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JP2014051822A - 鉄骨梁および柱梁接合構造 - Google Patents

鉄骨梁および柱梁接合構造 Download PDF

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JP2014051822A JP2012196905A JP2012196905A JP2014051822A JP 2014051822 A JP2014051822 A JP 2014051822A JP 2012196905 A JP2012196905 A JP 2012196905A JP 2012196905 A JP2012196905 A JP 2012196905A JP 2014051822 A JP2014051822 A JP 2014051822A
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Abstract

【課題】鉄骨梁に地震等により荷重が作用した場合に、せん断座屈に効果があり、かつ、フランジの局部座屈を緩やかに拘束して、変形能力を確保しつつ、過大な耐力上昇を抑制できる鉄骨梁および柱梁接合構造を提供する。
【解決手段】H形断面の鉄骨梁1の端部を補剛している補剛部材5が、鉄骨梁1の端部のウエブ3に設けられた縦スチフナ6と水平スチフナ7とで構成され、この縦スチフナ6の上下端部はそれぞれフランジ2,2と接合されていない。したがって、縦スチフナ6によってフランジ2,2の局部座屈が許容されるので、鉄骨梁のフランジの局部座屈を緩やかに拘束して、変形能力を確保しつつ、過大な耐力上昇を抑制できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、端部が補剛された鉄骨梁および柱梁接合構造に関する。
H形断面の鉄骨梁においては、フランジの座屈により部材の耐荷能力が急激に低下するという問題がある。この問題に対しては、大きな曲げモーメントを受ける部分にスチフナあるいは補強リブを設けて補剛したり、局部座屈を生じるおそれがある場合に、剛性を上げるための補強リブ等を設けることが一般に行われている。このような従来の補強形態の一例としては、特許文献1に記載されたものが知られている。この補強形態は、H形鋼のウエブの両側に2枚ずつ鋼板(水平スチフナ)を溶接したものである。
また、別の補強形態の一例として、特許文献2に記載されたものが知られている。この補強形態は、H形鋼からなる鉄骨梁の端部において、ウエブとフランジで囲まれた内側に、ウエブに面で接するようにコンクリートブロックを配置し、コンクリートブロックで前記ウエブを両側から押さえ付けて変形を拘束しつつ、鉄骨梁に作用する荷重によるフランジの局部変形を許容するようにしたものである。
実開昭52−69112号公報 特開平8−49349号公報
ところで、前記特許文献1に記載の鉄骨梁では、水平スチフナは、せん断座屈に対して効果が出難いという問題がある。
また、特許文献2に記載の鉄骨梁では、鉄骨梁の端部において、ウエブ全面における座屈変形の拘束をしているので、鉄骨梁に地震等により荷重が作用した場合に、フランジの局部変形(局部座屈)を許容しても、耐力が過大に上昇してしまい、その結果、鉄骨梁と柱との柱梁接合部に先行破壊が生じる可能性があり、望ましくない。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、鉄骨梁に地震等により荷重が作用した場合に、せん断座屈に効果があり、かつ、フランジの局部座屈を緩やかに拘束して、変形能力を確保しつつ、過大な耐力上昇を抑制できる鉄骨梁および柱梁接合構造を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明の鉄骨梁は、H形断面の鉄骨梁の端部が補剛部材によって補剛された鉄骨梁であって、
前記補剛部材は、前記鉄骨梁の端部のウエブに設けられて、当該鉄骨梁の長手方向と直交する縦スチフナ、または鉄骨梁を接合するウエブシャープレートで構成され、
この縦スチフナまたは鉄骨梁を接合するウエブシャープレートの上下端部はそれぞれ前記鉄骨梁のフランジと接合されていないことを特徴とする。
