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JP2009235322A - 水性インクジェットインク - Google Patents

水性インクジェットインク Download PDF

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JP2009235322A
JP2009235322A JP2008086363A JP2008086363A JP2009235322A JP 2009235322 A JP2009235322 A JP 2009235322A JP 2008086363 A JP2008086363 A JP 2008086363A JP 2008086363 A JP2008086363 A JP 2008086363A JP 2009235322 A JP2009235322 A JP 2009235322A
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JP
Japan
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water
ink
pigment
mass
soluble copolymer
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Application number
JP2008086363A
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English (en)
Inventor
Kimie Tachibana
喜美江 立花
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta IJ Technologies Inc
Original Assignee
Konica Minolta IJ Technologies Inc
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Publication date
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Abstract

【課題】非吸収性または低吸収性記録媒体に高画質に記録でき、得られた画像の耐久性に優れ、該記録媒体上での乾燥性が速く、射出安定性に優れた水性インクジェットインクを提供する。
【解決手段】顔料、水、乳酸エステル化合物、界面活性剤及びカルボキシル基を有する不飽和ビニルモノマーを成分として重合した共重合体をアミンにより中和溶解した水溶性共重合物をインク総量に対して1質量%以上、10質量%以下含有することを特徴とする水性インクジェットインク。
【選択図】なし

Description

本発明は、塩化ビニル等の樹脂成分を含む非吸収性あるいは低吸収性記録媒体に印字する印字適正を備えた新規な水性の水性インクジェットインクに関するものである。
産業用途のインクジェットインクとして、塩化ビニルシート等の非吸収性記録媒体に直接印字できるインクが近年開発されてきている。例えば、有機溶剤をビヒクルとした溶剤系インクジェットインクや、重合性モノマーを主成分とする紫外線硬化型インクジェットインクが挙げられる。溶剤系インクジェットインクは、その溶剤を乾燥させて大気中に蒸発させるため、環境負荷の観点も万全ではない。一方、紫外線硬化型インクジェットインクは、印字後すぐに硬化させるので蒸発成分は少ないが、使用するモノマーによっては皮膚感作性を有する場合もあること、また、高価な紫外線照射光源をプリンタに組み込む必要もあり、適用分野が限られてくる。
このような背景の中で、環境負荷の少ない、従来から家庭用インクジェット記録方式等でも広く使用されている、水を主成分とする水性のインクジェット記録インクを用いて、直接、非吸収性記録媒体にも印字できるインクジェットインクの開発が行われるようになってきている。
例えば、特許文献1には、グリコールとグリコールエーテルを除く群から選択される水と相溶性ある溶剤とを含有する水系インクジェットインクが提案されており、更には、疎水性の主鎖と、非イオン性で親水性の側鎖とを有し、水性ビヒクルには溶解するが水には不溶性であるグラフトコポリマーバインダーを含有するインクジェットインクが提案されている。しかしながら、これには、適用するバインダーとして、カルボキシル基等の酸性基を有する構造の高分子化合物を使用することは開示されていない。また、本発明者らの検討では、特許文献1で開示された技術では、非吸収性記録媒体上に形成される画質としては不十分であり、また、得られた画像の耐久性も不十分である。
一方、特許文献2には、未処理のビニル樹脂シートまたはビニル樹脂で被覆された下地に、少なくとも1つの加熱装置を有するピエゾ型印刷システムで印刷するための、液状媒体、水不溶性着色剤、ポリマーバインダー、乾燥抑制剤並びに他の添加剤よりなり、かつ、該液状媒体が水と水混和性乾燥抑制剤で組成されている印刷インクで、該液状媒体として少なくとも80質量%の水を含有しており、乾燥抑制剤の含有物がブチルジグリコール及び1−メトキシプロパノール−2で組成されており、インクが8.5より大きいpH値を有するインク、さらに、バインダーは液状インクジェットインク中に溶解した状態で存在するインクジェットインクが提案されている。しかしながら、本発明者らの検討では、特許文献2に開示された技術では、特許文献1に記載の技術と同様に、画質や乾燥性等の課題が残ることが判明した。
また、特許文献3〜6には、バインダー樹脂としてインクジェットインクに溶解しない樹脂微粒子を添加した水系インクジェットインクが提案されており、射出は比較的安定であるが、非吸収性記録媒体上で形成される画質は不十分であることが分かってきた。
