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JP2011050186A - 磁束量可変回転電機システム - Google Patents

磁束量可変回転電機システム Download PDF

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JP2011050186A
JP2011050186A JP2009196673A JP2009196673A JP2011050186A JP 2011050186 A JP2011050186 A JP 2011050186A JP 2009196673 A JP2009196673 A JP 2009196673A JP 2009196673 A JP2009196673 A JP 2009196673A JP 2011050186 A JP2011050186 A JP 2011050186A
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rotating electrical
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JP2009196673A
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Yoshikazu Ichiyama
義和 市山
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KURA GIJUTSU KENKYUSHO KK
Kura Gijutsu Kenkyusho KK
Original Assignee
KURA GIJUTSU KENKYUSHO KK
Kura Gijutsu Kenkyusho KK
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Priority to EP09840853A priority patent/EP2400640A1/en
Priority to US12/646,971 priority patent/US8207645B2/en
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  • Permanent Field Magnets Of Synchronous Machinery (AREA)
  • Permanent Magnet Type Synchronous Machine (AREA)

Abstract

【課題】
エネルギー効率の良い磁束量可変回転電機システムを提供する。
【解決手段】
ダブルステータ構成の磁石励磁回転電機であり,回転子表面には島状突極と磁性体突極を周方向に交互に有し,電機子コイルは島状突極と磁性体突極と同時に対向する電機子コイルを有してトルク変動及び発電電圧歪みが抑制され,励磁部は磁性体突極を一括して励磁して電機子コイルと鎖交する磁束量を制御する。励磁部は界磁磁石の磁化状態を不可逆的に変える構成,励磁電流により供給する磁束量を変える構成とし,低電流・大トルク,さらに高速回転を可能にする回転電機システムを実現する。
【選択図】 図1

Description

本発明は,永久磁石界磁を持つ発電機,電動機を含む回転電機システムに関する。
永久磁石界磁と電機子との相対的回転によって電磁的に生ずる電力を取り出す発電機,或いは電機子に供給する電流によって生ずる磁界と永久磁石界磁との相互作用により永久磁石界磁と電機子との相対的回転を生ずる電動機等の回転電機装置はエネルギー効率に優れ,永久磁石の技術的進歩に伴い日常的に広く使われている。しかしそのような回転電機は、界磁磁石からの磁束が一定であるので電動機として用いられるにしても発電機として用いられるにしても広い回転速度範囲で常に最適の出力が得られる訳ではない。
すなわち,電動機の場合は高速回転域では逆起電力(発電電圧)が高すぎる結果となって制御が困難となり,弱め界磁制御として界磁強度を弱める種々の手段が提案されている。また発電機の場合,広い回転速度範囲に於いて発電電圧を所定のレベルとする為に専ら界磁電流制御による定電圧発電機或いは半導体による発電電圧の定電圧化回路が用いられている。
電動機では進み位相電流による弱め界磁制御が広く採用されているが,制御範囲には限界がある。磁石励磁回転電機に於けるエネルギー効率の高さを犠牲にすることなく,回転電機の界磁制御を機械的な偏倚により行う試みがある(例えば特許第4243651号)。これは界磁条件を機械的な偏倚として保持できるので界磁制御に伴うエネルギー損失を最小限に留めて高エネルギー効率の回転電機を実現出来る。
エネルギー損失を最小限に留める他の界磁制御方法は,回転電機の運転中に界磁磁石の磁化状態を不可逆的に変更することであり,特開2008−289300の技術提案がある。これは特開平06−351206に於ける電流励磁構成を磁化変更可能な磁石励磁構成に変更した構成である。しかしながら,界磁磁石は電機子コイルの磁界の影響を受けやすい事,励磁コイルと電機子コイルが干渉して構成が複雑である事,界磁磁石からの磁束は中心部に集中するので軸長の短い回転電機装置に適用が限定される等の難点がある。また,上記何れの構成に於いても回転子表面の半分は永久磁石であるのでリラクタンストルクを利用し難い。
したがって,本発明が解決しようとする課題は,磁石トルク及びリラクタンストルクを利用しながら強め及び弱め界磁制御を可能として出力を最適に制御できる回転電機システム及び磁束量制御方法を提供する事である。
本発明による回転電機システムは,回転子と電機子とがラジアルギャップを介して対向する構成であって,回転子を流れる磁束量を一括して制御して電機子コイルと鎖交する磁束量が変えられる。回転子は周方向に島状突極と磁性体突極とを交互に有し,島状突極は励磁部による磁束が通過し難いように構成され,磁性体突極は励磁部による磁束が通過する事が出来るように構成され,島状突極と磁性体突極とは励磁部により一括して同じ方向に励磁されて電機子を流れる磁束量が制御される。その具体的な構成は以下に規定される。
