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JP2014205800A - 付加硬化型自己接着性シリコーンゴム組成物及び成形品 - Google Patents

付加硬化型自己接着性シリコーンゴム組成物及び成形品 Download PDF

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JP2014205800A
JP2014205800A JP2013084858A JP2013084858A JP2014205800A JP 2014205800 A JP2014205800 A JP 2014205800A JP 2013084858 A JP2013084858 A JP 2013084858A JP 2013084858 A JP2013084858 A JP 2013084858A JP 2014205800 A JP2014205800 A JP 2014205800A
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重揮 首藤
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Abstract

【解決手段】(A)一分子中に少なくとも2個の珪素原子と結合するアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン、(B)SiH基を2個以上含有し、分子中にフェニレン骨格を含有しないオルガノハイドロジェンポリシロキサン、(C)表面が疎水化処理された補強性シリカ微粉末、(但し、該補強性シリカ微粉末は、表面未処理の補強性シリカ微粉末100質量部に対し12質量部以下の表面処理剤で疎水化処理されたもの)(D)一分子中に少なくとも1個のSiH基を有し、かつフェニレン骨格を少なくとも1個有する、珪素原子数1〜100の有機珪素化合物、(E)付加反応触媒を含有する透明硬化物を与える付加硬化型自己接着性シリコーンゴム組成物。【効果】本発明の透明硬化物を与える付加硬化型自己接着性シリコーンゴム組成物は、透明シリコーンゴムと熱可塑性樹脂の一体成型体を得る場合において、樹脂との接着が可能で、かつ短時間で成型が可能である。【選択図】なし

Description

本発明は、自己接着性を有する透明硬化物を与える付加硬化型シリコーンゴム組成物、詳しくは、透明性に優れると共に、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、ポリカーボネート等の有機樹脂などに優れた接着性を示す透明硬化物を形成する付加硬化型自己接着性シリコーンゴム組成物及び該組成物を加熱硬化してなる透明シリコーンゴム成形品に関する。
シリコーンゴムは、耐熱性、耐寒性、安全性、電気絶縁性、耐候性等の良さから、コネクターシールやスパークプラグブーツ等の自動車部品、複写機用のロールや電子レンジのパッキン等の電気・電子用部品、シーラント等の建築用部品、その他哺乳瓶用乳首、ダイビング用品やマスク用品などあらゆる分野に広く使用されている。これら各種の用途の中には、有機樹脂などと組み合わせた部品として使用される事例も少なくない。従来、付加硬化型シリコーンゴムと有機樹脂とが一体化した硬化物を得る方法は数多く提案されている。成形樹脂表面にプライマーを塗布し、その上から未硬化のシリコーンゴム組成物を塗布・硬化させて接着させる方法、接着剤を界面に塗布して一体化させる方法、2色成形で両者の嵌合等により一体化させる方法、自己接着性シリコーンゴム材料を成形樹脂の上から硬化させる方法などが代表的である。しかしながら、接着剤やプライマーを使用する方法は、工程が増えてしまうだけでなく、塗布方法によっては非接着面を汚してしまうなどの問題点もあった。また、2色成形による方法では、一体化品の形状が制約されたり、界面の密着性は不十分などの問題があった。そこで、シリコーンゴム組成物に接着剤を添加した自己接着型シリコーンゴム組成物を用いた場合、前記塗布工程が不要となるため作業時間の短縮ができ、コスト削減ができるし、作業性も向上するため、樹脂との一体成形体を製造する上で有効な手段となっている。
