JP2013203850A - インクジェットインク - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、インクジェットインクに関する。
産業用途のインクジェット記録インクとして、塩化ビニルシートなどの非吸収性記録媒体上に直接印字できるインクジェット記録インクが、近年開発されている。これらのインクジェット記録インクは、有機溶剤をベヒクルとした溶剤インクジェット記録インクや、重合性モノマーを主成分とする活性光線硬化型インクジェット記録インクが挙げられる。溶剤インクジェット記録インクは、その溶剤を乾燥させて大気中に蒸発させるため、近年社会的に問題となっているVOC(揮発性有機化合物)が多いという課題がある。また、作業者に対しても、臭気や安全上の影響が懸念され、十分な換気等の設備対応が必要となる。一方、活性光線硬化型インクジェット記録インクは、印字後直ちに硬化させるのでVOCはゼロに近い。しかしながら、使用するモノマーによっては、皮膚感作性を有するものが多い。また、高価な活性光線の照射光源をプリンタに組み込むという制約があり、印刷分野で実用化するという観点では課題を残している。このような背景から、環境負荷が少なく、従来からホーム用途で広く使用されている水性インクジェットインクを用いて非吸水性記録媒体に印字することが望まれる。
非吸水性の記録媒体に印字を行うために、表面張力の低い水溶性有機溶剤と定着性を向上させるバインダー樹脂とを含有させた水性インクジェットインクがある。しかしながら、酸性の水溶性インクジェットインク中の水溶性有機溶剤とバインダー樹脂は顔料の分散性を低下させるため、インクの保存安定性を低下させやすい。そこで、顔料の分散性の低下を抑制するために、アルカリ性の水性インクジェットインクを用いることが検討されている(特許文献1参照)。
一方、キレート剤であるHIDS(ヒドロキシイミノジコハク酸4ナトリウム)を含む洗浄剤やトナーが提案されている(特許文献2および特許文献3参照)。
しかしながら、アルカリ性の水性インクジェットインクを非吸水性の記録媒体に使用した場合、記録媒体上でインク液滴がはじかれる(ハジキ)ことが明らかとなった。
本発明者が検討したところ、インク液滴が蒸発して強アルカリ環境下となった非吸水性の記録媒体上で、顔料由来のカルシウムやマグネシウム等の多価金属イオンが水酸化物となり析出されることにより、周囲のインクをはじいてしまうことが原因であると推測された。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、強アルカリ環境下でも高いキレート効果を発揮しうるキレート剤として下記構造式1で表される化合物を含有する水性インクジェットインクを用いる。前記キレート剤を水性インクジェットインクに含有することで、多価金属イオンを捕捉し、析出されることを抑制する。そして、非吸水性の記録媒体上でインク液滴のハジキを防止することを目的とする。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
[1] 顔料と、樹脂と、水と、水溶性有機溶剤と、キレート剤と、を含有し、pHが7.0超であるインクジェットインクにおいて、
前記キレート剤が下記構造式1で表される化合物であるインクジェットインク。
(構造式1中、Aは独立して水素原子又はアルカリ金属原子を表す)
[2] 前記キレート剤の含有量がインクジェットインクの質量に対して、0.001〜0.1質量%である、[1]に記載のインクジェットインク。
[3] 前記樹脂がバインダー樹脂である、[1]または[2]に記載のインクジェットインク。
[4] 前記樹脂がアミンにより中和された酸性基を有する樹脂である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載のインクジェットインク。
[1] 顔料と、樹脂と、水と、水溶性有機溶剤と、キレート剤と、を含有し、pHが7.0超であるインクジェットインクにおいて、
前記キレート剤が下記構造式1で表される化合物であるインクジェットインク。
[2] 前記キレート剤の含有量がインクジェットインクの質量に対して、0.001〜0.1質量%である、[1]に記載のインクジェットインク。
[3] 前記樹脂がバインダー樹脂である、[1]または[2]に記載のインクジェットインク。
[4] 前記樹脂がアミンにより中和された酸性基を有する樹脂である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載のインクジェットインク。
本発明のインクジェットによれば、アルカリ性のインクジェットインクを用いた場合においても、非吸水性の記録媒体上でインク液滴のハジキを防止できる。
1.水性インクジェットインクについて
水性インクジェットインクは少なくとも顔料と、樹脂と、水と、水溶性有機溶剤と、キレート剤として前記構造式1で表される化合物と、を含む。
水性インクジェットインクは少なくとも顔料と、樹脂と、水と、水溶性有機溶剤と、キレート剤として前記構造式1で表される化合物と、を含む。
<キレート剤について>
本発明のインクジェットインクは、キレート剤が前記構造式1で表される化合物を含有する。インクジェットインクに前記キレート剤を含有させることで、多価金属イオンを捕捉して、それらの析出を抑制する。前記構造式1で表される化合物は、ヒドロキシイミノジコハク酸またはそのアルカリ金属塩である。
本発明のインクジェットインクは、キレート剤が前記構造式1で表される化合物を含有する。インクジェットインクに前記キレート剤を含有させることで、多価金属イオンを捕捉して、それらの析出を抑制する。前記構造式1で表される化合物は、ヒドロキシイミノジコハク酸またはそのアルカリ金属塩である。
前記構造式1で表される化合物は、アスパラギン酸骨格部分におけるL体、D体が存在する。前記構造式1で表される化合物のアスパラギン酸骨格部分は、下記構造式2で表される構造である。
またアスパラギン酸骨格部分におけるL体、D体は、前記構造式2で表される構造中の不斉炭素原子における立体配置がS配置、R配置である化合物である。S配置の場合はL体、R配置の場合はD体となる。
前記構造式1で表される化合物は、光学異性体が存在する場合があるが、それぞれの光学異性体の含有割合は特に限定されない。L体又はD体をそれぞれ合成させたり、ラセミ体を分割することにより、L体又はD体を単独で用いてもよい。なお、ヒドロキシイミノジコハク酸の生分解性は異性体間で異なり、L体が高く、D体が低い。生分解性の観点から、使用するヒドロキシイミノジコハク酸は、ラセミ体を用いることが好ましく、L体の割合が高いことがより好ましい。
本発明で用いるキレート剤は、前記構造式1で表される化合物におけるAが独立して水素原子又はアルカリ金属原子を表す化合物である。
前記構造式1で表される化合物の含有量は、インク全体の質量に対して0.001〜0.1質量%であることが好ましく、0.005〜0.05質量%であることがより好ましい。前記構造式1で表される化合物の含有量が0.001質量%未満の場合はキレート効果が発揮されにくい。一方、前記構造式1で表される化合物の含有量が0.1質量%超の場合はインクの保存安定性が低下する。
従来のアルカリ性の水性インクジェットのインク液滴は非吸水性の記録媒体上ではじかれることがあった。さらに、水性インクジェットインクに界面活性剤等を含有させて、表面張力を低下させた場合であっても、非吸水性の記録媒体上でインク液滴のハジキが生じることがあった。そのためこのハジキは、記録媒体へのインクの濡れ性不足が原因ではなく、インク液滴に何らかの析出物が生じ、その析出物が原因であると考えた。析出物は、アルカリ性の水性インクジェットインク中のアルカリと金属イオンとが、インク乾燥中で反応して、生成する金属水酸化物であると推測された。そのため、金属イオンのアルカリとの反応性を抑制することで、ハジキを抑制することを検討した。
