは0mm以上0.5mm以下である。間隔eが上記範囲内であることで、膜落ち込みが生じても膜への機械的負荷が小さく、流路閉塞による圧力損失を比較的小さくすることができる。
第2方向における突起物3の間隔eは、第2方向において隣り合う突起物3間の最短距離である。図2に示すように、突起物3が第2方向において分離膜本体2の一端から他端まで(分離膜エレメント内では、巻回方向の内側端部から外側端部まで)連続して設けられている場合、間隔eは0mmである。また、図3に示すように、突起物3が第2方向において途切れている場合
間隔eは、好ましくは0mm以上5mm以下であり、より好ましくは0mm以上1mm以下であり、さらに好ましくは0mm以上0.5mm以下である。間隔eが上記範囲内であることで、膜落ち込みが生じても膜への機械的負荷が小さく、流路閉塞による圧力損失を比較的小さくすることができる。
(突起物の長さf)
突起物3の長さfは、分離膜本体2の長さ方向(つまり第2方向)における突起物3の長さである。長さfは、1枚の分離膜1内で、30個以上の突起物3の長さを測定し、その平均値を算出することで求められる。突起物の長さfは、分離膜本体の長さa以下であればよい。突起物の長さfが分離膜本体の長さaと同等のときは、突起物3が分離膜1の巻回方向内側端部から外側端部へ連続的に設けられていることを指す。長さfは、好ましくは10mm以上または20mm以上である。長さfが10mm以上であることで、圧力下でも流路が確保される。
突起物3の長さfは、分離膜本体2の長さ方向(つまり第2方向)における突起物3の長さである。長さfは、1枚の分離膜1内で、30個以上の突起物3の長さを測定し、その平均値を算出することで求められる。突起物の長さfは、分離膜本体の長さa以下であればよい。突起物の長さfが分離膜本体の長さaと同等のときは、突起物3が分離膜1の巻回方向内側端部から外側端部へ連続的に設けられていることを指す。長さfは、好ましくは10mm以上または20mm以上である。長さfが10mm以上であることで、圧力下でも流路が確保される。
(形状)
突起物の形状は特に限定されないが、流路の流動抵抗を少なくし、透過させた際の流路を安定化させるような形状が選択され得る。これらの点で、分離膜の面方向に垂直ないずれかの断面において、突起物の形状は、直柱状や台形状、曲柱状、あるいはそれらの組み合わせでもよい。
突起物の形状は特に限定されないが、流路の流動抵抗を少なくし、透過させた際の流路を安定化させるような形状が選択され得る。これらの点で、分離膜の面方向に垂直ないずれかの断面において、突起物の形状は、直柱状や台形状、曲柱状、あるいはそれらの組み合わせでもよい。
例えば、突起物の断面形状が台形の場合、上底と下底の長さの差が大きすぎると溝幅の広い方で加圧ろ過時の膜落込みが生じやすくなるため、下底の長さに対する上底の長さの比率は0.6以上1.4以下が好ましく、0.8以上1.2以下がさらに好ましい。
は、流動抵抗を低減する観点から、後述の分離膜面に対して垂直な直柱状であることが好ましい。また、突起物は、高い箇所ほど幅が小さくなるように形成されていてもよいし、逆に高い箇所ほど幅が広くなるように形成されていてもよいし、分離膜表面からの高さによらず、同じ幅を有するように形成されていてもよい。
は、流動抵抗を低減する観点から、後述の分離膜面に対して垂直な直柱状であることが好ましい。また、突起物は、高い箇所ほど幅が小さくなるように形成されていてもよいし、逆に高い箇所ほど幅が広くなるように形成されていてもよいし、分離膜表面からの高さによらず、同じ幅を有するように形成されていてもよい。
ただし、加圧ろ過時の突起物潰れが著しくない範囲であれば、突起物の断面において、その上辺が丸みを帯びていても良い。
突起物が熱可塑性樹脂であれば、処理温度および選択する熱可塑性樹脂の種類を変更することで、要求される分離特性や透過性能の条件を満足できるように自由に突起物の形状を調整することができる。
また、突起物の分離膜の平面方向における形状は、例えば、図2に示すように直線状であってもよく、曲線状、鋸歯状等波線状、破線状であってもよい。
また、突起物の分離膜の平面方向における形状がや直線状である場合、隣り合う突起物は、互いに略平行に配置されていてもよい。「略平行に配置される」とは、例えば、突起物が分離膜上で交差しないこと、隣り合う2つの突起物の長手方向のなす角度が0°以上30°以下であること、上記角度が0°以上15°以下であること、及び上記角度が0°以上5°以下であること等を包含する。
また、突起物の長手方向と集水管の長手方向との成す角度は、60°以上120°以下であることが好ましく、75°以上105°以下であることがより好ましく、85°以上95°以下であることがさらに好ましい。突起物の長手方向と集水管の長手方向との成す角度が上記範囲であることで、透過水が効率良く集水管に集められる。
流路を安定して形成するには、分離膜エレメントにおいて分離膜本体が加圧されたときの分離膜本体の落ち込みを抑制できることが好ましい。そのためには、分離膜本体と突起物との接触面積が大きいこと、つまり分離膜本体の面積に対する突起物の面積(分離膜本体の膜面に対する投影面積)が大きいことが好ましい。一方で、圧力損失を低減させるには、流路の断面積が広いことが好ましい。流路の断面とは、流路の長手方向に対して垂直な分離膜本体と突起物との接触面積を大きく確保しつつ、かつ流路の断面積を広く確保するには、流路の断面形状は凹レンズ状であることが好ましい。また、突起物3は、巻回方向に垂直な方向での断面形状において、幅に変化のない直柱状であってもよい。また、分離膜性能に影響を与えない範囲内であれば、巻回方向に垂直な方向での断面形状において、幅に変化があるような台形状の壁状物、楕円柱、楕円錐、四角錐あるいは半球のような形状であってもよい。
突起物の形状は、図1−図3に示す形状に限定されるものではない。分離膜本体の透過側の面に、例えばホットメルト法のように、溶融した材料を固着させることで突起物を配置する場合は、処理温度や選択するホットメルト用樹脂の種類を変更することで、要求される分離特性および透過性能の条件を満足できるように、突起物の形状を自由に調整することができる。
図1−図3では、突起物3の平面形状は、長さ方向において直線状である。ただし、突起物3は、分離膜本体2の表面に対して凸であり、かつ分離膜エレメントとしての所望の効果が損なわれない範囲であれば、他の形状に変更可能である。すなわち、突起物の平面方向における形状は、曲線状および波線状等であってもよい。また、1つの分離膜に含まれる複数の突起物が、幅および長さの少なくとも一方が互いに異なるように形成されていてもよい。
(投影面積比)
分離膜の透過側の面に対する突起物の投影面積比は、特に透過側流路の流動抵抗を低減し、流路を安定に形成させる点では、0.03以上0.85以下であることが好ましく、0.15以上0.85以下であることがより好ましく、0.2以上0.75以下であることがさらに好ましく、0.3以上0.6以下であることがさらに好ましい。なお、投影面積比とは、分離膜を5cm×5cmで切り出し、分離膜の面方向に平行な平面に投影した時に得られる突起物の投影面積を、切り出し面積(25cm2)で割った値である。また、この値は、上述の式df/(b+d)(e+f)で表すこともできる。
