JP2014133871A - ポリアミド樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い曲げ強度と高温剛性を有する成形品を得ることのできるポリアミド樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】(A)ジアミン単位とジカルボン酸単位を含むポリアミド樹脂であって、ジアミン単位中、ペンタメチレンジアミン単位を10〜100モル%含むポリアミド樹脂100重量部に対して、(B)非繊維状無機充填材0.05〜10重量部および(C)繊維状無機充填材10〜200重量部を含有するポリアミド樹脂組成物。
【選択図】なし
【解決手段】(A)ジアミン単位とジカルボン酸単位を含むポリアミド樹脂であって、ジアミン単位中、ペンタメチレンジアミン単位を10〜100モル%含むポリアミド樹脂100重量部に対して、(B)非繊維状無機充填材0.05〜10重量部および(C)繊維状無機充填材10〜200重量部を含有するポリアミド樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、ペンタメチレンジアミン単位を含むジアミン単位とジカルボン酸単位とを含むポリアミド樹脂、非繊維状無機充填材および繊維状無機充填材を含有するポリアミド樹脂組成物とその製造方法に関する。
ポリアミド樹脂は、機械的性質、熱的性質などの特性に優れるため、広い範囲で工業的に用いられている。ポリアミド樹脂の耐熱性、剛性を向上させる手段として、従来、ポリアミド樹脂にガラス繊維などの無機充填材等を混練することが行われている。
例えば、ポリアミド樹脂の主鎖中に芳香族基を導入した半芳香族ポリアミド、無機充填材および離型剤を含有するポリアミド樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照)。かかるポリアミド樹脂組成物を用いて得られる成形品は、良好な機械的性質を保持しながら、離型性に優れる。しかしながら、高温剛性や曲げ強度が不十分である課題があった。
また、ペンタメチレンジアミンとヘキサメチレンジアミンを主要成分として含有する脂肪族ジアミンと、テレフタル酸を主要成分として含有するジカルボン酸から構成されるポリアミド樹脂に、無機充填材を溶融混練してなるポリアミド樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献2参照)。かかるポリアミド樹脂組成物を用いて得られる成形品は、優れた機械的性質、耐熱性、耐薬品性を併せ持つ。しかしながら、自動車分野ではエンジンルーム内の温度上昇に対し、また、電気・電子分野ではリフロー炉内の高温処理に対し、さらに高温剛性が求められていた。また、より高い曲げ強度が求められていた。
本発明は、上記従来技術の課題に鑑み、さらに高い曲げ強度と高温剛性を有する成形品を得ることのできるポリアミド樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、特定のポリアミド樹脂、非繊維状無機充填材および繊維状無機充填材を特定量含有するポリアミド樹脂組成物により、高い曲げ強度と高温剛性を有する成形品を得ることができることを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は、
(1)(A)ジアミン単位とジカルボン酸単位を含むポリアミド樹脂であって、ジアミン単位中、ペンタメチレンジアミン単位を10〜100モル%含むポリアミド樹脂100重量部に対して、(B)非繊維状無機充填材0.05〜10重量部および(C)繊維状無機充填材10〜200重量部を含有するポリアミド樹脂組成物。
(2)前記(A)ポリアミド樹脂が、ジカルボン酸単位中、テレフタル酸単位および/またはシクロヘキサンジカルボン酸単位を50〜100モル%含む(1)記載のポリアミド樹脂組成物。
(3)前記(A)ポリアミド樹脂が、ジアミン単位中、ペンタメチレンジアミン単位を10〜80モル%含む(1)または(2)に記載のポリアミド樹脂組成物。
(4)前記(B)非繊維状無機充填材に対する(C)繊維状無機充填材の重量比(C)/(B)が5〜1000である(1)〜(3)いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
(5)前記(A)ポリアミド樹脂の可動非晶量が60%以下である(1)〜(4)いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
(6)前記(A)ポリアミド樹脂におけるジアミン単位が、炭素数6以上の直鎖脂肪族ジアミン単位をさらに含む(1)〜(5)いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
(7)前記(A)ポリアミド樹脂における炭素数6以上の直鎖脂肪族ジアミン単位が、ヘキサメチレンジアミン単位、デカンジアミン単位およびドデカンジアミン単位からなる群より選ばれる少なくとも1種である(6)に記載のポリアミド樹脂組成物。
(8)前記(B)非繊維状無機充填材が、タルク、カオリン、ワラストナイトおよびマイカからなる群より選ばれる少なくとも1種である(1)〜(7)いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
(9)前記(C)繊維状無機充填材がガラス繊維および/または炭素繊維を含む(1)〜(8)いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
(10)(1)〜(9)いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形品。
(11)少なくとも前記(A)ポリアミド樹脂および(B)非繊維状無機充填材を溶融混練した後、さらに(C)繊維状無機充填材を配合して溶融混練する(1)〜(10)いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法。
である。
(1)(A)ジアミン単位とジカルボン酸単位を含むポリアミド樹脂であって、ジアミン単位中、ペンタメチレンジアミン単位を10〜100モル%含むポリアミド樹脂100重量部に対して、(B)非繊維状無機充填材0.05〜10重量部および(C)繊維状無機充填材10〜200重量部を含有するポリアミド樹脂組成物。
(2)前記(A)ポリアミド樹脂が、ジカルボン酸単位中、テレフタル酸単位および/またはシクロヘキサンジカルボン酸単位を50〜100モル%含む(1)記載のポリアミド樹脂組成物。
(3)前記(A)ポリアミド樹脂が、ジアミン単位中、ペンタメチレンジアミン単位を10〜80モル%含む(1)または(2)に記載のポリアミド樹脂組成物。
(4)前記(B)非繊維状無機充填材に対する(C)繊維状無機充填材の重量比(C)/(B)が5〜1000である(1)〜(3)いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
(5)前記(A)ポリアミド樹脂の可動非晶量が60%以下である(1)〜(4)いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
(6)前記(A)ポリアミド樹脂におけるジアミン単位が、炭素数6以上の直鎖脂肪族ジアミン単位をさらに含む(1)〜(5)いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
(7)前記(A)ポリアミド樹脂における炭素数6以上の直鎖脂肪族ジアミン単位が、ヘキサメチレンジアミン単位、デカンジアミン単位およびドデカンジアミン単位からなる群より選ばれる少なくとも1種である(6)に記載のポリアミド樹脂組成物。
(8)前記(B)非繊維状無機充填材が、タルク、カオリン、ワラストナイトおよびマイカからなる群より選ばれる少なくとも1種である(1)〜(7)いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
(9)前記(C)繊維状無機充填材がガラス繊維および/または炭素繊維を含む(1)〜(8)いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
(10)(1)〜(9)いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形品。
(11)少なくとも前記(A)ポリアミド樹脂および(B)非繊維状無機充填材を溶融混練した後、さらに(C)繊維状無機充填材を配合して溶融混練する(1)〜(10)いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法。
である。
本発明のポリアミド樹脂組成物により、曲げ強度、高温剛性に極めて優れる成形品を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、(A)ジアミン単位とジカルボン酸単位を含むポリアミド樹脂であって、ジアミン単位中、ペンタメチレンジアミン単位を10〜100モル%含むポリアミド樹脂100重量部に対して、(B)非繊維状無機充填材0.05〜10重量部および(C)繊維状無機充填材10〜200重量部を含有する。ここで、本発明におけるジアミン単位、ジカルボン酸単位とは、それぞれ、ポリアミド樹脂を構成するジアミンまたはその誘導体、およびジカルボン酸またはその誘導体が重縮合して生成する構造単位を意味する。例えば、ジアミン単位を構成する原料モノマー(ジアミン成分)としては、ジアミン等を挙げることができ、ジカルボン酸単位を構成する原料モノマー(ジカルボン酸成分)としては、ジカルボン酸、ジカルボン酸アルキルエステル、ジカルボン酸クロリド等を挙げることができる。
本発明は、ペンタメチレンジアミンを用いたポリアミド樹脂に、非繊維状無機充填材と繊維状無機充填材の両方を配合すると、いずれか一方の無機充填材を配合する場合と比較して、弾性率は同等であるが、曲げ強度、高温剛性が向上することを見出してなされたものである。「Encyclopedia of Polymer Science and Technology」、米国、1969年、Vol.10、p.523に記載の通り、炭素数が奇数であるジアミンを用いたポリアミド樹脂は、炭素数が偶数であるジアミンを用いたポリアミド樹脂と比較して、結晶性に劣ることが知られている。そのため、炭素数が奇数のペンタメチレンジアミンを用いたポリアミド樹脂に、非繊維状無機充填材を配合した場合には、核剤としての結晶化度向上効果が低く、非晶部の分子運動性を抑制する効果が大きく発現すると考えられる。さらに繊維状無機充填材と組み合わせることにより、繊維状無機充填材の補強効果による弾性率向上効果と非繊維状無機充填材による非晶部の分子運動性抑制効果が相乗的に発現し、曲げ強度、高温剛性を飛躍的に向上させることができたと考えている。
