JP2021020204A - 分離膜エレメント - Google Patents
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Abstract
【課題】高い圧力で運転しても、高い除去性能と造水性能を有する分離膜エレメントを提供する。【解決手段】供給側の面と透過側の面とを有し、透過側の面同士が向かい合うように配置されることで分離膜対を形成する分離膜と、前記分離膜の供給側の面の間に設けられる供給側流路材と、前記分離膜の前記透過側の面の間に設けられる透過側流路材と、透過水を集水できる有孔集水管と、を備え、前記透過側流路材は、シート状基材と、前記シート状基材に賦形された、複数の突起物と、からなり、前記集水管の長手方向における、前記突起物の断面Sが、下記式1の関係を満たす、分離膜エレメントを提供する。(W1+W2)×H1/2>SA・・・(式1)ここで、W1:前記断面Sにおける、前記突起物上部幅の長さ、W2:前記断面Sにおける、前記突起物底部幅の長さ、H1:前記断面Sにおける、前記突起物の高さ、SA:前記断面Sの面積。【選択図】図7
Description
本発明は、液体、気体等の流体に含まれる成分を分離するために使用される分離膜エレメントに関する。
海水およびかん水などに含まれるイオン性物質を除くための技術においては、近年、省エネルギーおよび省資源のためのプロセスとして、分離膜エレメントによる分離法の利用が拡大している。分離膜エレメントによる分離法に使用される分離膜は、その孔径や分離機能の点から、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜、正浸透膜に分類される。これらの膜は、例えば海水、かん水および有害物を含んだ水などからの飲料水の製造、工業用超純水の製造、並びに排水処理および有価物の回収などに用いられており、目的とする分離成分及び分離性能によって使い分けられている。
分離膜エレメントとしては様々な形態があるが、分離膜の一方の面に供給水を供給し、他方の面から透過水を得る点では共通している。分離膜エレメントは、束ねられた多数の分離膜を備えることで、1個のスパイラル型分離膜エレメントあたりの膜面積が大きくなるように、つまり1個の分離膜エレメントあたりに得られる透過水の量が大きくなるように形成されている。分離膜エレメントとしては、用途や目的にあわせて、スパイラル型、中空糸型、プレート・アンド・フレーム型、回転平膜型、平膜集積型などの各種の形状が提案されている。
例えば、逆浸透ろ過には、スパイラル型分離膜エレメントが広く用いられる。スパイラル型分離膜エレメントは、中心管と、中心管の周囲に巻き付けられた積層体とを備える。積層体は、供給水(つまり被処理水)を分離膜表面へ供給する供給側流路材、供給水に含まれる成分を分離する分離膜、及び分離膜を透過し供給側流体から分離された透過側流体を中心管へと導くための透過側流路材が積層されることで形成される。スパイラル型分離膜エレメントは、供給水に圧力を付与することができるので、透過水を多く取り出すことができる点で好ましく用いられている。
スパイラル型分離膜エレメントでは、一般的に、供給側流体の流路を形成させるために、供給側流路材として、主に高分子製のネットが使用される。また、分離膜として、積層型の分離膜が用いられる。積層型の分離膜は、供給側から透過側に積層された、ポリアミドなどの架橋高分子からなる分離機能層、ポリスルホンなどの高分子からなる多孔性樹脂層(多孔性支持層)、ポリエチレンテレフタレートなどの高分子からなる不織布の基材を備えている。また、透過側流路材としては、分離膜の落ち込みを防ぎ、かつ透過側の流路を形成させる目的で、供給側流路材よりも流路間隔の細かいトリコットと呼ばれる編み物部材が使用される。近年、造水コストの低減への要求の高まりから、分離膜エレメントの高性能化が求められている。例えば、分離膜エレメントの分離性能の向上、および単位時間あたりの透過流体量の増大のために、分離膜エレメント部材の性能向上が提案されている。
具体的には、特許文献1では、凹凸賦形された透過側流路材が提案されている。特許文献2では、基材を使用せず、供給側表面に凹凸を形成させ、内部に中空通路を有する平膜を使用する方法が提案されている。
具体的には、特許文献1では、凹凸賦形された透過側流路材が提案されている。特許文献2では、基材を使用せず、供給側表面に凹凸を形成させ、内部に中空通路を有する平膜を使用する方法が提案されている。
しかしながら、上記した分離膜エレメントは、透水量や除去率といった性能の向上、特に高圧で長期間にわたり運転を行った際の安定性能の点では、十分とは言えない。
そこで、本発明は、高圧下で分離膜エレメントを運転した時の分離除去性能を安定化させることのできる分離膜エレメントを提供することを目的とする。
そこで、本発明は、高圧下で分離膜エレメントを運転した時の分離除去性能を安定化させることのできる分離膜エレメントを提供することを目的とする。
(1)供給側の面と透過側の面とを有し、透過側の面同士が向かい合うように配置されることで分離膜対を形成する分離膜と、
前記分離膜の供給側の面の間に設けられる供給側流路材と、
前記分離膜の前記透過側の面の間に設けられる透過側流路材と、
透過水を集水できる有孔集水管と、を備え、
前記透過側流路材は、シート状基材と、前記シート上基材に賦形された、複数の突起物と、からなり、
前記集水管の長手方向における、前記突起物の断面Sが、下記式1の関係を満たす、分離膜エレメントが提供される。
前記分離膜の供給側の面の間に設けられる供給側流路材と、
前記分離膜の前記透過側の面の間に設けられる透過側流路材と、
透過水を集水できる有孔集水管と、を備え、
前記透過側流路材は、シート状基材と、前記シート上基材に賦形された、複数の突起物と、からなり、
前記集水管の長手方向における、前記突起物の断面Sが、下記式1の関係を満たす、分離膜エレメントが提供される。
(W1+W2)×H1/2 > SA ・・・ (式1)
ここで、
W1 : 前記断面Sにおける、前記突起物上部幅の長さ
W2 : 前記断面Sにおける、前記突起物底部幅の長さ
H1 : 前記断面Sにおける、前記突起物の高さ
SA : 前記断面Sの面積
(2)さらにW1>W2の関係を満たす、上記(1)記載の分離膜エレメント。
(3)さらに下記式2の関係を満たす、上記(1)又は(2)記載の分離膜エレメント。
ここで、
W1 : 前記断面Sにおける、前記突起物上部幅の長さ
W2 : 前記断面Sにおける、前記突起物底部幅の長さ
H1 : 前記断面Sにおける、前記突起物の高さ
SA : 前記断面Sの面積
(2)さらにW1>W2の関係を満たす、上記(1)記載の分離膜エレメント。
(3)さらに下記式2の関係を満たす、上記(1)又は(2)記載の分離膜エレメント。
0.8×(W1+W2)×H1/2 > SA ・・・ (式2)
(4)前記複数の突起物がストライプ状の突起物であって、その長手方向と、前記集水管の長手方向に対し垂直な方向とが一致するように、前記シート状基材の表面に賦形されている、上記(1)〜(3)のいずれか一項記載の分離膜エレメント。
(4)前記複数の突起物がストライプ状の突起物であって、その長手方向と、前記集水管の長手方向に対し垂直な方向とが一致するように、前記シート状基材の表面に賦形されている、上記(1)〜(3)のいずれか一項記載の分離膜エレメント。
本発明によって、透過側の流路幅が広く、膜落ち込みの少ない安定した透過側流路を形成することができ、分離成分の除去性能と高い透過性能を有する高性能な分離膜エレメントを得ることができる。
・ 分離膜〕
(1−1)概要
分離膜とは、分離膜表面に供給される流体中の成分を分離し、分離膜を透過した透過流体を得ることができる膜である。
(1−1)概要
分離膜とは、分離膜表面に供給される流体中の成分を分離し、分離膜を透過した透過流体を得ることができる膜である。