特開2000−44858号公報 特開2005−113147号公報 特開2004−114692号公報 特開2005−220352号公報 特開2006−22328号公報 特開2006−282822号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、非吸収性または低吸収性記録媒体に高画質に記録でき、得られた画像の耐久性に優れ、該記録媒体上での乾燥性が速く、射出安定性に優れた水性インクジェットインクを提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.顔料、水、乳酸エステル化合物、界面活性剤及びカルボキシル基を有する不飽和ビニルモノマーを成分として重合した共重合体をアミンにより中和溶解した水溶性共重合物をインク総量に対して1質量%以上、10質量%以下含有することを特徴とする水性インクジェットインク。
2.更に、ピロリドン化合物を含有することを特徴とする前記1に記載の水性インクジェットインク。
3.水溶性有機溶剤として、グリコールエーテル類または1,2−アルカンジオール類を、インク総質量に対し2.0質量%以上、20質量%以下含有することを特徴とする前記1または2に記載の水性インクジェットインク。
4.水系分散型ポリマー微粒子を含有することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の水性インクジェットインク。
更に、本発明における好ましい実施態様として、以下の構成を挙げることができる。
5.前記水溶性共重合体の酸価が、80mgKOH/g以上、300mgKOH/g未満であることを特徴とする前記1に記載の水性インクジェットインク。
6、前記乳酸エステル化合物を、インク総量に対して1.0質量%以上、10質量%以下含有することを特徴とする前記1に記載の水性インクジェットインク。
7.前記界面活性剤が、シリコン系界面活性剤、アセチレン系界面活性剤またはフッ素系界面活性剤であることを特徴とする前記1に記載の水性インクジェットインク。
8.前記ピロリドン化合物が、N−メチル−2−ピロリドン、またはN−エチル−2−ピロリドンであることを特徴とする前記2に記載の水性インクジェットインク。
本発明により、非吸収性または低吸収性記録媒体に高画質に記録でき、得られた画像は耐久性に優れ、該記録媒体上での乾燥性が速く、射出安定性に優れた水性インクジェットインクを提供することができた。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、少なくとも
1)顔料、
2)乳酸エステル化合物、
3)界面活性剤、
を含有し、
更に、
4)少なくともカルボキシル基を有する不飽和ビニルをモノマー成分として重合した共重合体をアミンにより中和溶解した水溶性共重合物をインク総質量に対して1.0質量%以上、10質量%以下含有する、
ことを特徴とする水性インクジェットインクにより、非吸収性または低吸収性の記録媒体上に高品位の画像を記録でき、得られた画像は高耐久性を有し、該記録媒体の上での乾燥性が速く、射出安定性に優れた水性インクジェットインクが得られることを見出し、本発明に至った次第である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の水性インクジェットインク(以下、本発明のインクともいう)は、アミンにより中和溶解した水溶性共重合物と、乳酸エステルをともに含むことを第1の特徴とする。主として該水溶性共重合物の作用により、着弾後の乾燥で本発明のインクの粘度が上昇し、インクの滲みや色混じりを起こすことなく高画質画像を得ることができ、また、記録媒体に色材を強固に定着させることができる。該水溶性共重合体の含有量が10質量%以下であれば、インク中での十分な溶解を維持でき、保存安定性を満足することができる。
一方、乳酸エステル化合物は、塩化ビニル樹脂等のプラスチック基材にインクジェット記録する際に該塩化ビニル樹脂を膨潤または溶解し、インク中に共存する顔料を塩化ビニル樹脂表面に埋め込むようにして顔料を記録媒体に強固に定着させる働きを担うと考えている。更に、乳酸エステル化合物を含むインクは、着弾後の乾燥で粘度が上昇して、インクの滲みや色混じりを起こすことなく高画質画像を形成することもできる。従って、着弾、乾燥時のインクの増粘効果において、水溶性共重合物と乳酸エステルを併用することによって、滲みや色混じりを抑えた高画質画像を形成し、かつ、色材の定着性・耐久性に優れた記録画像を得ることができるものと考えている。
また、該乳酸エステルの塩化ビニル樹脂等の記録媒体を膨潤・溶解する程度はあまり強くないので、膨潤・溶解等を更に効果的に行うために、ピロリドン化合物を併用することが好ましい。これにより記録媒体に対してインク中の色材を更に強固に定着させることができると考えられる。
また、本発明のインクは、更に水溶性有機溶媒としてグリコールエーテル類又は1,2−アルカンジオール類を、インク総質量に対して2.0質量%以上、20質量%以下含有することにより、更に乾燥過程における増粘作用を発揮して、高画質かつ耐久性の高い記録画像を得ることができる。また、本発明で用いる乳酸エステルは、塩化ビニル等の樹脂を膨潤及び溶解する機能が、グリコールエーテル類や1,2−アルカンジオール類と併用することにより、更に顕著に発現されることが判明した。
従って、本発明に係る水溶性共重合物と乳酸エステル化合物を用いる実施態様の他、該水溶性共重合物と乳酸エステル化合物とピロリドン化合物を併用する態様、該水溶性共重合物と乳酸エステル化合物と、グリコールエーテル類または1,2−アルカンジオールとを併用する態様、更に、水溶性共重合物、乳酸エステル化合物、ピロリドン化合物、及び、グリコールエーテル類や1,2−アルカンジオール類とを併用する態様も好ましい。
はじめに、本発明に係るカルボキシル基を有する不飽和ビニルをモノマー成分として重合した共重合体をアミンにより中和溶解した水溶性共重合物について説明する。
本発明の水性インクジェットインクは、特に、非吸収性あるいは低吸収性の記録媒体に記録するとき、高画質でかつ優れた耐擦過性を備えた画像を形成できる、という本発明の効果を奏する。即ち、本発明に係る水溶性共重合物は、インク着弾後の乾燥過程で速やかに粘度上昇し、滲みを抑制した高画質な画像を形成し、顔料を塩化ビニル樹脂等の非吸収性記録媒体等の表面に定着させる機能を有している。
この現象について、本発明者らは以下のように推定している。