請求項1の発明による回転電機システムは,電機子との対向面に於いて島状突極及び磁性体突極を周方向に交互に有する回転子と,回転子との対向面に於いて電機子コイルを磁気ヨークに周方向に有する電機子と,島状突極と磁性体突極とを同じ方向に一括して励磁する励磁部とを有し,第一電機子,回転子,第二電機子がこの順で径方向にラジアルギャップを介して配置される回転電機装置であって,回転子は永久磁石及び或いは非磁性体で構成される離隔部材を少なくとも島状突極内に有し,励磁部からの磁束が島状突極を流れ難いよう島状突極内の離隔部材の厚みは磁性体突極内の離隔部材の厚みより大とされるよう構成され,島状突極内及び或いは島状突極に隣接する永久磁石によって全ての島状突極がほぼ同じ方向に磁化されるよう構成され,励磁部は励磁コイル及び界磁磁石の何れかを少なくとも有し,励磁部の両端はそれぞれ二つの電機子の磁気ヨークと磁気的に結合され,励磁部の一端から流れる磁束は第一電機子の磁気ヨークと,回転子の磁性体突極と,第二電機子の磁気ヨークとを介して励磁部の他端に環流するよう構成され,回転電機装置の出力を最適化するよう前記出力に応じて励磁部から供給する磁束量を変え,電機子に流れる磁束量が制御される事を特徴とする。
回転子の内周側及び外周側に電機子が対向するダブルステータ構成の回転電機装置であって,回転子の磁性体突極を流れる磁束量を一括して制御して電機子コイルと鎖交する磁束量を変える回転電機システムである。回転子は励磁部からの磁束が通る磁性体突極と励磁部からの磁束が通り難い島状突極とが周方向に交互に並ぶ構成として励磁部による磁束量制御を可能にする。島状突極は全体を離隔部材である永久磁石で構成され,或いは永久磁石,磁気的な空隙で離隔された磁性体で構成され,島状突極は磁性体突極に比して励磁部からの磁束が流れ難いよう構成される。永久磁石の比透磁率は空隙に近く,磁化した永久磁石からの磁束量はほぼ一定であるので,厚みが大の永久磁石を双方向の磁束の離隔部材と出来る。島状突極を磁気的に離隔された磁性体で構成する場合は磁石トルクに加えてリラクタンスを利用出来る。
電機子及び磁性体突極はラジアルギャップを挟んで径方向に励磁部からの磁束が流れる磁路を形成するよう構成される。すなわち,電機子,回転子,電機子がこの順で並ぶ構成に於いて,電機子コイルが径方向に延びる磁性体歯に巻回される場合に,磁性体突極と磁性体歯は回転子の回転位置に応じて励磁部からの磁束が二つの電機子の磁性体歯と磁性体突極とを介して断続的に流れて電機子コイルと鎖交するよう構成される。励磁部は電機子,磁性体突極を介して流れるよう磁束を一括して供給し,電機子コイルと鎖交する磁束量を実効的に制御する。
本発明に於いて,回転電機は電機子コイルへの電流を入力として回転力を出力とすれば電動機であり,回転力を入力として電機子コイルから電流を出力すれば発電機である。電動機或いは発電機に於いて最適の磁極構成は存在するが,可逆的であり,上記の回転電機システムは電動機,発電機の何れにも適用される。
請求項2の発明は,請求項1記載の回転電機システムに於いて,島状突極及び磁性体突極は磁性体基板を永久磁石によって周方向に区分して形成されると共に互いに異極に磁化されるよう構成される事を特徴とする。両側に略同じ方向の磁化を持つ永久磁石が配置された磁性体は磁気的に永久磁石と等価な集合磁石である。回転子は磁性体を略周方向磁化を持つ永久磁石及び集合磁石の何れかによって周方向に区分された磁極構造として隣接する突極が互いに異極に磁化される。さらに径方向磁化を持つ平板状或いは外径方向に凹となる曲面状の磁石板で周方向に区分して島状突極と磁性体突極とを形成する磁極構造も含まれる。
請求項3の発明は,請求項1記載の回転電機システムに於いて,回転子は非磁性体及び或いは永久磁石で周方向に区分して形成された島状突極と磁性体突極とを有して径方向の両面で電機子と対向し,島状突極が電機子と対向する二つの面の間に離隔部材を有して島状突極を励磁部からの磁束が流れないよう構成される事を特徴とする。励磁部からの磁束は磁性体突極を通過し,島状突極を通過しないように構成される。島状突極全体を径方向の磁化を持つ永久磁石で構成し,磁性体突極全体を磁性体で構成する事が出来る。さらに島状突極全体を磁性体で構成し,中間に離隔部材として非磁性体,或いは永久磁石を配置して構成する事も出来る。
請求項4の発明は,請求項1記載の回転電機システムに於いて,電機子コイルは電機子コイルが周方向に配置された第一電機子磁極群と,第二電機子磁極群とにグループ化され,第一電機子磁極群,第二電機子磁極群に於いて同時に駆動電流が供給される同一相にそれぞれ属する電機子コイル同士は一方が島状突極に対向する時に他方は磁性体突極に対向するよう配置されると共に互いに逆方向の磁束を発生するよう接続される事を特徴とする。
上記回転電機システムに於いて,島状突極から電機子に流れる磁束量を固定とし,磁性体突極から電機子に流れる磁束量を励磁部により可変としたので,隣接する島状突極及び磁性体突極から電機子に流れる磁束量は殆どの場合にアンバランスである。電機子は回転子の隣り合う突極から流れる磁束量にアンバランスがある状態でも駆動トルク変動或いは発電電圧波形歪みが抑制されるよう構成される。すなわち,回転電機装置は第一電機子磁極群と第二電機子磁極群をそれぞれ同数有し,第一電機子磁極群と第二電機子磁極群に於いて,同じタイミングで駆動電流が供給される同一相に属する電機子コイル同士は一方が島状突極に対向する時に,他方が磁性体突極に対向するよう配置され,電流が流された時にそれぞれ逆方向の磁束を生じるよう接続される。電機子コイルは磁性体歯に巻回する構成,或いは空芯の何れの構成も使用できる。
