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JP2013175401A - 正極材料 - Google Patents

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JP2013175401A JP2012040074A JP2012040074A JP2013175401A JP 2013175401 A JP2013175401 A JP 2013175401A JP 2012040074 A JP2012040074 A JP 2012040074A JP 2012040074 A JP2012040074 A JP 2012040074A JP 2013175401 A JP2013175401 A JP 2013175401A
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宏明 小西
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章 軍司
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Abstract

【課題】高容量かつ高安全のリチウムイオン二次電池を達成できる正極材料を得ること。
【解決手段】本発明による正極材料は、下記の組成式で表される正極活物質を用いることにより高容量かつ高安全な正極を提供する。
xLiMnO―(1−x)LiNiMnCo
(0.3≦x≦0.7、 0.33≦a≦0.5、 0≦b≦0.5、0≦c≦0.33、 0.01≦d≦0.06)
【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用の正極材料に関する。
近年、地球温暖化の防止や化石燃料の枯渇への懸念から、走行に必要となるエネルギーが少ない電気自動車に期待が集まっているが、これらの技術には次の技術的課題があり、普及が進んでいない。
電気自動車の課題は、駆動用電池のエネルギー密度が低く、一充電での走行距離が短いことである。そこで、安価で高エネルギー密度をもつ二次電池が求められている。
リチウムイオン二次電池は、ニッケル水素電池や鉛電池等の二次電池に比べて重量当たりのエネルギー密度が高いため、電気自動車や電力貯蔵システムへの応用が期待されているが、電気自動車の要請に応えるためには、さらなる高エネルギー密度化が必要であり、電池の高エネルギー化を実現するためには、正極および負極のエネルギー密度を高める必要がある。
高エネルギー密度の正極活物質として、LiMO−LiM’O固溶体が期待されている。なお、Mは、Mn、Ti、Zrから選ばれる1種類以上の元素であり、M’はNi、Co、Mn、Fe、Ti、Zr、Al、Mg、Cr、Vから選ばれる1種類以上の元素である。以後、LiMO−LiM’O固溶体を固溶体正極活物質と略す。
特許文献1には、高レートでも高い放電容量を得るべく、粒子の外表面側に抵抗の低いLiMOを多く配置し、粒子の中心部にLiMnOを多く配置して、粒子の中心部から外表面に向けてLiMOとLiMnOに濃度勾配を持たせた粒子を有する正極材料が記載されている。
特開2011−134670号公報
しかしながら、特許文献1の構成は、熱安定性については考慮されておらず、特に、粒子の中心部に近いほど、LiMnOの濃度がLiMOの濃度よりも高く構成されているので、熱安定性が低くなるおそれがあった。
本発明は、上記実状に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、熱安定性の高いリチウムイオン二次電池用の正極材料を提供することにある。
上記目的を達成すべく、本発明に関わるリチウムイオン二次電池用の正極材料は、
xLiMnO―(1−x)LiNiMnCo
(0.3≦x≦0.7、0.33≦a≦0.5、0≦b≦0.5、0≦c≦0.33、0.01≦d≦0.06)
で表記され、MはV、Moから選ばれる1種類以上の元素である正極活物質を含むことを特徴としている。
本発明によれば、熱安定性の高い正極材料を得ることができ、安全性の高いリチウムイオン二次電池を実現できる。なお、上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