金属イオンの発生源は特に限定されないが、顔料に含まれる微量成分でありうる。具体的には、マグネシウム、カルシウム、またはアルミニウム等である。
金属イオンの発生を抑制するには、インクジェットインク中にキレート剤を添加させることが考えられた。キレート剤の中でもヒドロキシイミノジコハク酸またはそのアルカリ金属塩が顕著に優れることがわかった。
<樹脂について>
本発明で用いる樹脂は、バインダー樹脂や他の滑剤などの任意の添加剤などであってもよい。バインダー樹脂は、着弾したインク液滴を記録媒体に定着(接着)させる機能を有する。また、バインダー樹脂は、インク皮膜の耐擦性や耐水性を高めるだけでなく、光沢や光学濃度を高める機能を有することも求められている。そのため、バインダー樹脂は、後述する水系溶媒に分散しやすいこと、透明性をある程度有すること、他のインク成分との相溶性を有していることがより好ましい。
本発明で用いる樹脂は、バインダー樹脂や他の滑剤などの任意の添加剤などであってもよい。バインダー樹脂は、着弾したインク液滴を記録媒体に定着(接着)させる機能を有する。また、バインダー樹脂は、インク皮膜の耐擦性や耐水性を高めるだけでなく、光沢や光学濃度を高める機能を有することも求められている。そのため、バインダー樹脂は、後述する水系溶媒に分散しやすいこと、透明性をある程度有すること、他のインク成分との相溶性を有していることがより好ましい。
本発明に用いることのできるバインダー樹脂は、溶解性樹脂と水系分散型ポリマー微粒子とがある。バインダー樹脂は、アクリル系樹脂、アクリロニトリル−アクリル系樹脂、酢酸ビニル−アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。なかでも、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂およびポリウレタン系樹脂が好ましく、アクリル系樹脂がより好ましい。
アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体であっても、(メタ)アクリル酸エステルと他の共重合モノマーとの共重合体であってもよい。樹脂構造の設計自由度が高く、重合反応で合成しやすく、低コストであること等から、(メタ)アクリル酸エステルと他の共重合モノマーとの共重合体が特に好ましい。(メタ)アクリル酸エステルと他の共重合モノマーとの共重合体の例には、スチレン−アクリル系樹脂等が含まれる。前記共重合体における、(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位の含有割合は、共重合体を構成する全モノマーに対して40〜100質量%であることが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルの例には、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが含まれる。なかでも、(メタ)アクリル酸のC1−C12アルキルエステルが好ましい。(メタ)アクリル酸エステルは、一種類であっても、二種類以上であってもよい。
(メタ)アクリル酸エステルと他の共重合モノマーとの共重合体における他の共重合モノマーの例には、酸性基を有するモノマーが含まれる。酸性基を有するモノマーの例には、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸などが含まれる。酸性基を有するモノマーの含有割合は、共重合を構成する全モノマーに対して、5〜45質量%であることが好ましい。
アクリル系樹脂に含まれる酸性基の少なくとも一部は、水系溶媒に対する溶解性や分散性を高める観点などから、塩基で中和されていることが好ましい。
中和する塩基の例には、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物(例えば、NaOH、KOH等);アミン類(例えば、アルカノールアミン、アルキルアミン等);アンモニアなどが含まれる。なかでも、アミン類で中和された樹脂は、記録媒体に定着後のインクジェットインクから、アミンが水系溶媒と共に蒸発するため、アミンが除去された樹脂の溶解性が低下する。そのような樹脂を含む硬化後のインク皮膜は、耐水性を有するため好ましい。具体的なアミンの例には、アンモニア、トリエチルアミン、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジ−n−ブチルアミノエタノール、メチルジエタノールアミン、2−アミノー2−メチル−1−プロパノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−メチルアミノエタノールなどが挙げられる。
本発明に用いられるバインダー樹脂の酸価は特に限定されないが、50〜300mgKOH/gであることが好ましく、50〜130mgKOH/gであることがより好ましい。バインダー樹脂の酸価が50mgKOH/g未満であると、樹脂の水に対する溶解性または分散性が十分ではないため、インクの保存安定性が低下することがある。一方、バインダー樹脂の酸価が300mgKOH/g超であると、インク皮膜が柔らかくなり、耐擦性が低下することがある。
本発明におけるバインダー樹脂の酸価とは、バインダー樹脂1g中に含まれる酸を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数を指し、JISK 0070の酸価測定、加水分解酸価測定(全酸価測定)によって測定することができる。
中和塩基の含有量は、バインダー樹脂の酸価および含有量にもよるが、バインダー樹脂に含まれる酸性基の化学当量数に対して0.5〜5倍の化学当量数となるようにすることが好ましい。中和塩基の含有量が、バインダー樹脂に含まれる酸性基の化学当量数に対して0.5倍未満の化学当量数であると、アクリル系樹脂の分散性を高める効果が十分には得られないことがある。一方、中和塩基の含有量がバインダー樹脂に含まれる酸性基の化学当量数に対して5倍超の化学当量数であると、インク皮膜の耐水性が低下したり、変色、臭気などを生じたりすることがある。
バインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)は特に限定されないが、2.0×104〜8.0×104であることが好ましく、2.5×104〜7.0×104であることがより好ましい。重量平均分子量が2.0×104未満であると、インクの定着能力が小さいため、得られる画像の耐擦性が十分でないことがある。一方、重量平均分子量(Mw)が8.0×104超であると、インクジェットインクがノズル部で乾燥を起こした場合に、ふき取ることが困難となり、メンテナンス適正が低下することがある。
バインダー樹脂のガラス転移温度(Tg)は、30〜100℃であることが好ましい。Tgが30℃未満であると、得られる画像の耐擦性が十分でなかったり、ブロッキングが発生したりすることがある。一方、Tgが100℃超であると、乾燥後のインク皮膜が硬すぎて脆くなり、耐擦性が低下することがあると考えられる。
バインダー樹脂は、インク中でポリマー微粒子として微分散していてもよい。インク中で微分散しているバインダー樹脂(以下、水系分散型ポリマー微粒子ともいう)の平均粒子径は、インクジェット記録ヘッドのノズル詰まりがなく、良好な光沢を有する画像が得られる観点などから、300nm以下であることが好ましく、130nm以下であることがより好ましい。また、水系分散型ポリマー微粒子の平均粒子径は、製造安定性の観点から、30nm以上であることが好ましい。