即ち、本発明の水性インクジェットインク中では、該水溶性共重合物のカルボキシル基がアミンによって中和されて安定に存在しているが、記録媒体に着弾・乾燥することによって、水分の蒸発により該水溶性共重合物の濃度が上昇する。また、同時に、乾燥時に中和に用いられたアミンも揮発することによって、更に該水溶性共重合物の濃度が上昇する。その結果、インクの粘度が増して色混じりの発生を抑えた高画質な記録画像を得ることができる。
更に、中和剤であるアミン類は乾燥後には揮発しているので、記録画像に再度水分が付与されたとしても、該水溶性共重合物は水に再溶解することなく固化し、顔料は定着されていて、耐擦過性や耐水性に優れる、という効果が認められる。
本発明に係る水溶性共重合物は、カルボキシル基である親水性成分と、疎水性成分とを適切なバランスで有するものを設計して用いる。この際、カルボキシル基を揮発可能な塩基成分で中和することで水溶性を付与した本発明に係る水溶性共重合体は上記の機能を十分に発揮するものである。このような水溶性共重合物としては、アクリル系、スチレン−アクリル系、アクリロニトリル−アクリル系、酢酸ビニル−アクリル系、ポリウレタン系、ポリエステル系の各樹脂を例示することができる。
本発明に係る水溶性共重合物を構成する疎水性モノマーとしては、例えば、アクリル酸エステル(例えば、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル等)、メタクリル酸エステル(例えば、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸グリシジル等)、スチレン等が挙げられる。
本発明に係る水溶性共重合物を構成する親水性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド等が挙げられる。
該水溶性共重合物が有しているカルボキシル基は、部分的あるいは完全にアミン類で中和されている必要がある。アミン類としては、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジ−n−ブチルアミノエタノール、メチルジエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−メチルアミノエタノール等を好ましく用いることができる。
特に、沸点が200℃未満のアミン類で中和することは、乾燥時にアミン類が揮発し易く、疎水性を速く高めて画像の耐久性向上に寄与することから更に好ましい。
本発明に係る水溶性共重合物の含有量は1.0質量%以上、10質量%以下であり、該水溶性共重合物の含有量がインク総質量に対して1.0質量%以上であれば、乾燥時の増粘効果が十分であり、滲みを防止して高画質画像を得ることができる。また、10質量%以下であれば、インク中に安定に溶解している状態を保ち、インクの保存安定性が高く、安定に射出が可能となり、長期にわたって安定にプリントを得ることができる。
また、本発明に係る水溶性共重合物は、その酸価が80mgKOH/g以上、300mgKOH/g未満であることが更に好ましいが、上記で規定する範囲の酸価を有する水溶性共重合化合物を適用することにより、乾燥時の粘度増加が顕著になるとともに、乾燥後も強固に固化して顔料の定着性が向上するという、本発明の効果が著しく認められるものである。更に好ましい酸価は90〜250mgKOH/g程度のものである。重合方法としては溶液重合であることが好ましい。本発明で規定する酸価は、JIS K0070に準拠して測定できる。
本発明に係る水溶性共重合物の分子量としては、平均分子量で3000〜30000のものを好ましく用いることができ、より好ましくは7000〜20000である。
本発明に係る水溶性共重合物のTgは、−30℃〜100℃程度のものを好ましく用いることができ、より好ましくは−10℃〜80℃である。
次に、本発明のインクに含まれる乳酸エステル化合物について説明する。インク組成物中の乳酸エステル化合物は、水より蒸発が遅い特性を有している。インクジェット記録を行った際、印刷されたインク組成物の水分が蒸発すると、乳酸エステル化合物の成分が高濃度になる。乳酸エステル化合物は、プラスチックを溶解する特性を備えており、乳酸エステル化合物濃度が高くなると、被記録媒体を構成するプラスチック材料を膨潤・溶解する作用が高められる。
また、着弾後に乳酸エステル化合物が高濃度になることにより、該水溶性共重合物と共に、インク粘度を上昇させて、滲みのない高画質画像を形成することにも寄与すると考えられる。
本発明のインクに用いる乳酸エステル化合物の例としては、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸アミル、乳酸ヘキシル等が挙げられ、好ましくは乳酸エチル、乳酸ブチルである。これらの乳酸エステル化合物は、2種類以上を混合して使用してもよい。乳酸エステル化合物の含有量は限定されないが、好ましくはインク全質量に対して1.0〜20.0質量%、更に好ましくは2.0〜15.0質量%である。
本発明のインクにおいては、更にピロリドン化合物を含有する態様が好ましい。
本発明に好ましく用いることのできるピロリドン化合物は、乳酸エステル化合物と共に塩化ビニルのような記録媒体に用いられる樹脂を膨潤・溶解して、記録媒体に顔料を強固に定着させる働きを有すると考えられる。ピロリドン化合物の好ましい具体例としては、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、及び、N−エチル−2−ピロリドンであり、殊に、N−メチル−2−ピロリドン、及び、N−エチル−2−ピロリドンが好ましい。これらは、2種以上組み合わせて用いてもよい。ピロリドン化合物の含有量は、概ね、インク総量に対して0.1〜12.0質量%であり、0.1質量%以上であれば顔料定着可能な程度の樹脂溶解性を示し、また12.0質量%以下であればプリンタのインク接触部品の破壊を防ぐことができる。同じ観点において、好ましくは1.0〜10.0質量%である。
