JP2015135801A - 放電ランプおよび車両用灯具 - Google Patents
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Abstract
Description
この場合、放電ランプの発光部の放電空間に封入される不活性ガスの圧力を高くすれば、放電ランプの明るさを明るくすることができる。
また、発光部のサイズを小さくすれば、放電ランプの明るさを明るくすることができる。
ところが、発光部の放電空間に封入される不活性ガスの圧力を高くすると、必要な明るさを確保することできるが、機械的な振動により弧状の放電が上下に振れやすくなるという新たな問題が生じる。
機械的な振動により弧状の放電が上下に振れやすくなると、配光にちらつきが発生したり、放電空間に封入されている金属ハロゲン化物が巻き上げられて発光色が変化したりするおそれがある。
また、発光部のサイズを小さくすれば、下方に振れた弧状の放電と、金属ハロゲン化物との間の距離が短くなるので、発光色がより変化しやすくなる。
そこで、低消費電力(例えば、安定点灯時における消費電力が20W以上30W以下)であっても、必要な明るさを確保することができ、且つ、放電の振れを抑制することができる放電ランプの開発が望まれていた。
安定点灯時における消費電力は、20W以上30W以下である。
前記放電空間に封入されたガスの圧力をX(atm)とし、前記電極の中心軸と、前記金属ハロゲン化物の表面と、の間の距離をm(mm)とした場合に以下の式を満足する。 0.085≦m/X≦0.12
安定点灯時における消費電力は、20W以上30W以下である。
前記放電空間に封入されたガスの圧力をX(atm)とし、前記電極の中心軸と、前記金属ハロゲン化物の表面と、の間の距離をm(mm)とした場合に以下の式を満足する。 0.085≦m/X≦0.12
この放電ランプによれば、低消費電力であっても、必要な明るさを確保することができ、且つ、放電の振れを抑制することができる。
また、この放電ランプは、0.10≦m/X≦0.12となるようにすることもできる。
この様にすれば、放電の振れをさらに抑制することができる。
また、前記放電空間に封入されたガスは、キセノンガス、または、キセノンガスを主成分とする混合ガスとすることができる。
この車両用灯具によれば、自動車の走行に伴う機械的な振動が放電ランプに加えられたとしても、配光にちらつきが発生したり、発光色が変化したりするのを抑制することができる。
また、点灯直後から必要な明るさを得ることができる。
この場合、前記放電ランプに設けられた一対の電極が水平となるように前記放電ランプを取り付けることができる。
本発明の実施形態に係る放電ランプは、例えば、自動車の前照灯に用いられるHID(High Intensity Discharge)ランプとすることができる。また、自動車の前照灯に用いられるHIDランプとする場合には、いわゆる水平点灯を行うものとすることができる。 なお、本発明の実施形態に係る放電ランプの用途は、自動車の前照灯に限定されるわけではないが、ここでは一例として、放電ランプが自動車の前照灯に用いられるHIDランプである場合を例に挙げて説明する。
なお、図1においては、放電ランプ100を自動車に取り付けた場合に、前方となる方向を前端側、その反対方向を後端側、上方となる方向を上端側、下方となる方向を下端側としている。
図1に示すように、放電ランプ100には、バーナー101、ソケット102が設けられている。
内管1は、発光部11、封止部12、境界部13、および円筒部14を有する。
内管1は、透光性と耐熱性を有した材料から形成されている。内管1は、例えば、石英ガラスなどから形成することができる。
発光部11は、断面形状が楕円形を呈し、内管1の中央付近に設けられている。発光部11の内部には、中央部分が円柱状で、両端がテーパ状にすぼまっている放電空間111が設けられている。
放電空間111には、放電媒体が封入されている。放電媒体は、水銀を含まない金属ハロゲン化物2と、所定の不活性ガスとを含む。
すなわち、発光部11は、水銀を含まない金属ハロゲン化物2と、所定の不活性ガスとが封入された放電空間111を内部に有する。
なお、環境面から、金属ハロゲン化物2には水銀を含めないようにしている。
キセノンを含むガスは、キセノンガス単体、または、キセノンガスを主成分とする混合ガスである。キセノンガスを主成分とする混合ガスは、例えば、キセノンガスを70vol%以上含む混合ガスである。キセノンガスに混合するガスは、例えば、アルゴンガスである。