バインダー樹脂は、バインダー樹脂の持つ酸性基を中和することで、インク中に溶解していることがより好ましい。バインダー樹脂をインク中に溶解させることで、インク粘度を上昇させることができる。それにより、非吸水性の記録媒体上に着弾したインク液滴のビーディング等を抑制でき、高品質の画像を形成することができる。
ビーディングと耐擦性をバランスよく改善できる観点から、溶解性樹脂と水系分散型ポリマー微粒子を併用することも好ましい。
バインダー樹脂は市販品を用いることもできる。市販品の溶解性樹脂の例には、ジョンクリル52J、ジョンクリル57J、ジョンクリル60J、ジョンクリル63J、ジョンクリル70J、ジョンクリルJDX−6180、ジョンクリルHPD−196、ジョンクリルHPD−96J、ジョンクリルPDX6137A、ジョンクリル6610、ジョンクリルJDX−6500、ジョンクリル6639、ジョンクリルPDX−6102B、ジョンクリルPDX−6124等が含まれる。また、市販品の水系分散型ポリマー微粒子の例には、マイクロジェルE−1002、マイクロジェルE−5002(以上商品名、日本ペイント株式会社製)、ボンコート4001、ボンコート5454(以上商品名、大日本インキ化学工業株式会社製)、SAE1014(以上商品名、日本ゼオン株式会社製)、サイビノールSK−200(以上商品名、サイデン化学株式会社製)、ジョンクリル7100、ジョンクリル390、ジョンクリル711、ジョンクリル511、ジョンクリル7001、ジョンクリル632、ジョンクリル741、ジョンクリル450、ジョンクリル840、ジョンクリル74J、ジョンクリルHRC−1645J、ジョンクリル734、ジョンクリル852、ジョンクリル7600、ジョンクリル775、ジョンクリル537J、ジョンクリル1535、ジョンクリルPDX−7630A、ジョンクリル352J、ジョンクリル352D、ジョンクリルPDX−7145、ジョンクリルJ、ジョンクリル7640、ジョンクリル7641、ジョンクリル631、ジョンクリル790、ジョンクリル780、ジョンクリル7610(以上商品名、BASFジャパン株式会社製)等が含まれる。
バインダー樹脂の含有量は、インク全体に対して1〜15質量%であることが好ましい。バインダー樹脂の含有量が1質量%未満であると、顔料などの色材を記録媒体上に定着させる機能を十分には得られないことがある。一方、バインダー樹脂の含有量が15質量%超であると、インクの粘度が高くなり、射出安定性が低下することがある。
<水と水溶性有機溶媒の混合物(水系溶媒)について>
本発明における水系溶媒は、水と水溶性有機溶剤の混合物を示す。
本発明における水系溶媒は、水と水溶性有機溶剤の混合物を示す。
本発明における水溶性有機溶剤は、バインダー樹脂や他のインク成分を均一に分散または溶解させるものが好ましい。本発明で用いる水溶性有機溶剤の例には、表面張力が低い水溶性有機溶剤などが含まれる。
表面張力が低い水溶性有機溶剤は、非吸水性の記録媒体(例えば印刷本紙、塩化ビニルシートなど)上でも、インクを濡れ広がりやすくしうる。表面張力が低い水溶性有機溶剤は、具体的には25℃における表面張力が45mN/m以下である水溶性有機溶剤であることが好ましい。
そのような水溶性有機溶剤は、グリコールエーテル類または1,2−アルカンジオール類であることが好ましい。グリコールエーテル類の例には、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、およびトリプロピレングリコールモノメチルエーテル等が含まれる。1,2−アルカンジオール類の例には、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、および1,2−ヘプタンジオール等が含まれる。
本発明のインクジェットインクに含有される水系溶媒は、必要に応じて、他の水溶性有機溶剤をさらに含んでもよい。他の水溶性有機溶剤の例には、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)等が含まれる。
前記水溶性有機溶剤の含有量は、インク全体に対して1〜30質量%であることが好ましい。水溶性有機溶剤のインクに対する含有量が1質量%未満であると、記録媒体上での濡れ広がりが十分ではなく、30質量%超であると、乾燥性が悪く画像が滲むからである。
水系溶媒の合計量は、インクの表面張力や粘度が後述する範囲となるように調整されればよく、例えばインク全体に対して1〜85質量%程度であることが好ましい。
<顔料について>
顔料は、公知の有機顔料または無機顔料であってよい。有機顔料の例には、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料;フタロシアニン顔料、ペリレンおよびペリレン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサンジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、およびキノフタロニ顔料等の多環式顔料;塩基性染料型レーキ、および酸性染料型レーキ等の染料レーキ;ニトロ顔料;ニトロソ顔料;アニリンブラック;および昼光蛍光顔料等が含まれる。
顔料は、公知の有機顔料または無機顔料であってよい。有機顔料の例には、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料;フタロシアニン顔料、ペリレンおよびペリレン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサンジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、およびキノフタロニ顔料等の多環式顔料;塩基性染料型レーキ、および酸性染料型レーキ等の染料レーキ;ニトロ顔料;ニトロソ顔料;アニリンブラック;および昼光蛍光顔料等が含まれる。
以下に顔料の具体例を示すが、本発明はこれら例示する化合物に限定されるものではない。
マゼンタまたはレッドおよびバイオレット用の有機顔料の好ましい例には、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド8、C.I.ピグメントレッド12、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド17、C.I.ピグメントレッド22、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド41、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド112、C.I.ピグメントレッド114、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド148、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド222、C.I.ピグメントレッド238、C.I.ピグメントレッド245、C.I.ピグメントレッド258、C.I.ピグメントレッド282、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23等が含まれる。