ペンタメチレンジアミンを用いたポリアミド樹脂に非繊維状無機充填材を配合した場合に、非晶部の分子運動性が抑制される効果は、繊維学会誌(繊維と工業)Vol.65、No.11、p.26−30(2009)に記載されるように、温度変調DSCを用いて、ポリアミド樹脂の可動非晶量を定量することにより明らかにすることができる。具体的には、はじめに、種々の条件で熱処理したポリアミド樹脂を用いて、窒素雰囲気下、昇温速度2℃/min、0〜350℃の範囲で、温度変調DSC分析により、ガラス転移温度前後での比熱差(ΔCp)、融解熱量(ΔHm)および冷結晶化熱量(ΔHc)を測定する。比熱差(ΔCp)を縦軸に、融解熱量(ΔHm)と冷結晶化熱量(ΔHc)の差を横軸にプロットし、その近似曲線を外挿して、ΔHm−ΔHc=0の場合の比熱差、すなわち完全非晶を仮定した場合の比熱差ΔCp0を求める。一方、ポリアミド樹脂組成物について、窒素雰囲気下、昇温速度2℃/min、0〜350℃の範囲で、温度変調DSC分析により、ポリアミド樹脂のガラス転移温度前後での比熱差(ΔCps)を測定する。完全非晶を仮定した場合の比熱差(ΔCp0)に対する、実測された比熱差(ΔCps)の割合((ΔCps/ΔCp0)×100)を求めることにより、可動非晶量を求めることができる。本発明において、ポリアミド樹脂組成物中に含まれる前記(A)ポリアミド樹脂の可動非晶量は、60%以下が好ましく、曲げ強度、高温剛性をより向上させることができる。より好ましくは55%以下、さらに好ましくは50%以下である。なお、ポリアミド樹脂組成物中に含まれる前記ポリアミド樹脂の可動非晶量は、後述する(A)ポリアミド樹脂に、(B)非繊維状無機充填材を後述する特定量配合することにより、上記好ましい範囲にすることができる。
本発明における(A)ポリアミド樹脂は、ジアミン単位とジカルボン酸単位を含み、ジアミン単位中、ペンタメチレンジアミン単位を10〜100モル%含む。ペンタメチレンジアミン単位の含有量を10モル%以上とすることで、非繊維状無機充填材の非晶部の分子運動性抑制効果が大きくなり、成形品の曲げ強度、高温剛性を大きく向上させることができる。ペンタメチレンジアミン単位の含有量が10モル%未満の場合には、非繊維状無機充填材による分子運動性抑制効果が低く、成形品の曲げ強度、高温剛性が低下する。ペンタメチレンジアミン単位の含有量は、20モル%以上が好ましく、30モル%以上がさらに好ましい。一方、後述するように、ジカルボン酸単位として、テレフタル酸単位および/またはシクロヘキサンジカルボン酸単位を含む場合には、ペンタメチレンジアミン単位の含有量は、ジアミン単位中、80モル%以下が好ましく、70モル%以下がより好ましい。他のジアミン単位を20モル%以上有することにより、ポリアミド樹脂の融点を適度に抑え、成形加工性に優れたポリアミド樹脂とすることができる。
ポリアミド樹脂を構成するジアミン単位の組成比は、ポリアミド樹脂を加水分解し、ガスクロマトグラフ分析することにより求めることができる。
本発明における(A)ポリアミド樹脂に含まれるペンタメチレンジアミン単位以外のジアミン単位としては、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカンジアミン、ウンデカンジアミン、ドデカンジアミン、トリデカンジアミン、テトラデカンジアミン、ペンタデカンジアミン、ヘキサデカンジアミン、ヘプタデカンジアミン、オクタデカンジアミン、ノナデカンジアミン、エイコサンジアミン、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン、2−メチル−1,8−ジアミノオクタンなどの脂肪族ジアミン、シクロヘキサンジアミン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタンなどの脂環式ジアミン、キシリレンジアミンなどの芳香族ジアミンなどから生成する単位が挙げられ、これらを2種類以上含有してもよい。その中でも、(B)非繊維状無機充填材との接着性に優れることから、分岐構造を持たないジアミン単位が好ましく、炭素数6以上の直鎖脂肪族ジアミン単位が好ましい。特に、低吸水性と機械的強度のバランスに優れることから、ヘキサメチレンジアミン単位、デカンジアミン単位、ドデカンジアミン単位がより好ましい。
本発明における(A)ポリアミド樹脂に含まれるジカルボン酸単位としては、例えば、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸、1、2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸などから生成する単位が挙げられ、これらを2種類以上含有してもよい。その中でも、分子骨格が剛直であり、低吸水性と機械的強度のバランスに優れることから、テレフタル酸単位および/または1,4−シクロヘキサンジカルボン酸単位がより好ましい。ジカルボン酸単位中、テレフタル酸単位および/または1,4−シクロヘキサンジカルボン酸単位を50モル%以上含むことが好ましく、80モル%以上含むことがより好ましく、100モル%含むことがさらに好ましい。ここで、テレフタル酸単位および/または1,4−シクロヘキサンジカルボン酸単位の含有量は、これら両単位を含む場合はその総量とする。テレフタル酸単位または1,4−シクロヘキサンジカルボン酸単位のいずれか一方を100モル%含むことがより好ましい。
ポリアミド樹脂を構成するジカルボン酸単位の組成比は、ポリアミド樹脂の1H−NMR分析により求めることができる。
本発明における(A)ポリアミド樹脂は、さらに、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸およびパラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸単位、ε−カプロラクタムおよびω−ラウロラクタムなどのラクタム単位を含んでもよい。これら単位の含有量は、(A)ポリアミド樹脂を構成する全単位中50重量%以下が好ましく、30重量%以下がより好ましく、20重量%以下がさらに好ましい。
本発明における(A)ポリアミド樹脂は、0.01g/mlとした98%硫酸溶液の25℃における相対粘度が、1.9〜5.0であることが好ましい。相対粘度が1.9以上であれば、成形品の曲げ強度をより向上させることができる。2.0以上がより好ましく、2.1以上がさらに好ましい。一方、相対粘度が5.0以下であれば、成形加工性を向上させることができる。4.5以下が好ましく、4.0以下がさらに好ましい。
さらに、(A)ポリアミド樹脂の融点は、200℃以上が好ましく、これにより、ポリアミド樹脂の耐熱性をより向上させることができる。250℃以上がより好ましく、275℃以上がさらに好ましく、285℃以上が最も好ましい。一方、(A)ポリアミド樹脂の融点は、330℃以下が好ましく、これにより、溶融加工時の熱分解を抑制することができる。320℃以下がより好ましく、310℃以下がさらに好ましい。ここで、本発明における融点とは、示差走査熱量計を用いて、不活性ガス雰囲気下、ポリアミド樹脂を溶融状態から20℃/分の降温速度で30℃まで降温した後、20℃/分の昇温速度で昇温した場合に検出される吸熱ピークの温度を指す。なお、吸熱ピークが2つ以上検出される場合には、強度が最も大きいピークを融点とする。
次に、本発明における(A)ポリアミド樹脂の製造方法について説明する。
(A)ポリアミド樹脂の原料モノマーであるペンタメチレンジアミンの製法に制限はないが、例えば、2−シクロヘキセン−1−オンなどのビニルケトン類を触媒としてリジンから合成する方法(「Chemistry Letters」、米国、1986年、p.893、特公平4−10452号公報参照)や、リジン脱炭酸酵素を用いてリジンから転換する方法などが既に知られている。前者の方法は、反応温度が約150℃と高いのに対し、後者の方法の反応温度は100℃未満であることから、後者の方法を用いる方が、副反応をより低減できると考えられる。そのため、本発明においては、後者の方法によって得られるペンタメチレンジアミンを用いることが好ましい。
リジン脱炭酸酵素は、リジンをペンタメチレンジアミンに転換させる酵素であり、Escherichia coli K12株をはじめとするエシェリシア属微生物や、その他多くの生物に存在することが知られている。本発明において、リジン脱炭酸酵素は、これらの生物に存在するものを使用することができ、リジン脱炭酸酵素の細胞内での活性が上昇した組換え細胞由来のものも使用できる。
組換え細胞としては、微生物、動物、植物、または昆虫由来のものが好ましく使用できる。動物を用いる場合、例えば、マウス、ラットやそれらの培養細胞などが用いられる。植物を用いる場合、例えば、シロイヌナズナ、タバコやそれらの培養細胞が用いられる。昆虫を用いる場合、例えば、カイコやその培養細胞などが用いられる。微生物を用いる場合、例えば、大腸菌などが用いられる。また、リジン脱炭酸酵素を複数種組み合わせて使用してもよい。
このようなリジン脱炭酸酵素を持つ微生物としては、例えば、バシラス・ハロドゥランス(Bacillus halodurans)、バシラス・サブチリス(Bacillus subtilis)、エシェリシア・コリ(Escherichia coli)、セレノモナス・ルミナンチウム(Selenomonas ruminantium)、ビブリオ・コレラ(Vibrio cholerae)、ビブリオ・パラヘモリティカス(Vibrio parahaemolyticus)、ストレプトマイセス・コエリカーラ(Streptomyces coelicolor)、ストレプトマイセス・ピロサス(Streptomyces pilosus)、エイケネラ・コロデンス(Eikenella corrodens)、イユバクテリウム・アシダミノフィルム(Eubacterium acidaminophilum)、サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)、ハフニア・アルベイ(Hafnia alvei)、ナイセリア・メニンギチデス(Neisseria meningitidis)、テルモプラズマ・アシドフィルム(Thermoplasma acidophilum)、ピロコッカス・アビシ(Pyrococcus abyssi)またはコリネバクテリウム・グルタミカス(Corynebacterium glutamicum)等が挙げられる。