分離膜の透過側の面に対する突起物の投影面積比は、特に透過側流路の流動抵抗を低減し、流路を安定に形成させる点では、0.03以上0.85以下であることが好ましく、0.15以上0.85以下であることがより好ましく、0.2以上0.75以下であることがさらに好ましく、0.3以上0.6以下であることがさらに好ましい。なお、投影面積比とは、分離膜を5cm×5cmで切り出し、分離膜の面方向に平行な平面に投影した時に得られる突起物の投影面積を、切り出し面積(25cm2)で割った値である。また、この値は、上述の式df/(b+d)(e+f)で表すこともできる。
(欠点率)
分離膜を透過した水は透過側流路5を通過して集水管6に集められる。分離膜において、集水管から遠い領域、つまり巻回方向外側の端部近傍の領域(図5における右側端部に近い領域)を透過した水は、集水管6に向かう間に、巻回方向においてより内側の領域を透過した水と合流し、集水管6へ向かう。よって、透過側流路においては、集水管6から遠い方が、存在する水量が少ない。
分離膜を透過した水は透過側流路5を通過して集水管6に集められる。分離膜において、集水管から遠い領域、つまり巻回方向外側の端部近傍の領域(図5における右側端部に近い領域)を透過した水は、集水管6に向かう間に、巻回方向においてより内側の領域を透過した水と合流し、集水管6へ向かう。よって、透過側流路においては、集水管6から遠い方が、存在する水量が少ない。
そのため、巻回方向外側の端部近傍の領域において、突起物が存在せず、その領域での流動抵抗が高くなっても、エレメント全体の造水量に与える影響は軽微である。同様の理由で、巻回方向外側の端部近傍の領域において、突起物の形成精度が低く、突起物を形成する樹脂が第1方向において連続して塗布されていても、エレメントとしての造水量に与える影響は小さい。この領域において、分離膜本体の面方向(x−y平面)において、隙間無く塗布されている場合も同様である。
よって、分離膜本体2の巻回方向外側の端部から透過側突起物3の巻回方向外側の端部までの距離、つまり、分離膜本体2の巻回方向外側端部に設けられ、突起物が形成されていないか、突起物が第1方向に連続するように設けられている領域R3の長さL3が、分離膜全体の長さL1(上述の“a”に相当する。)に対して占める割合は、0%以上30%以下が好ましく、0%以上10%以下がさらに好ましく、0以上3%以下が特に好ましい。この割合を欠点率と称する。
欠点率は、図6では、L3/L1×100 で表される。
〔2.分離膜エレメント〕
(2−1)概要
図4に示すように、分離膜エレメント100は、集水管6と、上述したいずれかの構成を備え、集水管6の周囲に巻回された分離膜1を備える。また、分離膜エレメント100は、図示しない端板等の部材をさらに備える。
(2−1)概要
図4に示すように、分離膜エレメント100は、集水管6と、上述したいずれかの構成を備え、集水管6の周囲に巻回された分離膜1を備える。また、分離膜エレメント100は、図示しない端板等の部材をさらに備える。
(2−2)分離膜
<概要>
分離膜1は、集水管6の周囲に巻回されており、幅方向が集水管6の長手方向に沿うように配置される。その結果、分離膜1は、長さ方向が巻回方向に沿うように配置される。
<概要>
分離膜1は、集水管6の周囲に巻回されており、幅方向が集水管6の長手方向に沿うように配置される。その結果、分離膜1は、長さ方向が巻回方向に沿うように配置される。
よって、壁状物である突起物3は、分離膜1の透過側の面22において、少なくとも集水管6の長手方向に不連続状に配置される。つまり、流路5は、巻回方向において分離膜の外側端部から内側端部まで連続するように形成される。その結果、透過水が中心パイプへ到達し易く、すなわち流動抵抗が小さくなるので、大きな造水量が得られる。
「巻回方向の内側」及び「巻回方向の外側」は、図5に示す通りである。つまり、「巻回方向の内側端部」及び「巻回方向の外側端部」とはそれぞれ、分離膜1において集水管6に近い方の端部、及び遠い方の端部に該当する。
上述したように、突起物は分離膜の縁まで達していなくてもよいので、例えば、巻回方向における封筒状膜の外側端部、及び集水管長手方向における封筒状膜の端部では、突起物が設けられていなくてもよい。
<膜リーフおよび封筒状膜>
図1に示すように、分離膜は、膜リーフ4(本書において、単に「リーフ」と称することがある。)を形成する。リーフ4において分離膜1は、供給側の面21が、図示しない供給側流路材を挟んで他の分離膜7の供給側の面71と対向するように、配置される。分離膜リーフ4において、互いに向かい合う分離膜の供給側の面の間には供給側流路が形成される。
図1に示すように、分離膜は、膜リーフ4(本書において、単に「リーフ」と称することがある。)を形成する。リーフ4において分離膜1は、供給側の面21が、図示しない供給側流路材を挟んで他の分離膜7の供給側の面71と対向するように、配置される。分離膜リーフ4において、互いに向かい合う分離膜の供給側の面の間には供給側流路が形成される。
さらに、2枚の膜リーフ4が重ねられることで、分離膜1と、分離膜1の透過側の面22に対向する他の膜リーフの分離膜7とが、封筒状膜を形成する。封筒状膜において、向かい合う透過側の面の間は、透過水が集水管6に流れるように、分離膜の長方形状において、巻回方向内側の一辺のみにおいて開放され、他の三辺においては封止される。透過水はこの封筒状膜によって供給水から隔離される。
封止としては、接着剤またはホットメルトなどにより接着されている形態、加熱またはレーザなどにより融着されている形態、およびゴム製シートが挟みこまれている形態が挙げられる。接着による封止は、最も簡便で効果が高いために特に好ましい。
また、分離膜の供給側の面において、巻回方向における内側端部は、折りたたみ又は封止により閉じられている。分離膜の供給側面が、折り畳まれているのではなく封止されていることで、分離膜の端部における撓みが発生しにくい。折り目近傍での撓みの発生が抑制されることで、巻回したときに分離膜間での空隙の発生およびこの空隙によるリークの発生が抑制される。
こうしてリークの発生が抑制されることで、封筒状膜の回収率が向上する。封筒状膜の回収率とは、次のように求められる。すなわち、水中で分離膜エレメントのエアリークテスト(air leak test)を行って、リークが発生した封筒状膜数をカウントする。そのカウント結果に基づいて、(エアリークが発生した封筒状膜の数/評価に供した封筒状膜の数)の比率を、封筒状膜の回収率として算出する。
具体的なエアリークテストの方法は、以下のとおりである。分離膜エレメントの中心パイプの端部を封止し、もう一方の端部から空気を注入する。注入された空気は集水管の孔を通過して分離膜の透過側に到達するが、上記のように分離膜の折りたたみが不十分で折り目近傍で撓みが生じたりして空隙が存在すると、空気がその空隙を移動してしまう。その結果、分離膜の供給側へ空気が移動し、分離膜エレメントの端部(供給側)から水中に空気が到達する。このようにエアリークを気泡の発生として確認することができる。
折り畳みによって分離膜リーフを形成する場合、リーフが長いほど(つまり元の分離膜が長いほど)分離膜の折りたたみに要する時間は長い。しかし、分離膜の供給側面を、折り畳みでなく封止することで、リーフが長くても製造時間の増大を抑制することができる。