マゼンタまたはレッドおよびバイオレット用の有機顔料の好ましい例には、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド8、C.I.ピグメントレッド12、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド17、C.I.ピグメントレッド22、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド41、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド112、C.I.ピグメントレッド114、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド148、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド222、C.I.ピグメントレッド238、C.I.ピグメントレッド245、C.I.ピグメントレッド258、C.I.ピグメントレッド282、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23等が含まれる。
オレンジまたはイエローおよびブラウン用の有機顔料の好ましい例には、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ16、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー16、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー43、C.I.ピグメントイエロー55、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー81、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー175、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー181、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー194、C.I.ピグメントイエロー199、C.I.ピグメントイエロー213、C.I.ピグメントブラウン22等が含まれる。
グリーンまたはシアン用の有機顔料の好ましい例には、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:5、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー29、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が含まれる。
ブラック用の有機顔料の例には、C.I.ピグメントブラック5、C.I.ピグメントブラック7等が含まれる。ホワイト用の有機顔料の例には、C.I.ピグメントホワイト6等が含まれる。
無機顔料の例には、カーボンブラック、および酸化チタン等が含まれる。
本発明のインクジェットインクは、顔料の分散性を高めるために、顔料分散剤をさらに含んでもよい。顔料分散剤の例には、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩等が含まれる。
顔料は、安定に分散させるために、顔料分散体としてインクジェットインクに添加されることが好ましい。顔料分散体は、水系溶媒中に安定に分散しうるものであればよく、顔料を分散樹脂で分散させた顔料分散体;顔料が水不溶性樹脂で被覆されたカプセル顔料;表面修飾され、分散樹脂を含まなくても分散可能な自己分散顔料などが挙げられる。
顔料分散体に用いられる分散樹脂は、水溶性樹脂であることが好ましい。そのような水溶性樹脂の好ましい例には、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体等が含まれる。また顔料の分散樹脂として、前記バインダー樹脂として用いられうる水溶性樹脂を用いて分散してもよい。
顔料を水不溶性樹脂で被覆したカプセル顔料における、水不溶性樹脂は、弱酸性ないし弱塩基性の範囲の水に対して不溶な樹脂である。具体的には、pH4〜10の水溶液に対する溶解度が2%以下である樹脂が好ましい。水不溶性樹脂の例には、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、アクリロニトリル−アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル−アクリル樹脂、酢酸ビニル−塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン−アクリル樹脂、アクリルシリコン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などが含まれる。カプセル顔料の平均粒子径は、インクの保存安定性、発色性などの観点から、80〜200nm程度であることが好ましい。
カプセル顔料(水不溶性樹脂で被覆された顔料微粒子)は、公知の方法で製造することができる。例えば、水不溶性樹脂を有機溶剤(例えばメチルエチルケトンなど)に溶解し、さらに塩基成分を加えて、水不溶性樹脂に含まれる酸性基を部分的もしくは完全に中和する。得られた溶液に、顔料と、イオン交換水とを添加して、混合および分散させる。その後、得られた溶液から有機溶剤を除去して、必要に応じてイオン交換水をさらに加えて、カプセル顔料を調製する。または、顔料と、重合性界面活性剤とを分散させた溶液に、モノマーを添加し、重合反応させて顔料を樹脂で被覆する方法などもある。
前述の分散樹脂および水不溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは3.0×103〜5.0×105であり、より好ましくは7.0×103〜2.0×105である。分散樹脂および水不溶性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは−30〜100℃程度であり、より好ましくは−10〜80℃程度である。
顔料と分散樹脂の質量比は、顔料/分散樹脂が100/150〜100/30であることが好ましい。画像の耐久性と、インクの射出安定性、保存安定性を高める観点などから、100/100〜100/40であることがより好ましい。
顔料の分散は、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等により行うことができる。
顔料分散体の粗粒分を除去し、顔料微粒子の粒径分布を揃える観点などから、顔料分散体は、インクに添加される前に、遠心分離処理またはフィルターによるろ過処理などが施されていてもよい。
自己分散顔料は、市販品であってもよい。自己分散顔料の市販品の例には、CABO−JET200、CABO−JET300(キャボット社製)、ボンジェットCW1(オリエント化学工業(株)社製)等が含まれる。
<界面活性剤について>
本発明のインクジェットインクは記録媒体上でインク液滴を濡れ広がりやすくする機能を有する界面活性剤をさらに含有させてもよい。界面活性剤は限定されず、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、および脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、およびポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤;アルキルアミン塩類、および第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤;シリコン系界面活性剤;フッ素系界面活性剤などを用いることができる。
本発明のインクジェットインクは記録媒体上でインク液滴を濡れ広がりやすくする機能を有する界面活性剤をさらに含有させてもよい。界面活性剤は限定されず、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、および脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、およびポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤;アルキルアミン塩類、および第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤;シリコン系界面活性剤;フッ素系界面活性剤などを用いることができる。