本発明においては、水溶性有機溶剤としてグリコールエーテル類または1,2−アルカンジオール類を含有する態様が好ましい。該グリコールエーテル類や1,2−アルカンジオール類は、顔料分散体や水溶性共重合物との疎水性相互作用により、インク着弾後、乾燥過程でグリコールエーテル類等の濃度が増すに従って、より強く作用しあうことによりインクの増粘をもたらす。従って、水溶性共重合物とグリコールエーテル類または1,2−アルカンジオール類とを併用することによって、滲み抑制効果が顕著に発揮されると考えられる。
該グリコールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。また、1,2−アルカンジオール類としては、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール等が挙げられる本発明に用いられる。
本発明に係るグリコールエーテル類または1,2−アルカンジオール類は、インク総質量に対して2〜20質量%含有することが、本発明の効果を顕著に奏するという観点において特に好ましい。
本発明に係るインクにおいては、塩化ビニル樹脂等を含む記録媒体へのぬれ性を確保するために界面活性剤を使用する。
本発明に係る界面活性剤として用いられる好ましいものは、シリコン系界面活性剤、アセチレン系界面活性剤またはフッ素系界面活性剤が挙げられる。
本発明に用いることのできるシリコン系界面活性剤とは、ジメチルポリシロキサンの側鎖または末端をポリエーテル変性したもの(ポリエーテル変性ポリシロキサン化合物)が好ましく、例えば、信越化学工業社製のKF−351A、KF−642やビッグケミー社製のBYK347、BYK348等が挙げられる。
本発明に用いることのできるアセチレン系界面活性剤としては、特に、アセチレングリコール系界面活性剤が好ましく、分子中に三重結合を有し、その隣接炭素原子に水酸基およびアルキル基を有し、三重結合に対して左右対称構造であるものが好ましい。本発明で用いられるアセチレングリコール化合物、アセチレンアルコール化合物は市販品として入手することができ、例えば、日信化学工業社製のサーフィノール、オルフィン、川研ファインケミカル社製のアセチレノールが挙げられる。
本発明に用いることのできるフッ素系界面活性剤とは、通常の界面活性剤の疎水性基の炭素に結合した水素の代わりに、その一部または全部をフッ素で置換したものを意味する。この内、分子内にパーフルオロアルキル基を有するものが好ましい。
フッ素系の界面活性剤の内、ある種のものは大日本インキ化学工業社からメガファック(Megafac)Fなる商品名で、旭硝子社からサーフロン(Surflon)なる商品名で、ミネソタ・マイニング・アンド・マニファクチュアリング・カンパニー社からフルオラッド(Fluorad)FCなる商品名で、インペリアル・ケミカル・インダストリー社からモンフロール(Monflor)なる商品名で、イー・アイ・デュポン・ネメラス・アンド・カンパニー社からゾニルス(Zonyls)なる商品名で、またファルベベルケ・ヘキスト社からリコベット(Licowet)VPFなる商品名で、それぞれ市販されている。
また、非イオン性フッ素系界面活性剤としては、例えば、大日本インキ社製のメガファックス144D、旭硝子社製のサーフロンS−141、同145等を挙げることができ、また、両性フッ素系界面活性剤としては、例えば、旭硝子社製のサーフロンS−131、同132等を挙げることができる。
次いで、本発明に係る顔料について説明する。
本発明に適用可能な顔料は、水系で安定に分散できるものであればよく、高分子樹脂により分散した顔料分散体、水不溶性樹脂で被覆されたカプセル顔料、顔料表面を修飾し分散樹脂を用いなくても分散可能な自己分散顔料等から選択することができる。インクの保存性を特に重視する場合は、水不溶性樹脂で被覆されたカプセル顔料を選択することが好ましい。
高分子樹脂により分散した顔料分散体を用いる場合、高分子樹脂としては水溶性のものを用いることができる。水溶性樹脂として好ましく用いられるのは、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体等のような水溶性樹脂である。
顔料の分散方法としては、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等各種を用いることができる。
本発明に係る顔料分散体を調製するには、顔料分散体の粗粒分を除去する目的で遠心分離装置を使用すること、フィルターを使用することも好ましく用いられる。
また、水不溶性樹脂で被覆されたカプセル顔料を用いる場合、水不溶性樹脂とは、弱酸性ないし弱塩基性の水に対して不溶な樹脂であり、好ましくは、pH4〜10の水溶液に対する溶解度が2質量%未満の樹脂である。
このような樹脂としては、アクリル系、スチレン−アクリル系、アクリロニトリル−アクリル系、酢酸ビニル系、酢酸ビニル−アクリル系、酢酸ビニル−塩化ビニル系、ポリウレタン系、シリコン−アクリル系、アクリルシリコン系、ポリエステル系、エポキシ系の各樹脂を挙げることができる。
また、本発明では顔料を分散するのに用いる樹脂として疎水性モノマーと親水性モノマーを構成成分として作成された樹脂を用いることができる。
疎水性モノマーとしては、アクリル酸エステル(アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル等)、メタクリル酸エステル(メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸グリシジル等)、スチレン等が挙げられる。
親水性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド等が挙げられ、アクリル酸のような酸性基を有するものは、重合後に塩基で中和したものを好ましく用いることができる。
樹脂の分子量としては、重量平均分子量Mwで、3000〜500000のものを用いることができる。好ましくは、7000〜200000のものを用いることができる。
樹脂のTgは−30〜100℃程度のものを用いることができる。好ましくは−10〜80℃程度のものを用いることができる。
重合方法としては、溶液重合、乳化重合を用いることができる。重合はあらかじめ顔料と別途行ってもよいし、顔料を分散した系内にモノマーを供給して重合してもよい。