なお、放電空間111に封入されるガスの圧力Xに関する詳細は後述する。
また、本明細書において、放電空間111に封入されるガスの圧力X(atm)は、常温(25℃)における圧力である。
封止部12の発光部11側とは反対側の端部には、境界部13を介して円筒部14が連続的に形成されている。
外管5と内管1との接続は、内管1の円筒部14付近に外管5を溶着することにより行うことができる。内管1と外管5との間に形成された閉空間には、ガスが封入されている。封入されるガスは、誘電体バリア放電可能なガス、例えば、ネオンガス、アルゴンガス、キセノンガス、窒素ガスから選択された一種類のガス、またはこれらの混合ガスとすることができる。ガスの封入圧力は、例えば、常温(25℃)で0.3atm以下とすることが好ましく、0.1atm以下とすることがより好ましい。
電極マウント3には、金属箔31、電極32、コイル33、リード線34が設けられている。
金属箔31は、薄板状を呈し、例えば、モリブデンから形成されている。
すなわち、一対の電極32は、放電空間111の内部に突出し、所定の距離を置いて対向配置されている。
電極32の中心軸32aと、発光部11の内壁との間の距離は、0.9mm以上、1.2mm以下とすることができる。
電極32の中心軸32aと、金属ハロゲン化物2の表面(上面)との間の距離m(mm)は、電極32の中心軸32aと発光部11の内壁との間の距離から金属ハロゲン化物2の厚みを引いた距離である。
金属ハロゲン化物2の厚みは、後述する放電の振れの抑制や、光学的・電気的特性の観点から調整され、1.0μm以上、100μm以下とすることができる。また、金属ハロゲン化物2の厚みは、例えば、水平に配置した放電ランプ100の発光部11をX線写真で撮影することにより測定することができる。
なお、電極32の中心軸32aと、金属ハロゲン化物2の表面(上面)との間の距離m(mm)に関する詳細は後述する。
スリーブ4は、サポートワイヤ35の内管1と平行に延びる部分を覆っている。スリーブ4は、例えば、円筒状を呈し、セラミックから形成されたものとすることができる。
金属バンド71は、外管5の後端側の外周面に固定されている。
本体部6は、樹脂などの絶縁性材料から形成されている。本体部6の内部には、リード線34、サポートワイヤ35、およびスリーブ4の後端側が設けられている。
側部端子82は、本体部6の後端部側の側壁に設けられている。側部端子82は、導電性材料から形成され、サポートワイヤ35と電気的に接続されている。
従来は、金属ハロゲン化物2に水銀が含まれていたため、点灯直後から明るくすることができた。
しかしながら、近年においては、環境面から金属ハロゲン化物2に水銀を含めないようにしている。
また、近年においては、環境面から放電ランプ100の低消費電力化が図られている。 例えば、従来、安定点灯時における消費電力が35W程度であったものを20W以上30W以下に低減させるようになってきている。
そのため、放電が不安定となったり、明るさが足りなくなったりするおそれがある。
機械的な振動により弧状の放電が上下に振れやすくなると、配光にちらつきが発生したり、放電空間111に封入されている金属ハロゲン化物2が巻き上げられて発光色が変化したりするおそれがある。発光色が変化し易くなると、放電ランプ100の商品性が著しく低くなる。
しかしながら、発光部11のサイズを小さくすれば、電極32の中心軸32aと、金属ハロゲン化物2の表面との間の距離mが短くなる。
そのため、弧状の放電が下方に振れると、弧状の放電と金属ハロゲン化物2が接触しやすくなる。その結果、放電空間111に封入されている金属ハロゲン化物2が、さらに巻き上げられ易くなる。
以下、本発明者が得た知見について説明する。
すなわち、封入されるガスの圧力Xを低くすれば放電の振れを抑制することができる。しかしながら、封入されるガスの圧力Xを低くすれば明るさが不足することになる。
一方、封入されるガスの圧力Xを高くすれば、必要な明るさを確保することができる。しかしながら、封入されるガスの圧力Xを高くすれば、放電の振れが大きくなる。
一方、電極32の中心軸32aと、金属ハロゲン化物2の表面との間の距離mを長くすると、発光部11の強度が低くなりすぎるおそれがある。
しかしながら、封入されるガスは、キセノンガスなどの不活性ガスに限られている。また、混合ガスを用いる場合にも、キセノンガスとアルゴンガスなどのように、不活性ガス同士の組み合わせに限られる。
そのため、放電空間111に封入されるガスの種類や混合比などの影響は小さなものとなる。
