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JP2011182622A - 磁束量可変回転電機システム - Google Patents

磁束量可変回転電機システム Download PDF

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JP2011182622A
JP2011182622A JP2010063460A JP2010063460A JP2011182622A JP 2011182622 A JP2011182622 A JP 2011182622A JP 2010063460 A JP2010063460 A JP 2010063460A JP 2010063460 A JP2010063460 A JP 2010063460A JP 2011182622 A JP2011182622 A JP 2011182622A
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JP2010063460A
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Yoshikazu Ichiyama
義和 市山
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KURA GIJUTSU KENKYUSHO KK
Kura Gijutsu Kenkyusho KK
Original Assignee
KURA GIJUTSU KENKYUSHO KK
Kura Gijutsu Kenkyusho KK
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Abstract

【課題】
磁束量可変回転電機システムを提供する。
【解決手段】
電機子と回転子とが径方向に対向する回転電機装置に於いて,回転子内の互いに隣接する第一,第二磁性体突極を互いに異なる方向に延伸してそれぞれを第一延長部,第二延長部とし,第一延長部,第二延長部と電機子の磁気ヨークとの間にそれぞれ界磁磁石を配置して第一,第二磁性体突極を互いに異極に磁化する構成とする。界磁磁石には低抗磁力の磁石素材を採用できて低コスト化を実現できる。更にそれぞれの界磁磁石の磁化を変更する励磁コイルを有し,励磁コイルにより界磁磁石の磁化を不可逆的に変え,電機子コイルと鎖交する磁束量を制御する事が出来る。
【選択図】 図1

Description

本発明は,永久磁石界磁を持つ発電機,電動機を含む回転電機システムに関する。
永久磁石界磁と電機子との相対的回転によって電磁的に生ずる電力を取り出す発電機,或いは電機子に供給する電流によって生ずる磁界と永久磁石界磁との相互作用により永久磁石界磁と電機子との相対的回転を生ずる電動機等の回転電機装置はエネルギー効率に優れ,永久磁石の技術的進歩に伴い日常的に広く使われている。しかし強力な永久磁石はレアアース素材を必須とするが,資源が限られ,レアアース素材を使わない,或いはレアアースの使用量を少に出来る回転電機が望まれている。また,磁石励磁の回転電機は、界磁磁石からの磁束が一定であるので電動機として或いは発電機として用いられるにしても広い回転速度範囲で常に最適の出力が得られる訳ではなく,界磁制御もまた大きな課題である。
すなわち,電動機の場合は高速回転域では逆起電力(発電電圧)が高すぎる結果となって制御が困難となり,弱め界磁制御として界磁強度を弱める種々の手段が提案されている。また発電機の場合,広い回転速度範囲に於いて発電電圧を所定のレベルとする為に専ら界磁電流制御による定電圧発電機或いは半導体による発電電圧の定電圧化回路が用いられている。
電動機では進み位相電流による弱め界磁制御が広く採用されているが,エネルギー効率,制御範囲には限界がある。磁石励磁回転電機に於けるエネルギー効率の高さを犠牲にすることなく,回転電機の界磁制御を機械的な偏倚により行う試みがある(例えば特許第4243651号)。これは界磁条件を機械的な偏倚として保持できるので界磁制御に伴うエネルギー損失を最小限に留めて高エネルギー効率の回転電機を実現出来る。
エネルギー損失を最小限に留める他の界磁制御方法は,回転電機の運転中に界磁磁石の磁化状態を不可逆的に変更することであり,特開2006−280195,特開2008−048514,特開2008−125201等の技術提案がある。これらは電機子と対向する回転子磁極を高低の抗磁力を持つ永久磁石で構成し,電機子コイルの作る磁界により低抗磁力の永久磁石の磁化を変更しようとしている。しかしながら,電機子コイルの作る駆動磁界に常に曝される位置への低抗磁力磁石の存在,また電機子コイルのみの作る磁界によって磁化変更可能な低抗磁力磁石の存在は予見し難い事故により前記永久磁石の磁化が不安定になる可能性が常にあり,システムの安定性には重大な懸念が残る。
ラジアルギャップ構造の回転電機装置に於ける界磁制御の提案としては,特開2008−306908に電流励磁の提案例がある。しかし,界磁制御に際して励磁コイルに常時電流を供給しなければならず,エネルギー効率面に課題が残る。
したがって,本発明が解決しようとする課題は,レアアース素材を用いる磁石の使用量を小に出来る回転電機,界磁磁石の磁化を変えて強め,弱め界磁を実現する回転電機システム及び磁束量制御方法を提供する事である。
請求項1の発明による回転電機システムは,電機子との対向面に於いて磁気的な離隔部分を介して互いに離隔された第一磁性体突極及び第二磁性体突極を周方向に交互に有する回転子と,円筒状磁気ヨーク及び円筒状磁気ヨークから径方向に延びる磁性体歯及び磁性体歯に巻回された電機子コイルを有する電機子とが径方向に対向して相対的に回転可能に構成された回転電機装置であって,第一磁性体突極及び第二磁性体突極は半径方向或いは軸方向の互いに異なる方向に延伸されてそれぞれ第一延長部,第二延長部とされ,さらに第一磁性体突極及び第二磁性体突極を互いに異極に励磁する励磁部を有し,励磁部は第一延長部及び第二延長部を磁気的に結合する磁路の一部である励磁磁路部材と,励磁磁路部材を含む第一延長部及び第二延長部間の磁路を二分するよう配置された界磁磁石とを有して構成される事を特徴とする。
回転子,電機子が径方向に対向する回転電機装置である。電機子は径方向に延びる磁性体歯と,磁性体歯に巻回された電機子コイルとが互いに磁気的に離隔されるよう周方向に配置されて回転子と対向する。回転子は電機子との対向面に於いて磁気的な離隔部分を介して互いに離隔された第一磁性体突極及び第二磁性体突極を周方向に交互に有するよう構成される。磁気的な離隔部分は磁気的な空隙及び或いは永久磁石で構成される。第一磁性体突極及び第二磁性体突極は互いに異なる方向に延伸されて第一延長部,第二延長部が形成され,第一延長部,第二延長部間を磁気的に結ぶ磁路の一部である励磁磁路部材を有し,励磁磁路部材を含む第一延長部,第二延長部間の磁路を分けるように界磁磁石が配置される。励磁磁路部材及び界磁磁石の組合せは一組或いは二組が回転子内或いは静止側に配置され,第一磁性体突極及び第二磁性体突極を互いに異極に磁化するよう構成される。
界磁磁石は回転子の磁極外に配置されるのでスペース的に余裕があり,十分な長さを持つアルニコ磁石或いはフェライト磁石等の低抗磁力磁石を採用する事が出来る。
回転電機は電機子コイルへの電流を入力として回転力を出力とすれば電動機であり,回転力を入力として電機子コイルから電流を出力すれば発電機である。電動機或いは発電機に於いて最適の磁極構成は存在するが,可逆的であり,上記の回転電機システムは電動機,発電機の何れにも適用される。
請求項2の発明は,請求項1記載の回転電機システムに於いて,第一延長部,第二延長部はそれぞれ第一磁性体突極及び第二磁性体突極が互いに軸方向の異なる方向に延伸されて構成され,さらに励磁部は回転子両端の静止側に配置された第一励磁部及び第二励磁部とより構成され,第一励磁部は両端が第一延長部及び円筒状磁気ヨークにそれぞれ磁気的に結合された第一励磁磁路部材と,第一励磁磁路部材を含む第一延長部及び円筒状磁気ヨーク間の磁路を二分するよう配置された第一界磁磁石とを有して構成され,第二励磁部は両端が第二延長部及び円筒状磁気ヨークにそれぞれ磁気的に結合された第二励磁磁路部材と,第二励磁磁路部材を含む第二延長部及び円筒状磁気ヨーク間の磁路を二分するよう配置された第二界磁磁石とを有して構成される事を特徴とする。
励磁部は同じ構成の第一励磁部,第二励磁部とより構成され,回転子両端の静止側に配置される。界磁磁石も第一界磁磁石及び第二界磁磁石で構成され,励磁磁路部材も第一励磁磁路部材,第二励磁磁路部材で構成される。第一延長部,第二延長部を磁気的に結合する磁路は第一励磁磁路部材,円筒状磁気ヨーク,第二励磁磁路部材で主要部が構成される。
請求項3の発明は,請求項1記載の回転電機システムに於いて,第一延長部,第二延長部はそれぞれ第一磁性体突極及び第二磁性体突極が互いに軸方向の異なる方向に延伸されて構成され,さらに励磁部は第一励磁部及び第二励磁部より構成されて第一励磁部の一部及び第二励磁部の一部はそれぞれ回転子両端の静止側に配置され,第一励磁部は両端が第一延長部及び円筒状磁気ヨークにそれぞれ磁気的に結合された第一励磁磁路部材を有し,円筒状磁気ヨークと第一励磁磁路部材の一部とが第一界磁磁石を挟んで径方向に対向するよう構成され,第二励磁部は両端が第二延長部及び円筒状磁気ヨークにそれぞれ磁気的に結合された第二励磁磁路部材を有し,円筒状磁気ヨークと第二励磁磁路部材の一部とが第二界磁磁石を挟んで径方向に対向するよう構成される事を特徴とする。
第一及び第二界磁磁石を円筒状磁気ヨークに隣接して回転子とは逆側に配置する構成であり,第一及び第二界磁磁石の磁極面積を大として電機子を流れる磁束量大に出来る。第一及び第二界磁磁石は電機子と回転子で作る空間の外側に配置されるので回転子を回転駆動する為に電機子が発生する強い駆動磁界は第一及び第二界磁磁石に影響し難い。
請求項4の発明は,請求項1記載の回転電機システムに於いて,第一延長部,第二延長部はそれぞれ第一磁性体突極及び第二磁性体突極が互いに軸方向の異なる方向に延伸されて構成され,さらに励磁部は第一磁性体突極及び第二磁性体突極をそれぞれ異極に励磁する第一励磁部及び第二励磁部とより構成され,さらに第一励磁部は両端が第一延長部及び円筒状磁気ヨークにそれぞれ磁気的に結合された第一励磁磁路部材と,第一励磁磁路部材を含む第一延長部及び円筒状磁気ヨーク間の磁路を二分するよう配置された第一界磁磁石と,第一磁性体突極及び第一延長部及び第一励磁磁路部材及び第一界磁磁石及び円筒状磁気ヨークを含む磁路に磁束を発生するよう配置された第一励磁コイルとを有して構成され,第二励磁部は両端が第二延長部及び円筒状磁気ヨークにそれぞれ磁気的に結合された第二励磁磁路部材と,第二励磁磁路部材を含む第二延長部及び円筒状磁気ヨーク間の磁路を二分するよう配置された第二界磁磁石と,第二磁性体突極及び第二延長部及び第二励磁磁路部材及び第一界磁磁石及び円筒状磁気ヨークを含む磁路に磁束を発生するよう配置された第二励磁コイルとを有して構成され,第一励磁コイル,第二励磁コイルに供給する電流によって第一界磁磁石,第二界磁磁石の磁化状態を変更及び或いは第一励磁コイル,第二励磁コイルの生成する磁束量を変えて電機子を流れる磁束量を変える事を特徴とする。
第一励磁部及び第二励磁部は更にそれぞれ第一,第二励磁コイルを有し,第一,第二励磁コイルに供給される電流により第一,第二界磁磁石の磁化状態を不可逆的に変え,或いは第一,第二励磁コイルに供給される電流により生成される磁束により電機子を流れる磁束量を制御する。また,第一,第二励磁コイルに供給される電流により,第一,第二界磁磁石の磁化状態を不可逆的に変え,第一,第二界磁磁石の各磁化状態に於いて磁化状態を変えない程度の磁束調整電流を第一,第二励磁コイルに供給して電機子を流れる磁束量を調整する。
請求項5の発明は,請求項1記載の回転電機システムに於いて,第一延長部は第一磁性体突極が軸方向に延伸され,第二延長部は第二磁性体突極が半径方向に延伸されて構成され,更に励磁部の励磁磁路部材は一端が第一延長部と磁気的に結合されると共に励磁磁路部材の一部は界磁磁石を挟んで第二延長部と径方向に対向するよう構成される事を特徴とする。第一延長部と第二延長部間に界磁磁石が配置される構成で,特に界磁磁石の磁極面積を十分に確保されるように径方向に対向する磁性体感に界磁磁石が配置される構成である。