顔料を樹脂で被覆する方法としては、公知の種々の方法を用いることができるが、好ましくは、転相乳化法や酸析法の他に、顔料を重合性界面活性剤により分散し、そこへモノマーを供給し、重合しながら被覆する方法から選択することができる。
より好ましい方法としては、水不溶性樹脂をメチルエチルケトン等の有機溶剤に溶解し、さらに塩基にて樹脂中の酸性基を部分的または完全に中和後、顔料及びイオン交換水を添加し、分散した後、有機溶剤を除去、必要に応じて加水し調製する製造方法が好ましい。
顔料と樹脂の質量比率は、顔料/樹脂比で100/40〜100/150から選択することができる。特に、画像耐久性、射出安定性やインク保存性が良好なのは100/60〜100/110の範囲である。
水不溶性樹脂で被覆された顔料粒子の平均粒子径は80〜150nm程度がインク保存安定性、発色性の観点から好ましい。
平均粒子径は、光散乱法、電気泳動法、レーザードップラー法等を用いた市販の粒径測定機器により求めることができる。また、透過型電子顕微鏡による粒子像撮影を少なくとも100粒子以上に対して行い、この像をImage−Pro(メディアサイバネティクス製)等の画像解析ソフトを用いて統計的処理を行うことによっても求めることが可能である。
また、自己分散顔料としては表面処理済みの市販品を用いることもでき、例えば、CABO−JET200、CABO−JET300(キャボット社製)、ボンジェットCW1(オリエント化学工業社製)等を挙げることができる。
本発明に使用できる顔料としては、従来公知の有機及び無機顔料が使用できる。例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料のアゾ顔料や、フタトシアニン顔料、ペリレン及びペリレン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサンジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロニ顔料等の多環式顔料や、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等の染料レーキや、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等の有機溶剤、カーボンブラック等の無機顔料が挙げられる。
具体的な有機顔料を、以下に例示する。
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
グリーンまたはシアン用の顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
本発明の水性インクジェットインクにおいては、更に、水系分散型ポリマー微粒子を含有することが好ましい。本発明においては、水溶性共重合物を用いることによってインクの着弾後、乾燥時にインクが増粘して記録媒体への顔料定着を促進するが、一方、インク着弾直後で乾燥増粘前に液滴が適度にレベリングすることによって、画像表面に凸凹が生ずるのを防ぐことにより、写像性を良好に保つことができる。このとき、乾燥過程における粘度増加の程度を、水溶性共重合物を減量することのみでコントロールしようとすると、レベリングと滲みとのバランスをとるのが容易ではないが、本発明に係る水系分散型ポリマーを水溶性共重合物と併用することによって、インクの着弾直後は粘度上昇速度を抑えてインクをレベリングさせて、その後の乾燥過程で粘度上昇速度を高めるようなコントロールが容易に行えることができる。
また、該水系分散型ポリマー微粒子のTgは、35℃以上であることが、画像の耐擦過性効果を発揮するという点において好ましく、さらに49℃以上であることがより好ましい。Tgの上限は特に制限されるものではないが、概ね100℃未満であれば柔軟なインク皮膜を得ることができ、プリント物の折り曲げ等による画像のひび割れ故障を抑制できるという点で好ましい。
水系分散型ポリマー微粒子の酸価は、44mgKOH/g以上が好ましく、更には60mgKOH/g以上が好ましい。酸価の上限は特に限定されるものではないが、より安定な分散物を得易いという観点で、110mgKOH/g未満が好ましい。
水系分散型ポリマー微粒子の平均粒子径は、インクジェット記録ヘッドのノズルにおける目詰まりがなく、良好な光沢感が得られる観点で、300nm以下であることが好ましく、より好ましくは130nm以下である。平均粒子径の下限は、微粒子の製造安定性の観点から30nmが好ましい。尚、水系分散型ポリマー微粒子の平均粒子径は、光散乱方式やレーザードップラー方式を用いた市販の測定装置を使用して簡便に計測することが可能である。また、水系分散型ポリマー微粒子の分散物を凍結乾燥し、透過型顕微鏡で観察される粒子から平均粒子径を換算することもできる。
水系分散型ポリマー微粒子の含有量は、インク全質量に対し0.7〜6質量%が好ましく、良好な定着性(耐擦過性、アルコール耐性)とインクの長期保存安定を得やすい。特に好ましくは、1〜3質量%である。
水系分散型ポリマー微粒子は、水系で重合された分散物をそのまま、あるいは処理したものを用いてもよいし、溶剤系で重合されたポリマーを水系に分散したものを用いてもよく、ポリマー成分としては、例えば、アクリル系、ウレタン系、スチレン系、酢酸ビニル系、塩化ビニリデン系、塩化ビニル系、スチレン−ブタジエン系、スチレン−アクリロニトリル系、ポリブタジエン系、ポリエチレン系、ポリイソブチレン系、ポリエステル系等から選択することができる。
また、インクの物性として、吐出安定性を満たすという観点から、粘度に対するシェア依存性がないことが好ましく、この観点からポリマー微粒子の分散形態として界面活性剤などの乳化剤を極力低濃度にするか、乳化剤を用いないソープフリー型の分散ポリマー粒子が好ましい。特に好ましい水系分散型ポリマー微粒子は、カルボキシル基を有する不飽和ビニルを単量体成分として重合した共重合体の自己分散型ディスパージョンであり、例えば、アクリル酸エチルなどのアクリル系モノマー単独もしくはアクリル系モノマーと共重合し得るエチレン姓の不飽和モノマーからなる組成物にカルボン酸モノマーとしてアクリル酸やマレイン酸などを乳化重合もしくは懸濁重合して得られた分散液をアルカリで膨潤後、機械的せん断により粒子を分割して得られるアクリルヒドロゾルである。尚、アクリルヒドロゾルの中でも、樹脂の屈折率を高めて高い光沢感が得られる点で、モノマー組成にスチレンを含有することが好ましい。