上述した界面活性剤のなかでも、非吸水性の記録媒体(例えば印刷本紙、塩化ビニルシートなど)上でも、インクジェットインクを濡れ広がりやすくできることから、シリコン系界面活性剤またはフッ素系界面活性剤が好ましい。本発明のインクジェットインクにシリコン系界面活性剤またはフッ素系界面活性剤を含有させることで、着弾したインク液滴のドット径を大きく広げることができ、高濃度でムラの無い高品位な画像を形成することができる。
これらの界面活性剤は、一種類で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらの界面活性剤は、表面張力の低い水溶性有機溶剤と組み合わせて用いられることが好ましい。
シリコン系界面活性剤の好ましい例には、ポリエーテル変性ポリシロキサン化合物が含まれ、その市販品の例には、信越化学工業社製のKF−351A、KF−642、KF−643、ビッグケミー社製のBYK345、BYK347、BYK348などが含まれる。
フッ素系界面活性剤は、通常の界面活性剤において、疎水性基を構成する炭素原子に結合する水素原子の少なくとも一部が、フッ素原子で置換された化合物でありうる。なかでも、パーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤が好ましい。
フッ素系界面活性剤の市販品の例には、DIC社製 商品名:メガファック(Megafac)F、旭硝子社製 商品名:サーフロン(Surflon)、ミネソタ・マイニング・アンド・マニファクチュアリング・カンパニー社製 商品名:フルオラッド(Fluorad)FC、インペリアル・ケミカル・インダストリー社製 商品名:モンフロール(Monflor)、イー・アイ・デュポン・ネメラス・アンド・カンパニー社製 商品名:ゾニルス(Zonyls)、ファルベベルケ・ヘキスト社 商品名:リコベット(Licowet)VPF、ネオス社 商品名:フタージェント、ビックケミー社 商品名:BYK340(表面調整剤、フッ素変性ポリマー)等が含まれる。
界面活性剤の含有量は、表面エネルギーが通常の紙よりも低いコート紙や樹脂製の記録媒体上でも、インクジェットインクが良好に濡れ広がるようにするために、インクの表面張力が、後述する範囲(15mN/m以上35N/m未満)となるように調整されることが好ましい。具体的には、インク全体に対して0.01質量%以上2.0質量%未満であることが好ましい。
<その他の成分について>
本発明のインクジェットインクは、必要に応じてその他の成分をさらに含んでもよい。その他の成分の例には、防カビ剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、消泡剤、粘度調整剤、浸透剤、pH調整剤、乾燥防止剤(例えば尿素、チオ尿素、エチレン尿素など)等が含まれる。
本発明のインクジェットインクは、必要に応じてその他の成分をさらに含んでもよい。その他の成分の例には、防カビ剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、消泡剤、粘度調整剤、浸透剤、pH調整剤、乾燥防止剤(例えば尿素、チオ尿素、エチレン尿素など)等が含まれる。
(pH調整剤)
本発明のインクジェットインクは、顔料分散性向上のため、アルカリ性のpH調整剤をさらに含有してもよい。
本発明のインクジェットインクは、顔料分散性向上のため、アルカリ性のpH調整剤をさらに含有してもよい。
pH調整剤は樹脂の酸性基を中和するアミンとして例示したアミンであってもよく、また同一であってもよい。その他のpH調整剤には有機酸塩、及び有機緩衝剤から選ばれる化合物が挙げられる。有機酸塩の例には、酢酸塩、プロピオン酸塩等のアルキルカルボン酸の塩類、乳酸塩、グリコール酸塩、グリセリン酸塩、もしくは、アルキルカルボン酸類のアルカリ金属塩であり、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム等が含まれる。有機緩衝剤には、トリス緩衝液やグッド緩衝液が使用できる。具体的には、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、トリス−塩酸塩、トリス−マレイン酸、ビス(2−ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン、「ACES」:N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸、「BES」:N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸、「Bicine」:N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン、「CAPS」:N−シクロヘキシル−3−アミノプロパンスルホン酸、「CAPSO」:N−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−3−アミノプロパンスルホン酸、「CHES」:N−シクロヘキシル−2−アミノエタンスルホン酸、「DIPSO」:3−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、「EPPS」:3−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]プロパンスルホン酸、「HEPES」:2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸、「HEPPSO」:2−ヒドロキシ−3−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]プロパンスルホン酸・一水和物、「MES」:ピペラジン−1,4−ビス(2−ヒドロキシ−3−プロパンスルホン酸)・二水和物、「TAPS」:N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸、「TAPSO」:2−ヒドロキシ−N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸、「TES」:N−等が含まれる。
pH調整剤の添加量は、所望のインクpHに合わせて適宜設定することができ、0.1〜1モル当量/Lであることが好ましい。
インクジェットインクのpHが酸性である場合、樹脂や水溶性有機溶剤等のインク組成物は、顔料分散剤の顔料への吸着性を阻害しやすい。そのため、アルカリ性のpH調整剤を用いてインクジェットインクのpHを弱アルカリ性に調整することが保存安定性を高める観点から好ましい。
(防腐剤および防黴剤)
防腐剤および防黴剤は、長期にわたってインクジェットインクの保存安定性を保つ機能を有する。防腐剤および防黴剤は、特に制限されないが、例えば芳香族ハロゲン化合物(例えば、Preventol CMK)、メチレンジチオシアナート、含ハロゲン窒素硫黄化合物、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(例えば、PROXEL GXL)などであってよい。
防腐剤および防黴剤は、長期にわたってインクジェットインクの保存安定性を保つ機能を有する。防腐剤および防黴剤は、特に制限されないが、例えば芳香族ハロゲン化合物(例えば、Preventol CMK)、メチレンジチオシアナート、含ハロゲン窒素硫黄化合物、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(例えば、PROXEL GXL)などであってよい。
