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JP2013110096A - メタルハライドランプ - Google Patents

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Keisuke Nakazato
圭佑 中里
Makoto Deguchi
誠 出口
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Toshiba Lighting and Technology Corp
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Harison Toshiba Lighting Corp
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Abstract

【課題】 色温度が高く、かつ点灯直後のランプ電圧が高いメタルハライドランプを提供する。
【解決手段】実施形態のメタルハライドランプは、内部に放電空間111を有する発光部11と、放電空間111に封入された金属ハロゲン化物15および希ガスと、放電空間111内で先端部が対向するように配設された一対の電極22と、を具備し、安定点灯時に、一対の電極22間に23〜27Wの電力が供給される水銀不含の車両用のメタルハライドランプであって、金属ハロゲン化物15は、スカンジウムのハロゲン化物、ナトリウムのハロゲン化物およびインジウムのハロゲン化物を含み、インジウムの重量比率は金属ハロゲン化物の総量に対して、5.0%以下であるとともに、スカンジウムのハロゲン化物に対する、ナトリウムのハロゲン化物の重量比率は0.55以上、0.8以下である。
【選択図】 図1

Description

本発明の実施形態は、自動車等の車両の前照灯などとして使用されるメタルハライドランプに関するものである。
メタルハライドランプは、発光管に金属ハロゲン化物や希ガスが封入されてなるものであり、自動車の前照灯などに使用される。この種のランプは、色温度が4000K前後であるのが一般的であるが、最近では、従来よりも高色温度のランプ、例えば色温度が5000K前後のランプの要求がある。
メタルハライドランプの点灯色は、金属ハロゲン化物や希ガスの設計によって調整が可能である。しかし、これらの条件を変えて設計した高色温度なランプにおいて、点灯直後のランプ電圧が低いという問題が発生している。車両用途のメタルハライドランプでは、点灯直後に安定点灯時よりも高電力が供給されるため、点灯直後のランプ電圧が低いとランプ電流は大きくなり、電極や回路に負担がかかったり、回路損失が大きくなる等の影響が生じてしまう。
特開2007−35519号公報 国際公開第2010/100935号 国際公開第2009/127993号 特開2008−123742号公報 特開2008−147085号公報 国際公開第2011/057903号
本発明が解決しようとする課題は、色温度が高く、かつ点灯直後のランプ電圧が高いメタルハライドランプを提供することである。
上記課題を達成するために、実施形態のメタルハライドランプは、内部に放電空間を有する発光部と、前記放電空間に封入された金属ハロゲン化物および希ガスと、前記放電空間内で先端部が対向するように配設された一対の電極と、を具備し、安定点灯時に、前記一対の電極間に23〜27Wの電力が供給される水銀不含の車両用のメタルハライドランプであって、前記金属ハロゲン化物は、スカンジウムのハロゲン化物、ナトリウムのハロゲン化物およびインジウムのハロゲン化物を含み、前記インジウムの重量比率は前記金属ハロゲン化物の総量に対して、5.0%以下であるとともに、前記スカンジウムのハロゲン化物に対する、前記ナトリウムのハロゲン化物の重量比率は0.55以上、0.8以下である。
第1の実施形態のメタルハライドランプについて説明するための図である。 第1の実施形態のメタルハライドランプの断面について説明するための図である。 実施例と従来例の始動時〜安定点灯時までの電圧の変化ついて説明するための図である。 実施例と従来例の始動時〜安定点灯時までの電流の変化ついて説明するための図である。 インジウムの重量比率を変化させたときの点灯直後のランプ電圧Vについて説明するための図である。 ヨウ化スカンジウムに対する、ヨウ化ナトリウムの重量比率を変化させたときの点灯色および色温度について説明するための図である。 ハロゲンの重量比率を変化させたときの点灯直後のランプ電圧Vについて説明するための図である。 ×Rと初期光束およびちらつきの関係について説明するための図である。 と全光束の関係について説明するための図である。 メタルハライドランプの他の実施形態について説明するための図である。