請求項6の発明は,請求項1記載の回転電機システムに於いて,第一延長部は第一磁性体突極が軸方向に延伸され,第二延長部は第二磁性体突極が半径方向に延伸されて構成され,更に励磁部の励磁磁路部材は一端が第一延長部と磁気的に結合されると共に励磁磁路部材の一部は界磁磁石を挟んで第二延長部と径方向に対向するよう構成され,励磁磁路部材の一部は回転子と軸方向に対向する静止側に配置されると共に第一延長部,励磁磁路部材,界磁磁石,第二延長部を含む磁路に磁束を発生するよう励磁コイルが静止側に配置され,励磁コイルに供給する電流によって界磁磁石の磁化状態を変更及び或いは励磁コイルの生成する磁束量を変えて電機子を流れる磁束量を変える事を特徴とする。
第一延長部と第二延長部間に界磁磁石が配置される構成で,特に界磁磁石の磁極面積を十分に確保されるように径方向に対向する磁性体感に界磁磁石が配置される構成であり,更に励磁磁路部材の一部は静止側に配置され,励磁コイルが第一延長部及び界磁磁石及び第二延長部を含む磁路に磁束を発生するよう静止側に配置される。
請求項7の発明は,請求項1記載の回転電機システムに於いて,第一磁性体突極と第二磁性体突極間に配置される離隔部分の磁気抵抗は磁性体歯と第一磁性体突極との微小間隙に於ける磁気抵抗及び磁性体歯と第二磁性体突極との微小間隙に於ける磁気抵抗の和より大となるよう前記離隔部分の対向面積と厚みとが設定されている事を特徴とする。界磁磁石からの磁束は電機子を介する磁路と,第一磁性体突極と第二磁性体突極間を介する磁路とを介して環流する。第一磁性体突極及び第二磁性体突極間の離隔部分の磁気抵抗を磁性体歯と第一磁性体突極との微小間隙に於ける磁気抵抗及び磁性体歯と第二磁性体突極との微小間隙に於ける磁気抵抗の和より大に設定して界磁磁石からの磁束の大部分が電機子を介して流れるよう設定する。磁気的な間隙に於ける磁気抵抗は対向面積に逆比例し,間隙長に比例する。第一磁性体突極及び第二磁性体突極間の離隔部分が永久磁石を含む場合は永久磁石を非磁性体と見なして磁気抵抗を計算する。
請求項8の発明は,請求項1記載の回転電機システムに於いて,第一磁性体突極及び第二磁性体突極間の離隔部分は永久磁石を含んで第一磁性体突極及び第二磁性体突極は互いに異なる極性に磁化されるよう構成される事を特徴とする。第一磁性体突極及び第二磁性体突極間の離隔部材に永久磁石を配置して第一磁性体突極及び第二磁性体突極を介して磁性体歯に流れる磁束量を増す構成である。
請求項9の発明は,請求項8記載の回転電機システムに於いて,第一磁性体突極及び第二磁性体突極間に配置された永久磁石は,磁性体と磁性体の二つの側面に配置された略同方向の磁化を有する永久磁石とで構成された集合磁石であって,集合磁石を構成する前記磁性体の電機子と対向する側に非磁性体が配置されて構成される事を特徴とする。両側に略同じ方向の磁化を持つ永久磁石が配置された磁性体は磁気的に永久磁石と等価な集合磁石である。集合磁石の磁性体部分の電機子と対向する側には非磁性体を配置して電機子から磁束が直接に流入し難いよう構成する。
請求項10の発明は,請求項8記載の回転電機システムに於いて,第一磁性体突極及び第二磁性体突極間の離隔部分が含む永久磁石の抗磁力は界磁磁石の抗磁力より大である事を特徴とする。励磁部の励磁コイルが発生させる磁束の一部は界磁磁石と,第一磁性体突極及び第二磁性体突極間に配置されている永久磁石とを直列に接続する磁路に流れ,界磁磁石及び永久磁石内に磁界が印可される。第一磁性体突極及び第二磁性体突極間の永久磁石の磁化状態は安定に維持しなければならないので永久磁石の抗磁力は界磁磁石の抗磁力より大の磁石素材で構成する。
請求項11の発明は,請求項1記載の回転電機システムに於いて,界磁磁石は磁化方向長さと抗磁力の積が異なる磁石要素の並列接続として構成され,界磁磁石は互いに逆方向である第一磁化,第二磁化の何れかの磁化を有する磁石要素を少なくとも有し,第一磁化を有する磁石要素は第一磁性体突極及び第二磁性体突極間に配置された永久磁石が第一磁性体突極及び第二磁性体突極を磁化する極性と同じ極性に第一磁性体突極及び第二磁性体突極を磁化する事を特徴とする。
界磁磁石は磁化容易さ(すなわち,磁化方向長さと抗磁力の積)の異なる一以上の磁石要素が並列に接続される構成,或いは断面内で磁化容易さが連続的に変わる磁石で構成される。励磁コイルによる起磁力(磁気ポテンシャル差)はほぼ均等に界磁磁石を構成する磁石要素に加えられ,起磁力を磁化方向長さで除した値が各磁石要素に加わる磁界強度となるので磁化方向長さと抗磁力の積の小さな磁石要素が磁化されやすく,励磁コイルに加えられる電流により並列接続された磁石要素の磁化状態は選択的に制御される。第一磁性体突極及び第二磁性体突極間に配置された永久磁石が第一磁性体突極及び第二磁性体突極を磁化する極性と同じ極性に第一磁性体突極及び第二磁性体突極を磁化する磁石要素は電機子コイルと鎖交する磁束量が増すので第一磁化である。
請求項12の発明による回転電機システムは,電機子との対向面に於いて少なくとも永久磁石を介して互いに離隔され且つ互いに異なる極性に磁化された第一磁性体突極及び第二磁性体突極を周方向に交互に有する回転子と,円筒状磁気ヨーク及び円筒状磁気ヨークから径方向に延びる磁性体歯及び磁性体歯に巻回された電機子コイルを有する電機子とが径方向に対向して相対的に回転可能に構成された回転電機装置であって,第一磁性体突極及び第二磁性体突極は半径方向或いは軸方向の互いに異なる方向に延伸されてそれぞれ第一延長部,第二延長部とされ,さらに第一磁性体突極及び第二磁性体突極を互いに異極に励磁する励磁部を有し,励磁部は両端が第一延長部及び第二延長部を磁気的に結合する磁路の一部である励磁磁路部材と,励磁磁路部材を含む第一延長部及び第二延長部間の磁路を二分するよう配置された界磁磁石と,第一延長部及び励磁磁路部材及び界磁磁石及び第二延長部を含む磁路に磁束を発生するよう配置された励磁コイルを有して構成され,回転電機装置の出力を最適化するよう前記出力に応じて励磁コイルに供給される電流により界磁磁石の磁化状態を変え,電機子に流れる磁束量が制御される事を特徴とする。
回転子,電機子が径方向に対向する回転電機装置である。電機子は径方向に延びる磁性体歯と,磁性体歯に巻回された電機子コイルとが互いに磁気的に離隔されるよう周方向に配置されて回転子と対向する。回転子は電機子との対向面に於いて少なくとも永久磁石を介して互いに離隔され且つ互いに異なる極性に磁化された第一磁性体突極及び第二磁性体突極を周方向に交互に有するよう構成される。
第一磁性体突極及び第二磁性体突極を含む磁路に磁束を供給するよう第一延長部及び第二延長部及び励磁磁路部材及び励磁コイル及び界磁磁石が配置され,回転電機装置の出力を最適化するよう前記出力に応じて界磁磁石の磁化状態を励磁コイルにより変え,電機子に流れる磁束量を制御する。
第一磁性体突極及び第二磁性体突極間に配置された永久磁石は電機子コイルによって磁化変更され難い永久磁石で構成されるとして,界磁磁石は電機子コイルの作る駆動磁界の影響を受け難く,励磁コイルによって磁化変更可能に磁化容易さである磁化方向長さと抗磁力の積が設定される。
請求項13の発明は,請求項12記載の回転電機システムに於いて,さらに制御装置を有し,回転力を入力とし,発電電力を出力とする回転電機システムであって,第一磁性体突極及び第二磁性体突極間に配置された永久磁石が第一磁性体突極及び第二磁性体突極を磁化する極性と同じ極性に第一磁性体突極及び第二磁性体突極を磁化する界磁磁石内の磁石要素を第一磁化とし,電機子コイルに誘起される発電電圧が所定の値より大の時は制御装置により第一磁化の磁極面積を減じるよう界磁磁石を磁化する極性の磁化電流が励磁コイルに供給されて電機子を流れる磁束量が小とされ,電機子コイルに誘起される発電電圧が所定の値より小の時は制御装置により界磁磁石内の第一磁化の磁極面積を増すよう界磁磁石を磁化する極性の磁化電流が励磁コイルに供給されて電機子を流れる磁束量が大とされ,発電電圧が所定の値に制御される事を特徴とする。
請求項14の発明は,請求項12記載の回転電機システムに於いて,さらに制御装置を有し,電機子コイルへの供給電流を入力とし,回転力を出力とする回転電機システムであって,第一磁性体突極及び第二磁性体突極間に配置された永久磁石が第一磁性体突極及び第二磁性体突極を磁化する極性と同じ極性に第一磁性体突極及び第二磁性体突極を磁化する界磁磁石内の磁石要素を第一磁化とし,回転速度が所定の値より大で電機子を流れる磁束量を減少させる時には制御装置により第一磁化の磁極面積を減じるよう界磁磁石を磁化する極性の磁化電流が励磁コイルに供給されて電機子を流れる磁束量が小とされ,回転速度が所定の値より小で電機子を流れる磁束量を増大させる時には制御装置により界磁磁石内の第一磁化の磁極面積を増すよう界磁磁石を磁化する極性の磁化電流が励磁コイルに供給されて電機子を流れる磁束量が大とされ,回転力が最適に制御される事を特徴とする。
請求項15の発明は,請求項12記載の回転電機システムに於いて,さらに制御装置を有し,電機子コイルへの供給電流を入力とし,回転力を出力とする回転電機システムであって,第一磁性体突極及び第二磁性体突極間に配置された永久磁石が第一磁性体突極及び第二磁性体突極を磁化する極性と同じ極性に第一磁性体突極及び第二磁性体突極を磁化する界磁磁石内の磁石要素を第一磁化とし,回転速度を減少させる場合には制御装置により電機子コイルにバッテリーを接続すると共に界磁磁石内の第一磁化の磁極面積を変えるよう界磁磁石を磁化する極性の磁化電流が励磁コイルに供給されて電機子を流れる磁束量を変え,回転エネルギーが発電電力として取り出されると共に制動力が制御される事を特徴とする。
請求項16の発明は,電機子との対向面に於いて磁気的な空隙及び或いは永久磁石を含む離隔部分を介して互いに離隔された第一磁性体突極及び第二磁性体突極を周方向に交互に有する回転子と,円筒状磁気ヨーク及び円筒状磁気ヨークから径方向に延びる磁性体歯及び磁性体歯に巻回された電機子コイルを有する電機子とが径方向に対向して相対的に回転可能に構成された回転電機装置の磁束量制御方法であって,第一磁性体突極及び第二磁性体突極をそれぞれ互いに異なる方向に延伸した第一延長部,第二延長部を有し,さらに第一磁性体突極及び第二磁性体突極をそれぞれ異極に励磁する第一励磁部及び第二励磁部とを有し,励磁部を両端が第一延長部及び第二延長部を磁気的に結合する磁路の一部である励磁磁路部材と,励磁磁路部材を含む第一延長部及び第二延長部間の磁路を二分するよう配置された界磁磁石と,第一延長部及び励磁磁路部材及び界磁磁石及び第二延長部を含む磁路に磁束を発生するよう配置された励磁コイルを有して構成し,界磁磁石の磁化状態を励磁コイルに供給する電流によって不可逆的に変更するよう構成し,界磁磁石の磁化状態を変え,或いは及び励磁コイルに供給する電流を変えて電機子に流れる磁束量を制御する磁束量制御方法である。
本発明によれば,ラジアルギャップ構造の回転電機に於いて,互いに隣接する第一磁性体突極及び第二磁性体突極をそれぞれ一括して励磁する励磁部を有し,励磁部は界磁磁石を有して第一磁性体突極及び第二磁性体突極を互いに異極に磁化する。界磁磁石はスペースに余裕があるので低抗磁力に磁石を用いる事が出来る。さらにそれぞれの励磁部は界磁磁石及び励磁コイルとを有して界磁磁石の磁化状態を励磁コイルにより不可逆的に変えて電機子と鎖交する磁束量を変える。界磁磁石の磁化状態を間歇的に変え,回転電機の出力最適化を図る事が出来るのでエネルギー効率の良い回転電機を実現できる。
第一の実施例による回転電機の縦断面図である。 図1に示された回転電機の電機子及び回転子の断面図である。 回転子の構成を示す斜視図及び強め界磁に於ける磁束の流れる方向を示す。 回転子の構成を示す斜視図及び弱め界磁に於ける磁束の流れる方向を示す。 磁束量制御を行う回転電機システムのブロック図を示す。 第二の実施例による回転電機の縦断面図である。 図6に示された回転電機の電機子及び回転子の断面図である。 励磁部及び回転子の構成を示す斜視図である。 電機子及び回転子の断面図の一部及び磁束の流れを示す。 励磁部の構成を示す縦断面図である。 第三の実施例による回転電機の縦断面図である。 図11に示された回転電機の電機子及び回転子の断面図である。 第四の実施例による回転電機の縦断面図である。 図13に示された回転電機の電機子及び回転子の断面図である。 励磁部及び回転子の構成を示す斜視図である。 電機子及び回転子の断面図の一部及び磁束の流れを示す。 第五の実施例による回転電機システムのブロック図である。