このような分離膜の一例を図1に示す。図1に示すように、分離膜31は分離機能層11と支持膜12と基材13と供給側の面14と透過側の面15とを備えている。
本発明において、分離膜の「供給側の面」とは、分離膜の2つの面のうち、被処理水が供給される側の表面を意味する。「透過側の面」とは、その逆側の面を意味する。分離膜が、図2に示すように、分離機能層11及び基材13を備える場合は、一般的に、分離機能層側の面が供給側の面であり基材側の面が透過側の面である。
(1−2)分離機能層
分離機能層の厚さは具体的な数値に限定されないが、分離性能と透過性能の点で5nm以上3000nm以下であることが好ましい。特に逆浸透膜、正浸透膜、ナノろ過膜では5nm以上300nm以下であることが好ましい。
(1−2)分離機能層
分離機能層の厚さは具体的な数値に限定されないが、分離性能と透過性能の点で5nm以上3000nm以下であることが好ましい。特に逆浸透膜、正浸透膜、ナノろ過膜では5nm以上300nm以下であることが好ましい。
分離機能層の厚さは、通常の分離膜の膜厚測定法に準ずることができる。例えば、分離膜を樹脂により包埋し、それを切断することで超薄切片を作製し、得られた切片に染色などの処理を行う。その後、透過型電子顕微鏡により観察することで、厚さの測定が可能である。また、分離機能層がひだ構造を有する場合、多孔性支持層より上に位置するひだ構造の断面長さ方向に50nm間隔で測定し、ひだの数を20個測定し、その平均から求めることができる。
分離機能層は、分離機能および支持機能の両方を有する層であってもよいし、分離機能のみを備えていてもよい。なお、「分離機能層」とは、少なくとも分離機能を備える層を指す。
分離機能層が分離機能および支持機能の両方を有する場合、分離機能層としては、セルロース、ポリフッ化ビニリデン、ポリエーテルスルホン、またはポリスルホンを主成分として含有する層が好ましく適用される。
なお、本明細書において、「XがYを主成分として含有する」とは、XにおけるYの含有率が、50質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、又は95質量%以上である場合を意味する。また、Yに該当する複数の成分が存在する場合は、それら複数の成分の合計量が、上述の範囲を満たせばよい。
一方、多孔性支持層で支持される分離機能層としては、孔径制御が容易であり、かつ耐久性に優れるという点で架橋高分子が好ましく使用される。特に、供給水中の成分の分離性能に優れるという点で、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物とを重縮合させてなるポリアミド分離機能層、有機無機ハイブリッド機能層などが好適に用いられる。これらの分離機能層は、多孔性支持層上でモノマーを重縮合することによって形成可能である。
例えば、分離機能層は、ポリアミドを主成分として含有することができる。このような膜は、公知の方法により、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物とを界面重縮合することで形成される。例えば、多孔性支持層に多官能アミン水溶液を塗布し、余分なアミン水溶液をエアーナイフなどで除去し、その後、多官能酸ハロゲン化物を含有する有機溶媒溶液を塗布することで、ポリアミド分離機能層が得られる。
また、分離機能層は、Si元素などを有する有機−無機ハイブリッド構造を有してもよい。有機無機ハイブリッド構造を有する分離機能層は、例えば、以下の化合物(A)、(B)を含有することができる:
(A)エチレン性不飽和基を有する反応性基および加水分解性基がケイ素原子に直接結合したケイ素化合物、ならびに
(B)化合物(A)以外の化合物であってエチレン性不飽和基を有する化合物。
(A)エチレン性不飽和基を有する反応性基および加水分解性基がケイ素原子に直接結合したケイ素化合物、ならびに
(B)化合物(A)以外の化合物であってエチレン性不飽和基を有する化合物。
具体的には、分離機能層は、化合物(A)の加水分解性基の縮合物ならびに化合物(A)および/または(B)のエチレン性不飽和基の重合物を含有してもよい。すなわち、分離機能層は、
・化合物(A)のみが縮合および/または重合することで形成された重合物、
・化合物(B)のみが重合して形成された重合物、並びに
・化合物(A)と化合物(B)との共重合物
のうちの少なくとも1種の重合物を含有することができる。なお、重合物には縮合物が含まれる。また、化合物(A)と化合物(B)との共重合物中で、化合物(A)は加水分解性基を介して縮合していてもよい。
・化合物(A)のみが縮合および/または重合することで形成された重合物、
・化合物(B)のみが重合して形成された重合物、並びに
・化合物(A)と化合物(B)との共重合物
のうちの少なくとも1種の重合物を含有することができる。なお、重合物には縮合物が含まれる。また、化合物(A)と化合物(B)との共重合物中で、化合物(A)は加水分解性基を介して縮合していてもよい。
ハイブリッド構造は、公知の方法で形成可能である。ハイブリッド構造の形成方法の一例は次のとおりである。化合物(A)および化合物(B)を含有する反応液を多孔性支持層に塗布する。余分な反応液を除去した後、加水分解性基を縮合させるためには、加熱処理すればよい。化合物(A)および化合物(B)のエチレン性不飽和基の重合方法としては、熱処理、電磁波照射、電子線照射、プラズマ照射を行えばよい。重合速度を速める目的で分離機能層形成の際に重合開始剤、重合促進剤等を添加することができる。
なお、いずれの分離機能層についても、使用前に、例えばアルコール含有水溶液、アルカリ水溶液によって膜の表面を親水化させてもよい。
(1−3)多孔性支持層
多孔性支持層は、分離機能層を支持する層であり、多孔性樹脂層とも言い換えられる。
多孔性支持層は、分離機能層を支持する層であり、多孔性樹脂層とも言い換えられる。
多孔性支持層に使用される材料やその形状は特に限定されないが、例えば、多孔性樹脂によって基板上に形成されてもよい。多孔性支持層としては、ポリスルホン、酢酸セルロース、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂あるいはそれらを混合、積層したものが使用され、化学的、機械的、熱的に安定性が高く、孔径が制御しやすいポリスルホンを使用することが好ましい。
多孔性支持層は、分離膜に機械的強度を与え、かつイオン等の分子サイズの小さな成分に対して分離機能層のような分離性能を有さない。多孔性支持層の有する孔のサイズおよび孔の分布は特に限定されないが、例えば、多孔性支持層は、均一で微細な孔を有してもよいし、あるいは分離機能層が形成される側の表面からもう一方の面にかけて径が徐々に大きくなるような孔径の分布を有してもよい。また、いずれの場合でも、分離機能層が形成される側の表面で原子間力顕微鏡または電子顕微鏡などを用いて測定された細孔の投影面積円相当径は、1nm以上100nm以下であることが好ましい。特に界面重合反応性および分離機能層の保持性の点で、多孔性支持層において分離機能層が形成される側の表面における孔は、3nm以上50nm以下の投影面積円相当径を有することが好ましい。
多孔性支持層の厚さは特に限定されないが、分離膜に強度を与えるため等の理由から、20μm以上500μm以下の範囲にあることが好ましく、より好ましくは30μm以上300μm以下である。
多孔性支持層の形態は、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡、原子間力顕微鏡により観察できる。例えば走査型電子顕微鏡で観察するのであれば、基材から多孔性支持層を剥がした後、これを凍結割断法で切断して断面観察のサンプルとする。このサンプルに白金または白金−パラジウムまたは四塩化ルテニウム、好ましくは四塩化ルテニウムを薄くコーティングして3kV〜6kVの加速電圧で、高分解能電界放射型走査電子顕微鏡(UHR−FE−SEM)で観察する。高分解能電界放射型走査電子顕微鏡は、日立製S−900型電子顕微鏡などが使用できる。得られた電子顕微鏡写真に基づいて、多孔性支持層の膜厚、表面の投影面積円相当径を測定することができる。