以下、発明を実施するための実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
第1の実施形態のメタルハライドランプについて、図面を参照して説明する。図1は、第1の実施形態のメタルハライドランプについて説明するための図、図2は、第1の実施形態のメタルハライドランプの断面について説明するための図である。なお、本発明においては、便宜上、車両に配置した場合に前方となる、図2に示した矢印Fの方向を前端、矢印Bの方向を後端と称して説明する。
図1のメタルハライドランプは、自動車などの前照灯用の光源として用いることができるHIDランプであり、バーナーBNとフランジFLとを備えている。
バーナーBNは、二重管構造であり、その内部には内管1が設けられている。内管1は細長い形状であり、その長手方向の中央付近には点灯中に発光する部分となる発光部11が形成されている。発光部11は略楕円状であり、その両端にはピンチシールにより形成された板状のシール部12、そのさらに両端には境界部13を介して円筒部14が連続形成されている。この内管1は前述のとおり、発光する部分を含んでいるとともに点灯中に高温になるため、石英ガラスなどの透光性と耐熱性を具備した材料で構成されるのが望ましい。
発光部11の内部には、中央が略円柱状、両端がテーパ状の放電空間111が形成されている。この放電空間111には、金属ハロゲン化物15と希ガスが封入されている。
金属ハロゲン化物15は、ナトリウムのハロゲン化物、スカンジウムのハロゲン化物、亜鉛のハロゲン化物、インジウムのハロゲン化物で構成されている。具体的には、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化スカンジウム、ヨウ化亜鉛、臭化インジウムである。これら金属ハロゲン化物15の総封入量は、0.1〜0.3mgあるのが望ましい。
希ガスは、キセノンが使用されている。希ガスは、目的によってその封入圧力を調整することができる。例えば、全光束等の特性を高めるためには、封入圧力を常温(25℃)において5atm以上、好適には10atm以上に設定するのがよい。ただし、上限は製造上、現状で20atm程度である。
ここで、本実施形態のランプは、水銀不含のメタルハライドランプである。この「水銀不含」とは、水銀を実質的に含んでいないという意味である。本明細書における「水銀を実質的に含んでいない」とは、水銀の封入量が0mgである場合に限らず、従来の水銀入りの放電ランプと比較してほとんど封入されていないに等しい程度の量、例えば1mlあたり2mg未満、好ましくは1mg以下の水銀量を封入している場合を含む意味に解釈すべきである。
シール部12には、電極マウント2が封着されている。電極マウント2は、金属箔21、電極22、コイル23およびリード線24により構成されている。
金属箔21は、例えば、モリブデンからなる薄い金属板であり、その板状の面がシール部12の板状の面と平行するように配置されている。
電極22は、例えば、タングステンに酸化トリウムをドープした、いわゆるトリエーテッドタングステンにより構成された棒状の部材である。その直径Rは、0.25〜0.33mm、特には0.27〜0.31mmである。その一端は金属箔21の発光部11側の端部に載置された状態で溶接されており、他端は放電空間111内に突出され、所定の距離を保って互いの先端部同士が対向するように配設されている。この所定の距離とは、外管5を通して観察したときに3.7〜4.2mmの範囲である。なお、電極22の形状は、径が管軸方向に略一定の直棒状に限らず、先端部の径を基端部の径よりも大きくした非直棒状のもの、先端が球体であるもの、直流点灯タイプのように一方の電極径と他方の電極径が異なる形状であってもよい。また、電極材料は、純タングステン、ドープタングステン、レニウムタングステンなどであってもよい。
コイル23は、例えば、ドープタングステンからなる金属線であって、シール部12に封着される電極22の軸部の軸周りに螺旋状に巻装されている。