以下に本発明による回転電機システムについて,その実施例及び原理作用等を図面を参照しながら説明する。
本発明による回転電機システムの第一実施例を図1から図5を用いて説明する。第一実施例は,アウターローター構造の回転電機であり,界磁磁石を含む励磁部及び電機子が回転子の内側に配置されている。
図1はアウターローター構造の回転電機に本発明を適用した実施例を示し,相互の関係を説明する為に構成部分の一部に番号を付して示している。ローターハウジング12がベアリング13を介して固定軸11に回動可能に支持されている。固定軸11には回転子支持体1hが固定され,界磁極1c,1f,第一界磁磁石1b,第二界磁磁石1e,第一励磁コイル1d,第二励磁コイル1g,円筒状磁気コア1aが配置され,さらに円筒状磁気ヨーク15,磁性体歯14,電機子コイル16が配置されている。ローターハウジング12の内周面には表面磁極部17,第一延長部18,第二延長部19が配置されている。
表面磁極部17には第一磁性体突極及び第二磁性体突極が周方向に交互に配置され,第一延長部は第一磁性体突極を図1に於いて軸と平行に右方向への延長部を,第二延長部は第二磁性体突極を軸と平行に左方向への延長部をそれぞれ示している。ローターハウジング12及び回転子支持体1hは非磁性体で構成されている。
図2は図1のA−A’に沿う電機子及び回転子の断面図を示し,相互の関係を説明する為に構成部分の一部に番号を付している。固定軸11に回転子支持体1h,その外周に界磁極1f,第二界磁磁石1e,円筒状磁気コア1aが配置され,さらにそれらの外周に円筒状磁気ヨーク15,磁性体歯14,磁性体歯14に巻回された電機子コイル16からなる電機子が配置されている。本実施例では18個の電機子コイル16が配置され,それらは3相に結線されている。
ローターハウジング12の内周側に配置された表面磁極部17は一様な円筒状磁性体基板を周方向に等間隔に配置された永久磁石23によって区分された第一磁性体突極21,第二磁性体突極22から構成されている。さらに隣接する突極である第一磁性体突極21,第二磁性体突極22は互いに異なる方向に磁化されるよう隣接する永久磁石23の磁化方向は互いに反転して構成されている。番号24は軸方向に延びる磁束チャネル部である。第一磁性体突極21,第二磁性体突極22は幅の狭い可飽和磁性体部で連結された構成として所定の型でケイ素鋼板を打ち抜き,積層して構成され,永久磁石23と断面積を同じくするスロットに永久磁石のブロックが挿入され,磁束チャネル部24には断面積を同じくするスロットに軟鉄のブロックを挿入している。
本実施例に於いては,飽和磁束密度の大きな軟鉄で構成した磁束チャネル部24を第一磁性体突極21,第二磁性体突極22内の電機子より遠い側に配置している。第一磁性体突極21,第二磁性体突極22はケイ素鋼板の積層で構成され,積層されたケイ素鋼板の積層方向の磁気抵抗は大きいが,磁束チャネル部24は励磁部からの磁束を軸方向に流れやすくする為に配置されている。
図3,図4は回転子の構成を示す分解斜視図である。理解を容易にする為にローターハウジング12を除き,第一磁性体突極21,第二磁性体突極22等を有する中心部と第一延長部18,第二延長部19とを離して示してある。第一延長部18は軟鉄をプレス成形して第一磁性体突極21の延長部分となる磁性体突部34を有して構成され,非磁性体部36は磁性を持たないステンレススチールで形成されている。界磁極1cと対向する部分は番号35で示されるように円板状として界磁極1cと第一延長部18間の磁気抵抗が小になるよう構成されている。第二延長部19は軟鉄をプレス成形して第二磁性体突極22の延長部分となる磁性体突部31を有して構成され,非磁性体部33は磁性を持たないステンレススチールで形成されている。界磁極1fと対向する部分は番号32で示されるように円板状として界磁極1fと第二延長部19間の磁気抵抗が小になるよう構成されている。
図1に示されるように第一磁性体突極21の延長部分である第一延長部18は微小間隙を介して界磁極1cと対向し,界磁極1cと円筒状磁気コア1aとの間に第一界磁磁石1bが配置されている。第一励磁コイル1dは界磁極1c及び固定軸11を周回するよう巻回され,第一磁性体突極21,第一延長部18,界磁極1c,第一界磁磁石1b,円筒状磁気コア1a,円筒状磁気ヨーク15,磁性体歯14を含む磁路に磁束を発生するよう配置されている。界磁極1cは第一励磁磁路部材に相当し,界磁極1c,第一界磁磁石1b,第一励磁コイル1dが第一励磁部の主要部分を構成している。
第二磁性体突極22の延長部分である第二延長部19は微小間隙を介して界磁極1fと対向し,界磁極1fと円筒状磁気コア1aとの間には第二界磁磁石1eが配置されている。第二励磁コイル1gは界磁極1f及び固定軸11を周回するよう巻回され,第二磁性体突極22,第二延長部19,界磁極1f,第二界磁磁石1e,円筒状磁気コア1a,円筒状磁気ヨーク15,磁性体歯14を含む磁路に磁束を発生するよう配置されている。界磁極1fは第二励磁磁路部材に相当し,界磁極1f,第二界磁磁石1e,第二励磁コイル1gが第二励磁部の主要部分を構成している。
軸方向及び径方向に磁束が流れやすいよう界磁極1c,1f,円筒状磁気コア1aは軟鉄で構成されている。他に圧粉鉄心等の等方性磁性体を使用する事が出来る。円筒状磁気コア1aは磁性体歯14及び円筒状磁気ヨーク15がケイ素鋼板を積層して形成された場合に軸方向に磁束が流れやすくする為に配置され,円筒状磁気ヨーク15を圧粉鉄心で構成する場合には円筒状磁気コア1aを不要に出来る。
図2に示されるように永久磁石23により第一磁性体突極21はN極に,第二磁性体突極22はS極に磁化されている。また,図1に於いて,第一界磁磁石1bの磁化方向が内径方向であり,第二界磁磁石1eの磁化方向が外径方向である。第一界磁磁石1bにより第一延長部18及び第一磁性体突極21がN極に,第二界磁磁石1eにより第二延長部19及び第二磁性体突極22がS極に励磁されている。第一磁性体突極21と磁性体歯14間,第二磁性体突極22と磁性体歯14間を流れる磁束量が第一界磁磁石1b,第二界磁磁石1eにより増大される場合であり,強め界磁となる。したがって,第一界磁磁石1bでは内径方向の磁化が第一磁化に,第二界磁磁石1eでは外径方向の磁化が第一磁化にそれぞれ相当している。
永久磁石23の一方の磁極から流れ出た磁束は第一磁性体突極21,磁性体歯14,円筒状磁気ヨーク15,隣接する磁性体歯14,第二磁性体突極22を介して永久磁石23の他方の磁極に環流する。第一界磁磁石1bからの磁束は界磁極1c,第一延長部18,第一磁性体突極21,磁性体歯14,円筒状磁気ヨーク15,円筒状磁気コア1aを介して第一界磁磁石1bに環流する。図3に示す番号37は第一延長部18から第一磁性体突極21に流れる磁束を示している。同様に第二界磁磁石1eからの磁束は円筒状磁気コア1a,円筒状磁気ヨーク15,磁性体歯14,第二磁性体突極22,第二延長部19,界磁極1fを介して第二界磁磁石1eに環流する。図3に示す番号38は第二磁性体突極22から第二延長部19に流れる磁束を示している。
永久磁石23には複数の磁路が並列に接続されている。第一の磁路は第一磁性体突極21,磁性体歯14,円筒状磁気ヨーク15,第二磁性体突極22を介して環流する磁路である。第二の磁路は第一磁性体突極21,第一延長部18,第一界磁磁石1b,円筒状磁気コア1a,磁性体歯14,第二磁性体突極22を介する磁路であり,第三の磁路は第二磁性体突極22,第二延長部19,第二界磁磁石1e円筒状磁気コア1a,磁性体歯14,第一磁性体突極21を介する磁路である。本実施例では第一の磁路の磁気抵抗を第二,第三の磁路の磁気抵抗より小に設定して永久磁石23からの磁束の大部分が第一の磁路を流れるよう設定されている。すなわち,電機子及び回転子間の間隙長を約0.5ミリメートルとし,第一界磁磁石1b及び第二界磁磁石1eの径方向厚みを数ミリメートルと十分に大と設定しているので永久磁石23からの磁束が第二,第三の磁路を介して流れる量は少ない。
さらに磁束37及び磁束38の流れる方向と永久磁石23の磁化方向は逆であるので磁束37及び磁束38が永久磁石23を介して短絡され難いが,漏洩的に流れる可能性はある。この場合に磁束は第一界磁磁石1bから界磁極1c,第一延長部18,第一磁性体突極21,永久磁石23,第二磁性体突極22,第二延長部19,界磁極1f,第二界磁磁石1e,円筒状磁気コア1aを介して流れる。界磁極1c,第一延長部18間,第二延長部19,界磁極1f間は対向面積が十分に大と出来るのでこれらの部分の磁気抵抗を無視すると,磁気抵抗が大となるのは永久磁石23であり,永久磁石23の両端には第一界磁磁石1bと第二界磁磁石1eが直列に接続した磁気ポテンシャルが現れる。
一方,第一界磁磁石1b,界磁極1c,第一延長部18,第一磁性体突極21,磁性体歯14,円筒状磁気ヨーク15,円筒状磁気コア1aを含む磁路で磁気抵抗が大となる部分は第一磁性体突極21,磁性体歯14間の間隙であり,間隙両端には第一界磁磁石1bによる磁気ポテンシャルが現れる。同様に第二界磁磁石1e,界磁極1f,第二延長部19,第二磁性体突極22,磁性体歯14,円筒状磁気ヨーク15,円筒状磁気コア1aを含む磁路で磁気抵抗が大となる部分は第二磁性体突極22,磁性体歯14間の間隙であり,間隙両端には第二界磁磁石1eによる磁気ポテンシャルが現れる。本実施例に於いて,永久磁石23を空隙と見なして算出された磁気抵抗は磁性体歯14と第一磁性体突極22との微小間隙に於ける磁気抵抗及び磁性体歯14と第二磁性体突極22との微小間隙に於ける磁気抵抗の和より大となるよう永久磁石23の磁極面積と磁化方向長さとが設定されているので第一界磁磁石1b及び第二界磁磁石1eからの磁束の大部分は磁性体歯14を介して流れる。
弱め界磁は図1に示した状態とは逆に第一界磁磁石1cの磁化方向が外径方向に,第二界磁磁石1eの磁化方向が内径方向に設定された場合であって,更に図2及び図4を用いて説明される。第一界磁磁石1cの磁化方向が外径方向,第二界磁磁石1eの磁化方向が内径方向である場合,第二界磁磁石1eからの磁束は界磁極1f,第二延長部19,第二磁性体突極22,永久磁石23,第一磁性体突極21,第一延長部18,界磁極1c,第一界磁磁石1b,円筒状磁気コア1aを介して流れる。図4に於ける番号41,42は磁束の流れを示し,永久磁石23は番号41,42で示される磁束の磁路の一部となる。
この場合に永久磁石23からの磁束が第一磁性体突極21から磁性体歯14へ流れる方向と,第一界磁磁石1bからの磁束が第一磁性体突極21から磁性体歯14へ流れる方向とが互いに逆方向であって互いに相殺される場合と考える事も出来る。第一磁性体突極21から磁性体歯14へ流れる磁束量,磁性体歯14から第二磁性体突極22へ流れる磁束量は減少し,電機子コイル16と鎖交する磁束量は減少する事になる。
第一界磁磁石1b,第二界磁磁石1eそれぞれの磁化方向を第一励磁コイル1d,第二励磁コイル1gに供給される磁化電流により変える事で電機子コイル16と鎖交する磁束量が制御される事を説明した。以下に第一界磁磁石1b,第二界磁磁石1eそれぞれの磁化方向を変えるステップを説明する。
第一界磁磁石1bの磁化を第一磁化に変える場合,磁束が第一界磁磁石1b,界磁極1c,第一延長部18,第一磁性体突極21,磁性体歯14,円筒状磁気ヨーク15,円筒状磁気コア1aに沿って流れるよう第一励磁コイル1dに磁化電流を供給し,第一界磁磁石1bを内径方向に磁化する。第二界磁磁石1eの磁化を第一磁化に変える場合,磁束が第二界磁磁石1e,円筒状磁気コア1a,円筒状磁気ヨーク15,磁性体歯14,第二磁性体突極22,第二延長部19,界磁極1fに沿って流れるよう第二励磁コイル1gに磁化電流を供給し,第二界磁磁石1eを外径方向に磁化する。
第一励磁コイル1d,第二励磁コイル1gが発生する磁束は図3に番号37,38として示すように永久磁石23を逆方向に磁化するよう流れるが,永久磁石23にはネオジウム磁石が配置されて抗磁力は十分に大であるのでその磁化は影響を受けず,さらに永久磁石23の磁化方向長さは電機子と回転子間の空隙長より十分に大に設定されているので第一励磁コイル1d,第二励磁コイル1gが発生する磁束は磁気抵抗が小さい回転子,電機子間の空隙を介して流れて第一界磁磁石1b,第二界磁磁石1eを磁化する。