請求項5の発明は,請求項4記載の回転電機システムに於いて,第一電機子磁極群を有する電機子と,第二電機子磁極群を有する電機子とがそれぞれ回転子と対向し,第一電機子磁極群,第二電機子磁極群に於いてそれぞれ同一相に属する電機子コイル同士は一方が島状突極に対向する時に他方は磁性体突極に対向するよう配置されると共に互いに逆方向の磁束を発生するよう直列に接続される事を特徴とする。第一電機子磁極群,第二電機子磁極群のそれぞれを有する二つの電機子が回転子の内周,外周側で対向する。二つの電機子に於いて同一相に属する電機子コイル同士は一方が島状突極に対向する時に他方が磁性体突極に対向するよう配置され,電流が流された時にそれぞれ逆方向の磁束を生じるよう直列に接続されて駆動トルクリップル或いは発電電圧波形歪みが抑制される。
請求項6の発明は,請求項4記載の回転電機システムに於いて,第一電機子,第二電機子は回転子との対向面に於いて第一電機子磁極群,第二電機子磁極群を周方向の異なる位置にそれぞれ有し,第一電機子磁極群,第二電機子磁極群に於いてそれぞれ同一相に属する電機子コイル同士は一方が島状突極に対向する時に他方は磁性体突極に対向するよう配置されると共に互いに逆方向の磁束を発生するよう直列に接続される事を特徴とする。電機子は回転子との対向面内に第一電機子磁極群,第二電機子磁極群の電機子コイルを周方向の異なる位置に有し,両群の電機子コイルに於いて同一相に属する電機子コイル同士は一方が島状突極に対向する時に他方が磁性体突極に対向するよう配置され,電流が流された時にそれぞれ逆方向の磁束を生じるよう直列に接続されて駆動トルクリップル或いは発電電圧波形歪みが抑制される。
請求項7の発明は,請求項1記載の回転電機システムに於いて,励磁部は界磁磁石と,界磁磁石の磁化を変更する励磁コイルとを有し,励磁部は前記界磁磁石のN極或いはS極の何れか一方の磁極から流れる磁束は励磁部の両端と,電機子と,回転子の磁性体突極とを介して界磁磁石の他方の磁極に環流するよう構成され,回転電機装置の出力を最適化するように前記出力に応じて励磁コイルに磁化電流を供給して界磁磁石の磁化状態を不可逆的に変え,電機子に流れる磁束量が制御される事を特徴とする。
電機子コイルにより誘起される磁束は電機子及び回転子近傍で環流し,界磁磁石は電機子コイルより離れて配置されるので電機子コイルの影響を受け難く,界磁磁石には低保持力の磁石を使用出来,励磁コイルによって容易に磁化状態が制御される。電機子コイルが磁性体歯に巻回される構成ではさらに電機子コイルにより誘起される磁束の分布領域が局所化されて界磁磁石への影響を小に出来る。
請求項8の発明は,請求項7記載の回転電機システムに於いて,界磁磁石は磁性体及び前記磁性体間に配置された磁化方向長さと抗磁力の積が異なる磁石要素を有し,前記磁性体により前記磁石要素を互いに並列接続して構成され,磁石要素は互いに逆方向である第一磁化,第二磁化の何れかの磁化を有し,第一磁化を有する磁石要素は磁性体突極を島状突極の磁化方向と逆方向に磁化する事を特徴とする。
界磁磁石は磁化容易さが異なる一以上の磁石要素の並列接続で,或いは磁化容易さ,すなわち,長さと抗磁力との積が断面内で連続的に変わる磁石で構成される。励磁コイルにより起磁力(磁気ポテンシャル差)はほぼ均等に界磁磁石を構成する磁石要素に加えられ,起磁力を長さで除した値が各磁石要素に加わる磁界強度となるので長さと抗磁力の積の小さな磁石要素が磁化されやすく,励磁コイルに加えられる電流により磁化容易さの異なる磁石要素の磁化状態は選択的に制御される。
磁石要素はは互いに逆方向である第一磁化,第二磁化の何れかの磁化を有する。磁性体突極を島状突極の磁化方向と逆方向に磁化する磁石要素は第一磁化として,電機子コイルと鎖交する磁束量が増加されるので第一磁化の磁極面積を増すと電機子コイルと鎖交する磁束量が増す事になる。
請求項9の発明は,請求項7記載の回転電機システムに於いて,界磁磁石に不可逆的な磁化変化を生ぜしめない程度の磁束調整電流を界磁磁石の各磁化状態に於いて励磁コイルに供給し,誘起された磁束を界磁磁石からの磁束に重畳して電機子を流れる磁束量を調整する事を特徴とする。界磁磁石からの磁束に磁束調整電流による磁束を重畳させて磁束量を制御する複合励磁である。界磁磁石の磁化変更は離散的に為される場合があり,また磁化の大きさを連続的に変更が可能であっても,界磁磁石の磁化変更は殆どの場合は間歇的に実施され,結果として電機子を流れる磁束量は離散的に制御される事が多い。本発明では界磁磁石の各磁化状態に於いて界磁磁石に不可逆的な磁化変化を生ぜしめない程度の磁束調整電流を励磁コイルに供給して磁束を発生させ,界磁磁石からの磁束に重畳させて電機子を流れる磁束量を精密に制御する。
請求項10の発明は,請求項1記載の回転電機システムに於いて,励磁部は励磁コイル及び励磁磁路部材を有し,励磁磁路部材の両端は第一電機子の磁気ヨークと,第二電機子の磁気ヨークとそれぞれ磁気的に結合され,励磁コイルは励磁磁路部材と,電機子と,回転子の磁性体突極とを介する磁路に磁束を誘起するよう配置され,回転電機装置の出力を最適化するように前記出力に応じて励磁コイルに励磁電流を供給して電機子に流れる磁束量が制御される事を特徴とする。励磁部は磁気ヨーク,磁性体突極,磁気ヨーク,励磁磁路部材を介して流れるよう磁束を供給し,電機子コイルと鎖交する磁束量を実効的に制御する。
請求項11の発明は,請求項10記載の回転電機システムに於いて,励磁部は励磁磁路部材を含む磁路内に磁気的な空隙を有し,島状突極を磁化する永久磁石からの磁束が励磁磁路部材を介して短絡しないよう構成される事を特徴とする。本発明の回転電機システムに於いて,磁気ヨーク,島状突極,磁気ヨークからなる第一磁路と,磁気ヨーク,磁性体突極,磁気ヨークからなる第二磁路と,磁気ヨーク,励磁磁路部材,磁気ヨークからなる第三磁路とが並列に接続されている。島状突極を磁化する永久磁石からの磁束が励磁磁路部材側に短絡して流れ難いよう第三磁路の磁気抵抗を第二磁路の磁気抵抗より大に設定する。磁気抵抗は磁路の途中に設けられた間隙の寸法,磁路を構成する磁性体の透磁率選定,寸法等により設定される。電機子コイルが磁性体歯に巻回された場合,磁性体歯と磁性体突極間の位置により第二磁路の磁気抵抗は変動するが,第二磁路の磁気抵抗は磁性体歯と磁性体突極間の位置により平均化された値とする。第三磁路に設ける磁気的な空隙には永久磁石の配置も含まれる。永久磁石の比透磁率はほぼ空気と同じであり,磁気抵抗を調整しながら励磁部が供給する磁束量の固定部分を設定する事が出来る。