リード線24は、例えば、モリブデンからなる金属線である。リード線24の一端は、発光部11から遠方側の金属箔21の端部に載置された状態で接続されており、他端は内管1の外部まで管軸に略平行に延出されている。ランプの前端側に延出されたリード線24には、例えば、ニッケルからなるL字状のサポートワイヤ25の一端がレーザ溶接により接続されている。このサポートワイヤ25には、内管1と平行に延在する部位に、例えば、セラミックからなるスリーブ3が装着されている。
上記で構成された内管1の外側には、筒状の外管4が内管1と同心状に設けられている。これら内外管の接続は、内管1の円筒部14付近に外管4を溶着し、両端部に溶着部41を形成することにより行なわれている。このため、内管1と外管4との間には気密に保たれた空間が形成されている。この空間には、ネオン、アルゴン、キセノン、窒素から選択された一種のガスまたは混合ガスが1atm以下、望ましくは0.2atm以下の圧力で封入されている。なお、外管4としては、チタン、セリウム、アルミニウム等の酸化物を添加した石英ガラスなど、内管1に熱膨張係数が近く、かつ紫外線遮断性を有する材料を使用するのが望ましい。
これらで構成されたバーナーBNの後端側には、金属バンド5が設けられている。この金属バンド5は、例えばステンレスからなる金属板を外管4の外周面に沿うように成形したものであり、重なり合う金属部分を溶接することで、バーナーBNに固定されている。
金属バンド5付近には、直径が約31mm、厚みが約2.5mmである円盤状のフランジFLが配置されている。このフランジFLは、樹脂部6と金属部7とで構成されている。
樹脂部6は、PPS、PEIなどの樹脂により成形されてなるものであり、フランジFLの周縁に位置している。このフランジFLの前端側の表面には、ポッチ部61が3つ形成されている。ポッチ部61は、寸法を測定する際の基点となる部分である。例えば、ポッチ部61の先端から発光部11内の電極間中心までの距離D1は、ランプのLCL(Light Center Length)として規定されている。距離D1は、例えば18.0mmである。従来は27.1mmであるので、短く設定されている。
金属部7は、ステンレスなどからなる金属板であり、樹脂部6に埋め込み形成されている。金属部7には、突片部71、スリーブ保持部72が形成されている。突片部71は、金属部7の中央に設けられた空間の方向に突出形成された突片であり、等間隔で4つ形成されている。この突片部71は、後端方向に斜めに折り曲げられており、その先端部において金属バンド5と溶接される。つまり、バーナーBNは突片部71を介してフランジFLに保持されることになる。スリーブ保持部72は、金属部7の中央方向に突出形成された金属板であり、その中央には円形の穴が形成されていて、その穴にはスリーブ3が挿通されている。
フランジFLの後端側にはベース8が配置されている。ベース8は、例えばステンレス、鉄、ニッケル、アルミニウムなどからなる中空の筐体であり、その前端側にはフランジFLが接続されている。その接続は、ベース8の前端側に突出するように設けられたリング81とフランジFLの金属部7とを、例えばレーザ溶接することで行われている。ベース8の内部には、樹脂ケース91が配置されている。この樹脂ケース91の内部には、イグナイタと呼ばれる始動点灯回路92とバラストと呼ばれる安定点灯回路93が配置される。始動点灯回路92や安定点灯回路93は、放電ランプの始動および放電ランプの安定点灯に必要なトランスやコンデンサなどの回路素子や金属端子を内部に備えた公知の回路である。始動点灯回路92と安定点灯回路93とは、後端側に位置する電極22が高圧側、前端側に位置する電極22が低圧側になるように、リード24およびサポートワイヤ25と接続される。
このように構成されたメタルハライドランプは、ランプの管軸が略水平になるように、またサポートワイヤ25が下方に位置するように灯具(図示なし)に取り付けられて点灯される。
以下に、本実施形態の一実施例を示す。
(実施例)
発光部11;石英ガラス製、放電空間111の内容積=18.4mm、最大内径=2.2mm、最大外径=5.2mm、最大肉厚=1.5mm、長手方向の球体長=7.8mm、
シール部12;肉厚=2.8mm、幅=4.1mm、