リジン脱炭酸酵素を得る方法に特に制限はないが、例えば、リジン脱炭酸酵素を有する微生物や、リジン脱炭酸酵素の細胞内での活性が上昇した組換え細胞などを適当な培地で培養し、増殖した菌体を回収し、休止菌体として用いる方法や、当該菌体を破砕して無細胞抽出液を調製して用いる方法などが挙げられる。また、必要に応じて精製して用いることも可能である。
リジン脱炭酸酵素を抽出するために、リジン脱炭酸酵素を有する微生物や組換え細胞を培養する方法に特に制限はないが、例えば、微生物を培養する場合、培地としては、炭素源、窒素源、無機イオンおよび必要に応じその他有機成分を含有する培地などが用いられる。例えば、E.coliの場合、しばしばLB培地が用いられる。炭素源としては、グルコース、ラクトース、ガラクトース、フラクトース、アラビノース、マルトース、キシロース、トレハロース、リボースや澱粉の加水分解物などの糖類、グリセロール、マンニトールやソルビトールなどのアルコール類、グルコン酸、フマール酸、クエン酸やコハク酸等の有機酸類などを用いることができる。窒素源としては、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機アンモニウム塩、大豆加水分解物などの有機窒素、アンモニアガス、アンモニア水等を用いることができる。その他有機成分としては、各種アミノ酸、ビタミンB1等のビタミン類、RNA等の核酸類などの要求物質または酵母エキス等を適量含有させることが望ましい。それらの他に、必要に応じて、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、鉄イオン、マンガンイオン等を少量添加してもよい。
培養条件にも特に制限はなく、例えば、E.coliの場合、好気条件下で16〜72時間程度培養することが好ましい。培養温度は好ましくは30℃〜45℃に、特に好ましくは37℃に、培養pHは好ましくは5〜8に、特に好ましくはpH7に調整することが好ましい。なお、pH調整には、無機あるいは有機の酸性あるいはアルカリ性物質、アンモニアガス等を使用することができる。
増殖した微生物や組換え細胞は、遠心分離等により培養液から回収することができる。回収した微生物や組換え細胞から無細胞抽出液を調製するには、通常の方法が用いられる。すなわち、微生物や組換え細胞を超音波処理、ダイノミル、フレンチプレス等の方法にて破砕し、遠心分離により菌体残渣を除去することにより無細胞抽出液が得られる。
無細胞抽出液からリジン脱炭酸酵素を精製するには、硫安分画、イオン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、等電点沈殿、熱処理、pH処理等、酵素の精製に通常用いられる手法が適宜組み合わされて用いられる。精製は、完全精製である必要は必ずしもなく、リジン脱炭酸酵素以外のリジンの分解に関与する酵素、生成物であるペンタメチレンジアミンの分解酵素等の夾雑物が除去できればよい。
リジン脱炭酸酵素によるリジンからペンタメチレンジアミンへの変換は、上記のようにして得られるリジン脱炭酸酵素を、リジンに接触させることによって行うことができる。反応溶液中のリジンの濃度については、特に制限はない。リジン脱炭酸酵素の量は、リジンをペンタメチレンジアミンに変換する反応を触媒するのに十分な量であればよい。反応温度は、通常、28〜55℃、好ましくは40℃前後である。反応pHは、通常、5〜8、好ましくは、約6である。ペンタメチレンジアミンが生成するにつれ、反応溶液はアルカリ性へ変わるので、反応pHを維持するために無機あるいは有機の酸性物質を添加することが好ましい。好ましくは塩酸を使用することができる。反応には静置または撹拌のいずれの方法も採用し得る。リジン脱炭酸酵素は固定化されていてもよい。反応時間は、使用する酵素活性、基質濃度などの条件によって異なるが、通常、1〜72時間である。また、反応は、リジンを供給しながら連続的に行ってもよい。
このように生成したペンタメチレンジアミンを反応終了後、反応液から採取する方法としては、イオン交換樹脂を用いる方法や沈殿剤を用いる方法、溶媒抽出する方法、単蒸留する方法、その他通常の採取分離方法が採用できる。
本発明における(A)ポリアミド樹脂の製造方法としては、例えば、ペンタメチレンジアミンを含むジアミン成分とジカルボン酸成分、またはその塩、および必要によりその他共重合成分を、加圧加熱重縮合して低次縮合物を合成する工程を経て、固相重合または溶融高重合度化する方法などが挙げられる。低次縮合物を一旦取り出して、固相重合または押出機等で溶融高重合度化する2段重合、低次縮合物の製造工程に続いて、同一反応容器内で固相重合または溶融重合する1段重合のどちらを用いてもよい。なお、低次縮合物とは、後述する硫酸相対粘度が1.05〜1.60のポリアミド樹脂と定義する。加圧加熱重縮合とは、製造時のポリアミド樹脂の最高到達圧力を0.1MPa以上に上昇させ、かつ最高到達温度を200℃以上に上昇させる製造プロセスと定義する。固相重合とは、100℃〜融点の温度範囲で、減圧下、あるいは不活性ガス中で加熱する工程、溶融高重合度化とは、常圧、または減圧下で融点以上に加熱する工程を示す。
加圧加熱重縮合においては、ペンタメチレンジアミンを含むジアミン成分、およびその環化反応により生成するピペリジン等の含窒素環化副生物が揮発することや、含窒素環化副生物が末端封鎖剤となるなどの理由で、重合の進行に伴い、重合系内では全カルボキシル基量に対する全アミノ基量が少なくなり、重合速度が遅延する傾向がある。ジアミン成分の揮発を抑制するためには、重合系内の圧力が高い方が好ましいが、反面、縮合水の揮発が抑制されると、ジアミン成分の環化反応が促進される傾向にあるため、本発明においては、重合系内の最高到達圧力を0.1〜3.5MPaとすることが好ましい。最高到達圧力を0.1MPa以上とすることにより、ジアミン成分の揮発を抑制することができる。0.2MPa以上がより好ましく、0.5MPa以上がさらに好ましく、1.0MPa以上が最も好ましい。一方、最高到達圧力を3.5MPa以下とすることにより、ジアミン成分の環化反応による含窒素環化副生物の生成を抑制し、縮合反応を効率的に進行させることができる。3.0MPa以下がより好ましい。縮合反応の進行により、縮合水が生成し、系内の圧力は上昇するので、重合開始時の圧力はゼロでもよいが、ジアミン成分の揮発を最小限に抑制する場合には、原料に予め水を添加する方法、重合開始時に予め不活性ガスで加圧する方法などにより、系内の圧力が高くなるよう調整することができる。
また、加圧加熱重縮合においては、原料を仕込む段階で、予め特定量のジアミン成分を過剰に添加して、重合系内のアミノ基量を調整することが、高分子量のポリアミド樹脂を得るためには好ましい。原料として使用するジアミン成分のモル数をA、ジカルボン酸成分のモル数をBとしたとき、その比A/Bが1.005〜1.10となるように原料組成比を調整することが好ましく、1.01〜1.09となるように原料組成比を調整することがより好ましい。A/Bを1.005以上、1.10未満とすることで、重合系内におけるジアミン成分とジカルボン酸成分の等モル性が適度に保たれ、容易に高重合度化することができる。
(A)ポリアミド樹脂の製造方法として、低次縮合物を押出機で溶融高重合度化する方法を用いる場合には、押出機のシリンダー温度を低次縮合物の融点よりも10℃以上40℃以下高い温度とすることが好ましい。低次縮合物の融点よりも10℃以上高い温度で溶融高重合度化することにより、低次縮合物の溶融に要する時間を短くすることができ、生産性が向上する。一方、低次縮合物の融点+40℃以下の温度で溶融高重合度化することにより、低次縮合物の分解を抑制することができる。
本発明においては、加圧加熱重縮合に際し、必要に応じて、重合促進剤を添加することができる。重合促進剤としては、例えば、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸およびこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などの無機系リン化合物などが好ましく、特に亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウムが好適に用いられる。重合促進剤は、原料100重量部に対して、0.001〜1重量部の範囲で使用することが好ましい。重合促進剤の添加量を0.001〜1重量部とすることで、靭性と成形加工性のバランスに優れるポリアミド樹脂を得ることができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、前記(A)ポリアミド樹脂100重量部に対して、(B)非繊維状無機充填材を0.05〜10重量部とすることで、弾性率を保持したまま、曲げ強度および高温剛性を飛躍的に向上させることができる。非繊維状無機充填材の含有量が0.05重量部未満である場合は、成形品の曲げ強度および高温剛性が低下する。0.1重量部以上が好ましく、0.2重量部以上がさらに好ましい。一方、10重量部を超えた場合には、ポリアミド樹脂組成物の靭性が低下するため、成形品の曲げ強度が低下する。
(B)非繊維状無機充填材としては、板状無機充填材および/または粒状無機充填材が好ましい。それらの具体例としては、タルク、カオリン、ワラストナイト、マイカ、ゼオライト、セリサイト、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、モンモリロナイト、アスベスト、アルミノシリケートなどの金属珪酸塩、アルミナ、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの金属炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの金属硫酸塩、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物、ガラスビーズ、セラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素およびシリカなどが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。中でも、より非晶部の拘束効果が大きいタルク、カオリン、ワラストナイトおよびマイカがより好ましい。