なお、分離膜リーフおよび封筒状膜において、互いに対向する分離膜(図1における分離膜1および7)は、同じ構成を備えてもよいし、異なる構成を備えてもよい。すなわち、分離膜エレメントにおいて、向かい合う2枚の透過側の面のうち、少なくとも一方に上述の突起物が設けられていればよいので、突起物を備える分離膜と、備えない分離膜とが交互に重ねられていてもよい。ただし、説明の便宜上、分離膜エレメントおよびそれに関係する説明においては、「分離膜」は、突起物を備えない分離膜(たとえば分離膜本体と同じ構成を備える膜)を含む。
透過側の面において、または供給側の面において、互いに対向する分離膜は、2枚の異なる分離膜であってもよいし、1枚の膜が折りたたまれたものであってもよい。
(2−3)透過側流路
上述したように、分離膜1には突起物3を備えている。突起物3によって、封筒状膜の内側、つまり向かい合う分離膜の透過側の面の間には、透過側流路が形成される。
上述したように、分離膜1には突起物3を備えている。突起物3によって、封筒状膜の内側、つまり向かい合う分離膜の透過側の面の間には、透過側流路が形成される。
(2−4)供給側流路
(流路材)
分離膜エレメント100は、重なり合う分離膜の供給側の面の間に、分離膜1に対する投影面積比が0を超えて1未満となる流路材を備える(図示せず)。供給側流路材の投影面積比は0.03以上0.50以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.10以上0.40以下、特に好ましくは、0.15以上0.35以下である。投影面積比が0.03以上0.50以下であることで、流動抵抗が比較的小さく抑えられる。なお、投影面積比とは、分離膜と供給側流路材を5cm×5cmで切り出し、供給側流路材を分離膜の面方向に平行な平面に投影した時に得られる投影面積を切り出し面積で割った値である。
(流路材)
分離膜エレメント100は、重なり合う分離膜の供給側の面の間に、分離膜1に対する投影面積比が0を超えて1未満となる流路材を備える(図示せず)。供給側流路材の投影面積比は0.03以上0.50以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.10以上0.40以下、特に好ましくは、0.15以上0.35以下である。投影面積比が0.03以上0.50以下であることで、流動抵抗が比較的小さく抑えられる。なお、投影面積比とは、分離膜と供給側流路材を5cm×5cmで切り出し、供給側流路材を分離膜の面方向に平行な平面に投影した時に得られる投影面積を切り出し面積で割った値である。
供給側流路材の高さは、後述するように各性能のバランスや運転コストを考慮すると0.5mmを超えて2.0mm以下が好ましく、0.6mm以上1.0mm以下がさらに好ましい。
供給側流路材の形状は特に限定されず、連続形状を有していてもよいし、不連続な形状を有していてもよい。連続形状を有する流路材としては、フィルムおよびネットといった部材が挙げられる。ここで、連続形状とは、実質的に流路材の全範囲において連続であることを意味する。連続形状には、造水量が低下するなどの不具合が生じない程度に、流路材の一部が不連続となる箇所が含まれていても良い。また、「不連続」の定義については、透過側の流路材について説明したとおりである。なお、供給側流路材の素材は特に限定されず、分離膜と同素材であっても異素材であっても良い。
(凹凸加工)
また、分離膜供給側に供給側流路材を配置するに代わり、エンボス成形、水圧成形、カレンダ加工といった方法で分離膜の供給側に高低差を付与することができる。
また、分離膜供給側に供給側流路材を配置するに代わり、エンボス成形、水圧成形、カレンダ加工といった方法で分離膜の供給側に高低差を付与することができる。
エンボス成形法としては、例えばロールエンボス加工などが挙げられ、これを実施する際の圧力や処理温度は、分離膜の融点に応じて適宜決定することができる。例えば分離膜がエポキシ樹脂を含む多孔性支持層を有する場合では、線圧10kg/cm以上60kg/cm以下であることが好ましく、加熱温度40℃以上150℃以下が好ましい。また、ポリスルホン等の耐熱性樹脂を含む多孔性支持層を有する場合、線圧10kg/cm以上70kg/cm以下であることが好ましくロール加熱温度70℃以上160℃以下が好ましい。ロールエンボス加工ならばいずれの場合も巻き取り速度1m/分以上20m/分以下が好ましい。
エンボス加工を施す場合、ロールの柄の形状は特に限定されないが、流路の流動抵抗を少なくし、かつ分離膜エレメントに流体を供給、透過させた際の流路を安定化させることが重要である。これらの点で、表面上部から観察した形では、楕円、円、長円、台形、三角形、長方形、正方形、平行四辺形、菱形、不定形があり、立体的には表面上部からの形をそのまま表面方向に賦形したもの、広がる形で賦形したもの、狭める形で賦形したものが用いられる。
エンボス加工によって付与できる分離膜の供給側表面の高低差は、分離特性や水透過性能が要求される条件を満足するように加圧熱処理条件を変更することで自由に調整することができる。しかしながら、分離膜の供給側表面の高低差が深すぎると流動抵抗が小さくなるが、エレメント化した場合にベッセルに充填できる膜リーフ数が少なくなる。高低差が小さいと流路の流動抵抗が大きくなり、分離特性や水透過性能が低下してしまう。そのため、エレメントの造水能力が低下し、造水量を増加させるための運転コストが高くなる。
従って、上述した各性能のバランスや運転コストを考慮すると、分離膜においては、分離膜の供給側表面の高低差は、好ましくは0.5mmを超えて2.0mm以下が好ましく、0.6mm以上1.0mm以下がさらに好ましい。
分離膜の供給側表面の高低差は、上述した分離膜透過側の高低差の場合と同手法で求めることができる。
溝幅は好ましくは0.2mm以上10mm以下であり、より好ましくは0.5mm以上3mm以下である。
ピッチは、溝幅の10分の1倍以上50倍以下の間で適宜設計すると良い。溝幅とは高低差が存在する表面で沈下している部位のことであり、ピッチとは、高低差が存在する表面における高い箇所の最も高いところから近接する高い箇所の最も高い箇所までの水平距離のことである。
エンボス加工によって凸となる部分の投影面積比は、供給側流路材の場合と同様の理由から、0.03以上0.5以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.10以上0.40以下、特に好ましくは、0.15以上0.35以下である。
分離膜の面における、「高低差」とは、異素材で形成された流路材が配置されている場合は分離膜本体の表面と流路材の頂点との高低差(つまり流路材の高さ)であり、分離膜本体が凹凸加工されている場合は、凹部と凸部との高低差である。
(2−5)集水管
集水管6は、その中を透過水が流れるように構成されていればよく、材質、形状、大きさ等は特に限定されない。集水管6としては、例えば、複数の孔が設けられた側面を有する円筒状の部材が用いられる。
集水管6は、その中を透過水が流れるように構成されていればよく、材質、形状、大きさ等は特に限定されない。集水管6としては、例えば、複数の孔が設けられた側面を有する円筒状の部材が用いられる。