金属ハロゲン化物15;ScI、NaI、ZnI、InBr(=1.00:0.70:0.05:0.04)、合計=0.2mg、スカンジウムのハロゲン化物に対する、ナトリウムのハロゲン化物の重量比率=0.7、金属ハロゲン化物の総量に対するインジウムの重量比率=1.3%、金属ハロゲン化物の総量に対する亜鉛のハロゲン化物の重量比率M=2.8%、金属ハロゲン化物の総量に対するハロゲンの重量比率=86.2%、
希ガス;キセノン、ガス圧=12atm、
水銀;0mg、
金属箔31;モリブデン製、長さ×幅=6.5mm×1.5mm、厚さ=0.02mm、
電極32;トリエーテッドタングステン製、直径R=0.28mm、外観上の電極間距離=3.9mm、(∴M×R=0.784)
コイル33;ドープタングステン製、線径=0.09mm、ピッチ=200%、電極軸におけるコイル巻装長=3.5mm、
リード線34;モリブデン製、直径=0.4mm、
外管5;内径=7.0mm、肉厚=1.0mm、
外管5の内部に封入されたガス=アルゴン、封入圧力=0.1atm。
この仕様では始動時電力55W、安定時電力25Wで点灯した場合、全光束は2100lm、色温度は4800K、点灯直後のランプ電圧、いわゆるVは24.0Vであった。
この実施例のように、本実施形態のランプは色温度が5000K前後で、点灯色が青白い光を放つランプである。従来の一般的なランプは、点灯色が白色で、色温度が4000K前後のランプであるので、本実施形態のランプは高色温度である。このように高色温度化するには、金属ハロゲン化物や希ガスの設計が重要である。特に、インジウムハロゲン化物は、封入量を増やすほど色度yが小さくなり発光色が青くなるため、重要と考えられてきた。しかし、このように設計した高色温度ランプでは、点灯直後のランプ電圧が低くなることが判明した。
図3は、実施例と従来例の高色温度ランプの始動時〜安定点灯時までの電圧の変化を示す図である。ここで、従来例とは、特許文献4や特許文献5のように、インジウムハロゲン化物を多量に封入したランプである。
この図からわかるように、ランプにはまず、高圧パルス(約20kV)が印加される。この高圧パルスにより絶縁破壊直後、すなわち点灯開始時には安定時電力に対して2倍以上の高電力、例えば55Wが供給される。その高電力は時間が経過するにつれて徐々に減少していき、始動からおよそ60秒後に安定時電力である略25W(23W〜27W)が供給されるようになる。図中において、絶縁破壊直後の最もランプ電圧低くなったときの電圧が点灯直後のランプ電圧である(以下、ランプ電圧V)。このランプ電圧Vが低いと、点灯直後の高電力が供給されている期間のランプ電流が大きくなる。例えば、実施例のランプのランプ電圧Vは約24Vであるのに対して、従来例のランプのランプ電圧Vは約20Vである。したがって、55Wの電力を供給した場合、図4に示すように、従来例のランプには実施例のランプよりも約0.4Aも高い電流が数秒間にわたって流れることになり、電極や回路に負担がかかることになる。
また、最近では、特許文献2にあるような、バーナーと始動点灯回路と安定点灯回路とが一体化したランプがある。このランプの場合には、点灯直後のランプ電圧Vが低いと上記とは別の問題が発生しうる。それは、点灯直後に所定の高電力が投入されなくなるという問題である。この種の回路一体型のランプは回路自体が小型化されたことにより、出力可能な最大電流値が低くなっている。そのため、例えば55Wを投入する場合の電流値がその最大電流値よりも高いときには、始動時に55Wが投入されなくなるおそれがある。すると、所定よりも低い電力が投入されてしまうため、始動後、発光部の温度が上昇しにくくなって、金属ハロゲン化物の蒸気化が遅れ、始動からランプが十分に明るくなるまでの時間、いわゆる光束立ち上がり時間が長くなってしまい、実用上危険である。
そこで、点灯直後のランプ電圧Vについて発明者が検討したところ、金属ハロゲン化物の総量に対するインジウムの重量比率が点灯直後のランプ電圧Vに影響を与えることを見出した。それを示す結果を図5に示す。
この図から、金属ハロゲン化物の総量に対するインジウムの重量比率が小さいほど、ランプ電圧Vが高くなる傾向があることがわかる。特に、インジウムの重量比率が5.0%以下になるとその傾向が大きくなる。したがって、金属ハロゲン化物の総量に対するインジウムの重量比率を5.0%以下、望ましくは2.0%以下にすることで、点灯直後のランプ電圧Vを高く保つことが可能となる。なお、特許文献4や特許文献5におけるインジウムの重量比率は約19%である。