付加硬化型シリコーンゴム組成物のプライマーレス成形において、有機樹脂と接着させる方法は数多く報告されている。例えば樹脂上に自己接着性シリコーンゴム組成物を硬化させる方法があり、この自己接着性シリコーンゴム組成物については接着成分を特定した技術が多く提案されている。また、有機樹脂に珪素原子に直結した水素原子を30モル%以上含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンを添加し、付加反応硬化型のシリコーンゴムと接着させる方法(特許文献1:特公平2−34311号公報)、有機樹脂へのシリコーンゴムの物理的な嵌合方法により一体化させる方法(特許文献2:特公昭63−4529号公報)、脂肪族不飽和基と珪素原子結合加水分解性基を有する化合物をグラフトしたオレフィン樹脂にシリコーンゴムを接着一体化させる方法(特許文献3:特開昭63−183843号公報)、脂肪族不飽和基及び珪素原子に直結した水素原子を含有する化合物を添加した熱可塑性樹脂とシリコーンゴムとを接着一体化させる方法、熱可塑性樹脂に脂肪族不飽和基を含有してなる熱可塑性オリゴマーを配合した樹脂とオイルブリード性シリコーンゴムとの一体成形体(特許文献4:特開平9−165516号公報、特許文献5:特開平9−165517号公報)、特開2001−200162号公報(特許文献7)には、エポキシ基を有する加水分解性有機珪素化合物を添加する方法、シリコーンゴムの改質については、特開平8−53661号公報(特許文献6)において、特定の接着助剤を添加する方法等が提案されている。
しかしながら、従来の付加硬化型シリコーンゴム組成物の場合、接着助剤成分の影響で、組成物及びその硬化物が白濁し、透明性を要求されるマスク基材やゴーグル基材、例えば、PC,PBT,PET等への各基材に対して短時間の成形で十分な接着性を得ることができず、十分な接着能を有するためには上記提案のように樹脂の改質が必要であった。また、接着成形を繰り返した場合、ゴム組成物によって、金型が汚れ、成形品が不良となってしまう場合があった。
特公平2−34311号公報 特公昭63−4529号公報 特開昭63−183843号公報 特開平9−165516号公報 特開平9−165517号公報 特開平8−53661号公報 特開2001−200162号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、透明性を要求するマスク用品、ゴーグル用品の安全保護用品や電気電子製品に使用されるシリコーンゴムと熱可塑性樹脂の一体成形体を得る場合において、短時間で成形可能で、かつ各種有機樹脂との接着が可能で透明な硬化物を与える付加硬化型自己接着性シリコーンゴム組成物及び透明シリコーンゴム成形品を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、付加硬化型シリコーンゴム組成物に特定の接着助剤を特定の微量添加し、且つ補強性シリカ充填剤の疎水化処理度をコントロールすることにより、透明性に優れると共に、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、ポリカーボネート等の各種有機樹脂などに優れた接着性を示す硬化物を与える付加硬化型自己接着性シリコーンゴム組成物が得られ、該組成物を加熱硬化することによって透明性及び自己接着性に優れたシリコーンゴム成形品が得られることを見出し、本発明をなすに至った。
従って、本発明は、下記の付加硬化型自己接着性シリコーンゴム組成物及び該組成物を加熱硬化してなる透明シリコーンゴム成形品を提供する。
〔請求項1〕
(A)一分子中に少なくとも2個の珪素原子と結合するアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)一分子中に珪素原子と結合する水素原子(SiH基)を2個以上含有し、分子中にフェニレン骨格を含有しないオルガノハイドロジェンポリシロキサン:0.1〜20質量部、
(C)表面が疎水化処理された補強性シリカ微粉末:0.1〜100質量部、
(但し、該補強性シリカ微粉末は、表面未処理の補強性シリカ微粉末100質量部に対して12質量部以下の表面処理剤で疎水化処理されたものである。)
(D)一分子中に少なくとも1個のSiH基を有し、かつフェニレン骨格を少なくとも1個有する、珪素原子数1〜100の有機珪素化合物:0.10〜0.35質量部、
(E)付加反応触媒:触媒量
を含有することを特徴とする透明硬化物を与える付加硬化型自己接着性シリコーンゴム組成物。
〔請求項2〕
請求項1記載のシリコーンゴム組成物を加熱硬化してなる透明シリコーンゴム成形品。
〔請求項3〕
厚さ6mmシートでの全光線透過率が84%以上で、かつ、ヘーズ値(曇値)が20以下である請求項2記載のシリコーンゴム成形品。
〔請求項4〕
請求項2又は3記載のシリコーンゴム成形品が熱可塑性樹脂上に直接積層されてなる物品。
〔請求項5〕
熱可塑性樹脂が、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート又はポリカーボネートである請求項4記載の物品。