〔3.分離膜エレメントの製造方法〕
(3−1)分離膜本体の製造
分離膜本体の製造方法については上述したが、簡単にまとめると以下のとおりである。
(3−1)分離膜本体の製造
分離膜本体の製造方法については上述したが、簡単にまとめると以下のとおりである。
良溶媒に樹脂を溶解し、得られた樹脂溶液を基材にキャストして純水中に浸漬して多孔性支持層と基材を複合させる。その後、上述したように、多孔性支持層上に分離機能層を形成する。さらに、必要に応じて分離性能、透過性能を高めるべく、塩素、酸、アルカリ、亜硝酸などの化学処理を施し、さらにモノマー等を洗浄し分離膜本体の連続シートを作製する。
なお、化学処理の前または後で、エンボス等によって分離膜本体に凹凸を形成してもよい。
(3−2)突起物の配置
分離膜の製造方法は、分離膜本体の透過側の面に、不連続な突起物を設ける工程を備える。この工程は、分離膜製造のどの時点で行われてもよい。例えば、突起物は、基材上に多孔性支持層が形成される前に設けられてもよいし、多孔性支持層が設けられた後であって分離機能層が形成される前に設けられてもよいし、分離機能層が形成された後、上述の化学処理が施される前または後に行われてもよい。
分離膜の製造方法は、分離膜本体の透過側の面に、不連続な突起物を設ける工程を備える。この工程は、分離膜製造のどの時点で行われてもよい。例えば、突起物は、基材上に多孔性支持層が形成される前に設けられてもよいし、多孔性支持層が設けられた後であって分離機能層が形成される前に設けられてもよいし、分離機能層が形成された後、上述の化学処理が施される前または後に行われてもよい。
突起物を配置する方法は、例えば、柔らかな材料を分離膜上に配置する工程と、それを硬化する工程とを備える。具体的には、突起物の配置には、紫外線硬化樹脂、化学重合、ホットメルト、乾燥等が利用される。特に、ホットメルトは好ましく用いられ、具体的には、熱により樹脂等の材料を軟化する(つまり熱溶融する)工程、軟化した材料を分離膜上に配置する工程、この材料を冷却により硬化することで分離膜上に固着させる工程を含む。
突起物を配置する方法としては、例えば、塗布、印刷、噴霧等が挙げられる。また、使用される機材としては、ノズル型のホットメルトアプリケーター、スプレー型のホットメルトアプリケーター、フラットノズル型のホットメルトアプリケーター、ロール型コーター、押出型コーター、印刷機、噴霧器などが挙げられる。
(3−3)供給側流路の形成
供給側流路材が、分離膜本体と異なる素材で形成された不連続な部材である場合、供給側流路材の形成には、突起物の形成と同じ方法およびタイミングを適用することができる。
供給側流路材が、分離膜本体と異なる素材で形成された不連続な部材である場合、供給側流路材の形成には、突起物の形成と同じ方法およびタイミングを適用することができる。
また、分離膜本体との異素材で供給側流路材を形成するのではなく、エンボス成形、水圧成形、カレンダ加工といった方法で分離膜の供給側に高低差を付与することもできる。
エンボス成形法としては、例えばロールエンボス加工などが挙げられ、これを実施する際の圧力や処理温度は、分離膜の融点に応じて適宜決定することができる。例えば分離膜がエポキシ樹脂を含む多孔性支持層を有する場合では、線圧10kg/cm以上60kg/cm以下であることが好ましく、加熱温度40℃以上150℃以下が好ましい。また、ポリスルホン等の耐熱性樹脂を含む多孔性支持層を有する場合、線圧10kg/cm以上70kg/cm以下であることが好ましくロール加熱温度70℃以上160℃以下が好ましい。ロールエンボス加工ならばいずれの場合も巻き取り速度1m/分以上20m/分以下が好ましい。
エンボス加工を施す場合、ロールの柄の形状は特に限定されないが、流路の圧力損失を少なくし、かつ分離膜エレメントに流体を供給、透過させた際の流路を安定化させることが重要である。これらの点で、表面上部から観察した形では、楕円、円、長円、台形、三角形、長方形、正方形、平行四辺形、菱形、不定形等が採用される。また、立体的には高さの高い箇所ほど幅が小さくなるように形成されていてもよいし、逆に高い箇所ほど幅が広くなるように形成されていてもよいし、高さによらず同じ幅で形成されていてもよい。
エンボス加工によって付与できる分離膜の供給側表面の高低差は、分離特性や水透過性能が要求される条件を満足するように加圧熱処理条件を変更することで自由に調整することができる。
なお、以上に述べたように、供給側流路の形成が、供給側流路材を分離膜本体に固着することで行われる場合、または膜を凹凸加工することで行われる場合は、これら供給側流路の形成工程が分離膜の製造方法における一工程と見なされてもよい。
供給側流路がネット等の連続的に形成された部材である場合は、分離膜本体に突起物が配置されることで分離膜が製造された後、この分離膜と供給側流路材とを重ね合わせればよい。
(3−4)分離膜リーフの形成
分離膜リーフは、上述したように、供給側の面が内側を向くように分離膜を折りたたむことで形成することされてもよいし、別々の2枚の分離膜を貼り合わせることで形成されてもよい。
分離膜リーフは、上述したように、供給側の面が内側を向くように分離膜を折りたたむことで形成することされてもよいし、別々の2枚の分離膜を貼り合わせることで形成されてもよい。
分離膜エレメントの製造方法は、分離膜の巻回方向における内側端部を、供給側の面において封止する工程を備えることが好ましい。封止する工程においては、2枚の分離膜を、互いの供給側の面が向かい合うように重ねる。さらに、重ねられた分離膜の巻回方向における内側端部、つまり図5における左側端部を封止する。
「封止」する方法としては、接着剤またはホットメルトなどによる接着、加熱またはレーザなどによる融着、およびゴム製シートを挟みこむ方法が挙げられる。接着による封止は、最も簡便で効果が高いために特に好ましい。
このとき、重ねられた分離膜の内側に、分離膜とは別に形成された供給側流路材を配置してもよい。上述したように、エンボスまたは樹脂塗布等によって分離膜の供給側の面にあらかじめ高低差を設けることで、供給側流路材の配置を省略することもできる。
供給側の面の封止と透過側の面の封止(封筒状膜の形成)とは、どちらかが先に行われてもよいし、分離膜を重ねながら、供給側の面の封止と透過側の面の封止とを並行して行ってもよい。ただし、巻回時における分離膜でのシワの発生を抑制するためには、隣り合う分離膜が巻回によって長さ方向にずれることを許容するように、幅方向端部における接着剤またはホットメルトの固化等、つまり封筒状膜を形成するための固化等を、巻回の終了後に完了させることが好ましい。
(3−5)封筒状膜の形成
1枚の分離膜を透過側面が内側を向くように折り畳んで貼り合わせることで、または2枚の分離膜を透過側面が内側を向くように重ねて貼り合わせることで、封筒状膜を形成することができる。長方形状の封筒状膜においては、長さ方向の一端のみが開口するように、他の3辺を封止する。封止は、接着剤またはホットメルト等による接着、熱またはレーザによる融着等により実行できる。