第一界磁磁石1bの磁化を第二磁化に変える場合,磁束が第一界磁磁石1b,円筒状磁気コア1a,円筒状磁気ヨーク15,磁性体歯14,第一磁性体突極21,第一延長部18,界磁極1cに沿って流れるよう第一励磁コイル1dに磁化電流を供給し,第一界磁磁石1bを外径方向に磁化する。第二界磁磁石1eの磁化を第二磁化に変える場合,磁束が第二界磁磁石1e,界磁極1f,第二延長部19,第二磁性体突極22,磁性体歯14,円筒状磁気ヨーク15,円筒状磁気コア1aに沿って流れるよう第二励磁コイル1gに磁化電流を供給し,第二界磁磁石1eを内径方向に磁化する。
第一励磁コイル1d,第二励磁コイル1gが発生する磁束は図4に番号41,42として示すように永久磁石23の磁化方向に沿って流れるので上記の経路に加えて第一界磁磁石1b,円筒状磁気コア1a,第二界磁磁石1e,界磁極1f,第二延長部19,第二磁性体突極22,永久磁石23,第一磁性体突極21,第一延長部18,界磁極1cに沿っても流れ,第一界磁磁石1bを外径方向に磁化し,第二界磁磁石1eを内径方向に磁化する。
第一界磁磁石1b,第二界磁磁石1eの磁化状態は離散的に変えられるが,本実施例ではさらに第一界磁磁石1b,第二界磁磁石1eの磁化状態を変更させない程度の磁束調整電流を第一励磁コイル1d,第二励磁コイル1gに供給して磁束を発生させ,第一界磁磁石1b,第二界磁磁石1e及び永久磁石23による磁束に重畳させて電機子を流れる磁束量を制御する。
図5は磁束量制御を行う回転電機システムのブロック図を示している。図5に於いて,回転電機51は入力52,出力53を有するとし,制御装置55は回転電機51の出力53及び回転子の位置,温度等を含む状態信号54を入力として制御信号56を介して磁束量を制御する。番号57は電機子コイル16に駆動電流を供給する駆動回路を示す。回転電機51が発電機として用いられるのであれば,入力52は回転力であり,出力53は発電電力となる。回転電機51が電動機として用いられるのであれば,入力52は駆動回路57から電機子コイル16に供給される駆動電流であり,出力53は回転トルク,回転速度となる。制御信号56は切換スイッチ58,磁化制御回路5a,磁束調整回路59を制御し,界磁磁石の磁化状態を変更させる場合には切換スイッチ58により磁化制御回路5aを接続して第一励磁コイル1d,第二励磁コイル1gに磁化状態変更の為の磁化電流を供給し,磁束量の微調整を行う場合には切換スイッチ58により磁束調整回路59を接続して磁束調整電流を第一励磁コイル1d,第二励磁コイル1gに供給する。
本発明では同種の極性に励磁される磁性体突極グループ毎に一括して励磁する励磁部を有して励磁部内に界磁磁石及び励磁コイルを含む構成である。励磁部を電機子と回転子で構成する空間から離れた位置に配置できる特徴があり,電機子コイルの発生する磁界の影響を直接には受けない事,スペースに余裕がある事から界磁磁石の素材及び形状寸法には選択の自由度がある。
電機子に対向する回転子表面或いは磁極内には電機子コイルの作る磁界によって容易に非可逆減磁を生じないネオジウム磁石(NdFeB)が望ましいが,上記説明のように励磁部には電機子コイル16が誘起する駆動磁束は到達し難いので界磁磁石として低抗磁力の磁石,例えば十分な磁化方向長さを有するアルニコ磁石(AlNiCo),フェライト磁石を使用する事が出来る。ネオジウム磁石(NdFeB)では着磁に必要な磁界強度が2400kA/m(キロアンペア/メートル)程度であり,アルニコ磁石(AlNiCo)の着磁に必要な磁界強度は240kA/m程度である。他に低抗磁力永久磁石としてFeCrCo磁石も利用できる。
電機子を流れる磁束量はこのように第一励磁コイル1d,第二励磁コイル1gに供給する磁化電流の振幅及び極性を変えて界磁磁石の磁化状態を変える事で制御される。電機子を流れる磁束量と第一励磁コイル1d,第二励磁コイル1gに供給する磁化電流との関係は設計段階でマップデータとして設定する。しかし,回転電機の量産段階では部材の寸法が公差範囲内でバラツキ,磁性体の磁気特性のバラツキも存在して電機子を流れる磁束量の精密な制御が困難になる場合がある。そのような場合には回転電機を組み立て後に回転電機個々に電機子を流れる磁束量と第一励磁コイル1d,第二励磁コイル1gに供給する磁化電流との関係を検査し,前記マップデータを修正する。
さらに磁性体の特性は温度による影響を受けやすく,経時変化による影響も懸念される場合には運転中に加えられる磁化電流とその結果としての界磁磁石の磁化状態を監視し,回転電機の運転中に前記マップデータを修正する情報を学習的に取得する事も出来る。電機子を流れる磁束量を直接に把握する事は難しいが,電機子コイル16に現れる誘起電圧を参照して電機子を流れる磁束量を推定できる。
例えば,電機子コイル16に現れる誘起電圧の振幅は電機子コイル16と鎖交する磁束量及び回転速度にほぼ比例する。界磁磁石を第一磁化或いは第二磁化とするよう第一励磁コイル1d,第二励磁コイル1gに磁化電流を加えた結果として誘起電圧の振幅の変化量が目標値より小の場合は同一条件に於ける磁化電流の振幅を大にするよう磁化電流に係わるパラメータを修正する。
以上,図1から図5に示した回転電機に於いて,第一界磁磁石1b,第二界磁磁石1eの磁化状態を変える事で電機子に流れる磁束量を制御できることを説明した。本実施例は電機子を流れる磁束量を制御して出力を最適化するシステムであり,図5を用いて回転電機システムとしての制御を説明する。
回転電機が電動機として用いられる場合に於いて,磁束量制御を行って回転力を最適に制御する。但し,電機子を流れる磁束量を増やす極性の磁束調整電流を正としている。制御装置55は出力53である回転速度が所定の値より大となり電機子に流れる磁束量を小とする時には磁束調整回路59により第一励磁コイル1d,第二励磁コイル1gに供給する磁束調整電流を減じて電機子に流れる磁束量を小とし,磁束調整電流が予め定めた値より小である場合には第一界磁磁石1b及び第二界磁磁石1eを第二磁化に磁化変更する方向の磁化電流が磁化制御回路5aから第一励磁コイル1d,第二励磁コイル1gに供給されて電機子を流れる磁束量を小とする。
出力53である回転速度が所定の値より小となり電機子に流れる磁束量を大とする時には磁束調整回路59により第一励磁コイル1d,第二励磁コイル1gに供給する磁束調整電流を増して電機子に流れる磁束量を大とし,磁束調整電流が予め定めた値より大である場合には第一界磁磁石1b及び第二界磁磁石1eを第一磁化に磁化変更する方向の磁化電流を磁化制御回路5aから第一励磁コイル1d,第二励磁コイル1gに供給して電機子を流れる磁束量を大とする。
上記説明に於いて,界磁制御の為に磁束調整電流を流したが,磁束調整電流は第一界磁磁石1b,第二界磁磁石1eの各磁化状態に於ける微調整用であって大きな電流ではないのでエネルギー効率を大きく損なう事はない。また,磁束調整電流による界磁の微調整をする事無く,第一界磁磁石1b,第二界磁磁石1eの各磁化状態に於いて駆動電流の位相制御により弱め界磁を付加する事も可能である。その場合でも界磁の微調整であるのでエネルギー効率を大きく損なう事はない。
回転電機が発電機として用いられる場合において,磁束量制御を行って発電電圧を所定の電圧となるよう制御する定電圧発電システムを説明する。但し,電機子を流れる磁束量を増やす極性の磁束調整電流を正としている。
制御装置55は出力53である発電電圧が所定の値より大となり電機子に流れる磁束量を小とする時には磁束調整回路59により第一励磁コイル1d,第二励磁コイル1gに供給する磁束調整電流を減じて電機子に流れる磁束量を小とし,磁束調整電流が予め定めた値より小である場合には第一界磁磁石1b及び第二界磁磁石1eを第二磁化に磁化変更する方向の磁化電流が磁化制御回路5aから第一励磁コイル1d,第二励磁コイル1gに供給されて電機子を流れる磁束量を小とする。
制御装置55は出力53である発電電圧が所定の値より小となり電機子に流れる磁束量を大とする時には磁束調整回路59により第一励磁コイル1d,第二励磁コイル1gに供給する磁束調整電流を増して電機子に流れる磁束量を大とし,磁束調整電流が予め定めた値より大である場合には第一界磁磁石1b及び第二界磁磁石1eを第一磁化に磁化変更する方向の磁化電流を磁化制御回路5aから第一励磁コイル1d,第二励磁コイル1gに供給して電機子を流れる磁束量を大とする。
本実施例では界磁磁石の磁化変更をする為の磁束は電機子コイルと鎖交し,電機子コイルに電圧を誘起させる。可能な限り時間変化の緩やかな波形を持つ磁化電流により電機子コイルに現れる電圧振幅は小さく抑える事が出来る。そのような電流波形は低周波数側に周波数スペクトラムが集中する波形と同義であり,例えば,励磁コイルに供給する電流波形としてレイズドコサインパルス,ガウシアンパルス等は電機子コイルに現れる電圧振幅を抑える為に有効である。
本発明による回転電機システムの第二実施例を図6から図10を用いて説明する。第二実施例は,インナーローター構造の回転電機であり,界磁磁石を含む励磁部が回転子両端のハウジング側に配置されている。
図6はラジアルギャップ構造の回転電機に本発明を適用した実施例を示し,相互の関係を説明する為に構成部分の一部に番号を付して示している。回転軸61がベアリング63を介してハウジング62に回動可能に支持されている。磁性体で構成されたハウジング62には円筒状磁気ヨーク65が固定され,円筒状磁気ヨーク65から径方向に延びる磁性体歯64及び電機子コイル66が配置されている。
磁性体歯64と径方向に対向する回転子は,回転軸61に固定された回転子支持体6aの外周に表面磁極部67を有し,表面磁極部67を構成する第一磁性体突極及び第二磁性体突極が周方向に交互に配置され,更に第一磁性体突極が軸と平行の右方向に延伸された第一延長部68,第二磁性体突極が軸と平行の左方向に延伸された第二延長部69を有する。
第一延長部68と微小間隙を介して界磁極6dがハウジング62内側に配置され,界磁極6dとハウジング62間に第一界磁磁石6bが配置され,更に第一励磁コイル6cが円筒状磁気ヨーク65,磁性体歯64,第一磁性体突極,第一延長部68,界磁極6d,第一界磁磁石6b,ハウジング62を含む磁路に磁束を発生するよう配置されて第一励磁部が構成されている。第二延長部69と微小間隙を介して界磁極6gがハウジング62内側に配置され,界磁極6gとハウジング62間に第二界磁磁石6eが配置され,第二励磁コイル6fが円筒状磁気ヨーク65,磁性体歯64,第二磁性体突極,第二延長部69,界磁極6g,第二界磁磁石6e,ハウジング62を含む磁路に磁束を発生するよう配置されて第二励磁部が構成されている。第一励磁部及び第二励磁部は同じ構成であり,第一磁性体突極及び第二磁性体突極を互いに異なる極性に磁化するよう第一励磁コイル6c,第二励磁コイル6fが結線されている。本実施例に於いて,ハウジング62,界磁極6dが第一励磁磁路部材に相当し,ハウジング62,界磁極6gが第二励磁磁路部材に相当している。
図7は図6のB−B’に沿う電機子及び回転子の断面図を示し,相互の関係を説明する為に構成部分の一部に番号を付している。電機子はハウジング62に固定された円筒状磁気ヨーク65と,円筒状磁気ヨーク65から径方向に延びる複数の磁性体歯64と,磁性体歯64に巻回された電機子コイル66とから構成されている。径方向に短い可飽和磁性体結合部78が隣接する磁性体歯64先端部間に配置されている。磁性体歯64及び可飽和磁性体結合部78はケイ素鋼板を型で打ち抜いて積層され,電機子コイル66を巻回された後,圧粉鉄心で構成された円筒状磁気ヨーク65と組み合わせて電機子が構成されている。
可飽和磁性体結合部78は隣接する磁性体歯64同士を機械的に連結させて磁性体歯64の支持強度を向上させ,磁性体歯64の不要な振動を抑制させる。可飽和磁性体結合部78の径方向の長さは短く設定して容易に磁気的に飽和する形状としたので電機子コイル66が発生させる磁束或いは永久磁石からの磁束によって容易に飽和し,その場合に電機子コイル66が発生させる磁束及び磁束の短絡を僅かな量とする。電機子コイル66に電流が供給されると,時間と共に可飽和磁性体結合部78は磁気的に飽和させられて周辺に磁束を漏洩させるが,磁気飽和した可飽和磁性体結合部78に現れる実効的な磁気空隙の境界はクリアではないので漏洩する磁束の分布は緩やかとなり,可飽和磁性体結合部78はこの点でも磁性体歯64に加わる力の時間変化を緩やかにして振動抑制に寄与する。