例えば、キセノンガス単体と、キセノンガスを主成分とする混合ガス(例えば、キセノンガスを70vol%以上含むキセノンガスとアルゴンガスの混合ガス)とでは、明るさ及び放電の振れ易さは同程度のものとなる。
しかしながら、電極32の先端同士の間の距離には規格があるので、電極32の先端同士の間の距離は限られたものとなる。
そのため、電極32の先端同士の間の距離の影響は小さなものとなる。
しかしながら、明るさに最も影響を与える水銀が含まれていない場合には、金属ハロゲン化物2の成分比の影響は小さなものとなる。
実験は、以下の条件で行った。
消費電力は25Wとした。
この場合、点灯開始時に60W、安定点灯時に25Wとなるように、安定器(electrical ballast)を用いて制御した。
放電空間111に封入するガスは、キセノンガス単体とした。
電極32の先端同士の間の距離は、3.7mm程度とした。
発光色の変化は、目視観察によるものとした。
点灯直後の光束は、点灯開始後4秒における光束を測定し、光束が1000lm以上となるか否かで良否を判断することにした。
すなわち、圧力Xに対する距離mの比(m/X)を大きくしすぎると、放電の振れを抑制することができても、必要な明るさを確保することができない。
また、圧力Xに対する距離mの比(m/X)を小さくしすぎると、必要な光束を確保することができても、発光色の変化が生じてしまう。
すなわち、圧力Xに対する距離mの比(m/X)を小さくしすぎると、必要な明るさを確保することができても、放電の振れが大きくなってしまう。
また、表1から分かるように、0.10≦m/X≦0.12とすれば、放電の振れをさらに抑制することができる。
図2は、車両用灯具200の構成を例示するための模式図である。
なお、図2中の「前方」は放電ランプ100を取り付けた自動車の前方、「後方」は放電ランプ100を取り付けた自動車の後方、「上方」は放電ランプ100を取り付けた自動車の上方、「下方」は放電ランプ100を取り付けた自動車の下方である。
図2は、放電ランプ100に設けられた一対の電極32が水平となるように放電ランプ100を取り付けた場合である。つまり、水平点灯をさせる放電ランプ100の場合を例示するものである。
図3は、車両用灯具200の回路を例示するための模式図である。
リフレクタ202は、放電ランプ100から照射された光を前方側に反射させる。リフレクタ202は、例えば、反射率の高い金属などから形成されている。リフレクタ202の内部には空間が設けられ、内面が放物線形状を有している。
放電ランプ100のソケット102は、リフレクタ202の後方側の開口付近に取り付けられている。放電ランプ100のバーナー101は、リフレクタ202の内部の空間に位置している。
遮光制御板203は、金属などの遮光性材料から形成されている。遮光制御板203は、カットラインと呼ばれる配光を形成するために設けられている。遮光制御板203は、可動式とされており、遮光制御板203を下方側に倒すことで、ロービームからハイビームへの切り替えが可能となっている。
図3に示すように、点灯回路205は、例えば、イグナイタ回路205aとバラスト回路205bとを備えたものとすることができる。
点灯回路205の入力側には、バッテリーなどの直流電源DSとスイッチSWとが電気的に接続されている。点灯回路205の出力側には、放電ランプ100が電気的に接続されている。
Claims (5)
- 金属ハロゲン化物と、ガスと、が封入された放電空間を内部に有する発光部と;
前記放電空間の内部に突出し、所定の距離を置いて対向配置させた一対の電極と;
を具備し、
安定点灯時における消費電力が、20W以上30W以下であり、
前記放電空間に封入されたガスの圧力をX(atm)とし、
前記電極の中心軸と、前記金属ハロゲン化物の表面と、の間の距離をm(mm)とした場合に以下の式を満足する放電ランプ。
0.085≦m/X≦0.12 - 以下の式を満足する請求項1記載の放電ランプ。
0.10≦m/X≦0.12 - 前記放電空間に封入されたガスは、キセノンガス、または、キセノンガスを主成分とする混合ガスである請求項1または2に記載の放電ランプ。
- 請求項1〜3のいずれか1つに記載の放電ランプと;
前記放電ランプに電気的に接続された点灯回路と;
を具備した車両用灯具。 - 前記放電ランプに設けられた一対の電極が水平となるように前記放電ランプが取り付けられた請求項4記載の車両用灯具。
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