多孔性支持層の厚さおよび孔径は、平均値であり、多孔性支持層の厚さは、断面観察で厚さ方向に直交する方向に20μm間隔で測定し、20点測定の平均値である。また、孔径は、200個の孔について測定された、各投影面積円相当径の平均値である。
次に、多孔性支持層の形成方法について説明する。多孔性支持層は、例えば、上記ポリスルホンのN,N−ジメチルホルムアミド(以降、DMFと記載)溶液を、後述する基材、例えば密に織ったポリエステル布あるいは不織布の上に一定の厚さに注型し、それを水中で湿式凝固させることによって、製造することができる。
多孔性支持層は、”オフィス・オブ・セイリーン・ウォーター・リサーチ・アンド・ディベロップメント・プログレス・レポート”No.359(1968)に記載された方法に従って形成することができる。なお、所望の形態を得るために、ポリマー濃度、溶媒の温度、貧溶媒は調整可能である。
例えば、所定量のポリスルホンをDMFに溶解し、所定濃度のポリスルホン樹脂溶液を調製する。次いで、このポリスルホン樹脂溶液をポリエステル布あるいは不織布からなる基材上に略一定の厚さに塗布した後、一定時間空気中で表面の溶媒を除去した後、凝固液中でポリスルホンを凝固させることによって多孔性支持層得ることができる。
(1−4)基材
分離膜本体の強度、寸法安定性等の観点から、分離膜本体は基材を有することができる。基材としては、強度、凹凸形成能および流体透過性の点で繊維状基材を用いることが好ましい。
分離膜本体の強度、寸法安定性等の観点から、分離膜本体は基材を有することができる。基材としては、強度、凹凸形成能および流体透過性の点で繊維状基材を用いることが好ましい。
基材としては、長繊維不織布及び短繊維不織布のいずれも好ましく用いることができる。特に、長繊維不織布は、優れた製膜性を有するので、高分子重合体の溶液を流延した際に、その溶液が過浸透により裏抜けすること、多孔性支持層が剥離すること、さらには基材の毛羽立ち等により膜が不均一化すること、及びピンホール等の欠点が生じることを抑制できる。また、基材が熱可塑性連続フィラメントより構成される長繊維不織布からなることにより、短繊維不織布と比べて、高分子溶液流延時に繊維の毛羽立ちによって起きる膜の不均一化および膜欠点の発生を抑制することができる。さらに、分離膜は、連続製膜されるときに、製膜方向に対し張力がかけられるので、寸法安定性に優れる長繊維不織布を基材として用いることが好ましい。
長繊維不織布は、成形性、強度の点で、多孔性支持層とは反対側の表層における繊維が、多孔性支持層側の表層の繊維よりも縦配向であることが好ましい。そのような構造によれば、強度を保つことで膜破れ等を防ぐ高い効果が実現される。
より具体的には、長繊維不織布の、多孔性支持層とは反対側の表層における繊維配向度は、0°以上25°以下であることが好ましく、また、多孔性支持層側表層における繊維配向度との配向度差が10°以上90°以下であることが好ましい。
分離膜の製造工程や分離膜エレメントの製造工程においては加熱する工程が含まれるが、加熱により多孔性支持層または分離機能層が収縮する現象が起きる。特に連続製膜において張力が付与されていない幅方向において、収縮は顕著である。収縮することにより、寸法安定性等に問題が生じるため、基材としては熱寸法変化率が小さいものが望まれる。不織布において多孔性支持層とは反対側の表層における繊維配向度と多孔性支持層側表層における繊維配向度との差が10°以上90°以下であると、熱による幅方向の変化を抑制することもでき、好ましい。
ここで、繊維配向度とは、多孔性支持層を構成する不織布基材の繊維の向きを示す指標である。具体的には、繊維配向度とは、連続製膜を行う際の製膜方向、つまり不織布基材の長手方向と、不織布基材を構成する繊維の長手方向との間の角度の平均値である。つまり、繊維の長手方向が製膜方向と平行であれば、繊維配向度は0°である。また、繊維の長手方向が製膜方向に直角であれば、すなわち不織布基材の幅方向に平行であれば、その繊維の配向度は90°である。よって、繊維配向度が0°に近いほど縦配向であり、90°に近いほど横配向であることを示す。
繊維配向度は以下のように測定される。まず、不織布からランダムに小片サンプル10個を採取する。次に、そのサンプルの表面を走査型電子顕微鏡で100〜1000倍で撮影する。撮影像の中で、各サンプルあたり10本の繊維を選び、不織布の長手方向を0°としたときの、繊維の長手方向の角度を測定する。ここで、不織布の長手方向とは、不織布製造時の“Machine direction”を指す。
こうして、1枚の不織布あたり計100本の繊維について、角度の測定が行われる。こうして測定された100本の繊維について、長手方向の角度から平均値を算出する。得られた平均値の小数点以下第一位を四捨五入して得られる値が、繊維配向度である。
基材の厚さは、基材と多孔性支持層との厚さの合計は、30μm以上300μm以下の範囲内、または50μm以上250μm以下の範囲内にあるように、基材の厚さが選択されることが好ましい。
〔2.流路材〕
流路材とは、液体や気体などの流体の流路を形成する部材のことである。例として、上・下水道などに用いられる送水管や、油、薬品、食品の輸送や工場設備などに用いられる産業用ホースなどが挙げられるが、好ましくは分離膜エレメントに用いられる。本書では流路材の用途として水処理エレメントを例に挙げているが、これに限らない。
流路材とは、液体や気体などの流体の流路を形成する部材のことである。例として、上・下水道などに用いられる送水管や、油、薬品、食品の輸送や工場設備などに用いられる産業用ホースなどが挙げられるが、好ましくは分離膜エレメントに用いられる。本書では流路材の用途として水処理エレメントを例に挙げているが、これに限らない。
〔3.分離膜エレメント〕
(3−1)概要
分離膜エレメントの形態としては、スパイラル型、中空糸型、プレート・アンド・フレーム型、回転平膜型、平膜集積型などが挙げられるが、特にスパイラル型エレメントは、エレメントに対する流路材の体積分率が他の形態のエレメントに比べて大きいため、本発明の形態として好ましい。以下では分離膜エレメントの形態としてスパイラル型を例に挙げているが、これに限らない。図3に示すように、分離膜エレメント1は、集水管6と、集水管6の周囲に巻回された分離膜3とを備える。また、分離膜エレメントは、供給側流路材2を備えていてもよい。また、端板等の部材をさらに備える。
(3−1)概要
分離膜エレメントの形態としては、スパイラル型、中空糸型、プレート・アンド・フレーム型、回転平膜型、平膜集積型などが挙げられるが、特にスパイラル型エレメントは、エレメントに対する流路材の体積分率が他の形態のエレメントに比べて大きいため、本発明の形態として好ましい。以下では分離膜エレメントの形態としてスパイラル型を例に挙げているが、これに限らない。図3に示すように、分離膜エレメント1は、集水管6と、集水管6の周囲に巻回された分離膜3とを備える。また、分離膜エレメントは、供給側流路材2を備えていてもよい。また、端板等の部材をさらに備える。
分離膜3は、透過側の面を内側に向けた矩形状の封筒状膜5を形成する。封筒状膜5は、透過水が集水管6に流れるように、その一辺のみにおいて開口し、他の三辺においては封止される。透過水はこの封筒状膜によって供給水から隔離される。
供給側流路材2は、封筒状膜5の間、つまり分離膜の供給側の面の間に配置される。供給側流路材2および複数の封筒状膜5は、重なった状態で、集水管6の周囲に巻き付けられる。
透過側流路材4は、分離膜3の透過側面に対向するように配置され、かつ分離膜3と共に集水管6の周囲に巻き付けられる。透過側流路材4としては、具体的には、トリコット、または樹脂などで形成された複数の突起を有するシートなどを用いることができる。
シートとしては、不織布、織物、フィルム等が挙げられる。