1枚の分離膜を透過側面が内側を向くように折り畳んで貼り合わせることで、または2枚の分離膜を透過側面が内側を向くように重ねて貼り合わせることで、封筒状膜を形成することができる。長方形状の封筒状膜においては、長さ方向の一端のみが開口するように、他の3辺を封止する。封止は、接着剤またはホットメルト等による接着、熱またはレーザによる融着等により実行できる。
封筒状膜の形成に用いられる接着剤は、粘度が40PS以上150PS以下の範囲内であることが好ましく、さらに50PS以上120PS以下がより好ましい。接着剤粘度が高すぎる場合には、積層したリーフを集水管に巻回するときに、しわが発生し易くなる。しわは、分離膜エレメントの性能を損なうことがある。逆に、接着剤粘度が低すぎる場合には、リーフの端部から接着剤が流出して装置を汚すことがある。また、接着すべき部分以外に接着剤が付着すると、分離膜エレメントの性能が損なわれると共に、流出した接着剤の処理作業により作業効率が著しく低下する。
接着剤の塗布量は、リーフを集水管に巻回した後に、接着剤が塗布される部分の幅が10mm以上100mm以下であるような量であることが好ましい。これによって、分離膜が確実に接着されるので、原流体の透過側への流入が抑制される。また、有効膜面積も比較的大きく確保することができる。
接着剤としてはウレタン系接着剤が好ましく、粘度を40PS以上150PS以下の範囲とするには、主剤のイソシアネートと硬化剤のポリオールとを、イソシアネート:ポリオール=1:1〜1:5の割合で混合したものが好ましい。接着剤の粘度は、予め主剤、硬化剤単体、及び配合割合を規定した混合物の粘度をB型粘度計(JIS K 6833)で測定したものである。
(3−6)分離膜の巻回
分離膜エレメントの製造には、従来のエレメント製作装置を用いることができる。また、エレメント作製方法としては、参考文献(特公昭44−14216、特公平4−11928、特開平11−226366)に記載される方法を用いることができる。詳細には以下の通りである。
分離膜エレメントの製造には、従来のエレメント製作装置を用いることができる。また、エレメント作製方法としては、参考文献(特公昭44−14216、特公平4−11928、特開平11−226366)に記載される方法を用いることができる。詳細には以下の通りである。
集水管の周囲に分離膜を巻回するときは、分離膜を、リーフの閉じられた端部、つまり封筒状膜の閉口部分が集水管を向くように配置する。このような配置で集水管の周囲に分離膜を巻きつけることで、分離膜をスパイラル状に巻回する。
集水管にトリコットや基材のようなスペーサーを巻回しておくと、エレメント巻回時に集水管へ塗布した接着剤が流動し難く、リークの抑制につながり、さらには集水管周辺の流路が安定に確保される。なお、スペーサーは集水管の円周より長く巻回しておけばよい。
集水管にトリコットを巻回しておくと、エレメント巻回時に集水管へ塗布した接着剤が流動し難く、リークの抑制につながり、さらには集水管周辺の流路が安定に確保される。なお、トリコットは集水管の円周より長く巻回しておけばよい。
(3−7)その他の工程
分離膜エレメントの製造方法は、上述のように形成された分離膜の巻回体の外側に、フィルムおよびフィラメント等をさらに巻きつけることを含んでいてもよいし、集水管の長手方向における分離膜の端を切りそろえるエッジカット、端板の取り付け等のさらなる工程を含んでいてもよい。
分離膜エレメントの製造方法は、上述のように形成された分離膜の巻回体の外側に、フィルムおよびフィラメント等をさらに巻きつけることを含んでいてもよいし、集水管の長手方向における分離膜の端を切りそろえるエッジカット、端板の取り付け等のさらなる工程を含んでいてもよい。
〔4.分離膜エレメントの利用〕
分離膜エレメントは、さらに、直列または並列に接続して圧力容器に収納されることで、分離膜モジュールとして使用されてもよい。
分離膜エレメントは、さらに、直列または並列に接続して圧力容器に収納されることで、分離膜モジュールとして使用されてもよい。
また、上記の分離膜エレメント、モジュールは、それらに流体を供給するポンプや、その流体を前処理する装置などと組み合わせて、流体分離装置を構成することができる。この分離装置を用いることにより、例えば供給水を飲料水などの透過水と膜を透過しなかった濃縮水とに分離して、目的にあった水を得ることができる。
流体分離装置の操作圧力は高い方が除去率は向上するが、運転に必要なエネルギーも増加すること、また、分離膜エレメントの供給流路、透過流路の保持性を考慮すると、膜モジュールに被処理水を透過する際の操作圧力は、0.2MPa以上5MPa以下が好ましい。供給水温度は、高くなると塩除去率が低下するが、低くなるにしたがい膜透過流束も減少するので、5℃以上45℃以下が好ましい。また、供給水のpHが中性領域にある場合、供給水が海水などの高塩濃度の液体であっても、マグネシウムなどのスケールの発生が抑制され、また、膜の劣化も抑制される。
分離膜エレメントによって処理される流体は特に限定されないが、水処理に使用する場合、供給水としては、海水、かん水、排水等の500mg/L以上100g/L以下のTDS(Total Dissolved Solids:総溶解固形分)を含有する液状混合物が挙げられる。一般に、TDSは総溶解固形分量を指し、「質量÷体積」で表されるが、1Lを1kgと見なして「重量比」で表されることもある。定義によれば、0.45μmのフィルターで濾過した溶液を39.5〜40.5℃の温度で蒸発させ残留物の重さから算出できるが、より簡便には実用塩分(S)から換算する。
〔5.分離膜エレメントの他の形態〕
<分離膜エレメントの構成>
分離膜エレメントの他の形態について説明する。なお、以下で言及しない構成、並びに製造工程および利用については、上述の事項が適用される。
<分離膜エレメントの構成>
分離膜エレメントの他の形態について説明する。なお、以下で言及しない構成、並びに製造工程および利用については、上述の事項が適用される。
本実施形態では、図9に示すように、突起物3が、分離膜とは別のシートに固着していている。つまり、分離膜エレメントは、図9に示すように、分離膜20Aと、シート13とシート13上に固着した突起物3とを備える透過側流路材14とを備える。
本実施形態の分離膜エレメントは、透過側流路材を分離膜間に挟み込む工程を備える以外は、図1に示すリーフを備える分離膜エレメントと同様の方法によって製造される。
<分離膜>
分離膜20Aは、図1の分離膜1とは異なり、突起物3を備えない。つまり分離膜20Aとしては、図1の実施形態の分離膜本体2と同様の構成が採用される。分離膜20Aは、透過側の面同士および供給側の面同士がそれぞれ対向するように、配置される。
分離膜20Aは、図1の分離膜1とは異なり、突起物3を備えない。つまり分離膜20Aとしては、図1の実施形態の分離膜本体2と同様の構成が採用される。分離膜20Aは、透過側の面同士および供給側の面同士がそれぞれ対向するように、配置される。
<透過側流路材>
透過側流路材14は、2枚の分離膜20Aの透過側の面122の間に配置される。分離膜の供給側の面は符号”121”で示す。より詳細には、2枚の分離膜20Aは、透過側流路材14を間に挟んで、図1の分離膜2および分離膜7と同様に、接着(封止)されている。その接着部分の少なくとも一部において、分離膜間に透過側流路材14のシート13が存在することが好ましい。図9では、シート13の大きさと分離膜20Aの大きさとは同一として示しているが、実際には、シートの方が大きくても良いし、分離膜の方が大きくてもよい。