しかし、前述したように、インジウムはその封入量が多いほど発光色が青くなるため、インジウムの封入量を少なくすると所望の色を実現しにくくなる。これに対しては、スカンジウムのハロゲン化物に対する、ナトリウムのハロゲン化物の重量比率により、調整可能である。
図6は、ヨウ化スカンジウムに対する、ヨウ化ナトリウムの重量比率(ScI−NaI比率)を変化させたときの点灯色および色温度について説明するための図である。ここで、この試験を行ったときの金属ハロゲン化物の総量に対するインジウムの重量比率は5.0%である。
この図から、ScI−NaI比率が小さいほど、点灯色は青色に、色温度は高くなっていくことがわかる。そして、色温度を、点灯色が青白く見える4700K以上にするには、ScI−NaI比率の重量比率を0.8以下とすれば良いこともわかる。したがって、インジウムの重量比率を金属ハロゲン化物の総量に対して5.0%以下にするとともに、スカンジウムのハロゲン化物に対する、ナトリウムのハロゲン化物の重量比率を0.8以下とすることで、色温度が高く、かつ点灯直後のランプ電圧が高いメタルハライドランプを実現することができる。
ここで、金属ハロゲン化物の総量に対するインジウムの重量比率は、特に下限値はない。これは、インジウムが少しでも入っていれば、ScI−NaI比率を調整することで色温度が高く、かつ点灯直後のランプ電圧が高いメタルハライドランプを実現できるためである。例えば、インジウムの重量比率を1%以下にする場合には、ScI−NaI比率を0.7以下にしてやればよい。ただし、インジウムを全く封入しないと、目的を達成しがたいため、インジウムの重量比率が0の場合は除くと解釈すべきである。また、より高い色温度のランプを所望する場合は、ScI−NaI比率をさらに低く設定すればよいが、ScI−NaI比率を低く設定しすぎると、全光束が低下し、暗くなる等の弊害が生じる。そのため、ScI−NaI比率は0.55以上、特には0.6以上とするのが好適である。
なお、本実施形態の発明においては、次のような構成と組み合わせるとさらに良い。
放電空間111は、その容積が小さいほど、インジウムの封入量が少なくても高色温度を実現しやすいことがわかっているおり、容積が20mm以下、さらには19mm以下であると高色温度化しやすい傾向がある。つまり、放電空間111の容積を20mm以下にすることで、インジウムの封入量が少なくても高色温度化しやすくなるとともに、点灯直後のランプ電圧Vを可能な限り高くすることができる。ただし、放電空間111の容積が小さすぎると、発光部11が熱くなりすぎて膨張したりする可能性があるため、容積は15mm以上とすべきである。
また、点灯直後のランプ電圧Vをさらに高くするために、金属ハロゲン化物の総量に対するハロゲンの重量比率を84%以上にするのが望ましい。図7に示すように、点灯直後のランプ電圧Vはハロゲン重量比率が高くなるほど高くなる傾向があり、特に、84%以上になるとその傾向が大きくなるためである。よって、金属ハロゲン化物の総量に対するハロゲンの重量比率を84%以上、望ましくは85%以上に設定するとよい。ハロゲンの重量比率の上限は、例えば90%以下である。なお、金属ハロゲン化物の総量に対する臭素の重量比率は、1%以下にするのが望ましい。ただし、臭素の重量比率は0ではなく、例えば上記実施例のように0.01%等、0%より多いのが望ましい。なお、金属ハロゲン化物の総量に対するハロゲンの重量比率は、ハロゲンの結合数の多いスカンジウムのハロゲン化物や亜鉛のハロゲン化物の封入量を増やしたり、ハロゲンの結合数の少ないナトリウムのハロゲン化物やインジウムのハロゲン化物を減らすことで、上げることができる。
また、上記のように、点灯直後のランプ電圧Vが改善されたランプにおいても、始動4秒後に速やかに光束を高めながら、ちらつきの発生を抑制するために、金属ハロゲン化物15の総量に対する亜鉛のハロゲン化物の重量比率をM(%)、電極22の直径をRとしたとき、0.6≦M×R≦4.5を満足するのが望ましい。図8に示すように、M×Rが小さくなるほど、電極が変形したことに起因するちらつきが発生し、M×Rが大きくなるほど、光束立ち上がりが遅くなったことに起因する点灯直後の光束、いわゆる初期光束の低下が発生するためである。よって、0.6≦M×R≦4.5、特には0.7≦M×R≦4.0を満足するのが望ましい。ただし、M(%)は、図9に示すように、封入量が大きくなると全光束が低下するため、M≦15、特には、0<M≦10を同時に満足するのが望ましい。