第一の実施例による回転電機の縦断面図である。 図1に示された回転電機の電機子と回転子とを示す断面図である。 図2に示された電機子と回転子の断面の拡大図及び磁束の流れを示す。 図1に示された回転電機の磁化状態の異なる励磁部の縦断面図である。 磁束量制御を行う回転電機システムのブロック図である。 第二の実施例による回転電機の電機子と回転子とを示す断面図である。 図6に示された回転電機の電機子と回転子とを示す断面図である。 図7に示された電機子と回転子の断面の拡大図及び磁束の流れを示す。
以下に本発明による回転電機システムについて,その実施例及び原理作用等を図面を参照しながら説明する。
本発明による回転電機システムの第一実施例を図1から図5を用いて説明する。第一実施例は,ダブルステータを有し,界磁磁石の磁化状態を連続的に変えられる回転電機システムである。
図1はラジアルギャップ構造の回転電機に本発明を適用した実施例の縦断面図を示し,回転軸11がベアリング13を介してハウジング12に回動可能に支持されている。電機子は外周側に配置された第一電機子,内周側に配置された第二電機子を有し,第一電機子は磁性体歯14,円筒状磁気ヨーク15,電機子コイル16を有し,第二電機子は磁性体歯19,円筒状磁気ヨーク1a,電機子コイル1bを有する。回転子は表面磁極部17を有し,表面磁極部17の外周側で第一電機子と対向し,内周側で第二電機子と対向している。番号18は回転子支持体を示す。
励磁部はハウジング12を磁性体で構成し,ハウジング12に繋がる磁気コア1dと円筒状磁気ヨーク1a間に厚みが徐々に変わる界磁磁石1c,励磁コイル1e等より構成されている。励磁コイル1eはハウジング12,円筒状磁気ヨーク15,磁性体歯14,表面磁極部17,磁性体歯19,円筒状磁気ヨーク1a,磁気コア1dで構成される磁路に磁束を発生するよう配置されている。界磁磁石1c内の矢印は磁化の方向を示し,外径及び内径方向の磁化領域が存在している。
図2は図1のA−A’に沿う電機子及び回転子の断面図を示し,相互の関係を説明する為に構成部分の一部に番号を付している。回転子の表面磁極部17はその内周面及び外周面に於いて,円筒状磁性体基板に周方向にほぼ等間隔に配置された永久磁石によって島状突極21,22及び磁性体突極23が形成され,さらに隣り合う永久磁石の周方向磁化は反転されている。島状突極21,22間には永久磁石24が配置され,島状突極21,22両側に配置されたの永久磁石25,26間,永久磁石27,28間には非磁性体29が配置されている。
永久磁石24は外径方向の磁化を持ち,永久磁石25,27と共に島状突極21を外径方向に磁化し,更に永久磁石24,永久磁石26,28は島状突極22を同じく外径方向に磁化している。磁性体突極23は永久磁石25,26,27,28により全体としてほぼ内径方向に磁化されている。島状突極21,22間の永久磁石24は島状突極21,22を磁化すると共に励磁部からの磁束が通り難くする離隔部材でもある。磁性体突極23内に離隔部材は配置されていない。永久磁石25,26,27,28,永久磁石24内の矢印は磁化方向を示す。電機子と対向する島状突極21,22,磁性体突極23は磁性体であり,間に永久磁石25,26,27,28を挟んで周方向に磁気抵抗の大小部分が周期的に形成されているので磁石トルク及びリラクタンストルクの利用が可能である。
第一電機子はハウジング12に固定された円筒状磁気ヨーク15と,円筒状磁気ヨーク15から径方向に延び,周方向に磁気空隙を有する複数の磁性体歯14と,磁性体歯14に巻回された電機子コイル16とから構成されている。第二電機子は円筒状磁気ヨーク1aと,円筒状磁気ヨーク1aから径方向に延び,周方向に磁気空隙を有する複数の磁性体歯19と,磁性体歯19に巻回された電機子コイル1bとから構成されている。第一電機子は第一電機子磁極群に属する電機子コイル及び磁性体歯を有し,第二電機子は第二電機子磁極群に属する電機子コイル及び磁性体歯を有し,回転子の8磁極に対して12個の電機子コイルがそれぞれ配置され,第一電機子,第二電機子に於いて同じ相に属する電機子コイル同士は互いに周方向に偏倚されて配置されている。
図3は第一電機子及び回転子及び第二電機子の一部を拡大して示す図である。同図により回転子の磁極構成及び励磁部による磁束の流れを説明する。表面磁極部の外周面及び内周面は一様な磁性体基板を略周方向磁化を持つ永久磁石25,26,27,28で周方向に区分した島状突極21(22)及び磁性体突極23を周方向に交互に有している。
第一電機子の電機子コイル16はU相,V相,W相の電機子コイルをそれぞれ電機子コイル31,32,33として周方向に繰り返して配置されている。第二電機子の電機子コイル1bはU’相,V’相,W’相の電機子コイルをそれぞれ電機子コイル34,35,36として周方向に繰り返して配置されている。U相とU’相,V相とV’相,W相とW’相はそれぞれ同一の相である。更に二つの電機子に於ける電機子コイルは以下のように構成される。U相の電機子コイル31が島状突極21に面する時にはU’相の電機子コイル34は磁性体突極23と面するよう配置され,電流が流れた時にU相の電機子コイル31とU’相の電機子コイル34とは互いに逆方向の磁束を誘起するよう直列に接続されている。V相の電機子コイル32とV’相の電機子コイル35,W相の電機子コイル33とW’相の電機子コイル36もそれぞれ同様に接続され,全体として3相に結線されている。
永久磁石の飽和磁束量は一定であり,永久磁石の比透磁率は空隙に近いので,永久磁石の厚みが大である場合には外部からの磁束に対して永久磁石を双方向の磁束の離隔部材と出来る。島状突極21,22間の永久磁石24に妨げられて励磁部からの磁束は島状突極21,22を流れず,専ら磁性体突極23を流れる。