分離膜エレメント1の長手方向における一端から供給された供給水7は、供給側流路材2によって形成された流路を通って、分離膜3に供給される。
分離膜3を透過した水(図中に「透過水8」として示す。)は、透過側流路材4によって形成された流路を通って集水管6に流れこむ。こうして、透過水8は、集水管6の一端から回収される。
一方、分離膜3を透過しなかった水(図中に「濃縮水9」として示す)は、分離膜エレメント1の他端から回収される。
図1に示す分離膜エレメント1は、集水管と、集水管の周囲に巻回された分離膜とを備えるスパイラル型分離膜エレメントの構成の一例であり、本発明はこの形態に限定されるものではない。
(3−2)透過側流路材
(3−2−1)概要
透過側流路材として従来広く用いられているトリコットは編み物であり、立体的に交差した糸で構成されている。その他、図4や図5に示すように、シートと、シートに固着した複数の突起物とを有する流路材やシート状に突起物が賦形された突起物とシートが一体物となっている流路材も透過側流路材として用いることが可能であり、この場合、流路材の高さと同じ厚みを有するトリコットが適用された場合よりも、流路は高くなるため、流動抵抗はより小さくなる。シートとしては、不織布、織物、フィルム等が挙げられる。透過側流路材は隣り合う2枚の膜の透過側の面の間に配置され、封筒状膜の内側、つまり向かい合う分離膜の透過側の面の間には、透過側流路が形成される。
(3−2−2)透過側流路材の構成成分
透過側流路材の構成成分としては具体的な物質には限定されないが、樹脂が好ましく用いられる。溶融成形の容易さから、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンやオレフィン共重合体や、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などのポリマーが選択でき、これらを単独もしくは2種類以上からなる混合物として用いることができる。
(3−2)透過側流路材
(3−2−1)概要
透過側流路材として従来広く用いられているトリコットは編み物であり、立体的に交差した糸で構成されている。その他、図4や図5に示すように、シートと、シートに固着した複数の突起物とを有する流路材やシート状に突起物が賦形された突起物とシートが一体物となっている流路材も透過側流路材として用いることが可能であり、この場合、流路材の高さと同じ厚みを有するトリコットが適用された場合よりも、流路は高くなるため、流動抵抗はより小さくなる。シートとしては、不織布、織物、フィルム等が挙げられる。透過側流路材は隣り合う2枚の膜の透過側の面の間に配置され、封筒状膜の内側、つまり向かい合う分離膜の透過側の面の間には、透過側流路が形成される。
(3−2−2)透過側流路材の構成成分
透過側流路材の構成成分としては具体的な物質には限定されないが、樹脂が好ましく用いられる。溶融成形の容易さから、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンやオレフィン共重合体や、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などのポリマーが選択でき、これらを単独もしくは2種類以上からなる混合物として用いることができる。
(3−2−3)透過側流路材の厚み
図6における透過側流路材の厚みH0は、0.1mm以上1mm以下であることが好ましい。厚みの測定は、電磁式、超音波式、磁力式、光透過式等さまざまな方式のフィルム膜厚測定器が市販されているが、非接触のものであればいずれの方式でもよい。ランダムに10ヶ所で測定を行いその平均値で評価する。透過側流路材の厚みが0.1mm以上であることで透過側流路材としての強度を備え、応力が負荷されても透過側流路材の潰れや破れを引き起こすこと無く取り扱うことができる。また、厚みが1mm以下であることで、集水管への巻囲性を損なうことなく、エレメント内に挿入できる分離膜や流路材数を増加させることができる。
(3−2−4)突起物寸法
<突起物の高さ、溝幅>
図7における突起物の高さH1は、0.05mm以上0.8mm以下であることが好ましい。溝幅Dは0.02mm以上0.8mm以下であることが好ましい。突起物の高さ、溝幅は、市販のマイクロスコープなどで観察することで測定することができる。
図6における透過側流路材の厚みH0は、0.1mm以上1mm以下であることが好ましい。厚みの測定は、電磁式、超音波式、磁力式、光透過式等さまざまな方式のフィルム膜厚測定器が市販されているが、非接触のものであればいずれの方式でもよい。ランダムに10ヶ所で測定を行いその平均値で評価する。透過側流路材の厚みが0.1mm以上であることで透過側流路材としての強度を備え、応力が負荷されても透過側流路材の潰れや破れを引き起こすこと無く取り扱うことができる。また、厚みが1mm以下であることで、集水管への巻囲性を損なうことなく、エレメント内に挿入できる分離膜や流路材数を増加させることができる。
(3−2−4)突起物寸法
<突起物の高さ、溝幅>
図7における突起物の高さH1は、0.05mm以上0.8mm以下であることが好ましい。溝幅Dは0.02mm以上0.8mm以下であることが好ましい。突起物の高さ、溝幅は、市販のマイクロスコープなどで観察することで測定することができる。
突起物および積層された分離膜とで形成される空間が流路となることができる。突起物の高さH1が0.05mm以上、溝幅Dが0.02mm以上であることで流路を確保することができる。また、突起物の高さH1が0.8mm以下であることで集水管への巻囲性を損なうことなく、エレメント内に挿入できる分離膜や流路材数を増加させることができ、溝幅Dが0.8mm以下であることで、圧力が印加されても膜の落ち込みや破れを引き起こすことなくエレメントを安定的に運転することができる。
<突起物底部・上部幅の長さ>
突起物底部幅の長さとは、シート状基材に賦形された突起物の賦形部の長さW2である。図7における突起物底部幅の長さW2は、0.05mm以上0.8mm以下であることが好ましい。突起物上部・底部幅の長さは市販のマイクロスコープなどで観察することで測定することができる。W2が上記範囲にあることで、突起物に応力が付加されても突起物の潰れを引き起こすこと無くエレメントを安定的に運転することができる。
突起物底部幅の長さとは、シート状基材に賦形された突起物の賦形部の長さW2である。図7における突起物底部幅の長さW2は、0.05mm以上0.8mm以下であることが好ましい。突起物上部・底部幅の長さは市販のマイクロスコープなどで観察することで測定することができる。W2が上記範囲にあることで、突起物に応力が付加されても突起物の潰れを引き起こすこと無くエレメントを安定的に運転することができる。
突起物上部幅の長さとは、集水管長手方向に一致する断面において、シート状基材に賦形された突起物のW2に対向する辺の長さW1である。図7における突起物上部幅の長さW1は、好ましくは0.1mm以上であり、より好ましくは0.3mm以上である。W1が0.1mm以上であることで、分離膜エレメントの運転時に透過側流路材に圧力がかかっても、膜落ち込みを抑制することができ、エレメントを安定的に運転できる。W1は、好ましくは1mm以下であり、より好ましくは0.7mm以下である。幅が1mm以下であることで、分離膜の透過側の面側の流路を十分確保することできる。
突起物上部幅の長さW1は、次のように測定される。突起物の横断面において、ランダムに選んだ一つの突起物の上部距離を測定する。このような操作を少なくとも30回繰り返し、その平均値を算出することで、突起物底部幅W1を算出することができる。
突起物底部幅の長さW2は、次のように測定される。突起物の横断面において、ランダムに選んだ一つの突起物の根元の幅を測定する。このような操作を少なくとも30回繰り返し、その平均値を算出することで、突起物底部幅の長さW2を算出することができる。