本発明の透明硬化物を与える付加硬化型自己接着性シリコーンゴム組成物は、透明性を要求するマスク用品、ゴーグル用品の安全保護用品や電気電子製品に使用される透明シリコーンゴムと熱可塑性樹脂の一体成形体を得る場合において、樹脂との接着が可能で、かつ短時間で成形が可能である。
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
まず、(A)成分の一分子中に少なくとも平均2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンとしては、下記平均組成式(I)で示されるものを用いることができる。
1 aSiO(4-a)/2 ・・・(I)
(式中、R1は互いに同一又は異種の炭素数1〜10、好ましくは1〜8の非置換又は置換一価炭化水素基であり、aは1.5〜2.8、好ましくは1.8〜2.5、より好ましくは1.95〜2.02の範囲の正数である。)
ここで、上記R1で示される珪素原子に結合した非置換又は置換の一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、オクテニル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルケニル基や、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基等で置換したもの、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフロロプロピル基、シアノエチル基等が挙げられるが、全R1の90モル%以上、特には、アルケニル基を除く全てのR1がメチル基であることが好ましい。
また、R1のうち少なくとも2個はアルケニル基(炭素数2〜8のものが好ましく、更に好ましくは2〜6であり、特に好ましくはビニル基である。)であることが必要である。
このオルガノポリシロキサンの構造は、基本的には分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基(R1 3SiO1/2)で封鎖され、主鎖がジオルガノシロキサン単位(R1 2SiO2/2)の繰り返しからなる直鎖状構造を有するが、部分的には分岐状の構造、環状構造、三次元網状構造等であってもよい。分子量については、平均重合度(例えば、トルエン等を展開溶媒としてゲルパーミエーションクロマトグラフィ分析(GPC)におけるポリスチレン換算の重量平均重合度、以下同様)が1,500以下、通常100〜1,500、特に150〜1,000であることが好ましい。100未満では十分なゴム感が得られない場合があり、1,500より高いと粘度が高くなり、成形が困難になってしまう場合がある。
次に、(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、一分子中に珪素原子と結合する水素原子(SiH基)を2個以上含有し、分子中のSiH基が前記(A)成分中の珪素原子に結合したアルケニル基とヒドロシリル付加反応により架橋し、組成物を硬化させるための硬化剤(架橋剤)として作用するものである。この(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、分子中にフェニレン骨格を含有しない点において、後述する(D)成分とは明確に差別化されるものであって、例えば、下記平均組成式(II)
2 efSiO(4-e-f)/2 ・・・(II)
(式中、R2は炭素数1〜10の非置換又は置換の一価炭化水素基である。また、eは0.7〜2.1、fは0.001〜1.0で、かつe+fは0.8〜3.0を満足する正数である。)
で示され、一分子中に2個以上(通常、2〜300個)、好ましくは3〜200個、より好ましくは4〜100個の珪素原子結合水素原子(SiH基)を有するものが好適に用いられる。
ここで、R2の一価炭化水素基としては、R1で例示したものと同様のものを挙げることができるが、アルケニル基等の脂肪族不飽和基及び/又はアリール基を含まないものであることが好ましい。また、eは好ましくは0.8〜2.0、fは好ましくは0.01〜1.0、e+fは好ましくは1.0〜2.5であり、オルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造は、直鎖状、環状、分岐状、三次元網目状のいずれの構造であってもよい。この場合、一分子中の珪素原子の数(又は重合度)は2〜300個、好ましくは4〜200個、より好ましくは10〜100個で、室温(25℃)で液状のものが好適に用いられる。なお、珪素原子に結合する水素原子は分子鎖末端、分子鎖の途中のいずれに位置していてもよく、両方に位置するものであってもよい。