実施例1と比較例1の正極活物質をそれぞれ充電状態で加熱した際の酸素発生挙動を示すグラフ。 円筒型電池の構造を示す部分断面図。
リチウムイオン二次電池を電気自動車に採用する場合は、高容量と高安全の両立が求められる。リチウムイオン二次電池において、この特性は、正極材料の性質と密接な関係がある。
組成式xLiMnO−(1−x)LiMO(Mは遷移金属)で表される正極活物質は、従来の層状系正極活物質LiMO(Mは遷移金属)と比べ高容量が得られるという利点があるものの、充電状態での熱安定性が低いという欠点がある。従って、内部短絡などにより電池の温度が上昇した際に、正極活物質中から放出された酸素と電解液とが比較的低温で反応し、大きな発熱反応が起こり、この発熱反応により、電池が発火したり破裂したりすることが懸念される。
本実施の形態における正極材料は、このような課題を解決するものであり、組成式xLiMnO―(1−x)LiNiMnCo(0.3≦x≦0.7、0.33≦a≦0.5、0≦b≦0.5、0≦c≦0.33、0.01≦d≦0.06)で表記され、MはV、Moから選ばれる1種類以上の元素である正極活物質を含むことを特徴としている。
本実施の形態における正極材料は、固溶体正極活物質にVまたはMoを添加して、上記した条件にすることで、充電状態における熱安定性を改善することができる。本実施の形態における正極材料は、VまたはMoを添加していないものと比較すると、電解液と共に加熱した際の発熱量が大幅に低減する。したがって、電池温度が上昇した際に発火および破裂に至る可能性を低減し、安全性を向上させることができる。したがって、電池温度が上昇した際に発火や破裂に至る可能性を低減させ、安全性を向上したリチウムイオン二次電池用の正極材料およびリチウムイオン二次電池を提供することができる。
ここで、本実施の形態における正極材料の正極活物質について説明する。
正極活物質の組成式において、LiMnOとLiNiMnCoとの割合を示すxの値は、0.3以上0.7以下(0.3≦x≦0.7)である。0.3未満(x<0.3)では、層状系の正極と容量が同程度となり、層状固溶体の利点である高容量が得られない。0.7より大きいと(x>0.7)、電気化学的に不活性なLiMnOの割合が多くなり正極活物質の抵抗が上昇し、容量が低下する。
正極活物質のNi含有量(原子量比)は、上記の組成式中のaで表され、0.33≦a≦0.5である。a<0.33では、充放電反応に主に寄与するNiの含有量が減少し、容量が低下する。a>0.5では、熱安定性が低下する。
正極活物質のMnの含有量(原子量比)は、上記の組成式中のbで表され、0≦b≦0.5である。b>0.5では、充放電に関与するNiの含有率が低減し、容量が低下する。
正極活物質のCoの含有量(原子量比)は、上記の組成式中のcで表され、0≦c≦0.33である。c>0.33では、充放電に関与するNiの含有量が低減するため、容量が低下する。
正極活物質のMの含有量(原子量比)は、上記の組成式中のdで表され、0.01≦c≦0.06である。d<0.01では、充電状態での熱安定性を改善することができない。d>0.06では、結晶構造が不安定になり、容量が低下する。
正極活物質の粒子内におけるLiMnOとLiNiMnCoの濃度は、均一となっている。正極活物質の粒子内におけるVおよびMoは、粒子の表面側と中心側の両方で全体的にムラなく均一に混ざっており、その存在比は、0.8〜1.2の範囲(1±0.2の範囲)に入っている。したがって、バランス良く、粒子の全体が電気化学反応に関与することができ、高い電池特性を得ることができる。0.8〜1.2の範囲を外れると、ムラが多くなり、電気化学反応に寄与する領域が狭くなり、電池特性が低下する。
次に、本発明に関する実施例および比較例に用いた正極活物質の合成方法、試作電池の作製、電池特性および熱安定性の測定について述べる。
(正極活物質の作製)
酢酸リチウム、酢酸ニッケル、酢酸マンガン、酢酸コバルト、酸化バナジウム、モリブデン酸などを精製水に溶解させた後、スプレードライ装置を用いてスプレードライし、前駆体を得た。得られた前駆体を大気中において500℃で12時間焼成し、リチウム遷移金属酸化物を得た。得られたリチウム遷移金属酸化物をペレット化した後、大気中で800〜1000℃で12時間焼成した。焼成したペレットをメノウ乳鉢で粉砕し、45μmのふるいで分級し、正極活物質とした。