(B)非繊維状無機充填材として、板状無機充填材および/または粒状無機充填材を用いる場合、その平均粒子径は、0.05〜15μmが好ましい。平均粒子径が0.05μm以上であれば、分散性に優れ、成形品の靭性を向上させることができる。0.1μm以上が好ましい。一方、平均粒子径が15μm以下であれば、ポリアミド樹脂中の非晶部の分子運動性抑制効果をより向上させることができる。12μm以下がより好ましく、10μm以下がさらに好ましい。なお、これらの平均粒子径は、レーザー回折法によって測定された累積粒度分布曲線により求められるD50と定義する。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、前記(A)ポリアミド樹脂100重量部に対して、(C)繊維状無機充填材を10〜200重量部含有する。(C)繊維状無機充填材の含有量が10重量部未満であると、弾性率向上効果が低く、成形品の高温剛性向上効果が小さい。20重量部以上が好ましく、30重量部以上がより好ましい。一方、(C)繊維状無機充填材の含有量が200重量部を超えると、ポリアミド樹脂組成物の成形加工性が低下する。150重量部以下が好ましく、100重量部以下がより好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物において、(C)繊維状無機充填材の具体例としては、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウムウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、硼酸アルミニウムウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などが挙げられる。中でも、より弾性率の向上効果の大きいガラス繊維、炭素繊維がより好ましい。
ガラス繊維の種類には特に制限はなく、公知のものが使用できる。通常、ガラス繊維は、所定長さにカットしたチョップドストランド、ロービングストランド、ミルドファイバーなどの形状があり、平均繊維径5〜15μmのものが好ましく使用される。チョップドストランドを使用する場合、繊維長に特に制限はないが、1〜20mmであることが好ましく、押出混練作業性の高いストランド長3mmのガラス繊維がより好ましく使用される。ロービングストランドを使用する場合、押出機にロービングストランドを直接投入する公知の技術により複合することができる。これらのガラス繊維を2種以上併用してもよい。また、ガラス繊維の断面形状としては、円形、非円形などが挙げられる。非円形断面としては、繊維長の長さ方向に対する垂直な断面における、長径/短径の比(扁平度)が1.5〜10であることが好ましい。
また、炭素繊維の種類においても特に制限がなく、公知の各種炭素繊維、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)、ピッチ、レーヨン、リグニン、炭化水素ガス等を用いて製造される炭素質繊維や黒鉛質繊維や、これらの繊維を金属でコートした繊維が使用できる。中でも機械的特性向上が可能なPAN系炭素繊維が好ましく使用できる。炭素繊維は通常、所定長さにカットしたチョップドストランド、ロービングストランド、ミルドファイバーなどの形状があり、一般的には直径15μm以下、好ましくは5〜10μmである。チョップドストランドを使用する場合、繊維長に特に制限はないが、押出混練作業性の高いストランド長のものを使用することが好ましい。ロービングストランドを使用する場合、押出機にロービングストランドを直接投入する公知の技術により複合することができる。本発明ではチョップドストランドを用いることが好ましく、チョップド炭素繊維の前駆体である炭素繊維ストランドのフィラメント数は、製造コストおよび生産工程における安定性の観点から、1,000〜150,000本が好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、(B)非繊維状無機充填材に対する(C)繊維状無機充填材の重量比(C)/(B)を5〜1000とすることが好ましい。(C)/(B)が5以上であれば、成形品の曲げ弾性率と曲げ強度をより向上させることができる。一方、(C)/(B)が1000以下であれば、成形品の曲げ強度をより向上させることができる。500以下がより好ましく、300以下がさらに好ましい。
さらに、本発明のポリアミド樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、各種添加剤を配合することができる。各種添加剤としては、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤(ヒンダードフェノール系、ヒドロキノン系、ホスファイト系およびこれらの置換体、銅化合物等)、耐候剤(レゾルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等)、離型剤、滑剤(脂肪族アルコール、脂肪族アミド、脂肪族ビスアミド、ビス尿素、ポリエチレンワックス等)、顔料(硫化カドミウム、フタロシアニン、カーボンブラック等)、染料(ニグロシン、アニリンブラック等)、可塑剤(p−オキシ安息香酸オクチル、N−ブチルベンゼンスルホンアミド等)、帯電防止剤(アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、4級アンモニウム塩型カチオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートなどの非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤等)、難燃剤(メラミンシアヌレート、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン、ホスフィン酸金属塩などのリン系難燃剤、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンオキシド、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂、あるいはこれらの臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとの組み合わせ等)を挙げることができる。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系、硫黄系、リン系化合物などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−ジ−t−ブチルフェニル)ブタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどが挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ジトリデシルチオジプロピオネート、ペンタエリトリチル(3−ラウリルチオプロピオネート)、2−メルカプトベンズイミダゾールなどが挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、例えば、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,4−ジ−クミルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビスフェニレンホスファイト、ジ−ステアリルペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、トリフェニルホスファイト、3,5−ジ−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスフォネートジエチルエステルなどが挙げられる。
耐熱安定剤として用いられる銅化合物の具体的な例としては、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅、ヨウ化第一銅、ヨウ化第二銅、硫酸第二銅、硝酸第二銅、リン酸銅、酢酸第一銅、酢酸第二銅、サリチル酸第二銅、ステアリン酸第二銅、安息香酸第二銅および前記無機ハロゲン化銅とキシリレンジアミン、2−メルカプトベンズイミダゾール、ベンズイミダゾールなどとの錯化合物などが挙げられる。なかでも1価の銅化合物、とりわけ1価のハロゲン化銅化合物が好ましく、酢酸第1銅、ヨウ化第1銅がより好ましい。銅化合物の配合量は、通常前記(A)ポリアミド樹脂100重量部に対して0.01〜2重量部が好ましく、0.015〜1重量部がより好ましい。銅原子含有量は、(A)ポリアミド樹脂100重量部に対して30〜6500ppmが好ましく、50〜3500ppmがより好ましい。本発明においては、銅化合物とともにハロゲン化アルカリを配合することも可能である。ハロゲン化アルカリ化合物の例としては、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、臭化ナトリウムおよびヨウ化ナトリウムを挙げることができ、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウムが特に好ましい。
次に、本発明のポリアミド樹脂組成物を製造する方法について説明する。ポリアミド樹脂組成物の製造方法は特定の方法に限定されないが、例えば、(A)ポリアミド樹脂、(B)非繊維状無機充填材、(C)繊維状無機充填材および必要に応じてその他添加剤を溶融混練する方法が好ましい。溶融混練装置としては、例えば、単軸あるいは二軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダーおよびミキシングロールなどの公知の溶融混練機が挙げられる。溶融混練温度は、(A)ポリアミド樹脂の融点+10〜40℃が好ましい。さらに、(A)ポリアミド樹脂と(B)非繊維状無機充填材を予め溶融混練した後に、(C)繊維状無機充填材を溶融混練することが好ましく、(B)非繊維状無機充填材の分散性を向上させることができるとともに、より効率的に曲げ強度および高温剛性を向上させることができる。具体的かつ効率的な例として、(A)ポリアミド樹脂、(B)非繊維状無機充填材および必要に応じてその他添加剤をドライブレンドして公知の溶融混練装置のメインフィーダーに供給し、(A)ポリアミド樹脂の融点以上の温度にて溶融混練した後、サイドフィーダーから(B)繊維状無機充填材および必要に応じてその他添加剤を溶融混練機に供給してさらに溶融混練する方法が好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、射出成形、押出成形、ブロー成形、真空成形、溶融紡糸、フィルム成形などの任意の成形方法により、所望の形状に成形でき、自動車部品、機械部品などの樹脂成形品、繊維、フィルム、シートなどに使用することができる。具体的な用途としては、ラジエタータンクのトップおよびベースなどのラジエタータンク部品、冷却液リザーブタンク、ウォーターパイプ、ウォーターポンプハウジング、ウォーターポンプインペラ、バルブなどのウォーターポンプ部品など自動車エンジンルーム内で冷却水との接触下で使用される部品などの自動車エンジン冷却水系部品、超小型スライドスイッチ、DIPスイッチなどのスイッチ類、スイッチのハウジング、ランプソケット、結束バンド、コネクタ、コネクタのハウジング、コネクタのシェル、ICソケット類、コイルボビン、ボビンカバー、リレー、リレーボックス、コンデンサーケース、モーターの内部部品、小型モーターケース、ギヤ・カム、ダンシングプーリー、スペーサー、インシュレーター、ファスナー、バックル、ワイヤークリップ、自転車ホイール、キャスター、ヘルメット、端子台、電動工具のハウジング、スターターの絶縁部分、スポイラー、キャニスター、ラジエタータンク、チャンバータンク、リザーバータンク、ヒューズボックス、エアークリーナーケース、エアコンファン、ターミナルのハウジング、ホイールカバー、吸排気パイプ、ベアリングリテーナー、シリンダーヘッドカバー、インテークマニホールド、ウォーターパイプインペラ、クラッチレリーズ、スピーカー振動板、耐熱容器、電子レンジ部品、炊飯器部品、プリンタリボンガイドなどに代表される電気・電子関連部品、自動車・車両関連部品、家電・事務電気製品部品、コンピューター関連部品、ファクシミリ・複写機関連部品、機械関連部品、その他各種用途に有用である。