上記(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンシクロシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、トリス(ジメチルハイドロジェンシロキシ)メチルシラン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位とから成る共重合体、(CH33SiO1/2単位と(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位とから成る共重合体、(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位と(CH3)SiO3/2単位とから成る共重合体、(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位と(CH32SiO2/2単位とから成る共重合体や、上記各例示化合物において、メチル基の一部又は全部がエチル基、プロピル基等の他のアルキル基で置換されたものなどが挙げられる。
このオルガノハイドロジェンポリシロキサンの珪素原子結合水素原子(SiH基)含有量としては、0.002〜0.017モル/gであることが好ましく、より好ましくは、0.003〜0.017モル/gである。0.002モル/gより少ないと接着性が低下する場合がある。
このオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)の配合量は、(A)成分100質量部に対して0.1〜20質量部であり、好ましくは0.5〜10質量部、より好ましくは1〜10質量部である。20質量部より多いと、ゴム物性が低下してしまい、かつ不経済である。また、(A)成分中の珪素原子結合アルケニル基に対する(B)成分と後述する(D)成分中に含まれるSiH基の合計のモル比が1.0〜5.0、特には1.2〜3.5程度となるように、また、(D)成分中にSiH基と共にアルケニル基が含有される場合には、(A)成分と(D)成分中に含まれるアルケニル基の合計に対する(B)成分と(D)成分中に含まれるSiH基の合計のモル比が1.0〜5.0、特には1.2〜3.5程度となる様に(B)成分、(D)成分を配合することが好ましい。
次に、(C)成分の補強性シリカ微粉末は、表面が疎水化処理されたものであって、好適には比表面積(BET法)が50m2/g以上の補強性シリカ微粉末を用いる。特に比表面積(BET法)が50〜400m2/gの沈澱シリカ、ヒュームドシリカ、焼成シリカ等が好適に使用される。シリコーンゴムの強度を向上するには、特に、ヒュームドシリカが好適である。
上記補強性シリカ微粉末は、本発明組成物の各成分を均一に混合する前に予め表面疎水化処理されたシリカ微粉末であってもよい。その場合、これらのシリカ微粉末は、予め粉体の状態で直接処理したものであればよく、通常の処理法として一般的周知の技術により処理でき、例えば、常圧で密閉された機械混練装置又は流動層に上記未処理のシリカ微粉末と処理剤を入れ、必要に応じて不活性ガス存在下において室温或いは熱処理にて混合処理する。場合により触媒を使用して処理を促進してもよい。混練後、乾燥することにより表面疎水化処理シリカ微粉末を製造し得る。また、(C)成分の補強性シリカ微粉末の表面疎水化処理は、表面未処理の補強性シリカ微粉末を、本発明の組成物を製造する途中で、表面処理剤と共に本発明組成物の他の成分(例えば(A)成分のオルガノポリシロキサン)と加熱下に所定の時間均一に混合することによって表面疎水化処理(in−situ処理)したものであってもよい。
シリカ表面の疎水化処理に用いる表面処理剤は、ヘキサメチルジシラザン、ジビニルテトラメチルジシラザン、ジメチルテトラビニルジシラザン、オクタメチルトリシラザン等のオルガノジシラザン、オルガノトリシラザン等のオルガノシラザン類、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジビニルジメトキシシラン及びクロロプロピルトリメトキシシラン等のオルガノアルコキシシランやオルガノクロロシランなどのシランカップリング剤、ポリメチルシロキサン、オルガノハイドロジェンポリシロキサン等の有機珪素化合物が挙げられ、これらで表面処理し、疎水性シリカ微粉末として用いる。特に表面処理効果の点から、ヘキサメチルジシラザン等のオルガノシラザン類が好ましい。
表面疎水化処理する際の表面処理剤の配合量は、表面未処理の補強性シリカ微粉末100質量部に対し、12質量部以下の量が好ましい。より好ましくは0.1〜12質量部、更に好ましくは1〜11質量部、とりわけ好ましくは2〜10質量部である。12質量部を超えて処理したシリカ充填剤のみを用いると、得られる組成物の接着性が不安定になる。