また、比較例6のみ、最初に酸化バナジウムを入れず、500℃で12時間焼成した後に、メノウ乳鉢を用いて酸化バナジウムを加え、その後、ペレット化した後、大気中で800〜1000℃で12時間焼成した。焼成したペレットをメノウ乳鉢で粉砕し、45μmのふるいで分級し、正極活物質とした。
作製した正極活物質の組成と、それぞれの実施例、比較例で使用した正極活物質を表1に示す。
(表1)
Figure 2013175401
実施例1〜9と比較例1〜6では、以上のように作製した15種類の試作電池に対して、充放電試験と示差走査熱量測定を行った。
(試作電池の作製)
実施例1〜9と比較例1〜6では、上述のように作製した15種類の正極活物質を用いて正極を作製し、15種類の試作電池を作製した。
正極の作製方法を説明すると、正極活物質と導電助剤とバインダを均一に混合して正極スラリー(正極材料)を作成する。そして、その正極スラリーを厚み20μmのアルミ集電体箔上に塗布して、120℃で乾燥し、プレスにて電極密度が2.2g/cmになるように圧縮成形して電極板を得た。その後、電極板を直径15mmの円盤状に打ち抜き、正極を作製した。
負極は、金属リチウムを用いて作製した。非水電解液は、体積比で1:2のEC(エチレンカーボネート)とDMC(ジメチルカーボネート)の混合溶媒に、1.0モル/リットルのLiPFを溶解させたものを用いた。実施例1〜9と比較例1〜6では、以上のように作製した15種類の試作電池に対して、充放電試験と発熱量の測定を行った。
(充放電試験)
試作電池に対し、0.05Cで、上限電圧を4.6V、下限電圧を2.5Vとした充放電試験を行った。
(示差走査熱量測定)
試作電池を4.6Vまで定電流/定電圧で充電した後、取り出した正極をDMCで洗浄した。この後、正極を直径3.5mmの円盤状に打ち抜き、サンプルパンに入れ、電解液を1μl(リットル)加え、密封して試料とした。
この試料を室温から400℃まで5℃/minで加熱したときの、発熱量を調べた。
(粒子表面および粒子内部におけるVの含有量の測定)
実施例1および比較例6において、オージェ分光装置を用いて、粒子表面から50nmと500nmにおけるVの含有率(d)の比(500nmの含有率/50nmの含有率)を測定した。ただし、オージェ分光装置で用いた深さ方向の距離は、SiO換算で求めたものである。
実施例1〜9、比較例1〜6において、得られた放電容量を比較例1の結果で除した値を放電容量比として表2、表3、表4に示す。また、実施例1〜9、比較例1〜6において、得られた発熱量を比較例1の結果で除した値を発熱量比として表2、表3、表4に示す。
(表2)
Figure 2013175401
(表3)
Figure 2013175401
(表4)
Figure 2013175401
表2について説明する。実施例1〜7では、比較例1と比べ、放電容量の低下を10%以内に抑え、発熱量を30%以上低減することができた。これは、発熱を抑制できるVおよびMoが1〜6%添加されているためと考えられる。一方、比較例2、3では放電容量が10%以上低下した。これは、VおよびMoの添加量が8%と多かったためと考えられる。
表3について説明する。実施例8、9では、比較例1と比べ、放電容量の低下を10%以内に抑え、発熱量を30%以上低減することができた。これは、LiMnOとLiNiMnMOの組成比(x)が0.3〜0.7の間に入っているためである。一方、比較例4、5では、放電容量が10%よりも多く低下した。比較例4では、LiNiMnCoMOの割合が多すぎたため、層状系の正極材料と同程度の容量しか得られなかった。また、比較例5では、充放電にほとんど関与しないLiMnOの割合が多すぎたため、容量が大幅に低下した。
表4について説明する。実施例1と比べ、比較例6では、発熱量を抑制することが出来なかった。これは、Vが粒子の表面のみに偏在しているために、充電状態の構造の安定性を向上させることが出来なかったためである。
表2、3、4の結果から、LiMnO―LiNiMnCo (0.3≦x≦0.7、 0.33≦a≦0.5、 0≦b≦0.5、0<c≦0.33、 0.01≦d≦0.06)で表記されるリチウムイオン二次電池用正極であって、MはV、Moから選ばれる1種類以上の元素である正極活物質を有する正極材料は、高容量と高い熱安定性を両立出来ることが分かった。
図1は、実施例1と比較例1を充電状態で加熱した際の酸素発生挙動を示すグラフである。横軸は温度で、縦軸は酸素発生量である。図1に示されるように、Vを添加した実施例1の正極活物質は、Vを添加していない比較例1の正極活物質と比較して、酸素発生量を低減できることが分かる。