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではない。各実施例および比較例における特性評価は下記の方法に従って行った。
[ポリアミド樹脂中の全ジアミン単位中の各種ジアミン単位組成比]
ポリアミド樹脂0.06gをバイアルに秤量し、臭化水素酸水溶液にて、150℃で3時間加熱分解を行った。続いて、水酸化ナトリウム水溶液を加えて系内をアルカリ性とした後、トルエン、クロロギ酸エチルを加え振とう処理した。上澄み液を取り出し、ガスクロマトグラフ(島津GC−14A:島津製作所製、検出器:水素炎イオン化検出器、カラム:DB−1MS(GLサイエンス社製、充填材methylsiloxane100%))にて以下の設定条件で測定した。ジアミン標品を用いて検量線を作成し、ジアミンの組成比を求めた。
インジェクタ温度:250℃
ディテクタ温度:310℃
ガス流量:空気:0.05MPa、水素:0.06MPa、ヘリウム:0.25MPa
オーブン昇温開始温度:80℃
オーブン昇温停止温度:310℃
オーブン昇温速度:10℃/分。
ポリアミド樹脂0.06gをバイアルに秤量し、臭化水素酸水溶液にて、150℃で3時間加熱分解を行った。続いて、水酸化ナトリウム水溶液を加えて系内をアルカリ性とした後、トルエン、クロロギ酸エチルを加え振とう処理した。上澄み液を取り出し、ガスクロマトグラフ(島津GC−14A:島津製作所製、検出器:水素炎イオン化検出器、カラム:DB−1MS(GLサイエンス社製、充填材methylsiloxane100%))にて以下の設定条件で測定した。ジアミン標品を用いて検量線を作成し、ジアミンの組成比を求めた。
インジェクタ温度:250℃
ディテクタ温度:310℃
ガス流量:空気:0.05MPa、水素:0.06MPa、ヘリウム:0.25MPa
オーブン昇温開始温度:80℃
オーブン昇温停止温度:310℃
オーブン昇温速度:10℃/分。
[ポリアミド樹脂中の全カルボン酸単位中の各種ジカルボン酸単位含有量]
ポリアミド樹脂をHFIP−d2(ISOTEC社製)に溶解して調製した試料溶液を用いて、NMR測定装置(日本電子(株)製 JNM−AL400)にて1H−NMRを測定した。得られたNMRデータの、HFIP由来のピークをδ4.40として、各種ジカルボン酸単位特有のピークの面積比からジカルボン酸含有量を算出した。用いた各種ジカルボン酸単位特有のピークは以下のとおりである。
テレフタル酸単位:δ7.6〜7.8(4H/単位)
イソフタル酸単位:δ7.3〜7.5(1H/単位)
アジピン酸単位:δ2.2〜2.4(4H/単位)
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸単位:δ2.5〜2.8(2H/単位)。
ポリアミド樹脂をHFIP−d2(ISOTEC社製)に溶解して調製した試料溶液を用いて、NMR測定装置(日本電子(株)製 JNM−AL400)にて1H−NMRを測定した。得られたNMRデータの、HFIP由来のピークをδ4.40として、各種ジカルボン酸単位特有のピークの面積比からジカルボン酸含有量を算出した。用いた各種ジカルボン酸単位特有のピークは以下のとおりである。
テレフタル酸単位:δ7.6〜7.8(4H/単位)
イソフタル酸単位:δ7.3〜7.5(1H/単位)
アジピン酸単位:δ2.2〜2.4(4H/単位)
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸単位:δ2.5〜2.8(2H/単位)。
[ポリアミド樹脂の硫酸相対粘度(ηr)]
樹脂濃度0.01g/mlの98%硫酸溶液を用いて、25℃でオストワルド式粘度計を用いて硫酸相対粘度を測定した。
樹脂濃度0.01g/mlの98%硫酸溶液を用いて、25℃でオストワルド式粘度計を用いて硫酸相対粘度を測定した。
[低次縮合物、およびポリアミド樹脂の融点(Tm)]
SIIナノテクノロジー社製 ロボットDSCRDC220を用い、低次縮合物、またはポリアミド樹脂を約5mg精秤し、窒素雰囲気下、次の条件で、ポリアミド樹脂または低次縮合物の融点を測定した。30℃から20℃/分の昇温速度で昇温したときに観測される吸熱ピークの温度(T0)+35℃に昇温して溶融状態とした後、20℃/分の降温速度で30℃まで降温して3分間保持し、続いて20℃/分の昇温速度でT0+35℃まで昇温したときに観測される吸熱ピークの温度(融点:Tm)を求めた。
SIIナノテクノロジー社製 ロボットDSCRDC220を用い、低次縮合物、またはポリアミド樹脂を約5mg精秤し、窒素雰囲気下、次の条件で、ポリアミド樹脂または低次縮合物の融点を測定した。30℃から20℃/分の昇温速度で昇温したときに観測される吸熱ピークの温度(T0)+35℃に昇温して溶融状態とした後、20℃/分の降温速度で30℃まで降温して3分間保持し、続いて20℃/分の昇温速度でT0+35℃まで昇温したときに観測される吸熱ピークの温度(融点:Tm)を求めた。
[曲げ強度および曲げ弾性率]
各実施例および比較例により得られたASTM1号ダンベル試験片を用い、ASTM D790に準じて試験回数3回、23℃で曲げ試験を行い、曲げ強度および曲げ弾性率を測定した。
各実施例および比較例により得られたASTM1号ダンベル試験片を用い、ASTM D790に準じて試験回数3回、23℃で曲げ試験を行い、曲げ強度および曲げ弾性率を測定した。
[高温剛性]
各実施例および比較例により得られた厚さ1/4インチの棒状試験片を用いて、東洋精機社製HDT−TESTERを使用し、試験荷重182Nにおける荷重たわみ温度(TDTUL)をASTMD648−82に準じて測定した。前記方法により測定したポリアミド樹脂の融点との差(Tm−TDTUL)により高温剛性を評価した。Tm−TDTULの値が小さいほど、高温剛性が高いと判断した。
各実施例および比較例により得られた厚さ1/4インチの棒状試験片を用いて、東洋精機社製HDT−TESTERを使用し、試験荷重182Nにおける荷重たわみ温度(TDTUL)をASTMD648−82に準じて測定した。前記方法により測定したポリアミド樹脂の融点との差(Tm−TDTUL)により高温剛性を評価した。Tm−TDTULの値が小さいほど、高温剛性が高いと判断した。
[非繊維状無機充填材の平均粒子径]
(B)非繊維状無機充填材の平均粒子径(D50)は、レーザー粒度分布計(SALD−2100:島津製作所(株)製)を用いて測定した。
(B)非繊維状無機充填材の平均粒子径(D50)は、レーザー粒度分布計(SALD−2100:島津製作所(株)製)を用いて測定した。
[ポリアミド樹脂の可動非晶量]
実施例1、比較例1、10、11において用いたポリアミド樹脂を溶融させて、液体窒素中で急冷した試料、およびその試料を真空下180℃で熱処理時間を変更することにより、結晶化度の異なる試料を10水準作製した。TA Instruments社製Q1000を用い、得られた試料をそれぞれ約5mg精秤し、ポリアミド樹脂を窒素雰囲気下(50ml/min)、昇温速度2℃/min、0〜350℃の範囲で、温度変調DSC分析により、ガラス転移温度前後での比熱差(ΔCp)、融解熱量(ΔHm)および冷結晶化熱量(ΔHc)を測定した。ガラス転移温度前後での比熱差(ΔCp)を縦軸に、融解熱量(ΔHm)と冷結晶化熱量(ΔHc)の差の関係を横軸にプロットし、その近似曲線を外挿して、ΔHm−ΔHc=0の場合の比熱差、すなわち完全非晶を仮定した場合のΔCp0を求めた。続いて、TA Instruments社製Q1000を用い、実施例1、比較例1、10、11で得られたポリアミド樹脂組成物を約8mg精秤し、窒素雰囲気下(50ml/min)、昇温速度2℃/min、0〜350℃の範囲で、温度変調DSCにより、ガラス転移温度前後での比熱差(ΔCps)を測定した。ここで、ポリアミド樹脂組成物の温度変調DSC分析においては、ポリアミド樹脂成分に由来するガラス転移が検出される。完全非晶を仮定した場合の比熱差(ΔCp0)に対する、実測されたポリアミド樹脂組成物中のポリアミド樹脂のガラス転移温度前後での比熱差(ΔCps)の割合から、可動非晶量((ΔCps/ΔCp0)×100%))を求めた。
実施例1、比較例1、10、11において用いたポリアミド樹脂を溶融させて、液体窒素中で急冷した試料、およびその試料を真空下180℃で熱処理時間を変更することにより、結晶化度の異なる試料を10水準作製した。TA Instruments社製Q1000を用い、得られた試料をそれぞれ約5mg精秤し、ポリアミド樹脂を窒素雰囲気下(50ml/min)、昇温速度2℃/min、0〜350℃の範囲で、温度変調DSC分析により、ガラス転移温度前後での比熱差(ΔCp)、融解熱量(ΔHm)および冷結晶化熱量(ΔHc)を測定した。ガラス転移温度前後での比熱差(ΔCp)を縦軸に、融解熱量(ΔHm)と冷結晶化熱量(ΔHc)の差の関係を横軸にプロットし、その近似曲線を外挿して、ΔHm−ΔHc=0の場合の比熱差、すなわち完全非晶を仮定した場合のΔCp0を求めた。続いて、TA Instruments社製Q1000を用い、実施例1、比較例1、10、11で得られたポリアミド樹脂組成物を約8mg精秤し、窒素雰囲気下(50ml/min)、昇温速度2℃/min、0〜350℃の範囲で、温度変調DSCにより、ガラス転移温度前後での比熱差(ΔCps)を測定した。ここで、ポリアミド樹脂組成物の温度変調DSC分析においては、ポリアミド樹脂成分に由来するガラス転移が検出される。完全非晶を仮定した場合の比熱差(ΔCp0)に対する、実測されたポリアミド樹脂組成物中のポリアミド樹脂のガラス転移温度前後での比熱差(ΔCps)の割合から、可動非晶量((ΔCps/ΔCp0)×100%))を求めた。