(C)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して0.1〜100質量部、好ましくは5〜80質量部、より好ましくは10〜50質量部である。(C)成分の配合量が少なすぎると、硬化ゴムの機械的強度が弱くなり脱型など成形に問題が生じる場合があり、また配合量が多すぎると充填が困難となり、作業性、加工性が悪くなる。
(D)成分は、接着性付与成分として作用するものであり、一分子中に少なくとも1個のSiH基を有し、かつフェニレン骨格を少なくとも1個有する珪素原子数1〜100、好ましくは2〜30の有機珪素化合物である。なお、本発明において「フェニレン骨格」とは、2〜6価、特には2〜4価の、フェニレン構造、ナフタレン構造、アントラセン構造を包含するものである。
上記化合物としては、一分子中に少なくとも1個、通常1〜20個、特には2〜10個程度のSiH基(即ち、珪素原子に結合した水素原子)を有し、少なくとも1個、通常1〜4個のフェニレン骨格を有し、更にグリシドキシ基等のエポキシ基、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基等のアルコキシシリル基、エステル基(COO基)、アクリル基、メタクリル基、無水カルボキシ基、イソシアネート基、アミノ基、アミド基等の官能基を1種又は2種以上含んでもよい、珪素原子数1〜30、好ましくは2〜20、特には4〜10程度の直鎖状又は環状のオルガノシロキサンオリゴマーやオルガノアルコキシシラン等の有機珪素化合物を好適に使用することができる。
このような化合物として、具体的には、下記に示す化合物を例示することができる。
Figure 2014205800
(nは1〜4である。)
Figure 2014205800
から選ばれる基であり、Rw,Rxは非置換又は置換の一価炭化水素基である。q=1〜50、h=0〜100、好ましくはq=1〜20、h=1〜50である。)で示される基、R”は
Figure 2014205800
(Rw,Rxは上記と同様であり、y=0〜100である。)
から選ばれる基であり、Y’は
Figure 2014205800
(Rw,Rx,q,hは上記と同様である。)である。z=1〜10である。〕
更に、上記化合物にトリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基等のアルコキシシリル基、アクリル基、メタクリル基、エステル基、無水カルボキシ基、イソシアネート基、アミノ基、アミド基等を含有させた有機珪素化合物も使用することができる。
なお、上記Rw,Rxの非置換又は置換の一価炭化水素基としては、炭素数1〜12、特に1〜8のものが好ましく、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基等、R1で例示したものと同様のものが挙げられるほか、置換一価炭化水素基としてアルコキシ基、アクリル基、メタクリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アミノ基、アルキルアミノ基等で置換したものが挙げられる。
(D)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して0.10〜0.35質量部、好ましくは0.15〜0.3質量部である。配合量が0.10質量部未満では十分な接着性が得られず、0.35質量部を超えると物性低下を引き起こす可能性がある。
なお、(B)、(D)各成分に含有する珪素原子結合水素原子(SiH基)の合計量は、(A)成分のアルケニル基総量に対し、また、(D)成分中にアルケニル基が含有される場合には、(A)、(D)各成分中のアルケニル基の合計量に対して、SiH基/アルケニル基=1.0〜5.0(モル/モル)の範囲であることが好ましく、より好ましくは1.2〜3.5(モル/モル)の範囲である。
(E)成分の付加反応触媒としては、白金黒、塩化第二白金、塩化白金酸と一価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトアセテート等の白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒等が挙げられる。この付加反応触媒の添加量は触媒量であり、通常(A)成分に対して白金、パラジウム又はロジウム金属質量として0.1〜1,000ppm、特に1〜200ppmであることが好ましい。
なお、硬化時間を調整するために、(E)成分の付加反応触媒に加えて、アセチレン化合物、リン化合物、窒素含有化合物、ニトリル化合物、カルボキシレート等の従来公知の付加反応制御剤、特に好ましくは、三重結合を有する炭素上に水酸基を有するアセチレン化合物(アセチレンアルコール)を併用して配合することが好ましい。付加反応制御剤の配合量は、(E)成分との配合量比で適宜選択し得る。