本発明においては、補剛部材が、鉄骨梁の端部のウエブに設けられて、当該鉄骨梁の長手方向と直交する縦スチフナ、または鉄骨梁を接合するウエブシャープレートで構成されているので、水平スチフナに比してウエブのせん断座屈に効果があるとともに、当該せん断座屈を従来のコンクリートブロックによるものに比して許容する。
また、縦スチフナまたはウエブシャープレートの上下端部はそれぞれ前記鉄骨梁のフランジと接合されていないので、縦スチフナによってフランジの局部座屈が許容される。したがって、鉄骨梁のフランジの局部座屈を緩やかに拘束して、変形能力を確保しつつ、過大な耐力上昇を抑制できる。
本発明の前記構成において、前記補剛部材が、前記縦スチフナまたはウエブシャープレートと、鉄骨梁の端部のウエブに設けられて、当該鉄骨梁の長手方向と平行な水平スチフナとを備えているのが好ましい。
縦スチフナは、ウエブの両面に互いに対向して設けるのが好ましい。
水平スチフナは、縦スチフナと接合されていてもよいし、接合されていなくてもよい。さらに、水平スチフナは平行に複数設けてもよい。また、水平スチフナは縦スチフナが設けられたウエブの面に設けてもよいし、この面の反対側の面に設けてもよい。さらに、水平スチフナは、縦スチフナと直交して設けてもよい。
このような構成によれば、水平スチフナと縦スチフナの併用により曲げ座屈とせん断座屈の双方に効果がある。
また、本発明の鉄骨梁は、H形断面の鉄骨梁の端部が補剛部材によって補剛された鉄骨梁であって、
前記補剛部材は、前記鉄骨梁の端部のウエブに設けられて、当該鉄骨梁の長手方向と斜めに交差する斜めスチフナで構成され、
この斜めスチフナの上下端部はそれぞれ前記鉄骨梁のフランジと接合されていないことを特徴とする。
本発明においては、補剛部材が、鉄骨梁の端部のウエブに設けられて、当該鉄骨梁の長手方向と斜めに交差する斜めスチフナで構成されているので、水平スチフナに比してせん断座屈に効果があるとともに、曲げ座屈にも効果があり、さらに当該せん断座屈を従来のコンクリートブロックによるものに比して許容する。
また、斜めスチフナの上下端部はそれぞれ前記鉄骨梁のフランジと接合されていないので、斜めスチフナによってフランジの局部座屈が許容される。したがって、鉄骨梁のフランジの局部座屈を緩やかに拘束して、変形能力を確保しつつ、過大な耐力上昇を抑制できる。
また、本発明の柱梁接合構造は、端部が補剛部材によって補剛された鉄骨梁が柱に接合されていることを特徴とする。
本発明においては、鉄骨梁に地震等により荷重が作用した場合に、フランジの局部座屈を緩やかに拘束して、変形能力を確保しつつ、過大な耐力上昇を抑制できるので、鉄骨梁の耐力が過大に上昇することがなく、その結果、鉄骨梁と柱との柱梁接合部の健全性を保つことができる。
本発明によれば、鉄骨梁に地震等により荷重が作用した場合に、フランジの局部座屈を緩やかに拘束して、変形能力を確保しつつ、過大な耐力上昇を抑制できる。
本発明の第1の実施の形態に係る柱梁接合構造を示すもので、(a)は側面図、(b)は(a)におけるA−A線断面図である。 同、第1変形例を示す側面図である。 同、第2変形例を示す側面図である。 同、第3変形例を示す側面図である。 同、第4変形例を示す側面図である。 同、第5変形例を示す側面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る柱梁接合構造を示す側面図である。 試験に用いる載荷装置を示す正面図である。 鉄骨梁の載荷試験の結果を示すグラフである。 本発明の第3の実施の形態に係る柱梁接合構造を示すもので、(a)は側面図、(b)は(a)におけるA−A線断面図である。 同、第1変形例を示す側面図である。 同、第2変形例を示す側面図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
(第1の実施の形態)
図1は第1の実施の形態に係る柱梁接合構造を示すもので、(a)は側面図、(b)は(a)におけるA−A線断面図である。
図1(a)および図1(b)において、符号1は鉄骨梁を示す。この鉄骨梁1はH形鋼によって形成されたH形断面のものであり、上下一対のフランジ2,2とこれらフランジ2,2の間に当該フランジ2,2を繋げるように形成されたウエブ3とによって構成されている。