表面磁極部67は円筒状磁性体基板が集合磁石により周方向に区分された構成である。中間磁性体突極73の両側面にほぼ同じ磁化方向の磁石板75,76が配置された組み合わせは磁気的には磁石と等価な集合磁石であり,回転子の表面磁極部67は一様な円筒状磁性体基板を周方向に等間隔に配置された集合磁石によって区分された第一磁性体突極71,第二磁性体突極72及び集合磁石とから構成されている。さらに隣接する突極である第一磁性体突極71,第二磁性体突極72は互いに異なる方向に磁化されるよう隣接する集合磁石の磁化方向は互いに反転して構成されている。
第一磁性体突極71,第二磁性体突極72それぞれの周方向両側面に配置された磁石板はV字状の配置であり,磁石板の交差角度は磁束バリアに好適な角度に設定する。磁石板74,75,76,77に付された矢印は磁石板74,75,76,77の板面にほぼ直交する磁化方向を示す。中間磁性体突極73の電機子と対向する側には非磁性体が配置されて磁性体歯64と中間磁性体突極73との間で磁束が流れ難いよう構成されている。
図8は回転子の構成及び励磁部の配置を示す分解斜視図である。理解を容易にする為に第一磁性体突極71,第二磁性体突極72等を有する中心部と第一延長部68,第二延長部69とを離し,電機子及びハウジング62を除いて示されている。第一延長部68は軟鉄をプレス成形して第一磁性体突極71の延長部分となる磁性体突部83を有して構成され,非磁性体部84は磁性を持たないステンレススチールで形成されている。第二延長部69は軟鉄をプレス成形して第二磁性体突極72の延長部分となる磁性体突部81を有して構成され,非磁性体部82は磁性を持たないステンレススチールで形成されている。第一延長部68,第二延長部69にはそれぞれ界磁極6d,6gと微小間隙を介して対向するが,図8では界磁極6dは示されていない。更に第一励磁コイル6c,第二励磁コイル6f及び第一界磁磁石6bが示されている。番号85は第一延長部68の円板状部分を示し,界磁極6dと対向している。
図9は電機子及び回転子の拡大された断面の一部を示す図である。図9(a)により強め界磁に於ける磁束の流れ,図9(b)により弱め界磁に於ける磁束の流れを説明する。図6に示した構成により第一励磁コイル6c,第一界磁磁石6bが発生させる磁束は円筒状磁気ヨーク65,磁性体歯64,第一磁性体突極71,第一延長部68,界磁極6d,ハウジング62を含む磁路を流れるよう構成され,第二励磁コイル6f,第二界磁磁石6eが発生させる磁束は円筒状磁気ヨーク65,磁性体歯64,第二磁性体突極72,第二延長部69,界磁極6g,ハウジング62を含む磁路を流れるよう構成されている。
図9(a)に於いて,番号92は磁石板74,75,76,77からの磁束を代表して示し,主として回転子の表面磁極部77及び電機子内を流れる。例えば,磁石板75からの磁束は中間磁性体突極73,磁石板76,第二磁性体突極72,磁性体歯64,円筒状磁気ヨーク75,隣接する磁性体歯74,第一磁性体突極71を介して磁石板75に環流する。磁石板74,75,76,77によって第一磁性体突極71はS極に,第二磁性体突極72はN極にそれぞれ磁化されている。
図6に示す第一界磁磁石6b,第二界磁磁石6eはそれぞれの逆方向の磁化を持つ磁石要素の並列接続であるので界磁磁石内で閉磁路が構成されて外部に磁束を供給していない。しかし,第一界磁磁石6b,第二界磁磁石6eの磁石要素が全て軸と平行に右方向の磁化を有する場合は,第一界磁磁石6bが第一延長部68及び第一磁性体突極71をS極に磁化し,第二界磁磁石6eが第二延長部69及び第二磁性体突極72をN極に磁化して強め界磁に相当する。その場合,第一界磁磁石6bからの磁束はハウジング62,円筒状磁気ヨーク65,磁性体歯64,第一磁性体突極71,第一延長部68,界磁極6dを介して第一界磁磁石6bに環流する。第二界磁磁石6eからの磁束は界磁極6g,第二延長部69,第二磁性体突極72,磁性体歯64,円筒状磁気ヨーク65,ハウジング62を介して第二界磁磁石6eに環流する。
図9(a)に於いて,番号95は円筒状磁気ヨーク65から磁性体歯64を介して第一磁性体突極71に流れる磁束を示し,番号93は第一磁性体突極71から第一延長部68方向に流れる磁束を示している。番号94は第二延長部69から第二磁性体突極72に流れる磁束を示し,番号96は第二磁性体突極72から磁性体歯64を介して円筒状磁気ヨーク65に流れる磁束を示している。磁束95,96は磁性体歯64内で磁束92と同じ方向に流れ,電機子コイル66と鎖交する磁束量を磁束92単独の場合に比して大となる。番号91は磁性体歯64と中間磁性体突極73間を磁束が流れないように配置された非磁性体を示す。
さらに第一界磁磁石6b,第二界磁磁石6eの磁石要素が全て軸と平行に左方向の磁化を有する場合は,第一界磁磁石6bが第一延長部68及び第一磁性体突極71をN極に磁化し,第二界磁磁石6eが第二延長部69及び第二磁性体突極72をS極に磁化して弱め界磁に相当する。その場合,第一界磁磁石6b及び第二界磁磁石6eからの磁束は図9(a)に示した磁束95,96と逆方向に磁性体歯64中を流れて電機子コイル66と鎖交する磁束量を減少させる。また,第一磁性体突極71はN極に磁化され,第二磁性体突極72はS極に磁化されるので第一界磁磁石6b及び第二界磁磁石6eからの磁束の一部は磁石板75,中間磁性体突極73,磁石板76を介して第二磁性体突極72に流れる。
すなわち,図9(b)に示すように第一界磁磁石6bからの磁束の一部は界磁極6d,第一延長部68,第一磁性体突極71,磁石板75,中間磁性体突極73,磁石板76,第二磁性体突極72,第二延長部69,界磁極6g,第二界磁磁石6e,ハウジング62を介して第一界磁磁石6bに環流する。番号99,9aは上記経路に沿って流れる磁束を示し,番号97は第一延長部68から第一磁性体突極71方向に流れる磁束を示し,番号98は第二磁性体突極72から第二延長部69方向に流れる磁束を示し,番号9bはハウジング62内を軸と平行に右方向に流れる磁束を示している。
図9(b)は第一界磁磁石6b,第二界磁磁石6e,磁石板75,76が完全な閉磁路を構成して磁性体歯64内に流れる磁束が存在しない極端な場合を示しているが,磁性体歯64内を流れる磁束の量は第一界磁磁石6b及び第二界磁磁石6eからそれぞれ第一磁性体突極71,第二磁性体突極72に供給される磁束の量によって変化する。上記説明のように第一界磁磁石6bが第一磁性体突極71をS極に磁化し,第二界磁磁石6eが第二磁性体突極72をN極に磁化する場合が強め界磁となる。したがって,第一界磁磁石6b,第二界磁磁石6eでは軸と平行に右方向の磁化が第一磁化に相当し,軸と平行に左方向の磁化が第二磁化に相当する。
図6及び図10を用いて第一及び第二励磁部の構成及び動作原理を説明する。図10は図6に示した第一励磁部の縦断面の上半分を拡大して示している。第一界磁磁石6bは抗磁力の異なる2種の磁石要素101,102により構成され,図10では抗磁力が大の磁石要素101,抗磁力が小の磁石要素102が界磁極6dとハウジング62間に配置されている。磁石要素101,102はそれぞれの残留磁束密度と磁極面積の積が互いに等しくなるよう設定されている。第二励磁部の構成は第一励磁部と同じである。
第一界磁磁石6b,第二界磁磁石6eそれぞれの磁化方向を変えて電機子コイル66と鎖交する磁束量が制御される事を説明した。以下に第一界磁磁石6b,第二界磁磁石6eそれぞれに於いて第一磁化或いは第二磁化に属する磁石要素数を第一励磁コイル6c,第二励磁コイル6fにより変えるステップを説明する。第一界磁磁石6b,第二界磁磁石6eは同一の構成であるので第一界磁磁石6bを構成する磁石要素101,102の磁化を変更するステップを説明する。
第一界磁磁石6bを構成する磁石要素101,102は界磁極6d,ハウジング62間に配置されて互いに並列接続された状態であり,第一励磁コイル6cに磁化電流が供給されると,界磁極6d,ハウジング62間の磁気ポテンシャル差(起磁力)は周方向にほぼ同じであり,各磁石要素内では磁気ポテンシャル差を厚みで除した値に相当する磁界強度の磁界が加えられる。したがって,抗磁力が小の磁石要素102が磁化されやすく,抗磁力が大の磁石要素101は磁化され難い。磁化電流の振幅により磁石要素102のみ,或いは磁石要素101,102の磁化状態を共に変更できる。
図10に示す状態では磁石要素101が第一磁化,磁石要素102が第二磁化に相当している。互いに逆方向の磁化を持つ磁石要素101と磁石要素102が閉磁路を形成して外部には磁束が流れていない状態である。同図に於いて,磁石要素102の磁化を第一磁化に変更する場合,ハウジング62,円筒状磁気ヨーク65,磁性体歯64,第一磁性体突極71,第一延長部68,界磁極6d,第一界磁磁石6b(磁石要素101,102)に沿って磁束が流れる方向の磁化電流を第一励磁コイル6cに供給し,磁石要素102を第一磁化に変更する。磁化電流の振幅は磁石要素102の磁化方向を反転させるに十分な大きさに設定する。
更に磁石要素101,磁石要素102が第一磁化に相当している状態から図10に示す状態に変更する場合は,第一界磁磁石6b(磁石要素101,102),界磁極6d,第一延長部68,第一磁性体突極71,磁性体歯64,円筒状磁気ヨーク65,ハウジング62に沿って磁束が流れる方向の磁化電流を第一励磁コイル6cに供給し,磁石要素102を第二磁化に変更する。その際の磁化電流の振幅は磁石要素102のみの磁化方向を反転させ,磁石要素101の磁化に影響を与えない大きさとする。
図10に示す状態から磁石要素101の磁化を第二磁化に変更する場合,第一界磁磁石6b,界磁極6d,第一延長部68,第一磁性体突極71,磁性体歯64,円筒状磁気ヨーク65,ハウジング62に沿って磁束が流れるよう第一励磁コイル6cに磁化電流を供給し,磁石要素101を第二磁化に変更する。磁化電流の振幅は磁石要素101の磁化方向を反転させるに十分な大きさに設定する。この場合,第一励磁コイル6cにより誘起される磁束は第一界磁磁石6b,界磁極6d,第一延長部68,第一磁性体突極71,磁石板75,中間磁性体突極73,磁石板76,第二磁性体突極72,第二延長部69,界磁極6g,第二界磁磁石6e,ハウジング62に沿っても流れるが,磁石要素101の磁化を第二磁化に変更するのに支障はない。
上記のように磁石要素101,102を第二磁化に磁化変更する場合,磁石板75,76,第一界磁磁石6b,第二界磁磁石6eを直列に含む磁路に磁束が流れる可能性がある。その場合に上記磁石板及び界磁磁石にはそれぞれ等しい磁界強度が印可される。したがって,磁石要素101,102の抗磁力を磁石板75,76の抗磁力より小に設定して第一励磁コイル6c,第二励磁コイル6fによって磁石要素101,102の磁化が変更されるよう設定する必要がある。本実施例では磁石要素101,102の抗磁力を磁石板75,76の抗磁力の2分の1以下に設定し,その範囲内で磁石要素は互いに異なる抗磁力となるよう設定されている。
本実施例に於いて,界磁磁石の磁化状態は離散的に変えられるが,本実施例ではさらに界磁磁石の磁化状態を変更させない程度の磁束調整電流を第一励磁コイル6c,第二励磁コイル6fに供給して磁束を発生させ,第一界磁磁石6b,第二界磁磁石6e及び磁石板74,75,76,77による磁束に重畳させて電機子を流れる磁束量を制御する。
図5は磁束量制御を行う回転電機システムのブロック図を示している。図5に於いて,回転電機51は入力52,出力53を有するとし,制御装置55は回転電機51の出力53及び回転子の位置,温度等を含む状態信号54を入力として制御信号56を介して磁束量を制御する。番号57は電機子コイル66に駆動電流を供給する駆動回路を示す。回転電機51が発電機として用いられるのであれば,入力52は回転力であり,出力53は発電電力となる。回転電機51が電動機として用いられるのであれば,入力52は駆動回路57から電機子コイル66に供給される駆動電流であり,出力53は回転トルク,回転速度となる。制御信号56は切換スイッチ58,磁化制御回路5a,磁束調整回路59を制御し,界磁磁石の磁化状態を変更させる場合には切換スイッチ58により磁化制御回路5aを接続して第一励磁コイル6c,第二励磁コイル6fに磁化状態変更の為の磁化電流を供給し,磁束量の微調整を行う場合には切換スイッチ58により磁束調整回路59を接続して磁束調整電流を第一励磁コイル6c,第二励磁コイル6fに供給する。