突起物上部幅の長さW1は、次のように測定される。突起物の横断面において、ランダムに選んだ一つの突起物の上部距離を測定する。このような操作を少なくとも30回繰り返し、その平均値を算出することで、突起物底部幅W1を算出することができる。
突起物底部幅の長さW2は、次のように測定される。突起物の横断面において、ランダムに選んだ一つの突起物の根元の幅を測定する。このような操作を少なくとも30回繰り返し、その平均値を算出することで、突起物底部幅の長さW2を算出することができる。
<突起物断面積>
突起物の断面Aの断面積SAが、下記式1の関係を満たすとは、W1、W2、H1によって形作られる台形の面積よりも突起物の断面積が小さくなるということを意味している。
(W1+W2)×H1/2 > SA ・・・ (式1)
式1の関係を満たすことで、膜落ち込みを抑制しつつ、広い流路を確保することができる。
1.0MPa以上の高圧運転時や発停試験時、突起物の間隔が広い場合、W1とW2の関係はW1>W2であることが好ましい。W1とW2が上記関係を満たすことで、膜落ち込みをより抑制しつつ、より広い流路を確保することができる。1.0MPa未満の低圧運転時や突起物の間隔が狭い場合は、W1<W2であっても構わない。図7における突起物断面積SAは、上部・底部幅の長さW1、W2、突起物の高さH1によって規定される台形の面積(W1+W2)×H1/2の8割以下であることが好ましい。上記関係を満たすことで、圧力が印加されても膜落ち込みを抑制しつつさらに広い流路を確保することができる。突起物断面積は市販のマイクロスコープなどで観察することで測定することができる。
突起物の断面Aの断面積SAが、下記式1の関係を満たすとは、W1、W2、H1によって形作られる台形の面積よりも突起物の断面積が小さくなるということを意味している。
(W1+W2)×H1/2 > SA ・・・ (式1)
式1の関係を満たすことで、膜落ち込みを抑制しつつ、広い流路を確保することができる。
1.0MPa以上の高圧運転時や発停試験時、突起物の間隔が広い場合、W1とW2の関係はW1>W2であることが好ましい。W1とW2が上記関係を満たすことで、膜落ち込みをより抑制しつつ、より広い流路を確保することができる。1.0MPa未満の低圧運転時や突起物の間隔が狭い場合は、W1<W2であっても構わない。図7における突起物断面積SAは、上部・底部幅の長さW1、W2、突起物の高さH1によって規定される台形の面積(W1+W2)×H1/2の8割以下であることが好ましい。上記関係を満たすことで、圧力が印加されても膜落ち込みを抑制しつつさらに広い流路を確保することができる。突起物断面積は市販のマイクロスコープなどで観察することで測定することができる。
(3−2−5)透過側流路材の形状
図8は、突起物の横断面図(集水管に対して同一方向)である。この横断面は突起物の長手方向に垂直であって、長手方向において突起物の中心を通る。突起物の形状について以下に例示するが、これに限らない。図8(a)のように側面の両側が凹面であっても良く、側面の一部が凹面であっても良い。側面に凹部があるとは、(式1)の関係を満たすことと同義である。また、凹部の大きさは特に限定されない。これによって図9(a)のように直柱状であるものや、(b)のように台形状である場合と比較して、流動抵抗を低減することができるという利点がある。突起物に賦形された凹部の形状は特に限定されず、例えば、図8(b)に示すように直角であってもよく、(c)に示すように曲線状であったり、波線状であってもよい。また、(b)のような形状の場合、T字の横軸は中心から外側に向かって一部が細くなっていてもよいし、一部が太くなっていてもよい。図8(a)〜(c)のようなT字形状の場合、(式1)を満たす限り、T字の縦軸は底部から上部に向かって一部が細くなっていてもよいし、一部が太くなっていても良い。または図8(d)(e)(f)に示すように凹部が台形、半円、長方形、三角形などであってもよい。
図8は、突起物の横断面図(集水管に対して同一方向)である。この横断面は突起物の長手方向に垂直であって、長手方向において突起物の中心を通る。突起物の形状について以下に例示するが、これに限らない。図8(a)のように側面の両側が凹面であっても良く、側面の一部が凹面であっても良い。側面に凹部があるとは、(式1)の関係を満たすことと同義である。また、凹部の大きさは特に限定されない。これによって図9(a)のように直柱状であるものや、(b)のように台形状である場合と比較して、流動抵抗を低減することができるという利点がある。突起物に賦形された凹部の形状は特に限定されず、例えば、図8(b)に示すように直角であってもよく、(c)に示すように曲線状であったり、波線状であってもよい。また、(b)のような形状の場合、T字の横軸は中心から外側に向かって一部が細くなっていてもよいし、一部が太くなっていてもよい。図8(a)〜(c)のようなT字形状の場合、(式1)を満たす限り、T字の縦軸は底部から上部に向かって一部が細くなっていてもよいし、一部が太くなっていても良い。または図8(d)(e)(f)に示すように凹部が台形、半円、長方形、三角形などであってもよい。
(3−2−6)透過側流路材の好ましい形態
図8(a)〜(c)のようなT字型の形態の場合、T字の横軸の厚みH2と突起物の高さH1との比H2/H1は、好ましくは0.1〜0.5であり、より好ましくは0.2〜0.4である。T字の横軸の厚みとは、T字の横軸の幅の最大値を指す突起物の高さH1とT字の横軸の厚みH2との比が上記範囲にあることで、十分な流路を確保することができる。W1とW2の比W1/W2は、好ましくは1.3〜2.3であり、より好ましくは1.6〜2.0である。W1とW2の比が上記範囲にあることで、圧力が印加されても膜落ち込みを抑制しつつ十分な流路を確保することができる。
図8(a)〜(c)のようなT字型の形態の場合、T字の横軸の厚みH2と突起物の高さH1との比H2/H1は、好ましくは0.1〜0.5であり、より好ましくは0.2〜0.4である。T字の横軸の厚みとは、T字の横軸の幅の最大値を指す突起物の高さH1とT字の横軸の厚みH2との比が上記範囲にあることで、十分な流路を確保することができる。W1とW2の比W1/W2は、好ましくは1.3〜2.3であり、より好ましくは1.6〜2.0である。W1とW2の比が上記範囲にあることで、圧力が印加されても膜落ち込みを抑制しつつ十分な流路を確保することができる。
図8(d)〜(h)のような形態の場合、W1とW2の関係はW1>W2でも、W1≦W2であってもよい。W1>W2である場合、W1とW2の比W1/W2は、好ましくは1.3〜2.3であり、より好ましくは1.6〜2.0である。W1/W2が上記範囲にあることで、圧力が印加されても膜落ち込みを抑制しつつ十分な流路を確保することができる。W1≦W2である場合、W1/W2は、好ましくは0.6〜1.0、より好ましくは0.8〜1.0である。W1とW2の比が上記範囲にあることで、図9(b)のように台形状である場合と比較して、より広い流路を確保することができる。
(3−2−7)透過側流路材の効果
高圧付加時、分離膜はシートに固着された突起物と突起物の間に落ち込み、透過側流路体積が減少するため、分離膜エレメントの造水量が減少する。また、膜が落ち込む際に膜に引っ張り応力が働いて膜にひび割れが生じ、脱塩率が低下する。従来の図9(c)のような形状である場合と比べて、例えば、図8(a)のような形状である場合、突起物と膜が接触する面積が増大するため、加圧ろ過時の膜落ち込みを抑制することができ、さらに、図9(a)や(b)のような断面形状である場合と比べて、透過水流路が広く、流動抵抗を低減することができるため、造水量が増大するという効果がある。