前記鉄骨梁1の端部は補剛部材5によって補剛されている。この補剛部材5は、縦スチフナ6と水平スチフナ7とによって構成されている。
縦スチフナ6は、鉄骨梁1の端部のウエブ3に設けられて、当該鉄骨梁1の長手方向(図1(a)において左右方向)と直交して配置されている。縦スチフナ5は、上下に長尺な矩形板状の鋼板で形成されており、ウエブ3の両面にそれぞれ対向して溶接されている。つまり、縦スチフナ6はウエブ3の端部に当該ウエブ3を挟んで2つ設けられている。
縦スチフナ6の上下端部は、フランジ2,2と接合されておらず、当該縦スチフナ6の上下端部とフランジ2,2との間には所定の隙間が設けられている。また、縦スチフナ6のウエブ3からの突出長さは、フランジ2のウエブ3からの突出長さより短く設定されている。
なお、縦スチフナ6の上下端部は、フランジ2,2と溶接等によって接合されていなければよく、単にフランジ2,2に当接されているだけでもよい。
前記水平スチフナ7は、鉄骨梁1の端部のウエブ3に設けられて、当該鉄骨梁1の長手方向と平行に配置されている。水平スチフナ7は、左右に長尺な矩形板状の鋼板で形成されており、ウエブ3の両面にそれぞれ対向して溶接されている。つまり、縦スチフナ7はウエブ3の端部に当該ウエブ3を挟んで2つ設けられている。
水平スチフナ7はウエブ3の上下方向中央部に配置されており、一方の端部(図1(a)において右端部)は、縦スチフナ6の上下方向中央部に当接されるか、または溶接等によって接合されている。また、水平スチフナ7のウエブ3からの突出長さは、縦スチフナ6のウエブ3からの突出長さと等しく設定されている。
前記構成の鉄骨梁1は、柱10に接合されている。柱10はどのような構造のものでもよいが、本実施の形態では、例えば筒状の鋼管柱10によって構成されている。そして、鉄骨梁1の端部は柱10の外面に直接溶接等によって接合されるか、柱10に形成された仕口部を介して溶接やボルト接合等によって接合されている。
前記鉄骨梁1では、補剛部材5が縦スチフナ6と水平スチフナ7とによって構成されているので、これらの併用により曲げ座屈とせん断座屈の双方に効果がある。
また、縦スチフナ6は鉄骨梁1のウエブ3に設けられて、当該鉄骨梁1の長手方向と直交しているので、水平スチフナ7に比してウエブ3のせん断座屈に効果があるとともに、当該せん断座屈を従来のコンクリートブロックによるものに比して許容する。
さらに、縦スチフナ6の上下端部と鉄骨梁1のフランジ2,2との間には、所定の隙間があるので、縦スチフナ6によってフランジの局部座屈が許容される。したがって、鉄骨梁1のフランジ2,2の局部座屈を緩やかに拘束して、変形能力を確保しつつ、過大な耐力上昇を抑制できる。
このように、鉄骨梁1に地震等により荷重が作用した場合に、フランジ2,2の局部座屈を緩やかに拘束して、変形能力を確保しつつ、過大な耐力上昇を抑制できるので、鉄骨梁1の耐力が過大に上昇することがなく、その結果、鉄骨梁1と柱10との柱梁接合部の健全性を保つことができる。
図2は、鉄骨梁の第1変形例を示す側面図である。この図に示す鉄骨梁1aが前記鉄骨梁1と異なる点は、水平スチフナ7の一方の端部と、縦スチフナ6との間に所定の隙間が設けられている点であり、他の構成は図1に示すものと等しいので、共通部分には同一符号を付してその説明を省略する。
このような構成の鉄骨梁1aおよび柱梁接合構造では、前記鉄骨梁1および柱梁接合構造と同様の効果が得られる他、水平スチフナ7を縦スチフナ6に溶接する手間を省くことができるという利点がある。
図3は、鉄骨梁の第2変形例を示す側面図である。この図に示す鉄骨梁1bが前記鉄骨梁1と異なる点は、ウエブ3の一方の面に縦スチフナ6が設けられ、他方の面に水平スチフナ7が設けられている点であり、他の構成は図1に示すものと等しいので、共通部分には同一符号を付してその説明を省略する。
このような構成の鉄骨梁1bおよび柱梁接合構造は、比較的小規模のビル等の構造物に適用するのが好ましい。
また、前記鉄骨梁1および柱梁接合構造と同様の効果が得られる他、縦スチフナ6と水平スチフナ7とが、鉄骨梁1bの端部においてそれぞれ1つずつであるので、その分材料費や縦スチフナ6および水平スチフナをウエブ3に溶接する手間を軽減できるという利点がある。