電機子を流れる磁束量はこのように第一励磁コイル6c,第二励磁コイル6fに供給する磁化電流の振幅及び極性を変えて界磁磁石の磁化状態を変える事で制御される。電機子を流れる磁束量と第一励磁コイル6c,第二励磁コイル6fに供給する磁化電流との関係は設計段階でマップデータとして設定する。しかし,回転電機の量産段階では部材の寸法が公差範囲内でバラツキ,磁性体の磁気特性のバラツキも存在して電機子を流れる磁束量の精密な制御が困難になる場合がある。そのような場合には回転電機を組み立て後に回転電機個々に電機子を流れる磁束量と第一励磁コイル6c,第二励磁コイル6fに供給する磁化電流との関係を検査し,前記マップデータを修正する。
さらに磁性体の特性は温度による影響を受けやすく,経時変化による影響も懸念される場合には運転中に加えられる磁化電流とその結果としての界磁磁石の磁化状態を監視し,回転電機の運転中に前記マップデータを修正する情報を学習的に取得する事も出来る。電機子を流れる磁束量を直接に把握する事は難しいが,電機子コイル66に現れる誘起電圧を参照して電機子を流れる磁束量を推定できる。
例えば,電機子コイル66に現れる誘起電圧の振幅は電機子コイル66と鎖交する磁束量及び回転速度にほぼ比例する。界磁磁石内の第一磁化である磁石要素の数を増やすよう第一励磁コイル6c,第二励磁コイル6fに磁化電流を加えた結果として誘起電圧の振幅の変化量が目標値より小の場合は同一条件に於ける磁化電流の振幅を大に,誘起電圧の振幅の変化量が目標値より大の場合は同一条件に於ける磁化電流の振幅を小にするよう磁化電流に係わるパラメータを修正する。
以上,図6から図10に示した回転電機に於いて,界磁磁石の磁化状態を変える事で電機子に流れる磁束量を制御できることを説明した。本実施例は電機子を流れる磁束量を制御して出力を最適化するシステムであり,図5を用いて回転電機システムとしての制御を説明する。
回転電機が電動機として用いられる場合に於いて,磁束量制御を行って回転力を最適に制御する。但し,電機子を流れる磁束量を増やす極性の磁束調整電流を正としている。制御装置55は出力53である回転速度が所定の値より大となり電機子に流れる磁束量を小とする時には磁束調整回路59により第一励磁コイル6c,第二励磁コイル6fに供給する磁束調整電流を減じて電機子に流れる磁束量を小とし,磁束調整電流が予め定めた値より小である場合には第二磁化の磁石要素数を増す方向の磁化電流が磁化制御回路5aから第一励磁コイル6c,第二励磁コイル6fに供給されて第一磁化の磁石要素数を減じると共に第二磁化の磁石要素数を増して電機子を流れる磁束量を小とする。
出力53である回転速度が所定の値より小となり電機子に流れる磁束量を大とする時には磁束調整回路59により第一励磁コイル6c,第二励磁コイル6fに供給する磁束調整電流を増して電機子に流れる磁束量を大とし,磁束調整電流が予め定めた値より大である場合には第一磁化の磁石要素数を増す方向の磁化電流を磁化制御回路5aから第一励磁コイル6c,第二励磁コイル6fに供給して第一磁化の磁石要素数を増すと共に第二磁化の磁石要素数を減じて電機子を流れる磁束量を大とする。
上記説明に於いて,界磁制御に磁束調整電流を流して電流励磁を併用したが,磁束調整電流は界磁磁石の各磁化状態に於ける微調整用であって大きな電流ではないのでエネルギー効率を大きく損なう事はない。また,磁束調整電流による界磁の微調整をする事無く,界磁磁石の各磁化状態に於いて駆動電流の位相制御により弱め界磁を付加する事も可能である。その場合でも界磁の微調整であるのでエネルギー効率を大きく損なう事はない。
回転電機が発電機として用いられる場合において,磁束量制御を行って発電電圧を所定の電圧となるよう制御する定電圧発電システムを説明する。但し,電機子を流れる磁束量を増やす極性の磁束調整電流を正としている。
制御装置55は出力53である発電電圧が所定の値より大となり電機子に流れる磁束量を小とする時には磁束調整回路59により第一励磁コイル6c,第二励磁コイル6fに供給する磁束調整電流を減じて電機子に流れる磁束量を小とし,磁束調整電流が予め定めた値より小である場合には第二磁化の磁石要素数を増す方向の磁化電流が磁化制御回路5aから第一励磁コイル6c,第二励磁コイル6fに供給されて第一磁化の磁石要素数を減じると共に第二磁化の磁石要素数を増して電機子を流れる磁束量を小とする。
制御装置55は出力53である発電電圧が所定の値より小となり電機子に流れる磁束量を大とする時には磁束調整回路59により第一励磁コイル6c,第二励磁コイル6fに供給する磁束調整電流を増して電機子に流れる磁束量を大とし,磁束調整電流が予め定めた値より大である場合には第一磁化の磁石要素数を増す方向の磁化電流を磁化制御回路5aから第一励磁コイル6c,第二励磁コイル6fに供給して第一磁化の磁石要素数を増すと共に第二磁化の磁石要素数を減じて電機子を流れる磁束量を大とする。
本実施例の界磁磁石は抗磁力の異なる磁石要素の並列接続で構成したが,同様機能の界磁磁石は素材を同一として磁化方向長さの異なる磁石要素の並列接続で構成出来る。後者の場合は磁化方向長さにより磁化容易さを変える事が出来るので磁石素材の選定が容易となる。
本発明による回転電機システムの第三実施例を図11,12を用いて説明する。第三実施例は,アウターローター構造の回転電機であり,回転子の表面磁極部に永久磁石を持たない回転電機システムである。
図11は第三実施例の縦断面図を示し,図12は図11のC−C’に沿う電機子及び回転子の断面図を示している。第三実施例は第一実施例に於いて,第一励磁コイル1d,第二励磁コイル1gを除去し,回転子内に於いて永久磁石13に替えて非磁性体121を配置した構成である。
第一実施例に於いて説明したように第一界磁磁石1bは第一磁性体突極21をN極に,第二界磁磁石1eは第二磁性体突極22をS極にそれぞれ磁化する。第一界磁磁石1b,第二界磁磁石1eは径方向に十分な長さを有するので第一界磁磁石1b,第二界磁磁石1eには抗磁力の小さな磁石素材を磁化方向長さを大として採用する事が出来る。すなわち,アルニコ磁石或いはフェライト磁石等を採用して高価なネオジウム磁石を使用せず,低コストの回転電機を構成する事が出来る。
図11,図12に示す第三実施例は第一実施例に於いて,回転子側の表面磁極部構成を変え,励磁コイルを除去した構造である。界磁磁石の磁化状態を変更しないが,回転電機を回転駆動する動作原理は同じである。したがって,さらなる説明は省略する。
本発明による回転電機システムの第四実施例を図13から図16を用いて説明する。第四実施例は,インナーローター構造の回転電機であり,界磁磁石は回転子内に,励磁コイルが回転子右端のハウジング側に配置されている。
図13はラジアルギャップ構造の回転電機に本発明を適用した実施例を示し,相互の関係を説明する為に構成部分の一部に番号を付して示している。回転軸131がベアリング133を介してハウジング132に回動可能に支持されている。ハウジング132には円筒状磁気ヨーク65が固定され,円筒状磁気ヨーク65から径方向に延びる磁性体歯64及び電機子コイル66が配置されている。
磁性体歯64と径方向に対向する回転子は,回転軸131に固定された円筒状磁気コア139,界磁磁石137,138,第二延長部136,表面磁極部134,第一延長部135等から構成されている。番号13cは非磁性体を示している。表面磁極部134を構成する第一磁性体突極及び第二磁性体突極が周方向に交互に配置され,第一延長部135は第一磁性体突極が軸と平行の右方向に延伸され,第二延長部136は第二磁性体突極が内径側に延伸されて構成されている。
第一延長部135,円筒状磁気コア139と微小間隙を介して円環状磁気コア13aが対向して配置されている。円環状磁気コア13aは断面がC字状のコアが回転軸131を周回する形状であり,円環状磁気コア13aの外周側端面で第一延長部135と対向し,内周側端面で円筒状磁気コア139と対向し,凹部に励磁コイル13bが配置されている。本実施例に於いて,円筒状磁気コア139,円環状磁気コア13aが励磁磁路部材に相当している。
図14は図13のD−D’に沿う電機子及び回転子の断面図を示し,相互の関係を説明する為に構成部分の一部に番号を付している。電機子及び回転子の磁極構造は第二実施例とほぼ同じ構成であり,同一の部材には同じ番号が付されている。電機子はハウジング132に固定された円筒状磁気ヨーク65と,円筒状磁気ヨーク65から径方向に延びる複数の磁性体歯64と,磁性体歯64に巻回された電機子コイル66とから構成されている。径方向に短い可飽和磁性体結合部78が隣接する磁性体歯64先端部間に配置されている。磁性体歯64及び可飽和磁性体結合部78はケイ素鋼板を型で打ち抜いて積層され,電機子コイル66を巻回された後,圧粉鉄心で構成された円筒状磁気ヨーク65と組み合わせて電機子が構成されている。
表面磁極部134は円筒状磁性体基板が集合磁石により周方向に区分された構成である。中間磁性体突極73の両側面にほぼ同じ磁化方向の磁石板75,76が配置された組み合わせは磁気的には磁石と等価な集合磁石であり,回転子の表面磁極部134は一様な円筒状磁性体基板を周方向に等間隔に配置された集合磁石によって区分された第一磁性体突極71,第二磁性体突極72及び集合磁石とから構成されている。さらに隣接する突極である第一磁性体突極71,第二磁性体突極72は互いに異なる方向に磁化されるよう隣接する集合磁石の磁化方向は互いに反転して構成されている。
第一磁性体突極71,第二磁性体突極72それぞれの周方向両側面に配置された磁石板はV字状の配置であり,磁石板の交差角度は磁束バリアに好適な角度に設定する。磁石板74,75,76,77に付された矢印は磁石板74,75,76,77の板面にほぼ直交する磁化方向を示す。中間磁性体突極73の電機子と対向する側には非磁性体が配置されて磁性体歯64と中間磁性体突極73との間で磁束が流れ難いよう構成されている。
図15は回転子の構成及び励磁部の配置を示す分解斜視図である。理解を容易にする為に第一磁性体突極71,第二磁性体突極72等を有する中心部と第一延長部135を離し,電機子及びハウジング132を除いて示されている。第一延長部135は軟鉄をプレス成形して第一磁性体突極71の延長部分となる磁性体突部151を有して構成され,非磁性体部153は磁性を持たないステンレススチールで形成されている。番号152は磁性体突部151と一体の円板状部分を示し,円環状磁気コア13aの外周側端面と対向している。番号155は円環状磁気コア13a及び励磁コイル13bを示し,円筒状磁気コア139は同図に於いて番号154で示されている。
図16は電機子及び回転子の拡大された断面の一部を示す図である。図16(a)により強め界磁に於ける磁束の流れ,図16(b)により弱め界磁に於ける磁束の流れを説明する。図16に示した構成により励磁コイル13b,界磁磁石137,138が発生させる磁束は円環状磁気コア13a,第一延長部135,第一磁性体突極71,磁性体歯64,円筒状磁気ヨーク65,隣接する磁性体歯64,第二磁性体突極72,第二延長部136,界磁磁石137,138,円筒状磁気コア139を含む磁路を流れるよう構成されている。
図16(a)に於いて,番号161は磁石板74,75,76,77からの磁束を代表して示し,主として回転子の表面磁極部134及び電機子内を流れる。例えば,磁石板75からの磁束は中間磁性体突極73,磁石板76,第二磁性体突極72,磁性体歯64,円筒状磁気ヨーク75,隣接する磁性体歯74,第一磁性体突極71を介して磁石板75に環流する。磁石板74,75,76,77によって第一磁性体突極71はS極に,第二磁性体突極72はN極にそれぞれ磁化されている。
図13に示す界磁磁石はそれぞれの逆方向の磁化を持つ磁石要素の並列接続であるので界磁磁石内で閉磁路が構成されて外部に磁束を供給していない。しかし,界磁磁石137,138の磁化方向が全て外径方向の磁化を有する場合は,第一延長部135及び第一磁性体突極71をS極に磁化し,第二延長部136及び第二磁性体突極72をN極に磁化して強め界磁に相当する。その場合,界磁磁石の一方の磁極からの磁束は第二延長部136,第二磁性体突極72,磁性体歯64,円筒状磁気ヨーク65,隣接する磁性体歯64,第一磁性体突極71,第一延長部135,円環状磁気コア13a,円筒状磁気コア139を介して界磁磁石の他方の磁極に環流する。
図16(a)に於いて,番号162,164は上記経路に沿って流れる磁束を示し,番号163は第一磁性体突極71内を第一延長部135方向に流れる磁束を示している。磁束162,164は磁束161と同じ方向に電機子コイルと鎖交するので電機子コイル66と鎖交する磁束量を磁束161単独の場合に比して大となる。番号91は非磁性体を示す。