高圧付加時、分離膜はシートに固着された突起物と突起物の間に落ち込み、透過側流路体積が減少するため、分離膜エレメントの造水量が減少する。また、膜が落ち込む際に膜に引っ張り応力が働いて膜にひび割れが生じ、脱塩率が低下する。従来の図9(c)のような形状である場合と比べて、例えば、図8(a)のような形状である場合、突起物と膜が接触する面積が増大するため、加圧ろ過時の膜落ち込みを抑制することができ、さらに、図9(a)や(b)のような断面形状である場合と比べて、透過水流路が広く、流動抵抗を低減することができるため、造水量が増大するという効果がある。
(3−2−8)透過側流路材の形状によるエレメント性能のバラツキ
透過側流路材の形状が図9(c)のような形状である場合、透過側流路材の突起物の造形精度が低いとピッチにバラツキが生じるため、一部ピッチ間隔が大きくなり、膜落ち込みが大きくなる。一方、透過側流路材の形状が図8(a)のような台形の面積よりも小さい形状である場合、透過側流路材の造形精度が低く、ピッチにバラツキが生じた場合でも、膜に接している透過側流路材の割合が多く、膜落ち込みを抑制することが可能である。そのため、本出願の造形であれば、造水量及び脱塩率のバラツキを抑えることができる。エレメント性能のバラツキはエレメントの造水量を少なくとも30回評価し、その標準偏差を求めることで算出することができる。この標準偏差を便宜上、品質標準偏差と定義する。品質標準偏差が小さいほどバラツキが小さく、品質が高いことを意味する。
(3−3)複合透過側流路材
従来の分離膜積層体は、分離膜の間に透過側流路材を備える(図10)。複合透過側流路材とは、透過側流路材の片面には透過側流路、逆の片面には支持膜及び分離機能層を備える(図11参照)。この分離機能層と透過側流路材の間には、支持膜が無くても良い。支持膜を備える分離膜は例えばポリアミド膜などが、支持膜を備えない分離膜は、例えば酢酸セルロース膜などがある。透過側流路材と分離機能層が一体となっていることで、基材が不要となるため、基材の厚み分の膜をエレメントに充填することが可能となり、エレメントの充填膜面積を増やすことができる。複合透過側流路材を積層体とする場合は、図11(a)のように、複合透過側流路材を用いたリーフと、分離膜と透過側流路材を用いたリーフが二つ一組で構成されていても良いし、図11(b)のように、複合透過側流路材の半分側に突起物が賦形されていても良い。
透過側流路材の形状が図9(c)のような形状である場合、透過側流路材の突起物の造形精度が低いとピッチにバラツキが生じるため、一部ピッチ間隔が大きくなり、膜落ち込みが大きくなる。一方、透過側流路材の形状が図8(a)のような台形の面積よりも小さい形状である場合、透過側流路材の造形精度が低く、ピッチにバラツキが生じた場合でも、膜に接している透過側流路材の割合が多く、膜落ち込みを抑制することが可能である。そのため、本出願の造形であれば、造水量及び脱塩率のバラツキを抑えることができる。エレメント性能のバラツキはエレメントの造水量を少なくとも30回評価し、その標準偏差を求めることで算出することができる。この標準偏差を便宜上、品質標準偏差と定義する。品質標準偏差が小さいほどバラツキが小さく、品質が高いことを意味する。
(3−3)複合透過側流路材
従来の分離膜積層体は、分離膜の間に透過側流路材を備える(図10)。複合透過側流路材とは、透過側流路材の片面には透過側流路、逆の片面には支持膜及び分離機能層を備える(図11参照)。この分離機能層と透過側流路材の間には、支持膜が無くても良い。支持膜を備える分離膜は例えばポリアミド膜などが、支持膜を備えない分離膜は、例えば酢酸セルロース膜などがある。透過側流路材と分離機能層が一体となっていることで、基材が不要となるため、基材の厚み分の膜をエレメントに充填することが可能となり、エレメントの充填膜面積を増やすことができる。複合透過側流路材を積層体とする場合は、図11(a)のように、複合透過側流路材を用いたリーフと、分離膜と透過側流路材を用いたリーフが二つ一組で構成されていても良いし、図11(b)のように、複合透過側流路材の半分側に突起物が賦形されていても良い。
(3−4)供給側流路材
分離膜エレメント1は、向かい合う分離膜の供給側の面の間に、分離膜3に対する投影面積比が0を超えて1未満となる供給側流路材(図3番号2参照)を備える。供給側流路材の投影面積比は0.03以上0.50以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.10以上0.40以下、特に好ましくは、0.15以上0.35以下である。投影面積比が0.03以上0.50以下であることで、流動抵抗が比較的小さく抑えられる。なお、投影面積比とは、分離膜と供給側流路材を5cm×5cmで切り出し、供給側流路材を分離膜の面方向に平行な平面に投影した時に得られる流路材の投影面積を、切り出し面積(25cm2)で割った値である。
分離膜エレメント1は、向かい合う分離膜の供給側の面の間に、分離膜3に対する投影面積比が0を超えて1未満となる供給側流路材(図3番号2参照)を備える。供給側流路材の投影面積比は0.03以上0.50以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.10以上0.40以下、特に好ましくは、0.15以上0.35以下である。投影面積比が0.03以上0.50以下であることで、流動抵抗が比較的小さく抑えられる。なお、投影面積比とは、分離膜と供給側流路材を5cm×5cmで切り出し、供給側流路材を分離膜の面方向に平行な平面に投影した時に得られる流路材の投影面積を、切り出し面積(25cm2)で割った値である。
供給側流路材の高さは、後述するように各性能のバランスや運転コストを考慮すると0.5mmを超えて2.0mm以下が好ましく、0.6mm以上1.0mm以下がさらに好ましい。
供給側流路材の形状は特に限定されず、連続形状を有していてもよいし、不連続な形状を有していてもよい。連続形状を有する流路材としては、フィルムおよびネットといった部材が挙げられる。ここで、連続形状とは、実質的に流路材の全範囲において連続であることを意味する。連続形状には、造水量が低下するなどの不具合が生じない程度に、流路材の一部が不連続となる箇所が含まれていても良い。なお、供給側流路材の材料は特に限定されず、分離膜と同素材であっても異素材であっても良い。
(3−5)集水管
集水管6(図3参照)は、その中を透過水が流れるように構成されていればよく、材質、形状、大きさ等は特に限定されない。集水管6としては、例えば、複数の孔が設けられた側面を有する円筒状の部材が用いられる。
集水管6(図3参照)は、その中を透過水が流れるように構成されていればよく、材質、形状、大きさ等は特に限定されない。集水管6としては、例えば、複数の孔が設けられた側面を有する円筒状の部材が用いられる。
以下に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
(発停試験)
作製した分離膜エレメントについて、濃度200mg/L、温度25℃、pH6.5に調整したNaCl水溶液を、操作圧力1.0MPaで1分間×100回通水した。その後、10分間のサンプリングを行い、膜の単位面積あたり、かつ1日あたりの透水量を造水量(m3/m2/日)として表した。
作製した分離膜エレメントについて、濃度200mg/L、温度25℃、pH6.5に調整したNaCl水溶液を、操作圧力1.0MPaで1分間×100回通水した。その後、10分間のサンプリングを行い、膜の単位面積あたり、かつ1日あたりの透水量を造水量(m3/m2/日)として表した。
(脱塩率)
発停試験で用いた供給水およびサンプリングした透過水について、塩濃度を伝導率測定により求め、下記式から脱塩率を算出した。
脱塩率(%)=100×{1−(透過水中の塩濃度/供給水中の塩濃度)}。
(エレメント性能のバラツキ)
発停試験を実施する分離膜エレメント30本について、造水量を測定し、下記式から品質標準偏差を算出した。
発停試験で用いた供給水およびサンプリングした透過水について、塩濃度を伝導率測定により求め、下記式から脱塩率を算出した。
脱塩率(%)=100×{1−(透過水中の塩濃度/供給水中の塩濃度)}。