<インクの物性について>
本発明のインクジェットインクは、水性インクジェットインクとして好ましく用いられる。
本発明のインクジェットインクは、水性インクジェットインクとして好ましく用いられる。
本発明のインクジェットインクはインクのpHが7.0超に調整される。インクのpHは7.0超11未満であることが好ましく、8.0超10未満であることがより好ましい。インクのpHを前記範囲内とすることで、顔料の分散性やインクの保存安定性が向上される。
本発明のインクジェットインクは射出性の観点から、25℃におけるインク粘度が1〜40mPa・sであることが好ましく、5〜40mPa・sであることがより好ましく、5〜20mPa・sであることがさらに好ましい。
本発明のインクジェットインクの25℃における表面張力は、界面活性剤等により15mN/m以上35mN/m未満とすることが好ましい。インクの表面張力が15mN/m未満の場合は、インク液滴が記録媒体上で濡れ拡がり過ぎて、ドットのレベリングが適度な状態とならず、画像品質が低下しやすい。一方、インクの表面張力が35mN/m以上の場合は、インク液滴を記録媒体上で濡れ拡がらせにくい。
2.水性インクジェットインクの製造方法
本発明のインクジェットインクは、顔料と、樹脂と、水と、水溶性有機溶剤と、キレート剤とを必要に応じて他の成分とを混合するステップを経て製造される。混合手段は、特に制限されず、スリーワンモーター、マグネチックスターラー、ディスパー、ホモジナイザー、ラインミキサー等であってよい。
本発明のインクジェットインクは、顔料と、樹脂と、水と、水溶性有機溶剤と、キレート剤とを必要に応じて他の成分とを混合するステップを経て製造される。混合手段は、特に制限されず、スリーワンモーター、マグネチックスターラー、ディスパー、ホモジナイザー、ラインミキサー等であってよい。
3.インクジェット記録装置とそれを用いたインクジェット記録方法
インクジェット記録は、インクジェット記録装置を用いて行うことができる。インクを吐出するインクジェット記録ヘッドは、オンデマンド方式のものでも、コンティニュアス方式のものでも構わない。また、インクジェット記録ヘッドの吐出方式は、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)等など何れの吐出方式であっても構わない。
インクジェット記録は、インクジェット記録装置を用いて行うことができる。インクを吐出するインクジェット記録ヘッドは、オンデマンド方式のものでも、コンティニュアス方式のものでも構わない。また、インクジェット記録ヘッドの吐出方式は、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)等など何れの吐出方式であっても構わない。
以下において、図面を参照しながら各記録装置を説明するが、インクジェット記録装置はこれらに限定されない。
図1は、インクジェット記録装置の要部の構成の一例を示す図である。このうち、図1(a)は側面図であり、図1(b)は上面図である。
図1に示されるように、インクジェット記録装置10は、複数のインクジェット記録ヘッド14を収容するヘッドキャリッジ16と、記録媒体12の全幅を覆い、かつ記録媒体12の下面に配置された温度制御部19と、を有する。
インクジェット記録ヘッド14は、ノズル面を記録媒体12に対向させて配置される。ヘッドキャリッジ16は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4種類のインクジェット記録ヘッド14を収納しているが、ヘッドキャリッジ16に収納されるインクジェット記録ヘッド14の色数は適宜設定される。
インクジェット記録ヘッド14の内部には、複数のインク室が配置され、各インク室に射出手段が備えられている(図示せず)。射出手段とは、例えばピエゾ素子である。インクジェット記録ヘッド14の内部に配置されたインク室には、インク供給手段(図示せず)によってインクジェットインクが供給される。インク室に供給されたインクジェットインクは、射出手段の作動により、ノズル面のノズルから記録媒体12に向けて射出される。
インクジェット記録装置10は、記録媒体12に着弾したインク滴の乾燥速度を制御しやすくする観点などから、記録媒体12を加熱するための温度制御部19を有することが好ましい。温度制御部19は、記録媒体12を接触式で加熱する各種ヒーター、加熱ローラーなどであってよいし、記録媒体12の表面または裏面を非接触式で加熱するランプ等であってもよい。記録媒体12を接触式で加熱する温度制御部19は、通常、記録媒体12の裏面に配置される。
記録媒体12の加熱温度は、その表面温度が35℃以上100℃未満となるように設定することが好ましい。記録媒体12の表面温度が35℃未満であると、インク皮膜を十分に乾燥(固化)させることができないことがある。一方、記録媒体12の表面温度が100℃以上であると、記録媒体12が変形して波打ちすることがある。
記録媒体12は、特に限定されず、吸水性の記録媒体(インクの吸収性を有する記録媒体)、非吸水性の記録媒体(インクの吸収性を有しないか、または低い記録媒体)などでありうる。
吸水性の記録媒体の例には、普通紙、布帛、インクジェット専用紙、インクジェット光沢紙、ダンボール、木材などが含まれる。
非吸水性の記録媒体はインクの吸収性を有しない記録媒体だけでなく、インクの吸収性の低い記録媒体も含有する。非吸水性の記録媒体の例には、印刷本紙などのコート紙、樹脂基材、金属基材、ガラス基材などが含まれる。樹脂基材は、好ましくは疎水性樹脂からなる樹脂基材(プレート、シートおよびフィルムを含む)、該樹脂基材とその他の基材(紙など)との複合基材などであってよい。疎水性樹脂の例には、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート(PET)などが含まれ、好ましくは塩化ビニルである。
ポリ塩化ビニルからなる記録媒体の例には、SOL−371G、SOL−373M、SOL−4701(以上、ビッグテクノス株式会社製)、光沢塩ビ(株式会社システムグラフィ製)、KSM−VS、KSM−VST、KSM−VT(以上、株式会社きもと製)、J−CAL−HGX、J−CAL−YHG、J−CAL−WWWG(以上、株式会社共ショウ大阪製)、BUSMARK V400 F vinyl、LITEcal V−600F vinyl(以上、Flexcon製)、FR2(Hanwha製)LLBAU13713、LLSP20133(以上、桜井株式会社製)、P−370B、P−400M(以上、カンボウプラス株式会社製)、S02P、S12P、S13P、S14P、S22P、S24P、S34P、S27P(以上、Grafityp製)、P−223RW、P−224RW、P−249ZW、P−284ZC(以上、リンテック株式会社製)、LKG−19、LPA−70、LPE−248、LPM−45、LTG−11、LTG−21(以上、株式会社新星製)、MPI3023(株式会社トーヨーコーポレーション製)、ナポレオングロス光沢塩ビ(株式会社二樹エレクトロニクス製)、JV−610、Y−114(以上、アイケーシー株式会社製)、NIJ−CAPVC、NIJ−SPVCGT(以上、ニチエ株式会社製)、3101/H12/P4、3104/H12/P4、3104/H12/P4S、9800/H12/P4、3100/H12/R2、3101/H12/R2、3104/H12/R2、1445/H14/P3、1438/OneWay