この実施形態では、インジウムの重量比率を金属ハロゲン化物の総量に対して、5.0%以下とするとともに、スカンジウムのハロゲン化物に対する、ナトリウムのハロゲン化物の重量比率を0.8以下としたことで、色温度が高く、かつ点灯直後のランプ電圧Vが高いメタルハライドランプを実現することができる。したがって、電極22や回路への負担や、回路損失が増大することを抑制したり、ベース8内に始動回路92と点灯回路93とが内蔵された点灯始動回路一体型のランプにおいては、点灯直後に安定点灯時に対して所定の高電力が供給されないことによるランプの光束立ち上がりの遅延などを防止することができる。
また、金属ハロゲン化物の総量に対するハロゲンの重量比率が84%以上とすることで、点灯直後のランプ電圧Vをさらに高くすることができる。放電空間の容積を20mm以下とすることで、インジウムを多く封入しなくても高色温度化することができる。
また、金属ハロゲン化物15の総量に対する亜鉛のハロゲン化物の重量比率をM(%)、電極32の直径をRとしたとき、0.6≦M×R≦4.5、かつM≦15を満足することで、点灯直後のランプ電圧Vが改善されたランプにおいても、初期光束および全光束を高めながら、ちらつきの発生を抑制することができる。
本発明は上記実施態様に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、メタルハライドランプは、図10のように、点灯回路を含まないタイプのランプであってもよい。
金属ハロゲン化物15の組合せは実施例のものに限らず、さらにスズ、セシウムのハロゲン化物等を追加してもよいし、亜鉛のハロゲン化物を削除するなどしてもよい。また、金属ハロゲン化物に結合されるハロゲンとしてはヨウ素や臭素に限らず、塩素などを組み合わせてもよい。また、希ガスとしては、キセノンに限らず、ネオン、アルゴン、クリプトンなどを使用したり、それらを組み合わせて使用したりしてもよい。
この発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
BN バーナー
11 発光部
111 放電空間
15 金属ハロゲン化物
22 電極

Claims (4)

  1. 内部に放電空間を有する発光部と、前記放電空間に封入された金属ハロゲン化物および希ガスと、前記放電空間内で先端部が対向するように配設された一対の電極と、を具備し、安定点灯時に、前記一対の電極間に23〜27Wの電力が供給される水銀不含の車両用のメタルハライドランプであって、
    前記金属ハロゲン化物は、スカンジウムのハロゲン化物、ナトリウムのハロゲン化物およびインジウムのハロゲン化物を含み、
    前記インジウムの重量比率は前記金属ハロゲン化物の総量に対して、5.0%以下であるとともに、前記スカンジウムのハロゲン化物に対する、前記ナトリウムのハロゲン化物の重量比率は0.55以上、0.8以下であるメタルハライドランプ。
  2. 前記放電空間の容積は20mm以下であるとともに、前記金属ハロゲン化物の総量に対するハロゲンの重量比率が84%以上である請求項1に記載のメタルハライドランプ。
  3. 前記金属ハロゲン化物は、亜鉛のハロゲン化物をさらに含み、前記金属ハロゲン化物の総量に対する前記亜鉛のハロゲン化物の重量比率をM(%)、前記電極の直径をRとしたとき、0.6≦M×R≦4.5、かつM≦15を満足する請求項1または請求項2に記載のメタルハライドランプ。
  4. 前記一対の電極間には、点灯直後に安定点灯時の電力に対して2倍以上の電力が供給されることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか一に記載のメタルハライドランプ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015135801A (ja) * 2013-12-20 2015-07-27 東芝ライテック株式会社 放電ランプおよび車両用灯具

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JP2015135801A (ja) * 2013-12-20 2015-07-27 東芝ライテック株式会社 放電ランプおよび車両用灯具

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