透過側流路材14は、2枚の分離膜20Aの透過側の面122の間に配置される。分離膜の供給側の面は符号”121”で示す。より詳細には、2枚の分離膜20Aは、透過側流路材14を間に挟んで、図1の分離膜2および分離膜7と同様に、接着(封止)されている。その接着部分の少なくとも一部において、分離膜間に透過側流路材14のシート13が存在することが好ましい。図9では、シート13の大きさと分離膜20Aの大きさとは同一として示しているが、実際には、シートの方が大きくても良いし、分離膜の方が大きくてもよい。
分離膜に突起物が固着している場合と、分離膜とは別のシートに突起物が固着している場合とは、シート状の部材に突起物が固着している、という点で共通する。本書では、説明の便宜上、分離膜とは異なる部材として設けられたシート状部材を、“シート”とよぶ。
<シート>
シート13の空隙率は20%以上90%以下であることが好ましく、45%以上80%以下であることが特に好ましい。
シート13の空隙率は20%以上90%以下であることが好ましく、45%以上80%以下であることが特に好ましい。
突起物の配置の精度が不十分であると、突起間の溝が閉塞することがある。しかし、シートの空隙率が20%以上であると、透過水はシート13の空隙を通って別の溝に移動することができるので、分離膜エレメントの造水量が大きくなる。さらに、突起物3を構成する樹脂がシート13に適度に含浸できるので、突起物3のシート13からの剥離を抑制できる。また、分離膜間を封止する接着剤がシート13に適度に含浸できるので、供給水の透過側流路への流入を抑制することができる。
また、空隙率が90%以下であることで、突起物3を構成する樹脂がシート13の裏にまで含浸することを抑制できる。シート13の裏にまで樹脂が含浸すると、樹脂の含浸部分とその周りの部分とで、シート13の厚みが不均一になる。また、空隙率が90%以下であることで、リーフ同士を接着する接着剤の広がりを適度に抑制することができる。その結果、分離膜エレメント形成後に接着剤が塗布されていない領域、すなわち、加圧ろ過が有効に機能する領域(有効膜面積)を確保することができる。これによって、分離膜エレメントの造水量の低下を抑制できる。
ここで、空隙率とは、基材の単位体積当たりの空隙の割合をいう。空隙率は、基材に純水を含ませたときの重量から、基材の乾燥時の重量を差し引いた値を、乾燥時の基材の見かけ体積で除することで、百分率(%)として算出される。
シート13の厚みは0.2mm以下であることが好ましい。2枚の分離膜の透過側の面の間を封止するためには、封止箇所で分離膜間に挟まれたシート13に接着剤が含浸することが好ましい。シート13の厚みが0.2mm以下であると、シート13の厚み方向において全体にわたって接着剤が含浸するので、透過水への供給水の混合を防ぐことができる。ただし、シート13の厚みが0.2mmを超えても、シート13の空隙率が80%以上であれば、分離膜間を接着剤で封止することができる。また、シート13の厚みが0.02mm以上であることで、シート13の強度を確保することができるので、シート13の破損を抑制することができる。
特に、シート13の厚みが0.02mm以上0.2mm以下であれば、空隙率は20%以上80%以下であることが好ましく、シート13の厚みが0.02mmを超えて0.4mm以下であれば、空隙率は30%以上90%以下であることがより好ましい。
シート13として、具体的には、不織布が好ましく用いられる。シート13としては、例えば、上述の分離膜の基材と同様の素材および構造が適用される。
<突起物>
シートに固着した突起物には、図2等を参照して分離膜の基材に固着した突起物について説明した構成(つまり形状、寸法、配置、材質等)が、好ましく適用される。また、本実施形態の透過側流路材は、分離膜上に突起物を設ける場合と同様の方法によって、シートに突起物を設けることで製造される。
シートに固着した突起物には、図2等を参照して分離膜の基材に固着した突起物について説明した構成(つまり形状、寸法、配置、材質等)が、好ましく適用される。また、本実施形態の透過側流路材は、分離膜上に突起物を設ける場合と同様の方法によって、シートに突起物を設けることで製造される。
突起物は、シートのどちらか一方の面に設けられていてもよいし、両方の面に設けられていてもよい。いずれにしても、透過側流路材は、2枚の分離膜の透過側の面に挟まれるように配置され、透過側流路材の突起物が設けられた面は分離膜の透過側の面に対向する。
突起物の高さcと、シートの厚みH1との関係について説明する。突起物の高さcと、シートの厚みH1と突起物の高さcとの和H0との比(c/H0)は、0.05以上であることが好ましい。これによって、広い流路を確保できるからである。一方で、比(c/H0)が0.7以下であることで、張力を負荷しながら、シートを巻き取った際に、突起物によるシートの破壊や傷を防ぐことができる。これは、比(c/H0)が大きいほど突起物のシートへの負荷が大きく、かつシートの物理的耐久性が小さくなるためである。
比(c/H0)が0.13以下である場合、シートの空隙率は30%以上90%以下であることが好ましい。また、比(c/H0)が0.13を超え(または0.15以上であって)、かつ0.7以下である場合は、シートの空隙率は20%以上かつ80%以下であることが好ましい。
以下に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
(分離膜透過側の高低差)
キーエンス製高精度形状測定システムKS−1100を用い、5cm×5cmの透過側の測定結果から平均の高低差を解析した。10μm以上の高低差のある30箇所を測定し、各高さの値を総和した値を測定総箇所の数で割って求めた。
キーエンス製高精度形状測定システムKS−1100を用い、5cm×5cmの透過側の測定結果から平均の高低差を解析した。10μm以上の高低差のある30箇所を測定し、各高さの値を総和した値を測定総箇所の数で割って求めた。
(突起物のピッチおよび間隔)
走査型電子顕微鏡(S−800)(日立製作所製)を用いて30個の任意の突起物断面を30倍で写真撮影し、分離膜の透過側における突起物の頂点から、隣の突起物の頂点までの水平距離を測定し、その平均値をピッチとして算出した。
走査型電子顕微鏡(S−800)(日立製作所製)を用いて30個の任意の突起物断面を30倍で写真撮影し、分離膜の透過側における突起物の頂点から、隣の突起物の頂点までの水平距離を測定し、その平均値をピッチとして算出した。
また、間隔bについては、ピッチを測定した写真において、上述の方法で測定した。
(カール性)
幅30mm×長さ150mmにカットした不織布(糸径:1デシテックス、厚み:90μm、通気度:0.9cc/cm2/sec)上に、溶融樹脂を幅15mm×長さ280mmで直線上に塗布した。なお、溶融樹脂の不織布への接着力は、実施例と同様になるように調整した。得られたカールした不織布の最も高い位置と最も低い位置の高低差をカール性(mm)とした。