Vision(以上、Inetrcoat製)、JT5129PM、JT5728P、JT5822P、JT5829P、JT5829R、JT5829PM、JT5829RM、JT5929PM(以上、Mactac製)、MPI1005、MPI1900、MPI2000、MPI2001、MPI2002、MPI3000、MPI3021、MPI3500、MPI3501(以上、Avery製)、AM−101G、AM−501G(以上、銀一株式会社製)、FR2(ハンファ・ジャパン株式会社製)、AY−15P、AY−60P、AY−80P、DBSP137GGH、DBSP137GGL(以上、株式会社インサイト製)、SJT−V200F、SJT−V400F−1(以上、平岡織染株式会社製)、SPS−98、SPSM−98、SPSH−98、SVGL−137、SVGS−137、MD3−200、MD3−301M、MD5−100、MD5−101M、MD5−105(以上、Metamark製)、640M、641G、641M、3105M、3105SG、3162G、3164G、3164M、3164XG、3164XM、3165G、3165SG、3165M、3169M、3451SG、3551G、3551M、3631、3641M、3651G、3651M、3651SG、3951G、3641M(以上、Orafol製)、SVTL−HQ130(株式会社ラミーコーポレーション製)、SP300GWF、SPCLEARAD vinyl(以上、Catalina製)、RM−SJR(菱洋商事株式会社製)、HiLucky、New Lucky PVC(以上、LG製)、SIY−110、SIY−310、SIY−320(以上、積水化学工業株式会社製)、PRINT MI Frontlit、PRINT XL Light weightbanner(以上、Endutex製)、RIJET 100、RIJET 145、RIJET165(以上、Ritrama製)、NM−SG、NM−SM(日栄化工株式会社製)、LTO3GS(株式会社ルキオ製)、イージープリント80、パフォーマンスプリント80(以上、ジェットグラフ株式会社製)、DSE550、DSB 550、DSE 800G、DSE 802/137、V250WG、V300WG、V350WG(以上、Hexis製)、DigitalWhite 6005PE、6010PE(以上、Multifix製)、IJ180−10(住友スリーエム株式会社製)等が含まれる。
以下において、実施例を参照して本発明をより詳細に説明する。これらの実施例によって、本発明の範囲は限定して解釈されない。
<材料の準備>
(水溶性有機溶剤)
1,2ヘキサンジオール(1,2−HDO)
プロピレングリコール(PG)
ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGBE)
(水溶性有機溶剤)
1,2ヘキサンジオール(1,2−HDO)
プロピレングリコール(PG)
ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGBE)
(界面活性剤)
KF351A(信越化学工業社製)
KF351A(信越化学工業社製)
(pH調整剤)
ジメチルアミノエタノール(DMAE)
ジメチルアミノエタノール(DMAE)
(キレート剤)
3−ヒドロキシ−2,2’−イミノジコハク酸4ナトリウム(HIDS)
エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム(EDTA)
ニトリロ三酢酸3ナトリウム(NTA)
3−ヒドロキシ−2,2’−イミノジコハク酸4ナトリウム(HIDS)
エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム(EDTA)
ニトリロ三酢酸3ナトリウム(NTA)
(バインダー樹脂)
《溶解性樹脂》
合成例
滴下ロート、窒素導入官、還流冷却官、温度計及び攪拌装置を備えたフラスコにメチルエチルケトン50gを加え、窒素バブリングしながら、75℃に加温した。そこへ、メタクリル酸n−ブチルを40g、スチレンを40g、アクリル酸を20g、メチルエチルケトンを50g、および重合開始剤(AIBN)を500mg混合した混合物を滴下ロートより3時間かけ滴下した。滴下後、さらに6時間加熱還流した。放冷後、減圧下で加熱しメチルエチルケトンを留去した。
モノマーとして添加したアクリル酸の1.01倍モル相当のジメチルアミノエタノールをイオン交換水300mlに溶解させた。得られた溶液に上記重合物残渣を溶解させた。そして、イオン交換水で調整し、固形分25%の疎水モノマーを重合成分として有するバインダー樹脂の水溶液R−1を得た。
《溶解性樹脂》
合成例
滴下ロート、窒素導入官、還流冷却官、温度計及び攪拌装置を備えたフラスコにメチルエチルケトン50gを加え、窒素バブリングしながら、75℃に加温した。そこへ、メタクリル酸n−ブチルを40g、スチレンを40g、アクリル酸を20g、メチルエチルケトンを50g、および重合開始剤(AIBN)を500mg混合した混合物を滴下ロートより3時間かけ滴下した。滴下後、さらに6時間加熱還流した。放冷後、減圧下で加熱しメチルエチルケトンを留去した。
モノマーとして添加したアクリル酸の1.01倍モル相当のジメチルアミノエタノールをイオン交換水300mlに溶解させた。得られた溶液に上記重合物残渣を溶解させた。そして、イオン交換水で調整し、固形分25%の疎水モノマーを重合成分として有するバインダー樹脂の水溶液R−1を得た。
《水系分散型ポリマー微粒子》
JONCRYL537J(BASFジャパン株式会社製)
JONCRYL537J(BASFジャパン株式会社製)
<インクの調製>
(顔料分散体P−1の調製)
顔料分散剤としてスチレン−アクリル酸共重合体(ジョンクリル678、分子量8500、酸価215、ジョンソンポリマー製)3質量部とジメチルアミノエタノール1.3部とイオン交換水80.7部とを攪拌・混合して顔料分散体を溶解させた。この溶液にC.I.ピグメントブルー15:3を15質量部添加して、プレミックスした後、0.5mmのジルコニアビーズを体積率で50%充填したサンドグラインダーにより分散させた。それにより、顔料固形分が15質量%である顔料分散体P−1を得た。顔料分散体P−1中の顔料粒子の平均粒子径は122nmであった。なお、顔料粒子の平均粒子径はマルバーン社製ゼータサイザ1000HSを用いて測定した。
(顔料分散体P−1の調製)
顔料分散剤としてスチレン−アクリル酸共重合体(ジョンクリル678、分子量8500、酸価215、ジョンソンポリマー製)3質量部とジメチルアミノエタノール1.3部とイオン交換水80.7部とを攪拌・混合して顔料分散体を溶解させた。この溶液にC.I.ピグメントブルー15:3を15質量部添加して、プレミックスした後、0.5mmのジルコニアビーズを体積率で50%充填したサンドグラインダーにより分散させた。それにより、顔料固形分が15質量%である顔料分散体P−1を得た。顔料分散体P−1中の顔料粒子の平均粒子径は122nmであった。なお、顔料粒子の平均粒子径はマルバーン社製ゼータサイザ1000HSを用いて測定した。
(インク1の調製)
樹脂の水溶液R−1を3.0質量部、ジエチレングリコールモノブチルエーテルを5.0質量部、1,2−ヘキサンジオールを7.0質量部、プロピレングリコールを8.0質量部、キレート剤として3−ヒドロキシ−2,2’−イミノジコハク酸4ナトリウム(HIDS)を0.01質量部、界面活性剤としてKF−351Aを0.5質量部加えて攪拌し、イオン交換水で全量が80質量部となるように調製した。得られた溶液に、上記調製した顔料分散体P−1を20部加えて攪拌した。得られた溶液を、5μmのフィルターでろ過して、インク1を得た。なお、顔料はインク全体の質量に対して3質量%含有される。