図4は、鉄骨梁の第3変形例を示す側面図である。この図に示す鉄骨梁1cが前記鉄骨梁1bと異なる点は、ウエブ3の他方の面に設けられた水平スチフナ7の長さであり、他の構成は図3に示すものと等しいので、共通部分には同一符号を付してその説明を省略する。
本例では、縦スチフナ6と反対のウエブ3の面に設けられている水平スチフナ7が側面視において、縦スチフナ6と直交している。
このような構成の鉄骨梁1cおよび柱梁接合構造では、前記鉄骨梁1bおよび柱梁接合構造と同様の効果が得られる他、図3に示すものに比して水平スチフナ7が長いので、曲げ座屈に対しての効果が大きい。
図5は、鉄骨梁の第4変形例を示す側面図である。この図に示す鉄骨梁1dが前記鉄骨梁1と異なる点は、水平スチフナ7がウエブ3の両面において、それぞれ2つずつ配置されている点
であり、他の構成は図1に示すものと等しいので、共通部分には同一符号を付してその説明を省略する。
本例では、ウエブ3の両面においてそれぞれ2つの水平スチフナ7,7が上下に離間して平行に配置されている。ウエブ3の上下の長さを3等分した位置において、2つの水平スチフナ7,7が設けられている。
このような構成の鉄骨梁1dおよび柱梁接合構造では、前記鉄骨梁1および柱梁接合構造と同様の効果が得られる他、水平スチフナ7がウエブ3の両面においてそれぞれ2つあるので、図1に示すものに比して、曲げ座屈に対しての効果が大きい。
図6は、鉄骨梁の第5変形例を示す側面図である。この図に示す鉄骨梁1eが前記鉄骨梁1と異なる点は、柱10が鉄骨梁1eとウエブシャープレート8と接合されている点であり、他の構成は図1に示すものと等しいので、共通部分には同一符号を付してその説明を省略する。
このような構成の鉄骨梁1eおよび柱梁接合構造では、前記鉄骨梁1および柱梁接合構造と同様の効果が得られる他、柱10と鉄骨梁1eを強固に接合できるという利点がある。
(第2の実施の形態)
図7は第2の実施の形態に係る柱梁接合構造を示す側面図であり、図7において符号11は鉄骨梁を示す。
この鉄骨梁11は、図1に示すものと同様に、H形鋼によって形成されたH形断面のものであり、上下一対のフランジ2,2とこれらフランジ2,2の間に当該フランジ2,2を繋げるように形成されたウエブ3とによって構成されている。
前記鉄骨梁11の端部は補剛部材12によって補剛されている。この補剛部材12は、
鉄骨梁11の端部のウエブ3に設けられて、当該鉄骨梁12の長手方向と斜めに交差する2つの斜めスチフナ13,13で構成されている。
斜めスチフナ13,13は鉄骨梁1の長手方向(図7において左右方向)と斜めに交差して配置されている。
一方の斜めスチフナ13はウエブ3の一方の面に設けられ、他方の斜めスチフナ13はウエブ3の他方の面に設けられている。2つの斜めスチフナ13,13は互いに逆方向に傾斜しており、側面視において、これら斜めスチフナ13,13は互いの長手方向中央部において交差している。また、斜めスチフナ13,13は、それぞれ長尺な矩形板状の鋼板で形成されており、ウエブ3の両面に互いに対向して、かつ逆方向に傾斜させて溶接されている。
斜めスチフナ13の上下端部は、フランジ2,2と接合されておらず、当該縦スチフナ13の上下端部とフランジ2,2との間には所定の隙間が設けられている。また、斜めスチフナ13のウエブ3からの突出長さは、フランジ2のウエブ3からの突出長さより短く設定されている。
なお、斜めスチフナ13の上下端部は、フランジ2,2と溶接等によって接合されていなければよく、単にフランジ2,2に当接されているだけでもよい。
前記構成の鉄骨梁11は、図1に示す鉄骨梁1と同様にして柱10に接合されている。
このような鉄骨梁11では、補剛部材12が、鉄骨梁1の端部のウエブ3に設けられて、当該鉄骨梁1の長手方向と斜めに交差する2つの斜めスチフナ13,13で構成されているので、通常の水平スチフナに比してせん断座屈に効果があるとともに、曲げ座屈にも効果があり、さらに当該せん断座屈を従来のコンクリートブロックによるものに比して許容する。
また。斜めスチフナ13,13の上下端部はそれぞれフランジ2,2と接合されていないので、斜めスチフナ13,13によってフランジ2,2の局部座屈が許容される。したがって、鉄骨梁11のフランジ2,2の局部座屈を緩やかに拘束して、変形能力を確保しつつ、過大な耐力上昇を抑制できる。