上記分散液の膨潤操作で用いるアルカリとしては、アンモニア、トリエチルアミン、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジ−n−ブチルアミノエタノール、メチルジエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−メチルアミノエタノールなどのアミンであることが好ましく、アンモニア、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、および、2−メチルアミノエタノールが水系分散型ポリマー微粒子の分散安定性において特に好ましい。
前記アクリルヒドロゾルは、ジョンソンポリマー株式会社のジョンクリル(商標)などが市販されている。
本発明のインクには、上記で説明したもの以外にも種々の化合物等を含有することができる。例えば、溶剤として用いるものは水性液媒体が好ましく、水及び水溶性有機溶剤等の混合溶剤がさらに好ましく用いられる。例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール等)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)等が挙げられる。
本発明のインクは、塩化ビニルシート等の非吸収性記録媒体や低吸収性記録媒体に記録する際に、顕著に本発明の効果を奏する。また、他にも普通紙、コート紙、インクジェット専用紙等に印字するのに適している。
非吸収性記録媒体としては、高分子シート、ボード(軟質塩化ビニル、硬質塩化ビニル、アクリル板、ポリオレフィン系等)、ガラス、タイル、ゴム、合成紙等が挙げられる。
低吸収もしくは吸収性記録媒体としては、普通紙(コピー紙、印刷用普通紙)、コート紙、アート紙、インクジェット専用紙、インクジェット光沢紙、ダンボール、木材などが挙げられる。
特に、本発明に係る効果を顕著に発揮するのは、記録面側に少なくともポリ塩化ビニルを有する記録媒体である。例えば、ポリ塩化ビニルを有する記録媒体の具体例としては、SOL−371G、SOL−373Mm、SOL−4701(以上、ビッグテクノス社)、光沢塩化ビニル(ステムグラフィ社製)などである。
本発明のインクは、記録媒体を加熱して印字することがより好ましい。記録媒体を加熱することで、インクの乾燥増粘速度が著しく向上し、高画質が得られる。また、画像の耐久性も向上する。加熱温度としては、記録媒体の記録表面温度を40〜80℃になるように加熱することが特に好ましい。40℃以上であれば、画質は十分であり、また十分な画像耐久性が得られることに加え、乾燥時間も比較的短時間ですむ。一方、80℃以下であれば、インクの安定射出性を確保し安定にプリントすることができる。更に好ましくは、記録媒体の記録表面温度を40〜60℃とすることが好ましい。
加熱方法としては、記録媒体搬送系もしくはプラテン部材に発熱ヒーターを組み込み、記録媒体下方から接触式で加熱する方法や、ランプ等により下方または上方から非接触で加熱する方法を選択することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
《顔料分散体の調製》
〔顔料分散体−Cの調製〕
顔料分散剤としてスチレン−アクリル酸共重合体(ジョンクリル678、分子量8500、酸価215)3部、ジメチルアミノエタノール1.3部、イオン交換水80.7部を70℃で攪拌混合して溶解した。
次いで、上記溶液に、C.I.ピグメントブルー15:3を15部添加してプレミックスした後、0.5mmのジルコニアビーズを体積率で50%充填したサンドグラインダーを用いて分散し、シアン顔料の含有量が15%の顔料分散体−Cを調製した。
〔顔料分散体−Y、顔料分散体−M、顔料分散体−Bkの調製〕
上記顔料分散体−Cの調製において、シアン顔料C.I.ピグメントブルー15:3に代えて、イエロー顔料としてC.I.ピグメントイエロー−74、マゼンタ顔料としてC.I.ピグメントレッド122、ブラック顔料としてカーボンブラックをそれぞれ用いた以外は同様にして、顔料分散体−Y、顔料分散体−M、顔料分散体−Bkを調製した。
《水溶性共重合物の合成》
〔水溶性共重合物1の合成〕
滴下ロート、窒素導入官、還流冷却官、温度計及び攪拌装置を備えたフラスコにメチルエチルケトン50gを加え、窒素バブリングしながら、75℃に加温した。
そこへ、メタクリル酸n−ブチル80g、アクリル酸20g、メチルエチルケトン50g、重合開始剤(AIBN)500mgからなる混合物を、滴下ロートより3時間かけ滴下した。滴下後、さらに6時間加熱還流した。放冷後、減圧下で加熱し、メチルエチルケトンを留去して重合物残渣を得た。
イオン交換水450mlに対して、モノマーとして添加したアクリル酸の1.05倍モル相当のジメチルアミノエタノールを溶解し、そこへ上記重合物残渣を添加して溶解した。次いで、イオン交換水で濃度を調整し、水溶性共重合物含有量が20%の水溶性共重合物1(酸価117mgKOH/g)の水溶液を得た。
〔水溶性共重合物2、3の合成〕
上記水溶性共重合物1の合成において、使用したモノマーを表1に記載のモノマーに代えた以外は同様にして、水溶性共重合物2(酸価155mgKOH/g)、水溶性共重合物3(酸価194mgKOH/g)を合成し、水溶性共重合物含有量が20%の水溶性共重合物2、3の水溶液を得た。
〔比較用の水溶性共重合物Aの合成〕
滴下ロート、窒素導入官、還流冷却官、温度計及び攪拌装置を備えたフラスコにメチルエチルケトン50gを加え、窒素バブリングしながら、75℃に加温した。
そこへ、メタクリル酸n−ブチル80g、アクリル酸20g、メチルエチルケトン50g、重合開始剤(AIBN)500mgの混合物を滴下ロートより3時間かけ滴下した。滴下後さらに6時間、加熱還流した。放冷後、減圧下加熱しメチルエチルケトンを留去して重合物残渣を得た。
イオン交換水450mlに対して、モノマーとして添加したアクリル酸の1.05倍モル相当の水酸化ナトリウムを溶解し、そこへ上記重合物残渣を溶解した。イオン交換水で濃度を調整し、水溶性共重合物含有量が20%の水溶性共重合物Aの水溶液を得た。