点線37は永久磁石25,26,27,28からの磁束を代表して示し,点線38は永久磁石24からの磁束を代表して示している。磁束37,38がU相,V相,W相の電機子コイル31,32,33を鎖交する方向と,U’相,V’相,W’相の電機子コイル34,35,36を鎖交する方向とはそれぞれ互いに逆方向である事が示されている。したがって,磁束37,38による誘起電圧は3相の誘起電圧として正しく合成され,隣接する突極である島状突極,磁性体突極を介して流れる磁束量にアンバランスがあっても3相の電圧出力波形は影響されない。
図3において,励磁部からの磁束は番号39で示され,永久磁石24により阻害されて島状突極21,22には流れず,専ら磁性体突極23を介して径方向に流れる。励磁部からの磁束39は回転子の位置に応じて磁性体歯14,19,磁性体突極23を介して断続的に径方向に流れ,各電機子コイルと鎖交する構成である。磁束39の方向を円筒状磁気ヨーク15から円筒状磁気ヨーク1aに磁束39が流れるよう供給すると,磁束37,38,39はU’相の電機子コイル34,V相の電機子コイル32,W相の電機子コイル33と同じ方向に鎖交する。したがって,励磁部が電機子コイルと鎖交する磁束量を永久磁石25,26,27,28,永久磁石24のみの場合より増大させる状態となる。
励磁部からの磁束39は専ら磁性体突極23を介して流れ,各電機子コイルに誘起される電圧は一様ではない。しかし,上記の説明のように第一電機子,第二電機子の電機子コイルは互いに周方向に偏倚して配置され,同じタイミングで駆動電流が供給される同一相に属する電機子コイル同士に於いて一方が島状突極21或いは島状突極22に対向する時に,他方が磁性体突極23に対向するよう配置され,電流が流された時にそれぞれ逆方向の磁束を生じるよう直列に接続されて駆動トルク変動,発電電圧波形歪みが抑制される。
図1に示されるように磁気コア1dと円筒状磁気ヨーク1a間の間隙長が軸方向に徐々に変わり,厚みが連続的に変わる界磁磁石1cが配置されている。すなわち,界磁磁石1cは長さの異なる磁石要素の並列接続である。励磁コイル1eに磁化電流が供給されると,磁気コア1dと円筒状磁気ヨーク1a間の磁気ポテンシャル差(起磁力)は軸方向にほぼ同じであり,各磁石要素内では磁気ポテンシャル差を間隙長で除した値に相当する磁界強度の磁界が加えられる。
したがって,短い磁石要素が磁化されやすく,長い磁石要素は磁化され難い。励磁コイル1eに供給する磁化電流により界磁磁石1cが一括して励磁されると,磁界強度が大となる短い磁石要素に磁束が集中し,磁界強度が抗磁力より大となる磁石要素が磁化される。励磁コイル1eに供給する磁化電流を増やすと磁化変更される界磁磁石の領域は長い磁石要素の側に広がり,界磁磁石1cの磁化変更される領域は制御される。
図1に示したように異なる磁化方向を持つ領域が界磁磁石1c内に共存し,それぞれの磁化領域の磁極面積を変える事により電機子側に流れる磁束量が変わる。図3を用いて説明したように円筒状磁気ヨーク15から磁気コア1d側に励磁磁束が流れる時に電機子コイル16,1bと鎖交する磁束量が実効的に増えるので内径方向の磁化が第一磁化に,外径方向の磁化が第二磁化に相当する。
図4(a),(b),(c)は界磁磁石1c近傍の縦断面図の上半分を示した図であり,界磁磁石1cの磁化状態変更のステップを説明する。同図に於いて,界磁磁石領域41は第一磁化を,界磁磁石領域42は第二磁化をそれぞれ示している。励磁コイル1eにより界磁磁石1c内に加えられた磁界強度より小の抗磁力を持つ界磁磁石要素は全て同じ方向に磁化されるので界磁磁石1cの磁化状態変更は以下のように実施される。
第一磁化である界磁磁石領域41の磁極面積を減じると第二磁化である界磁磁石領域42の磁極面積が拡大される。界磁磁石領域42は界磁磁石領域41より径方向の長さが短いので図4(a)の状態から第一磁化の磁極面積を減じるには第二磁化の領域を増すよう磁化する振幅及び極性を持つ磁化電流を励磁コイル1cに加える。すなわち,増大された界磁磁石領域42を第二磁化の方向に磁化する振幅及び極性の磁化電流を励磁コイル1eに加える。図4(b)の界磁磁石領域42内の斜線部分43は界磁磁石領域42の増大分(界磁磁石領域41の減少分)を示す。
図4(a)の状態から第一磁化の磁極面積を増すには,径方向長さの最も短い界磁磁石部分に於いて第一磁化の拡大磁極面積に相当する領域を第一磁化の方向に磁化する振幅及び極性の磁化電流を励磁コイル1eに加える。図4(c)の斜線部分44は第一磁化の増加分を示す。図4(c)の状態に於いて,第一磁化の磁極面積は界磁磁石領域41の磁極面積と斜線部44の磁極面積との和になる。
電機子コイル16,1bと鎖交する磁束量はこのように励磁コイル1eに供給する磁化電流の振幅及び極性を変えて界磁磁石1c内の第一,第二磁化領域の磁極表面積を変える事で制御される。電機子を流れる磁束量と励磁コイル1eに供給する磁化電流との関係は設計段階でマップデータとして設定する。しかし,回転電機の量産段階では部材の寸法が公差範囲内でバラツキ,磁性体の磁気特性のバラツキも存在して電機子を流れる磁束量の精密な制御が困難になる場合がある。そのような場合には回転電機を組み立て後に回転電機個々に電機子を流れる磁束量と励磁コイル1eに供給する磁化電流との関係を検査し,前記マップデータを修正する。
さらに磁性体の特性は温度による影響を受けやすく,経時変化による影響も懸念される場合には運転中に加えられる磁化電流とその結果としての界磁磁石の磁化状態を監視し,回転電機の運転中に前記マップデータを修正する情報を学習的に取得する事も出来る。電機子を流れる磁束量を直接に把握する事は難しいが,電機子コイル16,1bに現れる誘起電圧を参照して電機子を流れる磁束量を推定できる。