参考例1(リジン脱炭酸酵素の調製)
E.coli JM109株の培養は以下のように行った。まず、この菌株をLB培地5mlに1白金耳植菌し、30℃で24時間振とうして前培養を行った。
E.coli JM109株の培養は以下のように行った。まず、この菌株をLB培地5mlに1白金耳植菌し、30℃で24時間振とうして前培養を行った。
次に、LB培地50mlを500mlの三角フラスコに入れ、予め115℃、10分間蒸気滅菌した。この培地に前培養した上記菌株を植え継ぎ、振幅30cm、180rpmの条件下で、1N塩酸水溶液でpHを6.0に調整しながら、24時間培養した。こうして得られた菌体を集め、超音波破砕および遠心分離により無細胞抽出液を調製した。これらのリジン脱炭酸酵素活性の測定を定法に従って行った(左右田健次,味園春雄,生化学実験講座,vol.11上,P.179−191(1976))。
リジンを基質とした場合、本来の主経路と考えられるリジンモノオキシゲナーゼ、リジンオキシダーゼおよびリジンムターゼによる転換が起こり得るので、この反応系を遮断する目的で75℃で5分間、E.coliJM109株の無細胞抽出液を加熱した。さらにこの無細胞抽出液を40%飽和および55%飽和硫酸アンモニウムにより分画した。こうして得られた粗精製リジン脱炭酸酵素溶液を用いて、リジンからペンタメチレンジアミンの生成を行った。
参考例2(ペンタメチレンジアミンの製造)
50mMリジン塩酸塩(和光純薬工業(株)製)、0.1mMピリドキサルリン酸(和光純薬工業(株)製)、40mg/L−粗精製リジン脱炭酸酵素(参考例1で調製)となるように調製した水溶液1000mlを、0.1N塩酸水溶液でpHを5.5〜6.5に維持しながら、45℃で48時間反応させ、ペンタメチレンジアミン塩酸塩を得た。この水溶液に水酸化ナトリウムを添加することによってペンタメチレンジアミン塩酸塩をペンタメチレンジアミンに変換し、クロロホルムで抽出して、減圧蒸留(1.07kPa、70℃)することにより、ペンタメチレンジアミンを得た。
50mMリジン塩酸塩(和光純薬工業(株)製)、0.1mMピリドキサルリン酸(和光純薬工業(株)製)、40mg/L−粗精製リジン脱炭酸酵素(参考例1で調製)となるように調製した水溶液1000mlを、0.1N塩酸水溶液でpHを5.5〜6.5に維持しながら、45℃で48時間反応させ、ペンタメチレンジアミン塩酸塩を得た。この水溶液に水酸化ナトリウムを添加することによってペンタメチレンジアミン塩酸塩をペンタメチレンジアミンに変換し、クロロホルムで抽出して、減圧蒸留(1.07kPa、70℃)することにより、ペンタメチレンジアミンを得た。
以下実施例および比較例において、ポリアミド樹脂組成物の原料は以下に示すものを用いた。
ペンタメチレンジアミン:参考例2
ヘキサメチレンジアミン:東京化成工業(株)製 D0095
2−メチル−1,5−ペンタンジアミン:東京化成工業(株)製 M0205
デカンジアミン:小倉合成工業(株)製
テレフタル酸:三井化学(株)製 高純度テレフタル酸
イソフタル酸:東京化成工業(株)製 I0157
アジピン酸:和光純薬工業(株)製 和光特級
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸:東京化成工業(株)製 C0788
タルク:日本タルク(株)製 SG2000(平均粒子径:1μm)
ワラストナイト:NYCO Minerals社製 NYGLOS8(平均粒子径:8μ m)
ガラス繊維:日本電気硝子(株)製 T−275(繊維径:10μm、繊維長:3mm)
ヨウ化銅(I):シグマアルドリッチジャパン(株)製 97%1級
ヨウ化カリウム:シグマアルドリッチジャパン(株)製 99.5%1級。
ペンタメチレンジアミン:参考例2
ヘキサメチレンジアミン:東京化成工業(株)製 D0095
2−メチル−1,5−ペンタンジアミン:東京化成工業(株)製 M0205
デカンジアミン:小倉合成工業(株)製
テレフタル酸:三井化学(株)製 高純度テレフタル酸
イソフタル酸:東京化成工業(株)製 I0157
アジピン酸:和光純薬工業(株)製 和光特級
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸:東京化成工業(株)製 C0788
タルク:日本タルク(株)製 SG2000(平均粒子径:1μm)
ワラストナイト:NYCO Minerals社製 NYGLOS8(平均粒子径:8μ m)
ガラス繊維:日本電気硝子(株)製 T−275(繊維径:10μm、繊維長:3mm)
ヨウ化銅(I):シグマアルドリッチジャパン(株)製 97%1級
ヨウ化カリウム:シグマアルドリッチジャパン(株)製 99.5%1級。
実施例1〜6
参考例2で調製したペンタメチレンジアミン2606g、ヘキサメチレンジアミン2824g、テレフタル酸7849g、イオン交換水4333gを反応容器に仕込み、密閉し、窒素置換した。加熱を開始して、缶内圧力が2.5MPaに到達した後、水分を系外へ放出させながら缶内圧力2.5MPaに保持しながら缶内温度が290℃になるまで昇温した。缶内温度が290℃に到達した後、反応容器から内容物をクーリングベルト上に吐出した。これを120℃で24時間真空乾燥して低次縮合物を得た。前記低次縮合物を二軸押出機((株)日本製鋼所製TEX30型)にメインフィーダー(上流側供給口)から供給し、ポリアミド樹脂の融点+20℃、スクリュー回転数100rpmにて溶融高重合度化した。押出されたガットをペレタイズした後、120℃で24時間真空乾燥してポリアミド樹脂を得た。得られたポリアミド樹脂の硫酸相対粘度は2.69、融点は308℃であった。
参考例2で調製したペンタメチレンジアミン2606g、ヘキサメチレンジアミン2824g、テレフタル酸7849g、イオン交換水4333gを反応容器に仕込み、密閉し、窒素置換した。加熱を開始して、缶内圧力が2.5MPaに到達した後、水分を系外へ放出させながら缶内圧力2.5MPaに保持しながら缶内温度が290℃になるまで昇温した。缶内温度が290℃に到達した後、反応容器から内容物をクーリングベルト上に吐出した。これを120℃で24時間真空乾燥して低次縮合物を得た。前記低次縮合物を二軸押出機((株)日本製鋼所製TEX30型)にメインフィーダー(上流側供給口)から供給し、ポリアミド樹脂の融点+20℃、スクリュー回転数100rpmにて溶融高重合度化した。押出されたガットをペレタイズした後、120℃で24時間真空乾燥してポリアミド樹脂を得た。得られたポリアミド樹脂の硫酸相対粘度は2.69、融点は308℃であった。
前記ポリアミド樹脂と非繊維状無機充填材およびその他添加剤を表1で示す配合比でドライブレンドした後、二軸押出機((株)日本製鋼所製TEX30型)のメインフィーダー(上流側供給口)から供給し、繊維状無機充填材を表1で示す配合比でサイドフィーダー(下流側供給口)から供給し、ポリアミド樹脂の融点+20℃、スクリュー回転数150rpmで溶融混練した。押出されたガットをペレタイズした後、120℃で24時間真空乾燥してポリアミド樹脂組成物を得た。
得られたポリアミド樹脂組成物を、射出成形機(住友重機工業(株)製SG75H−MIV)を用いて、シリンダー温度をポリアミド樹脂の融点+20℃、金型温度を150℃、射出圧力を下限圧+0.5MPaに設定し、射出成形することにより各試験片を作製した。試験片は、吸水しないように、射出成形直後にシール袋に保管し、前記方法により曲げ強度、曲げ弾性率および高温剛性を評価した。表1に結果を示した。
また、実施例1で使用したポリアミド樹脂のΔCp0は0.4J/K・gであり、実施例1で得られたポリアミド樹脂組成物中のポリアミド樹脂の可動非晶量は47%であった。
比較例1〜3、9
表2に示すポリアミド樹脂のみを二軸押出機のメインフィーダーから供給し、非繊維状無機充填材を配合しないこと、繊維状無機充填材の配合量を表2に示すとおりとしたこと以外は実施例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物を得て、特性評価を行った。表2に結果を示した。
表2に示すポリアミド樹脂のみを二軸押出機のメインフィーダーから供給し、非繊維状無機充填材を配合しないこと、繊維状無機充填材の配合量を表2に示すとおりとしたこと以外は実施例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物を得て、特性評価を行った。表2に結果を示した。
また、比較例1で得られたポリアミド樹脂組成物中のポリアミド樹脂の可動非晶量は63%であった。
比較例4〜5
非繊維状無機充填材の配合量を表2に示すとおりに変更し、繊維状無機充填材を配合しないこと以外は実施例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物を得て、特性評価を行った。表2に結果を示した。
非繊維状無機充填材の配合量を表2に示すとおりに変更し、繊維状無機充填材を配合しないこと以外は実施例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物を得て、特性評価を行った。表2に結果を示した。
比較例6
表2に示すポリアミド樹脂のみを二軸押出機のメインフィーダーから供給し、非繊維状無機充填材および繊維状無機充填材を配合しないこと以外は実施例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物を得て、特性評価を行った。表2に結果を示した。
表2に示すポリアミド樹脂のみを二軸押出機のメインフィーダーから供給し、非繊維状無機充填材および繊維状無機充填材を配合しないこと以外は実施例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物を得て、特性評価を行った。表2に結果を示した。
比較例7〜8
非繊維状無機充填材または繊維状無機充填材の配合量を表2に示すとおりに変更したこと以外は実施例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物を得て、特性評価を行った。表2に結果を示した。
