JP5277549B2 - 水性インクジェットインク - Google Patents
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Description
1.非吸水性記録メディアに高画質で印字できること
2.得られた画像の耐久性が高いこと
3.インクの保存性が良好であること
4.安定に射出ができること
5.長期にわたって安定にプリントでき、メンテナンスでの回復も容易なこと。
a.水不溶性樹脂で被覆された顔料、
b.固形分として2%以上10%以下のインク溶解性樹脂、
c.グリコールエーテルもしくは1,2−アルカンジオールから選ばれる水溶性有機溶剤、
d.シリコーン系もしくはフッ素系の界面活性剤。
5.前記1〜4のいずれか1項に記載の水性インクジェットインクを用いて、加熱された記録メディアに画像を形成することを特徴とするインクジェット画像形成方法。
本発明に用いる顔料は水不溶性樹脂で被覆された顔料である。水不溶性樹脂とは、弱酸性ないし弱塩基性の範囲の水に対して不溶な樹脂であり、好ましくは、pH4ないし10の水溶液に対する溶解度が2%未満の樹脂である。
本発明の水性インクジェットインクは、固形分として2%以上10%以下のインク溶解性樹脂を含有する。インク溶解性樹脂とは、少なくともインクベヒクルに対して10%程度の溶解性を有する樹脂である。
本発明の水性インクジェットインクには少なくともグリコールエーテルもしくは1,2−アルカンジオールから選ばれる水溶性有機溶剤を含有する。
第1は先に説明したが、グリコールエーテルもしくは1,2−アルカンジオールを用いることでインクの乾燥増粘を特に促進し、高画質を実現できる効果があるからと考えている。
(界面活性剤)
本発明では、シリコーン系もしくはフッ素系の界面活性剤を用いる。本発明で添加することができる、グリコールエーテルもしくは1,2−アルカンジオール類を50%程度と多量に添加することでも、塩ビ等への濡れ性を確保することはできるが、画質は不十分なレベルであり、また、インク保存性、射出安定性などを確保することは難しい。よって本発明にあるように、グリコールエーテルもしくは1,2−アルカンジオール類とシリコーン系もしくはフッ素系の界面活性剤により種々の記録メディアに対する濡れ性を得ることが好ましい。
本発明の水性インクジェットインクは、塩ビシートなどの非吸収性メディアへの印字はもとより、普通紙、コート紙、インクジェット専用紙などに印字するのに適している。
本発明では記録メディアを加熱して印字する。記録メディアを加熱することで、インクの乾燥増粘速度が著しく向上し、高画質が得られるようになる。また、画像の耐久性も向上する。
(水不溶性樹脂の作製)
水不溶性樹脂D−1の合成
滴下ロート、窒素導入官、還流冷却官、温度計および攪拌装置を備えたフラスコにメチルエチルケトン50gを加え、窒素バブリングしながら、75℃に加温した。そこへ、表1記載の添加量のモノマー(数値はg)とメチルエチルケトン50g、開始剤(AIBN)500mgの混合物を滴下ロートより3時間かけ滴下した。滴下後さらに6時間、加熱還流した。放冷後、揮発したぶんのメチルエチルケトンを加え、固形分濃度50質量%の水不溶性樹脂D−1の溶液を得た。
顔料分散体の作製(顔料分散体P−1の分散、調製)
合成した水不溶性樹脂D−1のメチルエチルケトン50%溶液、100gに中和剤として20%水酸化ナトリウム水溶液を所定量加えて塩生成基を100%中和し、そこへ攪拌しながらC.I.ピグメントブルー15:3、50gを少しずつ加えた後、ビーズミルで2時間混練した。得られた混練物にイオン交換水400gを加え攪拌後、減圧下、加温しメチルエチルケトンを留去した。さらに、イオン交換水を加え、固形分濃度15%の顔料分散体P−1を得た。
M:C.I.ピグメントレッド122
Bk:カーボンブラック
比較顔料分散体作製(顔料分散体P−14の分散、調製)
市販の水溶性樹脂(Joncryl60) C.I.ピグメントブルー15:3を固形分として、各々50g、100gとなるように混合し、総固形分濃度15%になるようにイオン交換水を加えて調製し、プレ攪拌混合した。この混合物をビーズミルにて3時間分散し、固形分濃度15%の顔料分散体P−14を得た。
インク溶解性樹脂R−1の合成
滴下ロート、窒素導入官、還流冷却官、温度計および攪拌装置を備えたフラスコにメチルエチルケトン50gを加え、窒素バブリングしながら、75℃に加温した。そこへ、表1記載の添加量のモノマー(数値はg)とメチルエチルケトン50g、開始剤(AIBN)500mgの混合物を滴下ロートより3時間かけ滴下した。滴下後さらに6時間、加熱還流した。放冷後、減圧下加熱しメチルエチルケトンを留去した。イオン交換水450mlに対して、モノマーとして添加したアクリル酸の1.05倍モル相当のジメチルアミノエタノールを溶解し、そこへ上記重合物残渣を溶解した。イオン交換水で調製し、固形分濃度20%のインク溶解性樹脂R−1の水溶液を得た。
表4記載の通りに、顔料分散体、インク溶解性樹脂、溶剤及び活性剤を記載量(数値は質量部)と100質量部になるようイオン交換水を加え混合し、調製後、5μmフィルターにてろ過し、水性インクジェットインクC−1〜26を得た。
Em:スチレン−アクリル系水性エマルジョン(Tg45℃、平均粒子径180nm)
−溶剤−
DEGBE:ジエチレングリコールモノブチルエーテル
DEG:ジエチレングリコール