電機子コイル16,1bに現れる誘起電圧の振幅は電機子コイル16,1bと鎖交する磁束量及び回転速度に比例する。界磁磁石領域41の磁極表面積を増やすよう励磁コイル1eに磁化電流を加えた結果として誘起電圧の振幅の変化量が目標値より小の場合は同一条件に於ける磁化電流の振幅を大に,誘起電圧の振幅の変化量が目標値より大の場合は同一条件に於ける磁化電流の振幅を小にするよう磁化電流に係わるパラメータを修正する。
本実施例に於いて,界磁磁石1cの磁化状態は連続的に変える事が出来るが,磁化状態の変更を間歇的に行う場合に界磁磁石1cの磁化状態は実質的に離散的に変えられる事になる。本実施例ではさらに界磁磁石1cの磁化状態を変更させない程度の磁束調整電流を励磁コイル1eに供給して磁束を発生させ,界磁磁石1c及び永久磁石25,26,27,28,永久磁石24による磁束に重畳させて電機子を流れる磁束量を制御する。この場合に調整用の磁束は主に界磁磁石1cの厚みの小さい領域を流れる事になる。磁束調整電流は界磁磁石1cの磁化状態を非可逆的に変更させない程度の大きさであり,磁束量の調整方向に応じて極性が変えられる。
以上,図1から図4に示した回転電機に於いて,界磁磁石1cの磁化状態を変える事で電機子に流れる磁束量を制御できることを説明した。本実施例は電機子を流れる磁束量を制御して出力を最適化するシステムであり,図5を用いて回転電機システムとしての制御を説明する。
図5は磁束量制御を行う回転電機システムのブロック図を示している。図5に於いて,回転電機51は入力52,出力53を有するとし,制御装置55は回転電機51の出力53及び回転子の位置,温度等を含む状態信号54を入力として制御信号56を介して磁束量を制御する。番号57は電機子コイル16,1bに駆動電流を供給する駆動回路を示す。回転電機51が発電機として用いられるのであれば,入力52は回転力であり,出力53は発電電力となる。回転電機51が電動機として用いられるのであれば,入力52は駆動回路57から電機子コイル16,1bに供給される駆動電流であり,出力53は回転トルク,回転速度となる。制御信号56は切換スイッチ58,磁化制御回路5a,磁束調整回路59を制御し,第一界磁磁石1c,第二界磁磁石1dの磁化状態を変更させる場合には切換スイッチ58により磁化制御回路5aを接続して励磁コイル1eに磁化状態変更の為の磁化電流を供給し,電機子コイル16,1bと鎖交する磁束量の微調整を行う場合は切換スイッチ58により磁束調整回路59を接続して励磁コイル1eに磁束調整電流を供給する。
回転電機が電動機として用いられる場合に於いて,磁束量制御を行って回転力を最適に制御する。但し,電機子を流れる磁束量を増やす極性の磁束調整電流を正としている。制御装置55は出力53である回転速度が所定の値より大となり電機子に流れる磁束量を小とする時には磁束調整回路59により励磁コイル1eに供給する磁束調整電流を減じて電機子に流れる磁束量を小とし,磁束調整電流が予め定めた値より小である場合には第二磁化の磁極面積を増す方向の磁化電流が磁化制御回路5aから励磁コイル1eに供給されて第一磁化の磁極面積を減じると共に第二磁化の磁極面積を増して電機子を流れる磁束量を小とする。例えば,図4(a)の状態に於いて第二磁化の磁極面積を増すには,拡大された界磁磁石領域42を第二磁化の方向に磁化する振幅及び極性の磁化電流を励磁コイル1eに加える。図4(b)の界磁磁石領域42内の斜線部分43は界磁磁石領域42の増大分(界磁磁石領域41の減少分)を示す。
出力53である回転速度が所定の値より小となり電機子に流れる磁束量を大とする時には磁束調整回路59により励磁コイル1eに供給する磁束調整電流を増して電機子に流れる磁束量を大とし,磁束調整電流が予め定めた値より大である場合には第一磁化の磁極面積を増す方向の磁化電流を磁化制御回路5aから励磁コイル1eに供給して第一磁化の磁極面積を増すと共に第二磁化の磁極面積を減じて電機子を流れる磁束量を大とする。例えば,図4(a)の状態に於いて第一磁化の磁極面積を増すには,界磁磁石領域42内に第一磁化の拡大分に相当する領域(図4(c)の斜線部分44)を第一磁化の方向に磁化する振幅及び極性の磁化電流を励磁コイル1eに供給する。
回転電機が発電機として用いられる場合において,磁束量制御を行って発電電圧を所定の電圧となるよう制御する定電圧発電システムを説明する。但し,電機子を流れる磁束量を増やす極性の磁束調整電流を正としている。制御装置55は出力53である発電電圧が所定の値より大となり電機子に流れる磁束量を小とする時には磁束調整回路59により励磁コイル1eに供給する磁束調整電流を減じて電機子に流れる磁束量を小とし,磁束調整電流が予め定めた値より小である場合には第二磁化の磁極面積を増す方向の磁化電流が磁化制御回路5aから励磁コイル1eに供給されて第一磁化の磁極面積を減じると共に第二磁化の磁極面積を増して電機子を流れる磁束量を小とする。
制御装置55は出力53である発電電圧が所定の値より小となり電機子に流れる磁束量を大とする時には磁束調整回路59により励磁コイル1eに供給する磁束調整電流を増して電機子に流れる磁束量を大とし,磁束調整電流が予め定めた値より大である場合には第一磁化の磁極面積を増す方向の磁化電流を磁化制御回路5aから励磁コイル1eに供給して第一磁化の磁極面積を増すと共に第二磁化の磁極面積を減じて電機子を流れる磁束量を大とする。
本実施例で界磁磁石の厚みが軸方向に連続的に変わるが,厚みが周方向に変わる構成,或いは厚みが離散的に異なる複数の界磁磁石要素を磁性体間に有する構成の何れも採用可能である。
本実施例では界磁磁石の磁化変更をする為の励磁磁束は電機子コイルと鎖交し,電機子コイルに電圧を誘起させる。可能な限り時間変化の緩やかな波形を持つ励磁磁束により電機子コイルに現れる電圧振幅は小さく抑える事が出来る。例えば,励磁コイルに供給する電流波形としてレイズドコサインパルス,ガウシアンパルス等は電機子コイルに現れる電圧振幅を抑える為に有効である。
本発明による回転電機システムの第二実施例を図6から図8を用いて説明する。第二実施例は,励磁部が界磁磁石を持たず,電流により電機子を流れる磁束量を制御する回転電機システムである。