本発明の自己接着性シリコーンゴム組成物には、上記した成分以外に、目的に応じて各種の添加剤、例えば、酸化チタン、酸化鉄、酸化セリウム、酸化バナジウム、酸化コバルト、酸化クロム、酸化マンガン等の金属酸化物及びその複合物、石英粉末、珪藻土、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ、カーボン、中空ガラス、中空樹脂、金、銀、銅等の導電性を有する無機粉末、メッキ粉末等の無機充填剤を添加することができ、また目的とする特性を損なわない限り、顔料、耐熱剤、難燃剤、可塑剤等を添加してもよい。なお、これら任意成分の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量とすることができる。
本発明の自己接着性シリコーンゴム組成物は、上記した(A)〜(E)成分、任意成分を常温で均一に混合するだけでも得ることが可能であるが、(C)成分を予め(A)成分の全量又はその一部とプラネタリーミキサーやニーダー等で100〜200℃の範囲で1〜4時間熱処理し、室温に冷却後、その他の成分を添加、混合することが好ましい。
成形方法は、混合物の粘度により自由に選択することができ、注入成形、圧縮成形、ディスペンサー成形、射出成形、押出成形、トランスファー成形等いずれの方法を採用してもよい。その硬化条件は、通常60〜220℃で5秒〜30分程度の範囲内で加熱することができる。
特に本組成物の接着性を有効に生かすためには、予め被着体を金型内にセットし、これに未硬化の材料を接触硬化させた両者が一体化した成形物を得る方法(インサート成形)や、溶融或いは未硬化の有機樹脂と本組成物を交互に金型に射出することにより一体化物を得る2色成形などが好ましい。
本発明の自己接着性シリコーンゴム組成物は、携帯電話、モバイル通信機器、モバイルコンピューター部品、ゲーム機、時計、画像受信機、DVD機器、MD機器、CD機器等の精密電子機器、電子レンジ、冷蔵庫、電気炊飯器、ブラウン管テレビ、液晶テレビやプラズマテレビ等の薄型ディスプレー各種家電製品、複写機、プリンター、ファクシミリ等のOA機器、コネクターシール、点火プラグキャップ、各種センサー部品等の自動車用部品、シーラント等の建築用部品、その他哺乳瓶用乳首、ダイビング用品やマスク用品など、有機樹脂とシリコーンゴムが一体化した部品として使用されるあらゆる分野において使用が可能である。
本発明において、被着体の有機樹脂としては、通常の熱可塑性樹脂が挙げられ、具体的にはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ウレタン(PU)樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリイミド樹脂、液晶樹脂等が挙げられる。
なお、本発明にかかる自己接着性シリコーンゴム組成物の硬化条件は、熱可塑性樹脂との強固な接着性を発現させるためには樹脂が変形、溶融、変質しない温度、硬化時間で行うことが必要である。樹脂の種類にもよるが、60〜220℃で5秒〜30分程度、特に100〜200℃で10秒〜10分程度の硬化条件で一体成形体を得ることが可能である。
また、本発明のシリコーンゴム組成物の硬化物(シリコーンゴム成形品)をJIS K6250に準拠して測定した場合の厚さ6mmシートでの全光線透過率が84%以上(84〜100%)であり、なおかつ、ヘーズ値(曇値)が20以下(特に、20.0以下)であることが好ましい。
以下、実施例と比較例の各配合を表1に示すが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、各例中の部はいずれも質量部であり、%はいずれも質量%である。また、平均重合度はGPC(展開溶媒トルエン)におけるポリスチレン換算の重量平均重合度であり、粘度は回転粘度計(23℃)により測定したものである。
[実施例1]
分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された23℃の粘度が30Pa・s(平均重合度約750)であるジメチルポリシロキサン[ビニル基含有量3×10-5mol/g]84部、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖された平均重合度が約230であり、側鎖(分子鎖途中)に5モル%のビニルメチルシロキサン単位を含有するジメチルポリシロキサン[ビニル基含有量6.5×10-4mol/g]5部、比表面積が300m2/gである表面未処理のヒュームドシリカ(日本アエロジル(株)製、アエロジル300)40部、表面疎水化処理剤としてヘキサメチルジシラザン4部、水2部を室温(25℃)で30分間混合後、150℃に昇温し、3時間撹拌を続けた後冷却し、ヒュームドシリカの表面疎水化処理を行うと共にシリコーンゴムベースを得た。