幅30mm×長さ150mmにカットした不織布(糸径:1デシテックス、厚み:90μm、通気度:0.9cc/cm2/sec)上に、溶融樹脂を幅15mm×長さ280mmで直線上に塗布した。なお、溶融樹脂の不織布への接着力は、実施例と同様になるように調整した。得られたカールした不織布の最も高い位置と最も低い位置の高低差をカール性(mm)とした。
(耐ズレ性)
後述の実施例および比較例において作成されたそれぞれ30本の分離膜エレメントについて、巻きズレを測定した。巻きズレとは、{巻回後のエレメント幅―巻回に用いた分離膜幅}で算出される。比較例1の分離膜では、分離膜本体への突起物の接着力が、突起物の全長に渡って1.3N/mであった。なお、全ての実施例および比較例で、巻回に用いた分離膜幅は1000mmであった。また、巻回後のエレメント幅とは、分離膜巻回体の集水管長手方向における長さである。
後述の実施例および比較例において作成されたそれぞれ30本の分離膜エレメントについて、巻きズレを測定した。巻きズレとは、{巻回後のエレメント幅―巻回に用いた分離膜幅}で算出される。比較例1の分離膜では、分離膜本体への突起物の接着力が、突起物の全長に渡って1.3N/mであった。なお、全ての実施例および比較例で、巻回に用いた分離膜幅は1000mmであった。また、巻回後のエレメント幅とは、分離膜巻回体の集水管長手方向における長さである。
こうして測定された30本のエレメントの巻きズレについて、その平均値を算出した。さらに、比較例1のエレメントについての巻きズレ平均値に対する、各実施例および比較例のエレメントについての巻きズレ平均値の比(%)を算出した。この平均値を耐ズレ性(%)として、各表に示す。
(分離膜エレメント断面のアスペクト比)
ABS製集水管(幅:1,020mm、径:30mm、孔数40個×直線状1列)の周囲に長さ930mmの膜リーフを巻回し固定した。次に、無作為に選択した集水管を含む断面について、断面の中心を通り、かつ断面を24等分する12方向の線分を引き、最も長い線分長に対する最も短い線分長の比を算出し、真円性の指標とした。なお、値が1に近いほど、真円に近いことになる。
ABS製集水管(幅:1,020mm、径:30mm、孔数40個×直線状1列)の周囲に長さ930mmの膜リーフを巻回し固定した。次に、無作為に選択した集水管を含む断面について、断面の中心を通り、かつ断面を24等分する12方向の線分を引き、最も長い線分長に対する最も短い線分長の比を算出し、真円性の指標とした。なお、値が1に近いほど、真円に近いことになる。
(接着力)
後述の分離膜エレメントにおける分離膜リーフから、幅15mmの試料を切り出し、基材と突起物との接着面の一部を剥がし、測定長さ50mmで引張試験機にT字状態となるようにセットした。25℃、65%相対湿度において、毎分5mmの速度で引張試験を行い、測定長さ間の引張り力の平均値を剥離強度とした。この試験を、分離膜の幅方向における同じ位置で(つまり長さ方向に沿って)、長さ方向全長に渡って実施し、接着力が1Nを満たない領域の数/1N以上の領域の数×100(%)として算出した。なお、突起物の一部を基材から剥離させる際に、基材が破壊された場合は接着力が1N/m以上であると判定した。
後述の分離膜エレメントにおける分離膜リーフから、幅15mmの試料を切り出し、基材と突起物との接着面の一部を剥がし、測定長さ50mmで引張試験機にT字状態となるようにセットした。25℃、65%相対湿度において、毎分5mmの速度で引張試験を行い、測定長さ間の引張り力の平均値を剥離強度とした。この試験を、分離膜の幅方向における同じ位置で(つまり長さ方向に沿って)、長さ方向全長に渡って実施し、接着力が1Nを満たない領域の数/1N以上の領域の数×100(%)として算出した。なお、突起物の一部を基材から剥離させる際に、基材が破壊された場合は接着力が1N/m以上であると判定した。
(実施例1)
ポリエチレンテレフタレート繊維からなる不織布(糸径:1デシテックス、厚み:約0.09mm、密度0.80g/cm3)上にポリスルホンの15.0重量%のDMF溶液を180μmの厚みで室温(25℃)にてキャストし、ただちに純水中に浸漬して5分間放置し、80℃の温水で1分間浸漬することによって繊維補強ポリスルホン支持膜からなる、多孔性支持層(厚さ0.13mm)を作製した。
ポリエチレンテレフタレート繊維からなる不織布(糸径:1デシテックス、厚み:約0.09mm、密度0.80g/cm3)上にポリスルホンの15.0重量%のDMF溶液を180μmの厚みで室温(25℃)にてキャストし、ただちに純水中に浸漬して5分間放置し、80℃の温水で1分間浸漬することによって繊維補強ポリスルホン支持膜からなる、多孔性支持層(厚さ0.13mm)を作製した。
その後、多孔性支持層ロールを巻き出し、ポリスルホン表面に、m−PDA(メタフェニレンジアミン)の2.0重量%、ε−カプロラクタム4.1重量%水溶液中を塗布し、エアーノズルから窒素を吹き付け支持膜表面から余分な水溶液を取り除いた後、トリメシン酸クロリド0.06重量%を含む25℃のn−デカン溶液を表面が完全に濡れるように塗布した。
その後、膜から余分な溶液をエアーブローで除去し、55℃の熱水で洗浄して分離膜ロールを得た。
次に、突起物を分離膜の透過側に形成した。すなわち、バックアップロールを15℃に温度調節しながら、グラビアロールを用いて、ポリプロピレン(温度230℃・荷重2.16kgf/cm2でのMFR1000g/10分、80重量%)/スチレン系エラストマー(JSR社製“DYNARON・SEBS・8600P”、20重量%)を、分離膜の透過側に塗布して、膜の長さ方向に途切れなく連続する突起物を作製した。樹脂温度は215℃であり、加工速度は3.5m/分であった。得られた突起物の形状は表1の通りであった。なお、溶融樹脂を塗布する直前に風量を変更しながらエアーブローを実施して膜含水率を調整して突起物の透過側への含浸を制御することで、所望の接着力となるように調整した。
該分離膜を43cm2に切り取り、圧力容器に入れて、NaCl濃度500mg/Lとした水溶液を原水とし、運転圧力0.7MPa、運転温度25℃、pH7で運転したところカール性は表1の通りであった。なお、この運転による透過水の回収率は15%であった。
(実施例2)
以下、特に言及しない条件については、実施例1と同様にして分離膜を作製した。
以下、特に言及しない条件については、実施例1と同様にして分離膜を作製した。
実施例1で得られた分離膜を、折り畳み断裁加工し、ネット(厚み:0.7mm、ピッチ:5.2mm×5mm、繊維径:0.35mm、投影面積比:0.13)を供給側流路材として幅900mmかつリーフ長800mmで26枚のリーフを作製した。
こうして得られたリーフに対して、接着剤を手動塗布し、トリコット(厚み:0.2mm、溝幅:0.2mm、畦幅:0.3mm、溝深さ:0.1mm)を予め1周分被覆したABS製集水管(幅:1,020mm、径:30mm、孔数40個×直線状1列)にスパイラル状に巻き付けた。リーフ間を接着した接着剤を、「リーフ接着剤」と称する。リーフ接着剤としては主剤であるイソシアネートおよび硬化剤であるポリオールをそれぞれ1:2で混合したものを用いた。