図6はラジアルギャップ構造の回転電機に本発明を適用した実施例の縦断面図を示し,回転軸11がベアリング13を介してハウジング12に回動可能に支持されている。電機子は外周側に配置された第一電機子,内周側に配置された第二電機子を有し,第一電機子は磁性体歯62,円筒状磁気ヨーク15,電機子コイル63を有し,第二電機子は磁性体歯64,円筒状磁気ヨーク1a,電機子コイル65を有する。回転子は表面磁極部61を有し,表面磁極部61の外周側で第一電機子と対向し,内周側で第二電機子と対向している。番号18は回転子支持体を示す。
表面磁極部61は第一実施例とは磁極構成が異なり,第一電機子及び第二電機子の構成も第一実施例とは異なる。励磁部はハウジング側に配置された励磁コイル1e,及び円筒状磁気コア67,非磁性体66,ハウジング12で構成されている。本実施例に於いて,ハウジング12は鉄を主体とする磁性体で構成され,励磁コイル1eに供給される電流により円筒状磁気コア67と円筒状磁気ヨーク15間に磁束を流して電機子コイル63,65と鎖交する磁束量を制御する。
図7は図6のB−B’に沿う電機子及び回転子の断面図を示し,相互の関係を説明する為に構成部分の一部に番号を付している。表面磁極部61は径方向の磁化を持つ永久磁石で構成された島状突極71,磁性体で構成された磁性体突極72を周方向に交互に有している。番号73は島状突極71,磁性体突極72間に配置された非磁性体を示し,回転子支持体18の一部として島状突極71,磁性体突極72を支持している。すなわち,永久磁石で構成された島状突極71は島状突極内の離隔部材でもあり,磁性体突極内に離隔部材は配置されていない。
第一電機子はハウジング12に固定された円筒状磁気ヨーク15と,円筒状磁気ヨーク15から径方向に延び,周方向に磁気空隙を有する複数の磁性体歯62と,磁性体歯62に巻回された電機子コイル63とから構成され,第二電機子は円筒状磁気ヨーク1aと,円筒状磁気ヨーク1aから径方向に延び,周方向に磁気空隙を有する複数の磁性体歯64と,磁性体歯64に巻回された電機子コイル65とから構成されている。第一電機子,第二電機子に於いて,第一電機子磁極群と第二電機子磁極群それぞれに属する電機子コイル及び磁性体歯が周方向の異なる位置に配置されている。それそれの電機子には回転子の8磁極に対して24個の電機子コイルが配置されている。
図8は図7に示した回転子の表面磁極部61及び電機子の断面を拡大して示す図であり,島状突極71及び励磁部からの磁束の流れが示される。図8は励磁部が電機子コイル63,65と鎖交する磁束量を島状突極71からの磁束量より増大させる場合を示している。
第一電機子磁極群の電機子コイルはU相,V相,W相の電機子コイルをそれぞれ電機子コイル81,82,83とし,第二電機子磁極群の電機子コイルはU’相,V’相,W’相の電機子コイルをそれぞれ電機子コイル84,85,86として示されている。第一電機子,第二電機子に於いて,U相,V相,W相,U’相,V’相,W’相の電機子コイルが周方向に繰り返して配置され,第一電機子,第二電機子それぞれに於いて同相の電機子コイルには同じ番号が付されている。
第一電機子,第二電機子それぞれに於いて,U相の電機子コイル81が島状突極71に面する時にはU’相の電機子コイル84は磁性体突極72と面するよう構成されている。その際に島状突極71から流れる磁束に於いて,U相の電機子コイル81と鎖交する磁束の方向と,U’相の電機子コイル84と鎖交する方向とは互いに逆方向であり,電流が流された時にU相の電機子コイル81とU’相の電機子コイル84とは互いに逆方向の磁束を誘起するよう直列に接続されている。V相の電機子コイル82とV’相の電機子コイル85,W相の電機子コイル83とW’相の電機子コイル86もそれぞれ同様に配置されて接続され,全体として3相に結線されている。
点線87は島状突極71からの磁束を代表して示している。磁束87がU相の電機子コイル81と鎖交する方向は,U’相の電機子コイル84と鎖交する方向とは互いに逆であり,磁束87がV相の電機子コイル82と鎖交する方向は,V’相の電機子コイル85と鎖交する方向とは互いに逆であり,磁束87がW相の電機子コイル83と鎖交する方向は,W’相の電機子コイル86と鎖交する方向とは互いに逆である。したがって,島状突極71からの磁束87による誘起電圧は3相の誘起電圧として正しく合成され,隣接する突極である島状突極71,磁性体突極72を介して流れる磁束量間にアンバランスがあっても3相の電圧出力波形は影響されない。
図8において,励磁部からの磁束は番号88で示され,島状突極71を構成する永久磁石により阻害されて島状突極71を流れず,専ら磁性体突極72を介して径方向に流れる。励磁部からの磁束88は回転子の位置に応じて磁性体歯62,64,磁性体突極72を介して断続的に径方向に流れ,各電機子コイルと鎖交する構成である。磁束88の方向を磁束87が磁性体突極72を流れる方向と同じとすると,磁束88と磁束87はU’相の電機子コイル84,V’相の電機子コイル85を同じ方向に鎖交する。したがって励磁部が電機子コイルと鎖交する磁束量を島状突極71を構成する永久磁石のみの場合より増大させる状態である。磁束88の流れる方向を図8とは逆方向にした場合は励磁部が電機子コイルと鎖交する磁束量を島状突極71を構成する永久磁石のみの場合より減少させる状態である。
以上,本発明の回転電機システムについて,実施例を挙げて説明した。これらの実施例は本発明の趣旨,目的を実現する例を示したのであって本発明の範囲を限定するわけでは無い。例えば上記実施例に於ける回転子の磁極構成,電機子の構成,励磁部の構成等はそれぞれ組み合わせを変えて本発明の趣旨を実現する回転電機装置を構成できる事は勿論である。
本発明を適用した回転電機システムは従来の回転電機と同様に高出力の電動機として利用できる事に加えて実用出来る回転速度範囲を拡大し,更に発電機能を改善し,またその発電機能を制御できる。移動体の発電機兼電動機システムに用いて,駆動用電動機としては従来以上の回転速度範囲での使用が期待できる他に制動時のエネルギー回収を可能として総合的なエネルギー消費量を改善できる。出力制御の応答速度が比較的緩やかな場合には電機子コイルに流す電流を抑え,専ら励磁部により出力制御を行うシステムも可能であり,電源の低電圧化,駆動回路のコスト低減等が容易となる。更に定電圧発電機システムとして広い回転速度範囲で発電電圧を一定に制御できるので定電圧制御回路を不要とし,全体のシステムコストを低減出来る。