(エレメント性能のバラツキ)
発停試験を実施する分離膜エレメント30本について、造水量を測定し、下記式から品質標準偏差を算出した。
(不織布上に突起物を有する透過側流路材の作製)
スリット幅0.5mm、ピッチ0.9mmの櫛形シムを装填したアプリケーターを用いて、バックアップロールを20℃に温度調節しながら、分離膜エレメントとした場合に集水管の長手方向に対して垂直になるよう、高結晶性PP(MFR1000g/10分、融点161℃)60質量%と低結晶性α−オレフィン系ポリマー;低立体規則性ポリプロピレン40質量%からなる組成物ペレットを樹脂温度195℃、走行速度10m/minで不織布上に直線状に塗布した。不織布は厚み0.07mm、目付量が30g/m2、エンボス柄(φ1mmの円形、ピッチ5mmの格子状)であった。突起物のピッチは0.78 mmであった。
(透過側流路材の厚みおよび突起物の高さ)
透過側流路材の厚みと突起物の高さはキーエンス社製高精度形状測定システムKS−1100で測定した。具体的には、キーエンス社製高精度形状測定システムKS−1100を用い、透過側流路材5cm×5cmの測定結果から平均の高低差を解析した。10μm以上の高低差のある30箇所を測定し、各高さの値を総和した値を測定総箇所(30箇所)の数で割って求めた値を突起物の高さとした。
(透過側流路材の突起物上部・底部幅の長さ、溝幅)
キーエンス社製高精度形状測定システムKS−1100を用い、上記の透過側流路材の厚みおよび突起物の高さと同様の手法で測定した。
(透過側流路材の突起物のピッチ)
キーエンス社製高精度形状測定システムKS−1100を用い、分離膜の透過側における突起物の中心から、隣の突起物の中心までの水平距離を200箇所について測定し、その平均値をピッチとして算出した。
(透過側流路材の突起物の横断面積)
透過側流路材を分離膜エレメントに装填した際、集水管長手方向と平行な方向に沿って透過側流路材の突起物を通るように切断した。その切断面について、キーエンス社製高精度形状測定システムKS−1100を用いて、突起物の断面積を測定した。同様の操作を任意の30か所の測定値の平均値を断面積とした。
(実施例1)
ポリエチレンテレフタレート繊維からなる不織布(糸径:1デシテックス、厚み:約90μm、通気度:1cc/cm2/sec)上にポリスルホンの15.0重量%のDMF溶液を180μmの厚みで室温(25℃)にてキャストし、ただちに純水中に浸漬して5分間放置することによって繊維補強ポリスルホン支持膜からなる多孔性支持層(厚さ130μm)ロールを作製した。
スリット幅0.5mm、ピッチ0.9mmの櫛形シムを装填したアプリケーターを用いて、バックアップロールを20℃に温度調節しながら、分離膜エレメントとした場合に集水管の長手方向に対して垂直になるよう、高結晶性PP(MFR1000g/10分、融点161℃)60質量%と低結晶性α−オレフィン系ポリマー;低立体規則性ポリプロピレン40質量%からなる組成物ペレットを樹脂温度195℃、走行速度10m/minで不織布上に直線状に塗布した。不織布は厚み0.07mm、目付量が30g/m2、エンボス柄(φ1mmの円形、ピッチ5mmの格子状)であった。突起物のピッチは0.78 mmであった。
(透過側流路材の厚みおよび突起物の高さ)
透過側流路材の厚みと突起物の高さはキーエンス社製高精度形状測定システムKS−1100で測定した。具体的には、キーエンス社製高精度形状測定システムKS−1100を用い、透過側流路材5cm×5cmの測定結果から平均の高低差を解析した。10μm以上の高低差のある30箇所を測定し、各高さの値を総和した値を測定総箇所(30箇所)の数で割って求めた値を突起物の高さとした。
(透過側流路材の突起物上部・底部幅の長さ、溝幅)
キーエンス社製高精度形状測定システムKS−1100を用い、上記の透過側流路材の厚みおよび突起物の高さと同様の手法で測定した。
(透過側流路材の突起物のピッチ)
キーエンス社製高精度形状測定システムKS−1100を用い、分離膜の透過側における突起物の中心から、隣の突起物の中心までの水平距離を200箇所について測定し、その平均値をピッチとして算出した。
(透過側流路材の突起物の横断面積)
透過側流路材を分離膜エレメントに装填した際、集水管長手方向と平行な方向に沿って透過側流路材の突起物を通るように切断した。その切断面について、キーエンス社製高精度形状測定システムKS−1100を用いて、突起物の断面積を測定した。同様の操作を任意の30か所の測定値の平均値を断面積とした。
(実施例1)
ポリエチレンテレフタレート繊維からなる不織布(糸径:1デシテックス、厚み:約90μm、通気度:1cc/cm2/sec)上にポリスルホンの15.0重量%のDMF溶液を180μmの厚みで室温(25℃)にてキャストし、ただちに純水中に浸漬して5分間放置することによって繊維補強ポリスルホン支持膜からなる多孔性支持層(厚さ130μm)ロールを作製した。
その後、多孔性支持膜のポリスルホンからなる層の表面をm−PDAの2.2重量%水溶液中に2分間浸漬してから、垂直方向にゆっくりと引き上げた。さらに、エアーノズルから窒素を吹き付けることで、支持膜表面から余分な水溶液を取り除いた。
その後、トリメシン酸クロリド0.08質量%を含むn−デカン溶液を、膜の表面が完全に濡れるように塗布してから、1分間静置した。その後、膜から余分な溶液をエアブローで除去し、80℃の熱水で1分間洗浄して、複合分離膜ロールを得た。
分離膜を、分離膜エレメントでの有効面積が0.5m2となるように折り畳み断裁加工
し、ネット(厚み:0.50mm、ピッチ:2.5mm×2.5mm、繊維径:0.25
mm)を供給側流路材として1枚のリーフを作製した。
し、ネット(厚み:0.50mm、ピッチ:2.5mm×2.5mm、繊維径:0.25
mm)を供給側流路材として1枚のリーフを作製した。
200℃に熱したロールを用いて、ニップロール圧0.1MPaにて、表1に示した条件で透過側流路材に熱加工を施した。
また、得られたリーフの透過側面に透過側流路材として表1に示す透過側流路材を積層し、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)製集水管(幅:300mm、径:30mm、孔数15個×直線状1列)にスパイラル状に巻き付け、外周にさらにフィルムを巻き付けた後にテープで固定した。なお、リーフ間の封止はノズルの移動速度を調節しながらエポキシ接着剤を吐出および硬化させることで実施した。
その後、エッジカット、端板の取り付けおよびフィラメントワインディングを行うことで、幅260mmかつ膜長2300mmの2インチエレメントを作製した。なお、端板は両方とも孔付き端板であった。上述した条件で分離膜エレメントを30本作製した。
分離膜エレメントを圧力容器に入れて、上述した条件で分離膜エレメント30本に関して運転したところ、エレメント性能の平均値は表1の通りであった。
(実施例2〜14)
ニップロールのクリアランスを表1〜2に示す条件に変更したこと以外は実施例1と同様に分離膜エレメントを30本作製した。
その後、エッジカット、端板の取り付けおよびフィラメントワインディングを行うことで、幅260mmかつ膜長2300mmの2インチエレメントを作製した。なお、端板は両方とも孔付き端板であった。上述した条件で分離膜エレメントを30本作製した。
分離膜エレメントを圧力容器に入れて、上述した条件で分離膜エレメント30本に関して運転したところ、エレメント性能の平均値は表1の通りであった。
(実施例2〜14)
ニップロールのクリアランスを表1〜2に示す条件に変更したこと以外は実施例1と同様に分離膜エレメントを30本作製した。
分離膜エレメントを圧力容器に入れて、上述した条件で分離膜エレメント30本に関して運転したところ、エレメント性能は表1〜2の通りであった。
(実施例15〜17)