さらに界磁磁石137,138の磁化方向が全て内径方向の磁化を有する場合は,第一延長部135及び第一磁性体突極71をN極に磁化し,第二延長部136及び第二磁性体突極72をS極に磁化して弱め界磁に相当する。その場合,界磁磁石137,138からの磁束は図16(a)に示した磁束162,164と逆方向に磁性体歯64中を流れて電機子コイル66と鎖交する磁束量を減少させる。また,第一磁性体突極71はN極に磁化され,第二磁性体突極72はS極に磁化されるので界磁磁石137,138からの磁束の一部は磁石板75,中間磁性体突極73,磁石板76を介して第二磁性体突極72に流れる。
すなわち,図16(b)に示すように界磁磁石137,138からの磁束は円筒状磁気コア139,円環状磁気コア13a,第一延長部135,第一磁性体突極71,磁性体歯64,円筒状磁気ヨーク65,隣接する磁性体歯64,第二磁性体突極72,第二延長部136を介して界磁磁石137,138に環流する。また上記磁束の一部は第一磁性体突極71から磁石板75,中間磁性体突極73,磁石板76,第二磁性体突極72へ流れる。番号165,166は磁石板75,中間磁性体突極73,磁石板76を介して短絡的に流れる磁束を示している。番号167は第一磁性体突極71中を第一延長部から流れる磁束を示している。
図16(b)は界磁磁石137,138,磁石板75,76が完全な閉磁路を構成して磁性体歯64内に流れる磁束が存在しない極端な場合を示しているが,磁性体歯64内を流れる磁束の量は界磁磁石137,138から第一磁性体突極71,第二磁性体突極72に供給される磁束の量によって変化する。上記説明のように界磁磁石137,138が第一磁性体突極71をS極に磁化し,第二磁性体突極72をN極に磁化する場合が強め界磁となる。したがって,界磁磁石137,138では外径方向の磁化が第一磁化に相当し,内径方向の磁化が第二磁化に相当する。
図13を用いて励磁部の構成及び動作原理を説明する。界磁磁石は抗磁力の異なる2種の界磁磁石137,138により構成され,図13では抗磁力が大の磁磁石137,抗磁力が小の界磁磁石138が第二延長部136と円筒状磁気コア139間に配置されている。界磁磁石137,138はそれぞれの残留磁束密度と磁極面積の積が互いに等しくなるよう設定されている。
界磁磁石137,138それぞれの磁化方向を変えて電機子コイル66と鎖交する磁束量が制御される事を説明した。以下に界磁磁石137,138に於いて第一磁化或いは第二磁化の磁極面積を励磁コイル13bにより変えるステップを説明する。
界磁磁石137,138は第二延長部136,円筒状磁気コア139間に配置されて互いに並列接続された状態であり,励磁コイル13bに磁化電流が供給されると,第二延長部136,円筒状磁気コア139間の磁気ポテンシャル差(起磁力)は周方向にほぼ同じであり,界磁磁石内では磁気ポテンシャル差を厚みで除した値に相当する磁界強度の磁界が加えられる。したがって,抗磁力が小の界磁磁石138が磁化されやすく,抗磁力が大の界磁磁石137は磁化され難い。磁化電流の振幅により界磁磁石138のみ,或いは界磁磁石137,138の磁化状態を共に変更できる。
図13に示す状態では界磁磁石138が第一磁化,界磁磁石137が第二磁化に相当している。互いに逆方向の磁化を持つ界磁磁石137,138が閉磁路を形成して外部には磁束が流れていない状態である。同図に於いて,界磁磁石138の磁化を第二磁化に変更する場合,円環状磁気コア13a,第一延長部135,第一磁性体突極71,磁性体歯64,円筒状磁気ヨーク65,隣接する磁性体歯64,第二磁性体突極72,第二延長部136,界磁磁石137,138,円筒状磁気コア139に沿って磁束が流れる方向の磁化電流を励磁コイル13bに供給し,界磁磁石138を第二磁化に変更する。磁化電流の振幅は界磁磁石138の磁化方向を反転させ,界磁磁石137の磁化に影響を与えない大きさに設定する。この場合,励磁コイル13bからの磁束は図16(b)に於いて,磁束の一部は番号165,166で示されるように磁石板75,中間磁性体突極73,磁石板76に沿っても流れるが,界磁磁石138の磁化を第二磁化に変更するのに支障はない。
図13に示す状態から界磁磁石137の磁化を第一磁化に変更する場合,円環状磁気コア13a,界磁磁石137,138,第二延長部136,第二磁性体突極72,磁性体歯64,円筒状磁気ヨーク65,隣接する磁性体歯64,第一磁性体突極71,第一延長部135に沿って磁束が流れるよう励磁コイル13bに磁化電流を供給し,磁磁石137の磁化を第一磁化に変更する。磁化電流の振幅は界磁磁石137の磁化方向を反転させるに十分な大きさに設定する。
以上,図13から図16までを用いて第四実施例の構成及び電機子コイルと鎖交する磁束量制御の動作原理を説明した。本実施例は界磁磁石及び励磁コイルを含む励磁部の具体的構成が第二実施例と異なるが,類似する内容であり,更なる詳しい説明は省略する。
本実施例は界磁磁石を回転子内に配置して第二実施例より界磁磁石の磁極面積を大に出来る特徴がある。回転子と円環状磁気コア13aとの間に磁気的吸引力が働き,ベアリング133に軸方向の負荷が掛かるが,第一磁性体突極を軸と平行に左方向にも延伸して回転子の両端に円環状磁気コア13a,励磁コイル13bを配置する構成としてベアリング負荷を軽減できる。
本発明の第五実施例による回転電機システムを図17及び図5を用いて説明する。第五実施例は第二実施例の回転電機システムを前輪のインホイールモータとし,前輪駆動のエンジンと組み合わせたハイブリッドカーのシステムである。
同図に於いて,番号172は前輪駆動のエンジンを示し,トランスミッション173,駆動軸179を介して前輪に組み込まれた回転電機171に結合され,エンジン172と回転電機171によりハイブリッドカーを駆動する。制御装置174は上位制御装置からの指令17bを受け,駆動回路175を介して回転電機171を電動機として駆動し,磁束量制御回路176を介して電機子に流入する磁束量を制御する。すなわち,磁束量制御回路176は図5に於ける切換スイッチ58,磁化制御回路5a,磁束調整回路59を含んで構成されている。更に制御装置174は上位制御装置からの指令17bを受け,電機子コイル66の引き出し線17cに現れる発電電力を整流回路177を介して整流し,バッテリー178を充電する構成としている。
回転電機171のみでハイブリッドカーを駆動する時はトランスミッション173に於いてエンジン172を切り離し,回転電機171の負荷を軽減する。低回転速度域で回転電機171の磁石トルクを強化する必要がある場合は第一界磁磁石6b,第二界磁磁石6e内の第一磁化の磁石要素数を増す方向の電流を第一励磁コイル6c,第二励磁コイル6fに磁化制御回路5aにより供給して第一磁化の磁石要素数を増すと共に第二磁化の磁石要素数を減じて電機子を流れる磁束量を大とする。高回転速度域で弱め界磁とする場合には第二磁化の磁石要素数を増す方向の電流を第一励磁コイル6c,第二励磁コイル6fに磁化制御回路5aにより供給して第一磁化の磁石要素数を減じると共に第二磁化の磁石要素数を増して電機子を流れる磁束量を小とする。
エンジン172の回転力のみでハイブリッドカーを駆動する時は,指令17bを受け,磁化制御回路5aを介して第二磁化の磁石要素数を最大にするよう第一励磁コイル6c,第二励磁コイル6fに電流を供給し,回転子から電機子側に流れる磁束量を最小のほぼゼロに設定する。この状態で回転子から漏れる磁束量はほぼゼロとなるのでエンジン172により回転子は回転されても渦電流損は発生しない。
回転電機171及びエンジン172でハイブリッドカーを駆動する時はトランスミッション173に於いてエンジン172を駆動軸179に結合する。さらにエンジン172の駆動力に余力があり,回転電機171を発電機としてバッテリー178を充電させる場合には,電機子コイル66の引き出し線17cに現れる発電電力を整流回路177を介して直流に変え,バッテリー178を充電させる。
その場合に制御装置174は発電電圧がバッテリー178を充電する最適な電圧より大である場合は磁束量制御回路176を介して磁束調整回路59により第一励磁コイル6c,第二励磁コイル6fに供給する磁束調整電流を減じて電機子に流れる磁束量を小とし,磁束調整電流が予め定めた値より小となる場合には第二磁化の磁石要素数を増す方向の磁化電流を磁化制御回路5aにより第一励磁コイル6c,第二励磁コイル6fに供給して第一磁化の磁石要素数を減じると共に第二磁化の磁石要素数を増して電機子を流れる磁束量を小とする。
発電電圧がバッテリー178を充電する最適な電圧より小である場合は磁束量制御回路176を介して磁束調整回路59により第一励磁コイル6c,第二励磁コイル6fに供給する磁束調整電流を増して電機子に流れる磁束量を大とし,磁束調整電流が予め定めた値より大となる場合には第一磁化の磁石要素数を増す方向の磁化電流を磁化制御回路5aにより第一励磁コイル6c,第二励磁コイル6fに供給して第一磁化の磁石要素数を増すと共に第二磁化の磁石要素数を減じて電機子を流れる磁束量を大とする。
バッテリー178に充電する場合に回転電機システムを定電圧発電機とする事で発電電圧を変換するコンバータは不要である。また,更にバッテリー178が電圧の種類の異なる複数種のバッテリーで構成される場合でも切り替え回路を付け加えてそれぞれのバッテリーに最適の発電電圧に制御する事で高価なコンバータを不要に出来る。また,バッテリー178に充電する際に磁束量制御と共に充電電流を制御して駆動負荷と発電負荷の配分制御も可能である。
本実施例はまたハイブリッドカーの制動時に於けるエネルギー回収システムとしても有効に機能する。ブレーキペダルの動きに応じ,指令17bを通じて回生制動の指示を受けると,制御装置174は磁束量制御回路176を介して第一磁化の磁石要素数を増す方向の電流を第一励磁コイル6c,第二励磁コイル6fに供給して第一磁化の磁石要素数を増して電機子を流れる磁束量を大とし,発電電力でバッテリー178に充電させる。さらにブレーキペダルの踏み圧に応じて第一励磁コイル6c,第二励磁コイル6fに供給する磁束調整電流を増減させ,制動力を制御する。
電機子コイル66と鎖交する磁束量は増えるので取り出せる電力は大きく,電気二重層コンデンサ他の蓄電システムに一時的に蓄えて制動力の確保とエネルギー回収を大にする。電機子コイル66と鎖交する磁束量を自在に制御できるので従来は低速で十分なエネルギーを回収できなかったが,本実施例では低速に於いてもエネルギー回生を可能とし,さらに第一励磁コイル6c,第二励磁コイル6fに供給する磁束調整電流を増して低速でも制動力を確保できる。回転電機171は駆動用電動機として用いられる体格であるので回生制動用の発電機として十分な制動力を発生できる。
本実施例は前輪にインホイールモータとして回転電機システムを組み込み,前輪駆動エンジンシステムと組み合わせてハイブリッドモータカーとした例である。インホイールモータは前輪の他に駆動軸179を回転させるので若干負荷が増えるが,前輪駆動エンジンの駆動軸は短いので大きな負担には成らず,簡素な構成のハイブリッドカーシステムを実現できる特徴がある。また,インホイールモータとして組み込まれた回転電機はエンジン駆動で走行する場合でも常に回転する事になるが,回転子から電機子側に漏れる磁束量を最小のゼロ近傍に設定する事により渦電流損を最小にしてエネルギー効率を損なわない。
本実施例はハイブリッドカーの発電機兼電動機として用いた回転電機システムであるが,電気自動車に於ける回転電機システムとする事も当然に可能である。その場合には上記実施例に於いてハイブリッドカーのエンジン172,トランスミッション173,駆動軸179を取り除き,本発明による回転電機システムのみで電気自動車を駆動し,制動時に於けるエネルギー回収システムを構成する。
以上,本発明の回転電機システムについて,実施例を挙げて説明した。これらの実施例は本発明の趣旨,目的を実現する例を示したのであって本発明の範囲を限定するわけでは無い。例えば上記実施例に於ける回転子の磁極構成,電機子の構成,励磁部の構成等はそれぞれ組み合わせを変えて本発明の趣旨を実現する回転電機装置を構成できる事は勿論である。
本発明を適用した回転電機システムは従来の回転電機と同様に磁石トルク及びリラクタンストルクを利用出来,更に発電機能を改善し,またその発電機能を制御できる。移動体の発電機兼電動機システムに用いて,駆動用電動機としては従来以上の回転速度範囲での使用と低電流・大トルク出力が期待できる他に制動時のエネルギー回収を可能として総合的なエネルギー消費量を改善できる。

Claims (16)