非繊維状無機充填材または繊維状無機充填材の配合量を表2に示すとおりに変更したこと以外は実施例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物を得て、特性評価を行った。表2に結果を示した。
実施例1と比較例1〜3、9の比較から、非繊維状無機充填材を特定量含有するポリアミド樹脂組成物は、優れた曲げ強度および高い高温剛性(Tm−TDTUL)を示すことがわかる。また、非繊維状無機充填材を特定量含有することによって、曲げ強度が飛躍的に向上することがわかる。本結果はペンタメチレンジアミンを含有するポリアミド樹脂組成物の特徴といえる。さらに、実施例1と比較例1の比較から、非繊維状無機充填材を含有するポリアミド樹脂組成物は、可動非晶量が少ないことがわかる。これは、非繊維状無機充填材による非晶部の分子運動性抑制効果が発現したためといえる。
また、実施例1と比較例4〜5の比較から、ポリアミド樹脂に非繊維状無機充填材のみ溶融混練しても曲げ弾性率および高温剛性は向上するものの、繊維状無機充填材を特定量併用したポリアミド樹脂組成物と比較して、曲げ強度および高温剛性が著しく低いことがわかる。
比較例10
2−メチル−1,5−ペンタメチレンジアミン2820g、ヘキサメチレンジアミン2820g、テレフタル酸7650g、イオン交換水4333gを反応容器に仕込み、密閉し、窒素置換した。加熱を開始して、缶内圧力が2.5MPaに到達した後、水分を系外へ放出させながら缶内圧力2.5MPaに保持しながら缶内温度が290℃になるまで昇温した。缶内温度が290℃に到達した後、反応容器から内容物をクーリングベルト上に吐出した。これを120℃で24時間真空乾燥して低次縮合物を得た。前記低次縮合物を二軸押出機((株)日本製鋼所製TEX30型)にメインフィーダー(上流側供給口)から供給し、ポリアミド樹脂の融点+20℃、スクリュー回転数100rpmにて溶融高重合度化した。押出されたガットをペレタイズした後、120℃で24時間真空乾燥してポリアミド樹脂を得た。得られたポリアミド樹脂の硫酸相対粘度は2.45、融点は306℃であった。
2−メチル−1,5−ペンタメチレンジアミン2820g、ヘキサメチレンジアミン2820g、テレフタル酸7650g、イオン交換水4333gを反応容器に仕込み、密閉し、窒素置換した。加熱を開始して、缶内圧力が2.5MPaに到達した後、水分を系外へ放出させながら缶内圧力2.5MPaに保持しながら缶内温度が290℃になるまで昇温した。缶内温度が290℃に到達した後、反応容器から内容物をクーリングベルト上に吐出した。これを120℃で24時間真空乾燥して低次縮合物を得た。前記低次縮合物を二軸押出機((株)日本製鋼所製TEX30型)にメインフィーダー(上流側供給口)から供給し、ポリアミド樹脂の融点+20℃、スクリュー回転数100rpmにて溶融高重合度化した。押出されたガットをペレタイズした後、120℃で24時間真空乾燥してポリアミド樹脂を得た。得られたポリアミド樹脂の硫酸相対粘度は2.45、融点は306℃であった。
前記ポリアミド樹脂と非繊維状無機充填材を表3で示す配合比でドライブレンドした後、二軸押出機((株)日本製鋼所製TEX30型)のメインフィーダー(上流側供給口)から供給し、繊維状無機充填材を表3で示す配合比でサイドフィーダー(下流側供給口)から供給し、ポリアミド樹脂の融点+20℃、スクリュー回転数150rpmで溶融混練した。押出されたガットをペレタイズした後、120℃で24時間真空乾燥してポリアミド樹脂組成物を得た。
得られたポリアミド樹脂組成物から実施例1と同様に試験片を作製し、特性評価を行った。表3に結果を示した。ここで、比較例10で使用したポリアミド樹脂のΔCp0は0.4J/K・gであり、比較例10で得られたポリアミド樹脂組成物中のポリアミド樹脂の可動非晶量は51%であった。
比較例11
表3に示すポリアミド樹脂のみを二軸押出機のメインフィーダーから供給し、非繊維状無機充填材を配合しないこと以外は比較例10と同様にしてポリアミド樹脂組成物を得て、特性評価を行った。表3に結果を示した。また、比較例11で得られたポリアミド樹脂組成物中のポリアミド樹脂の可動非晶量は52%であった。
表3に示すポリアミド樹脂のみを二軸押出機のメインフィーダーから供給し、非繊維状無機充填材を配合しないこと以外は比較例10と同様にしてポリアミド樹脂組成物を得て、特性評価を行った。表3に結果を示した。また、比較例11で得られたポリアミド樹脂組成物中のポリアミド樹脂の可動非晶量は52%であった。
比較例12
ヘキサメチレンジアミン5511g、テレフタル酸5130g、イソフタル酸2520g、イオン交換水4333gを反応容器に仕込み、密閉し、窒素置換した。加熱を開始して、缶内圧力が2.5MPaに到達した後、水分を系外へ放出させながら缶内圧力2.5MPaに保持しながら缶内温度が310℃になるまで昇温した。缶内温度が310℃に到達した後、反応容器から内容物をクーリングベルト上に吐出した。これを120℃で24時間真空乾燥して低次縮合物を得た。前記低次縮合物を二軸押出機((株)日本製鋼所製TEX30型)にメインフィーダー(上流側供給口)から供給し、ポリアミド樹脂の融点+20℃、スクリュー回転数100rpmにて溶融高重合度化した。押出されたガットをペレタイズした後、120℃で24時間真空乾燥してポリアミド樹脂を得た。得られたポリアミド樹脂の硫酸相対粘度は2.26、融点は317℃であった。
ヘキサメチレンジアミン5511g、テレフタル酸5130g、イソフタル酸2520g、イオン交換水4333gを反応容器に仕込み、密閉し、窒素置換した。加熱を開始して、缶内圧力が2.5MPaに到達した後、水分を系外へ放出させながら缶内圧力2.5MPaに保持しながら缶内温度が310℃になるまで昇温した。缶内温度が310℃に到達した後、反応容器から内容物をクーリングベルト上に吐出した。これを120℃で24時間真空乾燥して低次縮合物を得た。前記低次縮合物を二軸押出機((株)日本製鋼所製TEX30型)にメインフィーダー(上流側供給口)から供給し、ポリアミド樹脂の融点+20℃、スクリュー回転数100rpmにて溶融高重合度化した。押出されたガットをペレタイズした後、120℃で24時間真空乾燥してポリアミド樹脂を得た。得られたポリアミド樹脂の硫酸相対粘度は2.26、融点は317℃であった。
前記ポリアミド樹脂と非繊維状無機充填材を表3で示す配合比でドライブレンドした後、二軸押出機((株)日本製鋼所製TEX30型)のメインフィーダー(上流側供給口)から供給し、繊維状無機充填材を表3で示す配合比でサイドフィーダー(下流側供給口)から供給し、ポリアミド樹脂の融点+20℃、スクリュー回転数150rpmで溶融混練した。押出されたガットをペレタイズした後、120℃で24時間真空乾燥してポリアミド樹脂組成物を得た。
得られたポリアミド樹脂組成物から実施例1と同様に試験片を作製し、特性評価を行った。表3に結果を示した。
比較例13
表3に示すポリアミド樹脂のみを二軸押出機のメインフィーダーから供給し、非繊維状無機充填材を配合しないこと以外は比較例12と同様にしてポリアミド樹脂組成物を得て、特性評価を行った。表3に結果を示した。
表3に示すポリアミド樹脂のみを二軸押出機のメインフィーダーから供給し、非繊維状無機充填材を配合しないこと以外は比較例12と同様にしてポリアミド樹脂組成物を得て、特性評価を行った。表3に結果を示した。
比較例14
ヘキサメチレンジアミン5760g、テレフタル酸3450g、アジピン酸4000g、イオン交換水4333gを反応容器に仕込み、密閉し、窒素置換した。加熱を開始して、缶内圧力が2.5MPaに到達した後、水分を系外へ放出させながら缶内圧力2.5MPaに保持しながら缶内温度が290℃になるまで昇温した。缶内温度が290℃に到達した後、反応容器から内容物をクーリングベルト上に吐出した。これを120℃で24時間真空乾燥して低次縮合物を得た。前記低次縮合物を二軸押出機((株)日本製鋼所製TEX30型)にメインフィーダー(上流側供給口)から供給し、ポリアミド樹脂の融点+20℃、スクリュー回転数100rpmにて溶融高重合度化した。押出されたガットをペレタイズした後、120℃で24時間真空乾燥してポリアミド樹脂を得た。得られたポリアミド樹脂の硫酸相対粘度は2.35、融点は298℃であった。
ヘキサメチレンジアミン5760g、テレフタル酸3450g、アジピン酸4000g、イオン交換水4333gを反応容器に仕込み、密閉し、窒素置換した。加熱を開始して、缶内圧力が2.5MPaに到達した後、水分を系外へ放出させながら缶内圧力2.5MPaに保持しながら缶内温度が290℃になるまで昇温した。缶内温度が290℃に到達した後、反応容器から内容物をクーリングベルト上に吐出した。これを120℃で24時間真空乾燥して低次縮合物を得た。前記低次縮合物を二軸押出機((株)日本製鋼所製TEX30型)にメインフィーダー(上流側供給口)から供給し、ポリアミド樹脂の融点+20℃、スクリュー回転数100rpmにて溶融高重合度化した。押出されたガットをペレタイズした後、120℃で24時間真空乾燥してポリアミド樹脂を得た。得られたポリアミド樹脂の硫酸相対粘度は2.35、融点は298℃であった。
前記ポリアミド樹脂と非繊維状無機充填材を表3で示す配合比でドライブレンドした後、二軸押出機((株)日本製鋼所製TEX30型)のメインフィーダー(上流側供給口)から供給し、繊維状無機充填材を表3で示す配合比でサイドフィーダー(下流側供給口)から供給し、ポリアミド樹脂の融点+20℃、スクリュー回転数150rpmで溶融混練した。押出されたガットをペレタイズした後、120℃で24時間真空乾燥してポリアミド樹脂組成物を得た。
得られたポリアミド樹脂組成物から、金型温度を120℃に変更する以外は実施例1と同様に試験片を作製し、特性評価を行った。表3に結果を示した。
比較例15
表3に示すポリアミド樹脂のみを二軸押出機のメインフィーダーから供給し、非繊維状無機充填材を配合しないこと以外は比較例14と同様にしてポリアミド樹脂組成物を得て、特性評価を行った。表3に結果を示した。
表3に示すポリアミド樹脂のみを二軸押出機のメインフィーダーから供給し、非繊維状無機充填材を配合しないこと以外は比較例14と同様にしてポリアミド樹脂組成物を得て、特性評価を行った。表3に結果を示した。
比較例10と11、12と13、14と15の比較から、ジアミン成分として炭素数が偶数であるジアミンまたは分岐構造を持つジアミンを用いたポリアミド樹脂を含むポリアミド樹脂組成物は、繊維状無機充填材と非繊維状無機充填材を併用することによる曲げ強度および高温剛性の向上効果が小さいことがわかる。また、実施例1と比較例1、および比較例10と11の比較から、非繊維状無機充填材によるポリアミド樹脂組成物中の非晶部の分子運動性抑制効果の発現は、ペンタメチレンジアミンを含有するポリアミド樹脂組成物の特徴といえる。