巻回された封筒状膜の外周にさらにフィルムを巻き付け、テープで固定した後に、エッジカット、端板取りつけ、およびフィラメントワインディングを行うことで、8インチエレメントを作製した。なお、有効膜面積における膜幅は900mmであった。
このエレメントを圧力容器に入れて、上述の条件で運転を行って透過水を得たところ、カール性、耐ズレ性および分離膜エレメント断面のアスペクト比は表1の通りであった。
(実施例3〜13)
分離膜の透過側の面への接着力、膜長(リーフ長)に対する突起物の接着力が1N/m以下の割合および突起物の伸度を表1〜表4としたこと以外は全て実施例1と同様にして、分離膜を作製した。続いて、実施例2と同様にして、分離膜エレメントを作製した。
分離膜の透過側の面への接着力、膜長(リーフ長)に対する突起物の接着力が1N/m以下の割合および突起物の伸度を表1〜表4としたこと以外は全て実施例1と同様にして、分離膜を作製した。続いて、実施例2と同様にして、分離膜エレメントを作製した。
分離膜エレメントを圧力容器に入れて、原水500mg/L食塩、運転圧力0.7MPa、運転温度25℃、pH7で運転したところ、カール性、耐ズレ性および分離膜エレメント断面のアスペクト比は表1の通りであった。なお、この運転による透過水の回収率は15%であった。
なお、実施例13ではポリプロピレン(温度230℃・荷重2.16kgf/cm2でのMFR1000g/10分、80重量%)を溶融させて分離膜の透過側へ塗布した。
(実施例14)
突起物を分離膜の基材側に形成する代わりに、シートを抄紙不織布(糸径:1デシテックス、厚み:約0.03mm、空隙率25%)とし、突起物の高さ0.25mmとした透過側流路材を配置したこと以外は、全て実施例2と同様に、分離膜エレメントを作製した。
突起物を分離膜の基材側に形成する代わりに、シートを抄紙不織布(糸径:1デシテックス、厚み:約0.03mm、空隙率25%)とし、突起物の高さ0.25mmとした透過側流路材を配置したこと以外は、全て実施例2と同様に、分離膜エレメントを作製した。
このエレメントを圧力容器に入れて、上述の条件で運転を行って透過水を得たところ、カール性、耐ズレ性および分離膜エレメント断面のアスペクト比は表4の通りであった。
(比較例1および2)
分離膜の透過側の面への接着力、膜長(リーフ長)に対する突起物の接着力が1N/m以下の割合および突起物の伸度を表4の通りとしたこと以外は、全て実施例1と同様にして、分離膜を作製した。続いて、実施例2と同様にして、分離膜エレメントを作製した。なお、比較例1の分離膜では、上述のとおり、分離膜本体への突起物の接着力が、突起物の全長に渡って1.3N/mであった。
分離膜の透過側の面への接着力、膜長(リーフ長)に対する突起物の接着力が1N/m以下の割合および突起物の伸度を表4の通りとしたこと以外は、全て実施例1と同様にして、分離膜を作製した。続いて、実施例2と同様にして、分離膜エレメントを作製した。なお、比較例1の分離膜では、上述のとおり、分離膜本体への突起物の接着力が、突起物の全長に渡って1.3N/mであった。
分離膜エレメントを圧力容器に入れて、上述の条件で運転を行って透過水を得たところ、カール性、耐ズレ性および分離膜エレメント断面のアスペクト比は表1の通りであった。
結果から明らかなように、実施例の分離膜および分離膜エレメントは、高造水性能、安定運転性能、優れた除去性能を有している。
本発明の膜エレメントは、特に、かん水や海水の脱塩に好適に用いることができる。
1 分離膜
2 分離膜本体
201 基材
202 多孔性支持層
203 分離機能層
3 突起物
4 分離膜リーフ
5 透過側流路
6 集水管
7 分離膜
13 シート
21 供給側の面
22 透過側の面
71 供給側の面
72 透過側の面
100 分離膜エレメント
a 分離膜(リーフ)長さ
b 突起物の幅方向間隔
c 突起物の高低差
d 突起物の幅
e 突起物の長さ方向の間隔
f 突起物の長さ
R2 分離膜において巻回方向内側から外側に並んだ突起物の先頭から最後尾までの距離
R3 分離膜の巻回方向外側端部において突起物が設けられていない領域
2 分離膜本体
201 基材
202 多孔性支持層
203 分離機能層
3 突起物
4 分離膜リーフ
5 透過側流路
6 集水管
7 分離膜
13 シート
21 供給側の面
22 透過側の面
71 供給側の面
72 透過側の面
100 分離膜エレメント
a 分離膜(リーフ)長さ
b 突起物の幅方向間隔
c 突起物の高低差
d 突起物の幅
e 突起物の長さ方向の間隔
f 突起物の長さ
R2 分離膜において巻回方向内側から外側に並んだ突起物の先頭から最後尾までの距離
R3 分離膜の巻回方向外側端部において突起物が設けられていない領域
Claims (4)
- 集水管と、
供給側の面および透過側の面を有する分離膜本体と、前記分離膜本体の透過側の面に固着した複数の突起物と、を備え、前記集水管の周囲に巻回された分離膜と
を備える分離膜エレメントであって、
前記突起物が以下の条件:
(1)少なくとも前記分離膜本体の長さ方向に連続するように配置され、
(2)前記方向における前記分離膜本体の全長に対して3%以上20%以下の領域で、前記分離膜本体に対する前記突起物の接着力が1N/mを下回り、
(3)前記突起物の伸度が2%以上である、
を満たす分離膜エレメント。 - 集水管と、
供給側の面および透過側の面を有し、前記集水管の周囲に巻回された分離膜と、
前記分離膜の透過側の面に配置されたシートおよび前記シートに固着された複数の突起物を備える透過側流路材と、
を備える分離膜エレメントであって、
前記突起物が以下の条件:
(1)少なくとも前記分離膜本体の長さ方向に連続するように配置され、
(2)前記方向における前記分離膜本体の全長に対して3%以上20%以下の領域で、前記分離膜本体に対する前記突起物の接着力が1N/mを下回り、
(3)前記突起物の伸度が2%以上である、
を満たす分離膜エレメント。 - 前記接着力が1N/mを下回る突起物が、前記分離膜の巻回方向の内側端部に設けられた請求項1または2のいずれかに記載の分離膜エレメント。
- 前記接着力が1N/mを下回る突起物が、前記分離膜の巻回方向の外側端部に設けられた請求項1〜3のいずれかに記載の分離膜エレメント。
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Applications Claiming Priority (3)
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101881958B1 (ko) * | 2016-11-09 | 2018-08-24 | 양진석 | 플라이 포집 및 공기 여과 기능을 갖는 집진장치 |
-
2014
- 2014-09-30 JP JP2014200260A patent/JP2015091574A/ja active Pending
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KR101881958B1 (ko) * | 2016-11-09 | 2018-08-24 | 양진석 | 플라이 포집 및 공기 여과 기능을 갖는 집진장치 |
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