樹脂の水溶液R−1を3.0質量部、ジエチレングリコールモノブチルエーテルを5.0質量部、1,2−ヘキサンジオールを7.0質量部、プロピレングリコールを8.0質量部、キレート剤として3−ヒドロキシ−2,2’−イミノジコハク酸4ナトリウム(HIDS)を0.01質量部、界面活性剤としてKF−351Aを0.5質量部加えて攪拌し、イオン交換水で全量が80質量部となるように調製した。得られた溶液に、上記調製した顔料分散体P−1を20部加えて攪拌した。得られた溶液を、5μmのフィルターでろ過して、インク1を得た。なお、顔料はインク全体の質量に対して3質量%含有される。
(インク2〜12の調製)
インクの組成を表1に示されるように変更した以外は、インク1と同様にしてインク2〜12を調製した。
インクの組成を表1に示されるように変更した以外は、インク1と同様にしてインク2〜12を調製した。
<インク物性の測定>
インクのpHは、東亜電波工業社製のpH METER HM−20Sを用いて測定した。測定結果を表1に示す。
インクのpHは、東亜電波工業社製のpH METER HM−20Sを用いて測定した。測定結果を表1に示す。
ドロップオンデマンドピエゾ方式のインクジェットプリンターのインクジェット記録ヘッドとして、ノズル口径28μm、駆動周波数18kHz、ノズル数512、最小液滴量14pl、ノズル密度180dpi、ヘッド搬送速度200mm/s、双方向印字が可能なものを用いた。インクジェットプリンターのインクジェット記録ヘッドに調製したインクを充填した。なお、dpiとは1インチ(2.54cm)当たりのドット数を表す。
インクジェットプリンターに設けられた接触式ヒーターにより記録媒体を裏面(ヘッドと対向する面とは反対の面)から加熱して、記録媒体の表面温度が45℃または50℃になるようにした。記録媒体はポリ塩化ビニルシート(digitalvinyl メタマーク社製)を用いた。なお、記録媒体の表面温度は、非接触温度計(IT−530N形 堀場製作所社製)を用いて測定した。
そして、ポリ塩化ビニルシート上に解像度720dpi×720dpi、10cm×10cmのベタ画像を形成し、記録画像とした。
<画像評価>
(ハジキ耐性)
上記方法で形成したベタ画像に発生したハジキの数を目視観察して、下記の基準に従って評価した。得られた評価結果を表2に示す。
◎:ハジキの数が5個未満
○:ハジキの数が5個以上、20個未満
△:ハジキの数が20個以上、50個未満
×:ハジキの数が50個以上
(ハジキ耐性)
上記方法で形成したベタ画像に発生したハジキの数を目視観察して、下記の基準に従って評価した。得られた評価結果を表2に示す。
◎:ハジキの数が5個未満
○:ハジキの数が5個以上、20個未満
△:ハジキの数が20個以上、50個未満
×:ハジキの数が50個以上
(定着性)
上記方法で形成したベタ画像を9Nの荷重をかけた綿布(カナキン3号)でこすり、画像表面の傷や塗膜はがれの状態を目視観察して下記の基準に従って評価した。得られた評価結果を表2に示す。
○:30往復擦っても画像表面に傷が発生しない
△:10往復擦ると画像表面に傷が発生し、30往復擦ると画像膜が剥がれる
×:5往復擦ると画像膜が剥がれる
上記方法で形成したベタ画像を9Nの荷重をかけた綿布(カナキン3号)でこすり、画像表面の傷や塗膜はがれの状態を目視観察して下記の基準に従って評価した。得られた評価結果を表2に示す。
○:30往復擦っても画像表面に傷が発生しない
△:10往復擦ると画像表面に傷が発生し、30往復擦ると画像膜が剥がれる
×:5往復擦ると画像膜が剥がれる
(ビーディング耐性)
上記方法で形成したベタ画像を45℃または50℃に加熱し、ビーディング(画像の斑)の発生を目視観察して下記の基準に従って評価した。得られた評価結果を表2に示す。
○:45℃に加熱した場合でもビーディングの発生が認められず、画質が良好である
△:45℃に加熱した場合はビーディングの発生が認められるが、50℃に加熱した場合はビーディングの発生が認められない
×:50℃に加熱した場合でもビーディングの発生が認められる
上記方法で形成したベタ画像を45℃または50℃に加熱し、ビーディング(画像の斑)の発生を目視観察して下記の基準に従って評価した。得られた評価結果を表2に示す。
○:45℃に加熱した場合でもビーディングの発生が認められず、画質が良好である
△:45℃に加熱した場合はビーディングの発生が認められるが、50℃に加熱した場合はビーディングの発生が認められない
×:50℃に加熱した場合でもビーディングの発生が認められる
(保存安定性)
インク1〜12のインク組成物を60℃に加熱した状態で1週間放置した。その後、放置後のインクと調製直後のインクとの顔料粒子の平均粒径を下記式で比較して下記の基準に従って評価した。得られた評価結果を表2に示す。
式:放置後のインク中の顔料粒子平均粒径/調製直後のインク中の顔料粒子平均粒径
○:変動幅が±15%未満
△:変動幅が±15%以上、±30%未満
×:変動幅が±30%以上
インク1〜12のインク組成物を60℃に加熱した状態で1週間放置した。その後、放置後のインクと調製直後のインクとの顔料粒子の平均粒径を下記式で比較して下記の基準に従って評価した。得られた評価結果を表2に示す。
式:放置後のインク中の顔料粒子平均粒径/調製直後のインク中の顔料粒子平均粒径
○:変動幅が±15%未満
△:変動幅が±15%以上、±30%未満
×:変動幅が±30%以上
表2に示されるように、実施例1〜8は「ハジキ耐性」が良好な結果である。これは、キレート剤であるHIDSが顔料由来の多価金属イオンを捕捉して、析出を抑制したためと考えられる。特に、HIDSの含有量がインク全体に対して、0.001質量%以上であるときに優れた結果が得られた(実施例1、3〜8)。ただし、HIDSの含有量が0.1質量%超の場合には「保存安定性」が低下してしまう(実施例5)。また、実施例8は「ビーディング耐性」がやや低下している。これは、バインダー樹脂が溶解性樹脂で無いため、インクの粘度が上昇しないために生じうる。
一方、比較例1〜4は「ハジキ耐性」が不良である。これは、アルカリ性の環境下でも高いキレート効果を発揮しうるHIDSがインク中に含有されていないためと考えられる。それにより、顔料由来の多価金属イオンが捕捉されずに析出することで、ハジキが生じうる。特に、インク中にキレート剤を含有しない比較例3、4は多数のハジキが生じうる。
比較例4は「定着性」および「ビーディング耐性」も不良である。これらは、定着性を向上させる樹脂がインク中に含有されていないことで生じうる。
本発明によれば、アルカリ性のインクジェットインクを用いた場合においても、非吸水性の記録媒体上でインク液滴のハジキを防止できるインクジェットインクを提供することができる。
10 インクジェット記録装置
12 記録媒体
14 インクジェット記録ヘッド
16 ヘッドキャリッジ
19 温度制御部
12 記録媒体
14 インクジェット記録ヘッド
16 ヘッドキャリッジ
19 温度制御部
Claims (4)
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012073647A JP2013203850A (ja) | 2012-03-28 | 2012-03-28 | インクジェットインク |
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---|---|---|---|
JP2012073647A JP2013203850A (ja) | 2012-03-28 | 2012-03-28 | インクジェットインク |
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- 2012-03-28 JP JP2012073647A patent/JP2013203850A/ja active Pending
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