図2は、本実施の形態におけるリチウムイオン二次電池の構造を模式的に示す要部断面図である。図2に示すリチウムイオン二次電池12は、集電体の両面に正極材料を塗布した正極板3と、集電体の両面に負極材料を塗布した負極板4と、セパレータ5とを有する電極群を備える。本実施例では、正極板3と負極板4は、セパレータ5を介して捲回され、捲回体の電極群を形成している。この捲回体は、電池缶9に挿入される。
負極板4は、負極リード片7を介して、電池缶9に電気的に接続される。電池缶9には、パッキン10を介して、密閉蓋部8が取り付けられる。正極板3は、正極リード片6を介して、密閉蓋部8に電気的に接続される。捲回体は、絶縁板11によって絶縁される。
なお、電極群は、図2に示したような捲回体でなくてもよく、セパレータ5を介して正極板3と負極板4を積層した積層体でもよい。
リチウムイオン二次電池12の正極板3として、本実施の形態で示した正極材料を塗布して作製した正極を用いることにより、高容量かつ高安全のリチウムイオン二次電池12を得ることができる。従って、本発明によれば、電気自動車用の電池に要求される高容量、かつ高安全を達成できる正極材料、およびリチウムイオン二次電池12を提供することができる。
本発明は、リチウムイオン二次電池の正極材料、およびリチウムイオン二次電池に利用でき、特に、電気自動車用のリチウムイオン二次電池に利用可能である。
3…正極板、4…負極板、5…セパレータ、6…正極リード片、7…負極リード片、8…密閉蓋部、9…電池缶、10…パッキン、11…絶縁板、12…リチウムイオン二次電池。
特許文献1には、高レートでも高い放電容量を得るべく、粒子の表面側に抵抗の低いLiMOを多く配置し、粒子の中心部にLiMnOを多く配置して、粒子の中心部から外表面に向けてLiMOとLiMnOに濃度勾配を持たせた粒子を有する正極材料が記載されている。
正極活物質のMの含有量(原子量比)は、上記の組成式中のdで表され、0.01≦≦0.06である。d<0.01では、充電状態での熱安定性を改善することができない。d>0.06では、結晶構造が不安定になり、容量が低下する。
表3について説明する。実施例8、9では、比較例1と比べ、放電容量の低下を10%以内に抑え、発熱量を30%以上低減することができた。これは、LiMnOとLiNiMnCoMOの組成比(x)が0.3〜0.7の間に入っているためである。一方、比較例4、5では、放電容量が10%よりも多く低下した。比較例4では、LiNiMnCoMOの割合が多すぎたため、層状系の正極材料と同程度の容量しか得られなかった。また、比較例5では、充放電にほとんど関与しないLiMnOの割合が多すぎたため、容量が大幅に低下した。
表2、3、4の結果から、LiMnO―LiNiMnCo (0.3≦x≦0.7、 0.33≦a≦0.5、 0≦b≦0.5、0c≦0.33、 0.01≦d≦0.06)で表記されるリチウムイオン二次電池用正極であって、MはV、Moから選ばれる1種類以上の元素である正極活物質を有する正極材料は、高容量と高い熱安定性を両立出来ることが分かった。

Claims (4)

  1. xLiMnO―(1−x)LiNiMnCo
    (0.3≦x≦0.7、0.33≦a≦0.5、0≦b≦0.5、0≦c≦0.33、0.01≦d≦0.06)
    で表記され、MはV、Moから選ばれる1種類以上の元素である正極活物質を有することを特徴とするリチウムイオン二次電池用の正極材料。
  2. 前記正極活物質の粒子内におけるLiMnOとLiNiMnCoの濃度が均一であることを特徴とする請求項1に記載の正極材料。
  3. 粒子表面から50nmに存在するVおよびMoの存在比に対し、粒子表面から500nmに存在するVおよびMoの存在比が0.8〜1.2の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載の正極材料。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の正極材料を有することを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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