このように、鉄骨梁11に地震等により荷重が作用した場合に、フランジ2,2の局部座屈を緩やかに拘束して、変形能力を確保しつつ、過大な耐力上昇を抑制できるので、鉄骨梁11の耐力が過大に上昇することがなく、その結果、鉄骨梁11と柱10との柱梁接合部の健全性を保つことができる。
次に、本発明に係る鉄骨梁と比較例として他の鉄骨梁とのそれぞれの端部に荷重をかけた試験を行ったので、その試験について説明する。
試験体は3つ用意した。
試験体No3が前記第1の実施の形態の鉄骨梁1と同様の形状のものである。したがって、試験体No3の端部は、縦スチフナと水平スチフナとからなる補剛部材によって補剛されている。
試験体No1は、H形断面の鉄骨梁であり、ウエブの厚さが試験体No3より厚く設定され、補剛部材による補剛はされていない。
試験体No2は、H形断面の鉄骨梁であり、補剛部材による補剛はされていないが、その他のウエブの厚さ等は試験体No3と等しくなっている。
試験体No1〜No3の断面の寸法は以下の通りである。
試験体No1の断面は、b/tf(フランジ幅厚比)=7.5、d/tw(ウエブ幅厚比)=51となっている。ここで、bはフランジの幅寸法Bの1/2、tfはフランジの厚さ、dはウエブの高さ寸法、twはウエブの厚さである。
試験体No2は、試験体No1よりウエブが薄くなっており、試験体No2の断面は、b/tf=7.5、d/tw=80となっている。
試験体No3は、試験体No2とウエブの厚さが等しくなっており、試験体No3の断面は、b/tf=7.5、d/tw=80となっている。
なお、試験体の一覧を表1に示した。
Figure 2014051822
図8に示すように、各試験体No1〜No3をそれぞれ他の鉄骨梁の端部に溶接して接合し、この接合部に上方から荷重をかけた(載荷した)。荷重は、油圧ジャッキを用いて行い、油圧ジャッキのピストンロッドの先端部にロードセルを設け、このロードセルの先端部(下端部)に、試験体No1〜No3に当てて荷重をかける当接部を設けている。なお、図8においては、試験体No3に荷重をかけた状態を示している。
その結果を図9に示す。
図9において、▽および▼は最大耐力の95%耐力時であり、横軸は変形量の目安となり、縦軸は耐力の目安となる。
図9に示すように、試験体No1は、無補剛である(補剛部材による補剛がされていない)が、ウエブの厚さが試験体No2、No3に比して厚いので、変形能力を発揮できていることが分かる。しかし、最大耐力が試験体No2、No3に比して大きく、過大な耐力上昇が確認できた。
試験体No2は試験体No1よりウエブが薄いので、補剛なしでは、早期に座屈が生じて変形能力を発揮できないことが分かる。つまり、座屈後すぐに耐力が減少していき、変形能力を発揮できていない。
試験体No3は補剛効果により試験体No2よりも変形量が増えているのが分かる。つまり、座屈後すぐに耐力が減少することなく、一定の耐力で変形していくのが分かる。また、ウエブの厚い試験体No1と比較しても、試験体No3は変形量が大きく、かつ、最大耐力は低く抑えられているのが分かる。
このように試験結果から、鉄骨梁(試験体No3)に地震等により荷重が作用した場合に、フランジの局部座屈を緩やかに拘束して、変形能力を確保しつつ、過大な耐力上昇を抑制できることが確認できた。
(第3の実施の形態)
図10は第3の実施の形態に係る柱梁接合構造を示すもので、(a)は側面図、(b)は(a)におけるA−A線断面図である。
図10(a)および図10(b)において、符号1f,1fは鉄骨梁を示す。この鉄骨梁1f,1fはH形鋼によって形成されたH形断面のものであり、上下一対のフランジ2,2とこれらフランジ2,2の間に当該フランジ2,2を繋げるように形成されたウエブ3とによって構成されている。鉄骨梁1は他の鉄骨梁1とウエブシャープレート8によって接合される。ウエブシャープレート8は接合部材としての役割だけではなく補剛部材5の役割も果たす。ウエブ3には水平スチフナ7も形成されており、当該水平スチフナ7も補剛部材5としての役割を果たす。
ウエブシャープレート8は、上下に長尺な矩形板状の鋼板で形成されており、ウエブ3の両面にそれぞれ対向してボルト接合されている。つまり、ウエブシャープレート8はウエブ3の端部に当該ウエブ3を挟んで2つ設けられ鉄骨梁1e,1eを接合している。ウエブシャープレート8の上下端部は、フランジ2,2と接触しておらず、所定の隙間が設けられている。