このシリコーンゴムベース129部、分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された23℃の粘度が30Pa・s(平均重合度約750)であるジメチルポリシロキサン[ビニル基含有量3×10-5mol/g]40部、架橋剤として側鎖にSiH基を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン[粘度0.010Pa・s、SiH基量0.0050mol/gの両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体]2.4部と下記式(1)で示されるフェニレン骨格を有する接着助剤(SiH基量0.0066mol/g)0.2部、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.10部、白金触媒(Pt濃度1%)0.2部を均一に約30分間混合し、シリコーンゴム組成物を得た。なお、この組成物中のSiH基とアルケニル基の割合[SiH基/アルケニル基]は2.0である。
Figure 2014205800
寸法が幅25mm、長さ100mm、厚み2mmの接着試験片(平板形状)の間にこのシリコーンゴム組成物を充填し、接着面積が25mm×10mm、厚みが2mmになるようにせん断接着試験片を作成した。接着試験片の材質はポリカーボネート樹脂(PC樹脂)を使用した。せん断試験片の加熱硬化条件は120℃の恒温槽に30分間加熱した。
せん断接着試験片を測定し、せん断接着強度とゴム凝集破壊率(CF)を表1に示した。また、本シリコーンゴム組成物を厚み6mmのシート金型に充填し、120℃で10分間プレス成形を実施した。その硬化シートをヘーズメーターを使用し、全光線透過率とヘーズ値(曇値)を測定し、表1に示した。
[比較例1]
実施例1のシリコーンゴム組成物において、ヘキサメチルジシラザン4部を5部に変更した以外は同様にして、シリコーンゴム組成物を調製し、同様にしてせん断接着強度とゴム凝集破壊率(CF)、全光線透過率とヘーズ値を測定し、表1に示した。
[比較例2]
実施例1のシリコーンゴム組成物において、上記式(1)で示されるフェニレン骨格を有する接着助剤(SiH基量0.0066mol/g)0.2部を0.5部に変更した以外は同様にして、シリコーンゴム組成物を調製し、同様にしてせん断接着強度とゴム凝集破壊率(CF)、全光線透過率とヘーズ値を測定し、表1に示した。
[比較例3]
実施例1のシリコーンゴム組成物において、上記式(1)で示されるフェニレン骨格を有する接着助剤(SiH基量0.0066mol/g)0.2部を0部に変更した以外は同様にして、シリコーンゴム組成物を調製し、同様にしてせん断接着強度とゴム凝集破壊率(CF)、全光線透過率とヘーズ値を測定し、表1に示した。
Figure 2014205800

Claims (5)

  1. (A)一分子中に少なくとも2個の珪素原子と結合するアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン:100質量部、
    (B)一分子中に珪素原子と結合する水素原子(SiH基)を2個以上含有し、分子中にフェニレン骨格を含有しないオルガノハイドロジェンポリシロキサン:0.1〜20質量部、
    (C)表面が疎水化処理された補強性シリカ微粉末:0.1〜100質量部、
    (但し、該補強性シリカ微粉末は、表面未処理の補強性シリカ微粉末100質量部に対して12質量部以下の表面処理剤で疎水化処理されたものである。)
    (D)一分子中に少なくとも1個のSiH基を有し、かつフェニレン骨格を少なくとも1個有する、珪素原子数1〜100の有機珪素化合物:0.10〜0.35質量部、
    (E)付加反応触媒:触媒量
    を含有することを特徴とする透明硬化物を与える付加硬化型自己接着性シリコーンゴム組成物。
  2. 請求項1記載のシリコーンゴム組成物を加熱硬化してなる透明シリコーンゴム成形品。
  3. 厚さ6mmシートでの全光線透過率が84%以上で、かつ、ヘーズ値(曇値)が20以下である請求項2記載のシリコーンゴム成形品。
  4. 請求項2又は3記載のシリコーンゴム成形品が熱可塑性樹脂上に直接積層されてなる物品。
  5. 熱可塑性樹脂が、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート又はポリカーボネートである請求項4記載の物品。
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