200℃に熱したロールを用いて、ニップロール圧0.1MPaにて、表3に示した条件で集水管の長手方向に対して不織布の半分に突起物が賦形された透過側流路材に熱加工を施した。熱加工を施した透過側流路材の裏側にポリスルホンの15.0重量%のDMF溶液を180μmの厚みで室温(25℃)にてキャストし、ただちに純水中に浸漬して5分間放置することによって繊維補強ポリスルホン支持膜からなる多孔性支持層(厚さ130μm)ロールを作製した。
(実施例15〜17)
200℃に熱したロールを用いて、ニップロール圧0.1MPaにて、表3に示した条件で集水管の長手方向に対して不織布の半分に突起物が賦形された透過側流路材に熱加工を施した。熱加工を施した透過側流路材の裏側にポリスルホンの15.0重量%のDMF溶液を180μmの厚みで室温(25℃)にてキャストし、ただちに純水中に浸漬して5分間放置することによって繊維補強ポリスルホン支持膜からなる多孔性支持層(厚さ130μm)ロールを作製した。
その後、多孔性支持膜のポリスルホンからなる層の表面をm−PDAの2.2重量%水溶液中に2分間浸漬してから、垂直方向にゆっくりと引き上げた。さらに、エアーノズルから窒素を吹き付けることで、支持膜表面から余分な水溶液を取り除いた。
その後、トリメシン酸クロリド0.08質量%を含むn−デカン溶液を、膜の表面が完全に濡れるように塗布してから、1分間静置した。その後、膜から余分な溶液をエアブローで除去し、80℃の熱水で1分間洗浄して、複合透過側流路材ロールを得た。
複合透過側流路材を、分離膜エレメントでの有効面積が0.6m2となるように折り畳み断裁加工し、ネット(厚み:0.50mm、ピッチ:2.5mm×2.5mm、繊維径:0.25mm)を供給側流路材として1枚のリーフを作製した。
ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)製集水管(幅:300mm、径:30mm、孔数15個×直線状1列)にスパイラル状に巻き付け、外周にさらにフィルムを巻き付けた後にテープで固定した。なお、リーフ間の封止はノズルの移動速度を調節しながらエポキシ接着剤を吐出および硬化させることで実施した。
その後、エッジカット、端板の取り付けおよびフィラメントワインディングを行うことで、幅260mmかつ膜長2300mmの2インチエレメントを作製した。なお、端板は両方とも孔付き端板であった。上述した条件で分離膜エレメントを30本作製した。
分離膜エレメントを圧力容器に入れて、上述した条件で分離膜エレメント30本に関して運転したところ、エレメント性能の平均値は表3の通りであった。
ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)製集水管(幅:300mm、径:30mm、孔数15個×直線状1列)にスパイラル状に巻き付け、外周にさらにフィルムを巻き付けた後にテープで固定した。なお、リーフ間の封止はノズルの移動速度を調節しながらエポキシ接着剤を吐出および硬化させることで実施した。
その後、エッジカット、端板の取り付けおよびフィラメントワインディングを行うことで、幅260mmかつ膜長2300mmの2インチエレメントを作製した。なお、端板は両方とも孔付き端板であった。上述した条件で分離膜エレメントを30本作製した。
分離膜エレメントを圧力容器に入れて、上述した条件で分離膜エレメント30本に関して運転したところ、エレメント性能の平均値は表3の通りであった。
(比較例1〜7)
突起物を表4の通りの形状とし、実施例1と同様の方法で分離膜エレメント30本に関して評価したところ、エレメント性能は表4の通りであった。
突起物を表4の通りの形状とし、実施例1と同様の方法で分離膜エレメント30本に関して評価したところ、エレメント性能は表4の通りであった。
本発明の複合半透膜は、特に、海水やかん水の脱塩に好適に用いることができる。
1 分離膜エレメント
2 供給側流路材
3 複合半透膜
31、32 分離膜
4、41、42 透過側流路材
40 透過側流路材に用いるシート
401、402 透過側流路材に賦形されたシート
5 封筒状膜
6 集水管
7 供給水
8 濃縮水
9 透過水
11 分離機能層
12 支持膜
13 基材
14 供給側の面
15 透過側の面
2 供給側流路材
3 複合半透膜
31、32 分離膜
4、41、42 透過側流路材
40 透過側流路材に用いるシート
401、402 透過側流路材に賦形されたシート
5 封筒状膜
6 集水管
7 供給水
8 濃縮水
9 透過水
11 分離機能層
12 支持膜
13 基材
14 供給側の面
15 透過側の面
Claims (5)
- 供給側の面と透過側の面とを有し、透過側の面同士が向かい合うように配置されることで分離膜対を形成する分離膜と、
前記分離膜の供給側の面の間に設けられる供給側流路材と、
前記分離膜の前記透過側の面の間に設けられる透過側流路材と、
透過水を集水できる有孔集水管と、を備え、
前記透過側流路材は、シート状基材と、前記シート状基材に賦形された、複数の突起物と、からなり、
前記集水管の長手方向における、前記突起物の断面Sが、下記式1の関係を満たす、分離膜エレメント。
(W1+W2)×H1/2 > SA ・・・ (式1)
ここで、
W1 : 前記断面Sにおける、前記突起物上部幅の長さ
W2 : 前記断面Sにおける、前記突起物底部幅の長さ
H1 : 前記断面Sにおける、前記突起物の高さ
SA : 前記断面Sの面積 - さらにW1>W2の関係を満たす、請求項1記載の分離膜エレメント。
- さらに下記式2の関係を満たす、請求項1又は2記載の分離膜エレメント。
0.8×(W1+W2)×H1/2 > SA ・・・ (式2) - 前記複数の突起物がストライプ状の突起物であって、その長手方向と、前記集水管の長手方向に対し垂直な方向とが一致するように、前記シート状基材の表面に賦形されている、請求項1〜3のいずれか一項記載の分離膜エレメント。
- 複数の突起物が賦形された前記シート状基材の裏側に分離機能層を備える、請求項1〜4いずれか一項記載の分離膜エレメント。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019138577 | 2019-07-29 | ||
JP2019138577 | 2019-07-29 |
Publications (1)
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JP2021020204A true JP2021020204A (ja) | 2021-02-18 |
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ID=74574605
Family Applications (1)
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JP2019197076A Pending JP2021020204A (ja) | 2019-07-29 | 2019-10-30 | 分離膜エレメント |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2021020204A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023008251A1 (ja) * | 2021-07-26 | 2023-02-02 | 東レ株式会社 | 分離膜エレメントおよび分離膜システム |
-
2019
- 2019-10-30 JP JP2019197076A patent/JP2021020204A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2023008251A1 (ja) * | 2021-07-26 | 2023-02-02 | 東レ株式会社 | 分離膜エレメントおよび分離膜システム |
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