Claims (11)

  1. 電機子との対向面に於いて島状突極及び磁性体突極を周方向に交互に有する回転子と,回転子との対向面に於いて電機子コイルを磁気ヨークに周方向に有する電機子と,島状突極と磁性体突極とを同じ方向に一括して励磁する励磁部とを有し,第一電機子,回転子,第二電機子がこの順で径方向にラジアルギャップを介して配置される回転電機装置であって,回転子は永久磁石及び或いは非磁性体で構成される離隔部材を少なくとも島状突極内に有し,励磁部からの磁束が島状突極を流れ難いよう島状突極内の離隔部材の厚みは磁性体突極内の離隔部材の厚みより大とされるよう構成され,島状突極内及び或いは島状突極に隣接する永久磁石によって全ての島状突極がほぼ同じ方向に磁化されるよう構成され,励磁部は励磁コイル及び界磁磁石の何れかを少なくとも有し,励磁部の両端はそれぞれ二つの電機子の磁気ヨークと磁気的に結合され,励磁部の一端から流れる磁束は第一電機子の磁気ヨークと,回転子の磁性体突極と,第二電機子の磁気ヨークとを介して励磁部の他端に環流するよう構成され,回転電機装置の出力を最適化するよう前記出力に応じて励磁部から供給する磁束量を変え,電機子に流れる磁束量が制御される事を特徴とする回転電機システム
  2. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,島状突極及び磁性体突極は磁性体基板を永久磁石によって周方向に区分して形成されると共に互いに異極に磁化されるよう構成される事を特徴とする回転電機システム
  3. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,回転子は非磁性体及び或いは永久磁石で周方向に区分して形成された島状突極と磁性体突極とを有して径方向の両面で電機子と対向し,島状突極が電機子と対向する二つの面の間に離隔部材を有して島状突極を励磁部からの磁束が流れないよう構成される事を特徴とする回転電機システム
  4. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,電機子コイルは電機子コイルが周方向に配置された第一電機子磁極群と,第二電機子磁極群とにグループ化され,第一電機子磁極群,第二電機子磁極群に於いて同時に駆動電流が供給される同一相にそれぞれ属する電機子コイル同士は一方が島状突極に対向する時に他方は磁性体突極に対向するよう配置されると共に互いに逆方向の磁束を発生するよう接続される事を特徴とする回転電機システム
  5. 請求項4記載の回転電機システムに於いて,第一電機子磁極群を有する電機子と,第二電機子磁極群を有する電機子とがそれぞれ回転子と対向し,第一電機子磁極群,第二電機子磁極群に於いてそれぞれ同一相に属する電機子コイル同士は一方が島状突極に対向する時に他方は磁性体突極に対向するよう配置されると共に互いに逆方向の磁束を発生するよう直列に接続される事を特徴とする回転電機システム
  6. 請求項4記載の回転電機システムに於いて,第一電機子,第二電機子は回転子との対向面に於いて第一電機子磁極群,第二電機子磁極群を周方向の異なる位置にそれぞれ有し,第一電機子磁極群,第二電機子磁極群に於いてそれぞれ同一相に属する電機子コイル同士は一方が島状突極に対向する時に他方は磁性体突極に対向するよう配置されると共に互いに逆方向の磁束を発生するよう直列に接続される事を特徴とする回転電機システム
  7. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,励磁部は界磁磁石と,界磁磁石の磁化を変更する励磁コイルとを有し,励磁部は前記界磁磁石のN極或いはS極の何れか一方の磁極から流れる磁束は励磁部の両端と,電機子と,回転子の磁性体突極とを介して界磁磁石の他方の磁極に環流するよう構成され,回転電機装置の出力を最適化するように前記出力に応じて励磁コイルに磁化電流を供給して界磁磁石の磁化状態を不可逆的に変え,電機子に流れる磁束量が制御される事を特徴とする回転電機システム
  8. 請求項7記載の回転電機システムに於いて,界磁磁石は磁性体及び前記磁性体間に配置された磁化方向長さと抗磁力の積が異なる磁石要素を有し,前記磁性体により前記磁石要素を互いに並列接続して構成され,磁石要素は互いに逆方向である第一磁化,第二磁化の何れかの磁化を有し,第一磁化を有する磁石要素は磁性体突極を島状突極の磁化方向と逆方向に磁化する事を特徴とする回転電機システム
  9. 請求項7記載の回転電機システムに於いて,界磁磁石に不可逆的な磁化変化を生ぜしめない程度の磁束調整電流を界磁磁石の各磁化状態に於いて励磁コイルに供給し,誘起された磁束を界磁磁石からの磁束に重畳して電機子を流れる磁束量を調整する事を特徴とする回転電機システム
  10. 請求項1記載の回転電機システムに於いて,励磁部は励磁コイル及び励磁磁路部材を有し,励磁磁路部材の両端は第一電機子の磁気ヨークと,第二電機子の磁気ヨークとそれぞれ磁気的に結合され,励磁コイルは励磁磁路部材と,電機子と,回転子の磁性体突極とを介する磁路に磁束を誘起するよう配置され,回転電機装置の出力を最適化するように前記出力に応じて励磁コイルに励磁電流を供給して電機子に流れる磁束量が制御される事を特徴とする回転電機システム
  11. 請求項10記載の回転電機システムに於いて,励磁部は励磁磁路部材を含む磁路内に磁気的な空隙を有し,島状突極を磁化する永久磁石からの磁束が励磁磁路部材を介して短絡しないよう構成される事を特徴とする回転電機システム
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