《インクセットの調製》
〔インクセット11の調製:本発明〕
(インクC11の調製)
上記調製した顔料分散体−Cの26.7部を攪拌しながら、疎水モノマーを重合成分として有する上記水溶性共重合物含有量が20%の水溶性共重合物1の水溶液16.5部を添加し、次いで、下記に示す各化合物を順次添加してインク組成物を調製し、0.8μmのフィルターによりろ過してインクC11を得た。
顔料分散体−C 26.7部
水溶性共重合物1の水溶液(水溶性共重合物含有量:20%) 16.5部
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 10.0部
1,2−ヘキサンジオール 5.0部
乳酸ブチル 3.5部
ジエチレングリコール 11.2部
シリコン系界面活性剤:KF−351A(信越化学工業社製) 0.6部
イオン交換水を加えて全量100部に調製した。なお、インクC11中の水溶性共重合物1の含有量は、3.3質量%である。
(インクY11の調製)
上記インクC11の調製において、顔料分散体−Cに代えて、顔料分散体−Yを用い、更に乳酸ブチルの添加量を4.0部に変更した以外は同様にして、インクY11を調製した。
(インクM11の調製)
上記インクY11の調製において、顔料分散体−Yに代えて、顔料分散体−Mを用いた以外は同様にして、インクM11を調製した。
(インクBk11の調製)
上記インクC11の調製において、顔料分散体−Cに代えて、顔料分散体−Bkを用いた以外は同様にして、インクBk11を調製した。
〔インクセット12の調製:本発明〕
(インクC12、インクY12、インクM12の調製)
上記インクC11、インクY11、インクM11の調製において、N−メチル−2−ピロリドンを、それぞれ5.0部添加した以外は同様にして、インクC12、インクY12、インクM12を調製した。
(インクBk12の調製)
上記インクBk11の調製において、N−メチル−2−ピロリドンを7.0部添加した以外は同様にして、インクBk12を調製した。
〔インクセット13の調製:本発明〕
上記インクC12、インクY12、インクM12、インクBk12の調製において、更に、水系分散型ポリマー微粒子分散体(PDX−7667、ジョンソンポリマー社製、酸価:82mgKOH/g、Tg:75℃、固形分濃度45%)を、それぞれ3.3部添加した以外は同様にして、インクC13、インクY13、インクM13、インクBk13を調製し、これをインクセット14とした。
〔インクセット14の調製:本発明〕
上記インクC13、Y13、M13、Bk13の調製において、水溶性共重合物1に代えて、それぞれ水溶性共重合体2を用いた以外は同様にして、インクC14、Y14、M14、Bk14を調製し、これをインクセット14とした。
〔インクセット15の調製:本発明〕
上記インクC13、Y13、M13、Bk13の調製において、水溶性共重合物1に代えて、それぞれ水溶性共重合体3を用いた以外は同様にして、インクC15、Y15、M15、Bk15を調製し、これをインクセット15とした。
〔インクセット16の調製:比較例〕
上記インクC13、Y13、M13、Bk13の調製において、水溶性共重合物1に代えて、それぞれ水溶性共重合体Aを用いた以外は同様にして、インクC16、Y16、M16、Bk16を調製し、これをインクセット16とした。
〔インクセット17の調製:比較例〕
上記インクC13、Y13、M13、Bk13の調製において、水溶性共重合物1の添加量をそれぞれ4.0部(0.8質量%)に変更した以外は同様にして、インクC17、Y17、M17、Bk17を調製し、これをインクセット17とした。
〔インクセット18の調製:本発明〕
上記インクC13、Y13、M13、Bk13の調製において、水溶性共重合物1の添加量をそれぞれ10部(2.0質量%)に変更した以外は同様にして、インクC18、Y18、M18、Bk18を調製し、これをインクセット18とした。
〔インクセット19の調製:本発明〕
上記水溶性共重合物の含有量が20%である水溶性共重合物1の水溶液の調製において、イオン交換水の濃度を調整して、水溶性共重合物1の含有量を40%に変更した水溶性共重合物1Aの水溶液を調製した。
上記インクC13、Y13、M13、Bk13の調製において、水溶性共重合物含有量が20%の水溶性共重合物1の水溶液に代えて、上記水溶性共重合物1の含有量が40%の水溶性共重合物1Aの水溶液を、それぞれ22.5部(9.0質量%)添加した以外は同様にして、インクC19、Y19、M19、Bk19を調製し、これをインクセット19とした。
〔インクセット20の調製:本発明〕
上記インクC19、Y19、M19、Bk19の調製において、水溶性共重合物1Aの水溶液の添加量をそれぞれ27.5部(11%)に変更した以外は同様にして、インクC20、Y20、M20、Bk20を調製し、これをインクセット20とした。
〔インクセット21の調製:本発明〕
(インクC21の調製)
上記インクC13の調製において、乳酸ブチルに代えて、乳酸エチルを4.0部用いた以外は同様にして、インクC21を調製した。
(インクY21の調製)
上記インクY13の調製において、乳酸ブチルに代えて、乳酸エチルを4.5部用いた以外は同様にして、インクY21を調製した。
(インクM21の調製)
上記インクM13の調製において、乳酸ブチルに代えて、乳酸エチルを4.5部用いた以外は同様にして、インクM21を調製した。
(インクBk21の調製)
上記インクBk13の調製において、乳酸ブチルに代えて、乳酸エチルを3.5部用いた以外は同様にして、インクBk21を調製した。
〔インクセット22の調製:本発明〕
上記インクC21、Y21、M21、Bk21の調製において、乳酸エチルに代えて、同量の乳酸メチルを用いた以外は同様にして、インクC22、Y22、M22、Bk22を調製し、これをインクセット22とした。
〔インクセット23の調製:本発明〕
(インクC23、Y23、M23の調製)
上記インクC13、Y13、M13の調製において、5.0部のN−メチル−2−ピロリドンに代えて、それぞれ4.5部のN−エチル−2−ピロリドンを用いた以外は同様にして、インクC23、Y23、M23を調製した。