  1. 電機子との対向面に於いて磁気的な離隔部分を介して互いに離隔された第一磁性体突極及び第二磁性体突極を周方向に交互に有する回転子と,円筒状磁気ヨーク及び円筒状磁気ヨークから径方向に延びる磁性体歯及び磁性体歯に巻回された電機子コイルを有する電機子とが径方向に対向して相対的に回転可能に構成された回転電機装置であって,第一磁性体突極及び第二磁性体突極は半径方向或いは軸方向の互いに異なる方向に延伸されてそれぞれ第一延長部,第二延長部とされ,さらに第一磁性体突極及び第二磁性体突極を互いに異極に励磁する励磁部を有し,励磁部は第一延長部及び第二延長部を磁気的に結合する磁路の一部である励磁磁路部材と,励磁磁路部材を含む第一延長部及び第二延長部間の磁路を二分するよう配置された界磁磁石とを有して構成される事を特徴とする回転電機システム
  2. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,第一延長部,第二延長部はそれぞれ第一磁性体突極及び第二磁性体突極が互いに軸方向の異なる方向に延伸されて構成され,さらに励磁部は回転子両端の静止側に配置された第一励磁部及び第二励磁部とより構成され,第一励磁部は両端が第一延長部及び円筒状磁気ヨークにそれぞれ磁気的に結合された第一励磁磁路部材と,第一励磁磁路部材を含む第一延長部及び円筒状磁気ヨーク間の磁路を二分するよう配置された第一界磁磁石とを有して構成され,第二励磁部は両端が第二延長部及び円筒状磁気ヨークにそれぞれ磁気的に結合された第二励磁磁路部材と,第二励磁磁路部材を含む第二延長部及び円筒状磁気ヨーク間の磁路を二分するよう配置された第二界磁磁石とを有して構成される事を特徴とする回転電機システム
  3. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,第一延長部,第二延長部はそれぞれ第一磁性体突極及び第二磁性体突極が互いに軸方向の異なる方向に延伸されて構成され,さらに励磁部は第一励磁部及び第二励磁部より構成されて第一励磁部の一部及び第二励磁部の一部はそれぞれ回転子両端の静止側に配置され,第一励磁部は両端が第一延長部及び円筒状磁気ヨークにそれぞれ磁気的に結合された第一励磁磁路部材を有し,円筒状磁気ヨークと第一励磁磁路部材の一部とが第一界磁磁石を挟んで径方向に対向するよう構成され,第二励磁部は両端が第二延長部及び円筒状磁気ヨークにそれぞれ磁気的に結合された第二励磁磁路部材を有し,円筒状磁気ヨークと第二励磁磁路部材の一部とが第二界磁磁石を挟んで径方向に対向するよう構成される事を特徴とする回転電機システム
  4. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,第一延長部,第二延長部はそれぞれ第一磁性体突極及び第二磁性体突極が互いに軸方向の異なる方向に延伸されて構成され,さらに励磁部は第一磁性体突極及び第二磁性体突極をそれぞれ異極に励磁する第一励磁部及び第二励磁部とより構成され,さらに第一励磁部は両端が第一延長部及び円筒状磁気ヨークにそれぞれ磁気的に結合された第一励磁磁路部材と,第一励磁磁路部材を含む第一延長部及び円筒状磁気ヨーク間の磁路を二分するよう配置された第一界磁磁石と,第一磁性体突極及び第一延長部及び第一励磁磁路部材及び第一界磁磁石及び円筒状磁気ヨークを含む磁路に磁束を発生するよう配置された第一励磁コイルとを有して構成され,第二励磁部は両端が第二延長部及び円筒状磁気ヨークにそれぞれ磁気的に結合された第二励磁磁路部材と,第二励磁磁路部材を含む第二延長部及び円筒状磁気ヨーク間の磁路を二分するよう配置された第二界磁磁石と,第二磁性体突極及び第二延長部及び第二励磁磁路部材及び第一界磁磁石及び円筒状磁気ヨークを含む磁路に磁束を発生するよう配置された第二励磁コイルとを有して構成され,第一励磁コイル,第二励磁コイルに供給する電流によって第一界磁磁石,第二界磁磁石の磁化状態を変更及び或いは第一励磁コイル,第二励磁コイルの生成する磁束量を変えて電機子を流れる磁束量を変える事を特徴とする回転電機システム
  5. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,第一延長部は第一磁性体突極が軸方向に延伸され,第二延長部は第二磁性体突極が半径方向に延伸されて構成され,更に励磁部の励磁磁路部材は一端が第一延長部と磁気的に結合されると共に励磁磁路部材の一部は界磁磁石を挟んで第二延長部と径方向に対向するよう構成される事を特徴とする回転電機システム
  6. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,第一延長部は第一磁性体突極が軸方向に延伸され,第二延長部は第二磁性体突極が半径方向に延伸されて構成され,更に励磁部の励磁磁路部材は一端が第一延長部と磁気的に結合されると共に励磁磁路部材の一部は界磁磁石を挟んで第二延長部と径方向に対向するよう構成され,励磁磁路部材の一部は回転子と軸方向に対向する静止側に配置されると共に第一延長部,励磁磁路部材,界磁磁石,第二延長部を含む磁路に磁束を発生するよう励磁コイルが静止側に配置され,励磁コイルに供給する電流によって界磁磁石の磁化状態を変更及び或いは励磁コイルの生成する磁束量を変えて電機子を流れる磁束量を変える事を特徴とする回転電機システム
  7. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,第一磁性体突極と第二磁性体突極間に配置される離隔部分の磁気抵抗は磁性体歯と第一磁性体突極との微小間隙に於ける磁気抵抗及び磁性体歯と第二磁性体突極との微小間隙に於ける磁気抵抗の和より大となるよう前記離隔部分の対向面積と厚みとが設定されている事を特徴とする回転電機システム
  8. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,第一磁性体突極及び第二磁性体突極間の離隔部分は永久磁石を含んで第一磁性体突極及び第二磁性体突極は互いに異なる極性に磁化されるよう構成される事を特徴とする回転電機システム
  9. 請求項8記載の回転電機システムに於いて,第一磁性体突極及び第二磁性体突極間に配置された永久磁石は,磁性体と磁性体の二つの側面に配置された略同方向の磁化を有する永久磁石とで構成された集合磁石であって,集合磁石を構成する前記磁性体の電機子と対向する側に非磁性体が配置されて構成される事を特徴とする回転電機システム
  10. 請求項8記載の回転電機システムに於いて,第一磁性体突極及び第二磁性体突極間の離隔部分が含む永久磁石の抗磁力は界磁磁石の抗磁力より大である事を特徴とする回転電機システム
  11. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,界磁磁石は磁化方向長さと抗磁力の積が異なる磁石要素の並列接続として構成され,界磁磁石は互いに逆方向である第一磁化,第二磁化の何れかの磁化を有する磁石要素を少なくとも有し,第一磁化を有する磁石要素は第一磁性体突極及び第二磁性体突極間に配置された永久磁石が第一磁性体突極及び第二磁性体突極を磁化する極性と同じ極性に第一磁性体突極及び第二磁性体突極を磁化する事を特徴とする回転電機システム
  12. 電機子との対向面に於いて少なくとも永久磁石を介して互いに離隔され且つ互いに異なる極性に磁化された第一磁性体突極及び第二磁性体突極を周方向に交互に有する回転子と,円筒状磁気ヨーク及び円筒状磁気ヨークから径方向に延びる磁性体歯及び磁性体歯に巻回された電機子コイルを有する電機子とが径方向に対向して相対的に回転可能に構成された回転電機装置であって,第一磁性体突極及び第二磁性体突極は半径方向或いは軸方向の互いに異なる方向に延伸されてそれぞれ第一延長部,第二延長部とされ,さらに第一磁性体突極及び第二磁性体突極を互いに異極に励磁する励磁部を有し,励磁部は両端が第一延長部及び第二延長部を磁気的に結合する磁路の一部である励磁磁路部材と,励磁磁路部材を含む第一延長部及び第二延長部間の磁路を二分するよう配置された界磁磁石と,第一延長部及び励磁磁路部材及び界磁磁石及び第二延長部を含む磁路に磁束を発生するよう配置された励磁コイルを有して構成され,回転電機装置の出力を最適化するよう前記出力に応じて励磁コイルに供給される電流により界磁磁石の磁化状態を変え,電機子に流れる磁束量が制御される事を特徴とする回転電機システム
  13. 請求項12記載の回転電機システムに於いて,さらに制御装置を有し,回転力を入力とし,発電電力を出力とする回転電機システムであって,第一磁性体突極及び第二磁性体突極間に配置された永久磁石が第一磁性体突極及び第二磁性体突極を磁化する極性と同じ極性に第一磁性体突極及び第二磁性体突極を磁化する界磁磁石内の磁石要素を第一磁化とし,電機子コイルに誘起される発電電圧が所定の値より大の時は制御装置により第一磁化の磁極面積を減じるよう界磁磁石を磁化する極性の磁化電流が励磁コイルに供給されて電機子を流れる磁束量が小とされ,電機子コイルに誘起される発電電圧が所定の値より小の時は制御装置により界磁磁石内の第一磁化の磁極面積を増すよう界磁磁石を磁化する極性の磁化電流が励磁コイルに供給されて電機子を流れる磁束量が大とされ,発電電圧が所定の値に制御される事を特徴とする回転電機システム
  14. 請求項12記載の回転電機システムに於いて,さらに制御装置を有し,電機子コイルへの供給電流を入力とし,回転力を出力とする回転電機システムであって,第一磁性体突極及び第二磁性体突極間に配置された永久磁石が第一磁性体突極及び第二磁性体突極を磁化する極性と同じ極性に第一磁性体突極及び第二磁性体突極を磁化する界磁磁石内の磁石要素を第一磁化とし,回転速度が所定の値より大で電機子を流れる磁束量を減少させる時には制御装置により第一磁化の磁極面積を減じるよう界磁磁石を磁化する極性の磁化電流が励磁コイルに供給されて電機子を流れる磁束量が小とされ,回転速度が所定の値より小で電機子を流れる磁束量を増大させる時には制御装置により界磁磁石内の第一磁化の磁極面積を増すよう界磁磁石を磁化する極性の磁化電流が励磁コイルに供給されて電機子を流れる磁束量が大とされ,回転力が最適に制御される事を特徴とする回転電機システム
  15. 請求項12記載の回転電機システムに於いて,さらに制御装置を有し,電機子コイルへの供給電流を入力とし,回転力を出力とする回転電機システムであって,第一磁性体突極及び第二磁性体突極間に配置された永久磁石が第一磁性体突極及び第二磁性体突極を磁化する極性と同じ極性に第一磁性体突極及び第二磁性体突極を磁化する界磁磁石内の磁石要素を第一磁化とし,回転速度を減少させる場合には制御装置により電機子コイルにバッテリーを接続すると共に界磁磁石内の第一磁化の磁極面積を変えるよう界磁磁石を磁化する極性の磁化電流が励磁コイルに供給されて電機子を流れる磁束量を変え,回転エネルギーが発電電力として取り出されると共に制動力が制御される事を特徴とする回転電機システム
  16. 電機子との対向面に於いて磁気的な空隙及び或いは永久磁石を含む離隔部分を介して互いに離隔された第一磁性体突極及び第二磁性体突極を周方向に交互に有する回転子と,円筒状磁気ヨーク及び円筒状磁気ヨークから径方向に延びる磁性体歯及び磁性体歯に巻回された電機子コイルを有する電機子とが径方向に対向して相対的に回転可能に構成された回転電機装置の磁束量制御方法であって,第一磁性体突極及び第二磁性体突極をそれぞれ半径方向或いは軸方向の互いに異なる方向に延伸した第一延長部,第二延長部を有し,さらに第一磁性体突極及び第二磁性体突極をそれぞれ異極に励磁する第一励磁部及び第二励磁部とを有し,励磁部を両端が第一延長部及び第二延長部を磁気的に結合する磁路の一部である励磁磁路部材と,励磁磁路部材を含む第一延長部及び第二延長部間の磁路を二分するよう配置された界磁磁石と,第一延長部及び励磁磁路部材及び界磁磁石及び第二延長部を含む磁路に磁束を発生するよう配置された励磁コイルを有して構成し,界磁磁石の磁化状態を励磁コイルに供給する電流によって不可逆的に変更するよう構成し,界磁磁石の磁化状態を変え,或いは及び励磁コイルに供給する電流を変えて電機子に流れる磁束量を制御する磁束量制御方法
JP2010063460A 2010-02-08 2010-03-19 磁束量可変回転電機システム Pending JP2011182622A (ja)

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