1,2−HDO:1,2−ヘキサンジオール
TEGBE:トリエチレングリコールモノブチルエーテル
PG:プロピレングリコール
−界面活性剤−
Si:信越化学工業製のKF−351A
F:大日本インキ製のメガファックス144D
(評価方法)
作製した水性インクジェットインクを用いて以下の評価を行った。
上記評価装置の1つのヘッドに作製したインクを各々導入し単色画像を作製して評価を行った。評価条件は以下のとおり。
ヘッド搬送速度:200mm/sec 双方向印字
メディア:塩ビシート(メタマーク社、digitalvinyl)
メディア加熱温度:印字面表面温度 50℃
評価画像:ウエッジ画像、文字、白抜き文字
評価環境:20℃、相対湿度55%
<画質>
はじきの有無や、インク混じりにより発生するビーディング発生、小文字描画性を以下の評価に従った。
2:はじきは無いが、ビーディングが目立つ、小文字描画できず
3:はじきは無いが、ビーディングが極僅かに見られる、小文字描画できるがやや不明瞭
4:はじき、ビーディングも無く、小文字描画できているが、白抜き文字の描画性がやや不明瞭
5:はじき、ビーディングも無く、小文字描画、白抜き文字の描画性も明瞭。
1:乾いた布(ベンコット:旭化成)で拭いても画像がはげる
2:乾いた布で拭いても画像は取れないが、水を浸した布では画像がはげる
3:乾いた布、水を浸した布では画像は取れないが、水/アルコール混合液では画像がはげる
4:乾いた布、水を浸した布では画像は取れないが、水/アルコール混合液では画像がわずかにはげる
5:乾いた布、水を浸した布、水/アルコール混合液でも画像は取れない。
作製したインクを密栓し、60℃で保存をした。インクの平均粒子径の変化を観察し、15%変動するまでの日数評価した。
2:1Wまでは変化幅は15%以内
3:2Wまでは変化幅は15%以内
4:3Wまでは変化幅は15%以内
5:4Wの時点で変化幅は15%以内。
上記評価画像(A4サイズ)を連続10枚作製後、60分間隔を置いて再度画像作製を行い画像を評価した。
2:画像欠陥が見られる
3:画像欠陥はほとんど無いが、小文字描写が劣化している。拡大観察すると、ドットにサテライトが見られた
4:画像欠陥は無いが、画像の書き出し部(数mm)にごくわずかにかすれが見られる
5:画像の書き出し部も含め画像欠陥は見られない。
上記評価画像(A4サイズ)を連続100枚までノズルクリーニングなしで作製し画質評価を行った。
2:20枚−50枚で、欠発生し中止
3:50枚までは初期プリント画質が得られるが、その後小文字描画性がやや劣化
4:70枚までは初期プリント画質が得られるが、その後小文字描画性がやや劣化
5:100枚まで初期プリント画質が得られる。
上記評価画像(A4サイズ)を連続10枚作製後、1日間隔を置いた。その後、ノズルクリーニングとして、インクから打ちとワイピングをセットとした、クリーニングを行い、再度連続50枚の画像作製を行った。
2:回復不十分で、画像欠陥あり
3:回復しているが10枚以降で小文字描画性がやや劣化
4:回復しているが30枚以降で小文字描画性がやや劣化
5:回復し、50枚連続可能。
表6記載の通りに、顔料分散体、インク溶解性樹脂、溶剤及び活性剤を記載量(数値は質量部)と100質量部になるようイオン交換水を加え混合し、調製後、5μmフィルターにてろ過し、水性インクジェットインクC−41〜48を得た。
実施例1で用いた評価装置の1つのヘッドに実施例1で作製した水性インクジェットインクC−1を導入し記録メディアとして塩ビシート(メタマーク社、digitalvinyl)とアクリル板(アクリルサンデー社、厚さ1mm)を用い、表7に示す温度で単色画像を作製して、実施例1と同様の評価を行い結果を表7に示す。
Claims (5)
- 記録メディアを加熱して印字するのに用いる水性インクジェットインクであって、該水性インクジェットインクが、少なくとも下記4種の成分をそれぞれ含有することを特徴とする水性インクジェットインク。
a.pH4〜10の水溶液に対する溶解度が2%未満である水不溶性樹脂で被覆された顔料、
b.前記水性インクジェットインクのインクベヒクルに対して10%以上の溶解性を有し、固形分として2%以上10%以下のインク溶解性樹脂、
c.グリコールエーテルもしくは1,2−アルカンジオールから選ばれる水溶性有機溶剤、
d.シリコーン系もしくはフッ素系の界面活性剤。 - 水不溶性樹脂で被覆された顔料は、顔料100質量部に対して樹脂が40〜150質量部であることを特徴とする請求項1記載の水性インクジェットインク。
- グリコールエーテルもしくは1,2−アルカンジオールから選ばれる水溶性有機溶剤の総量が水性インクジェットインク中の5〜15質量%であることを特徴とする請求項1又は2記載の水性インクジェットインク。
- インク溶解性樹脂の少なくとも1種は、酸性基としてカルボキシル基または、スルホン酸基を有しており、かつ酸価が80以上300未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の水性インクジェットインク。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の水性インクジェットインクを用いて、加熱された記録メディアに画像を形成することを特徴とするインクジェット画像形成方法。
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