(インクBk23の調製)
上記インクBk13の調製において、7.0部のN−メチル−2−ピロリドンに代えて6.5部のN−エチル−2−ピロリドンを用いた以外は同様にして、インクBk23を調製した。
〔インクセット24の調製:本発明〕
(インクC24、Y24、M24の調製)
上記インクC13、Y13、M13の調製において、5.0部のN−メチル−2−ピロリドンに代えて、それぞれ8.0部の2−ピロリドンを用いた以外は同様にして、インクC24、Y24、M24を調製した。
(インクBk24の調製)
上記インクBk13の調製において、7.0部のN−メチル−2−ピロリドンに代えて10部の2−ピロリドンを用いた以外は同様にして、インクBk24を調製した。
〔インクセット25の調製:本発明〕
上記インクC13、Y13、M13、Bk13の調製において、シリコン系界面活性剤(KF−351A)に代えて、同量のアセチレン系界面活性剤(サーフィノール465、日信化学工業社製)を使用した以外は同様にして、インクC25、Y25、M25、Bk25を調製し、これをインクセット25とした。
〔インクセット26の調製:本発明〕
上記インクC13、Y13、M13、Bk13の調製において、シリコン系界面活性剤(KF−351A)に代えて、同量のフッ素系界面活性剤(メガファックス144D、大日本インキ化学工業社製)を使用した以外は同様にして、インクC26、Y26、M26、Bk26を調製し、これをインクセット26とした。
〔インクセット27の調製:比較例〕
上記インクC13、Y13、M13、Bk13の調製において、乳酸エステルである乳酸ブチルを除いた以外は同様にして、インクC27、Y27、M27、Bk27を調製し、これをインクセット27とした。
《水溶性共重合物の特性値測定》
〔酸価の測定〕
水溶性共重合物の酸価は、JIS K0070 に準拠して測定した。
〔重量平均分子量Mwの測定〕
水溶性共重合物の重量平均分子量Mwは、高速液体クロマトグラフィーを用いて測定した。
以上により得られた結果を、表1に示す。
Figure 2009235322
《画像形成及び評価》
〔画像形成〕
調製した各インクセットを用いて、下記の方法に従って各色画像を形成した。
ドロップオンデマンドピエゾ方式のインクジェットヘッド(720dpi、液滴量16pl)を搭載したインクジェットプリンタに、各インクセットを構成する各インクを装填した。次いで、記録媒体上に35×35mmの各色ベタ画像を1走査で記録した。
尚、プリント開始から画像形成後3分間、記録媒体を裏面からヒーター加熱して、記録媒体の表面温度を45±2℃に制御した。本発明でいうdpiとは、2.54cmあたりのドット数を表す。
評価条件は、以下の通りである。
・印字解像度:720dpi×720dpi
・ヘッド搬送速度:200mm/sec 双方向印字
・記録媒体:塩化ビニル樹脂製シート(メタマーク社製、digitalvinil)
・評価環境:30℃、相対湿度65%
〔画質の評価:滲み耐性〕
各インクセットのうち、シアンインクとマゼンタインクを用いて各々のベタ画像を隣接させて記録し、各々ベタ画像の隣接部における滲みの発生を目視観察し、下記基準にて滲み耐性を評価した。
1:隣接部で滲みが見られない
2:隣接部で滲みがわずかに見られる
3:隣接部で滲みが発生
4:隣接部で滲みが激しく発生
〔耐久性の評価〕
各インクセットの各々の色ごとにベタ画像を作成し、下記基準に従って耐久性の評価を行った。なお、布はベンコット(旭化成社製)を用いた。
1:乾いた布、水を浸した布、水/アルコール=1/1の混合液でも画像はとれない
2:乾いた布、水を浸した布では画像はとれないが、水/アルコール=1/1の混合液では画像がとれる
3:乾いた布で拭いても画像は取れないが、水を浸した布では僅かに画像が取れる
4:乾いた布で拭いても画像は取れないが、水を浸した布では画像が取れる
〔出射性の評価〕
上記各ベタ画像(A4サイズ)を連続10枚作成した後、60分間隔をおいて再度画像作成を行い、得られた画質を目視観察し、下記基準に従って出射性を評価した。
1:画像の書き出し部も含め画像欠陥は見られない
2:画像欠陥はないが、画像の書き出し部(数mm)にわずかにかすれが見られる
3:画像欠陥がほとんどないが、拡大観察すると、ドット周辺にしぶきが見られる
4:画像欠陥が見られる。
〔乾燥性の評価〕
上記耐久性の評価と同様にして各色ベタ画像を作成した後、記録媒体下方から50℃で引き続き加熱し続け、30秒ごとに綿棒で形成したベタ画像部をこすり、綿棒が着色しなくなるまでの時間を測定し、下記基準に従って乾燥性を評価した。
1:綿棒が着色しなくなるまでの時間が、3分未満
2:綿棒が着色しなくなるまでの時間が、3分以上、4分未満
3:綿棒が着色しなくなるまでの時間が、4分以上、5分未満
以上により得られた滲み耐性、耐久性、出射性及び乾燥性の評価結果を、表2に示す。
Figure 2009235322
表2に記載の結果より明らかなように、本発明で規定する構成からなるインクより構成されるインクセットは、比較例に対し、滲み耐性、耐久性、出射性及び乾燥性に優れていることが分かる。

Claims (4)

  1. 顔料、水、乳酸エステル化合物、界面活性剤及びカルボキシル基を有する不飽和ビニルモノマーを成分として重合した共重合体をアミンにより中和溶解した水溶性共重合物をインク総量に対して1質量%以上、10質量%以下含有することを特徴とする水性インクジェットインク。
  2. 更に、ピロリドン化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載の水性インクジェットインク。
  3. 水溶性有機溶剤として、グリコールエーテル類または1,2−アルカンジオール類を、インク総質量に対し2.0質量%以上、20質量%以下含有することを特徴とする請求項1または2に記載の水性インクジェットインク。
  4. 水系分散型ポリマー微粒子を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の水性インクジェットインク。
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