前記鉄骨梁1fでは、補剛部材5がウエブシャープレート8と水平スチフナ7とによって構成されているので、これらの併用により曲げ座屈とせん断座屈の双方に効果がある。
また、ウエブシャープレート8は鉄骨梁1eのウエブ3に設けられて、当該鉄骨梁1fの長手方向と直交しているので、水平スチフナ7に比してウエブ3のせん断座屈に効果があるとともに、当該せん断座屈を従来のコンクリートブロックによるものに比して許容する。
さらに、ウエブシャープレート8の上下端部と鉄骨梁1fのフランジ2,2との間には、所定の隙間があるので、ウエブシャープレート8によってフランジの局部座屈が許容される。したがって、鉄骨梁1fのフランジ2,2の局部座屈を緩やかに拘束して、変形能力を確保しつつ、過大な耐力上昇を抑制できる。
このように、鉄骨梁1fに地震等により荷重が作用した場合に、フランジ2,2の局部座屈を緩やかに拘束して、変形能力を確保しつつ、過大な耐力上昇を抑制できるので、鉄骨梁1fの耐力が過大に上昇することがなく、その結果、鉄骨梁1と柱10との柱梁接合部の健全性を保つことができる。
図11は、鉄骨梁の第2変形例を示す側面図である。この図に示す鉄骨梁1gが前記鉄骨梁1fと異なる点は、水平スチフナ7がウエブ3の両面において、それぞれ2つずつ配置されている点であり、他の構成は図10に示すものと等しいので、共通部分には同一符号を付してその説明を省略する。
本例では、ウエブ3の両面においてそれぞれ2つの水平スチフナ7,7が上下に離間して平行に配置されている。ウエブ3の上下の長さを3等分した位置において、2つの水平スチフナ7,7が設けられている。
このような構成の鉄骨梁1gおよび柱梁接合構造では、前記鉄骨梁1fおよび柱梁接合構造と同様の効果が得られる他、水平スチフナ7がウエブ3の両面においてそれぞれ2つあるので、図10に示すものに比して、曲げ座屈に対しての効果が大きい。
図12は、鉄骨梁の第3変形例を示す側面図である。この図に示す鉄骨梁1hが前記鉄骨梁1fと異なる点は、水平スチフナ7がウエブ3の両面において、それぞれ2つずつ配置されている点、およびウエブシャープレート8により接合された一方の鉄骨梁1hに1つの縦スチフナ6と2つの水平スチフナ7がウエブ3の両面において、それぞれ配置されている点であり、他の構成は図10に示すものと等しいので、共通部分には同一符号を付してその説明を省略する。
このような構成の鉄骨梁1hおよび柱梁接合構造では、前記鉄骨梁1および柱梁接合構造と同様の効果が得られる他、水平スチフナ7がウエブ3の両面においてそれぞれ2つあり、かつ縦スチフナ6もあるので、図10に示すものに比して、曲げ座屈に対しての効果が大きい。
1,1a〜1h,11 鉄骨梁
2 フランジ
3 ウエブ
5,12 補剛部材
6 縦スチフナ
7 水平スチフナ
8 ウエブシャープレート
10 柱
13 斜めスチフナ

Claims (4)

  1. H形断面の鉄骨梁の端部が補剛部材によって補剛された鉄骨梁であって、
    前記補剛部材は、前記鉄骨梁の端部のウエブに設けられて、当該鉄骨梁の長手方向と直交する縦スチフナ、または鉄骨梁を接合するウエブシャープレートで構成され、
    この縦スチフナまたはウエブシャープレートの上下端部はそれぞれ前記鉄骨梁のフランジと接合されていないことを特徴とする鉄骨梁。
  2. 前記補剛部材は、前記縦スチフナまたはウエブシャープレートと、鉄骨梁の端部のウエブに設けられて、当該鉄骨梁の長手方向と平行な水平スチフナとを備えていることを特徴とする請求項1に記載の鉄骨梁。
  3. H形断面の鉄骨梁の端部が補剛部材によって補剛された鉄骨梁であって、
    前記補剛部材は、前記鉄骨梁の端部のウエブに設けられて、当該鉄骨梁の長手方向と斜めに交差する斜めスチフナで構成され、
    この斜めスチフナの上下端部はそれぞれ前記鉄骨梁のフランジと接合されていないことを特徴とする鉄骨梁。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の鉄骨梁が柱に接合されていることを特徴とする柱梁接合構造。
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