実施例7
参考例2で調製したペンタメチレンジアミン1546g、デカンジアミン3100g、テレフタル酸5422g、イオン交換水4333gを反応容器に仕込み、密閉し、窒素置換した。加熱を開始して、缶内圧力が2.5MPaに到達した後、水分を系外へ放出させながら缶内圧力2.5MPaに保持しながら缶内温度が260℃になるまで昇温した。缶内温度が260℃に到達した後、反応容器から内容物をクーリングベルト上に吐出した。これを120℃で24時間真空乾燥して低次縮合物を得た。前記低次縮合物を二軸押出機((株)日本製鋼所製TEX30型)にメインフィーダー(上流側供給口)から供給し、ポリアミド樹脂の融点+20℃、スクリュー回転数100rpmにて溶融高重合度化した。押出されたガットをペレタイズした後、120℃で24時間真空乾燥してポリアミド樹脂を得た。得られたポリアミド樹脂の硫酸相対粘度は2.43、融点は277℃であった。
参考例2で調製したペンタメチレンジアミン1546g、デカンジアミン3100g、テレフタル酸5422g、イオン交換水4333gを反応容器に仕込み、密閉し、窒素置換した。加熱を開始して、缶内圧力が2.5MPaに到達した後、水分を系外へ放出させながら缶内圧力2.5MPaに保持しながら缶内温度が260℃になるまで昇温した。缶内温度が260℃に到達した後、反応容器から内容物をクーリングベルト上に吐出した。これを120℃で24時間真空乾燥して低次縮合物を得た。前記低次縮合物を二軸押出機((株)日本製鋼所製TEX30型)にメインフィーダー(上流側供給口)から供給し、ポリアミド樹脂の融点+20℃、スクリュー回転数100rpmにて溶融高重合度化した。押出されたガットをペレタイズした後、120℃で24時間真空乾燥してポリアミド樹脂を得た。得られたポリアミド樹脂の硫酸相対粘度は2.43、融点は277℃であった。
前記ポリアミド樹脂と非繊維状無機充填材を表4で示す配合比でドライブレンドした後、二軸押出機((株)日本製鋼所製TEX30型)のメインフィーダー(上流側供給口)から供給し、繊維状無機充填材を表4で示す配合比でサイドフィーダー(下流側供給口)から供給し、ポリアミド樹脂の融点+20℃、スクリュー回転数150rpmで溶融混練した。押出されたガットをペレタイズした後、120℃で24時間真空乾燥してポリアミド樹脂組成物を得た。
得られたポリアミド樹脂組成物から、金型温度を140℃に変更したこと以外は実施例1と同様に試験片を作製し、特性評価を行った。
表4に結果を示した。
表4に結果を示した。
比較例16
表4に示すポリアミド樹脂のみを二軸押出機のメインフィーダーから供給し、非繊維状無機充填材を配合しないこと以外は実施例7と同様にしてポリアミド樹脂組成物を得て、特性評価を行った。表4に結果を示した。
表4に示すポリアミド樹脂のみを二軸押出機のメインフィーダーから供給し、非繊維状無機充填材を配合しないこと以外は実施例7と同様にしてポリアミド樹脂組成物を得て、特性評価を行った。表4に結果を示した。
実施例8
参考例2で調製したペンタメチレンジアミン1680g、デカンジアミン4316g、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸7070g、イオン交換水4333gを反応容器に仕込み、密閉し、窒素置換した。加熱を開始して、缶内圧力が2.5MPaに到達した後、水分を系外へ放出させながら缶内圧力2.5MPaに保持しながら缶内温度が300℃になるまで昇温した。缶内温度が300℃に到達した後、反応容器から内容物をクーリングベルト上に吐出した。これを120℃で24時間真空乾燥して低次縮合物を得た。前記低次縮合物を二軸押出機((株)日本製鋼所製TEX30型)にメインフィーダー(上流側供給口)から供給し、ポリアミド樹脂の融点+20℃、スクリュー回転数100rpmにて溶融高重合度化した。押出されたガットをペレタイズした後、120℃で24時間真空乾燥してポリアミド樹脂を得た。得られたポリアミド樹脂の硫酸相対粘度は2.51、融点は295℃であった。
参考例2で調製したペンタメチレンジアミン1680g、デカンジアミン4316g、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸7070g、イオン交換水4333gを反応容器に仕込み、密閉し、窒素置換した。加熱を開始して、缶内圧力が2.5MPaに到達した後、水分を系外へ放出させながら缶内圧力2.5MPaに保持しながら缶内温度が300℃になるまで昇温した。缶内温度が300℃に到達した後、反応容器から内容物をクーリングベルト上に吐出した。これを120℃で24時間真空乾燥して低次縮合物を得た。前記低次縮合物を二軸押出機((株)日本製鋼所製TEX30型)にメインフィーダー(上流側供給口)から供給し、ポリアミド樹脂の融点+20℃、スクリュー回転数100rpmにて溶融高重合度化した。押出されたガットをペレタイズした後、120℃で24時間真空乾燥してポリアミド樹脂を得た。得られたポリアミド樹脂の硫酸相対粘度は2.51、融点は295℃であった。
前記ポリアミド樹脂と非繊維状無機充填材を表4で示す配合比でドライブレンドした後、二軸押出機((株)日本製鋼所製TEX30型)のメインフィーダー(上流側供給口)から供給し、繊維状無機充填材を表4で示す配合比でサイドフィーダー(下流側供給口)から供給し、ポリアミド樹脂の融点+20℃、スクリュー回転数150rpmで溶融混練した。押出されたガットをペレタイズした後、120℃で24時間真空乾燥してポリアミド樹脂組成物を得た。
得られたポリアミド樹脂組成物から実施例1と同様に試験片を作製し、特性評価を行った。表4に結果を示した。
比較例17
表4に示すポリアミド樹脂のみを二軸押出機のメインフィーダーから供給し、非繊維状無機充填材を配合しないこと以外は実施例8と同様にしてポリアミド樹脂組成物を得て、特性評価を行った。表4に結果を示した。
表4に示すポリアミド樹脂のみを二軸押出機のメインフィーダーから供給し、非繊維状無機充填材を配合しないこと以外は実施例8と同様にしてポリアミド樹脂組成物を得て、特性評価を行った。表4に結果を示した。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、曲げ強度および高温剛性に優れる特長を活かして、自動車用部品および電気・電子機器用部品などに好適に用いることができる。
Claims (11)
- (A)ジアミン単位とジカルボン酸単位を含むポリアミド樹脂であって、ジアミン単位中、ペンタメチレンジアミン単位を10〜100モル%含むポリアミド樹脂100重量部に対して、(B)非繊維状無機充填材0.05〜10重量部および(C)繊維状無機充填材10〜200重量部を含有するポリアミド樹脂組成物。
- 前記(A)ポリアミド樹脂が、ジカルボン酸単位中、テレフタル酸単位および/またはシクロヘキサンジカルボン酸単位を50〜100モル%含む請求項1記載のポリアミド樹脂組成物。
- 前記(A)ポリアミド樹脂が、ジアミン単位中、ペンタメチレンジアミン単位を10〜80モル%含む請求項1または2記載のポリアミド樹脂組成物。
- 前記(B)非繊維状無機充填材に対する(C)繊維状無機充填材の重量比(C)/(B)が5〜1000である請求項1〜3いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
- 前記(A)ポリアミド樹脂の可動非晶量が60%以下である請求項1〜4いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
- 前記(A)ポリアミド樹脂におけるジアミン単位が、炭素数6以上の直鎖脂肪族ジアミン単位をさらに含む請求項1〜5いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
- 前記(A)ポリアミド樹脂における炭素数6以上の直鎖脂肪族ジアミン単位が、ヘキサメチレンジアミン単位、デカンジアミン単位およびドデカンジアミン単位からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項6に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 前記(B)非繊維状無機充填材が、タルク、カオリン、ワラストナイトおよびマイカからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜7いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
- 前記(C)繊維状無機充填材がガラス繊維および/または炭素繊維を含む請求項1〜8いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
- 請求項1〜9いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形品。
- 少なくとも前記(A)ポリアミド樹脂および(B)非繊維状無機充填材を溶融混練した後、さらに(C)繊維状無機充填材を配合して溶融混練する請求項1〜10いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法。
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JP2013243507A JP2014133871A (ja) | 2012-12-12 | 2013-11-26 | ポリアミド樹脂組成物およびその製造方法 |
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Cited By (3)
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JP2015178562A (ja) * | 2014-03-19 | 2015-10-08 | 宇部興産株式会社 | ポリアミド樹脂組成物 |
CN114920926A (zh) * | 2022-03-14 | 2022-08-19 | 金发科技股份有限公司 | 一种生物基聚酰胺树脂及其制备方法 |
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2013
- 2013-11-26 JP JP2013243507A patent/JP2014133871A/ja active Pending
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